JP4271913B2 - エレベーターの主索引き止め装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、昇降体の滑車に巻掛けられて昇降体を吊持した主索の端部を昇降路の固定部に係止するエレベーターの主索引き止め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4及び図5は、従来のエレベーターの主索引き止め装置を示す図で、図4はエレベーターを概念的に示す縦断面図、図5は図4の主索引き止め箇所の拡大図である。図において、1はエレベーターの昇降路、2は昇降路1の上部に設けられた支持梁からなる固定部である。
【0003】
3は固定部2の長手の一側に設置された巻上機の駆動綱車からなる綱車、4は固定部2の長手の他側に設置された引き止め体で、引き止め板5が水平姿勢に配置されている。6は昇降路1の所定経路を昇降するエレベーターのかごからなる昇降体、7は昇降体6に設けられた吊り車からなる滑車である。
【0004】
8は昇降路1の他の所定経路を昇降するエレベーターのつり合おもり、9はエレベーターの主索で、引き止め体4の引き止め板5に挿通されて引き止め板5に係止された引き止め具10が一端に連結され、昇降体6の滑車7に巻掛けられ、次いで綱車3に巻掛けられて他端はつり合おもり8に連結されている。
【0005】
なお、引き止め具10は、主索9の端部がバビット詰めされたソケット、ソケットに連結されて引き止め板5に挿通されたねじ棒、ねじ棒の挿通端にねじ込まれたナット及び両端にそれぞればね受けが配置されてねじ棒に嵌合され引き止め板5とナットとの間に配置された圧縮コイルばねによって構成されている。
【0006】
従来のエレベーターの主索引き止め装置は上記のように構成され、巻上機が付勢されると綱車3が回転し、これにより主索9が駆動されて、昇降体6及びつり合おもり8が互いに反対方向に昇降する。また、綱車3の引き止め体4との対向部位における主索9の巻掛け位置及び引き止め体4の相互が、昇降体6の吊り車7の直径よりも広い間隔に設置されている。
【0007】
このため、主索9の張設線の鉛直線に対する角度が昇降体6の昇降位置に応じて図4に示すように変化する。すなわち、昇降体6が昇降路1の最下降位置に移動したときに張設線の鉛直線に対する角度がA°になり、また昇降体6が昇降路1の最上昇位置に移動したときに張設線の鉛直線に対する角度がA°よりも増大してB°になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のエレベーターの主索引き止め装置では、引き止め体4の引き止め板5が水平姿勢に配置されて、この引き止め板5に引き止め具10が挿通されて係止される。そして、引き止め具10を介して主索9の端部が引き止め体4、すなわち固定部2に連結される。
【0009】
このため、昇降体6の運転による昇降位置によって引き止め板5に対する主索9の張設角度の変化が大きくなる。したがって、主索9の端部、引き止め具10、大きい曲げ荷重が作用するので、主索9、引き止め具10の耐久性が低下し保守費が嵩むという問題点があった。
【0010】
なお、引き止め板5を引き止め体4に枢着して主索9の張設角度の変化に対応して引き止め板5が回動する構造が考えられる。しかし、このような回動引き止め板を設けた場合には、軸受を設ける必要があるので製作費が嵩み、また引き止め板の回動動作によって異音が発生する不具合がある。
【0011】
また、主索9の張設角度の変化に対して、引き止め板5に設けられる引き止め具10の挿通孔を大きくする。これによって、主索9の端部、引き止め具10に生じる曲げ変形を少なくする構成が考えられる。しかし、引き止め板5に設けられる引き止め具10の挿通孔を大きくすることによって、引き止め板5の強度低下が発生する。このため、引き止め体4、引き止め板5が大型化して製作費が増加する不具合がある。
【0012】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、主索の引き止め体位置において、昇降体の昇降位置に応じて発生する主索の張設角度の変化が少ないエレベーターの主索引き止め装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベーターの主索引き止め装置においては、昇降路を昇降する昇降体に枢着された滑車と、滑車に巻掛けられた主索と、昇降路上方で、水平投影面において滑車の綱溝における主索の巻掛け中心位置の直上位置から滑車の回転軸線に直交する方向に離れた位置に設けられ、主索の一端に連結された引き止め具と、挿通された引き止め具下方で、上面が昇降体の昇降路における昇降行程の中間位置に、昇降体が配置されたときの主索における張設線の鉛直線に対する傾斜角度に対して直交する角度になるように設けられ、引き止め具を係止した引き止め板と、引き止め板を下方から弾性支持し、昇降体の昇降位置の変化に伴って、変形量を変化させることにより、引き止め板上面が主索における張設線の鉛直線に対する傾斜角度と直交した状態を維持する弾性支持体とが設けられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1はエレベーターを概念的に示す縦断面図、図2は図1の主索引き止め箇所の拡大図である。図において、1はエレベーターの昇降路、2は昇降路1の上部に設けられた支持梁からなる固定部である。
【0016】
3は固定部2の長手の一側に設置された巻上機の駆動綱車からなる綱車、11は固定部2の長手の他側に設置された引き止め体で、引き止め板12が後述する傾斜姿勢に配置されている。6は昇降路1の所定経路を昇降するエレベーターのかごからなる昇降体、7は昇降体6に設けられた吊り車からなる滑車である。
【0017】
8は昇降路1の他の所定経路を昇降するエレベーターのつり合おもり、9はエレベーターの主索で、引き止め体11の引き止め板12に挿通されて引き止め板12に係止された引き止め具10が一端に連結され、昇降体6の滑車7に巻掛けられ、次いで綱車3に巻掛けられて他端はつり合おもり8に連結されている。
【0018】
なお、引き止め具10は、主索9の端部がバビット詰めされたソケット、ソケットに連結されて引き止め板12に挿通されたねじ棒、ねじ棒の挿通端にねじ込まれたナット及び両端にそれぞればね受けが配置されてねじ棒に嵌合され引き止め板12とナットとの間に配置された圧縮コイルばねにより構成されている。
【0019】
上記のように構成されたエレベーターの主索引き止め装置において、巻上機が付勢されると綱車3が回転し、これにより主索9が駆動されて、昇降体6及びつり合おもり8が互いに反対方向に昇降する。また、綱車3の引き止め体4との対向部位における主索9の巻掛け位置及び引き止め体4の相互が、昇降体6の吊り車7の直径よりも広い間隔に設置されている。
【0020】
このため、主索9の張設線の鉛直線に対する角度が昇降体6の昇降位置に応じて図1に示すように変化する。すなわち、昇降体6が昇降路1の最下降位置に移動したときに張設線の鉛直線に対する角度がA°になり、また昇降体6が昇降路1の最上昇位置に移動したときに張設線の鉛直線に対する角度がA°よりも増大してB°になる。
【0021】
このような昇降体6の昇降位置に応じた主索9の張設角度の変化に対し、引き止め体4の引き止め板5が鉛直線に対して、図1に示す角度Cに直交した傾斜姿勢に配置される。すなわち、角度C=角度A+(角度B−角度A)/2であって、角度Cは昇降体6の昇降路1における昇降行程の1/2の位置、すなわち昇降行程の中間位置に昇降体6が配置されたときの主索9の張設線における鉛直線に対する傾斜角度である。
【0022】
そして、引き止め体11の引き止め板12に引き止め具10が挿通されて係止される。これにより、引き止め具10を介して主索9の端部が引き止め体11、すなわち固定部2に連結される。このため、昇降体6の運転による昇降位置よって生じる引き止め板12に対する主索9の張設角度の変化が小さくなる。したがって、主索9の端部、引き止め具10に作用する曲げ荷重が減少して、主索9、引き止め具10の耐久性が増し保守費を低減することができる。
【0023】
なお、前述の主索9の張設角度の変化に対応して回動するように引き止め体4に引き止め板5を枢着する構造の場合のように、軸受を設けることによる製作費の増加、また引き止め板の回動動作によって異音が発生することがない。また、主索9の張設角度の変化に対して、引き止め板5に設けられる引き止め具10の挿通孔を大きくした構成の場合のように、引き止め板5の強度低下によって引き止め体4、引き止め板5が大型化して製作費が増加する不具合が生じない。
【0024】
実施の形態2.
図3は、この発明の他の実施の形態の一例を示す図で、前述の図2相当図である。なお、図3の他は前述の図1及び図2の実施の形態と同様にエレベーター及びエレベーターの主索引き止め装置が構成されている。図において、図1及び図2と同符号は相当部分を示し、13は脚部で、引き止め体11に設けられて滑車7の回転軸線に直交する方向に互いに離れて配置されている。14は脚部13の下端に設けられたフランジである。
【0025】
15は弾性支持体で、ゴム、圧縮コイルばね等からなり上面及び下面に取付板16が設けられて、引き止め体11に設けられた脚部13のフランジ14と固定部2との間に介装されている。17は上部締結具で、フランジ14及び取付板16に挿通されたボルト及びこのボルトの挿通端にねじ込まれたナットによって構成されている。18は下部締結具で、取付板16に挿通されて固定部2にねじ込まれたボルトによって構成されている。
【0026】
上記のように構成されたエレベーターの主索引き止め装置においても、昇降体6の昇降路1における昇降行程の中間位置に、昇降体6が配置されたときの主索9の鉛直線に対する傾斜角度に対して直交する角度に引き止め板12が設けられる。そして、この引き止め板12に引き止め具10が挿通されて係止される。したがって、詳細な説明を省略するが図3の実施の形態においても図1及び図2の実施の形態と同様な作用が得られる。
【0027】
また、図3の実施の形態において引き止め体11と固定部2の間に弾性支持体15が介装される。このため、昇降路1における昇降行程の中間位置に昇降体6が配置されたときの主索9の鉛直線に対する傾斜角度と、昇降体6が最下降位置又は最上昇位置に移動したときの主索9の張設線の鉛直線に対する角度との差異が、弾性支持体15の弾性変形によって吸収されて主索9の張設線に対して直交する姿勢に引き止め板12が配置される。
【0028】
したがって、昇降体6の昇降位置の変化に伴って引き止め板12に対する主索9の張設角度の変化が、弾性支持体15の弾性変形によって一層減少する。このため、主索9の端部、引き止め具10に作用する曲げ荷重が減少して、主索9、引き止め具10の耐久性を向上することができ、さらに保守費を低減することができる。
【0029】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、昇降路を昇降する昇降体に枢着された滑車と、滑車に巻掛けられた主索と、昇降路上方で、水平投影面において滑車の綱溝における主索の巻掛け中心位置の直上位置から滑車の回転軸線に直交する方向に離れた位置に設けられ、主索の一端に連結された引き止め具と、挿通された引き止め具下方で、上面が昇降体の昇降路における昇降行程の中間位置に、昇降体が配置されたときの主索の鉛直線に対する傾斜角度に対して直交する角度になるように設けられ、引き止め具を係止した引き止め板と、引き止め板を下方から弾性支持し、昇降体の昇降位置の変化に伴って、変形量を変化させることにより、引き止め板上面が主索における張設線の鉛直線に対する傾斜角度と直交した状態を維持する弾性支持体とを設けたものである。
【0030】
これによって、巻上機等の綱車の引き止め体との対向部位における主索の巻掛け位置及び引き止め体の相互が、昇降体の吊り車の直径よりも広い間隔に設置された構成において、引き止め体の引き止め板が昇降体の昇降路における昇降行程の中間位置に昇降体が配置されたときの主索の鉛直線に対する傾斜角度に対して直交する角度に配置される。したがって、昇降体の昇降位置の変化に伴う引き止め板に対する主索の張設角度の変化が減少する。このため、主索の端部、引き止め具に作用する曲げ荷重が減少して、主索、引き止め具の耐久性が向上し保守費を低減する効果がある。また、引き止め板下方には、弾性支持体が設けられるので、昇降体の昇降位置の変化に伴う引き止め板に対する主索の張設角度の変化が、弾性支持体の弾性変形によって一層減少する。したがって、主索の端部、引き止め具に作用する曲げ荷重が減少して、主索、引き止め具の耐久性を向上することができ、さらに保守費を低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す図で、エレベーターを概念的に示す縦断面図。
【図2】 図1の主索引き止め箇所の拡大図。
【図3】 この発明の実施の形態2を示す図で、前述の図2相当図。
【図4】 従来のエレベーターの主索引き止め装置を示す図で、エレベーターを概念的に示す縦断面図。
【図5】 図4の主索引き止め箇所の拡大図。
【符号の説明】
1 昇降路、2 固定部、6 昇降体、7 滑車、9 主索、10 引き止め具、11 引き止め体、12 引き止め板、15 弾性支持体。
Claims (1)
- 昇降路を昇降する昇降体に枢着された滑車と、
上記滑車に巻掛けられた主索と、
上記昇降路上方で、水平投影面において上記滑車の綱溝における上記主索の巻掛け中心位置の直上位置から上記滑車の回転軸線に直交する方向に離れた位置に設けられ、上記主索の一端に連結された引き止め具と、
挿通された上記引き止め具下方で、上面が上記昇降体の上記昇降路における昇降行程の中間位置に、上記昇降体が配置されたときの上記主索における張設線の鉛直線に対する傾斜角度に対して直交する角度になるように設けられ、上記引き止め具を係止した引き止め板と、
上記引き止め板を下方から弾性支持し、上記昇降体の昇降位置の変化に伴って、変形量を変化させることにより、上記引き止め板上面が上記主索における張設線の鉛直線に対する傾斜角度と直交した状態を維持する弾性支持体と、
を備えたエレベーターの主索引き止め装置。
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