JP4271075B2 - 消化器官吸収性ポリペプチド - Google Patents

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Description

この出願の発明は、生理活性ポリペプチドの経口投与での高吸収による薬効を可能とする新しい消化器官吸収性ポリペプチドに関するものである。またこの出願の発明は、消化器官吸収性ポリペプチドと生理活性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを含有する経口医薬品や機能性食品等の組成物に関するものである。
ポストゲノム時代にあってヒトの10万種以上とも言われるタンパク質の構造、機能が明らかにされつつあり、疾患治療薬の成分となりうるタンパク質(薬剤タンパク質)も多く同定されてきている。しかし、一方、治療用タンパク質の投与経路は通常は注射しかないのが現実である。病態の急性期では通院あるいは入院での注射はむしろ妥当と考えられるが、注射は、点滴を除いていずれも血中濃度の維持が容易ではない。そして限られたタンパク質製剤を除いては医療施設での実施が前提となり、経口投与に比べて医療コストが高くなる。かつ注射には多くの場合、特に小児などで痛みなどストレスが避けがたい。また、連日注射を継続することで注射部位に、硬桔など組織の変化を伴うことも多い。更に注射液の容器、注射器など少なくない医療廃棄物が出るなどコストがかかることになる。このような理由から、病態の慢性期には経口投与に大きな期待が集まっている。このため、口腔粘膜からの吸収を介した方法論、あるいは消化を防ぐための化学物質によるカバーあるいはコーティングなどの方法論も実用化されつつある。しかしながら、現状においては、これらの方法においても、経口投与での吸収効率は30%を超えないものがほとんどである。例えば、Clement S.等はインスリン経口投与の臨床試験(フェーズ1、2)の結果を報告しているが、経口投与によるインスリンの吸収率は30%未何である(非特許文献1)。
なお、ナットーキナーゼ(nattokinase)は納豆菌(枯草菌Bacillus subtilis)が産生する酵素(プロテアーゼ)であり、その血栓溶解効果を利用した発明(例えば、特許文献1)が知られている。しかしながら、このナットーキナーゼが生理活性ポリペプチドの消化器官から血液中への移行を高効率で実現させることは知られていない。
特開2002-360220号公報 Clement S. et al. Metabolism. 2004 Jan;53(1):54-58
この出願の発明は、消化管からは吸収されないタンパク質(生理活性タンパク質またはペプチド)を経口投与によって体内に吸収させることを可能とする新しい技術手段を提供することを課題としている。
前記の課題を解決するための第1の発明は、生理活性ポリペプチドと連結して経口摂取された場合に、生理活性ポリペプチドを消化管から吸収させることを特徴とする消化器官吸収性ポリペプチドである。
第1発明の一つの態様は、枯草菌ナットーキナーゼの部分ペプチドであって、ナットーキナーゼを構成するアミノ酸配列の少なくとも連続100アミノ酸配列、またはその配列内における数個のアミノ酸残基が欠失、付加、若しくは他のアミノ酸残基に置換した配列を有する消化器官吸収性ポリペプチドである。さらに具体的には、配列番号2の少なくとも連続100アミノ酸配列、またはその配列内における数個のアミノ酸残基が欠失、付加、若しくは他のアミノ酸残基に置換した配列を有する消化器官吸収性ポリペプチドである。
第2の発明は、前記の消化器官吸収性ポリペプチドと、生理活性ポリペプチドとを含む融合ポリペプチドである。
第3の発明は、前記の消化器官吸収性ポリペプチドと、薬剤成分候補物質と、標識物質とを含む標識化融合ポリペプチドである。
第4の発明は、前記第1発明の消化器官吸収性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。具体例としては、配列番号1の少なくとも連続300塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
第5の発明は、前記第4明のポリヌクレオチドを保有し、消化器官吸収性ポリペプチドを発現する発現ベクターである。
第6の発明は、前記第4発明のポリヌクレオチドと、生理活性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとからなる融合ポリヌクレオチドである。
第7の発明は、前記第6発明の融合ポリヌクレオチドを保有する発現ベクターである。
第8の発明は、前記第2発明の融合ポリペプチドを含有する経口組成物である。
第9の発明は、被験物質の生体内毒性を試験する方法であって、前記第1発明の消化器官吸収性ポリペプチドと被験物質との結合体を動物に経口投与する工程を含むことを特徴とする毒性試験方法である。
第10の発明は、被験物質の生体内毒性を試験するためのキットであって、前記第1発明の消化器官吸収性ポリペプチドと被験物質との結合体を含むことを特徴とする試験キットである。
すなわち、この出願の発明者らはこれまでに、糖タンパク質を主成分とするいくつかの機能性食品が、経口投与で病態に対する治療効果があることを確認してきた。そこで、これらのタンパク質を、生理活性を有するが、消化管非吸収性の薬剤タンパク質のキャリアとして利用し、これまで困難であった経口投与を可能にすることを構想し、実際にこれを可能にすることでこの出願の発明を完成させた。
なお、この発明において「生理活性ポリペプチド」とは、それ単独では消化器官から吸収されない、または消化器官経由ではそれ本来の生理活性(例えば、生体の生理機能を維持、促進または抑制、あるいは病態の改善等)を示すことが困難なポリペプチドを言う。また「消化器官吸収性」とは、消化管を経由して血液中に移行した物質がそれ本来の生理活性を発揮することを意味する。
また「タンパク質」または「ポリペプチド」とは、天然のアミド結合(ペプチド結合)または天然のアミド結合以外の残基連結によって互いに結合した複数個のアミノ酸残基から構成された分子を意味する。さらには、「ポリヌクレオチド」とは、プリンまたはピリミジンが糖にβ-N-グリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステル(ATP、GTP、CTP、UTP;またはdATP、dGTP、dCTP、dTTP)が結合した分子を意味する。具体的には、タンパク質をコードするゲノムDNA、ゲノムDNAから転写されるmRNA、mRNAから合成されるcDNA等である。また、2本鎖であっても1本鎖であってもよい。さらに、これらのゲノムDNAやmRNA、cDNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖も含まれる。
この出願の各発明におけるその他の用語や概念は、発明の実施形態の説明や実施例において詳しく規定する。またこの発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。例えば、この発明の薬剤の調製はRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に、遺伝子工学および分子生物学的技術はSambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている。さらに、この発明における用語は基本的にはIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるものであり、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。
この発明の消化器官吸収性ポリペプチドは、前記のとおり、それ単独では消化管非吸収性の生理活性ポリペプチドと連結して経口摂取された場合に、その生理活性ポリペプチドを消化管から吸収させることを特徴とする。このようなポリペプチドは、例えば、経口投与によって病態改善効果を示すことが知られている機能性食品の糖タンパク質(例えば、CAF: caipo antidiabetic fraction、LEM: Lentinus edodes mycelia等)と同一のアミノ酸配列からなるポリペプチドを例示することができるが、特に、枯草菌由来のプロテアーゼ(ナットーキナーゼ:Natto kinase)と実質的に同一のアミノ酸配列からなるポリペプチドが好ましい。
ナットーキナーゼには各種のものが知られており、それらを制限なく使用することができるが、この発明では、一例として配列番号2にアミノ酸配列を示したナットーキナーゼを提供する。すなわちこのこの発明の消化器官吸収性ポリペプチドは、例えば、配列番号2(381アミン酸)の全長、配列番号2の任意の100アミノ酸配列、101〜150アミノ酸配列、151〜200アミノ酸配列、201〜250アミノ酸配列、251〜300アミノ酸配列、301〜350アミノ酸配列、351〜380アミノ酸配列として選択される。特に、N末端側からの100アミノ酸以上を含むことが好ましい。あるいは、20番目(Met)から326番目(Tyr)までを含むものであってもよい。またこのポリペプチドは、その消化器官吸収能を損なわない範囲で、複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、若しくは他のアミノ酸残基に置換した配列を有するものであってもよい。この場合の複数個とは、例えば1〜30個程度である。
このような消化器官吸収性ポリペプチドは、例えば枯草菌ナットーキナーゼ(NK)の公知のアミノ酸配列(例えば配列番号2、またはGenBank/AF368283に開示されたアミノ酸配列)に基づき、公知のペプチド合成法(Merrifield, R.B. J. Solid phase peptide synthesis I. The synthesis of tetrapeptide. J. Amer. Chem. Soc. 85, 2149-2154, 1963; Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis. A Practical Approach. Chan, W.C. and White, P.D., Oxford University Press, 2000)によって作成することもできる。また例えばABI431Aペプチド・シンセサイザー(Applied Biosystem)等を用いることによって自動的に行うこともできる。
このような合成ポリペプチドは、天然のアミド結合以外の残基連結からなるもの、あるいは天然アミノ酸残基の代わりの非天然残基からなるものであってもよい。天然のアミド結合以外の残基連結は、例えばグルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、2官能マレイミド、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、またはN,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)等の化学結合またはカップリング手段を例示することができる。また、ペプチド結合の代替となり得る連結基は、例えばケトメチレン(例えば、-C(=O)-CH2-に対する-C(=O)-NH-)、アミノメチレン(CH2-NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH2-O)、チオエーテル(CH2-S)、テトラゾール(CN4-)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、またはエステルを含む(例えば、Spatola (1983) in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and Proteins, Vol. 7, pp 267-357, "Peptide Backbone Modifications," Marcell Dekker, NYを参照)。
一方、非天然のアミノ酸残基は、芳香族アミノ酸については、例えばD-またはL-ナフィルアラニン(naphylalanine);D-またはL-フェニルグリシン;D-またはL-2チエネイルアラニン(thieneylalanine);D-またはL-1,-2,3-または4-ピレネイルアラニン(pyreneylalanine);D-またはL-3チエネイルアラニン(thieneylalanine);D-またはL-(2-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(3-ピリジニル)-アラニン;D-またはL-(2-ピラジニル)-アラニン;D-またはL-(4-イソプロピル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルアラニン;D-p-フルオロ-フェニルアラニン;D-またはL-p-ビフェニルフェニルアラニン;K-またはL-p-メトキシ-ビフェニルフェニルアラニン;D-またはL-2インドール(アルキル)アラニン;およびD-またはL-アルキルアラニン(alkylalanine)であって、アルキルが置換されたかまたは未置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソーブチル、2級-イソチル(isotyl)、イソーペンチル、または非酸性アミノ酸による置換によって生成することができる。非天然アミノ酸の芳香環は、例えば、チアゾイル、チオフェニル、ピラゾイル、ベンゾイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、およびピリジル芳香環を含む。酸性アミノ酸の場合には、例えば負の電荷を維持している非カルボン酸塩アミノ酸;(ホスホノ)アラニン;硫酸化トレオニンによる置換によって生成することができる。カルボキシル側基(例えば、アスパルチルまたはグルタミル)もまた、例えば1-シクロヘキシル-3(2-モルフォリニル-(4-エチル)カルボジイミドまたは1-エチル-3(4-アゾニア-4,4-ジメトールペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド(R'-N-C-N-R')との反応によって選択的に修飾することができる。アスパルチルまたはグルタミルもまた、アンモニウムイオンとの反応により、アスパラギニルおよびグルタミニル残基に変換可能である。塩基性アミノ酸としては、例えば(リシンおよびアルギニンに加えて)アミノ酸、オルニチン、シトルリン、または(グアニジノ)-酢酸、またはアルキルが前文に定義されている(グアニジノ)アルキル酢酸による置換によって生成することが可能である。ニトリル誘導体(例えば、COOHの代わりにCN-部分を含んでいる)は、アスパラギンまたはグルタミン用に置換することが可能である。アスパラギニルおよびグルタミニル残基は、対応するアスパルチルまたはグルタミル残基に対して脱アミノ基を行うことが可能である。非天然のアルギニン残基は、アルギニルを、例えば1以上の、例えばフェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンヂオン、またはニンヒドリンを含む試薬と、好ましくはアルカリ性の条件下に反応させることにより生成することができる。チロシン残基の場合は、チロシルを、例えば芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンと反応させることにより生成することができる。N-アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンは、各々O-アセチルチロシル類および3-ニトロ誘導体を用いて形成することができる。非天然システイン残基は、システイニル残基を、2-クロロ酢酸などのα-ハロアセテート、またはクロロアセトアミドおよび相当するアミンと反応させ;カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を生じさせることにより生成することができる。非天然システイン残基はまた、システイニル残基を、例えばブロモートリフルオロ酢酸、α-ブロモ-β-(5-イミダゾイル)プロピオン酸;クロロアセチルホスファート、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピリジルジスルフィド;メチル2-ピリジルスルフィド;p-クロロメルクリ安息香酸;2-クロロメルクリ-4ニトロフェノール;または、クロロ-7-ニトロベンゾ-オキサ-1,3-ジアゾールと反応させることにより生成することができる。非天然リジンは、リシニルを、例えば無水コハク酸または他の無水カルボン酸と反応させることにより生成する(またアミノ末端残基が変更される)ことができる。リジンおよび他のα-アミノ-含有残基模倣物はまた、メチルピコリンイミダート、ピリドキサールホスファート、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンアスルホン酸、O-メチルイソ尿素、2,4ペンタンジオンといったイミドエステルを用いた反応、およびトランスアミダーゼに触媒されるグリオキシラートを用いた反応により生成することができる。非天然メチオニンは、例えば、メチオニンスルホキシドを用いた反応により生成することができる。非天然プロリンは、例えばピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、3-または4-ヒドロキシプロリン、デヒドロキシプロリン、3-または4-メチルプロリン、または3,3,-ジメチルプロリンを含む。非天然ヒスチジンは、ヒスチジルを、例えばジエチルプロカルボナートまたはパラーブロモフェナシルブロミドと反応させることにより生成することができる。他の非天然のアミノ酸残基は、例えば、プロリンおよびリジンの水酸化;セエリルまたはトレオニル残基の水酸基のリン酸化;リジン、アルギニンおよびヒスチジンのα-アミノ基のメチル化;N-末端アミンのアセチル化;主鎖アミド残基のメチル化またはN-メチルアミノ酸による置換;またはC-末端のカルボキシル基のアミド化等を例示することができる。
この発明の消化器官吸収性ポリペプチドはまた、それをコードするポリヌクレオチド(第4発明)を利用した遺伝子工学的方法によっても得ることができる。例えば、ポリヌクレオチドを保有する組換え発現ベクターからインビトロ転写によってRNAを調製し、これを鋳型としてインビトロ翻訳を行うことにより目的の消化器官吸収性ポリペプチドを得ることができる。また組換え発現ベクターを大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞に導入して形質転換細胞を作製すれば、この形質転換細胞から消化器官吸収性ポリペプチドを発現させることができる。
消化器官吸収性ポリペプチドを遺伝子工学的に発現させるためのポリヌクレオチドは、例えば枯草菌ナットーキナーゼ(NK)をコードする公知の配列(例えば配列番号1)を利用してNK cDNAを取得し(例えば、cDNAライブラリーに対するプローブハイブリダイゼーションや、PCR法)、NK cDNAから消化器官吸収性ポリペプチドのコード領域を制限酵素等によって切り出して使用することができる。あるいは、消化器官吸収性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、公知の方法(例えば、Carruthers(1982)Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 47:411-418; Adams(1983)J. Am. Chem. Soc. 105:661; Belousov(1997)Nucleic Acid Res. 25:3440-3444; Frenkel(1995)Free Radic. Biol. Med. 19:373-380; Blommers(1994)Biochemistry 33:7886-7896; Narang(1979)Meth. Enzymol. 68:90; Brown(1979)Meth. Enzymol. 68:109; Beaucage(1981)Tetra. Lett. 22:1859; 米国特許第4,458,066号)に記載されているような周知の化学合成技術により、in vitroにおいて合成することができる。
これらのポリヌクレオチドを使用して消化器官吸収性ポリペプチドをインビトロ翻訳で発現させる場合には、ポリヌクレオチドを、RNAポリメラーゼプロモーターを有するベクターに挿入して組換え発現ベクター(第5発明)を作製し、このベクターを、プロモーターに対応するRNAポリメラーゼを含むウサギ網状赤血球溶解物や小麦胚芽抽出物などのインビトロ翻訳系に添加すれば、目的のポリペプチドをインビトロで生産することができる。RNAポリメラーゼプロモーターとしては、T7、T3、SP6などが例示できる。これらのRNAポリメラーゼプロモーターを含むベクターとしては、pKA1、pCDM8、pT3/T7 18、pT7/3 19、pBluescript IIなどが例示できる。
消化器官吸収性ポリペプチドを大腸菌などの微生物で発現させる場合には、微生物中で複製可能なオリジン、プロモーター、リボソーム結合部位、DNAクローニング部位、ターミネーター等を有するベクターにポリヌクレオチドを組換えた発現ベクター(第5発明)を作製し、この発現ベクターで宿主細胞を形質転換したのち、得られた形質転換体を培養すれば、そのポリヌクレオチドがコードしているポリペプチドを微生物において大量発現させることができる。この際、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させた後、目的のポリペプチドを分離して得ることもできる。大腸菌用発現ベクターとしては、pUC系、pBluescript II、pET発現システム、pGEX発現システムなどが例示できる。
消化器官吸収性ポリペプチドを真核細胞で発現させる場合には、ポリヌクレオチドを、プロモーター、スプライシング領域、ポリ(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターに挿入して組換えベクター(第5発明)を作製し、真核細胞内に導入すれば、目的のポリペプチドを形質転換真核細胞で発現させることができる。発現ベクターとしては、pKA1、pCDM8、pSVK3、pMSG、pSVL、pBK-CMV、pBK-RSV、EBVベクター、pRS、pcDNA3、pMSG、pYES2などが例示できる。また、pIND/V5-His、pFLAG-CMV-2、pEGFP-N1、pEGFP-C1、pCMV-Myc、pCMV-HAなどを発現ベクターとして用いれば、Hisタグ、FLAGタグ、GFPタグ、mycタグ、HAタグなど各種タグを付加した融合タンパク質としてポリペプチドを発現させることもできる。真核細胞としては、サル腎臓細胞COS7、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHOなどの哺乳動物培養細胞、出芽酵母、分裂酵母、カイコ細胞、アフリカツメガエル卵細胞などが一般に用いられるが、目的のポリペプチドを発現できるものであれば、いかなる真核細胞でもよい。発現ベクターを真核細胞に導入するには、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方法を用いることができる。
消化器官吸収性ポリペプチドを原核細胞や真核細胞で発現させたのち、培養物から目的ペプチドを単離精製するためには、公知の分離操作を組み合わせて行うことができる。例えば、尿素などの変性剤や界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、SDS-PAGE、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどが挙げられる。
第2発明は、前記の消化器官吸収性ポリペプチドと、生理活性ポリペプチドとを含む融合ポリペプチドである。すなわちこの融合ポリペプチドは、一つの形態として、消化器官吸収性ポリペプチド1分子と、生理活性ポリペプチド1分子を含むものである。また別の形態として、消化器官吸収性ポリペプチド2分子以上と、生理活性ポリペプチド1分子を含むものである。さらに別の形態として、消化器官吸収性ポリペプチド1分子と、同一の生理活性ポリペプチドを2分子以上を含むものである。またさらに別の形態として、消化器官吸収性ポリペプチド1または2分子以上と、それぞれに異なる2種以上の生理活性ポリペプチドをそれぞれ1または2分子以上を含むものであってもよい。ただし、消化管からの吸収効率を考慮した場合には、分子量として80,000Da以下の任意の分子量であることが好ましい。
このような融合ポリペプチドは、例えば、消化器官吸収性ポリペプチドと生理活性ポリペプチドを、例えば2価の架橋剤(例えば、EDCやβ−アラニン等)を介して、直接的に結合させることによって作製することができる。あるいはまた、消化器官吸収性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、生理活性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとを連結させた融合ポリヌクレオチド(第6発明)を調製し、これを適当な発現ベクターに組換え(第7)、前記と同様な遺伝子工学的方法により融合ポリヌクレオチドを発現させることによっても、融合ポリペプチドを作製することができる。
生理活性ポリペプチドとしては、それを単独で経口摂取した場合には消化管非吸収性であり、従って生体内において望まれるような生理活性を示さないタンパク質を例外なく採用することができる。例えば、恒常性の維持や、何らかの疾患病態の予防または改善に直接的に作用するタンパク質(薬剤タンパク質)と実質的に同一のアミノ酸配列からなるポリペプチドである。また、例えば「DNA結合タンパク質」と実施的に同一のアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。DNA結合タンパク質としては、細胞内遺伝子DNAの一部に結合することによって、例えば、恒常性維持や疾患予防(例えば癌抑制)等に関連する遺伝子の発現を調節するタンパク質(転写因子)、恒常性の変調や疾患に関連する遺伝子DNAの切断や修飾、構造変化やトポロジー変化を促進するタンパク質等である。もちろんこの発明における生理活性ポリペプチドはこれらのものに限定されることはなく、何らかの生理活性を有するポリペプチドを制限なく採用することができる。ただし、そのような生理活性ポリペプチドを化学合成または遺伝子工学的に作製して消化器官吸収性ポリペプチドとの融合ポリペプチドとする場合には、アミノ酸配列および/またはそれをコードするポリヌクレオチド配列が公知であるものが好ましい。
さらにまた、生理活性ポリペプチドは、その全長であってもよく、あるいはその生理作用に関連する部分ペプチドであってもよい。さらに、消化器官吸収性ポリペプチドと生理活性ポリペプチドのいずれがN端側に位置してもよい。またさらに、消化器官吸収性ポリペプチドと生理活性ポリペプチドとは、連続的に連結されていてもよく、あるいは両者の間に2〜10アミノ酸残基からなるペプチドリンカーを介在させてもよい。
例えば、消化器官吸収性ポリペプチド1分子と生理活性ポリペプチド1分子とを含む融合ポリペプチドとしては、例えば、NKの部分ペプチドと顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の融合ポリペプチド(NK+G-CSF)、NKの部分ペプチドとインスリン(Ins)の融合ポリペプチド(NK+Ins)、NK部分ペプチドとエリスロポエチン(EPO)の融合ポリペプチド(NK+EPO)、NK部分ペプチドとアディポネクチンの融合ポリペプチド(NK+Adiponectin)、NK部分ペプチドとインターロイキンの融合ペプチド(NK+IL)等が例示されるが、この発明の融合ポリペプチドはこれらに限定されるものではない。また、これらの融合ポリペプチドを遺伝子工学的に作製するための融合ポリヌクレオチドの例としては、NK部分cDNA(配列番号1の一部)とマウスG-CSF部分cDNA(配列番号3)からなる融合ポリヌクレオチド、NK部分cDNA(配列番号1の一部)とマウスIns2 cDNA(配列番号4)からなる融合ポリヌクレオチド、NK部分cDNA(配列番号1の一部)とマウスEPO cDNA(配列番号5)からなる融合ポリヌクレオチド、NK部分cDNAとマウスG-CSF cDNAからなる融合ポリヌクレオチド(配列番号6)、NK部分cDNAとマウスIns2 cDNAからなる融合ポリヌクレオチド(配列番号7)、NK部分cDNAとマウスIns2 cDNAからなる融合ポリヌクレオチド(配列番号8)、NK部分cDNAとマウスAdiponectin cDNAからなる融合ポリヌクレオチド(配列番号9)を例示することができるが、この発明の融合ポリヌクレオチドはこれらに限定されるものではない。
以上のとおりの第2発明の融合ポリペプチドは、それ単独で、例えば経口薬剤に製剤化することができる。また、その場合は、融合ポリペプチド、あるいはその一部である消化器官吸収性ポリペプチドおよび/または生理活性ポリペプチドを「塩」の形態としてもよい。塩は、例えば、製薬上許容される酸(無機酸または有機酸)付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、安息硝酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、トレエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等である。
この出願の第3発明は、第1発明の消化器官吸収性ポリペプチドと、薬剤成分候補物質と、標識物質とからなる標識化融合ポリペプチドである。すなわちこの標識化融合ポリペプチドは、例えばプロテオミクス創薬等における薬剤成分候補物質の経口摂取による生体内での動態(消化器官吸収や分解の程度)を実験動物レベルで検証するために有用である。この第3発明の標識化融合ポリペプチドにおける薬剤成分法補物質は、特段の制限はなく、有機および無機の化合物、タンパク質、ペプチド等、通常の創薬対象となる成分を採用することができる。また、標識物質は、実験動物から単離させた組織試料を対象として薬剤成分候補物質の動態を試験する場合には、例えば、酵素、放射性同位体または蛍光色素等を使用することができる。酵素は、turnover numberが大であること、融合ポリペプチドと結合させても安定であること、基質を特異的に着色させる等の条件を満たすものであれば特段の制限はなく、通常の酵素免疫測定等に用いられる酵素、例えば、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコース−6−リン酸化脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素等を用いることもできる。また、酵素阻害物質や補酵素等を用いることもできる。これら酵素と融合ポリペプチドとの結合は、マレイミド化合物等の架橋剤を用いる公知の方法によって行うことができる。基質としては、使用する酵素の種類に応じて公知の物質を使用することができる。例えば酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合には、3,3',5,5'−テトラメチルベンジシンを、また酵素としてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、パラニトロフェノール等を用いることができる。放射性同位体としては、125Iや3H等の通常のRIA等で用いられているものを使用することができる。蛍光色素としては、フルオレッセンスイソチオシアネート(FITC)やテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)等の通常の蛍光法に用いられるものを使用することができる。
一方、動物個体内での薬剤成分候補物質の動態を試験するためには、標識物質として、例えばマンガンや鉄等の金属を使用することもできる。このような金属を標識化した融合ポリペプチドを体内に投与し、MRI等によって金属を測定することによって、薬剤成分候補物質の生体内動態を正確に知ることができる。
この出願の第8発明は、前記第2発明の融合ポリペプチドまたはその塩を含有する経口組成物である。この組成物は、口腔から摂取されて消化器官において吸収される形態からなる組成物、例えば、飲食品や経口医薬品等である。さらに具体的には、融合ポリペプチドに含まれる生理活性ポリペプチドによって薬効を発揮する疾患の予防や症状の軽減のための機能性食品、健康補助食品、栄養食品、栄養補助食品等、あるいは疾患治療用薬剤である。なお、この発明の融合ポリペプチドは、機能性食品として使用されているCAF、LEM、NK等に由来する消化器官吸収性ポリペプチドと、その通常範囲での摂取が毒性を持たないことが確認されている生理活性ポリペプチドであるから、飲食品や薬剤の成分としての安全性には全く問題はない。
治療薬としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、粉末剤、または懸濁剤やシロップ剤のような経口液体調製物等に製剤化することが好ましい。担体としては、常用の製薬補助剤、例えば結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等)、賦形剤(ラクトース、シュガー、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビット、グリシン等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(ポテトスターチ、カルボキシメチルセルロース等)、湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)を使用することができる。ストロベリー・フレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加することもできる。また錠剤は常法によりコーティングすることができる。経口液剤は水溶液またはドライプロダクトにすることができる。そのような経口液剤は常用の添加剤、例えば保存剤(p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、ソルビン酸等)を包含していてもよい。
薬効成分である融合ポリペプチドの含有量は症状の程度や剤形に応じて適宜とすることができるが、通常は5〜100%(w/w)、好ましくは10〜60%(w/w)の範囲とすることができる。また薬剤の投与量は、患者の年齢や体重、症状等によって異なるが、融合ポリペプチド量として100〜200mg/kg/day程度とすることができる。
飲食物等の組成物の場合には、既存の製品製造の過程で、融合ポリペプチドを、その活性を損なわないように配合して製造することができる。そのような飲食物の例としては、例えば、清涼飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などの飲料(これらの飲料を調整する為の濃縮原液および/または調整粉末を含む);アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓;そば、うどん、パン、餅、餃子の皮など、穀物の加工品;飴、キャンディー、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、クッキー、クラッカー、ゼリー、ジャムなど、菓子類;かまぼこ、はんぺん、ハム、ソーセージなど、水産、畜産加工食品;加工乳、チーズ、バターなど、乳製品;マーガリン、ラード、マヨネーズなど、油脂および油脂加工食品;醤油、ソース、味噌、ポン酢、昆布だし、スープの素など、調味料;各種惣菜類;漬物類;その他の各種形態の栄養および健康補助食品などが挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
以上のような融合ポリペプチドからなる治療薬剤や、融合ポリペプチドを含有する経口組成物は、生理活性ポリペプチドが例えば注射によって投与された場合に発揮するのと同程度またはそれ以上の治療的効果を示すことができる。例えば、インスリンを含む融合ポリペプチドの場合には、糖尿病患者等の血糖値を正常化し、耐糖能障害、糖尿病(II型糖尿病など)、インスリン抵抗性症候群(インスリン受容体異常症など)、多嚢胞性卵巣症候群、高脂質血症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患(狭心症、心不全など)、高血糖症、高血圧症、狭心症、肺高血圧、鬱血性心不全、糖尿病合併症(例えば糖尿病性壊疽、糖尿病性関節症、糖尿病性糸球体硬化症、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性白内障、糖尿病性網膜症など)、或いは、皮膚障害、味覚障害などの予防や治療に効果を有する。
第9の発明は、被験物質の生体内毒性を試験する方法であって、前記第1発明の消化器官吸収性ポリペプチドと被験物質との結合体を動物に経口投与する工程を含むことを特徴とする毒性試験方法である。この場合の被験物質は、例えば、消化管からは吸収されにくいが、食物や飲料に含まれていることによって長期間にわずかずつ吸収され、生体に対して有害に作用する恐れのある物質である。この第9発明の方法によれば、このような消化器官非吸収性の有害物質を短期間でその有害量を動物の消化管から吸収させることが可能であり、有害物質の毒性を個体レベルで検討することが可能となる。また、消化器官吸収性ポリペプチドと被験物質との結合体を任意の標識物質で標識すれば、標識物質のシグナルによって被験物質の体内での蓄積量を測定することができ、被験物質の体内蓄積量と個体レベルでの傷害との関係を正確に知ることもできる。
第10の発明は、前記第9発明の方法を簡便に実質するための試験キットである。例えばこの試験キットは、消化器官吸収性ポリペプチドと被験物質との結合体と、被験物質が生体内で毒性を示すことを確認するための試薬等によって構成することができる。このような試薬は、例えば被験物質の生体内での代謝産物が毒性を持つ場合、あるいは被験物質の生体内タンパク質が異常分解されることによって毒性を持つ場合などは、これらの代謝産物や異常タンパク質の検量するための免疫測定試薬(例えばELISA)等によって構成することができる。
以下、実施例を示してこの出願の発明についてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
組換えナットーキナーゼ(NK)のcDNAクローニング
納豆菌(Bacillus subtilis natto)からDneasy Tissue Kit(QUIAGEN社)を用いてゲノムDNAを調製し、これを鋳型として全長NK遺伝子cDNAをPCR増幅した。具体的には、公知のNK mRNA配列(GenBank/ AY219901:配列番号1)に基づきPCRプライマーを設計し、ゲノムDNAを鋳型とて、KOD plus(TOYOBO社)によりPCRを行った。PCR産物の分子量を電気泳動により確認後、pPCR-Scriptベクター(INVITROGEN社)にクローニングし、配列を確認した。
〔実施例2〕
融合ポリペプチドの作製
インビトロ転写・翻訳(無細胞)にて融合ポリペプチドを作製した。TOYOBO社製PROTEIOS Wheat germ cell-free protein synthesis core kitに添付されているpEU3-NIIベクターのEcoRV/XhoI部位に、終止コドンを除去してHisタグ配列を付加した3種類のNK cDNAをそれぞれ挿入した。すなわち、全長NK(381アミノ酸)をコードするcDNA、全長NKのC端から19アミノ酸を削除した活性型NK(362アミノ酸)をコードするcDNA、活性型NKのC端からさらに69アミノ酸を削除した不活性型NK(293アミノ酸)をコードするcDNAをそれぞれインサートする発現ベクターを構築した。
次いで、各発現ベクターのXhoI/SmaIクローニングサイトに、以下の生理活性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(cDNA)を挿入連結した。
(1) マウス顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の一部(N端30アミノ酸を除去)をコードするcDNA(配列番号3)。
(2) マウス全長インスリンII(Ins2)をコードするcDNA(配列番号4)。
(3) マウス全長エリスロポエチン(EPO)をコードするcDNA(配列番号5)。
なお、以上の各生理活性ポリペプチドcDNAの挿入により、各発現ベクターはNKポリペプチドと生理活性ポリペプチドがリンカー(Leu-Glu-Arg)で連結された融合ポリペプチドmRNAを転写する。
次いで、TOYOBO社製Thermo T7 RNA polymerase(150U)を37℃で4時間反応させてmRNAを転写させ、電気泳動にて確認の後、転写されたmRNA(12μg)を用いて26℃24時間の翻訳反応により融合ポリペプチドを得た。得られた融合ポリペプチドは、SDS-PAGEにて電気泳動の後、クマーシーブルー染色により確認した。また、Hisタグ抗体を用いたウエスタンブロッティングにより融合ポリペプチドを確認した。
得られた融合ポリペプチドは以下の9種類である。
・全長NK+G-CSF
・活性型NK+G-CSF
・不活性型NK+G-CSF
・全長NK+Ins2
・活性型NK+Ins2
・不活性型NK+Ins2
・全長NK+EPOF
・活性型NK+EPO
・不活性型NK+EPO
NK+G-CSF融合ポリペプチドの経口投与
NK+G-CSF融合ポリペプチドを経口投与し、G-CSFの生理活性のインビボ変化を調べた。なお、内因性G-CSFは骨髄細胞で産生されるが、10週零以下の健常幼弱マウスでは骨髄細胞の活動が活発であり、内因性G-CSFと経口投与G-CSFとの差異を明確に区別するため、事前のX-線照射によって骨髄細胞の活動を抑制した。具体的な実験手続きは以下のとおりである。
5週齢のBALB/C雄性マウスに全身X-線(150kvp、20mA、filte:0.5AI+0.3Cu、2.0Gy/min.)を照射し、4.84Gy照射後14日目に、眼窪から200μlを採血し、ギムザ染色し、血球計算盤により未梢血中のリンパ球除く有核細胞数(cell number)を計数した。
次いで、4.84Gy照射された各マウスに、不活性型NK+G-CSFおよび不活性型NK単独(コントロール)を5μg/100μlの容量で胃ゾンデにて経口投与した。また5μg/50μl容量を、マウス尾部から静脈注射した。X-線非照射マウスでは15日目にも14日目と同量経口投与した後、1時間後に眼窪から200μl採血し、ギムザ染色し、血球計算盤にて未梢血中のリンパ球を除く有核細胞数(cell number)を計数した。直後に心臓から500μl採血し、ELISAキットにてG-CSFの血中濃度を測定した。
4.84Gy照射マウスでは、14日目と同量の投与を15日目および16日目に行い、1時間後に眼窪から200μμl採血し、ギムザ染色し、血球計算盤にて未梢血中のリンパ球を除く有核細胞数(cell number)を計数した。直後に心臓から500μl採血し、ELISAキットにてG-CSFの血中濃度を測定した。
その結果、非照射群では、不活性型NL+G-CSF融合ポリペプチドの経口投与により、血中G-CSFが有意に増加した。また、500pg/ml以上(コントロールに比較して約3倍以上)にG-CSF濃度が増加した個体では、未梢血有核細胞数も約1.8倍に増加した。(図1)。
また、照射群では、不活性型NL+G-CSF融合ポリペプチドの経口投与により、静脈注射に比較しても、血中G-CSFが顕著に増加した(図2、図3)。
NK+EPO融合ポリペプチドの経口投与
実施例3と同様に、X-線照射によって骨髄細胞の活動を抑制した状態で、NK+EPO融合ポリペプチドの経口投与によるインビボ活性を検討した。
5週齢のBALB/C雄性マウスに全身X-線(150kvp、20mA、filte:0.5AI+0.3Cu、2.0Gy/min.)を照射し、3.63Gy照射後12日目に、眼窪から200μlを採血し、血球計算機((株)シスメックス社)により未梢血中の赤血球数(cell number)を計数した。
次いで、3.63Gy照射された各マウスに、不活性型NK+EPO、活性型NL+EPO、不活性型NK単独および活性型NK単独(コントロール)を5μg/100μlの容量で胃ゾンデにて経口投与した。また5μg/50μl容量を、マウス尾部から静脈注射した。
12日目と同量の投与を13日目に行い、1時間後に眼窪から200μμl採血し、適宜に希釈し、血球計算機にて未梢血中の赤血球数(cell number)を計数した。直後に心臓から500μl採血し、ELISAキットにてEPOの血中濃度を測定した。なおELISAキットは、臨床使用されているヒトEPOに対するELISAキットを使用した。
結果は以下のとおりであった。すなわち、まず、いずれの群でも、有意の未梢血中赤血球数増加が見られなかった(図4)。またELISAの結果からは、いずれの投与群でも有意な血中EPO濃度の増加は認められなかった(図5)。むしろ静脈投与では傾向として減少する場合もあった。
X-線照射群では細胞数に関しては、不活性型NK+EPOの経口投与で静脈注射よりむしろ有意な赤血球数の増加効果が見られた(図6)。さらに、不活性型NK+EPOの経口投与の場合には、コントロール(不活性型NK単独、活性型NK単独)よりもEPO濃度が高く、かつ不活性型NK+EPOの経口投与では、血中への移行効率が静脈投与に比べて相対的に高いことが確認された(図7)。一方、活性型NK+EPOでは、静脈投与に比べて血中への移行は必ずしも良好ではなかった。
以上の結果から、EPOの場合には、活性型NK+EPOよりも不活性型NK+EPOを経口投与することによって、高い薬効が得られることが確認された。
NK+Ins2融合ポリペプチドの経口投与
5週齢のC57BL/5雄性マウスにSTZ(streptozodocin)2mgを腹腔投与し、1型糖尿病(インスリン欠乏型)モデルマウスを作成した。12週齢で3時間の絶食後の血糖値が約400に達したものを用いた。18あるいは24時間絶食させた後、2g/kgの糖負荷(胃ゾンデによる砂糖水の経口投与)の後、30分後に実験に供した。
この各糖尿病マウスに、全長型NK+Ins2、活性型NL+Ins2、全長型NK単独および活性型NK単独(コントロール)を5μg/100μlの容量で経口投与した。また5μg/50μl容量を、マウス尾部から静脈注射した。その後、20分毎に血糖値を測定し、血糖の降下が確認できた80分以後または120分後に心臓採血を行った。また静脈注射マウスの場合には血糖値の測定後、1時間後に心臓採血を行なった。更にELISAにてそれぞれのマウスのIns2血中濃度を測定いた。その結果は以下のとおりであった。
すなわち、活性型NK+Ins2および全長型NKでは、経口投与によって有意の血糖降下が見られた(図8)。特に、活性型NK+Ins2では、経口投与により、静脈注射よりもかなり大きな血糖値降下の結果が得られることが確認された。次いで10pg/mlレベルの検出が可能な精密ELISAにてIns2血中濃度を測定した。その結果、全長型NK+Ins2および活性型NK+Ins2を高い血中インスリン濃度が観察され、特に全長型NK+Ins2の場合には、静脈注射の場合に比べて、経口投与ではるかに高いインスリン濃度が観察された(図9)。
NK+G-CSF融合ポリペプチドの経口投与
(1) NK+G-CSF融合ポリペプチドの調製
実施例1クローニングしたNK cDNA(配列番号1)の第58−978番塩基までの配列(NKの第20位Metから第326位Thrまでのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド:以下「キャリアNK cDNA」と記載することがある)を調製した。
pQE-TriSystem His・Strep 1 vector(Qiagen社)のSmaI/BamHIサイトにキャリアNK cDNAを組み込み、大腸菌用のキャリアーNK発現ベクターを構築した。またキャリアーNK cDNAの下流(pQEベクターのEcoRI/BglIIサイト)にマウスG-CSF cDNAを組み込み、大腸菌用のNK+G-CSF発現ベクターを作成した。NK+G-CSFをコードする融合ポリヌクレオチドの配列は配列番号6とおりである。なお、配列番号6おいて、5'端のSer-Arg-Gluをコードする塩基配列はpQEベクターのSmaIサイトの配列であり、3'端のGln-Ile-Serをコードする配列はpQEベクターのBglIIサイトの配列である。さらに、第311〜315位のVal-Asp-Pro-Asn-Serをコードする配列はpQEベクター由来の配列である。
作成したベクターは XL10-Gold Kan Ultracompetent Cell(Stratagene社)に導入し、37℃にて培養し、O.D.0.5になったことを確認後、1mM になるようにIPTGを添加し、4時間28℃にて培養を行った。大腸菌を集めた後、-80℃にて凍結し、Lysis bufferに溶解した。次に超音波破砕機にて大腸菌を破砕し、可溶成分と不溶成分とに遠心により分離した。可溶成分からHIS-Select Cobalt Affinity Gel(Sigma社)によりHis tagを持つタンパク質を精製した。精製後、半透膜を用い溶出液をPBSに置換し、Mustang Membrane (Pall Corporation社)を用いてエンドトキシンを除去した。
(2) 実験群
正常BALB/cマウス(25週齢、雄性、SLCより購入)を各群5匹とし、以下のサンプルを投与した。なお、投与サンプルにはBSA(bovine serum albumin)を100mg/mlとなるように加えた。各サンプルのタンパク質量は、BSAを対照として吸光度計で測定した。
第1群:NK+G-CSF(経口) 16μg/0.2ml/匹 1/1
第2群:NK+G-CSF(経口) 1.6μg/0.2ml/匹 1/10
第3群:NK+G-CSF(皮下注射) 6μg/0.2ml/匹 1/1
第4群:キャリアNK(経口) 16μg/0.2ml/匹
第5群:PBS(皮下注射) 0.2ml/匹
(3) 実験方法
予備実験により、0.3mlの採血により2日以上に渡って大きな影響が出ることが確認されていた。まず、BALB/cマウスの眼窪から0.3ml採血し、その日のうちに白血球数を計測した。次いで、18時間の絶食後に、それぞれのマウスに胃ゾンデでの経口あるいは皮下注射で、上記のサンプルを投与した。サンプルの投与から24時間後、および48時間後に、マウスの眼窪静脈洞から0.3ml採血し、直ちに白血球数を計測した。なお、白血球数の計測は三菱化学BCL社にて行った。
(4) 結果
結果は図10に示したとおりである。すなわち、NK+G-CSFの経口投与(第1群、第2群)では、投与48時間後に投与量16μg/匹(600μg/kg)では統計学的に有意な白血球数増多作用が確認できたが、1.6μg/匹(60μg/kg)では有意な効果が認められなかった。
皮下注射では、PBS単独(第5群)でも、採血の影響およびBSAによる免疫反応か、上記に比べ小さいが、有意の白血球数増多作用が確認された。しかしG-CSF皮下注射(第3群)では5匹中4匹で増加があったが、1匹で変化が小さく、有意差を認めなかった。
キャリアNK皮下投与(第4群)でも、投与後24時間では0時間に比較すすると有意な白血球数増多作用が観察された。
(5) 考察
コントロールのPBS投与群(第5群)では、24、48時間後にも白血球増多が認められた。実際に単回のNK+G-CSF経口投与(第1、第2群)では、48時間後にむしろ減少傾向があり、骨髄にG-CSFが強く作用した後、G-CSFの濃度維持が続かなかった場合、白血球がむしろ減少し、連日の全血液量の約30%に相当する採血の影響では、むしろ白血球数は増え続ける可能性が示唆された。
0.6mg/kgのNK+G-CSF1回の経口投与ではコントロールと比較して24時間後に統計学的に有意な生理活性が確認できたが、0.06mg/kgの経口投与では統計学的に有意な生理活性が確認できなかった。しかし、NK+G-CSF 0.6mg/kgの1回の皮下注射では、増加傾向は認めたものの、有意の白血球の増加を観察できなかった。用いたNK+G-CSFの内、G-CSF分は約1/2であり、0.3mg/kgに相当する。ヒトの臨床では通常、50-100mg/head(60kg)で皮下あるいは筋肉注射されている。
今回の結果は、G-CSFを経口投与したが非常に効率よく消化管から吸収されているだけでなく、血中でも活性を失わなかった可能性を示唆している。また皮下注射では、かえって個体差があり、活性型への転換が、血液中のプロテアーゼの活性による、本フユージョンプロテインから活性型のG-CSFへの変換が、必ずしも効率的に進まない可能性が示唆された。この融合ポリペプチドではむしろ経口投与の方が、活性が高いものを標的臓器である骨髄に届けられる可能性が示唆された。
いずれにしても、この形の融合ポリペプチドによるDDSとしての可能性は非常に大きいことが確認された。消化管での消化による影響は比較的が小さく、かつ血中での分解代謝にもかかわらず、標的臓器である骨髄での活性を十分発揮できる濃度と活性持続時間が確認された。
糖尿病マウスへのNK+Inslin融合ポリペプチドの経口投与
(1) NK+Insulin融合ポリペプチドの調製
実施例6と同様のキャリアNK cDNAを調製した。pQE-TriSystem His・Strep 1 vector(Qiagen社)のSmaI/BamHIサイトにキャリアNK cDNAを組み込み、大腸菌用のキャリアーNK発現ベクターを構築した。またキャリアNK cDNAの下流(pQEベクターのBamHI/EcoRIサイト)にマウスInsulin2 cDNAを組み込み、大腸菌用のNK+Insulin発現ベクターを作成した。NK+Insulinをコードする融合ポリヌクレオチドの配列は配列番号8のとおりである。なお、配列番号8において、5'端のSer-Arg-Gluをコードする塩基配列はpQEベクターのSmaIサイトの配列であり、3'端のPro-Asn-Serをコードする配列はpQEベクターのEcoRIサイトの配列である。さらに、第311〜313位のVal-Asp-Proをコードする配列はpQEベクター由来の配列である。
作成したベクターから、実施例6と同様にしてNK+Insulin融合ポリペプチドを調製した。
(2) 実験群
正常C57BL/6マウス(6-7週齢、雄性、SLCより購入)を各群6-9匹とし、10日間の予備飼育後、180mg/kgのSTZを腹腔内注射した。約3週間後(11週齢時)に血糖値および血中インスリン値を検討した後、以下のサンプルを投与した。なお、投与サンプルにはBSA(bovine serum albumin)を100mg/mlとなるように加えた。各サンプルのタンパク質量は、BSAを対照として吸光度計で測定した。
第1群:NK+Insulin(経口) 40μg/0.2ml/匹 1/1
第2群:NK+Insulin(経口) 4.0μg/0.2ml/匹 1/10
第3群:NK+Insulin(皮下注射) 40μg/0.2ml/匹 1/1
第4群:キャリアNK(経口) 40μg/0.2ml/匹
第5群:PBS(皮下注射) 0.2ml/匹
第6群:NK+Insulin(経口) 160μg/0.2ml/匹 1/1
第7群:NK+Insulin(経口) 16μg/0.2ml/匹 1/1
第8群:キャリアNK(経口) 160μg/0.2ml/匹
(3) 実験方法
3時間絶食時の血糖値が400mg/dl前後のSTZ投与C57BL/6マウスを18時間絶食し、空腹時血糖を測定した後に、グルコース(2g/kg BW)の経口投与を胃ゾンデで行った。各サンプルの投与は、18時間の絶食後に、それぞれのマウスに経口あるいは皮下で行った。
血糖値は、マウスの眼窪静脈叢からキャピラリーを用いて採血を行い、グルテストエース(GT-1640三和化学研究所製)によって測定した。糖負荷30分後に血糖値を測定して上昇したことを確認し、サンプルを投与した。その後1、2、4時間後に血糖値測定と0.2mlの採血を行い、遠心分離して血漿を得た。
(4) 結果
結果は図11、12に示したとおりである。すなわち、図11に示したように、NK+Insulinの経口投与(第1群、第2群)では、投与量40μg/匹(2.4mg/kg)で統計学的に有意な血糖降下作用が確認できたが、4.0μg/匹(240μg/kg)では有意な効果が認められなかった。キャリアNK単独(第4群)でも、40μg/匹(2.4mg/kg)では、採血の影響およびBSAによる作用か、若干の血糖降下傾向が認められた。なお、コントロール(第5群)でも、投与後に若干の血糖降下傾向があった。
一方、図12に示したように、NK+Insulinの経口投与(第6群、第7群)では、投与量160μg/匹(約10mg/kg)では統計学的に有意な血糖降下作用が確認できたが、16.0μg/匹(1.0mg/kg)でも有意の効果が認められた。キャリアNK単独(第8群:160μg/匹[約10mg/kg])では、コントロールと比較しても有意の変化を認めなかった。
(5) 考察
10、2.4、1.0mg/kgのNK+Insulin融合ポリペプチドの1回の経口投与では統計学的に有意な血糖降下活性が確認できたが、0.24mg/kgの経口投与では統計学的に有意な生理活性が確認できなかった。しかしキャリアーNK単独10、2.4および0.24mg/kgの1回の経口投与では、若干の傾向は認めたものの、有意の血糖降下作用を観察できなかった。使用した融合ポリペプチドとしてのInsulinの内、Insulin分は約1/4であり、それぞれ2.5、0.6、0.25mg/kgに相当する。これは十分臨床応用可能な投与量であり、かつ投与4時間後にも有意な血糖降下作用が持続した。この作用の持続時間は、Insulinの静脈注射の血糖降下作用よりも優れている。
以上の結果は、NK+Insulin融合ポリペプチドの経口投与によってインスリンが非常に効率よく消化管から吸収されているだけでなく、血中でも活性を失わなかった可能性を示唆している。この融合ポリペプチドではむしろ経口投与の方が、活性が高いものを持続して標的臓器である脂肪組織、筋肉、肝臓などに届けられる可能性が示唆された。
いずれにしても、この融合ポリペプチドによるDDSとしての可能性は非常に大きいことが確認された。消化管での消化の影響は比較的小さく、かつ血中での分解代謝にもかかわらず、標的臓器である脂肪組織、筋肉、肝臓などでの活性を十分発揮できる濃度と活性持続時間が確認された。
糖尿病マウスへのNK+Inslin融合ポリペプチドの経口投与によるインスリンの血中動態
(1) NK+Insulin融合ポリペプチドの調製
実施例6と同様のキャリアNK cDNAを調製した。pGEX-5X-3 vector (Amersham Biosciences)のBamHI/EcoRIサイトにキャリアNK cDNAを組み込み、大腸菌発現用Carrier発現ベクターを作成した。またキャリアNK cDNAの下流(pGEXベクターのEcoRI/SmaIサイト)にマウスInsulin2 cDNAを組み込み、大腸菌用のNK+Insulin発現ベクターを作成した。NK+Insulin融合ポリペプチドをコードする融合ポリヌクレオチドの配列は配列番号7のとおりである。なお、配列番号7において、5'端のGly-Ile-Proをコードする塩基配列はpGEXベクターのBamHIサイトの配列であり、3'端のSer-Arg-Valをコードする配列はpQEベクターのSmaIサイトの配列である。さらに、第311〜313位のArg-Asn-Serをコードする配列はpGEXベクター由来の配列である。
作成したベクターから、実施例6と同様にしてNK+Insulin融合ポリペプチドを調製した。ただし、この融合ポリペプチドは、破砕後の大腸菌から遠心分離して得た可溶成分から、GST-Select Affinity Gek(Amasham Pharmacia)によってGSTタグを持つタンパク質を分離、このタンパク質からGSTタグを除外して精製した。
(2) 実験群
正常C57BL/6マウス(6-7週齢、雄性、SLCより購入)を各群5-8匹とし、10日間の予備飼育後、180mg/kgのSTZを腹腔内注射した。約3週間後(11週齢時)に血糖値および血中インスリン値を検討した後、以下のサンプルを投与した。なお、NK+Insulinサンプル中には、タンパク質生成キット培地からの精製成分を含んでいる。
第1群:NK+Insulin(経口) 20μg/0.1ml/匹 1/1
第2群:NK+Insulin(皮下注射) 20μg/0.1ml/匹 1/1
第3群:PBS(皮下注射) 0.1ml/匹、0.5ml/匹
(3) 実験方法
3時間絶食時の血糖値が400mg/dl前後のSTZ投与C57BL/6マウスを18時間絶食し、空腹時血糖を測定した後に、グルコース(2g/kg BW)の経口投与を胃ゾンデで行った。各サンプルの投与は、18時間の絶食後に、それぞれのマウスに経口あるいは皮下で行った。
血糖値は、マウスの眼窪静脈叢からキャピラリーを用いて採血を行い、グルテストエース(GT-1640三和化学研究所製)によって測定した。糖負荷30分後に血糖値を測定して上昇したことを確認し、サンプルを投与した。その直後(実際上は約5分後)、25、50、80分後に0.2mlの採血を行い、遠心分離して血漿を得た。得られた血漿を用いてInsulinのELISAを行い、血中濃度を算出した。
(4) 結果
結果は図13に示したとおりである。すなわち、NK +Insulinの経口投与(第1群)では、投与量20μg/匹(1.2mg/kg)で、コントロールとなるPBS単独(第3群)に比較して統計学的に有意なインスリン誘導が投与後に観察された。同じく皮下投与(第2群)でも、NK+Insulinの投与量20μg/匹(1.2mg/kg)で統計学的に有意なインスリン誘導が投与後に観察された。なお、図13に示していないPBS皮下注射(第3群)の血中インスリン量はいずれの個体も24pg/ml以下であった。
(5) 考察
1.2mg/kgのNK+Insulin融合ポリペプチドの1回の経口あるいは皮下注射投与で統計学的に有意なインスリンの血中での濃度維持が確認された。使用した融合ポリペプチドの内、Insulin分は約1/4であり、0.3mg/kgに相当する。これは十分臨床応用可能な投与量であり、かつ投与4時間後にも有意な血中インスリン濃度が持続した。この作用の持続時間は、Insulinの皮下注射の血糖降下作用よりも優れている。また血中濃度の変化も、投与量が経口投与と同じ皮下注射と比較して、決して劣るものではなかった。
ただ、皮下注射の場合であっても、1.2mg/kg投与後の最高血中濃度が平均でも0.4ng/mlであったことから、比較的低濃度(1.0 ng/ml以下)のインスリンでも濃度維持ができれば、血糖が低下することを示唆している。
以上の結果は、NK+Insulin融合ポリペプチドの経口投与によってインスリンが非常に効率よく消化管から吸収されているだけでなく、血中でも活性を失わなかった可能性を示唆している。この融合ポリペプチドではむしろ経口投与の方が、活性が高いものを持続して標的臓器である脂肪組織、筋肉、肝臓などに届けられる可能性が示唆された。
いずれにしても、この融合ポリペプチドによるDDSとしての可能性は非常に大きいことが確認された。消化管での消化の影響は比較的小さく、かつ血中での分解代謝にもかかわらず、標的臓器である脂肪組織、筋肉、肝臓などでの活性を十分発揮できる濃度と活性持続時間が確認された。
NK+Adiponectinの経口投与
(1) 融合ポリペプチドの調製
実施例6と同様のキャリアNK cDNAを調製した。pQE-TriSystem His・Strep 1 vector(Qiagen社)のSmaI/BamHIサイトにキャリアNK cDNAを組み込み、大腸菌用のキャリアーNK発現ベクターを構築した。またキャリアNK cDNAの下流(pQEベクターのBamHI/EcoRIサイト)にマウスAdiponectin cDNAを組み込み、大腸菌用のNK+Adiponectin発現ベクターを作成した。NK+Adiponectinをコードする融合ポリヌクレオチドの配列は配列番号9のとおりである。なお、配列番号9において、5'端のSer-Arg-Gluをコードする塩基配列はpQEベクターのSmaIサイトの配列であり、3'端のAsp-Pro-Asn-Serをコードする配列はpQEベクターのEcoRIサイトの配列である。さらに、第311〜313位のVal-Asp-Proをコードする配列はpQEベクター由来の配列である。
作成したベクターから、実施例6と同様にしてNK+Insulin融合ポリペプチドを調製した。
(2) 実験群
C57BL db/dbマウス(6週齢、雄性、クレアより購入)を各群4匹とし、4週間の予備飼育後、10週齢で絶食後血糖値を検討した後、以下の各サンプルを投与した。なお、投与サンプルにはBSA(bovine serum albumin)を100mg/mlとなるように加えた。各サンプルのタンパク質量は、BSAを対照として吸光度計で測定した。
第1群:NK+Adiponectin(経口) 25μg/0.2ml/匹 1/1
第2群:NK+Adiponectin(経口) 2.5μg/0.2ml/匹 1/10
第3群:Adiponectin(経口) 25μg/0.2ml/匹 1/1
第4群:キャリアNK(経口) 25μg/0.2ml/匹、1/1
(3) 実験方法
(3-1) 予備実験
血糖値400mg/ml前後の8週齢の上記C57BL db/dbマウスに対し、絶食3時間後に血糖測定と採血を行い、そのまま18時間まで絶食を続けた後に1回めのサンプル投与を行った。翌日、翌々日にも同時刻にサンプルの投与を行い、計3回の投与の効果を、再び3時間絶食後の血糖値を測定することによって検討した。
(3-2) 投与後経時変化実験
上記の血糖変化を検討し終ったC57BL db/dbマウスを18時間絶食し、空腹時血糖を測定した後に、グルコース(2g/kg BW)の経口投与を胃ゾンデで行った。各サンプルの投与は、18時間の絶食後に、それぞれのマウスに経口あるいは皮下で行った。
血糖値はマウスの眼か静脈叢からキャピラリーを用いて採血を行い、グルテストエース(GT-1640三和化学研究所製)によって測定した。糖負荷30分後に血糖値を測定して上昇したことを確認し、合成タンパクを経口投与した。その後1、2、4時間後に血糖値測定を行った。
(4) 結果
結果は図14に示したとおりである。経口投与後の時間経過観察実験では、NK+Adiponectinの投与量25μg/匹(625μg/kg)(第1群)では統計学的に有意な血糖降下作用が確認できたが、2.5μg/匹(62.5μg/kg)(第2群)では有意の効果が認められなかった。また、キャリアNK単独(第4群)でも、20μg/匹(500μg/kg)では、採血の影響およびBSAによる作用か、統計学的有意差がなかったが、若干の血糖降下傾向があった。さらに、コントロール(第4群)でも、投与後に若干の血糖降下傾向があった。
(5) 考察
0.625mg/kgのNK+Adiponectin融合ポリペプチドの経口投与では4回目の投与1時間後に統計学的に有意な血糖降下活性が確認できたが、1/10量の62.5μg/kgの経口投与では統計学的に有意な生理活性が確認できなかった。また、キャリアーNK単独500μg/kgの1回の経口投与では、若干の傾向は認めたものの、有意の血糖降下作用を観察できなかった。使用した融合ポリペプチドの内、Adiponectin分は約1/2であり、約300μg/kgに相当する。これは十二分に臨床応用可能な投与量である。食直後の血糖の上昇を抑制する意味は小さくないと考えられる。
いずれにしても、この融合ポリペプチドによるDDSとしての可能性は非常に大きいことが確認された。消化管での消化の影響は比較的小さく、標的臓器である脂肪組織、筋肉、肝臓などでの活性を十分発揮できる濃度が確認されtら。ただ、今回の2型糖尿病モデル動物C57BL db/dbマウスは、10週齢に達したばかりで、比較的軽症であったと考えられる。特に、我が国では糖尿病患者の約95%がインスリン抵抗性が原因とされる2型糖尿病であるとされている。Adiponectinは、この2型糖尿病に特効があるとされ、インスリン抵抗性の改善作用が知られている。これの経口投与の可能性が、生理活性とともに示された意義は極めて大きい。
この出願の発明により、疾患治療に有効な生理活性ポリペプチドの経口投与によって生体内に投与することが可能となる。また消化分解されにくく、かつ吸収がよいことの結果として、血中への移行効率が高いことも大きな意味を持つ。新規な有用タンパク質の適用範囲の可能性を増すだけでなく、医療コストの消滅、廃棄物処理コストの削減などを介して、結果として省エネルギーにもつながり、また自然界に注射の容器、シリンジ内に残留した活性タンパク質を放散することの危険性をも小さくできる。
また、血中移行の効率あるいは薬効から考えて、消化器官吸収性ポリペプチドのアミノ酸配列により標的臓器病態が異なる可能性が高いことなど、全く新規のDDSとしての可能性があることも含めて、この発明は産業上大きな意義を有する。
X-線非照射マウスの未梢血有核細胞数に対するNK+G-CSF融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 X-線(4.84Gy)照射マウスの未梢血有核細胞数に対するNK+G-CSF融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 X-線(4.84Gy)照射マウスの血中G-CSF量に対するNK+G-CSF融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 X-線非照射マウスの未梢血赤血球数に対するNK+EPO融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 X-線非照射マウスの血中EPO量に対するNK+EPO融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 X-線(3.634Gy)照射マウスの未梢血赤血球数に対するNK+EPO融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 X-線(3.634Gy)照射マウスの血中EPO量に対するNK+EPO融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 糖尿病モデルマウスの血糖値に対するNK+Ins2融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 糖尿病モデルマウスの血中Ins2量に対するNK+Ins2融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。 実施例6の結果であり、マウス末梢血の白血球数に対するNK+G-CSF融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。図中、縦軸は白血球細胞数、横軸は経過時間、黒四角はキャリアNK経口投与(第4群:5匹)、白四角はPBS皮下注射(第5群:5匹)、黒三角はNK+G-CSF経口投与(第1群:5匹)、白三角はNK+G-CSF皮下注射(第3群:5匹)、黒丸はNK+G-CSF(1/10)経口投与(第2群:5匹)の結果である。 実施例7の結果であり、糖尿病モデルマウスの血中グルコース量に対するNK+Insulin融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。図中、縦軸はグルコース量、横軸は経過時間、黒四角はPBS皮下注射(第5群:コントロール:6匹)、黒三角はNK+Insulin経口投与(第1群:9匹)、白三角はNK+Insulin2(1/10)経口投与(第2群:8匹)、白丸はキャリアNK経口投与(第4群:8匹)、黒丸はNK+Insulin2皮下注射(第3群)の結果である。 実施例7の結果であり、糖尿病モデルマウスの血中グルコース量に対するNK+Insulin融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。図中、縦軸はグルコース量、横軸は経過時間、菱形はNK+Insulin経口投与(第6群:6匹)、四角はNK+Insulin2(1/10)経口投与(第7群:6匹)、三角はキャリアNK経口投与(第8群:6匹)の結果である。 実施例8の結果であり、糖尿病モデルマウスの血中インスリン量に対するNK+Insulin融合ポリペプチド経口投与の効果を示したグラフである。図中、縦軸は血中インスリン量、横軸は経過時間(分)、菱形はNK+Insulin経口投与(第1群:4匹)、四角はNK+Insulin2皮下注射(第2群:3匹)の結果である。 実施例9の結果であり、糖尿病モデルマウスの血中グルコース量に対するNK+Adiponectin融合ペプチド経口投与の効果を示したグラフである。図中、縦軸はグルコース量、横軸は経過時間、黒四角はAdiponectin経口投与(第3群:4匹)、黒三角はNK+Adiponectin経口投与(第1群:4匹)、白三角はNK+Adiponectin(1/10)経口投与(第2群:4匹)、黒丸はキャリアNK経口投与(第4群:4匹)の結果である。

Claims (10)

  1. 枯草菌ナットーキナーゼの部分ペプチドであって、配列番号2のアミノ酸配列における1ないし20番目から293番目ないし326番目までのいずれかのアミノ酸配列からなり、生理活性ポリペプチドと連結して経口摂取された場合に、生理活性ポリペプチドを消化管から吸収させることを特徴とする消化器官吸収性ポリペプチド。
  2. 請求項1の消化器官吸収性ポリペプチドと、生理活性ポリペプチドとを含む融合ポリペプチド。
  3. 請求項1の消化器官吸収性ポリペプチドと、薬剤成分候補物質と、標識物質とを含む標識化融合ポリペプチド。
  4. 請求項1の消化器官吸収性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  5. 請求項4のポリヌクレオチドを保有し、消化器官吸収性ポリペプチドを発現する発現ベクター。
  6. 請求項4ポリヌクレオチドと、生理活性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとを含む融合ポリヌクレオチド。
  7. 請求項6の融合ポリヌクレオチドを保有する発現ベクター。
  8. 請求項2の融合ポリペプチドを含有する経口組成物。
  9. 消化管非吸収性物質の生体内毒性を試験する方法であって、請求項1の消化器官吸収性ポリペプチドと消化管非吸収性物質との結合体を非ヒト動物に経口投与する工程を含むことを特徴とする毒性試験方法。
  10. 消化管非吸収性物質の生体内毒性を試験するためのキットであって、請求項1の消化器官吸収性ポリペプチドと消化管非吸収性物質との結合体を含むことを特徴とする試験キット。
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