JP5775346B2 - ポリカーボネートオリゴマー連続製造の制御方法 - Google Patents
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Description
界面法では、ポリカーボネートの原料としては、ビスフェノール類、水酸化ナトリウム等のアルカリ化合物及びホスゲンが用いられ、必要に応じて末端停止剤(分子量調節剤)等が添加される。また、ポリカーボネートの工業的製造プラントでは、一般に、ビスフェノール類のアルカリ水溶液にホスゲンを吹き込んで反応性のクロロフォーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させ、この生成と同時にあるいは逐次的に、さらにポリカーボネートオリゴマーとビスフェノール類のアルカリ水溶液とを反応させることにより、ポリカーボネートが製造されている。
しかしながら、ホスゲンは毒性が高いため、貯蔵しておくことは安全性の観点から望ましくなく、例えば液化ホスゲン貯槽が腐食等により破損した場合にはホスゲンが漏洩するというリスクが存在する。そのようなリスクは、ホスゲン除害設備を設置することで低減することができるが、ホスゲンの保有量が多いためにホスゲンを除害するのに時間がかかる一方、短時間で除害するためには大規模の設備が必要となりコストがかかる。
塩素及び一酸化炭素をホスゲン反応器に供給し未反応の一酸化炭素を含有するホスゲンガスを連続的に製造する工程(1)、並びに前記工程(1)で連続的に製造されたホスゲンガス、二価フェノールのアルカリ水溶液及び有機溶媒をオリゴマー反応器に連続的に供給して、ポリカーボネートオリゴマーを含有する反応混合物を連続的に製造する工程(2)を含むポリカーボネートオリゴマー連続製造の制御方法であって、
下記の条件(i)及び/又は(ii)を満たす場合に、前記工程(1)における塩素及び一酸化炭素の供給を停止すると共に、オリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給を停止させ、かつ、ホスゲンガスを含む有毒ガスを除害手段に移送して無害化する、ポリカーボネートオリゴマー連続製造の制御方法。
条件(i):オリゴマー反応器に供給する溶媒流量(F2[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<F2/(F3×a/100)>の値が、3.27以下となった場合。
条件(ii):オリゴマー反応器に供給するホスゲンガス流量(F1[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<(F3×a/100)/F1>の値が、1.23以下となった場合。
本発明のポリカーボネートオリゴマー連続製造の制御方法は、二価フェノール類とホスゲンとを直接反応させる界面法に適用され、連続反応方式において適用される。
本発明におけるポリカーボネートオリゴマーを連続的に製造する方法は、塩素及び一酸化炭素をホスゲン反応器に供給し未反応の一酸化炭素を含有するホスゲンガスを連続的に製造する工程(1)、並びに前記工程(1)で連続的に製造されたホスゲンガス、二価フェノールのアルカリ水溶液及び有機溶媒をオリゴマー反応器に連続的に供給して、ポリカーボネートオリゴマーを含有する反応混合物を連続的に製造する工程(2)を含む方法である。
工程(1)は、塩素及び一酸化炭素をホスゲン反応器に供給し未反応の一酸化炭素を含有するホスゲンガスを連続的に製造する工程である。
ポリカーボネートオリゴマーの品質の観点から、一酸化炭素は、コークス、石油、天然ガス、アルコール等と酸素とを反応させて製造し、純度95容量%以上に精製したものが好ましい。特に、硫黄成分の含有量が50ppm以下のものが好ましい。また、塩素:一酸化炭素の比率(モル比)は、好ましくは1:1.01〜1:1.3、より好ましくは1:1.02〜1:1.2である。
なお、反応は、例えば特公昭55−14044号公報等に記載の公知の方法によって行うことができる。触媒として、活性炭を主成分とする触媒を用いることができる。また、反応は発熱反応であるため、ホスゲン反応器を冷却し、反応器内部温度を350℃以下に保つことが好ましい。
工程(2)は、前記工程(1)で連続的に製造されたホスゲンガス、二価フェノールのアルカリ水溶液及び有機溶媒をオリゴマー反応器に連続的に供給して、ポリカーボネートオリゴマーを含有する反応混合物を連続的に製造する工程である。
ホスゲンガスとしては、前記工程(1)で連続的に製造されたホスゲンガスが用いられる。
二価フェノール類を溶解するために使用するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウムが好適である。
二価フェノールのアルカリ水溶液は、予め所定濃度に調整された後に供給される。このとき、その濃度(a[質量%])は滴定等による分析機を用いてオンラインで監視している。測定方法には特に制限はないが、例えば塩酸を用いた滴定によってその濃度を求める方法等が挙げられる。
有機溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
オリゴマー反応器としては、連続反応方式の反応器が用いられ、反応原料を混合する混合部を有する管型構造をした反応器が好ましく用いられる。
なお、オリゴマー反応器は建物内に設置されており、外部と隔離されている。建物内は常時空気の入れ替えを行っており、内部の換気空気はブロア等で除害手段へ送られる。
例として、1時間当たり約200kgのポリカーボネートオリゴマーを製造する場合における好ましい条件を以下に記載するが、これに限定されるものではない。工程(1)により得られるホスゲンガスの流量(F1)は、好ましくは3.7〜4.1kg/hである。塩化メチレン等の有機溶媒の流量(F2)は、好ましくは20〜24kg/hである。ホスゲンガスの温度は、ホスゲンの沸点(7.8℃)〜90℃の範囲が好ましい。二価フェノールのアルカリ水溶液としては、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液が好ましく、予め所定濃度になるように調整され供給される。ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液において、好ましいビスフェノールA濃度(a)は12.5〜14.0質量%であり、好ましい水酸化ナトリウム濃度は5.1〜6.1質量%である。ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液の流量(F3)は、好ましくは42〜46kg/hである。
また、縮合反応が終了した後、反応溶液を公知の方法で洗浄し、濃縮し、粉末化等を行うことにより粉末状のポリカーボネートを得ることができ、さらに押出機等で処理することによりペレット化することができる。
オリゴマー反応器には所定量のホスゲンガス、二価フェノールのアルカリ水溶液及び有機溶媒が連続的に供給される。ホスゲンガスの供給圧力及びオリゴマー反応器内の入口圧力は、ホスゲン反応器やオリゴマー反応器の大きさ、形状等によって適宜設定されるが、通常、ホスゲンガスの供給圧力(P1)が0.4〜0.5MPaG、オリゴマー反応器内の入口圧力(P2)が0.15〜0.35MPaG、両者の圧力差(P1−P2)の値が0.105MPa〜0.35MPaの差圧となるように連続運転される。
条件(i):オリゴマー反応器に供給する溶媒流量(F2[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<F2/(F3×a/100)>の値が、3.27以下となった場合。
条件(ii):オリゴマー反応器に供給するホスゲンガス流量(F1[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<(F3×a/100)/F1>の値が、1.23以下となった場合。
条件(i)は、オリゴマー反応器に供給する溶媒流量(F2[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<F2/(F3×a/100)>の値が、3.27以下となった場合である。当該パラメータは、オリゴマー反応器に供給する溶媒流量と二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量とのバランスを規定したものである。
そのため、本発明では、安全上の観点から、オリゴマー反応器に供給する溶媒流量(F2[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<F2/(F3×a/100)>の値が、3.27以下となった場合に自動システムを起動させる。ただし、一過性のトラブル等により頻繁に自動システムが起動してしまうと、効率よく操業することが難しくなってしまうため、安全性を確保した上で効率よく操業するという観点からは、自動システムが起動する条件は、前記パラメータ<F2/(F3×a/100)>の値が、2.52以下の場合に設定してもよく、更に2.43以下の場合に設定してもよい。
条件(ii)は、オリゴマー反応器に供給するホスゲンガス流量(F1[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<(F3×a/100)/F1>の値が、1.23以下となった場合である。当該パラメータは、オリゴマー反応器に供給するホスゲンガス流量と二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量とのバランスを規定したものである。
そのため、本発明では、安全上の観点から、オリゴマー反応器に供給するホスゲンガス流量(F1[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<(F3×a/100)/F1>の値が、1.23以下となった場合に自動システムを起動させる。ただし、一過性のトラブル等により頻繁に自動システムが起動してしまうと、効率よく操業することが難しくなってしまうため、安全性を確保した上で効率よく操業するという観点からは、自動システムが起動する条件は、前記パラメータ<(F3×a/100)/F1>の値が、1.05以下の場合に設定してもよく、更に1.00以下の場合に設定してもよい。
(a)ホスゲンガスを連続的に製造する工程(1)における塩素及び一酸化炭素の供給を停止する。これは、系内におけるホスゲンガスの量を増加させないことを目的として、ホスゲンガスの製造を中止する操作である。
(b)オリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給を停止する。これは、一部のホスゲンがオリゴマー反応器内で消費されずに未反応のまま下流の工程に流れるおそれがあるため、ホスゲンの漏洩を防止するための操作である。
(c)系内のホスゲンガスを含む有毒ガスを除害手段に移送して無害化する。これは、上記(a)及び(b)の操作によりホスゲンの増加及び漏洩を防止して系内に封じ込めることに加えて、より高い安全性の観点から系内のホスゲンガスを無害化する操作である。
除害手段は、ホスゲンガスを含む有毒ガスを除害剤により無害化するための設備であり、公知のものを用いることができる。具体例としては、除害剤の散布設備、有毒ガスと除害剤とを接触させる吸収塔等が挙げられる。また、特開平6−319946号公報や特開2005−305414号公報等に記載された塔型の除害設備を用いることもできる。
通常運転時は、ホスゲン製造原料の塩素及び一酸化炭素は調節弁を通してホスゲン反応器に供給され、ホスゲン反応器においてホスゲンガスが製造される。反応は発熱反応であるため、ホスゲン反応器は冷却水によって冷却される。
未反応の一酸化炭素を含有するホスゲンガス(反応生成物)は、調節弁を通してオリゴマー反応器に導入される。オリゴマー反応器には、ホスゲンガスに加えて、二価フェノールのアルカリ水溶液(具体的には、例えばビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液)及び有機溶媒(具体的には、例えば塩化メチレン)も導入され、これらの反応により、ポリカーボネートオリゴマーを含有するエマルション溶液が製造される。
なお、塩素及び一酸化炭素の供給路に設けられた調節弁は、これらの流量を自動制御しており、ホスゲンガスのオリゴマー反応器への供給路に設けられた調節弁は、オリゴマー反応器に供給するホスゲンガスの供給圧力を制御している。
異常事態が発生した場合、すなわち、前記パラメータについて、上記の条件(i)及び/又は(ii)を満たす場合には、自動制御装置から、塩素及び一酸化炭素の供給路に設けられた調節弁、ホスゲンガスのオリゴマー反応器への供給路に設けられた調節弁、並びに除害装置への流路に設けられた調節弁に一斉に信号が送られる(図中の太い実線の矢印)。
自動制御装置からの信号により、塩素及び一酸化炭素の供給路に設けられた調節弁が閉じられ、塩素及び一酸化炭素の供給が停止される。また、ホスゲンガスのオリゴマー反応器への供給路に設けられた調節弁が閉じられ、オリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給が停止される。
除害装置への流路に設けられた調節弁は、通常運転時には閉じられているが、自動制御装置からの信号により開けられ、系内のホスゲンガスを含む有毒ガスは除害装置に移送される。除害装置において、ホスゲンガスを含む有毒ガスは無害化される。
(自動制御装置)
図1に示すように、オリゴマー反応器に供給する溶媒流量(F2[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<F2/(F3×a/100)>の値が、3.27以下となった場合(条件(i))又はオリゴマー反応器に供給するホスゲンガス流量(F1[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<(F3×a/100)/F1>の値が、1.23以下となった場合(条件(ii))に、塩素及び一酸化炭素の供給路に設けられた調節弁並びにホスゲンガスのオリゴマー反応器への供給路に設けられた調節弁を閉止し、かつ、除害装置への流路に設けられた調節弁を開放するように制御を行う自動制御装置を設計した。
除害装置として、カスケード・ミニ・リング(CMR)(商品名、マツイマシン(株)製)を充填した塔径600mm、充填層高さ10mの除害塔を使用した。除害塔には、除害剤として濃度10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を2m3/hで循環させた。水酸化ナトリウム水溶液は塔の上部から、有毒なガスは下部から供給した。
ホスゲン反応器として、チューブ内に市販の粒状活性炭(直径1.2〜1.4mmに粉砕した椰子殻活性炭)を充填したシェルアンドチューブ型反応器を使用した。
ホスゲン反応器に一酸化炭素1.2kg/h、塩素2.8kg/hを供給し、ホスゲンガス3.9kg/hを製造した。ホスゲン反応器のシェル部には、90℃の水を通水して反応熱を除去した。
オリゴマー反応器として、内径6mm、長さ30mの管型反応器を使用した。オリゴマー反応器は20℃の冷却槽に浸した。ホスゲンガスは、上流のホスゲン製造工程から連続的にオリゴマー反応器に供給し、オリゴマー反応器に供給するホスゲンガスの供給圧力は0.45MPaGに設定した。
オリゴマー反応器に、ホスゲンガス、濃度6質量%水酸化ナトリウム水溶液にビスフェノールA(BPA)を溶解して得られた濃度(a)13.5質量%のBPA水酸化ナトリウム水溶液、塩化メチレン、分子量調節用の濃度25質量%のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液を供給し、ポリカーボネートオリゴマー溶液を製造した。このとき、ホスゲンガスの供給流量(F1)は3.9kg/h、BPA水酸化ナトリウム水溶液の供給流量(F3)は44kg/h、塩化メチレンの供給流量(F2)は22kg/h、p−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液の供給流量は0.46kg/hとした。F2/(F3×a/100)の値は3.70であり、(F3×a/100)/F1の値は1.52である。なお、オリゴマー反応器内の入口圧力は0.20MPaGであった。
その結果、自動制御装置により、ホスゲン反応器への塩素及び一酸化炭素の供給が停止されるとともにオリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給が停止され、また、ホスゲン反応器で生成したホスゲンガスは除害装置へ移送された。除害塔の出口から排出されたガスについて成分測定を行ったところ、ホスゲンは検出されず無害化されていた。
オリゴマー反応器に供給する塩化メチレン流量(F2)を低下させて14.9kg/hとし、意図的にF2/(F3×a/100)の値を2.51としたこと以外は、実施例1−1と同様にしてポリカーボネートオリゴマーの製造を行った。
その結果、実施例1−1と同様に、自動制御装置により、ホスゲン反応器への塩素及び一酸化炭素の供給が停止されるとともにオリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給が停止され、また、ホスゲン反応器で生成したホスゲンガスは除害装置へ移送された。除害塔の出口から排出されたガスについて成分測定を行ったところ、ホスゲンは検出されず無害化されていた。
オリゴマー反応器に供給する塩化メチレン流量(F2)を低下させて14.4kg/hとし、意図的にF2/(F3×a/100)の値を2.42としたこと以外は、実施例1−1と同様にしてポリカーボネートオリゴマーの製造を行った。
その結果、実施例1−1と同様に、自動制御装置により、ホスゲン反応器への塩素及び一酸化炭素の供給が停止されるとともにオリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給が停止され、また、ホスゲン反応器で生成したホスゲンガスは除害装置へ移送された。除害塔の出口から排出されたガスについて成分測定を行ったところ、ホスゲンは検出されず無害化されていた。
自動制御装置を使用しなかったこと以外は、実施例1−1と同様にしてポリカーボネートオリゴマーの製造を行おうとした。
しかし、自動制御しなかった場合、オリゴマー反応器内の圧力が急激に上昇していった。そして、これ以上操作を続けると、オリゴマー反応器内部の反応液がホスゲン反応器に逆流し、塩化メチレンが蒸発してホスゲン反応器内の圧力が上昇してホスゲン反応器が破損してホスゲンが系外に漏洩することが想定されたため、この操作を中止した。
オリゴマー反応器に供給するBPA水酸化ナトリウム水溶液流量(F3)を低下させて35.5kg/hとし、意図的に(F3×a/100)/F1の値を1.23としたこと以外は、実施例1−1と同様にしてポリカーボネートオリゴマーの製造を行った。
その結果、実施例1−1と同様に、自動制御装置により、ホスゲン反応器への塩素及び一酸化炭素の供給が停止されるとともにオリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給が停止され、また、ホスゲン反応器で生成したホスゲンガスは除害装置へ移送された。除害塔の出口から排出されたガスについて成分測定を行ったところ、ホスゲンは検出されず無害化されていた。
オリゴマー反応器に供給するBPA水酸化ナトリウム水溶液流量(F3)を低下させて30.1kg/hとし、意図的に(F3×a/100)/F1の値を1.04としたこと以外は、実施例2−1と同様にしてポリカーボネートオリゴマーの製造を行った。
その結果、実施例2−1と同様に、自動制御装置により、ホスゲン反応器への塩素及び一酸化炭素の供給が停止されるとともにオリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給が停止され、また、ホスゲン反応器で生成したホスゲンガスは除害装置へ移送された。除害塔の出口から排出されたガスについて成分測定を行ったところ、ホスゲンは検出されず無害化されていた。
オリゴマー反応器に供給するBPA水酸化ナトリウム水溶液流量(F3)を低下させて28.7kg/hとし、意図的に(F3×a/100)/F1の値を0.99としたこと以外は、実施例2−1と同様にしてポリカーボネートオリゴマーの製造を行った。
その結果、実施例2−1と同様に、自動制御装置により、ホスゲン反応器への塩素及び一酸化炭素の供給が停止されるとともにオリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給が停止され、また、ホスゲン反応器で生成したホスゲンガスは除害装置へ移送された。除害塔の出口から排出されたガスについて成分測定を行ったところ、ホスゲンは検出されず無害化されていた。
自動制御装置を使用しなかったこと以外は、実施例2−1と同様にしてポリカーボネートオリゴマーの製造を行おうとした。
しかし、自動制御しなかった場合、オリゴマー反応器に供給するホスゲンガス流量に対してBPA水酸化ナトリウム水溶液流量が少ないために、量論比以上のホスゲンガスがオリゴマー反応器に供給され、オリゴマー反応器内で消費されずに未反応のまま下流の工程に流れて、系外にホスゲンが漏洩することが想定されたため、この操作を中止した。
Claims (2)
- 塩素及び一酸化炭素をホスゲン反応器に供給し未反応の一酸化炭素を含有するホスゲンガスを連続的に製造する工程(1)、並びに前記工程(1)で連続的に製造されたホスゲンガス、二価フェノールのアルカリ水溶液及び有機溶媒をオリゴマー反応器に連続的に供給して、ポリカーボネートオリゴマーを含有する反応混合物を連続的に製造する工程(2)を含むポリカーボネートオリゴマー連続製造(ただし、上記工程(2)において得られる反応混合物を、循環ポンプを用いて外部熱交換器を経由し冷却して、その一部を再びオリゴマー反応器に戻す工程を含むポリカーボネートオリゴマーの連続製造を除く)の制御方法であって、
下記の条件(i)及び/又は(ii)を満たす場合に、前記工程(1)における塩素及び一酸化炭素の供給を停止すると共に、オリゴマー反応器へのホスゲンガスの供給を停止させ、かつ、ホスゲンガスを含む有毒ガスを除害手段に移送して無害化する、ポリカーボネートオリゴマー連続製造の制御方法。
条件(i):オリゴマー反応器に供給する溶媒流量(F2[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<F2/(F3×a/100)>の値が、3.27以下となった場合。
条件(ii):オリゴマー反応器に供給するホスゲンガス流量(F1[kg/h])、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液流量(F3[kg/h])及び二価フェノール化合物濃度(a[質量%])を用いたパラメータ<(F3×a/100)/F1>の値が、1.23以下となった場合。 - 前記除害手段が、ホスゲンガスを含む有毒ガスをアルカリ水溶液と接触させて無害化する手段である、請求項1に記載のポリカーボネートオリゴマー連続製造の制御方法。
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