JP3403176B2 - 界面重合によるポリカーボネートのバッチ式製造法 - Google Patents

界面重合によるポリカーボネートのバッチ式製造法

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    • C08G64/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界面法による単官
能性芳香族クロロホルメート生成物の連続製造の方法及
び装置に関する。単官能性芳香族クロロホルメートはポ
リマー合成における末端封鎖剤として使用するのに適し
ている。
【0002】本発明は、さらに、単官能性芳香族クロロ
ホルメート生成物の連続製造法を界面ポリカーボネート
合成と結合したポリカーボネートの製造方法にも関す
る。連続法で製造した末端封鎖剤を界面ポリカーボネー
ト合成に導入して所望ポリカーボネート製品を得る。
【0003】本発明は、一連のバッチで製造されるポリ
カーボネートの分子量の変動を制御する方法に関する。
この方法では、界面法による単官能性芳香族クロロホル
メート生成物の連続製造法を利用する。
【0004】
【発明の技術的背景】単官能性芳香族クロロホルメート
をポリマー合成に導入すると、生成ポリマーの分子量を
調節する手段となる。一般に、ポリマー合成に導入する
末端封鎖剤の量が多いほど、ポリマー生成物の分子量は
低くなる。単官能性芳香族クロロホルメートは、p−ク
ミルフェノールのようなヒドロキシ芳香族末端封鎖剤を
用いて製造した生成物よりもジアリールカーボネート
(DAC)量の格段に低いポリカーボネートを一段階ホ
スゲン化で製造できるので、界面ポリカーボネート合成
における末端封鎖剤として特に適している。
【0005】シアリールカーボネートはポリカーボネー
トのガラス転移温度よりも融点が低く、そのためポリカ
ーボネート成形作業で固化が最も遅い成分である。その
ため、相当量のDACを含むポリカーボネートは、DA
Cを実質的に含まないポリカーボネートと比べると、所
要成形サイクル時間が長い。また、DACは昇華し得る
ので、ジアリールカーボネートを含有するポリカーボネ
ートは、以前の成形サイクルのDACが金型に凝縮・堆
積して後の成形品に欠点をもたらす「プレートアウト」
のような不都合な結果を招きかねない。本明細書中で用
いる「DAC」という用語には、ジ(アルキルフェニル
カーボネート)及びジ(アリールフェニル)カーボネー
トも包含される。
【0006】単官能性芳香族クロロホルメートの製造に
際しては、副生物のDACの生成を最小限に抑えるのが
望ましい。そうすれば、単官能性芳香族クロロホルメー
トを、蒸留のような方法で最初に精製しなくても、後段
の重合反応に使用することができるであろう。以下の説
明で、「MAC」という用語は、単官能性芳香族クロロ
ホルメート化合物又は単官能性芳香族クロロホルメート
化合物の混合物をいう。
【0007】界面法によるMACの公知の製造法には、
MACのバッチ式製造があり、後で重合に使用するため
貯蔵する。
【0008】米国特許第5399657号(Van H
out他)には、バッチプロセスでのMACの製造法が
開示されている。溶剤中のホスゲン溶液を反応器に導入
して、温度を3〜5℃に保ちながらホスゲン及びフェノ
ール化合物を添加する。pHは、苛性アルカリ水溶液の
添加によって所望範囲内に維持される。過剰のホスゲン
は苛性アルカリとの反応によって生成物から除かれる。
米国特許第5399657号のMACの製造は、通例3
0〜60分の長いバッチ時間を要する。
【0009】米国特許第5274164号(Wettl
ing他)には、有機リン化合物存在下でのフェノール
とホスゲンとの反応によりアリールクロロホルメートを
製造する方法が開示されている。この方法は長い反応時
間を要し、有機リン化合物のような触媒を添加するた
め、生成物から触媒を回収するための余計なプロセス段
階が必要とされる。
【0010】米国特許第4864011号(Bussi
nk他)には、MAC末端封鎖剤を用いた芳香族ポリカ
ーボネートの製造方法が開示されている。Bussin
kの方法では、MACはホスゲンの添加前に存在する
か、或いはDAC量の低いポリカーボネートを製造すべ
くバッチ重合反応の一時点で添加する。ただし、このプ
ロセスには幾つかの欠点がある。重合中のある特定の時
点でMACを重合反応に送るには、MACを合成し、精
製し、貯蔵しておかなければならない。さらに、所定量
のMACを特定の時点でバッチプロセスに送るには、普
通、貯蔵と投入のための追加の装置が必要になる。
【0011】精製の必要のない、直接MACを連続的に
製造できる方法を開発できれば望ましい。また、MAC
を「オンデマンド]式に製造できる連続法を開発できれ
ばさらに望ましい。そうすれば、MACプロセスをバッ
チ式又は連続式重合法、特にポリカーボネート合成プロ
セスと直接結合することができるようになる。そうした
直接結合したプロセスは、MAC及びMAC製造に付随
した含ホスゲン物質の在庫の維持に伴う危険性を回避で
きるので、望ましい。
【0012】MAC合成のオンデマンドプロセスでは、
MAC合成のバッチプロセスに比べると、ホスゲン暴露
の危険性及び製造コストが共に大幅に低減する。上述の
米国特許の開示内容はこれらの要件を満たさない。
【0013】さらに、MACの製造に要するプロセス時
間が短いプロセスであって、DAC含有量が低く良好な
品質を有する製品を製造すべく(MACを精製せずに)
ポリカーボネート合成の連続プロセス又はバッチプロセ
スと結合させることのできるプロセスを開発できれば望
ましい。
【0014】また、界面反応で製造されるポリカーボネ
ートの優れた分子量制御を達成できるプロセスを開発で
きれば望ましい。分子量制御は、普通、一連のバッチで
の分子量の標準偏差によって測定される。良好な分子量
制御、すなわち、一回又は一連の反応で生成するポリカ
ーボネートの分子量の変動の制御は、分子量粘度の制御
と直接関連する。分子量によって分子量粘度が決まり、
そのため分子量を狭い範囲内に維持すると分子量粘度が
狭い範囲内に維持される。製品の加工性を調節するため
分子量粘度を狭い範囲内に維持するのが望ましい。例え
ば、一連の製品バッチについて分子量粘度を狭い範囲に
制御すると、これらのバッチのポリカーボネートを加工
する成形機を調整せずに長時間運転することができる。
【0015】
【発明の概要】本発明はこれらの問題を解決するととも
に、さらに驚くべき特性を与える。本発明の上記その他
の目的は、以下の開示及び特許請求の範囲の記載を参照
すればさらに一段と容易に理解できるであろう。
【0016】第一の態様では、本発明は、ポリマー合成
で末端封鎖剤として使用するのに適した単官能性芳香族
クロロホルメート(MAC)の連続製造法に関する。一
実施形態では、本発明は、次の構造(I)の単官能性芳
香族クロロホルメート(MAC)の連続製造法に関す
る。
【0017】
【化1】
【0018】式中、nは1〜5の整数であり、R1は水
素、炭素原子数1〜15の枝分れ又は直鎖アルキル基、
アリール基(置換されていてもいなくてもよい)、環式
脂肪族基(置換されていてもいなくてもよい)、又はア
リールアルキル基(置換されていてもいなくてもよい)
を表す。当該方法は、 a)1)苛性アルカリ水溶液、 2)塩化カルボニル、 3)1種類以上の単官能性ヒドロキシ芳香族化合物、及
び 4)1種類以上の不活性有機溶媒 を連続反応系中に導入する段階、及び b)構造(I)のMACを生成するのに十分な条件で十
分な時間1)、2)、3)及び4)を互いに接触させる
段階 を含む。
【0019】別の実施形態では、本発明は、上記で定義
した構造(I)のMAC生成物の連続式製造法に関す
る。当該方法は、 a)上流端の入口及び下流端の出口を有する管型反応器
と該反応器を通して流体を搬送する手段から実質的にな
る反応器を含む反応系を準備する段階、 b)不活性有機溶媒及び単官能性ヒドロキシ芳香族化合
物を含む供給流を管型反応器の上流端の入口に導入する
段階、 c)管型反応器中に塩化カルボニルを導入する段階、 d)管型反応器中に苛性アルカリ水溶液を導入する段
階、 c)MAC生成物を生成するのに十分な条件で十分な時
間塩化カルボニル、単官能性ヒドロキシ芳香族化合物及
び苛性アルカリ水溶液を互いに接触させる段階を含む。
【0020】別の実施形態では、本発明は、 a)上流端と下流端及び1以上の入口と1以上の出口を
有する管型反応器、 b)管型反応器内で反応混合物をなすハロゲン化カルボ
ニル、苛性アルカリ水溶液、単官能性ヒドロキシ芳香族
化合物及び不活性有機溶媒を反応器に導入する手段、及
び c)約200〜約100000のレイノルズ数で特徴付
けられる乱流条件下で反応混合物を管型反応器を通して
搬送する手段 を含んでなる管型反応器系に関する。
【0021】さらに、本発明は、上記方法で製造される
MAC、上記方法をポリカーボネート重合系と結合して
利用する反応系、並びにこれらの反応系で製造されるポ
リカーボネートに関する。
【0022】第二の態様で、本発明は、上記MAC生成
物の連続製造法と結合したバッチ式界面重合法でのポリ
カーボネート製品の製造方法、並びに当該方法を用いて
一連の製品バッチの分子量の変動を制御する方法に関す
る。
【0023】一実施形態では、本発明は、ポリカーボネ
ートの製造方法であって、 a)1種類以上のヒドロキシ化合物、不活性有機溶媒、
水、苛性アルカリ、ハロゲン化カルボニル及び触媒を容
器に投入し、反応混合物のpHを約4〜約12に維持す
る段階、及び b)容器にハロゲン化カルボニル全体の0〜約90%を
添加する間に、単官能性芳香族クロロホルメート(MA
C)を生成する反応系を活性化し、容器にハロゲン化カ
ルボニル全体の0〜約90%を添加する間に容器にMA
Cを導入する段階を含んでなり、MAC反応系が容器と
結合していて、MACを反応系から容器に送るための手
段を備えている、方法に関する。
【0024】また、本発明は、実質的に等量のハロゲン
化カルボニル、苛性アルカリ及びMAC並びに不活性有
機溶媒を用いて所望のバッチの回数だけプロセスを繰り
返すことによって分子量の変動を制御する方法に関す
る。
【0025】別の実施形態では、本発明は、ポリカーボ
ネートの製造方法であって、 a)1種類以上のジヒドロキシ化合物、不活性有機溶
媒、水及び任意成分としての苛性アルカリを容器に投入
して反応混合物を形成する段階、 b)段階a)の後、反応混合物のpHを約4〜約12に
維持しながら反応混合物を含んだ容器にハロゲン化カル
ボニル及び苛性アルカリを同時に導入する段階、 c)容器にハロゲン化カルボニル全体の0〜約90%を
添加する間に、単官能性芳香族クロロホルメート(MA
C)を生成する反応系を活性化し、容器にハロゲン化カ
ルボニル全体の0〜約90%を添加する間に容器にMA
Cを導入する段階を含んでなり、MAC反応系が容器と
結合していて、MACを反応系から容器に送るための手
段を備えている、方法に関する。
【0026】さらに、本発明は、実質的に等量のハロゲ
ン化カルボニル、苛性アルカリ及びMACを用いて所望
のバッチの回数だけプロセスを繰り返すことによって分
子量の変動を制御する方法に関する。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態及びそ
の実施例についての以下の詳細な説明を参照することで
本発明をさらに容易に理解できるであろう。
【0028】本発明の方法及び装置を開示し説明するに
当たり、本発明は特定の方法又は個々の配合自体に限定
されるものではなく、様々な変更が可能であることを理
解されたい。また、本明細書中で用いる用語は特定の実
施形態を説明するためのものであって、限定のためのも
のではないことも理解されたい。
【0029】本明細書及び特許請求の範囲では多くの用
語を用いるが、以下の意味で定義されるものである。
【0030】単数形で記載したものであっても、特に前
後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味
する。
【0031】「任意」又は「任意には」という用語は、
その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起
きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその
事象又は状況が起きた場合と起こらない場合を包含す
る。
【0032】「モル流量」は、特記しない限り、モル/
分単位である。
【0033】「混合物平均温度」とは、合流した2以上
の流れの混合物が断熱条件下(熱の出入りがない条件
下)で平衡に達したときの温度として定義される。
【0034】本明細書中で用いる「オンデマンド(on
demand)」プロセスとは、所定時間内に所要量
の生成物の製造ができることをいう。オンデマンドプロ
セスは、所定時間の前後は休止状態にある。オンデマン
ドプロセスでは、その開始時間から停止時間までの期間
有用な生成物を生ずる。オンデマンドプロセスは、例え
ばポリカーボネートの連続合成プロセスにMAC末端封
鎖剤を供給するためなど、無期限に連続して運転するこ
ともできる。
【0035】本発明で想定される「単官能性ヒドロキシ
芳香族」化学種はヒドロキシル基を1個だけ含有する。
MACでは、このヒドロキシル基はクロロホルメート基
で置換されている。
【0036】本明細書中で用いる「ポリカーボネート」
という用語はコポリカーボネート、ホモポリカーボネー
ト及び(コ)ポリエステルカーボネートを包含する。
【0037】「末端封鎖剤」及び「連鎖停止剤」という
用語は互換的に用いられる。
【0038】「半バッチ式」反応器は初期投入材料を収
容した後、反応進行中に1種類以上の反応体及び任意に
は溶液が反応器に添加される。しかし、かかる反応器は
単に「バッチ式」反応器といわれることが多い。以下の
本明細書中では、「バッチ式」と「半バッチ式」という
用語は互換的に用いられる。
【0039】本明細書中で刊行物を引用した場合、その
開示内容は、本発明の属する技術分野の技術水準を十分
に説明するため、援用によって本明細書に取り込まれ
る。
【0040】一つの態様では、本発明は、ポリマーの合
成、特にポリカーボネートの合成に有用なMAC末端封
鎖剤の連続製造法に関する。
【0041】別の態様では、本発明は、ヒドロキシ芳香
族ハロホルメート末端封鎖剤の製造プロセスとポリカー
ボネート合成用の反応系とを結合したポリカーボネート
の製造法に関する。
【0042】I.MACの連続製造法 上述の通り、本発明は、第一の態様では、連続法による
MAC生成物の製造に関する。このMAC生成物はポリ
マー合成時の末端封鎖剤として適している。本明細書の
項目(I)で使用する「反応系」及び「反応器」とは、
末端封鎖剤としての使用に適したMACの連続製造法及
びかかる生成物の製造に用いる装置をいうう。
【0043】MAC生成物の半バッチ式製造プロセスで
は、単官能性ヒドロキシ芳香族化合物の濃度を低レベル
に維持すべく、MAC生成物の前駆体である単官能性ヒ
ドロキシ芳香族化合物は反応器に供給されたとたんに反
応してなくなるようにすればよい。こうして、単官能性
ヒドロキシ芳香族化合物とMAC生成物との間のDAC
生成反応を最小限に抑制することができる。
【0044】対照的に、本発明の連続法の一実施形態で
は、単官能性ヒドロキシ芳香族化合物はすべてプラグフ
ロー反応器系の単一投入口に供給され、反応器内を進む
うちに反応する。単官能性ヒドロキシ芳香族化合物が反
応して消失すると、MAC濃度が増す。したがって、プ
ラグフロー反応器内には、ヒドロキシ芳香族濃度とMA
C濃度が共にかなり高いゾーンが存在する。この反応器
ゾーンではDACの生成速度が速く、反応器生成物には
高濃度のDACが含まれると予想される。しかし、予想
に反して、この連続法の生成物中のDAC濃度は極めて
低く、通例、生成物中のMAC重量に対して、約300
〜600ppmであることが判明した。このことは、ポ
リカーボネートの合成プロセスと直接結合されるMAC
の製造プロセスでは特に重要である。
【0045】本発明の第一の態様による連続法では、意
外にも、単官能性ヒドロキシ芳香族供給材料は事実上完
全にMACに転化され、反応器生成物中に残留する未転
化の単官能性ヒドロキシ芳香族供給材料は、MAC生成
物の重量に対して、僅か約0.2〜約4重量%にすぎな
かったことも判明した。
【0046】さらに、MACを生成する反応時間は、意
外にも、非常に短いことが判明した。MACのバッチ式
製造プロセスの典型的な反応時間は約30〜60分であ
る。管型反応器を用いる本発明の実施形態では、ヒドロ
キシ芳香族化合物とクロロホルムメートの反応は約1〜
5秒で完了する。
【0047】MAC製造のバッチ式反応系では、高レベ
ルのDAC生成を避けるため比較的低温、例えば約10
〜15℃未満の温度に維持することが重要である。本発
明の連続式反応器系では、意外にも、反応器を断熱的に
運転して溶媒の沸点に達したときでさえ、低DACの生
成物を得ることができることが判明した。溶媒が塩化メ
チレンである実施形態では、連続反応系は溶媒の沸点の
約40℃に達してもよく、それでDAC含有量の低いM
ACを生成できる。
【0048】さらに具体的には、第一の態様では、本発
明は、ポリマーの合成に有用な次の式(I)の末端封鎖
剤の連続式界面製造法に関する。
【0049】
【化2】
【0050】式中、nは1〜5の整数であり、R1は水
素、炭素原子数1〜15の枝分れ又は直鎖アルキル基、
アリール基(置換されていてもいなくてもよい)、環式
脂肪族基(置換されていてもいなくてもよい)、又はア
リールアルキル基(置換されていてもいなくてもよい)
を表す。本発明の方法で製造される末端封鎖剤として
は、特に限定されないが、フェニルクロロホルメート、
t−ブチルフェニルクロロホルメート、p−クミルクロ
ロホルメート、クロマンクロロホルメート、オクチルフ
ェニルもしくはノニルフェニルクロロホルメート、又は
これらの混合物、好ましくはフェニルクロロホルメー
ト、p−クミルクロロホルメート又はこれらの混合物、
さらに一段と好ましくはp−クミルフェニルクロロホル
メートがある。構造(I)の化合物を本明細書ではMA
Cという。
【0051】本発明のプロセスは、界面反応によって末
端封鎖剤を連続的に生成する1以上の反応器を含む反応
系で実施される。「連続」とは、反応体を導入すると同
時に反応系から生成物を取り出すことを意味する。ま
た、任意には、反応器系の始動から停止まで生成物全体
を取り出してもよく、この方式は、他のプロセス、特に
界面ポリカーボネート合成プロセスに「オンデマンド」
式にMACを供給するという追加の利点がある。反応系
は、バッチ式ポリマー合成と結合して所定時間MAC生
成物をポリマー合成反応器に導入してもよいし、連続式
ポリマー合成と結合して無期限に比較的一定の速度でM
AC生成物を連続式ポリマー合成反応器に導入してよい
し、或いは、後で使用するためMAC生成物を別の容器
に貯蔵してもよい。
【0052】反応系は、供給材料を導入するため上流に
1以上の入口と、生成物の回収のため下流に出口を有す
る。任意には、反応系には、上流側の入口と下流側の出
口との間に供給材料導入用の入口が存在していてもよ
い。
【0053】この系では、界面反応によるMACの連続
製造が可能であり、生成物はDAC及び未反応単官能性
ヒドロキシ芳香族化合物の含有量が低い。この連続式プ
ロセスは、特に限定されないが、直列の連続撹拌槽反応
器(CSTR)、管型反応器又は直列の管型反応器、直
列及び/又は並列の1以上のループ型反応器、CSTR
及び管型反応器のネットワーク、何段かのミキサーを有
するカラム型反応器及び撹拌カラムを始めとする、連続
反応を実施し得るどんな装置構成でも実施できる。反応
系は2段以上を含んでいてもよく、段と段の間に冷却及
び追加試薬の導入を含んでいてもよい。
【0054】本発明の一実施形態に係るオンデマンドプ
ロセスは単なる連続運転よりも格段に厳格な要件を満た
さなければならない。例えば、バッチ式ポリカーボネー
ト合成反応器と直接結合したオンデマンドMAC合成プ
ロセスでは、MAC合成の間DACなどの副生物の生成
速度は始動から停止までの全期間で低くなければならな
い。対照的に、多くの公知の連続反応プロセスでは始動
時の副生物生成速度が低くないか、或いは始動に長時間
を要する。例えば、塩素の合成は隔膜式電解槽で連続的
に行われるが、塩素槽の始動には数時間を要し、始動時
期の大半で副生物の水素含有量が上昇する。
【0055】本明細書に記載したMAC製造の連続プロ
セスは任意にはオンデマンドプロセスとして操作し得
る。別法として、本明細書に開示したMAC合成の連続
プロセスは、貯蔵及び後で(例えばポリカーボネートの
合成に)使用するためのMACの製造にも使用し得る。
所望により、蒸留やデカンテーションのような周知のプ
ロセスを用いて反応生成物の混合物からMACを単離し
てもよい。MAC生成物は溶媒中の溶液又はニートな液
体として、無期限に貯蔵し得る。MAC溶液又は液体は
低温で無水状態に維持するのが好ましい。MAC液体又
は溶液中に水が存在すると、MAC液体又は溶液は酸性
となる。
【0056】なお、本発明は、「オンデマンド」操作に
は有効でない連続的MAC製造プロセスの実施形態も包
含する。例えば、本発明の一実施形態では、短い滞留時
間(好ましくは0.5〜30秒)の管型反応器からなる
連続反応プロセスの後に長い滞留時間(好ましくは約5
分超)のサージタンクが続く。このMAC製造プロセス
は連続であるが、オンデマンドプロセスではない。この
プロセスは連続式又はバッチ式いずれのポリカーボネー
ト合成プロセスとも結合でき、上述の滞留時間の短い管
型反応器におけるMAC合成の利点を有するが、MAC
及び残留ホスゲンの在庫をなくすという利点は有してい
ない。対照的に、ポリカーボネート合成反応器と直接結
合した短い滞留時間の管型反応器からなる(下流にサー
ジタンクのない)MAC製造反応器は、連続式反応器と
してもオンデマンド反応器としても運転し得る。
【0057】連続式MAC製造プロセスの生成物はバッ
チ式ポリカーボネート合成前又は合成中にポリカーボネ
ート合成に添加し得る。本発明の一実施形態では、連続
式MAC製造プロセスを行う反応系をバッチ式重合反応
器に結合し、MAC反応器の生成物をポリカーボネート
合成前又は合成中にバッチ式反応器に投入する。
【0058】MAC製造用の反応系におけるプロセス条
件は種々変更でき、概して、塩化カルボニルと単官能性
ヒドロキシ芳香族化合物との反応が起こってMAC生成
物を生じる限り、どんなプロセス条件も使用できる。反
応系に入る1以上の供給流は好ましくは約−10〜約4
0℃、さらに好ましくは約0〜約25℃の混合物平均供
給温度を有する。1以上の供給流は、反応系に入る塩化
カルボニル、不活性有機溶媒、苛性アルカリ水溶液及び
単官能性ヒドロキシ芳香族化合物を含んでいる。
【0059】反応系の混合物の温度は好ましくは約60
℃未満、さらに好ましくは約50℃未満に維持する。こ
こで用いる「混合物」という用語は、特に限定されない
が、1種類以上の溶媒、反応体及び苛性アルカリを始め
とする反応系の内容物をいうう。反応は発熱反応である
ので、反応混合物の温度は反応混合物が反応系内を搬送
されるにしたがって上昇する。各系について維持する温
度は具体的な溶媒、反応体、冷却手段などに依存する。
【0060】反応系は冷却してもよいし、断熱で操作し
てもよい。適当な冷却手段としては、冷却ジャケット、
予冷器熱交換器、再循環ループ内の熱交換器、多重反応
器系のセクション間の熱交換器、又は還流凝縮器があ
る。1以上の反応容器は冷却してもよいし、系が2段以
上を含んでいるときは反応容器間で熱を除去してもよ
い。設計及び操作共に簡略化するために系を断熱で操作
するのが好ましい。断熱反応器条件を達成するには、典
型的な工業慣行に従って1以上の反応容器を断熱すれば
よい。
【0061】反応系に導入する前に、1以上の供給流
を、任意には、特に限定されないが、インラインミキサ
ー、スタティックミキサー及びオリフィスミキサーを始
めとする適当な混合手段で混合してもよい。ここで、
「供給流」とは、反応系に入る成分をいい、反応系に入
る1以上の流れを包含し得る。混合ゾーンを反応系の前
に設けてもよいし、反応系が混合ゾーンを含んでいても
よいし、これらの組合せでもよい。
【0062】反応系内では、混合物は好ましくは少なく
とも水相と有機相の分離を防ぐのに十分な強度で混合物
を掻き混ぜる。分離が起こると、反応体から生成物への
転化率が低下する。水相と有機相との掻き混ぜは、ホス
ゲンの加水分解速度の増大(混合が強すぎると起こり得
る)によりホスゲンが浪費されないように制御すべきで
ある。
【0063】本発明の一実施形態に係る管型反応器で
は、混合強度は、次式で定義される管レイノズル数で特
徴付けられることが多い。 NRe=Dνρ/μ ここで、Dは管の直径(cm)であり、νは管を通る溶
液の速度(cm/秒)であり、ρは溶液の密度(g/c
c)であり、μは溶液の粘度(g/cm−秒)である。
【0064】管レイノルズ数は約200〜約10000
0の範囲に維持するのが好ましく、さらに好ましくは約
200〜約20000の範囲に維持する。
【0065】反応系の混合物は機械式混合手段で掻き混
ぜてもよいし、又は反応容器内に静止型混合エレメント
を設けてもよい。静止型混合技術はM.Mutsaki
s,F.Streiff及びG.Schneider
著,“Advances in Static Mix
ing Technology”,Chemical
Engineering Progress,Jul
y,1986で論じられている。
【0066】MAC生成反応には、本明細書で苛性アル
カリ化合物というアルカリ金属塩基及び/又はアルカリ
土類金属塩基が必要とされる。苛性アルカリ化合物は、
好ましくは苛性アルカリ化合物を含む苛性アルカリ水溶
液として導入する。苛性アルカリ水溶液は好ましくは水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム又はこれらの混合物を
含み、さらに好ましくは水酸化ナトリウムを含む。苛性
アルカリ水溶液の濃度は好ましくは約10〜約50重量
%、さらに好ましくは約15〜約40重量%である。
【0067】苛性アルカリ水溶液は、好ましくは、単官
能性ヒドロキシ芳香族化合物含有流及びハロゲン化カル
ボニル含有流とは別の流れとして連続反応系に導入す
る。一実施形態では、苛性アルアリ水溶液流を反応系の
上流側の入口で導入する。別法として、苛性アルカリ水
溶液流は、反応系内でハロゲン化カルボニルと単官能性
ヒドロキシ芳香族化合物とのMAC生成反応が起こるよ
うな地点又は投入口であれば反応系内のどんな地点又は
投入口から導入してもよい。苛性アルカリ水溶液流は、
任意には、モル流量の同一又は異なる2以上の流れに分
割してもよい。これらの流れは反応系内の様々な地点で
導入し得る。反応系の上流側の入口で苛性アルカリ水溶
液流を導入するのが好ましい。
【0068】本発明の一実施形態では、反応系は、単官
能性ヒドロキシ芳香族化合物と不活性有機溶媒の入口温
度を確立するための第一の予冷器、苛性アルカリ水溶液
の入口温度を確立するための第二の予冷器、及び第一の
予冷器及びハロゲン化カルボニル供給流と結合したミキ
サーをさらに含む。この実施形態では、単官能性ヒドロ
キシ芳香族化合物は好ましくは溶媒中に溶解する。苛性
アルカリ水溶液は第二の予冷器に供給する。冷却した苛
性アルカリ水溶液とミキサーから出た流れを次に反応
器、好ましくは管型反応器に供給する。
【0069】本明細書中で説明する連続プロセスでは、
反応器の生成物は若干の未反応ハロゲン化カルボニルと
若干の未反応苛性アルカリを含んでいるのが普通であ
る。苛性アルカリは好ましくは別の流れとして導入さ
れ、苛性アルカリは単官能性ヒドロキシ芳香族化合物か
らMACへの転化に必要とされるので、反応器の所定セ
クションへの苛性アルカリ溶液の添加量を調節してその
セクションの反応の程度すなわち転化率を制御すること
ができる。
【0070】実質的に断熱反応の条件下で、ヒドロキシ
芳香族化合物及び他の供給化学種の量に対する反応器セ
クションに導入する苛性アルカリの相対量は、そのセク
ションの温度上昇の程度を決定する。MACを合成しD
ACの生成を回避する反応選択性の温度感受性は重要な
要因であり、特に断熱条件では、1段毎に加えるべき苛
性アルカリの量、段の数及び段間の冷却の必要性を決定
する際に考慮される。
【0071】本発明では、ハロゲン化カルボニル及び苛
性アルカリは、単官能性ヒドロキシ芳香族化合物の供給
速度とのモル比を基準にした流量で反応系に導入され
る。そこで、苛性アルカリ及びハロゲン化カルボニルと
単官能性ヒドロキシ芳香族化合物供給速度とのモル流量
比の維持に最も注意し、pHには二次的な注意のみを払
うという反応手順を用いることによって、ハロゲン化カ
ルボニルの加水分解並びにDACのような不要副生物生
成及びヒドロキシ芳香族化合物の残留量を最小限に抑え
る。上記の比は、生成物溶液に望まれる品質、生産速度
要件及び反応系の操作パラメーターに応じて変わる。
【0072】反応系に導入されるホスゲンなどのハロゲ
ン化カルボニルと単官能性ヒドロキシ芳香族化合物との
モル流量の比は、好ましくは約1.05:1〜約10:
1、さらに好ましくは約1.5:1〜約5:1、さらに
一段と好ましくは約2:1〜約4:1である。反応系中
の苛性アルカリ(NaOH換算)と単官能性ヒドロキシ
芳香族化合物とのモル流量の比は好ましくは約1.1:
1〜約3:1、さらに好ましくは約1.2:1〜約2:
1、さらに一段と好ましくは約1.3:1〜約1.7:
1である。
【0073】成分は反応系に別々の流れとして供給して
もよいし、或いは幾つかの成分を反応系に導入する前に
一緒にしてもよい。例えば、ハロゲン化カルボニル及び
単官能性ヒドロキシ芳香族化合物は各々1以上の供給流
として、反応系の上流端の入口又は反応系の任意の点に
ある入口から導入し得る。ただし、反応系内の全体的モ
ル比、すなわち反応系の供給量と生産量は維持しなけれ
ばならない。
【0074】一実施形態では、塩化カルボニルを不活性
有機溶媒と混合した後に均一溶液として反応系に導入す
る。別の実施形態では、1種類以上の単官能性ヒドロキ
シ芳香族化合物を溶解した不活性有機溶媒と塩化カルボ
ニルとを混合してから、この混合物を均一溶液として供
給する。別法として、塩化カルボニルをガスの形態で反
応系に導入してもよい。苛性アルカリ水溶液は、好まし
くは、塩化カルボニル及び単官能性ヒドロキシ芳香族化
合物を含有する1以上の供給流とは別の流れとして反応
系に供給する。
【0075】反応系が2段以上を含む場合、供給材料は
段と段の間に反応系に導入してもよい。供給材料は苛性
アルカリ水溶液、不活性有機溶媒、塩化カルボニル及び
単官能性ヒドロキシ芳香族化合物の1種以上を含むこと
ができる。一実施形態の本発明は1〜4段からなる管型
反応器である。
【0076】単官能性ヒドロキシ芳香族化合物は溶液、
固体、溶融物、又はこれらの混合物として反応系に導入
し得る。反応系に導入する単官能性ヒドロキシ芳香族化
合物の重量と、反応系に導入する不活性有機溶媒の重量
との比は、約0.5:99.5〜約20:80である。
単官能性ヒドロキシ芳香族化合物は、その全部又は一部
を、反応系に導入する不活性有機溶媒流に含ませてもよ
い。一実施形態では、単官能性ヒドロキシ芳香族化合物
を不活性有機溶媒に溶解し、その流れを反応系の上流端
の入口に供給する。不活性有機溶媒に溶解する場合、単
官能性ヒドロキシ芳香族化合物は溶液の約1〜約20重
量%をなすのが好ましい。任意には、ホスゲンのような
塩化カルボニルをこの流れに溶解させてもよい。別法と
して、不活性有機溶媒とヒドロキシ芳香族化合物を別々
の流れとして反応系の上流端の入口で導入してもよい
し、各々の流れを2以上の流れに分割して反応系に沿っ
た供給点で導入してもよい。
【0077】反応系における反応混合物の滞留時間はそ
の反応系を通る体積流量の関数である。例えば、反応系
が管型反応器のときは、反応器の長さと直径は、所望の
滞留時間が達成されて所望MAC生成物の収率が最適値
となるように変更し得る。
【0078】プラグフロー反応器に共通した設計要件
は、Levenspiel著,Chemical Re
action Engineering(John W
iley and Sons,1962年)に記載され
ている。好ましくは管型反応器の長さ対直径の比は約1
0以上、さらに好ましくは約20以上である。
【0079】本発明では、驚くべきことに、反応器の滞
留時間はさほど重要でないことが判明した。同様に驚く
べきことに、反応器中の滞留時間を延ばしても生成物の
分解が起こらないことも判明した。一般に、反応は速い
速度で起こり、反応器内の好ましい滞留時間は1段当た
り約0.5〜約30秒、さらに好ましくは1段当たり約
1〜約10秒である。
【0080】反応系を実質的にアミンの存在しない状態
に維持するのが好ましい。「実質的にアミンの存在しな
い」とは、すべての供給流で、特に限定されないが、ト
リエチルアミンを始めとするアミン含有量の流量加重平
均が50ppm未満、好ましくは約10ppm未満、さ
らに好ましくは約5ppm未満に維持されることを意味
する。反応系にアミンが存在するとDACのような不都
合な副生物が生成する。任意には、反応系に入る供給流
を酸抽出によって精製してもよく、所望の流れを吸収剤
床の上に通して遊離アミンを除去することによりいずれ
かの供給流を精製してもよい。さらに、アミンの他に
も、特に限定されないが、第四級アンモニウム塩や第四
級ホスホニウム塩及び有機リン触媒を始めとする他の縮
合触媒も避けるのが好ましい。
【0081】任意には、MAC反応生成物を別の加工処
理段階でさらに処理してもよい。本発明方法のMAC反
応生成物はそれ以上精製せずにポリカーボネートなどの
ポリマーの製造に使用するのに十分な低いDAC含有量
を有しているが、任意には重合、すなわちポリカーボネ
ート合成に導入する前に分別蒸留でさらに精製してもよ
い。
【0082】一実施形態では、本発明の方法は図1に示
す管型反応器系で実施する。管型反応器はどのように設
置してもよいが、管型反応器は水平に設置するのが好ま
しい。単官能性ヒドロキシ芳香族化合物と溶媒を含有す
る供給流1を予冷器3に供給する。予冷器3の生成物と
ホスゲンのような塩化カルボニルを含有する供給流2を
ミキサー4に供給する。苛性アルカリ水溶液の別の流れ
5を予冷器6に供給する。その後、ミキサー4と予冷器
6の流出物を管型反応器7に供給する。反応器7の図は
反応器内に混合エレメントを含んでいる。任意には、管
型反応器7は断熱してもよい。MAC生成物(生成物
流)を含有する管型反応器7の流出物はさらに加工処理
してもよい、或いはポリマー合成反応器、例えばポリカ
ーボネートの合成反応器に送ってもよい。
【0083】図1に示すプロセスは、MAC生成物の目
的とする用途に応じて、連続的に運転してもよいし、オ
ンデマンド式に運転してもよい。オンデマンド式でプロ
セスを運転する場合、該プロセスは、別の容器でバッチ
式ポリカーボネート合成を実施しながら始動し得る。ポ
リカーボネート合成反応器へのMAC生成物の導入は、
バッチ式ポリカーボネート合成のホスゲン化段階中に行
って、ポリカーボネートバッチの完了前に停止してもよ
い。MAC生成物流は、それ以上の精製を必要とせず、
ポリカーボネート合成反応器に直接送ることができる。
【0084】図2に示す通り、管型反応器系はポリカー
ボネート合成反応器17と直列に接続し得る。バッチ式
重合の一実施形態については本明細書の項目IIで説明す
る。ポリカーボネート合成反応器は連続法でもバッチ法
でも運転し得る。連続運転モードでは、反応器7の生成
物はポリカーボネート合成反応器17に連続的に導入さ
れる。バッチ式運転モードでは、米国特許第48640
11号(その開示内容は援用によって本明細書に取り込
まれる)に開示されているように、例えばビスフェノー
ル−A(BPA)11のようなモノマー、溶媒12、触
媒13、水14、ホスゲン15及び苛性アルカリ水溶液
16をポリカーボネート反応器に投入し得る。米国特許
第4864011号に開示された重合では、反応器に供
給するべきハロゲン化カルボニル全体の20〜80%が
供給された後、MAC連鎖停止剤をポリカーボネート合
成反応に加える。米国特許第4864011号の各実施
例には、バッチ式重合プロセスの単一の時点でクロロホ
ルメートの全部を投入する例が示されれている。
【0085】以下、末端封鎖剤としての使用に適したM
AC生成物の製造に用いるのに適した苛性アルカリを始
めとする反応体及び溶媒について説明する。個々の成分
についての記載は例示として挙げたものにすぎず、すべ
てを網羅するものではない。
【0086】本発明の方法でMACの製造に使用し得る
適当な単官能性ヒドロキシ芳香族化合物は次の一般式
(II)で表される。
【0087】
【化3】
【0088】式中、nは1〜5の整数であり、R1は水
素、炭素原子数1〜15の枝分れ又は直鎖アルキル基、
アリール基(置換されていてもいなくてもよい)、環式
脂肪族基(置換されていてもいなくてもよい)、又はア
リールアルキル基(置換されていてもいなくてもよい)
を表す。nが1に等しく、R1がパラ位にあるのが好ま
しい。
【0089】式(II)で定義される単官能性ヒドロキシ
芳香族化合物としては、フェノール、p−tert−ブ
チルフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p
−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェ
ノール、p−クミルフェノール、クロマン、p−オクチ
ルフェノール、p−ノニルフェノール、α−ナフトー
ル、β−ナフトール及びこれらの混合物があるが、これ
らに限定されない。好ましい単官能性ヒドロキシ芳香族
化合物はフェノール、t−ブチルフェノール、p−クミ
ルフェノール、クロマン及びこれらの混合物であるが、
p−クミルフェノールがさらに好ましい。
【0090】本発明方法で使用するのに適したハロゲン
化カルボニルとしては、ホスゲンのような塩化カルボニ
ル、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カルボ
ニル及びこれらの混合物があるが、これらに限定されな
い。ジホスゲンやトリホスゲンを始めとする他の塩化カ
ルボニルも適している。ホスゲンが好ましいハロゲン化
カルボニルである。ハロゲン化カルボニルは気体又は液
体の形態で反応系に導入してもよいし、又は反応系に導
入する前に苛性アルカリ供給流以外のいずれかの供給流
に溶解してもよい。したがって、本発明の方法でブロモ
ホルメートなどのような他のハロホルメートを製造する
ことが可能である。クロロホルメートが最も好ましい。
【0091】本発明の方法で使用するのに適した不活性
有機溶媒には、水に実質的に不溶でプロセス条件に不活
性なあらゆる不活性有機溶媒が包含される。不活性有機
溶媒は、反応条件下で液体であるべきであり、ハロゲン
化カルボニル、ヒドロキシ芳香族化合物又は苛性アルカ
リと反応すべきではない。MAC生成物が溶媒に可溶で
あることが望ましい。適当な不活性有機溶媒としては、
ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタンのよ
うな脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンのような芳香
族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びニ
トロベンゼンのような置換芳香族炭化水素、クロロホル
ムや塩化メチレンのような塩素化脂肪族炭化水素、並び
にこれら溶媒の任意の混合物があるが、これらに限定さ
れない。以上の溶媒は、特に限定されないが、テトラヒ
ドロフランを始めとするエーテル類と混合し得る。塩素
化脂肪族炭化水素、特に塩化メチレンが好ましい。
【0092】MAC生成反応では本明細書で苛性アルア
リというアルカリ金属塩基及び/又はアルカリ土類金属
塩基が必要である。苛性アルカリ化合物は、アルカリ金
属塩基及び/又はアルカリ土類金属塩基を含む水溶液と
して導入するのが好ましい。
【0093】反応系で苛性アルカリとして使用し得る適
当なアルカリ金属成分としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸リチウム及びこれらの混合物が
あるが、これらに限定されない。
【0094】反応系で苛性アルカリとして使用し得る適
当なアルカリ土類金属成分としては、水酸化カルシウ
ム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化スト
ロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、
炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ス
トロンチウム及びこれらの混合物があるが、これらに限
定されない。
【0095】苛性アルカリ水溶液の濃度は種々変更し得
るが、苛性アルカリ化合物が苛性アルカリ水溶液の約1
0〜約50重量%、好ましくは約15〜約40重量%を
なすのが好ましい。最も好ましい苛性アルカリは水酸化
ナトリウムであり、苛性アルカリ水溶液は好ましくは約
15〜約40重量%の水酸化ナトリウムを含有する。
【0096】II.界面重合によるポリカーボネート製造
のバッチ式プロセス 第二の態様では、本発明は、本明細書の項目Iに記載し
たMAC生成物の連続式製造法と結合したバッチ式界面
重合法でのポリカーボネート製品の製造、並びに当該方
法を用いて一連の生成物バッチにおける分子量の変動を
制御する方法に関する。
【0097】本発明の方法で製造できるポリカーボネー
トは通例次式(III)の構造単位を含んでいる。
【0098】
【化4】
【0099】式中、R基の総数の約60%以上は芳香族
有機基であり、残りは脂肪族、脂環式又は芳香族基であ
る。好ましくは各Rは芳香族有機基であり、さらに好ま
しくは次式(IV)の基である。
【0100】
【化5】
【0101】式中、A1及びA2は各々単環式で二価アリ
ール基であり、YはA1とA2を炭素原子1個又は2個で
隔てる橋かけ基である。かかる基は、式OH−R−OH
及びOH−A1−Y−A2−OHのジヒドロキシ芳香族化
合物又はその誘導体から誘導し得る。A1及びA2として
は、非置換フェニレン、好ましくはp−フェニレン、又
はその置換誘導体があるが、これらに限定されない。橋
かけ基Yは大抵は炭化水素基であり、好ましくはメチレ
ン、シクロヘキシリデン又はイソプロピリデンのような
飽和基である。イソプロピリデンがさらに好ましい。そ
こで、好ましいポリカーボネートは、「ビスフェノール
A」としても知られる2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンの残基を含むものである。一実施形態
ではポリカーボネートはビスフェノールAのホモポリマ
ーである。
【0102】(コ)ポリエステルカーボネートも本発明
の方法で製造し得る。ポリエステルカーボネートは脂肪
族又は芳香族二酸の残基を含み得る。脂肪族又は芳香族
二酸の誘導体、例えば二塩化物も重合に使用できる。
【0103】また、多官能性化合物を反応に導入して、
例えば枝分れポリカーボネートを製造することもでき
る。
【0104】芳香族ポリカーボネートを始めとするポリ
カーボネートは、通例、フェノール系末端封鎖剤の存在
下でホスゲンのようなハロゲン化カルボニルとビスフェ
ノールAのようなビスフェノールとの反応による界面法
で製造される。公知の方法ではフェノール系末端封鎖剤
を界面反応の開始時に添加するが、これは不都合なジア
リールカーボネート(DAC)を生成する。対照的に、
本明細書で説明する好ましいバッチ式ポリカーボネート
合成法では、オンデマンド式でMACを製造し、バッチ
式重合時のある限られた期間添加する。
【0105】意外にも、本明細書の項目IIに記載のポリ
カーボネートを製造するバッチ式重合反応を、本明細書
の項目Iに記載の連続式MAC製造方法と結合すると、
一連のバッチ間のポリカーボネート製品の分子量が、溶
融又は固形末端封鎖剤、特にp−クミルフェノールを添
加するような公知の末端封鎖剤添加法を用いたときに比
べ、変動が少ないことが判明した。
【0106】また、ポリカーボネートを製造するバッチ
式重合反応を本明細書の項目Iに記載の連続式MAC製
造方法と結合した場合、バッチ式ポリカーボネート合成
時のある所定期間MAC末端封鎖剤を添加することによ
り、ポリカーボネート製品中の最終DAC含有量は、意
外にも、Bussink他の米国特許4864011号
に開示されているようにバッチ式ポリカーボネート合成
プロセスにおける一時点でMACをポリカーボネート合
成に添加して得られる含有量より低いことも判明した。
【0107】一実施形態では、MACと組み合わせたバ
ッチ式ポリカーボネート合成は、 1)1種類以上のジヒドロキシ化合物、不活性有機溶
媒、水、苛性アルカリ、ハロゲン化カルボニル及び触媒
を容器に投入し、投入中反応混合物のpHを約4〜約1
2に維持する段階、及び 2)容器にハロゲン化カルボニル全体の0〜約90%を
添加する間に、単官能性芳香族クロロホルメート(MA
C)を生成する反応系を活性化し、容器にハロゲン化カ
ルボニル全体の0〜約90%を添加する間に容器にMA
Cを導入する段階を含んでおり、MAC反応系は容器と
結合していて、MACを反応系から容器に送るための手
段を備えている。
【0108】さらに別の実施形態で、本発明のMACと
組み合わせたバッチ式ポリカーボネートプロセスは、好
ましくは、 1)1種類以上のジヒドロキシ化合物、溶媒及び水、並
びに任意成分としての苛性アルカリをバッチ式重合反応
器に投入する段階、 2)同時にハロゲン化カルボニルと苛性アルカリを反応
器に導入し、一方反応のpHを特定の範囲に維持する段
階、及び 3)バッチ式重合プロセスの特定の期間中にMAC反応
器の生成物をバッチ式重合反応器に投入する段階、 4)ポリカーボネートポリマーをバッチ式重合反応器か
ら回収する段階 を含んでいる。
【0109】このプロセスの最初の段階は本明細書でバ
ッチ生成という。この段階では、一般に、溶媒、1種類
以上のモノマー、例えばビスフェノールA、及び任意成
分として2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンのようなコモノマー、水、及び
トリエチルアミンのような触媒の混合物を容器に投入す
ることにより、バッチ式界面ポリカーボネート反応を開
始する。溶媒とモノマーの相対量は、バッチ生成時に加
えられる溶媒とMAC合成及び添加時に加えられる溶媒
とを合計して、有機相中の所望の最終ポリカーボネート
濃度が、好ましくは約5〜約25重量%、さらに好まし
くは約15〜約25重量%となるようにする。バッチ生
成時に加える水の量は、副生物のハロゲン化アルカリ、
例えば塩化ナトリウムの最終濃度が、好ましくは約10
重量%〜飽和(塩化ナトリウムでは約26重量%)、さ
らに好ましくは約15〜約25重量%となるようにす
る。これらの範囲は工業的に常用されており、米国特許
第3173891号(その開示内容は援用によって本明
細書に取り込まれる)に記載されている。
【0110】ポリカーボネート反応のバッチ式ホスゲン
化の間、アルカリ金属塩基及び/又はアルカリ土類金属
塩基を添加して反応のpHを、好ましくは約4〜約12
の範囲、さらに好ましくはポリエステルカーボネート反
応では約7〜約11の範囲、さらに好ましくはビスフェ
ノールAポリカーボネート合成反応については約9〜約
11の範囲に維持する。本明細書の項目Iに記載した塩
基の種類及び濃度はポリカーボネートの合成プロセスで
も使用できる。
【0111】MAC合成反応器をオンデマンドプロセス
として運転する場合、MAC合成反応器は、バッチ生成
時には運転されない。反応系をオンデマンドプロセスと
して運転するのが好ましい。MAC合成反応器は、ホス
ゲン添加の開始時点又はその前後に始動してもよいし、
或いはバッチ式重合反応器にホスゲンのようなハロゲン
化カルボニルの添加を開始した後の所定の時に始動して
もよい。バッチ式重合で所定の条件、例えばハロゲン化
カルボニルの総添加量の特定の割合が達成されたら、M
AC合成反応器を始動し、MAC反応器の生成物を所定
の期間バッチ式重合反応に送る。この場合も、期間は、
通常、重合反応器に送られるハロゲン化カルボニルの総
量に対する百分率で特定される。
【0112】好ましくは、オンデマンドプロセスで製造
したMAC生成物の混合物は、バッチ式ポリカーボネー
ト合成にホスゲンの0〜約90%を添加する期間に添加
する。さらに好ましくは、オンデマンドプロセスからの
MAC生成物の混合物は、バッチ式ポリカーボネート合
成にホスゲンの約10〜約80%を添加する期間に添加
する。さらに一段と好ましくは、オンデマンドプロセス
からのMAC生成物の混合物は、バッチ式ポリカーボネ
ート合成にホスゲンの約10〜約60%を添加する期間
に添加する。別法として、MAC合成プロセスが単なる
連続法で、オンデマンドプロセスでない場合、上記と同
じ期間にわたりMAC生成物の混合物をバッチ式重合反
応器に供給してもよいが、MAC生成物の混合物はMA
C合成反応器から直接供給されるのではなくサージタン
クのような貯蔵容器から供給される。
【0113】ポリカーボネート合成反応でのハロゲン化
カルボニル及び苛性アルカリの添加速度は重合反応の進
行中に変更し得る。バッチ反応サイクル時間を最小限に
すべく、MACを生成し重合反応器に添加する期間にホ
スゲン及び苛性アルカリを共に重合反応に添加するのが
好ましいが、MACを重合反応器に供給している期間の
一部又は全部の間重合反応器へのホスゲン及び/又は苛
性アルカリの添加を中止又は低減することも本発明の技
術的範囲に属する。
【0114】バッチ式ポリカーボネート合成にMACの
総添加量は、重合中の二官能性モノマーのモル数を基準
にして約1〜約20モル%であり、好ましくは重合中の
二官能性モノマーのモル数を基準にして約1〜約7モル
%である。
【0115】ポリカーボネート合成へのMAC生成物の
混合物の添加速度はバッチ式重合反応への添加の途中に
変更し得るが、MAC混合物を実質的に一定の速度でポ
リカーボネート合成に添加するのが好ましい。
【0116】バッチ式界面ポリカーボネート合成反応の
反応終点を予め決めておくのが好ましい。バッチ式界面
ポリカーボネート合成反応の予定反応終点は、例えば、
ポリカーボネート合成反応へのホスゲン又は苛性アルカ
リの総添加量が所定の値に達した点でもよい。別法とし
て、反応器内容物の特性を断続的又は連続的に測定して
もよく、例えば、重量平均分子量をレーザー光散乱法で
モニターしてもよい。測定した特性が所望のレベルに達
したとき、これを反応の終点を示す。この時点でハロゲ
ン化カルボニルの添加を停止するが、苛性アルカリの添
加は最終的反応pHに達するまで続けてもよい。
【0117】バッチ式重合プロセスからのポリカーボネ
ートは溶液重合の技術分野で周知の慣用技術で回収でき
る。反溶剤沈殿のような周知の技術は、H.Schne
ll著,Chemistry and Physics
of Polycarbonates及びW.F.C
hristopher及びD.W.Fox著,Poly
carbonatesに記載されている。
【0118】MACの製造に用いた連続反応系からポリ
カーボネート合成反応(バッチ式重合反応)へのMAC
の輸送は、例えば両反応系の間に設けたパイプなど、適
当な送出系で達成し得る。MAC反応系とポリカーボネ
ート合成との間の送出時間は送出系の長さと直径に依存
するが、送出時間は約1〜約30秒であるのが好まし
い。好ましくは、MAC反応系はホスゲンの暴露の危険
性を最小限にすべく、バッチ式反応器にできるだけ近く
配置する。
【0119】MACの純度は、MAC合成反応器とポリ
カーボネート合成反応器との間の追加の配管における遅
延により影響を受けないことに留意されたい。本明細書
の項目Iに記載したMACの連続製造プロセスの反応生
成物はMACのみならず、未反応のハロゲン化カルボニ
ル及び苛性アルカリ、並びに溶媒及びハロゲン化アルカ
リ水溶液も含有している。したがって、管型反応器内
で、又はMAC生成物の混合物がポリカーボネート重合
反応器に送られていく間に、MAC生成物が加水分解に
より単官能性ヒドロキシ芳香族化合物に戻されると、残
留するハロゲン化カルボニルと苛性アルカリは加水分解
生成物を所望のMACに再転化する傾向がある。
【0120】以下、バッチ式又は連続式の界面重合プロ
セスによってポリカーボネートを製造する際使用するの
に適した反応体と溶媒について説明する。本明細書の項
目(I)に記載したMACの製造に使用できる溶媒、苛
性アルカリ、ハロゲン化カルボニル及び単官能性ヒドロ
キシ芳香族化合物は、バッチ式ポリカーボネート製造プ
ロセスにも使用し得る。個々の反応体及び触媒について
の記載は例示として挙げるものにすぎず、すべてを網羅
したものではない。
【0121】ポリカーボネート合成プロセスに使用する
のに適したハロゲン化カルボニルとしては、塩化カルボ
ニル、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カル
ボニル及びこれらの混合物があるが、これらに限定され
ない。ジホスゲン及びトリホスゲンも適当なハロゲン化
カルボニルである。ホスゲンが好ましいハロゲン化カル
ボニルである。
【0122】「クロロホルメート」は本明細書の項目I
とIIに記載した本発明の方法に従って製造され利用され
る好ましい末端封鎖剤であるが、その他のハロホルメー
トも製造することができ、かかる他のハロホルメートは
下記一般式Vを有する。式中で、Xはフッ素、臭素、塩
素又はヨウ素を表す。これらのハロホルメート末端封鎖
剤の製造には上述の対応するハロゲン化カルボニルが利
用されよう。
【0123】
【化6】
【0124】ポリカーボネート合成に使用するのに適し
た有機溶媒には、水に実質的に不溶でプロセス条件に不
活性なあらゆる有機溶媒が包含される。また、有機溶媒
は反応条件下で液体であるべきであり、ハロゲン化カル
ボニル又は苛性アルカリと反応すべきではない。適当な
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサ
ン及びヘプタンのような脂肪族炭化水素、トルエン、キ
シレンのような芳香族炭化水素、クロロベンゼン、ジク
ロロベンゼン及びニトロベンゼンのような置換芳香族炭
化水素、クロロホルムや塩化メチレンのような塩素化脂
肪族炭化水素、並びに以上の溶媒の任意の混合物がある
が、これらに限定されない。以上の溶媒は、特に限定さ
れないが、テトラヒドロフランのようなエーテル類と混
合し得る。塩素化脂肪族炭化水素、特に塩化メチレンが
好ましい。
【0125】ポリカーボネートの重合に使用し得る適当
なビスフェノール又はジフェノールとしては以下のもの
があるが、これらに限定されない。 レゾルシノール、 4−ブロモレゾルシノール、 ヒドロキノン、 4,4′−ジヒドロキシビフェニル、 1,6−ジヒドロキシナフタレン、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタ
ン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、 1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタ
ン、 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(す
なわち「ビスフェノールA」)、 2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、 trans−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−2−ブテン、 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタ
ン、 α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、 2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、 2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、 2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、 2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、 2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、 2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、 2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、 2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、 2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、 2,2−ビス(2,3,5,6−テトラメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、 2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、 2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、 2,2−ビス(2,6−ジブロモ−3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、 α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、 α,α,α′,α′−テトラメチル−α,α′−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)p−キシレン、 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン 1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エチレン、 1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エチレン、 1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4
−ヒドロキシフェニル)エチレン、 4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、 3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノ
ン、 1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘ
キサンジオン、 エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、 ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、 9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、 2,7−ジヒドロキシピレン、 6,6′−ジヒドロキシ−3,3,3′,3′−テトラ
メチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビ
スフェノール」)、 3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタリド、 2,6−ジヒドロキシベンゾ−p−ジオキシン、 2,6−ジヒドロキシアントレン、 2,7−ジヒドロキシフェノキサチイン、 2,7−ジヒドロキシ−9,10−メチルフェナジン、 3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、 3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、 2,7−ジヒドロキシカルバゾール、 4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、 及びその他のハロゲン化又はアルキル化誘導体。また、
所望のビスフェノールのモノ−及び/又はビスクロロホ
ルメートの混合物、又は所望のビスフェノールのモノ−
及び/又はビスクロロホルメートオリゴマーカーボネー
ト混合物を使用することもできる。2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン(又はビスフェノール
A)は好ましいビスフェノールである。ジフェノール類
の対応誘導体も使用できる。
【0126】枝分れポリカーボネートの重合に使用する
適当な多官能性化合物としては、 1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、 4−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−エチル]−ジメチルベンジル]、 トリメリト酸無水物 トリメリト酸、又はこれらの酸塩化物誘導体 があるが、これらに限定されない。
【0127】ポリエステルカーボネートの重合の際にビ
スフェノールと共に使用し得る適当なジカルボン酸又は
ジカルボン酸二塩化物としては、 1,10−デカンジカルボン酸、 1,12−ドデカンジカルボン酸、 テレフタル酸、 イソフタル酸、 テレフタロイルジクロライド、及びイソフタロイルジク
ロライド があるが、これらに限定されない。
【0128】ポリカーボネートの合成は、触媒、例えば
第三級アミン及び/又はテトラアルキルアンモニウム塩
のような相間移動触媒の存在下で実施できる。適当な第
三級アミン触媒としては、トリエチルアミン、トリプロ
ピルアミン及びトリブチルアミンがあるが、これらに限
定されない。相間移動触媒としては、臭化テトラブチル
アンモニウムや臭化メチルトリブチルアンモニウムがあ
るが、これらに限定されない。アミン触媒の含有量はジ
ヒドロキシ化合物を基準にして約0.25〜約10モル
%とし得る。相間移動触媒はジヒドロキシ化合物を基準
として0〜約2モル%とし得る。触媒混合物はハロゲン
化カルボニルの添加前に反応器に投入してもよいし、ハ
ロゲン化カルボニルの添加中にバッチ式又は連続式重合
反応器に添加するようにプログラムを組んでもよい。
【0129】
【実施例】以下の実施例は、特許請求の範囲に記載され
た組成物及び方法を如何に製造し評価するかについての
詳しい説明を当業者に提供するために開示するものであ
り、本発明者らがその発明と思料するものの範囲を制限
するものではない。数(例えば量、温度など)に関して
は正確を期したが、若干の誤差や偏差はあるであろう。
特記しない限り、部は重量部であり、温度は摂氏であ
る。
【0130】実施例1 外径0.25インチの316ステンレススチール製チュ
ーブとSwagelok社製のSWAGELOK(登録
商標)継手から管型反応器を作成し、静止型混合エレメ
ントを充填した。反応器の全長は16.5インチであっ
た。反応器は織物断熱材で断熱した。反応器に、塩化メ
チレン中のホスゲン及びp−クミルフェノール(PC
P)の溶液とNaOH/水との2つの供給流から供給し
た。各供給溶液は、各々独立に、4℃に保った水浴に浸
した予冷コイルを介してポンプにより反応器に供給し
た。反応の詳細は下記の表に示す。生成物の組成は有機
相生成物の重量部で示す。
【0131】例えば、以下の通りである。
【0132】
【数1】
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】これらの反応の芳香族生成物の残りは所望
の生成物であるp−クミルフェニルクロロホルメートで
あった。これらの結果は、本発明の方法により非常に低
い含有量のDACと本質的に完全なPCP転化が達成さ
れることを示している。
【0136】実施例2 実施例1と同様な管型反応器を作成した。ただし、混合
エレメントを収容した2つの7インチのセクションに続
いて50フィートの非充填チューブセクションを設け
た。反応器全体を織物で断熱した。反応器に下記のフィ
ード1と2を供給した。これらのフィードは反応器に導
入する前に4℃に冷却した。第一及び第二の7インチセ
クションの後と50フィートの未充填セクションの後に
反応サンプルを採取した。
【0137】
【表3】
【0138】生成物の組成を下記に示す。残りの芳香族
生成物はp−クミルフェニルクロロホルメートであっ
た。
【0139】
【表4】
【0140】この実施例は、管型反応器内の追加の滞留
時間にも、下流配管内でも生成物がさらにDACに転化
されることがないことを示している。
【0141】実施例3 塩化メチレン供給溶液中にトリエチルアミンを5ppm
入れて実施例2を繰り返した。結果を下記の表に示す。
【0142】
【表5】
【0143】これは、反応生成物が低含有量のトリエチ
ルアミンの存在に対して感受性であることを示してい
る。
【0144】実施例4 2つの充填セクションのみを用い、以下のフィード組成
で実施例2を繰り返した。予冷浴温度は20〜35℃の
値に調節した。第二の混合ゾーンの終点で生成物の組成
を測定した。
【0145】
【表6】
【0146】
【表7】
【0147】この実施例は、この反応が生成物中に高含
有量のDACを導入することなく広い温度範囲で実施し
得ることを示している。
【0148】実施例(ポリカーボネート) 以下の実施例は、末端封鎖剤として用いる連続式MAC
製造プロセスと結合したバッチ式界面重合プロセスによ
るポリカーボネートの製造に関する。
【0149】実施例5〜10 テフロン(登録商標)ライナーを設けたパイプでクロロ
ホルメート合成反応器を作成し、静止型混合エレメント
を充填した。反応器は内径が1インチで、長さが5フィ
ートであった。この反応器に3つの供給流、すなわち塩
化メチレン中4重量%のp−クミルフェノール(PC
P)溶液、ホスゲンガス、及び25重量%のNaOH水
溶液を供給した。PCP溶液は、クロロホルメート合成
反応器に送る前に、ポンプで熱交換器に通して所望のフ
ィード温度に冷却した。
【0150】撹拌式ポリカーボネート合成反応器に、ホ
スゲンとNaOHを投入するための入口、反応のpHを
測定し調節するためのpHプローブ、及び還流凝縮器を
取り付けた。この反応器に、BPA(200ポンド)、
水(56ガロン)、塩化メチレン(93ガロン)及びト
リエチルアミン(450ml)を投入した。このポリカ
ーボネート合成反応器にホスゲン(250ポンド/時)
を加え、苛性アルカリ水溶液(50重量%のNaOH)
を加えてpHを9〜11に維持した。ホスゲンとNaO
Hをポリカーボネート反応器に流し続けながら、MAC
合成反応器を塩化メチレンによりポリカーボネート反応
器にフラッシュして結合した。次いで、ホスゲンとNa
OH/水を下記の表に示す所定の速度で塩化メチレンフ
ラッシュ流に加えた。ホスゲンとNaOH/水の流れが
確立された後、塩化メチレンフラッシュ流を止め、ホス
ゲンとNaOH/水をクロロホルメート合成反応器に流
し続けながら塩化メチレン中4重量%PCPの冷却した
溶液(257ポンド)をポンプでクロロホルメート合成
反応器に供給した。4重量%PCP塩化メチレンを加え
た後、クロロホルメート合成反応器を塩化メチレンで簡
単にフラッシュし、ホスゲンとNaOH/水の流れを止
めた。ホスゲンは、全部で87ポンドになるまでポリカ
ーボネート反応器に流し続けた。この時間中pHは50
%NaOHの添加により9〜11に維持した。ホスゲン
を止めた後ポリカーボネート反応の塩化メチレン相のサ
ンプルを採取した。得られたポリマーのジ−p−クミル
フェニルカーボネート(DACの1種)を分析した結果
を以下に示す。
【0151】下記の表では次の定義を使用する。
【0152】開始時間とは、ホスゲン化の開始後MAC
反応器を始動させるまでの時間であり、分で表す。
【0153】供給時間とは、塩化メチレン中4重量%の
PCP溶液をクロロホルメート合成反応器に供給する時
間である。
【0154】NaOH(重量%)とは、MAC合成反応
器に加えた水中NaOHの重量%である。
【0155】RNaOHとは、クロロホルメート合成反応器
に供給したPCP1モルに対するNaOHのモル数であ
る。
【0156】Rphosとは、クロロホルメート合成反応器
に供給したPCP1モルに対するホスゲンのモル数であ
る。
【0157】
【表8】
【0158】上の表は、ポリマー生成物のDAC含有量
が広範囲のMAC合成反応器運転条件にわたって約20
0ppm未満であることを示している。比較として、実
施例10は、クロロホルメート合成反応器にホスゲンも
苛性アルカリも加えなかった場合ポリマー生成物のDA
C含有量が格段に高かったことを示している。これは、
ポリカーボネートの合成中ある期間にわたってp−クミ
ルフェニルクロロホルメートではなくPCPをポリカー
ボネート合成反応器に加えたときに起こるポリマー生成
物のDAC含有量を表している。
【0159】実施例11(ポリカーボネート) クロロホルメート合成反応器とポリカーボネート合成反
応器を組み合わせた反応器を実施例5(ポリカーボネー
ト)と同様に運転して、同じMAC末端封鎖剤を用いて
6つの一連のポリカーボネートバッチを作成した。各バ
ッチについて生成物の重量平均分子量(Mw)を測定し
た。驚くべきことに、以下の表に示す通り、分子量は極
めて一致していることが判明した。この組のデータで、
分子量の標準偏差は僅か52Mw単位であり、これは分
子量測定の変動に匹敵している。従来の末端封鎖剤添加
技術を用いると、分子量の変動は約150Mw単位であ
る。
【0160】
【表9】
【0161】比較例1 Bussinkら(米国特許第4864011号)は、
ホスゲン化反応の単一の時点でMACをすべて加えたポ
リカーボネート重合のDAC含有量を報告している。B
ussinkによって報告された反応のMAC(フェニ
ルクロロホルメートとして)末端封鎖剤含有量はBPA
繰返し単位の5.6モル%であった。本発明の実施例で
は、p−クミルフェニルクロロホルメートとして実質的
に同じモル%(5.5)のMACを使用した。下記の表
で、Bussinkの結果と本発明の方法とのDACの
モル濃度を比較する。本発明の方法は、ポリカーボネー
ト生成物中のDACのモル含有量が、Bussinkら
によって報告された最低の含有量よりも格段に低い。
【0162】
【表10】
【0163】本発明を特にその好ましい実施形態を参照
して詳しく説明してきたが、本発明の技術思想及び技術
的範囲内で様々な変形及び修正が可能であることを理解
されたい。 [図面の簡単な説明]
【図1】連続法でMACを製造するための本発明の一実
施形態の概略図である。
【図2】MACの連続製造法をポリカーボネート合成反
応と結合させてポリカーボネートを製造するための本発
明の一実施形態の概略図である。
フロントページの続き (72)発明者 ダーダリス,デビッド・マイケル アメリカ合衆国、12020、ニューヨーク 州、ボールストン・スパ、ミドル・スト リート、64番 (72)発明者 フラワーズ,ラリー・アイヴィス アメリカ合衆国、47711、インディアナ 州、エバンスビル、バークレー・コー ト、545番 (72)発明者 フーバー、ジェームズ・フランクリン アメリカ合衆国、47712、インディアナ 州、エバンスビル、イースト・コパーラ イン・ロード、10600番 (72)発明者 コー,アレン・ワイ・イー アメリカ合衆国、47712、インディアナ 州、エバンスビル、ノース・ベーネ・ロ ード、1406番 (56)参考文献 米国特許4864011(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 WPI/L(QUESTEL)

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネートの製造方法であって、 a)1種類以上のジヒドロキシ化合物、不活性有機溶
    媒、水、苛性アルカリ、ハロゲン化カルボニル及び触媒
    を容器に投入し、反応混合物のpHを4〜12に維持す
    る段階、及び b)容器にハロゲン化カルボニル全体の0〜90%を添
    加する間に、単官能性芳香族クロロホルメート(MA
    C)を生成する反応系を活性化し、容器にハロゲン化カ
    ルボニル全体の0〜90%を添加する間に容器にMAC
    を連続的に導入する段階 を含んでなり、MAC反応系が容器と結合していて、M
    ACを反応系から容器に送るための手段を備えてなる、
    方法。
  2. 【請求項2】 容器内の二官能性モノマーのモル数を基
    準にして1〜20モル%のMACを容器に導入する、請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 容器内の二官能性モノマーのモル数を基
    準にして1〜7モル%のMACを容器に導入する、請求
    項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 さらに、容器からポリカーボネートを回
    収する段階を含む、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 不活性有機溶媒が、ペンタン、ヘキサ
    ン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、
    クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、
    クロロホルム、塩化メチレン及びこれらの混合物からな
    る群から選択される、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 不活性有機溶媒が塩化メチレンである、
    請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 ハロゲン化カルボニルがホスゲンであ
    る、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 苛性アルカリが水酸化ナトリウムであ
    る、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 苛性アルカリを水に溶解して水溶液を形
    成する、請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 ジヒドロキシ化合物がビスフェノール
    からなる、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 ビスフェノールがビスフェノールAで
    ある、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の方法で製造されるポリ
    カーボネート。
  13. 【請求項13】 一連のポリカーボネート合成における
    分子量の変動を制御するための方法であって、 A)下記の段階a)〜c): a)1種類以上のジヒドロキシ化合物、不活性溶媒、
    水、苛性アルカリ、ハロゲン化カルボニル及び触媒を容
    器に投入し、反応混合物のpHを4〜12に維持する段
    階、 b)容器にハロゲン化カルボニル全体の0〜90%を添
    加する間に、単官能性芳香族クロロホルメート(MA
    C)を生成する反応系を活性化し、容器にハロゲン化カ
    ルボニル全体の0〜90%を添加する間に容器にMAC
    を連続的に導入する段階であって、MAC反応系が容器
    と結合していて、MACを反応系から容器に送るための
    手段を備えてなる段階、及び c)ポリカーボネートを回収する段階 を含んでなる方法でポリカーボネート生成物バッチを製
    造する段階、及び B)所望の数の生成物のバッチが製造されるまでA)を
    繰り返す段階 を含んでなり、各反応毎に導入するMAC、苛性アルカ
    リ、ハロゲン化カルボニル、ジヒドロキシ化合物、触媒
    及び不活性有機溶媒の量が実質的に等しい、方法。
  14. 【請求項14】 各バッチに導入するMACの量が、各
    バッチの二官能性モノマーのモル数を基準にして1〜2
    0モル%である、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 不活性有機溶媒が、ペンタン、ヘキサ
    ン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、
    クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、
    クロロホルム、塩化メチレン及びこれらの混合物からな
    る群から選択される、請求項13記載の方法。
  16. 【請求項16】 不活性有機溶媒が塩化メチレンであ
    る、請求項13記載の方法。
  17. 【請求項17】 ハロゲン化カルボニルがホスゲンであ
    る、請求項13記載の方法。
  18. 【請求項18】 苛性アルカリが水酸化ナトリウムであ
    る、請求項13記載の方法。
  19. 【請求項19】 苛性アルカリを水に溶解して水溶液を
    形成する、請求項13記載の方法。
  20. 【請求項20】 ジヒドロキシ化合物がビスフェノール
    からなる、請求項13記載の方法。
  21. 【請求項21】 ビスフェノールがビスフェノールAで
    ある、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 請求項13記載の方法で製造されるポ
    リカーボネート。
  23. 【請求項23】 ポリカーボネートの製造方法であっ
    て、 a)1種類以上のジヒドロキシ化合物、不活性有機溶
    媒、水、及び任意成分としての苛性アルカリを容器に投
    入して反応混合物を形成する段階、 b)段階a)の後、反応混合物のpHを4〜12に維持
    しながら反応混合物を含んだ容器にハロゲン化カルボニ
    ル及び苛性アルカリを同時に導入する段階、及び c)容器にハロゲン化カルボニル全体の0〜90%を添
    加する間に、単官能性芳香族クロロホルメート(MA
    C)を生成する反応系を活性化し、容器にハロゲン化カ
    ルボニル全体の0〜90%を添加する間に容器にMAC
    を連続的に導入する段階 を含んでなり、MAC反応系が容器と結合していて、M
    ACを反応系から容器に送るための手段を備えてなる、
    方法。
  24. 【請求項24】 一連のポリカーボネート合成における
    分子量の変動を制御するための方法であって、 A)下記の段階a)〜e): a)1種類以上のジヒドロキシ化合物、不活性有機溶
    媒、水、及び任意成分としての苛性アルカリを容器に投
    入して反応混合物を形成する段階、 b)段階a)の後、反応混合物のpHを4〜12に維持
    しながら反応混合物を含んだ容器にハロゲン化カルボニ
    ル及び苛性アルカリを同時に導入する段階、及び c)容器にハロゲン化カルボニル全体の0〜90%を添
    加する間に、オンデマンド式に単官能性芳香族クロロホ
    ルメート(MAC)を生成する反応系を活性化し、ハロ
    ゲン化カルボニル全体の0〜90%を添加する間に容器
    にMACを連続的に導入する段階であって、MAC反応
    系が容器と結合していて、MACを反応系から容器に送
    るための手段を備えてなる段階、 d)MACを容器に導入する段階、及び e)ポリカーボネートを回収する段階 を含んでなる方法でポリカーボネート生成物のバッチを
    製造する段階、及び B)所望の数の生成物のバッチが製造されるまでA)を
    繰り返す段階 を含んでなり、各生成物バッチに導入されるMAC、苛
    性アルカリ、ハロゲン化カルボニル、ジヒドロキシ化合
    物、触媒及び不活性有機溶媒の量が実質的に等しい、方
    法。
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