JP4275297B2 - 簡易上製本用表紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、背ボ−ル紙と表側および裏側表紙ボ−ル紙を簡易上製本用表紙に簡単に貼着でき、美麗に仕上げることができる簡易上製本用表紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製本の一形態として、上製本が知られている。この上製本は、冊子の背面に糸かがりの処理をしてから無線綴じを行い、厚地の表紙を貼着して堅牢な仕上げとするもので、ハ−ドカバ−の書籍が製本される。また、前記糸かがりの処理を省略した簡易上製本も知られている。
【0003】
図8は、簡易上製本を行なう例を示す分解斜視図である。図8において、10は背面を無線綴じした冊子、11は背ボ−ル紙(背厚板紙)、12は簡易上製本用表紙で表側12aにはタイトルや図柄等が記入されており、裏側12bには出版社名等が記入されている。13は裏側表紙ボ−ル紙(表紙厚板紙)、14は表側表紙ボ−ル紙(表紙厚板紙)である。背ボ−ル紙11、裏側および表側表紙ボ−ル紙13、14は、冊子10の各用紙よりも厚地の厚板紙を使用する。
【0004】
簡易上製本用表紙12には、背ボ−ル板11の幅よりもやや広い幅で折り目12u、12vを入れる。簡易上製本用表紙12を広げた状態で、背ボ−ル板11を簡易上製本用表紙12の折り目12u、12v間に形成される中央部分12cに貼着する。
【0005】
また、矢視X、Yで示すように、裏側表紙ボ−ル紙13、表側表紙ボ−ル紙14をそれぞれ簡易上製本用表紙12の裏側12b、表側12aに貼着する。この際に、背ボ−ル紙、裏側および表側表紙ボ−ル紙と表紙との間に空気が入り込んでしわが形成されないように留意する。冊子10の表側見返し用紙10aを表側表紙ボ−ル紙14の内側に貼着し、裏側見返し用紙10bを裏側表紙ボ−ル紙13の内側に貼着して製本を行なう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、背ボ−ル紙、裏側および表側表紙ボ−ル紙を簡易上製本用表紙に貼着して美麗に仕上げるためには、正確な位置合わせや接着材の調整等が必要になるので、専用の機械を必要としていた。このため、コストが高くなるという問題があった。
【0007】
また、特製の紙工ボンドやニカワ等の接着材を用いて作業者が手作業で前記貼着処理を行なうこともなされているが、経験を積んだ熟練作業者でなければ対応することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、背ボ−ル紙と表側および裏側表紙ボ−ル紙を簡易上製本用表紙に簡単に貼着でき、美麗に仕上げることができる簡易上製本用表紙の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、請求項1に係る発明において、簡易上製本用表紙を、内側面に形成した接着材層に剥離紙を貼付ておき、剥離紙を剥離して接着材層を露出させ、表側表紙ボ−ル紙と、背ボ−ル紙と、裏側表紙ボ−ル紙とを貼着する簡易上製本用表紙であって、前記剥離紙は、表側表紙ボ−ル紙を貼着する区画と、背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画と、前記表側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の上縁部に隣接する区画、一方の側縁部に隣接する区画、下縁部に隣接する区画の三方の区画と、前記背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の上縁部に隣接する区画と、その下縁部に隣接する区画とに分離して形成された構成とすることにより達成される。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の簡易上製本用表紙において、前記背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の剥離紙に背ボ−ル紙基準線を形成し、背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の上縁部に隣接する区画と、その下縁部に隣接する区画の剥離紙に、前記背ボ−ル紙基準線を起点とする目盛を付与したことを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の簡易上製本用表紙において、前記背ボ−ル紙と裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の剥離紙に、表紙作成に関連する事項を記入したことを特徴としている。
【0012】
請求項1に係る発明の上記特徴によれば、内側面に形成した接着材層に、複数の区画に分離して形成された剥離紙を貼付ている。このため、各区画の剥離紙を手順にしたがって順次剥離して接着材層を露出させることにより、表側表紙ボ−ル紙と、背ボ−ル紙と、裏側表紙ボ−ル紙とを所定の位置に簡単に、しかも仕上がりが美麗になるように簡易上製本用表紙に貼着することができる。
【0013】
請求項2に係る発明の上記特徴によれば、背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の上縁部に隣接する区画と、その下縁部に隣接する区画の剥離紙に、背ボ−ル紙基準線を起点とする目盛を付与している。このため、裏側表紙ボ−ル紙の貼着位置を正確に設定することができる。
【0014】
請求項3に係る発明の上記特徴によれば、背ボ−ル紙と裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の剥離紙に、作成手順や作成上の注意点等の表紙作成に関連する事項を記入している。このため、熟練した作業者でなくても誤りなく作業をすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る簡易上製本用表紙の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、簡易上製本用表紙の一例を示す平面図である。図1において、1は内側面に接着材を塗布して接着材層を形成し、この接着材層に剥離紙(タック紙)を貼付ておき、剥離紙を剥離すると接着材層が露出する構成の簡易上製本用表紙である。
【0016】
abcdで矩形状に囲まれた部分Paは、表側表紙ボ−ル紙を貼着する部分の剥離紙である。また、abstで矩形状に囲まれた部分Pbは、背ボ−ル紙と、裏側表紙ボ−ル紙を貼着する部分の剥離紙であり、線Laの位置で剥離紙Paと分離されている。
【0017】
また、Pc、Pd、Peは、前記剥離紙Paとは分離されて形成されている剥離紙である。剥離紙Paの上縁部に隣接して剥離紙Pcを配置し、剥離紙Paの側縁部に隣接して剥離紙Peを配置し、剥離紙Paの下縁部に隣接して剥離紙Pdを配置している。すなわち、剥離紙Paの三方に隣接して剥離紙Pc、Pd、Peが配置されている。剥離紙PcとPeが隣接する角部Caは斜めにカットされている。同様に剥離紙PdとPeが隣接する角部Cbも斜めにカットされている。
【0018】
Pfは、前記剥離紙Pbと分離されていると共に、線aeで剥離紙Pcと分離されて形成されている剥離紙、Pgは、前記剥離紙Pbと分離されていると共に、線bfで剥離紙Pdと分離されて形成されている剥離紙である。このように、剥離紙Pfは剥離紙Pbの上縁部に隣接して配置され、剥離紙Pgは剥離紙Pbの下縁部に隣接して配置される。
【0019】
剥離紙Pf、Pgには、それぞれ目盛が印刷されている。この目盛は、線Lbの両端であるuvの位置を起点にして形成されている。線Lbは、後述するように「背ボ−ル基準線」であることの表示が剥離紙Pbに記入されている。
【0020】
次に、図1の簡易上製本用表紙1に背ボ−ル紙と表側および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する工程について、図2〜図6の平面図により説明する。図2は、剥離紙Paを剥離し、La線に側縁部を揃えて表側表紙ボ−ル紙2を貼着した状態を示している。
【0021】
次に、図3に示すように剥離紙Pbを剥離する。La線とLb線との間には、背ボ−ルと表紙ボ−ル紙間に空きミゾを形成するために所定の間隔が形成されている。Lb線の位置、すなわち、目盛0の位置を基準として側縁部を揃えた背ボ−ル紙3を貼着する。背ボ−ル紙3は、製本する冊子の厚みに合わせて予め所定寸法の幅で切断されており、この幅寸法は簡易上製本用表紙1に貼着されると当該目盛で読み取ることができる。
【0022】
図4は、剥離紙Pbを剥離して、背ボ−ル紙3と共に裏側表紙ボ−ル紙4を簡易上製本用表紙1に貼着した状態を示している。この際に、背ボ−ル紙3の側縁部Lb’と、裏側表紙ボ−ル紙4の側縁部Lc間の間隔は、前記背ボ−ル紙3の基準側側縁部Lbと表側表紙ボ−ル紙2の側縁部間の間隔と等しく設定する。
【0023】
このように、裏側表紙ボ−ル紙4を簡易上製本用表紙1に貼着するための側縁部の位置合わせが必要となる。本発明においては、剥離紙Pf、Pgには、目盛が印刷されているので、裏側表紙ボ−ル紙4の側縁部Lcの位置を容易に設定することができる。
【0024】
図4の状態で、簡易上製本用表紙1の図示左端側側縁部から所定の長さの位置Ldの線で、上製本用表紙1を切断する。また、角部Cc、Cdを斜めにカットする。この際に、角部Cc、Cdは、角部Ca、Cbと同じ大きさとなるようにカットする。Phの部分には接着材層が露出している。
【0025】
このようにして、図5の平面図に示すように表側表紙ボ−ル紙2、背ボ−ル紙3、裏側表紙ボ−ル紙4を、簡易上製本用表紙1の内面に貼着した状態が得られる。次に、簡易上製本用表紙1の外周に残存している剥離紙Pc、Pd、Pe、Pf、Pgをすべて剥離する。すなわち、簡易上製本用表紙1の内面に貼着された表側表紙ボ−ル紙2、背ボ−ル紙3、裏側表紙ボ−ル紙4の周囲に接着材層を枠状に露出させる。
【0026】
この状態で、簡易上製本用表紙1の上部枠状接着材層を内側に折り込んで、表側表紙ボ−ル紙2、背ボ−ル紙3、裏側表紙ボ−ル紙4の上部を貼着する。同様に簡易上製本用表紙1の下部枠状接着材層、左右の枠状接着材層をそれぞれ内側に折り込んで、表側ボ−ル紙2、背ボ−ル紙3、裏側ボ−ル紙4の下部を貼着する。
【0027】
簡易上製本用表紙1の四隅には角部Ca〜Cdが形成されている。このため、図6に示すように、表側表紙ボ−ル紙2、背ボ−ル紙3、裏側表紙ボ−ル紙4の周囲には、内側に折り込まれた簡易上製本用表紙1のPx、Py、Pz、Pwの部分により、額縁状周縁部が形成されている。
【0028】
本発明においては、図1に示すように簡易上製本用表紙1の一面に接着材層を形成し、Pa〜Pgで区画された剥離紙を貼付ている。そして、当該剥離紙を剥離して接着材層を露出させ、基準線や目盛に合わせて、表側表紙ボ−ル紙2、背ボ−ル紙3、裏側表紙ボ−ル紙4を載置して貼着している。このため、簡単に、しかも美麗に表側表紙ボ−ル紙2、背ボ−ル紙3、裏側表紙ボ−ル紙4を簡易上製本用表紙1に貼着することができる。
【0029】
図1の、背ボ−ル紙3と裏側表紙ボ−ル紙4を貼着する部分の剥離紙Pbには、表紙作成の作業手順や表紙作成上の注意書き等の、表紙作成に関連する事項を印刷しておくことができる。図7は、表紙作成上の注意書きの一例を示す説明図である。図7において、(イ)の部分には、背ボ−ル紙の幅寸法を設定する際の注意書きが印刷されている。この例では、冊子の中身の厚さにAmm加算するものとしている。Aは、例えば2.5mmに設定される。
【0030】
(ロ)の部分には、裏側表紙ボ−ル紙を貼着する際の注意書きが印刷されている。ここでは、裏側表紙ボ−ル紙と背ボ−ル紙間の空きミゾをBmmとすること、簡易上製本用表紙の端部切り落とし寸法をCmmとすること、天地角切りの寸法をDmmとすることが印刷されている。一例として、B=7.5mm、C=15mm、D=19mmに設定する。
【0031】
この外に、剥離紙PbにはLbの線に「背ボ−ル基準線」と矢印を付けて表示している。なお、前記表紙作成上の注意書きと共に、図2〜図6で説明した表紙作成の作業手順を剥離紙Pbに印刷することもできる。このように、剥離紙Pbに表紙作成の作業手順や表紙作成上の注意書きを印刷してあるので、熟練した作業者に限らず、誰でも迅速に、間違いなく作業することができる。
【0032】
本発明の簡易上製本用表紙は、前記のように簡単に、しかも美麗に仕上げることができるので、同一形状の冊子用表紙を大量に効率よく作成できる。また、前記剥離紙の区画を任意に設定できるので、表紙が破損した特定サイズの本のように、単品の製本修理にも適用できる。更に、雑誌記事のスクラップ帳を製作する場合の表紙にも適用できる。このように、本発明の簡易上製本用表紙は、大量の製本に限らず、個人が少数の製本をする場合にも有用である。
【0033】
【発明の効果】
以上、詳述したように請求項1に係る発明の特徴によれば、内側面に形成した接着材層に、複数の区画に分離して形成された剥離紙を貼付ている。このため、各区画の剥離紙を手順にしたがって順次剥離して接着材層を露出させることにより、表側表紙ボ−ル紙と、背ボ−ル紙と、裏側表紙ボ−ル紙とを所定の位置に簡単に、しかも仕上がりが美麗になるように簡易上製本用表紙に貼着することができる。
【0034】
請求項2に係る発明の上記特徴によれば、背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の上縁部に隣接する区画と、その下縁部に隣接する区画の剥離紙に、背ボ−ル紙基準線を起点とする目盛を付与している。このため、裏側表紙ボ−ル紙の貼着位置を正確に設定することができる。
【0035】
請求項3に係る発明の上記特徴によれば、背ボ−ル紙と裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の剥離紙に、作成手順や作成上の注意点等の表紙作成に関連する事項を記入している。このため、熟練した作業者でなくても誤りなく作業をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る簡易上製本用表紙の平面図である。
【図2】簡易上製本用表紙に表側表紙ボ−ル紙を貼り付けた状態を示す平面図である。
【図3】図2の簡易上製本用表紙に背ボ−ル紙を貼り付けた状態を示す平面図である。
【図4】図3の簡易上製本用表紙に、裏側表紙ボ−ル紙を貼り付けた状態を示す平面図である。
【図5】図4の簡易上製本用表紙の所定個所を切断した状態を示す平面図である。
【図6】簡易上製本用表紙の仕上がり状態を示す平面図である。
【図7】剥離紙に印刷される注意事項の例を示す説明図である。
【図8】簡易上製本を行なう例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 簡易上製本用表紙
2 表側表紙ボ−ル紙
3 背ボ−ル紙
4 裏側表紙ボ−ル紙
Pa〜Pg 剥離紙

Claims (3)

  1. 内側面に形成した接着材層に剥離紙を貼付ておき、剥離紙を剥離して接着材層を露出させ、表側表紙ボ−ル紙と、背ボ−ル紙と、裏側表紙ボ−ル紙とを貼着する簡易上製本用表紙であって、前記剥離紙は、表側表紙ボ−ル紙を貼着する区画と、背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画と、前記表側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の上縁部に隣接する区画、一方の側縁部に隣接する区画、下縁部に隣接する区画の三方の区画と、前記背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の上縁部に隣接する区画と、その下縁部に隣接する区画とに分離して形成されていることを特徴とする簡易上製本用表紙。
  2. 前記背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の剥離紙に背ボ−ル紙基準線を形成し、背ボ−ル紙および裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の上縁部に隣接する区画と、その下縁部に隣接する区画の剥離紙に、前記背ボ−ル紙基準線を起点とする目盛を付与したことを特徴とする、請求項1に記載の簡易上製本用表紙。
  3. 前記背ボ−ル紙と裏側表紙ボ−ル紙を貼着する区画の剥離紙に、表紙作成に関連する事項を記入したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の簡易上製本用表紙。
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