JP4274883B2 - 電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、陽極が陽極酸化されて表面に誘電体層が形成されてなる電解コンデンサに係り、特に、チタン又はチタン合金からなる陽極を陽極酸化させて表面に誘電体層を形成する場合において、陽極酸化が容易に行えるようにした点に特徴を有するものである。
近年、電子機器の小型化に伴って、小型で大容量のコンデンサの開発が要望され、このようなコンデンサとして、陽極を陽極酸化させて表面に誘電体層を形成するようにした電解コンデンサが開発されている。
ここで、このような電解コンデンサにおいては、その陽極として、タンタルやニオブを用いたものが知られているが、タンタルやニオブは高価で、コストが高く付くという問題があり、またタンタルやニオブを用いた陽極を陽極酸化させて得られる誘電体層の誘電率は必ずしも高いとはいえず、小型で大容量のコンデンサを得るのには限界があった。
このため、近年においては、陽極にチタンを用い、この陽極を陽極酸化させて酸化チタンからなる誘電体層を形成した電解コンデンサが提案されている(例えば、特許文献1。)。
ここで、このようにチタンを用いた陽極を陽極酸化させて得られる酸化チタンの誘電体層は、タンタルやニオブを用いた陽極を陽極酸化させて得られる誘電体層に比べて、誘電率が非常に高く、さらに小型で大容量のコンデンサを得られるようになる。
しかし、上記のようにチタンを用いた陽極を陽極酸化させる場合、陽極酸化時に酸化チタンの結晶化が進んで絶縁性が低下し、陽極酸化がうまく行われなくなって、陽極酸化して酸化チタンの誘電体層を設けるのに非常に長い時間が必要になるという問題があった。
特開平5−121275号公報
この発明は、陽極を陽極酸化させて、陽極の表面に誘電体層を形成させるようにした電解コンデンサにおける上記のような問題を解決することを課題とするものであり、特にチタン又はチタン合金を用いた陽極を陽極酸化させて、この陽極の表面に誘電率の高い誘電体層を形成するようにした電解コンデンサにおいて、陽極酸化時に誘電体層が結晶化して絶縁性が低下するのを抑制し、陽極酸化が短時間で簡単に行えて、高容量の電解コンデンサが容易に得られるようにすることを課題とするものである。
この発明における電解コンデンサにおいては、上記のような課題を解決するため、窒素がドープされたチタン又はチタン合金からなる陽極を陽極酸化させて、この陽極の表面に誘電体層を形成するようにしたのである。
また、この発明において、上記のような電解コンデンサを製造するにあたっては、チタン又はチタン合金からなる陽極に窒素をドープさせた後、この陽極を陽極酸化させて、陽極の表面に誘電体層を形成させるようにする。
そして、上記のようにチタン又はチタン合金からなる陽極に窒素をドープさせた後、この陽極を陽極酸化させるようにすると、ドープされた窒素によって陽極酸化時に誘電体層が結晶化するのが抑制されて、絶縁性が低下するのが防止され、陽極酸化が速やかに進んで、短時間で誘電率が大きな誘電体層が形成されるようになり、小型で大容量のコンデンサが簡単に得られるようになる。
ここで、陽極に用いる上記のチタン合金の種類については、特に限定されないが、チタンに対してタングステン、バナジウム、亜鉛、アルミニウム、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム及びニオブから選択される少なくとも1種の添加金属を添加させて合金化させたチタン合金を使用すると、陽極酸化時に誘電体層が結晶化するのがより一層抑制されて、さらに短い時間で誘電体層が形成されるようになる。
なお、上記のようなチタン合金において、チタンに添加させる上記のような添加金属の量が多くなり過ぎると、陽極酸化時に誘電体層が結晶化するのを十分に抑制することができなくなるため、チタン合金中における上記の添加金属の含有量を5重量%以下にすることが好ましく、特に、上記の添加金属の含有量を0.05〜2.5重量%の範囲にすると、陽極酸化時に誘電体層が結晶化するのが適切に抑制されて、誘電体層がさらに短時間で簡単に形成されるようになる。
また、上記のようにチタン又はチタン合金からなる陽極に窒素をドープさせるにあたり、ドープさせる窒素の量が少なくなりすぎても、多くなりすぎても、陽極酸化時に誘電体層が結晶化するのを十分に抑制することができなくなるため、チタン又はチタン合金と窒素の総量に対して、窒素を0.01〜5重量%の範囲でドープさせることが好ましく、より好ましくは0.02〜1重量%の範囲でドープさせるようにする。
また、陽極酸化時に用いる水溶液に、フッ素イオンを含む水溶液を使用すると、誘電体層が結晶化するのがさらに抑制されて、誘電体層がさらに短時間で簡単に形成されるようになる。なお、この場合、誘電体層中にフッ素がドープされるようになる。ここで、上記のフッ素イオンを含む水溶液としては、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム及びフッ酸から選択される1種の水溶液を用いることが好ましい。
また、電解コンデンサを製造するにあたり、上記のようにチタン又はチタン合金からなる陽極に窒素をドープさせるにあたっては、チタン又はチタン合金からなる陽極を窒素ガス雰囲気中で熱処理することにより、窒素をドープさせることができる。
ここで、上記のようにチタン又はチタン合金からなる陽極を窒素ガス雰囲気中で熱処理するにあたり、熱処理する温度が300℃未満であると、陽極に窒素を十分にドープさせることができなくなる一方、熱処理する温度が1500℃を越えると、陽極に窒素が過剰にドープされるようになり、何れの場合においても、陽極酸化時に誘電体層が結晶化するのを十分に抑制することができなくなる。このため、チタン又はチタン合金からなる陽極に窒素をドープさせるにあたっては、熱処理する温度を300〜1500℃の範囲にすることが好ましく、より好ましくは500〜900℃の範囲にする。
以上詳述したように、この発明における電解コンデンサにおいては、窒素がドープされたチタン又はチタン合金からなる陽極を陽極酸化させて、この陽極の表面に誘電体層を形成するようにしたため、ドープされた窒素によって陽極酸化時に誘電体層が結晶化するのが抑制され、絶縁性が低下するのが防止されて、陽極酸化が速やかに進み、短時間で誘電率が大きな誘電体層が形成されるようになり、小型で大容量のコンデンサが簡単に得られるようになった。
以下、この発明の実施例について具体的に説明すると共に、比較例を挙げ、この発明の実施例における電解コンデンサにおいては、チタン又はチタン合金からなる陽極を陽極酸化させて、陽極の表面に誘電体層を形成させる場合に、誘電体層が結晶化するのが抑制されて、陽極酸化が速やかに進み、誘電体層が短時間で形成されるようになることを明らかにする。なお、この発明の電解コンデンサは下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
(実施例1)
実施例1においては、チタン(Ti)粉末100gを真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断してチタン箔からなる陽極を作製した。
次いで、このチタン箔からなる陽極を、窒素ガス雰囲気中において700℃で5時間熱処理して、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極にドープされた窒素量をJIS G 1228に基づくアンモニア蒸留分離アミド硫酸滴定法によって定量分析した結果、陽極にドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例2)
実施例2においては、チタン粉末99gに対して、添加金属としてタングステン(W)粉末を1g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中にタングステンが拡散されて合金化されたチタン−タングステン合金(Ti−W)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例3)
実施例3においては、チタン粉末99gに対して、添加金属としてバナジウム(V)粉末を1g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中にバナジウムが拡散されて合金化されたチタン−バナジウム合金(Ti−V)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例4)
実施例4においては、チタン粉末99gに対して、添加金属として亜鉛(Zn)粉末を1g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中に亜鉛が拡散されて合金化されたチタン−亜鉛合金(Ti−Zn)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例5)
実施例5においては、チタン粉末99gに対して、添加金属としてアルミニウム(Al)粉末を1g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中にアルミニウムが拡散されて合金化されたチタン−アルミニウム合金(Ti−Al)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例6)
実施例6においては、チタン粉末99gに対して、添加金属としてモリブデン(Mo)粉末を1g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中にモリブデンが拡散されて合金化されたチタン−モリブデン合金(Ti−Mo)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例7)
実施例7においては、チタン粉末99gに対して、添加金属としてハフニウム(Hf)粉末を1g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中にハフニウムが拡散されて合金化されたチタン−ハフニウム合金(Ti−Hf)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例8)
実施例8においては、チタン粉末99gに対して、添加金属としてジルコニウム(Zr)粉末を1g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中にジルコニウムが拡散されて合金化されたチタン−ジルコニウム合金(Ti−Zr)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例9)
実施例9においては、チタン粉末99gに対して、添加金属としてニオブ(Nb)粉末を1g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中にニオブが拡散されて合金化されたチタン−ニオブ合金(Ti−Nb)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(実施例10)
実施例10においては、チタン粉末99gに対して、添加金属として亜鉛粉末を0.5g、アルミニウム粉末を0.5g加え、これらを回転揺動式混合装置により20分間混合させた後、この混合粉末を真空中において1500℃で厚さ100μmになるまで加圧し、これを1cm×5cmの大きさに切断して、チタン中に亜鉛とアルミニウムとが拡散されて合金化されたチタン−亜鉛−アルミニウム合金(Ti−Zn−Al)箔からなる陽極を作製した。
その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、この陽極中に窒素をドープさせた。なお、この陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
(比較例1)
比較例1においては、上記の実施例1の場合と同様にしてチタン箔からなる陽極を作製する一方、この陽極に窒素をドープさせないようにした。
次に、上記のようにして作製した実施例1〜10及び比較例1の各陽極を陽極酸化させて誘電体層を形成するようにし、陽極酸化に要する時間を比較した。
ここで、上記の各陽極を陽極酸化させるにあたっては、図1に示すように、ステンレス製の容器1内に収容された0.6体積%の燐酸水溶液2を60℃に保持させて、この燐酸水溶液2中に陽極10を浸漬させ、電源3から25Vの定電圧を印加させて陽極10を陽極酸化させるようにした。
そして、このように各陽極10を陽極酸化させながら、それぞれ漏れ電流を電流計4によって測定し、各陽極10が陽極酸化されて漏れ電流が500μAになる迄の時間を測定した。
そして、上記の実施例1の陽極が陽極酸化されて漏れ電流が500μAになる迄の時間を100とした指数として、各陽極における陽極酸化時間を求め、その結果を下記の表1に示した。なお、実施例1の陽極が陽極酸化されて漏れ電流が500μAになる迄の時間は約2分間であった。
Figure 0004274883
この結果から明らかなように、チタンやチタン合金からなる陽極に窒素をドープさせた実施例1〜10の各陽極は、窒素をドープさせていない比較例1の陽極に比べて、陽極酸化に要する時間が非常に短くなっていた。
また、実施例1〜10の陽極を比較した場合、チタンに対してタングステン、バナジウム、亜鉛、アルミニウム、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブからなる添加金属を添加させて合金化させたチタン合金を用いた実施例2〜10の陽極の方が、チタンを用いた実施例1の陽極に比べて、陽極酸化に要する時間が短くなっており、特に、チタンに対してバナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ニオブからなる添加金属を添加させて合金化させたチタン合金を用いた実施例3,5,7,9の陽極においては、陽極酸化に要する時間がさらに短くなっていた。
(実施例5.1〜5.6)
実施例5.1〜5.6においては、上記の実施例5の場合と同様に、チタン粉末に対して、添加金属としてアルミニウム粉末を加えるようにした。
そして、実施例5.1〜5.6のものにおいては、上記の実施例5のものと、チタン粉末とアルミニウム粉末とを混合させる重量割合だけを変更し、それ以外は、上記の実施例5の場合と同様にして各陽極を作製した。
ここで、チタン粉末とアルミニウム粉末とを混合させるにあたり、実施例5.1においては99.95:0.05、実施例5.2においては99.9:0.1、実施例5.3においては99.5:0.5、実施例5.4においては97.5:2.5、実施例5.5においては95:5、実施例5.6においては92.5:7.5の重量比にし、陽極中におけるアルミニウム(Al)の含有量を下記の表2に示すようにした。
そして、このようにして作製した実施例5.1〜5.6の各陽極についても、上記の実施例5の陽極の場合と同様にして陽極酸化させ、各陽極が陽極酸化されて漏れ電流が500μAになる迄の時間を測定し、上記の実施例5の陽極が陽極酸化される迄の時間を100とした指数で、実施例5.1〜5.6の各陽極における陽極酸化時間を求め、その結果を表2に示した。なお、この実施例5.1〜5.6の各陽極においても、ドープされた窒素量は0.1重量%になっていた。
Figure 0004274883
この結果から明らかなように、チタン−アルミニウム合金からなる陽極中におけるアルミニウムの含有量が5重量%以下になった実施例5及び実施例5.1〜5.5の各陽極は、陽極中におけるアルミニウムの含有量が5重量%を越える7.5重量%になった実施例5.6の陽極に比べて、陽極酸化に要する時間が大きく短縮されており、特に、陽極中におけるアルミニウムの含有量が0.1〜2.5重量%の範囲になった実施例5及び実施例5.1〜5.3の各陽極においては、陽極酸化に要する時間がさらに短くなっていた。
なお、上記の実施例においては、チタンにアルミニウムを添加させて合金化させたチタン−アルミニウム合金を用いた陽極について示しただけであるが、チタンにアルミニウム以外のタングステン、バナジウム、亜鉛、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブから選択される添加金属を添加させて合金化させたチタン合金を用いた場合においても、同様の結果が得られる。
(実施例1.1〜1.9)
実施例1.1〜1.9においては、上記の実施例1の場合と同様にして作製したチタン箔からなる陽極を用い、この陽極を窒素ガス雰囲気中で熱処理して窒素をドープさせるにあたり、窒素ガス雰囲気中で熱処理する温度を変更させて、各陽極にドープさせる窒素量を変更させ、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして各陽極を作製した。
ここで、チタン箔からなる陽極を窒素ガス雰囲気中で熱処理する温度については、下記の表3に示すように、実施例1.1では200℃、実施例1.2では300℃、実施例1.3では500℃、実施例1.4では900℃、実施例1.5では950℃、実施例1.6では1000℃、実施例1.7では1250℃、実施例1.8では1500℃、実施例1.9では1600℃にした。
そして、上記の各陽極にドープされた窒素量を、上記の実施例1の場合と同様に、JIS G 1228に基づくアンモニア蒸留分離アミド硫酸滴定法によって定量分析した結果、下記の表3に示すように、実施例1.1の陽極では0.005重量%、実施例1.2の陽極では0.01重量%、実施例1.3の陽極では0.02重量%、実施例1.4の陽極では1重量%、実施例1.5の陽極では1.5重量%、実施例1.6の陽極では3重量%、実施例1.7の陽極では4重量%、実施例1.8の陽極では5重量%、実施例1.9の陽極では6重量%になっていた。
また、このようにして作製した実施例1.1〜1.9の各陽極についても、上記の実施例1の陽極の場合と同様にして陽極酸化させ、各陽極が陽極酸化されて漏れ電流が500μAになる迄の時間を測定し、上記の実施例1の陽極が陽極酸化されて漏れ電流が500μAになる迄の時間を100とした指数で、実施例1.1〜1.9の各陽極における陽極酸化時間を求め、その結果を下記の表3に示した。
Figure 0004274883
この結果から明らかなように、チタン箔からなる陽極を窒素ガス雰囲気中において熱処理する温度を300〜1500℃の範囲にして、陽極にドープさせる窒素の量を0.01〜5重量%の範囲にした実施例1及び実施例1.2〜1.8の各陽極は、熱処理する温度が300℃未満の200℃で、陽極にドープされた窒素の量が0.01重量%未満の0.005重量%になった実施例1.1の陽極や、熱処理する温度が1500℃を越える1600℃で、陽極にドープされた窒素の量が5重量%を越える6重量%になった実施例1.9の陽極に比べて、陽極酸化に要する時間が大きく短縮されており、特に、熱処理する温度を500〜900℃の範囲にした実施例1、実施例1.3及び実施例1.4の各陽極においては、陽極酸化に要する時間がさらに短くなっていた。
(実施例1.10〜1.13)
実施例1.10〜1.13においては、上記の実施例1の場合と同様にして、チタン箔からなる陽極を窒素ガス雰囲気中で熱処理して、窒素を1重量%ドープさせた陽極を用いるようにした。
そして、実施例1.10〜1.13においては、上記の陽極を陽極酸化させるにあたり、60℃に保持した0.6体積%の燐酸水溶液に代えて、実施例1.10では60℃に保持した0.5重量%のフッ化アンモニウム水溶液を、実施例1.11では60℃に保持した0.5重量%のフッ化カリウム水溶液を、実施例1.12では60℃に保持した0.5重量%のフッ化ナトリウム水溶液を、実施例1.13では60℃に保持した0.5重量%のフッ酸水溶液を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、上記の陽極を陽極酸化させた。
そして、このように各陽極10を陽極酸化させながら、それぞれ漏れ電流を電流計4によって測定し、各陽極10が陽極酸化されて漏れ電流が500μAになる迄の時間を測定した。
そして、上記の実施例1の陽極が陽極酸化されて漏れ電流が500μAになる迄の時間を100とした指数として、各陽極における陽極酸化時間を求め、その結果を下記の表4に示した。
また、上記のように陽極酸化されて形成された各誘電体層をX線光電子分光(ESCA)により分析した結果、上記の実施例1.10〜1.13の各誘電体層にフッ素がドープされていることが確認された。
Figure 0004274883
この結果から明らかなように、陽極酸化時にフッ素イオンを含む水溶液を用い、誘電体層にフッ素をドープさせるようにした実施例1.10〜1.13のものにおいては、上記の実施例1のものよりも更に陽極酸化に要する時間が短くなっていた。
なお、上記の各実施例においては、チタン箔からなる陽極を用いた場合について示しただけであるが、チタンにタングステン、バナジウム、亜鉛、アルミニウム、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブから選択される添加金属を添加させて合金化させたチタン合金を用いた場合においても、同様の結果が得られる。
この発明の実施例及び比較例において作製した陽極を陽極酸化させて、陽極の表面に誘電体層を形成する状態を示した概略説明図である。
符号の説明
10 陽極

Claims (9)

  1. 窒素がドープされたチタン又はチタン合金からなる陽極が陽極酸化されて、この陽極の表面に誘電体層が形成された電解コンデンサであって、前記誘電体層にはフッ素がドープされていることを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 請求項1に記載の電解コンデンサにおいて、上記のチタン合金は、チタンに対してタングステン、バナジウム、亜鉛、アルミニウム、モリブデン、ハフニウム、ジルコニウム及びニオブから選択される少なくとも1種の添加金属が添加されて合金化されたものであることを特徴とする電解コンデンサ。
  3. 請求項2に記載した電解コンデンサにおいて、上記のチタン合金中における添加金属の含有量が5重量%以下になっていることを特徴とする電解コンデンサ。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載した電解コンデンサにおいて、上記のチタン又はチタン合金中に窒素が0.01〜5重量%の範囲でドープされていることを特徴とする電解コンデンサ。
  5. 請求項4に記載した電解コンデンサにおいて、上記のチタン又はチタン合金中に窒素が0.02〜1重量%の範囲でドープされていることを特徴とする電解コンデンサ。
  6. チタン又はチタン合金からなる陽極に窒素をドープした後、この陽極を、フッ素イオンを含む水溶液中で陽極酸化させることにより、陽極の表面にフッ素がドープされた誘電体層を形成することを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  7. 請求項に記載した電解コンデンサの製造方法において、チタン又はチタン合金からなる陽極を窒素雰囲気中において300〜1500℃の範囲の温度で熱処理して、チタン又はチタン合金からなる陽極に窒素をドープさせることを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  8. 請求項に記載した電解コンデンサの製造方法において、上記のチタン又はチタン合金からなる陽極を窒素雰囲気中において熱処理する温度が500〜900℃の範囲であることを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  9. 請求項に記載した電解コンデンサの製造方法において、上記のフッ素イオンを含む水溶液が、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム及びフッ酸から選択される1種の水溶液であることを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
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