JP4275266B2 - 小型滑走艇の排気装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンによって駆動されるジェット推進機において発生する推力によって水上を滑走する小型滑走艇の排気装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
斯かる小型滑走艇の排気装置としては、エンジン室内に配置されたエンジンと、インペラ軸を介して前記エンジンによって駆動されるジェット推進機を有し、艇体の一部を凹入させて形成したポンプ室に前記ジェット推進機の一部を収容し、前記エンジンから導出する排気管をインペラ軸中心に対して左右何れかに配されるとともに少なくともその後部が前記ポンプ室の側方に配されたウォーターロックに接続し、該ウォーターロックから導出する排気ホースをインペラ軸中心を越えて前記ウォーターロックの反対側まで延設して前記エンジン室外に開口せしめて成るものが知られている。ここで、ウォーターロックはその内部が複数の小室に区画されている必要は必ずしもなく、要するに、その前後の排気管よりも容積が大きな容積室を構成するものであれば良い。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
而して、小型滑走艇の排気装置には、小型滑走艇の左右何れの横転時においても水、特にウォーターロック内に溜った水が当該排気装置を経てエンジンに侵入することがない構造、つまり、エンジンへの水の侵入を阻止して該エンジンを保護することができる構造が望ましい。
【０００４】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、小型滑走艇の左右何れの横転時においてもエンジンへの水の侵入を阻止して該エンジンを保護することができる小型滑走艇の排気装置を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項１記載の発明は、エンジン室内に配置されたエンジンと、インペラ軸を介して前記エンジンによって駆動されるジェット推進機を有し、艇体の一部を凹入させて形成したポンプ室に前記ジェット推進機の一部を収容し、前記エンジンから導出する排気管をインペラ軸中心に対して左右何れかに配されるとともに少なくともその後部が前記ポンプ室の側方に配されたウォーターロックに接続し、該ウォーターロックから導出する排気ホースをインペラ軸中心を越えて前記ウォーターロックの反対側まで延設して前記エンジン室外に開口せしめて成る小型滑走艇の排気装置において、前記ウォーターロックの前部をインペラ軸側に膨出せしめ、その膨出部に前記排気ホースの排気入口を開口せしめるとともに、前記排気管のウォーターロック内への排気出口を前記排気入口よりも外側方へオフセットさせたことを特徴とする。
請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明において、前記ウォーターロックを平面視で前部に行くほどインペラ軸に近づくようにインペラ軸に対して斜めに傾けて配置するとともに、前記排気管を前記ウォーターロック内に差し込んでウォーターロックの後部で開口させたことを特徴とする。
【０００６】
従って、請求項１記載の発明によれば、ウォーターロックの前部をインペラ軸側に膨出せしめ、その膨出部に、下流端がエンジン室外に開口する排気ホースの排気入口を開口せしめるとともに、エンジンから延びる排気管のウォーターロック内への排気出口を前記排気入口よりも外側方へオフセットさせたため、小型滑走艇が排気ホースの下流端を下にして横転した場合であっても、ウォーターロック内の水は膨出部に溜り、排気管の排気出口は水面上に露出し易く、従って、エンジンへの水の侵入が阻止されて該エンジンが保護される。そして、小型滑走艇を復元させた場合、ウォーターロックの膨出部の底部に溜った水は、そこに開口する排気ホースを通ってエンジン室外に排出される。尚、排気管のウォーターロック内への排気出口を排気入口よりも外側方へオフセットさせる場合、排気出口全体が排気入口全体よりも外側方へオフセットしている必要はなく、平面視において排気出口の中心が排気入口よりも外側方へオフセットしていれば良い。
【０００７】
又、膨出部はウォーターロックの前部に形成されているため、ポンプ室と干渉することなく、膨出部に大きな容積を確保することができる。
【０００８】
尚、逆に小型滑走艇が排気ホースの下流端を上にして横転した場合は、排気ホースの下流端が水面よりも上方に開口することになるため、エンジンへの水の侵入が防がれる。
【０００９】
請求項２記載の発明によれば、ウォーターロックを平面視で前部に行くほどインペラ軸に近づくようにインペラ軸に対して斜めに傾けて配置するとともに、排気管をウォーターロック内に差し込んでウォーターロックの後部で開口させたため、小型滑走艇が排気ホースの下流端を下にして横転した場合、排気管の排気出口はウォーターロックの膨出部の底部に溜った水の水面から上方に大きく離れることになり、排気管を通ってエンジンに水が侵入するのが確実に防がれる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【００１１】
図１は本発明に係る排気装置を備える小型滑走艇の一部を破断した平面図、図２は同排気装置のウォーターロックの配置構造を示す平面図、図３はウォーターロックの斜視図である。
【００１２】
図１に示す小型滑走艇１の艇体２の前後方向略中央のエンジン室内には駆動源である４サイクルエンジン３が搭載されており、艇体２の後部の幅方向中央にはインペラ軸１０を介してエンジン３によって駆動されるジェット推進機４が配置されている。ここで、ジェット推進機４はエンジン３によって駆動される前記インペラ軸１０に取り付けられた不図示のインペラによって所要の推力を発生するものであって、これは艇体２の一部を凹入させて形成したポンプ室１１にその一部が収容されている。そして、このジェット推進機４にはステアリングハンドル５による操舵操作によってその方向が左右に変化する操向ノズル６が揺動自在に取り付けられている。尚、図１に示すように、前記インペラ軸１０は艇体中心線上に配置されている。
【００１３】
ところで、図１に示すように、前記エンジン３の排気系から斜め後方に向かって導出する排気管７は、インペラ軸中心（艇体中心）に対して左側（左舷側）に配置されたウォーターロック８内に前方から差し込まれ、その末端部は排気出口７ａとしてウォーターロック８内の後部に開口している。
【００１４】
ここで、上記ウォーターロック８は大小異径に成形されており、図２及び図３に詳細に示すように、その前半部はインペラ軸中心（艇体中心）側に膨出して膨出部８ａを形成している。そして、このウォーターロック８の膨出部８ａの上部には排気ホース９の排気入口８ｂが開口しており、この排気入口８ｂには可撓性の前記排気ホース９が接続されている。この排気ホース９はウォーターロック８から上方に向かって導出し、図１に示すようにインペラ軸中心を越えて他側（右舷側）まで延びた後に後方へ曲げられて下降し、その下流端はエンジン室の前記ジェット推進機４のポンプ室１１の側壁から水中に開口している。
【００１５】
又、図２に詳細に示すように、ウォーターロック８は、これに差し込まれた前記排気管７の中心線が艇体中心線に対して所定角度αを成すように平面視で前部に行くほどインペラ軸１０に近づくように斜めに傾けて配置されているため、排気管７のウォーターロック８内に開口する排気出口７ａはウォーターロック８の排気入口８ｂよりも外側方へオフセットされている。
【００１６】
而して、以上の構成を有する小型滑走艇１において、エンジン３によってジェット推進機４が駆動されると、該ジェット推進機４において発生する推力によって当該小型滑走艇１が水上を滑走するが、エンジン３から排出される排気ガスは排気管７を通ってウォーターロック８に導入され、ウォーターロック８において膨張した後に排気ホース９を通って水中に排出される。
【００１７】
ところで、前記排気管７とウォーターロック８及び排気ホース９を含んで本発明に係る排気装置が構成されるが、本発明に係る排気装置においては、前述のようにウォーターロック８の前部をインペラ軸１０側に膨出せしめ、その膨出部８ａに、下流端がエンジン室外の水中に開口する排気ホース９の排気入口８ｂを開口せしめるとともに、エンジン３から延びる排気管７のウォーターロック８内への排気出口７ａを前記排気入口８ｂよりも外側方へオフセットさせたため、図４に示すように小型滑走艇１が排気ホース９の下流端を下にして横転した場合であっても、ウォーターロック８内の水は膨出部８ａに溜り、排気管７の排気出口７ａは水面上に露出し易く、従って、エンジン３への水の侵入が阻止されて該エンジン３が保護される。尚、右転覆時のウォーターロック８内における最大保水面を図５に示す。
【００１８】
そして、小型滑走艇１を復元させた場合、ウォーターロック８の膨出部８ａの底部に溜った水は、そこに開口する排気ホース９を通ってエンジン室外に排出される。
【００１９】
又、膨出部８ａはウォーターロック８の前部に形成されているため、ポンプ室１１と干渉することなく、膨出部８ａに大きな容積を確保することができる。
【００２０】
尚、逆に小型滑走艇１が図６に示すように排気ホース９の下流端を上にして横転した場合は、排気ホース９の下流端が水面よりも上方に開口することになるため、エンジン３への水の侵入は発生しない。
【００２１】
更に、本発明に係る排気装置よれば、ウォーターロック８を平面視で前部に行くほどインペラ軸１０に近づくようにインペラ軸１０に対して斜めに傾けて配置するとともに、排気管７をウォーターロック８内に差し込んでウォーターロック８の後部で開口させたため、図４に示すように小型滑走艇１が排気ホース９の下流端を下にして横転した場合、排気管７の排気出口７ａはウォーターロック８の膨出部８ａの底部に溜った水の水面から上方に大きく離れることになり、排気管７を通ってエンジン３に水が侵入するのが確実に防がれる。
【００２２】
従って、本発明に係る排気装置によれば、小型滑走艇１が左右の何れに横転しても、エンジン３への水の侵入を確実に阻止して該エンジン３を保護することができるという効果が得られる。
【００２３】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、エンジン室内に配置されたエンジンと、インペラ軸を介して前記エンジンによって駆動されるジェット推進機を有し、艇体の一部を凹入させて形成したポンプ室に前記ジェット推進機の一部を収容し、前記エンジンから導出する排気管をインペラ軸中心に対して左右何れかに配されるとともに少なくともその後部が前記ポンプ室の側方に配されたウォーターロックに接続し、該ウォーターロックから導出する排気ホースをインペラ軸中心を越えて前記ウォーターロックの反対側まで延設して前記エンジン室外に開口せしめて成る小型滑走艇の排気装置において、前記ウォーターロックの前部をインペラ軸側に膨出せしめ、その膨出部に前記排気ホースの排気入口を開口せしめるとともに、前記排気管のウォーターロック内への排気出口を前記排気入口よりも外側方へオフセットさせたため、小型滑走艇の左右何れの横転時においてもエンジンへの水の侵入を阻止して該エンジンを保護することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る排気装置を備える小型滑走艇の一部を破断した平面図である。
【図２】本発明に係る排気装置のウォーターロックの配置構造を示す平面図である。
【図３】本発明に係る排気装置のウォーターロックの斜視図である。
【図４】小型滑走艇の右転覆時の状態を示す側面図である。
【図５】小型滑走艇の右転覆時のウォーターロック内の最大保水面を示す側面図である。
【図６】小型滑走艇の左転覆時の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
１ 小型滑走艇
２ 艇体
３ エンジン
７ 排気管
７ａ 排気管の排気出口
８ ウォーターロック
８ａ 膨出部
８ｂ ウォーターロックの排気入口
９ 排気ホース
１０ インペラ軸
１１ ポンプ室
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンによって駆動されるジェット推進機において発生する推力によって水上を滑走する小型滑走艇の排気装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
斯かる小型滑走艇の排気装置としては、エンジン室内に配置されたエンジンと、インペラ軸を介して前記エンジンによって駆動されるジェット推進機を有し、艇体の一部を凹入させて形成したポンプ室に前記ジェット推進機の一部を収容し、前記エンジンから導出する排気管をインペラ軸中心に対して左右何れかに配されるとともに少なくともその後部が前記ポンプ室の側方に配されたウォーターロックに接続し、該ウォーターロックから導出する排気ホースをインペラ軸中心を越えて前記ウォーターロックの反対側まで延設して前記エンジン室外に開口せしめて成るものが知られている。ここで、ウォーターロックはその内部が複数の小室に区画されている必要は必ずしもなく、要するに、その前後の排気管よりも容積が大きな容積室を構成するものであれば良い。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
而して、小型滑走艇の排気装置には、小型滑走艇の左右何れの横転時においても水、特にウォーターロック内に溜った水が当該排気装置を経てエンジンに侵入することがない構造、つまり、エンジンへの水の侵入を阻止して該エンジンを保護することができる構造が望ましい。
【０００４】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、小型滑走艇の左右何れの横転時においてもエンジンへの水の侵入を阻止して該エンジンを保護することができる小型滑走艇の排気装置を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項１記載の発明は、エンジン室内に配置されたエンジンと、インペラ軸を介して前記エンジンによって駆動されるジェット推進機を有し、艇体の一部を凹入させて形成したポンプ室に前記ジェット推進機の一部を収容し、前記エンジンから導出する排気管をインペラ軸中心に対して左右何れかに配されるとともに少なくともその後部が前記ポンプ室の側方に配されたウォーターロックに接続し、該ウォーターロックから導出する排気ホースをインペラ軸中心を越えて前記ウォーターロックの反対側まで延設して前記エンジン室外に開口せしめて成る小型滑走艇の排気装置において、前記ウォーターロックの前部をインペラ軸側に膨出せしめ、その膨出部に前記排気ホースの排気入口を開口せしめるとともに、前記排気管のウォーターロック内への排気出口を前記排気入口よりも外側方へオフセットさせたことを特徴とする。
請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明において、前記ウォーターロックを平面視で前部に行くほどインペラ軸に近づくようにインペラ軸に対して斜めに傾けて配置するとともに、前記排気管を前記ウォーターロック内に差し込んでウォーターロックの後部で開口させたことを特徴とする。
【０００６】
従って、請求項１記載の発明によれば、ウォーターロックの前部をインペラ軸側に膨出せしめ、その膨出部に、下流端がエンジン室外に開口する排気ホースの排気入口を開口せしめるとともに、エンジンから延びる排気管のウォーターロック内への排気出口を前記排気入口よりも外側方へオフセットさせたため、小型滑走艇が排気ホースの下流端を下にして横転した場合であっても、ウォーターロック内の水は膨出部に溜り、排気管の排気出口は水面上に露出し易く、従って、エンジンへの水の侵入が阻止されて該エンジンが保護される。そして、小型滑走艇を復元させた場合、ウォーターロックの膨出部の底部に溜った水は、そこに開口する排気ホースを通ってエンジン室外に排出される。尚、排気管のウォーターロック内への排気出口を排気入口よりも外側方へオフセットさせる場合、排気出口全体が排気入口全体よりも外側方へオフセットしている必要はなく、平面視において排気出口の中心が排気入口よりも外側方へオフセットしていれば良い。
【０００７】
又、膨出部はウォーターロックの前部に形成されているため、ポンプ室と干渉することなく、膨出部に大きな容積を確保することができる。
【０００８】
尚、逆に小型滑走艇が排気ホースの下流端を上にして横転した場合は、排気ホースの下流端が水面よりも上方に開口することになるため、エンジンへの水の侵入が防がれる。
【０００９】
請求項２記載の発明によれば、ウォーターロックを平面視で前部に行くほどインペラ軸に近づくようにインペラ軸に対して斜めに傾けて配置するとともに、排気管をウォーターロック内に差し込んでウォーターロックの後部で開口させたため、小型滑走艇が排気ホースの下流端を下にして横転した場合、排気管の排気出口はウォーターロックの膨出部の底部に溜った水の水面から上方に大きく離れることになり、排気管を通ってエンジンに水が侵入するのが確実に防がれる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【００１１】
図１は本発明に係る排気装置を備える小型滑走艇の一部を破断した平面図、図２は同排気装置のウォーターロックの配置構造を示す平面図、図３はウォーターロックの斜視図である。
【００１２】
図１に示す小型滑走艇１の艇体２の前後方向略中央のエンジン室内には駆動源である４サイクルエンジン３が搭載されており、艇体２の後部の幅方向中央にはインペラ軸１０を介してエンジン３によって駆動されるジェット推進機４が配置されている。ここで、ジェット推進機４はエンジン３によって駆動される前記インペラ軸１０に取り付けられた不図示のインペラによって所要の推力を発生するものであって、これは艇体２の一部を凹入させて形成したポンプ室１１にその一部が収容されている。そして、このジェット推進機４にはステアリングハンドル５による操舵操作によってその方向が左右に変化する操向ノズル６が揺動自在に取り付けられている。尚、図１に示すように、前記インペラ軸１０は艇体中心線上に配置されている。
【００１３】
ところで、図１に示すように、前記エンジン３の排気系から斜め後方に向かって導出する排気管７は、インペラ軸中心（艇体中心）に対して左側（左舷側）に配置されたウォーターロック８内に前方から差し込まれ、その末端部は排気出口７ａとしてウォーターロック８内の後部に開口している。
【００１４】
ここで、上記ウォーターロック８は大小異径に成形されており、図２及び図３に詳細に示すように、その前半部はインペラ軸中心（艇体中心）側に膨出して膨出部８ａを形成している。そして、このウォーターロック８の膨出部８ａの上部には排気ホース９の排気入口８ｂが開口しており、この排気入口８ｂには可撓性の前記排気ホース９が接続されている。この排気ホース９はウォーターロック８から上方に向かって導出し、図１に示すようにインペラ軸中心を越えて他側（右舷側）まで延びた後に後方へ曲げられて下降し、その下流端はエンジン室の前記ジェット推進機４のポンプ室１１の側壁から水中に開口している。
【００１５】
又、図２に詳細に示すように、ウォーターロック８は、これに差し込まれた前記排気管７の中心線が艇体中心線に対して所定角度αを成すように平面視で前部に行くほどインペラ軸１０に近づくように斜めに傾けて配置されているため、排気管７のウォーターロック８内に開口する排気出口７ａはウォーターロック８の排気入口８ｂよりも外側方へオフセットされている。
【００１６】
而して、以上の構成を有する小型滑走艇１において、エンジン３によってジェット推進機４が駆動されると、該ジェット推進機４において発生する推力によって当該小型滑走艇１が水上を滑走するが、エンジン３から排出される排気ガスは排気管７を通ってウォーターロック８に導入され、ウォーターロック８において膨張した後に排気ホース９を通って水中に排出される。
【００１７】
ところで、前記排気管７とウォーターロック８及び排気ホース９を含んで本発明に係る排気装置が構成されるが、本発明に係る排気装置においては、前述のようにウォーターロック８の前部をインペラ軸１０側に膨出せしめ、その膨出部８ａに、下流端がエンジン室外の水中に開口する排気ホース９の排気入口８ｂを開口せしめるとともに、エンジン３から延びる排気管７のウォーターロック８内への排気出口７ａを前記排気入口８ｂよりも外側方へオフセットさせたため、図４に示すように小型滑走艇１が排気ホース９の下流端を下にして横転した場合であっても、ウォーターロック８内の水は膨出部８ａに溜り、排気管７の排気出口７ａは水面上に露出し易く、従って、エンジン３への水の侵入が阻止されて該エンジン３が保護される。尚、右転覆時のウォーターロック８内における最大保水面を図５に示す。
【００１８】
そして、小型滑走艇１を復元させた場合、ウォーターロック８の膨出部８ａの底部に溜った水は、そこに開口する排気ホース９を通ってエンジン室外に排出される。
【００１９】
又、膨出部８ａはウォーターロック８の前部に形成されているため、ポンプ室１１と干渉することなく、膨出部８ａに大きな容積を確保することができる。
【００２０】
尚、逆に小型滑走艇１が図６に示すように排気ホース９の下流端を上にして横転した場合は、排気ホース９の下流端が水面よりも上方に開口することになるため、エンジン３への水の侵入は発生しない。
【００２１】
更に、本発明に係る排気装置よれば、ウォーターロック８を平面視で前部に行くほどインペラ軸１０に近づくようにインペラ軸１０に対して斜めに傾けて配置するとともに、排気管７をウォーターロック８内に差し込んでウォーターロック８の後部で開口させたため、図４に示すように小型滑走艇１が排気ホース９の下流端を下にして横転した場合、排気管７の排気出口７ａはウォーターロック８の膨出部８ａの底部に溜った水の水面から上方に大きく離れることになり、排気管７を通ってエンジン３に水が侵入するのが確実に防がれる。
【００２２】
従って、本発明に係る排気装置によれば、小型滑走艇１が左右の何れに横転しても、エンジン３への水の侵入を確実に阻止して該エンジン３を保護することができるという効果が得られる。
【００２３】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、エンジン室内に配置されたエンジンと、インペラ軸を介して前記エンジンによって駆動されるジェット推進機を有し、艇体の一部を凹入させて形成したポンプ室に前記ジェット推進機の一部を収容し、前記エンジンから導出する排気管をインペラ軸中心に対して左右何れかに配されるとともに少なくともその後部が前記ポンプ室の側方に配されたウォーターロックに接続し、該ウォーターロックから導出する排気ホースをインペラ軸中心を越えて前記ウォーターロックの反対側まで延設して前記エンジン室外に開口せしめて成る小型滑走艇の排気装置において、前記ウォーターロックの前部をインペラ軸側に膨出せしめ、その膨出部に前記排気ホースの排気入口を開口せしめるとともに、前記排気管のウォーターロック内への排気出口を前記排気入口よりも外側方へオフセットさせたため、小型滑走艇の左右何れの横転時においてもエンジンへの水の侵入を阻止して該エンジンを保護することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る排気装置を備える小型滑走艇の一部を破断した平面図である。
【図２】本発明に係る排気装置のウォーターロックの配置構造を示す平面図である。
【図３】本発明に係る排気装置のウォーターロックの斜視図である。
【図４】小型滑走艇の右転覆時の状態を示す側面図である。
【図５】小型滑走艇の右転覆時のウォーターロック内の最大保水面を示す側面図である。
【図６】小型滑走艇の左転覆時の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
１ 小型滑走艇
２ 艇体
３ エンジン
７ 排気管
７ａ 排気管の排気出口
８ ウォーターロック
８ａ 膨出部
８ｂ ウォーターロックの排気入口
９ 排気ホース
１０ インペラ軸
１１ ポンプ室
Claims (2)
- エンジン室内に配置されたエンジンと、インペラ軸を介して前記エンジンによって駆動されるジェット推進機を有し、艇体の一部を凹入させて形成したポンプ室に前記ジェット推進機の一部を収容し、前記エンジンから導出する排気管をインペラ軸中心に対して左右何れかに配されるとともに少なくともその後部が前記ポンプ室の側方に配されたウォーターロックに接続し、該ウォーターロックから導出する排気ホースをインペラ軸中心を越えて前記ウォーターロックの反対側まで延設して前記エンジン室外に開口せしめて成る小型滑走艇の排気装置において、
前記ウォーターロックの前部をインペラ軸側に膨出せしめ、その膨出部に前記排気ホースの排気入口を開口せしめるとともに、前記排気管のウォーターロック内への排気出口を前記排気入口よりも外側方へオフセットさせたことを特徴とする小型滑走艇の排気装置。 - 前記ウォーターロックを平面視で前部に行くほどインペラ軸に近づくようにインペラ軸に対して斜めに傾けて配置するとともに、前記排気管を前記ウォーターロック内に差し込んでウォーターロックの後部で開口させたことを特徴とする請求項１記載の小型滑走艇の排気装置。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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