JP3167450B2 - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JP3167450B2 JP25964292A JP25964292A JP3167450B2 JP 3167450 B2 JP3167450 B2 JP 3167450B2 JP 25964292 A JP25964292 A JP 25964292A JP 25964292 A JP25964292 A JP 25964292A JP 3167450 B2 JP3167450 B2 JP 3167450B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二価フェノールとハロゲ
ン化カルボニル化合物を原料として界面重縮合により分
子量の調節された色調の良い透明性に優れたポリカーボ
ネートを製造する方法に関し、さらに詳しくは、ハロゲ
ン化カルボニル化合物の過剰率および加水分解反応を抑
え、反応に用いるアルカリ量および水量の削減、また反
応温度の制御を不要としたポリカーボネートの合理的製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃
性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチック
として多くの分野に幅広く用いられている。従来、ポリ
カーボネートの製造方法としては、二価フェノールのア
ルカリ水溶液とハロゲン化カルボニル化合物とを有機溶
媒の存在下で反応させてハロホーメート基を有する低分
子量のポリカーボネートオリゴマーを形成し、次いで該
オリゴマーを重合させる界面重合法[Intersci
ence Publishing,“Encyclop
edia of Polymer Sciencean
d Technology”10,710(196
9),“Chemistry and Pysics
of Polycarbonate”33(196
4)]が知られている。
【0003】ポリカーボネートオリゴマーの重合は無触
媒で実施するとかなり長い重合時間を要するため、通
常、重合触媒を添加して重合を行うが、従来、効率良
く、短時間で重合を行う幾つかの改良技術が知られてい
る。例えば、該オリゴマーを高乳化状態に形成維持し、
重合させることにより高分子量のポリカーボネートを製
造する方法(特公昭37−2198号公報)、重合触媒
として3級アミンを使用する方法(米国特許第3,27
5,601号)、重合触媒として3級アミンと4級アン
モニウム塩を併用する方法(特開昭61−238823
号公報)、二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲン
から低分子量のポリカーボネートオリゴマーを調製し、
乳化状態にあるポリカーボネートの分子量が所定の70
%以上になった時点で3級アミンを添加して重合させる
方法(特開平2−133425号公報)等がある。
【0004】しかし、これらの方法は、ハロホーメート
化工程と重合工程の二段階の反応工程から成るため、全
工程を行うには、少なくともハロホーメート化工程の2
倍以上の反応時間を要する上、ハロホーメート化工程の
間に、かなりの量のハロゲン化カルボニル化合物及び/
又はそれから誘導されるハロホーメート基の加水分解が
起こるため、二価フェノールに対して、かなり過剰量の
ハロゲン化カルボニル化合物を使用する必要があった。
【0005】ところで、二価フェノールのアルカリ金属
塩のハロホーメート化反応は、発熱反応であり、反応熱
が大きいため、系内温度は上昇する。これはハロゲン化
カルボニル化合物の加水分解反応を促進させることにな
る為、特開昭55−52321号公報、特開昭58−1
08226号公報、特開昭62−167321号公報等
では、ハロホーメート化反応を低温に維持し、ハロゲン
化カルボニル化合物の加水分解を抑制するための工夫が
なされている。
【0006】しかし、これらの温度制御の条件は室温ま
たはそれ以下であり、ハロホーメート化反応の発熱量が
大きいので冷却条件が厳しく、反応器および反応液の冷
却設備が複雑化し高価なものになってしまうという欠点
がある。また、比較的低温に制御した場合でも、これら
の製法においてはハロゲン化カルボニル化合物およびそ
れより誘導されるハロホーメート基の加水分解反応は避
けられない。
【0007】一方、重合触媒の存在下に、ハロゲン化カ
ルボニル化合物を供給してハロホーメート化反応と重合
反応を一段階で行う方法も知られている。米国特許第
3,173,891号には二価フェノールと、重合触媒
と分子量調節剤を存在させたスラリー系にホスゲンを吹
き込み、更に系内のpHを10.5〜11.8に維持し
うるアルカリ水溶液を逐次添加して反応させ、ポリカー
ボネートを製造する方法が開示されている。しかし、こ
の方法ではポリカーボネートの分子量調節は可能である
が、多分散性インデックス(重量平均分子量の数平均分
子量に対する比)が大きくなり、耐熱分解性、耐衝撃抵
抗性に充分な性質を発揮し得ない。
【0008】また、特公昭57−20961号公報には
カーボネート前駆物と2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと称する)
をアルカリ金属水酸化物を含有する水性媒体中で反応さ
せる際に、系内に重合触媒と分子量調節剤をあらかじめ
存在させ、反応中のpHを8.0〜10.5に維持する
に十分なアルカリ金属水酸化物を添加することにより改
良された耐熱分解性、耐衝撃抵抗性を有するポリカーボ
ネートの調製法が開示されている。
【0009】さらに、特公昭57−22933号公報に
は、(a)ビスフェノールAに対し化学量論量の70〜
95%のカーボネート前駆物を加え、その間このカーボ
ネート前駆物と同時に6.0〜10.0のpHを維持す
るのに十分なアルカリ金属水酸化物を加え、(b)pH
を少なくとも11.0に上げるのに十分なアルカリ金属
水酸化物溶液を加え、そして(c)11.0のpHを維
持しながら化学量論量の残部量のカーボネート前駆物を
反応させるポリカーボネートの調製方法が開示されてい
る。
【0010】単に系のpHを調節するのみで改良された
熱安定性、耐衝撃抵抗性を有するポリカーボネート樹脂
が得られる事は公知であるが、上記方法においては、反
応初期のpHが約6.0〜10.5であり、二価フェノ
ールが完全には溶解していない状態、つまり固体状態の
二価フェノールが存在している状態で反応を開始するこ
とになる。二価フェノールの水に対する溶解度は、(I
nd.Eng.Chem.Res.30,462(19
91))に示されており、ビスフェノールAは、pH1
1.2で水に対する溶解度が最も良く(1.2mol/
L)、pH10.5では約0.05mol/Lである。
反応初期に固体状態の二価フェノールが存在する場合、
界面反応条件では強力な攪拌が要求されるので、反応槽
内で固体状態の二価フェノールの飛散が起こり、反応槽
の上部等に付着した固体状態の二価フェノールが未反応
のまま残存する。これらの未反応二価フェノールは、重
合後、ポリカーボネートの有機溶媒溶液を反応槽から抜
き出す際に、二価フェノールの有機溶媒溶液に混入し、
溶融成形時の着色原因になる。
【0011】また、二価フェノールは、塩基存在下で溶
解する際に、着色しやすいため、着色を低減して二価フ
ェノールのアルカリ水溶液を調製するには、比較的低温
(約20℃以下)で溶解させる必要がある。上記重合方
法においては、二価フェノールの溶解は反応温度が上昇
した後に行われるため、反応中、特別な冷却手段によっ
て保冷しなければ、優れた色調のポリカーボネート樹脂
を得ることはできない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分子量の調
節された色調の良い透明性に優れたポリカーボネート
を、短時間かつ必要最小限の原料使用量で、特別な温度
制御を必要とせず、合理的に製造することを目的とする
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、重合触媒の存在
下、有機溶媒中に、二価フェノールのアルカリ水溶液と
ハロゲン化カルボニル化合物とを量比を一定とし連続的
に供給し重合させることによって、前記の目的が達成さ
れることを見出し本発明を完成した。
【0014】即ち、本発明は、二価フェノールとハロゲ
ン化カルボニル化合物を原料として、界面重縮合により
ポリカーボネートを製造する方法において、重合触媒の
存在下、有機溶媒中に、二価フェノール及び分子量調節
剤のアルカリ水溶液とハロゲン化カルボニル化合物とを
量比を一定とし連続的に供給し重合させることを特徴と
するポリカーボネートの製造方法である。
【0015】本発明方法においては、二価フェノールは
完全にアルカリ金属塩として溶解した状態で反応系に供
給され、同時に反応系に供給されたハロゲン化カルボニ
ル化合物と即座に反応する為、ハロゲン化カルボニル化
合物およびそれより誘導されるハロホーメート基の加水
分解は抑制される。又、反応初期から中期において、反
応系中の液は低沸点の有機溶媒が主であり、反応熱の放
射がその有機溶媒の蒸発潜熱によって容易に行われるの
で、特別な冷却装置を施さなくても最終的な系の温度上
昇は抑えられ、副反応を抑制することができる。したが
って、分子量の調節された色調の良い透明性に優れたポ
リカーボネート樹脂を、必要最小限の原料使用量で、温
度制御を必要とせず、且つハロゲン化カルボニル化合物
の加水分解反応を極めて少量に抑制し、合理的に製造す
ることができるのである。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて用いられる二価フェノールは、一般式(1)で表
される化合物である。 HO−R−OH (1) (式中Rは6〜18個の炭素原子を有する1個又は2
個以上の芳香族核から成り、これらが互いに直接結合し
ているか又は場合により2価の架橋員子を経て互いに結
合している2価の芳香残基を意味するものである。)
【0017】本発明において、二価フェノールは好まし
くは一般式(2)または(3)で表される。 HO−Ar1−X−Ar2−OH (2) HO−Ar3−OH (3) (式中、Ar1、Ar2、Ar3は各々単環の無置換あ
るいはハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロア
ルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基ま
たはアルコキシ基等の置換基をもつ二価芳香族基であ
り、XはAr1とAr2を結び付ける基である。)上記
式において、Ar1,Ar2およびAr3は、各々単環
の二価芳香族基、即ち、フェニレン基もしくは置換基を
有する置換フェニレン基であり、置換基としては、ハロ
ゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、
アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはアルコ
キシ基等が挙げられる。Ar1とAr2の両方がp−フ
ェニレン基、m−フェニレン基またはo−フェニレン
基、あるいは、一方がp−フェニレン基であり、他方が
m−フェニレン基またはo−フェニレン基であることが
好ましく、特にAr1とAr2の両方がp−フェニレン
基であることが好ましい。
【0018】XはAr1とAr2を結び付ける基であ
り、単結合もしくは二価の炭化水素基、更には−O−、
−S−、−SO−、−SO2−、−CO−等の炭素と水
素以外の原子を含む基であっても良い。二価の炭化水素
基とは、飽和の炭化水素基、例えば、メチレン、エチレ
ン、2,2−プロピリデン、シクロヘキシリデン等のア
ルキリデン基が挙げられるが、アリール基等で置換され
た基も包含され、また、芳香族基やその他の不飽和の炭
化水素基を含有する炭化水素基であっても良い。
【0019】二価フェノールの具体例としては、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニルエタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェ
ノールA]、2−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−
(3’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビ
ス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’−エチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−n−プロピル
−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3’−イソプロピル−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3’−sec−ブチル−4’−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−
tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’−シクロヘキシル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−アリ
ル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2’,
3’,5’,6’−テトラメチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−(3’−クロロ−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,
5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’−ブロモ−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジブロ
モ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(2’,6’−ジブロモ−3’,5’−ジメチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シアノメタン、1−シアノ−3,3−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類、
【0020】1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)アダマンタン等のビス(ヒドロキシアリール)シク
ロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエー
テル、4、4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジ
フェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリー
ル)エーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチ
ルジフェニルスルフィド等のビス(ヒドロキシアリー
ル)スルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ
メチルジフェニルスルホキシド等のビス(ヒドロキシア
リール)スルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−
ジメチルジフェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリ
ール)スルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケ
トン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケ
トン等のビス(ヒドロキシキシアリール)ケトン類、
【0021】更には、6,6’−ジヒドロキシ−3,
3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン
[スピロインダンビスフェノール],トランス−2,3
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、
9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−
ブタノン、1,6−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
−1,6−ヘキサンジオン、1,1−ジクロロ−2,2
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1
−ジブロモ−2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5’
−フェノキシ−4’−ヒドロキシフェニル)エチレン、
α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−m−キシレン、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニル等が挙げられる。上記の二価フェノール
の他にもハイドロキノン、レゾルシン等も同様に使用さ
れる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用
してもよい。本発明において、特に好ましく使用される
二価フェノールは、ビスフェノールAである。更に又、
例えば、ビスフェノールA2モルとイソフタロイルクロ
ライド又はテレフタロイルクロライド1モルとを反応さ
せることにより製造することができるエステル結合を含
むビスフェノール類も有用である。
【0022】本発明において用いられる分子量調節剤と
しては、一価のフェノール類が用いられる。これらの例
としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾー
ル、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p
−エチルフェノール、o−クミルフェノール、m−クミ
ルフェノール、p−クミルフェノール、o−シクロヘキ
シルフェノール、m−シクロヘキシルフェノール、p−
シクロヘキシルフェノール、o−ノニルフェノール、m
−ノニルフェノール、p−ノニルフェノール、o−メト
キシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキ
シフェノール、o−イソオクチルフェノール、m−イソ
オクチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、o
−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロ
ロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェ
ノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノー
ル、ペンタクロロフェノール、β−ナフトール、α−ナ
フトール等があり、これらは単独で、或いは2種以上混
合して使用される。入手の容易さ等からフェノール、或
いはp−tert−ブチルフェノールが好ましく、本発
明方法において特に好ましくはp−tert−ブチルフ
ェノールである。
【0023】分子量調節剤の使用量は、製造されるポリ
カーボネートの要求される平均分子量に応じて使用され
る。本発明において、製造されるポリカーボネートは、
分子量調節剤の使用により任意の分子量をとることがで
きるが、成形加工性、耐熱分解性、耐衝撃抵抗性等の諸
物性より、約4000〜60000の数平均分子量であ
ることが好ましく、更には約10000〜30000の
数平均分子量であることが好ましい。上記の範囲の数平
均分子量のポリカーボネートを製造するために必要な分
子量調節剤の使用量は、使用する二価フェノールの量に
対して、約0.5〜8.2モル%であり、好ましくは
1.50〜6.65モル%である。
【0024】本発明においては分子量調節剤は二価フェ
ノールとともに、その水酸基数と当量のアルカリを使用
し二価フェノール及び分子量調節剤のアルカリ水溶液を
調整し、反応に供する。
【0025】本発明において、二価フェノール及び分子
量調節剤のアルカリ水溶液を調整するために使用される
アルカリは、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属もしくはア
ルカリ土類金属の水酸化物である。比較的入手が容易な
点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、
中でも水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリの使用量
としては、二価フェノール及び分子量調節剤のアルカリ
水溶液を調製する際に、使用した二価フェノール及び分
子量調節剤の総水酸基数と当量のアルカリを使用する。
すなわち、アルカリの使用量は、二価フェノール及び分
子量調節剤の水酸基に対し当量比にして1.00〜1.
10倍量であり、好ましくは1.01〜1.05倍量で
ある。アルカリの使用量がこの範囲よりも少ない場合
は、反応の理論量に達しないことになり不都合であり、
また、1.10を越えるとハロゲン化カルボニル化合物
およびそれより誘導されるハロホーメート基の加水分解
を引き起こす原因となり好ましくない。
【0026】二価フェノール及び分子量調節剤のアルカ
リ水溶液を調製するために用いられる水は、先に述べた
二価フェノール及び分子量調節剤の総水酸基数と当量の
アルカリを使用する条件において、二価フェノール及び
分子量調節剤が完全に溶解するのに必要十分な量を使用
するのが良い。すなわち、使用する水量としては、二価
フェノールに対し5〜8重量倍であり、特に好ましくは
二価フェノールに対し6〜7重量倍である。水量がこの
量より少ない場合には、二価フェノールの完全な溶解が
行われず、固体状態の二価フェノールが、後のハロホー
メート化反応及び重合反応中に飛散したり、昇温された
後に二価フェノールが溶解する等、ポリカーボネートの
着色原因となるため好ましくない。又、過度に多すぎる
水量は、工業的に生産性を低下させるため好ましくな
い。
【0027】二価フェノールをアルカリ水溶液として水
に溶解させる際には、酸化による着色を防止するために
還元剤を添加しても良い。これら還元剤としては、ハイ
ドロサルファイトナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜
硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられ
る。
【0028】本発明において、有機溶媒としては、反応
に対して不活性で、ハロゲン化カルボニルおよびポリカ
ーボネートを溶解し、水には実質的に溶解しない任意の
化合物を用いることができる。具体的には、ジクロロメ
タン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリク
ロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等
の脂肪族塩素化物、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン
等の芳香族塩素化物等の塩素化炭化水素あるいはそれら
に、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪
族炭化水素等を混合した有機溶媒が挙げられる。中でも
特に好ましくはジクロロメタンである。
【0029】有機溶媒の使用量は、重合終了時の有機溶
媒中のポリカーボネートの濃度が約5〜35重量%程度
になるように使用するのが好ましく、更には10〜25
重量%が好ましい。ポリカーボネートの濃度が極端に低
い場合には多量の有機溶媒を必要とし、生産性の点から
好ましくない。また、ポリカーボネートの濃度が高い場
合は、ポリカーボネートの有機溶媒溶液の粘度が非常に
高くなるため、界面重合の反応攪拌効率の低下、重合後
の精製及び取扱いが困難になるなどの問題があり好まし
くない。
【0030】本発明において、重合触媒は反応に先立
ち、有機溶媒中に予め添加しておくことが必要である。
これらの重合触媒としては、三級アミン、四級アンモニ
ウム塩、二級ホスフィン、四級ホスホニウム塩、あるい
は、含窒素複素環化合物及びその塩、イミノエーテル及
びその塩、アミド基を有する化合物等が挙げられる。具
体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ
ブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミ
ン、トリデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシ
ルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等の
第三級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロ
ライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエ
チルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルア
ンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩であ
り、中でもトリエチルアミン、トリメチルベンジルアン
モニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウム
クロライドが好ましい。本発明方法においては、廉価で
入手しやすく、重合促進効果に優れているトリエチルア
ミンがより好ましく使用される。
【0031】重合触媒の使用量は、二価フェノールに対
して0.001〜1.5モル%であり、特に好ましくは
0.01〜1.0モル%である。触媒量が0.001モ
ル%未満の場合には、重合速度が遅く、長い反応時間を
要し、ハロゲン化カルボニルおよびそれより誘導される
ハロホーメート基の加水分解を抑制する効果も減少す
る。触媒量が1.5モル%より多い場合には、しばしば
多分散性インデックスの大きいポリカーボネートが得ら
れることがあり、製造されるポリカーボネートの物性面
において好ましくない結果が得られる。
【0032】本発明で用いるハロゲン化カルボニル化合
物は、通常、ホスゲンと称される塩化カルボニルが用い
られるが、塩素以外のハロゲンより誘導されるハロゲン
化カルボニル、例えばブロモホスゲン、ヨウ化カルボニ
ル、フッ化カルボニル等でもよく、これらの混合物であ
ってもよい。また、ハロホーメート基を形成させる能力
を有する化合物、例えば、ホスゲンの2量体であるトリ
クロロメチルクロロホーメートやホスゲンの3量体であ
るビス(トリクロロメチル)カーボネート等であっても
良いが、通常はホスゲンを使用するのが好ましい。
【0033】本発明は、重合触媒の存在下、有機溶媒中
に、ハロゲン化カルボニル化合物と二価フェノール及び
分子量調節剤のアルカリ水溶液を、量比を一定とし反応
系に連続的に供給し逐次反応させる方法である。即ち、
二価フェノールは、同時に反応系に供給されたハロゲン
化カルボニル化合物と即座に反応する為、ハロゲン化カ
ルボニル化合物およびそれより誘導されるハロホーメー
ト基の加水分解は極めて少量に抑制される。したがっ
て、本発明においては、ハロゲン化カルボニル化合物の
使用量を最小限に抑えることが出来、この使用量は二価
フェノールに対し量比にして1.00〜1.10の範
囲である。
【0034】また、二価フェノール及び分子量調節剤の
アルカリ水溶液とハロゲン化カルボニル化合物とを、連
続的に供給する際、これらの一定の量比とは二価フェノ
ールおよびハロゲン化カルボニル化合物の化学量論量を
ほぼ等しくした範囲である。
【0035】本発明においては、原料の供給速度によっ
て反応中の系内のpHは微妙に変化するが、反応中の系
内のPHは10.0〜11.0の範囲内に維持されるこ
とが好ましい。反応中のpHがこの範囲よりも低い値を
示す場合は、反応系内でハロゲン化カルボニル化合物が
過剰になっており、得られるポリカーボネートは所望の
分子量に達せずそれ本来の力学的性質を示さない。先に
示した範囲よりも高いpHでの制御も可能であるが、こ
の場合pH制御用に別に設けたアルカリを供給する必要
があり、過剰のアルカリの存在はハロゲン化カルボニル
化合物およびそれから誘導されるクロロホーメート基の
加水分解を促進することになり好ましくない。反応開始
時に当たって、系内の液が有機溶媒のみであるとpHの
監視が正確に行えないこともあるので、若干量のアルカ
リ金属水酸化物水溶液を敷いておくことが好ましい。
【0036】反応時の撹拌は、界面重合反応において重
要な要因とされるが、早い撹拌を行うことは、ハロゲン
化カルボニル化合物及びそれから誘導されるクロロホー
メー基の加水分解を促進することになるため好ましくな
い。また、極端に遅い撹拌速度では、界面での接触面積
が低減してしまい界面下での反応が良好に進まなくな
る。好ましい撹拌速度は、重合槽の形状や撹拌翼の形状
等にもよるため回転数だけで示すことはできないが、通
常は、有機溶媒相と水相が、ほぼ均一に混ざり合い安定
した乳化状態を形成し得る程度の撹拌速度で反応を行う
とよい。
【0037】本発明の方法において、反応は室温から有
機溶媒の沸点の範囲で行うことができる。過度に低い温
度では、反応速度が非常に遅くなり実用的ではない。従
来の方法では、ハロゲン化カルボニル化合物およびそれ
から誘導されるハロホーメート基の加水分解を抑制する
ために、25℃あるいはそれ以下の温度に制御して反応
させることが必要であったが、本発明の方法は、反応熱
の放射が容易であり系の急激な昇温が避けられ、また、
主反応がほぼ選択的に進行する環境となっている為、特
別な温度制御を必要とせず副反応を抑えることが可能で
ある。過度に高い反応温度では、ハロゲン化カルボニル
化合物の加水分解や吹き去り等が起こり反応効率が悪く
なるので好ましくない。有機溶媒としてジクロロメタン
を用いる場合には、20〜40℃の範囲で反応が行われ
る。
【0038】本発明において、原料の供給は、20〜1
80分間の範囲で行うことが好ましく、特に好ましくは
30〜120分間である。供給がこの範囲より早い場合
には、ハロゲン化カルボニル化合物やアルカリが反応系
内に滞在することになり、結果としてハロゲン化カルボ
ニル化合物の加水分解を引き起こし転化率が低下する。
また、この範囲を超えると、供給終了間際の反応系内
に、かなり生長し停止した分子鎖と比較的分子量の小さ
いオリゴマーと原料とが混在することになり、分子量分
布が広く、多分散性インデックスの大きいポリカーボネ
ートが得られることになる。さらに、重合完了時間の遅
延は、生成したポリカーボネートのカーボネート結合の
切断を引き起こす原因となるため好ましくない。
【0039】本発明においては、所望によりさらに分岐
化剤を添加して分岐されたポリカーボネートを製造する
こともできる。添加する分岐化剤としては、三つ以上の
芳香族性ヒドロキシ基、クロロホーメート基、カルボン
酸基、カルボン酸クロライド基または活性なハロゲン原
子を有する化合物であり、具体的には、フロログルシノ
ール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−
ヒドロキシフェニル)−ヘプト−2−エン、4,6−ジ
メチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4’−ヒドロキシ
フェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4’−ヒド
ロキシフェニル)エタン、トリス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)フェニルメタン、2,2’−ビス〔4’,4’
−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシ
ル〕プロパン、2,4−ビス(ヒドロキシフェニルイソ
プロピル)フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ
−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2
−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−(2”,4”−
ジヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス
(4’,4”−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベン
ゼンや、トリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸クロ
ライド、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−
2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビ
ス(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフェニル)−2−
オキソ−2,3−ジヒドロインドール等である。
【0040】分岐化剤の使用量は、目的とするポリカー
ボネートの分岐度により変化させることができるが、通
常は、二価フェノールのモル数に対して0.05〜2.
0モル%程度用いるのが良い。また、分岐化剤の添加時
期は、二価フェノール及び分子量調節剤のアルカリ水溶
液中に存在させておくことが好ましいが、その他の方
法、例えば有機溶媒溶液、塩基水溶液の状態で、反応中
の任意の時点で加えても良い。
【0041】重合反応を完結させるために、原料の供給
終了時点よりさらに約30〜90分の熟成をおこなう。
熟成によって、原料の供給終了時に残存しているハロホ
ーメート末端とOH末端基を持ったポリカーボネートは
完全に反応し、回分式条件下での反応においては回分毎
の再現性が向上する。この熟成時間は反応系の乳化状
態、すなわち攪拌速度等にも因るが、長時間の熟成はポ
リカーボネートのカーボネート結合の切断を引き起こす
ことがあり、また生産性の点からも好ましくない。
【0042】この様にして製造されたポリカーボネート
の有機溶媒溶液は、次いで酸による中和、および水洗を
繰り返して電解質が実質的に存在しなくなるまで洗浄さ
れる。その後このポリカーボネートの有機溶媒溶液か
ら、公知の方法により有機溶媒を除去して、ポリカーボ
ネートを得ることができる。本発明の実施態様において
は、ポリカーボネートの形成反応は回分式条件下で行う
ものであるが連続式条件下で行うこともできる。例え
ば、2基以上の反応槽に順次原料供給を切り替えるシス
テムを取ることにより、本発明方法を利用したポリカー
ボネートの連続的製造が可能である。
【0043】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに具体的に
説明するが、これは本発明の範囲を限定するものではな
い。尚、各特性値は下記の方法で測定した。 (ホスゲンの加水分解量)反応後に分離した水相を酸に
より中和滴定して、反応中に生成した炭酸ナトリウムお
よび炭酸水素ナトリウムのモル量を求め、下記のホスゲ
ンの加水分解反応式に準じて、それを分解したホスゲン
のモル量とし、仕込み量からの比で算出した。 COCl2+4NaOH → Na2CO3+2NaCl
+H2O COCl2+H2O+2Na2CO3 → 2NaHCO3
+CO2+2NaCl (相対粘度)ポリカーボネートの粉末100mgをジク
ロロメタン20mlに溶解させ、オストワルド粘度計に
て20℃で測定する。 (分子量分布)ポリカーボネートの0.2重量%クロロ
ホルム溶液を調製し、ゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィー(昭和電工社製 SYSTEM−11)に
より重量平均分子量(Mw)と、多分散性インデックス
(Mw/Mn)を求めた。 (溶融粘度)メルトフロー・インデクサー(東洋精機社
製)を用いて、荷重2.16kg、280℃での条件
で、一定時間に流出する樹脂の重量を測定し、10分間
に換算した重量で示す。 (YI値〔黄色度〕)得られたポリカーボネート粉末を
押し出し機(東洋精機社製)でペレット化した後に射出
成形機(日精樹脂工業社製)にて肉厚3mmのポリカー
ボネート成形品を作成し、その成形品のYI値をカラー
コンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定した。
【0044】実施例1 ホスゲン吹き込み管、原料供給管、温度計、pH測定用
電極、および攪拌機を備えた3リットルセパラブルフラ
スコにトリエチルアミン1.26g(0.012モル)
を溶解させたジクロロメタン1330gと、敷水として
1%NaOH水溶液100gを装入し系内を窒素置換し
ておく。そして、別に用意した2リットルセパラブルフ
ラスコにビスフェノールA280.0g(1.23モ
ル)、p−tert−ブチルフェノール6.34g
(0.042モル)、ハイドロサルファイトナトリウム
0.56g、そして45%水酸化ナトリウム水溶液22
2.40g(2.502モル)を水1478gに溶解さ
せて反応槽と同様に系内を窒素置換する。このビスフェ
ノールAアルカリ水溶液を、定量ポンプを用い、原料供
給管を通して33.1g/minの供給速度で反応槽に
装入する。それと同時に、ホスゲン121.8g(1.
23モル)を2.03g/minの速度で反応槽に供給
し、400rpmで攪拌し重合を行う。原料供給は60
分で終了し、反応中の系内温度は25〜36℃、pHは
10.0〜10.1であった。原料供給終了後、引き続
き400rpmで90分間攪拌し反応を完結させ、その
後、反応液を静置分液し、ポリカーボネートのジクロロ
メタン溶液を分離した。尚、反応後の水相中の炭酸ナト
リウム濃度を測定し、それより算出したホスゲンの加水
分解量は2.2%であった。次に、このポリカーボネー
トのジクロロメタン溶液を0.1N塩酸1リットルと混
合、充分な乳化状態に至るまで攪拌し中和処理を行っ
た。そして再び静置分液により有機相を分離した後、純
水1リットルと混合、同様に攪拌し水洗処理を行った。
この水洗処理は、水洗排水の電導度が1μS/cm以下
になるまで繰り返した。最後に精製処理を終えたポリカ
ーボネートのジクロロメタン溶液を濾過した後に、有機
溶媒を留去してポリカーボネート粉末を得た。下記に示
す第1表(表1)に反応条件を、第2表(表2)に合成
されたポリカーボネートの相対粘度(η)、重量平均分
子量(Mw)、多分散性インデックス(Mw/Mn)、
溶融粘度(MI)、そして、射出成形物の色相(YI
値)の結果を示す。
【0045】実施例2 実施例1と同様の操作によりポリカーボネートを製造す
るに当たり、ビスフェノールAのアルカリ水溶液を2
8.4g/min、ホスゲンを1.74g/minの速
度で供給し、重合反応を行った。反応中の系内温度は2
5〜34℃、pHは10.8〜11.0、また、ホスゲ
ンの加水分解量は1.8%であった。
【0046】実施例3 実施例1と同様の操作によりポリカーボネートを製造す
るに当たり、反応中のpHを12.0〜12.2に制御
した。この場合、pH制御を行うためには初めの仕込み
のほかに新たに22.2gの45%水酸化ナトリウム水
溶液を加えなければならなかった。また、原料の供給速
度はビスフェノールAのアルカリ水溶液を15.3g/
min、ホスゲンを0.94g/minの速度であり、
これ以上の供給速度ではpHの制御が困難であった。反
応中の系内温度は25〜34℃、そして、ホスゲンの加
水分解量は5.4%であった。
【0047】比較例1 ホスゲン吹き込み管、温度計、pH測定用電極、および
攪拌機を備えた3リットルセパラブルフラスコにビスフ
ェノールA280.0g(1.23モル)、p−ter
t−ブチルフェノール6.34g(0.042モル)、
ハイドロサルファイトナトリウム0.56g、そして4
5%水酸化ナトリウム水溶液222.40g(2.50
2モル)を水1478gに溶解させて系内を窒素置換す
る。そして、そこにジクロロメタン1330gを装入し
た後、400rpmで攪拌しながら、ホスゲン121.
8g(1.23モル)を2.03g/minの速度で反
応槽に供給し、ポリカーボネートオリゴマーを形成させ
る。反応中の系内温度は32〜38℃、pHは反応前で
13.5、ホスゲン供給終了後で12.3であった。次
いで、トリエチルアミン1.26g(0.012モル)
を加え、引き続き400rpmで90分間攪拌し重合を
行った。その後、反応液を静置分液し、ポリカーボネー
トのジクロロメタン溶液を分離した。尚、ホスゲンの加
水分解量は15.2%であった。
【0048】比較例2 比較例1 と同様の操作によりポリカーボネートを製造す
るに当たり、ホスゲン供給前の反応槽にあらかじめトリ
エチルアミン1.26g(0.012モル)を加えてお
き、ホスゲン化と同時に重合を進行させた。反応中の系
内温度は32〜38℃、pHは反応前で13.5、反応
終了後で10.3であった。また、ホスゲンの加水分解
量は10.8%であった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明方法によれば、分子量の調節され
た色調の良い透明性に優れたポリカーボネート樹脂を、
必要最小限の原料使用量で、且つホスゲンの加水分解反
応を極めて少量に抑制し、合理的に製造することが可能
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福入 靖 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化 学株式会社内 (72)発明者 大淵 省二 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化 学株式会社内 (72)発明者 太田 正博 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化 学株式会社内 審査官 油科 壮一 (56)参考文献 特開 平4−146922(JP,A) 特開 平4−126715(JP,A) 特公 昭46−21460(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二価フェノールとハロゲン化カルボニル
    化合物を原料として、界面重縮合によりポリカーボネー
    トを製造する方法において、あらかじめ準備した重合触
    媒、敷水及び有機溶媒のみからなる反応槽中に、ハロゲ
    ン化カルボニル化合物の二価フェノールに対する使用量
    が当量比にして1.00〜1.10の範囲であり、二価
    フェノール及び分子量調節剤のアルカリ水溶液とハロゲ
    ン化カルボニル化合物とを連続的に供給し重合させるこ
    とを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】 重合時のpHが10.0〜11.0の範
    囲である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 二価フェノール及び分子量調節剤の水酸
    基に対するアルカリ使用量が当量比にして1.00〜
    1.10の範囲である請求項1記載の製造方法。
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