JP4270369B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、鋭角端部をもつブロックからなるブロックパターンの異常摩耗を抑制すると共に操縦安定性を向上するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブロックパターンを設けた空気入りタイヤの場合、排水性の向上等の目的からブロックの端部を鋭角に形成するようにしたものがある。しかし、このようなブロックは、その鋭角端部の部分の剛性が低いため偏摩耗したり、また操縦安定性を低下させたりする原因になる。このような異常摩耗や操縦安定性の低下を防止する対策として、ブロック間の溝を鋭角端部に相当する部分で底上げして浅くし、この溝の底上げによりブロックの動きを抑制することにより、異常摩耗や操縦安定性の低下を防止することが知られている。
【0003】
しかし、従来技術では,溝の底上部の表面をトレッドラジアスにほぼ平行な平面状に形成するようにしているため、上記異常摩耗や操縦安定性の低下を抑制する効果は一応認められるものの、その効果は必ずしも十分に満足できる程度のものとはいえなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のように鋭角端部をもつブロックからなるブロックパターンが有する問題を解消し、異常摩耗の抑制と共に,操縦安定性を一層向上するようにした空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、トレッドに、ストレート状の3本の周方向主溝を有し、該周方向主溝と横溝で区分された多数のブロックで形成されかつ鋭角端部を持つブロックからなるブロックパターンを有する空気入りタイヤにおいて、左右のショルダー部にそれぞれ細溝を有し、かつ前記横溝は前記3本の周方向主溝と該細溝を斜めに横切るように設けられているとともに、前記3本の周方向主溝のうちの1本はタイヤ赤道線上に配置され、他の2本の周方向主溝はタイヤ赤道線の両サイドに配置され、かつ該両サイドの2本の周方向主溝内にて、それぞれの主溝を挟んで対向している前記鋭角端部どうしを持つ隣接するブロック間の溝が底上げされ、該底上部の中間部を曲率半径R2 が5〜10mmであってかつ最低高さHmin の凹曲面にすると共に、該凹曲面から両端部側を徐々に高くなる曲率半径R1 が5〜20mmである凸曲面にし、該凸曲面を前記ブロック端部の上面に連接させ、かつ前記最低高さHmin を溝深さDの0.1〜0.5倍にしたことを特徴とするものである。
【0006】
このように底上部の中間部を最低高さHmin の凹曲面にすると共に、両端部側が徐々に高くなる凸曲面に形成し、この底上部がブロック端部に連接するようになっているため、ブロックの鋭角端部の剛性を従来の平面的な底上部に比べて著しく向上することができる。したがって、鋭角端部を有するブロックからなるブロックパターンの偏摩耗を抑制すると共に、操縦安定性を一層向上することができる。
【0007】
また、上記作用効果は、底上部の最低高さHmin が溝深さDの0.1倍以上であることにより一層明確にし、かつ0.5倍以下であることにより、溝による排水性を低下させず確保することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施形態に基づき本発明を具体的に説明する。
【0009】
図1は、本発明の空気入りタイヤに設けたブロックパターンの一例を示す。
【0010】
トレッド1の中央部に3本のストレート状の主溝2がタイヤ周方向に設けられ、さらに左右のショルダー部にそれぞれ細溝3が設けられている。また、これら周方向主溝2と細溝3を斜めに横切るように複数本の横溝4が設けられ、これらの溝により区分された多数のブロック5が形成されている。3本の周方向主溝のうち、真ん中の1本はタイヤ赤道線上に配置され、他の2本の主溝はタイヤ赤道線の両サイドに配置されている。
【0011】
上記ブロック5には、それぞれタイヤ周方向の両端部に、挟み角が90°より小さい鋭角端部5aが形成されている。このように鋭角端部5aを形成したブロック5のうち、斜めに隣接しあうブロック5,5は、それらの鋭角端部5a,5a同士を赤道線の両サイドに配置された周方向主溝2を挟んで互いに対向させている。このように、赤道線の両サイドに配置された周方向主溝2内にて鋭角端部5a,5aの間に挟まれた主溝2の部分は底上げされ、溝深さが浅くなった底上部6を形成している。
【0012】
上記鋭角端部5a、5aの間に挟まれた底上部6は、図2(A)、(B)及び図3に詳細を示すように、上面が連続的な曲面に形成されている。その底上部6の連続曲面は、中間部に凹曲面6bを形成すると共に、それぞれ両端部側に曲率が反転した凸曲面6a、6aを形成している。中間部の凹曲面6bには、底上部6の最低高さHmin が形成され、その最低高さHmin としては、底上部6に隣接する主溝2の溝深さDの0.1〜0.5倍に設定されている。
【0013】
上記のように底上部6の中間部を凹曲面6bにすると共に、その凹曲面6bを最低高さHmin にし、両端部側は徐々に高くして凸曲面6a、6aに形成することにより、この底上部6をブロック5の端部に連接すると、従来の平面的な底上部で補強される場合に比べて、鋭角端部5aの剛性は凸曲面6aが補強部として存在する分だけ著しく向上する。したがって、鋭角端部を有するブロック5の偏摩耗を抑制すると共に、操縦安定性を一層向上することができる。
【0014】
このような効果は、底上部6の最低高さHmin が溝深さDの0.1倍未満であっては得ることができず、また最低高さHmin が溝深さDの0.5倍よりも大きくなったのでは、排水性が悪化するようになる。
【0015】
上記構成において、凸曲面6aの曲率半径R1 は5〜20mmの範囲にすることが重要であり、また凹曲面6bの曲率半径R2 は5〜10mmの範囲にすることが重要である。凸曲面6aの曲率半径R1 が5mm未満であると偏摩耗が発生するようになり、また凹曲面6bの曲率半径R2 が5mm未満であると、排水性が悪化するようになる。また、凸曲面6aの曲率半径R1 が20mmより大きかったり、凹曲面6bの曲率半径R2 が10mmより大きかったりすると、いずれの場合にも排水性が悪化するようになる。
【0016】
【実施例】
タイヤサイズが235/45ZR17で、図1のブロックパターンを有し、ブロック鋭角端部同士の間に形成した底上部の最低高さHmin を溝深さD(=15mm)の0.3倍(=4.5mm)にし、凸曲面6aの曲率半径R1 を10mm、凹曲面6bの曲率半径R2 を7mmにした空気入りタイヤ(実施例1)を製作した。
【0017】
他方、比較のため、底上部の形状を上面を平面状にして底上げ高さを4.5mmにした以外は、上記実施例1のタイヤと同一構造にした空気入りタイヤ(従来例)を製作した。
【0018】
この2種類のタイヤについて、下記の測定方法により操縦安定性(ラップタイム,摩擦円面積,最大横力係数による評価)と偏摩耗性とを測定し、その結果を表1に示した。
【0019】
〔ラップタイム〕
タイヤサイズ235/45ZR17で、リムサイズ8JJ×17のリムにリム組みし、空気圧200kPaを充填した試験タイヤを排気量2500ccの乗用車に装着し、テストドライバ−により一周2kmの周回コースを走行するときのラップタイムを測定した。評価は従来例タイヤのラップタイムを100とする指数で示した。指数が小さいほど優れていることを意味する。
【0020】
〔摩擦円面積〕
試験タイヤを上記と同一条件で同一車両に装着し、同じ周回コースを走行したときに発生する左右横方向の加速度(横G)と前後方向の加速度(前後G)とを横軸と縦軸とにプロットし、これらプロット点を通る円又は楕円の面積を摩擦円面積として測定した。評価は従来例タイヤの摩擦円面積を100とする指数で示した。指数が大きいほど優れていることを意味する。
【0021】
〔最大横力係数〕
試験タイヤを上記と同一条件で同一車両に装着し、同じ周回コースを走行したときに発生する左右横方向の最大加速度(最大横G)と、この最大横Gを発生したときにタイヤに掛かる荷重(動荷重)と、静止時にタイヤに掛かる荷重(静荷重)とをそれぞれ測定し、その測定値から
最大横力係数 = 静荷重×最大横G/動荷重
の式により「最大横力係数」を算出した。評価は従来例タイヤの最大横力係数を100とする指数で示した。指数が大きいほど優れていることを意味する。
【0022】
〔偏摩耗性〕
試験タイヤを上記と同一条件で同一車両に装着し、一般路を500km走行したのち、底上部で連結した各ブロックの中心部と鋭角部との新品時からの摩耗量の差を測定した。評価は従来例タイヤにおける摩耗量の差を100とする指数で示した。指数が小さいほど優れていることを意味する。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
上述したように本発明の空気入りタイヤによれば、周方向主溝を挟んで対向している鋭角端部どうしを持つ隣接するブロック間の溝を底上げし、その底上部の中間部を曲率半径R 2 が5〜10mmであってかつ最低高さHmin の凹曲面にすると共に、該凹曲面から両端部側を徐々に高くなる曲率半径R 1 が5〜20mmである凸曲面にし、該凸曲面を前記ブロック端部の上面に連接させ、かつ前記最低高さHmin を溝深さDの0.1〜0.5倍にしたため、ブロックの鋭角端部の剛性を従来の平面的な底上部による補強に比べて著しく向上することができ、鋭角端部を有するブロックからなるブロックパターンの偏摩耗を抑制すると共に、操縦安定性を一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤに設けたブロックパターンの一例について一部を示す平面図である。
【図2】(A)は本発明の空気入りタイヤに設けたブロックパターンの要部を示す平面図、(B)は(A)におけるX−X矢視図である。
【図3】図2と同一箇所のブロックパターンの要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 トレッド
2 主溝
4 横溝
5 ブロック
5a 鋭角端部
6 底上部
6a 凸曲面
6b 凹曲面
Claims (1)
- トレッドに、ストレート状の3本の周方向主溝を有し、該周方向主溝と横溝で区分された多数のブロックで形成されかつ鋭角端部を持つブロックからなるブロックパターンを有する空気入りタイヤにおいて、左右のショルダー部にそれぞれ細溝を有し、かつ前記横溝は前記3本の周方向主溝と該細溝を斜めに横切るように設けられているとともに、前記3本の周方向主溝のうちの1本はタイヤ赤道線上に配置され、他の2本の周方向主溝はタイヤ赤道線の両サイドに配置され、かつ該両サイドの2本の周方向主溝内にて、それぞれの主溝を挟んで対向している前記鋭角端部どうしを持つ隣接するブロック間の溝が底上げされ、該底上部の中間部を曲率半径R2 が5〜10mmであってかつ最低高さHmin の凹曲面にすると共に、該凹曲面から両端部側を徐々に高くなる曲率半径R1 が5〜20mmである凸曲面にし、該凸曲面を前記ブロック端部の上面に連接させ、かつ前記最低高さHmin を溝深さDの0.1〜0.5倍にした空気入りタイヤ。
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