JP4271485B2 - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネートの製造方法に関し、詳しくはレーザーラマン分光分析法により測定したポリカーボネートオリゴマーの信号強度値に基づいて、ポリカーボネートオリゴマーの生成に用いる原料の供給量を制御することにより、安定した品質のポリカーボネートを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリカーボネートの製造方法としては、ビスフェノール類とホスゲンとを直接反応させる界面法、ビスフェノール類とジフェニルカーボネートとを無溶媒条件下で反応させるエステル交換法が知られているが、品質が良好なポリカーボネートが得られる点から、界面法が主流となっている。
界面法によるポリカーボネートの工業的製造プラントでは、一般に、ビスフェノール類のアルカリ水溶液にホスゲンを吹き込んで反応性のクロロフォーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させ、この生成と同時にあるいは逐次的に、さらにポリカーボネートオリゴマーとビスフェノール類のアルカリ水溶液とを反応させることにより、ポリカーボネートが製造されている。
ポリカーボネートの原料としては、ビスフェノール類、水酸化ナトリウムなどのアルカリ化合物及びホスゲンが用いられ、必要に応じて末端停止剤(分子量調節剤)等が添加される。ポリカーボネートの製造における反応方式としては、回分反応方式、連続反応方式があるが、いずれにおいてもポリカーボネート原料の供給量を制御しながら、プラントの運転が行われている。
しかしながら、可能な限り原料の供給量を一定にしても、実際には反応において、あるいは得られるポリカーボネート製品において、プラントの運転状況に応じて、振れ(変動) が現れるのは良く知られた事実である。そこで、この振れを少なくするために、必要に応じてプラントの運転条件のフィードバックを行い、これに基づいて原料の供給量を制御している。
【0003】
ポリカーボネート原料の供給量の制御においては、反応中間体であるポリカーボネートオリゴマー、及びポリカーボネートオリゴマーが有するクロロフォーメート基が重要な監視ポイントとなる。このオリゴマー性状の監視方法として、クロロフォーメート基濃度をタイトレータで測定し、運転制御にフィードバックする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、タイトレータによる測定では、時間遅れがあるため、プラントの安定運転には十分な効果を発揮することができなかった。
また、縮合工程により得られたポリカーボネートの性状を測定し、プラントの運転制御にフィードバックする方法がある(例えば、特許文献2参照)が、製造工程における滞留時間に起因して、フィードバックに時間遅れが生じるため、十分満足できる制御方法ではなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭64−65126号公報
【特許文献2】
特開平4−198213号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ポリカーボネートを界面法で製造する方法において、安定した品質のポリカーボネートを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、レーザーラマン分光分析計を用いて、反応中間体であるポリカーボネートオリゴマーの信号強度値を測定し、得られた該信号強度値に基づいて、ポリカーボネートオリゴマーの生成に用いる原料の供給量を制御することにより、安定した品質のポリカーボネートが得られることを見出した。このような制御は、特に、ポリカーボネートの界面法による製造における連続反応方式の生産設備に有効であるが、回分反応方式によるポリカーボネート製造においても、重合溶液をを逐次モニタリングすることにより、ポリカーボネートの反応終点を適確に判断することができるので、原料を無駄に供給することなくポリカーボネートを製造することができることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、ビスフェノール類のアルカリ水溶液、ホスゲン及び有機溶媒をオリゴマー反応器に連続的に供給して、クロロフォーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させ、次いで該オリゴマーを含有する有機相とビスフェノール類のアルカリ水溶液を縮合反応器に導入し、縮合反応させてポリカーボネートを製造する方法において、ポリカーボネートオリゴマーの信号強度値をレーザーラマン分光分析法によって測定し、得られた該信号強度値に基づいて、前記ポリカーボネートオリゴマーの生成に用いるビスフェノール類のアルカリ水溶液及び/又はホスゲンの供給量を制御することを特徴とするポリカーボネートの製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のポリカーボネート製造方法は、主として界面法に適用され、原料としては、塩素、一酸化炭素から製造されるホスゲンガス、及びビスフェノール類、分子量調節剤としての一価フェノール、ビスフェノール類を溶解するために使用するアルカリ化合物が挙げられる。
ビスフェノール類としては、ポリカーボネートの物性の点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称、ビスフェノールA)が好ましい。ビスフェノールA以外のビスフェノール類としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン等が挙げられる。これらのビスフェノール類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
ビスフェノール類を溶解するために使用するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウムが好適である。
【0008】
分子量調節剤として用いる一価フェノールとしては、例えばフェノール,p−クレゾール,p−tert−ブチルフェノール,p−tert−オクチルフェノール,p−クミルフェノール,ノニルフェノールなどが挙げられ、コストや入手の容易性等からp−tert−ブチルフェノール及びフェノールが好ましい。
ポリカーボネートオリゴマーの生成時に用いる有機溶媒としては、ポリカーボネートオリゴマーが溶解するものであればよく、例えば、塩化メチレン,ジクロロエタン,クロロホルム,クロロベンゼン,四塩化炭素などの塩素系溶媒、ジオキサンなどの環状オキシ化合物などが挙げられる。本発明においては、塩素系溶媒が好ましく、ポリカーボネートオリゴマーの溶解性等の点から塩化メチレンが特に好ましく使用される。また、有機溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。ポリカーボネートオリゴマーの溶解性を低下させない範囲であれば、通常、非溶媒又は貧溶媒と呼ばれるアルカン類等の溶媒が存在していてもよい。
【0009】
本発明の製造方法は、回分反応方式及び連続反応方式のいずれの反応方式においても適用することができるが、特に連続反応方式の製造プラントにおいて好適である。連続反応方式でポリカーボネートを製造する場合、ビスフェノール類のアルカリ水溶液、ホスゲン及び有機溶媒をオリゴマー反応器に連続的に供給して、クロロフォーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させ、次いで該オリゴマーを含有する有機相とビスフェノール類のアルカリ水溶液を縮合反応器に導入し、縮合反応させてポリカーボネートを製造する。
上記ポリカーボネートオリゴマーの性状は特に制限されるものではなく、適宜最適な性状となるように反応条件を設定すればよいが、VPO(蒸気圧浸透圧計) で測定した分子量が約600〜5000程度であるものが好ましい。また、ポリカーボネートオリゴマーを含有する有機相と分離した水相(アルカリ水溶液)を、後段のポリカーボネートの縮合反応に使用することもできる。
ポリカーボネートオリゴマーの製造には、必要に応じて、三級アミン、四級アミンなどの重合触媒を使用することもできる。重合触媒としては、TEA(トリエチルアミン) が最も好ましい。
縮合反応が終了した後、反応溶液を公知の方法で洗浄し、濃縮し、粉末化等を行うことにより粉末状のポリカーボネートを得ることができ、さらに押出機等で処理することによりペレット化することができる。
【0010】
このようなポリカーボネートの製造工程において、本発明では、ポリカーボネートオリゴマーの信号強度値をレーザーラマン分光分析法によって測定し、得られた該信号強度値に基づいて、ポリカーボネートオリゴマーの生成に用いるビスフェノール類のアルカリ水溶液及び/又はホスゲンの供給量を制御する。
レーザーラマン分光分析法によるポリカーボネートオリゴマーの信号強度値の測定に用いる測定器としては、セキテクノトロン社製の「STR250」、
日本分光(株)製の「RMP−210」、KAISER OPTICAL SYSTEMS社製の「Holoprobe」などが挙げられる。
測定対象について、波数と信号強度値との相関を示す検量線を作成し、信号強度値と測定すべき波数を決定する。ポリカーボネートオリゴマーのクロロフォーメート基の測定には、483cm-1及び814cm-1付近の波数が有効である。また、ポリカーボネートオリゴマーのカーボネート結合の測定には、890cm-1付近の波数が有効である。芳香族結合であれば波数1603cm-1が有効である。クロロフォーメート基濃度は、例えば、波数814cm-1(クロロフォーメート基に由来する) と890cm-1(カーボネート結合に由来する) の信号強度値比から求められる。
【0011】
ポリカーボネートオリゴマーの信号強度値は、オリゴマーが溶解した有機相と水相との混合物について測定してもよく、有機相のみを分離して測定してもよいが、信号強度値の測定値の信頼度を高めるためには、有機相のみを分離して測定するのが好ましい。
また、ポリカーボネートオリゴマーの信号強度値は、連続的に測定しても回分的に測定してもよいが、品質の安定したポリカーボネートを得るためには、連続的に測定することが好ましい。
ビスフェノール類のアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒中で接触させ、オリゴマー化及び縮合反応を回分式で行うポリカーボネートの製造方法においては、ホスゲンガス吹き込み中に生成するクロロフォーメート基濃度を測定し、これと共に、水相中の残留モノマー、アルカリ化合物の濃度やpH等を測定して、反応の進行度を監視することができる。
また、回分式反応の場合、従来の分析法による分析を併用してもよい。また、レーザーラマン分光分析法によって、重合中に生成するカーボネート結合を測定することもできるので、この測定データにより重合反応の進行度を監視することもできる。
【0012】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
比較例1
まず、ポリカーボネートの合成用に6.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液を調製し、さらにこれにビスフェノールA(BPA)を溶解して、13.8質量%のBPA水酸化ナトリウム水溶液を調製した。この調製はバッチ操作により別容器で行ったので、濃度は安定している。次に同様にバッチ操作により、p−tert−ブチルフェノール(PTBP)を塩化メチレン(MC)に溶解し、25質量%の溶液を調製した。
20℃の冷却槽に、内径6mm、長さ30mの管型コイル式反応器を浸し、この反応器に、上記BPA水酸化ナトリウム水溶液を40リットル/hrで、PTBP溶液を0.35リットル/hrで、追加の溶媒として塩化メチレンを18.5リットル/hrで導入し、これと同時にホスゲンガス(CDC)を3.8kg/hrの流量で反応器に吹き込み、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相と、水相の混合物を得た。なお、ホスゲンガスは、一酸化炭素(CO)と塩素(Cl2 )から別途合成したものを用いた。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーを含む有機相と、水相の混合物を、内容積100リットルの横型容器に導入し、静置して、有機相と水相とを連続的に分離させた。ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相は、さらに100リットルのバッファ容器を経由して、ポンプにより20リットル/hrで、上記で調製したBPA水溶液を11.5リットル/hrで、触媒としてあらかじめ調製したトリエチルアミン(TEA)の4.0質量%水溶液を0.04リットル/hrで、水酸化ナトリウムの25質量%水溶液を0.8リットル/hrで、有機溶媒としてMCを13.2リットル/hrで、内容積0.3リットルのパイプラインホモミキサー2SL型(特殊機化工業(株)製)に供給し、回転数3200rpmで重合を実施し、このパイプラインホモミキサーの出口から重合反応混合物を得た。
次に、この重合反応混合物を、滞留時間1.5時間の水平6段の撹拌翼を有する塔型反応器に導入して重合を行った。この塔型反応器の上部からオーバーフローした重合反応物については、静置分離にて有機層と水相を分離した後、pHをを13.5に調整した水酸化ナトリウム水溶液、pHを1.5に調整した塩酸水溶液及び純水を用いてポリマーを含む有機相(ポリマー溶液) を順次洗浄し、清澄なポリマー溶液を得た。この清澄なポリマー溶液から溶媒であるMCを蒸発させて得られた固形物を粉砕して白色のポリカーボネート粉末を得た。
上記方法によって約8時間製造プラントの運転を行い、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相のクロロフォーメート基濃度を、フルオレセインを指示薬として滴定することにより、30分毎に測定した。測定は、プラント運転を開始してから2時間経過後に開始した。また、得られたポリカーボネート粉末について、粘度管法により粘度平均分子量を30分毎に測定した。結果を表1に示す。なお、それぞれの原料については通常の制御を行い、できる限り一定流量になるようにプラントの運転を行った。
【0013】
【表1】
Figure 0004271485
【0014】
実施例1
比較例1と同様にして、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相と、水相の混合物(オリゴマー溶液)を得た。このオリゴマー溶液を連続的に内径10mmのガラス管に導入し、レーザーラマン分光分析計(分光計;KAISER OPTICAL SYSTEMS社製,Holoprobe、レーザー;COHEREMT社製,DPSS−532) にて、オリゴマー溶液中のポリカーボネートオリゴマーの信号強度値を測定し、クロロフォーメート基濃度を算出した。測定は、プラント運転を開始してから2時間経過後に開始し、10分毎に行った。図1は製造工程を示し、この図1において、1はオリゴマー反応器、2は分離器、3はレーザーラマン分光分析計、4は運転制御装置、5は縮合反応器、6は洗浄・ポリマー回収工程、7は製品(ポリカーボネート)である。また、CDCはホスゲン、BPAはビスフェノールA、NaOHaqは水酸化ナトリウム水溶液、破線は信号線を示す。
レーザーラマン分光分析計によるクロロフォーロート基濃度は、事前にサンプルを調製して検量線を作成し、波数814cm-1(クロロフォーメート基に由来する) と890cm-1(カーボネート結合に由来する) の信号強度値を、露光時間5秒で測定し、この波数814cm-1と890cm-1の信号強度値(単位: 無次元) の比から、下記計算式により算出した。信号強度値は、積算10回の値である。なお、信号強度値、下記式における係数及び定数は、測定機器毎に変わるものである。
クロロフォーメート基濃度(モル/リットル)=[(814cm-1信号強度値)/(890cm-1信号強度値)]×1.14+0.145
算出したクロロフォーメート基濃度から、ポリカーボネートオリゴマー製造時に使用するホスゲンガスの流量を自動で調整した。また、ポリカーボネート粉末の粘度平均分子量を比較例1と同様にして測定した。
また、クロロフォーメート基濃度を、比較例1と同様にサンプリングして滴定法で測定し、その結果を表2に併記すると共に、さらに波数704cm-1(溶剤である塩化メチレンに由来する) と890cm-1の信号強度値比から、下記計算式によりポリカーボネートオリゴマー濃度を計算した。これらの結果を表2に示す。
ポリカーボネートオリゴマー濃度(質量%)=[(890cm-1信号強度値)/(704cm-1信号強度値)]×233.6+2.8
この、ポリカーボネートオリゴマー濃度は、従来では連続測定が困難であったものである。
【0015】
【表2】
Figure 0004271485
【0016】
実施例2
図2に示すように、実施例1と同様の製造工程において、分離器2による分離で得られた、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相のみについて、実施例1と同様にしてポリカーボネートオリゴマーの信号強度値を測定した。測定は5分毎に行い、この測定値に基づいて、ポリカーボネートオリゴマー製造時に使用するホスゲンガスの流量を自動で調整しするように設定した。また、ポリカーボネートオリゴマーのクロロフォーメート基濃度を、比較例1と同様に滴定法により測定すると共に、ポリカーボネート粉末の粘度平均分子量を比較例1と同様にして測定した。これらの結果を表3に示す。
【0017】
【表3】
Figure 0004271485
【0018】
表2及び表3に示されているように、ポリカーボネートオリゴマーの製造段階で、クロロフォーメート基濃度を連続で測定し、プラントの運転条件にフィードバックすることで、製造装置及びポリカーボネート製品の安定化が可能となった。
【0019】
実施例3
界面法によるポリカーボネート合成を回分式反応で行った。図3に製造工程を示す。この図3において、反応器11は、攪拌翼、バッフル及び冷却用ジャケットを備えた内容積60リットルの槽型反応器であり、その上部には原料投入用のノズル12、ホスゲン吹き込み用のノズル13が設置されている。ノズル13の先端部は、反応器11の液相14に浸かるようになっている。また、反応器11の下部には、反応終了後の溶液抜き出しライン15及び反応中に反応液の一部を抜き出してリサイクルするための外部循環ライン16が設置されている。3はレーザーラマン分光分析計である。
反応器11に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液4.19リットル、純水14.5リットル及び塩化メチレン15.0リットルを仕込み、さらに、ビスフェノールA3.87kg及びハイドロサルファイト8.4gを仕込んで攪拌し、ビスフェノールA(BPA)の水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
このBPA水酸化ナトリウム水溶液を、回転数350rpmの攪拌翼で攪拌しながら、ホスゲンの吹き込みを開始した。ホスゲンの吹き込み速度は、0.02kg/minとした。ホスゲンの吹き込みにより反応が開始され、反応熱により反応器11の温度が上昇するので、反応器11の冷却ジャケットに冷媒を通液し、反応器11の内部温度が20〜25℃となるように調整した。
ホスゲンの吹き込み開始後より、反応器11の下部の外部循環ライン16を活かし、実施例1で使用したものと同様のレーザーラマン分光分析計を使用して、反応混合物(オリゴマー溶液)中のクロロフォーメート基濃度を連続測定した。測定に当たって、検量線の作成は実施例1と同様に行い、測定波数は実施例1と同様とした。
ホスゲンの吹き込みを開始してから86分後に、レーザーラマン分光分析計で測定したクロロフォーメート基濃度が0.65モル/リットルに達したので、ホスゲンの吹き込みを停止した。その後攪拌を停止し、反応器11内のオリゴマー溶液を静置分離し、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相のみを分取し、再度反応器11に仕込んだ。
【0020】
あらかじめ、6.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を調製し、これにビスフェノールA(BPA)を溶解して、13.4質量%のBPA水酸化ナトリウム水溶液を、別容器で調製した。反応器11内のポリカーボネートオリゴマーを含む有機相に、このBPA水酸化ナトリウム水溶液を9.7リットル、2.0質量%のトリエチルアミン水溶液を100ミリリットル、p−tert−ブチルフェノールの25質量%塩化メチレン溶液320ミリリットル及び48質量%の水酸化ナトリウム溶液0.43kgを追加し、回転数350rpmの攪拌翼で攪拌し、さらに重合反応を進めた。なお、反応器11は冷却ジャケットにより上記と同様に冷却して反応器11の内部温度が25〜35℃となるように調整し、1時間反応させた。
反応終了後、反応混合物(オリゴマー溶液)に塩化メチレンを20リットル加えて希釈し、静置して水相と有機相とを分離させ、有機相について、アルカリ化合物による洗浄、酸による洗浄及び純水による洗浄を繰り返して、清澄なポリマー溶液を得た。さらに、溶媒を蒸発させて、固形分を得、この固形分を粉砕し、乾燥させることにより、白色のポリカーボネート粉末を得た。以上で回分反応1回(N=1)が終了した。得られたポリカーボネート粉末の粘度平均分子量を比較例1と同様にして測定した。
レーザーラマン分光分析計により測定したホスゲン吹き込み終了時間(クロロフォーメート基濃度が0.65モル/リットルに達した時間)以外は、上記と同様にして回分反応を繰り返し、N=2〜N=5の回分反応を実施し、得られたポリカーボネート粉末の粘度平均分子量を、同様にして測定した。結果を表4に示す。表4に示す結果から、ポリカーボネートの粘度平均分子量は再現性が良好であることがわかる。
【0021】
【表4】
Figure 0004271485
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリカーボネートを界面法で製造する方法において、安定した品質のポリカーボネートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるレーザーラマン分光分析測定の概略を示す製造工程図である。
【図2】実施例2におけるレーザーラマン分光分析測定の概略を示す製造工程図である。
【図3】実施例3におけるレーザーラマン分光分析測定の概略を示す製造工程図である。
【符号の説明】
1 オリゴマー反応器
2 分離器
3 レーザーラマン分光分析計
4 運転制御装置

Claims (6)

  1. ビスフェノール類のアルカリ水溶液、ホスゲン及び有機溶媒をオリゴマー反応器に連続的に供給して、クロロフォーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させ、次いで該オリゴマーを含有する有機相とビスフェノール類のアルカリ水溶液を縮合反応器に導入し、縮合反応させてポリカーボネートを製造する方法において、ポリカーボネートオリゴマーのクロロフォーメート基及びカーボネート結合に由来する信号強度値をレーザーラマン分光分析法によって測定し、得られた信号強度値に基づいて、クロロフォーメート基濃度を算出し、得られた該濃度に基づいて、前記ポリカーボネートオリゴマーの生成に用いるビスフェノール類のアルカリ水溶液及び/又はホスゲンの供給量を制御することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
  2. ビスフェノール類のアルカリ水溶液、ホスゲン及び有機溶媒をオリゴマー反応器に連続的に供給して、クロロフォーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させ、次いで該オリゴマーを含有する有機相とビスフェノール類のアルカリ水溶液を縮合反応器に導入し、縮合反応させてポリカーボネートを製造する方法において、ポリカーボネートオリゴマーのカーボネート結合及び有機溶剤に由来する信号強度値をレーザーラマン分光分析法によって測定し、得られた信号強度値に基づいて、クロロフォーメート基濃度を算出し、得られた該濃度に基づいて、前記からポリカーボネートオリゴマー濃度を算出し、該濃度に基づいて、前記ポリカーボネートオリゴマーの生成に用いるビスフェノール類のアルカリ水溶液及び/又はホスゲンの供給量を制御することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
  3. ポリカーボネートオリゴマーのクロロフォーメート基及びカーボネート、または、カーボネート結合及び有機溶剤の信号強度値が、ポリカーボネートオリゴマーを含有する有機相の測定により得られた値である請求項1記載の製造方法。
  4. クロロフォーメート基の測定は、波長814cm-1付近、カーボネート結合の測定は、波長890cm-1付近で測定する請求項1または3に記載の製造方法。
  5. ポリカーボネート結合の測定は、波長890cm-1付近、有機溶剤の測定は、有機溶剤に由来する波長付近で測定する請求項2又は3に記載の製造方法。
  6. ビスフェノール類のアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒中で接触させ、オリゴマー化及び縮合反応を回分式で行うポリカーボネートの製造方法において、ホスゲンの吹き込み終了を、重合溶液中のクロロフォーメート基及びカーボネート結合に由来する信号強度値をレーザーラマン分光分析法によって測定し、得られた信号強度値に基づいてクロロフォーメート基濃度を算出し、得られた該濃度に基づいて判断することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
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