JP4270079B2 - 駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両等に用いられる振動抑制制御装置の改良に関する。
モータやエンジンなどの駆動源のトルク変化に伴ないドライブシャフトのねじれ等起因して発生する駆動系の振動(例えば、ガクガク振動)を抑制するものが、特許文献1等に知られている。
これは、所定の周波数帯域のモータの回転数(振動周波数成分)をフィードバックし、目標トルクが実現されるようにPD(比例・微分)制御しており、このPD制御によって規範応答(過渡応答特性)と安定性(目標値への追従性)とを両立している。
特開2002−171778号
しかしながら、上記従来例では、規範応答と安定性との両立を一つのPD補償器で実現しているため、例えば、規範応答を変更したい場合に、安定性への影響も考慮しつつPD補償器を再設計しなければならず、開発基本効率が悪いといった問題があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、安定性の補償と規範応答のための補償を独立して行いながら、車両の振動を抑制することを目的とする。
本発明は、アクセルペダルの操作量を含む車両の運転状態に基づいてエンジンまたはモータからなる制御対象に対する出力の基本指令値を演算する目標値演算手段と、
前記基本指令値と規範応答の伝達特性とに基づいて規範指令値を演算する規範指令値演算手段と、前記規範指令値と制御対象の出力値との偏差から補正値を演算する補正値演算手段と、を含む応答性補償手段と、
前記基本指令値と前記補正値とに基づいて目標指令値を演算する目標指令値演算手段と、前記目標指令値に基づき制御対象を制御する制御手段とを備えて、補正値演算手段では制御対象の出力値の所定の周波数成分に基づいて、規範指令値と制御対象の出力値の偏差を算出する。
したがって、本発明によれば、応答性補償手段では、規範応答のための補償を行う規範指令値演算手段と、安定性に対する補償を行う補正値演算手段を独立させることができ、規範応答のみを変更する場合では、規範指令値演算手段の変更のみを行えば良く、安定性に対する補償を行う補正値演算手段の変更を行う必要がなくなるので、規範応答と安定性(振動の抑制)をバランスさせるように変更を行うことが前記従来例に比して容易となって、設計に要する労力を大幅に低減でき、車両の開発期間の短縮を図ることができるのである。
以下、本発明の第1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用するハイブリッド車両の一例を示し、シリーズ・パラレルハイブリッド車両を例としてあげている。
駆動源として第1駆動源となる交流同期モータ1と、発電用モータ4を備えた第2駆動源としてのエンジン2が、電磁クラッチ3を介して直列的に配置され、交流同期モータ1の後段には無段変速機5とファイナルギア50と駆動軸60及びタイヤ61が連結される。クラッチコントローラ12によって制御される電磁クラッチ3が締結状態のときにパラレルハイブリッドとして駆動が行われ、電磁クラッチ3の解放状態のときには、発電用モータ4からの電力により交流同期モータ1が駆動されるシリーズハイブリッドとなる。
交流同期モータ1は、駆動トルク制御による車両の駆動や回生ブレーキ制御による車両運動エネルギーをバッテリー8へ回収を行うものであり、モータコントローラ14によって制御される。なお、モータコントローラ14は、高電圧のインバータ7を介して各モータの駆動、回生を制御する。
エンジン2は、スロットルアクチュエータ20による吸入空気量とインジェクタによる燃料噴射量と、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクが指令値と一致するようにエンジンコントローラ13で制御され、希薄燃焼が可能となっている。
発電用モータ4は、上述のシリーズ走行モードにおいてバッテリー8の充電状態に応じてエンジン出力トルクを電気エネルギーに変換し、インバータ7を介してバッテリー8に充電する。なお、発電用モータ4は、モータコントローラ14によって制御される。
無段変速機5は、プライマリプーリとセカンダリプーリの半径を油圧制御で可変することで変速比が指令値に一致するように変速機コントローラ11によって制御される。
なお、バッテリー8は、高電圧バッテリで構成され、バッテリーコントローラ15により監視制御され、交流同期モータ1からの回生エネルギーや発電用モータ4が発電した電気エネルギーを蓄積する。
これらの変速機コントローラ11、クラッチコントローラ12、エンジンコントローラ13、モータコントローラ14、バッテリーコントローラ15は通信線100を介して統合コントローラ10に接続されており、統合コントローラ10からの指令に応じてそれぞれ制御を行う。
統合コントローラ10は、バッテリー8の状態、アクセル操作量センサ9からのアクセル操作量、車速センサ60からの車速、ブレーキスイッチ40からのブレーキ信号、ブレーキ液圧センサ41からのブレーキ液圧信号などの運転状態から駆動トルク指令値を演算する。そして、その結果を各トルク指令値(モータ、エンジン)ならびに変速比指令値として配分し、各コントローラへと送信する。また、バッテリー状態ならびに車速からクラッチ状態を決定し、クラッチコントローラへと送信する。このため、統合コントローラ10には、アクセルペダルの操作量(またはアクセル開度Apo)を検出するアクセルセンサ9と、車速を検出する車速センサ6が接続され、各センサの検出値が入力される。
すなわち、変速機コントローラ11は、統合コントローラ10からの変速比指令値を達成するように無段変速機5を制御し、クラッチコントローラ12は統合コントローラ10からのクラッチ制御信号により電磁クラッチ3を締結/開放する。エンジンコントローラ13は、統合コントローラ10からのエンジントルク指令値を達成するようにエンジントルク制御を行い、モータコントローラ14は、統合コントローラ10からのモータトルク指令値を達成するようにモータトルク制御を行う。また、バッテリーコントローラ15は、バッテリー8の充電状態を管理し、その情報を統合コントローラ10へと送信する。
次に、統合コントローラ10で行われる制御の一例を図2に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図2に示す処理内容は一定の周期(例えば、数msec)で実行されることとする。
ステップSlでは、バッテリー充電量SOCや無段変速機の変速比Ipといった他のコントローラ11〜15が計測した車両状態を受信する。ステップS2では、アクセル操作量や車速信号を各センサからの信号に基づいて計測する。
ステップS3では、アクセル操作量、車速から駆動トルク指令値Td*を演算する。この駆動トルク指令値Td*演算は、例えば、図3に示すようなマップに基づき、アクセル操作量(図中アクセル開度)をパラメータとした車速の関係から駆動トルク指令値Td*を演算する。
ステップS4では、バッテリー充電量SCOならびに車速といった車両状態量に基づき電磁クラッチ3のクラッチ制御信号CLsigを演算する。この、クラッチ制御信号CLsigの演算は、車速が所定値を超えたときや、バッテリ充電量SCOが低下した場合には、電磁クラッチ3を締結するような制御信号CLsigを設定してエンジン2による駆動及び充電を行うようにする一方、車速が所定値未満でバッテリ充電量SCOが十分な場合には、電磁クラッチ3を解放するような制御信号CLsigを設定して、交流同期モータ1による駆動を行う。
ステップS5では、駆動トルク指令値Td*をエンジントルク指令値Te*並びにモータトルク指令Tm*へと配分する。この駆動トルク指令値Td*の配分方法は、例えば、車速やバッテリ充電量SCOなどに応じて配分すればよい。
ステップS6では、次式に示す位相補償フィルタW(s)に基づきモータトルク指令値Tm*に位相補償を施し、F/Fモータトルク指令値Tm_FFを演算する。
Figure 0004270079
但し、
P(s):アクセル操作量に対する駆動軸トルクの伝達関数
m(s):駆動トルクの規範応答
ωp:自車両の固有振動数
ωm:目標車両の固有振動数
ζp:自車両の減衰係数
ζm:目標車両の減衰係数
s:ラプラス演算子
である。また、GP(s)、Gm(s)の演算は、特開平10−227231号公報と同様にして行うことができる。
なお、位相補償フィルタの各定数は無段変速機の変速比Ipに基づき、例えば、図4、図5に示すようなマップを用いて決定する。なお、図4は、変速比Ipに応じた固有振動数ωのマップを示し、図5は、変速比Ipに応じた減衰係数(減衰率)ζのマップを示し、目標車両の減衰係数ζmは、全ての変速比で1.0に設定されて非振動モデルを表し、自車両の減衰係数ζpは全ての変速比で所定値に設定されている。また、実際の演算はダスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
次に、ステップS7〜S9にモータトルク補正値演算処理について説明する。
ステップS7では、入力トルク指令値Tm*を入力とし、次式に基づきトルク規範値Tm_refを演算する。
Figure 0004270079
但し、τm:規範応答時定数[sec]
である。実際には、前述と同様ダスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
ステップS8では、トルク規範値Tm_refならびに変速比Ipから、次の(3)式に基づき駆動軸回転加速度規範値αωd_refを演算する。
Figure 0004270079
但し、M:車両質量
R:タイヤ半径
if:最終減速比
Td_ref:駆動トルク規範値
である。
ステップS9では、駆動軸回転加速度規範値αωd_refを次式のように積分することにより駆動軸回転速度規範値ωd_refを演算する。実際の積分演算は前述と同様ダスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
Figure 0004270079
また、次式に示すような走行抵抗を考慮した形で駆動軸回転速度規範値ωd_refを演算してもよい。
Figure 0004270079
ここで、Krは走行抵抗に相当する値に設定する。このような構成とすることにより、純積分処理がなくなり内部変数の不安定化(積分器の発散)を防止することができる。
次に、ステップS10では、駆動軸回転速度規範値ωd_refと駆動軸回転速度計測値ωd(=車速VSP/R)との偏差ωd_errを、次式に示すバンドパスフィルタBPFを通すことにより振動周波数成分ωd_err_bpfのみを抽出した後、比例ゲインKpを乗じた結果をモータトルク補正値Tm_FBとする。
Figure 0004270079
実際には、前述と同様ダスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。なお、バンドパスフィルタBPFの各定数τH、τLならびに比例ゲインKpは制御対象の振動周波数に応じて設定する。
実際には変速比に応じて、例えば、図6、図7に示すようなマップを用いて演算する。
ステップSllでは、モータトルク指令値Tm_FFにモータトルク補正値Tm_FBを加え、最終モータトルク指令値Tm*’とする。
ステップS12では、配分された最終モータトルク指令値Tm*’と、エンジントルク指令値Te*を各制御コントローラへと送信する。
上記制御の内容を図8のブロック図に示す。
図8において、位相補償部101(動特性補償手段)は、モータトルク指令値Tm*に上記(1)式のフィルタによって位相補償を施し、F/Fモータトルク指令値Tm_FFを出力する。
トルク規範値演算部102は、入力トルク指令値Tm*から上記(2)式よりトルク規範値Tm_refを演算する。このトルク規範値Tm_refと変速比Ipを入力として駆動軸回転速度規範値演算部103は、上記(3)式、(4)式より駆動軸回転速度ωd_refを演算する。フィードバック部104では、駆動軸回転速度ωd_refと駆動軸回転速度計測値ωd(=車速VSP/R)との偏差ωd_errを求め、モータトルク補正値演算部105では、上記(6)式のバンドパスフィルタBPFを通すことにより振動周波数成分ωd_err_bpfのみを抽出し(バンドパスフィルタ部105A)、これに比例ゲインKpを乗じてモータトルク補正値Tm_FBを出力する(比例ゲイン演算部105B)。トルク補正部106(目標指令値演算手段)では、位相補償部101からのモータトルク指令値Tm_FFにモータトルク補正値演算部105からのモータトルク補正値Tm_FBを加え、最終モータトルク指令値Tm*’を求めて出力するのである。
なお、この図8の位相補償部11を省略することも可能であり、この場合の制御ブロック図は図9のようになる。
以上のように、トルク指令値Td*(Te*及びTm*)を入力として、上記(2)式の規範応答の伝達特性Gm(s)によりトルク規範値Tm_refを演算するトルク規範値演算部102と、トルク規範値Tm_refから駆動軸(または駆動輪)回転速度規範値ωd_refを演算する駆動軸回転速度規範値演算部103と、駆動軸回転速度規範値ωd_refと駆動軸回転速度計測値ωdの偏差ωd_errからモータトルク補正値Tm_FBを演算するモータトルク補正値演算部105とを備え、モータトルク補正値演算部105は、振動周波数成分のみを抽出してモータトルク補正値Tm_FBを演算し、トルク指令値を補正する。
これにより、モータトルク補正値演算部105では規範応答と実応答との偏差を打ち消すようにモータトルクを補正するため、例えば、駆動系のバックラッシュといったモデル化していない非線形要素の影響を受け難くなり、その結果、図10で示すように、トルク指令値Tm*がステップ応答する際には、図中実線で示すように最終トルク指令値Tm*’は滑らかに立ち上がり、前述したガクガク振動(図中波線)などを抑制することができる。なお、図10の実線は、位相補償部101を有しない図9の構成における応答を示すものである。
そして、図11で示すように、モータトルク補正値演算部105では、バンドパスフィルタ部105A(図11(A))により、振動周波数成分のみを抽出し補正値を演算するため、定常状態に影響を与えず(路面勾配やトルクバラツキなどを定常的に補償しない)に振動のみを抑制することができる。これにより、例えば、車速制御装置(または定速走行制御装置)といった路面勾配を補償して、常に一定速度を保つような制御システムと同時に作動させた場合においても、互いの制御が干渉することなく、その結果、車速ハンチングの発生を防止することができ、他の制御装置との制御の干渉を回避することが可能となり、車両に搭載する際の設計の労力を低減することができる。なお、図11(B)のバンド幅は図中係数TH、TLに応じて決定され、これら係数TH、TLは、上記(6)式の各定数τH、τLに対応するものである。
こうして、トルク規範値演算部102と駆動軸回転速度規範値演算部103(規範指令値演算部)で規範応答のための補償を行い、モータトルク補正値演算部105(補正値演算手段)で安定性に対する補償を行うようにしたので、規範応答の補償部と安定性の補償部とを独立させることができるので、規範応答のみを変更する場合では、トルク規範値演算部102と駆動軸回転速度規範値演算部103の変更のみを行えば良く、F/B補償器(モータトルク補正値演算部105)の変更を行う必要がなく、逆に安定性に対する補償を変更する場合では、モータトルク補正値演算部105の変更(例えば、バンドパスフィルタ部105Aの特性変更)を行えば良く、前記従来例のように規範応答と安定性をバランスさせるように変更を行う場合に比して、設計に要する労力を大幅に低減でき、車両の開発期間の短縮を図ることができるのである。
さらに、トルク指令値Td*(Te*またはTm*)に対し位相補償を施しトルク指令値を演算する位相補償部101を設けて、トルク指令値に対して補正を施すことで、モータトルク指令値Tm*に予めフィードフォワード補償が施されるため、図10の一点鎖線で示すように、位相補償を行わない図9の構成(図10の実線)に比して、規範応答への追従性を改善することができ、規範応答を実現しつつ、安定性も補償することができる。
また、バンドパスフィルタ部105Aの特性は、制御対象(車両)の振動周波数に応じて周波数帯域(バンド幅)及び比例ゲインKpを可変としても良く、例えば、図11(B)で示すように、
振動周波数が低い場合(図中ωp1)
バンド幅:狭く
比例ゲイン:増大
振動周波数が高い場合(図中ωp3)
バンド幅:広く
比例ゲインKp:減少
のように設定しても良い。なお、図中ωp1、ωp2、ωp3は、設定した周波数帯域の中央値を示す。
振動周波数が低い場合には、周波数の変動(バラツキ)も比較的小さい。したがって、バンドパスフィルタ部105Aのバンド幅を狭めに設定しても振動周波数成分を抽出することができ、またバンド幅を狭めることによりF/Bの安定性を損なわずに比例ゲインを上げることができる。
一方、振動周波数が高い場合には、周波数の変動(バラツキ)も比較的大きい。したがって、BPFのバンド幅も広めに設定することにより、振動周波数を確実に抽出することができ、その結果振動を抑制することができる。このように、振動周波数に応じてバンドパスフィルタ部105Aのバンド幅ならびに比例ゲインKpを設定することにより、振動周波数に適したモータトルク補正値Tm_FBを演算することができ、振動抑制性能を向上させることができる。
また、位相補償部101を、上記(1)式で示したように、駆動軸トルクへの伝達特性Gp(s)の逆系と、アクセル操作に対し設計者が所望する駆動トルクの規範応答Gm(s)で構成することで、規範応答への追従性を改善することができ、規範応答を実現しつつ、安定性も補償することができる。
また、図8で示すように、フィードフォワードで位相を補償する位相補償部101の規範伝達関数Gm(s)と、トルク規範値演算部102の規範応答伝達関数Gm(s)を一致させることで、フィードバック補償部で補償を行う量を減少でき、より規範応答への追従性を向上させることができる。
また、無段変変速機5の変速比変化などにより振動周波数が変動した場合、その変動要因(変速比)に応じてバンドパスフィルタ部105Aの共振周波数を振動周波数と一致するか、あるいは振動周波数がバンド幅に入るように周波数帯域を変化させてもよい。この場合、振動周波数が変動した場合においても、常に振動を抑制することができる。
<第2実施形態>
図12〜図14は、第2の実施形態を示し、図12は、統合コントローラ10で行われる制御の一例で、前記第1実施形態の図2のフローチャートのステップS9をステップS9A、S9Bに置き換えたもので、図13の制御ブロック図は、前記第1実施形態の図8の制御ブロック図のモータトルク補正値演算部105を部分的に変更するとともに、フィードバック部を変更したものである。
まず、図12のフローチャートでは、ステップSl〜S8及びステップS10〜S12前記第1実施形態と同様なので説明を省略する。
ステップS9Aでは、下記の(7)式に基づき駆動軸回転加速度規範値αωd_refにローパスフィルタ処理を施し、最終駆動軸回転加速度規範値αωd_ref_lpfを演算する。
Figure 0004270079
なお、ローパスフィルタの各定数τH、τLは、前記第1実施形態と同様に図6に示すようなマップを用いて演算する。
次に、ステップS10では、駆動軸回転加速度αωdを入力とし下式に基づき駆動軸回転加速度推定値αωd_estを演算する。
Figure 0004270079
そして、Sllでは、最終駆動軸回転加速度規範値αωd_ref_lpfと駆動軸回転加速度推定値αωd_estの偏差に、比例ゲインKpを乗算してモータトルク補正値Tm_FBを演算する。尚、比例ゲインKpは前記第1実施形態と同様に図7に示すようなマップを用いて演算する。
このような構成とすることにより前述と同様に、純積分処理がなくなるため、内部変数が不安定(積分器の発散)になることなくモータトルク補正値Tm_FBを演算することができる。
また、図13、図14において、トルク指令値Tm*を入力とし規範応答の伝達特性Gm(s)(非振動モデル)によりトルク規範値Tm_refを演算するトルク規範値演算部102と、トルク規範値Tm_refから駆動軸(または駆動輪)回転加速度規範値αωd_refを演算する駆動輪加速度規範値演算部103と、駆動輪速度ωdを入力としバンドパスフィルタを用いて駆動輪加速度αωdを推定演算する駆動輪加速度推定値演算部105A’と、バンドパスフィルタの遅れ要素分のみを考慮したローパスフィルタ(LPF)107を用いて駆動軸回転加速度規範値αωd_refにLPF処理を施す最終駆動軸回転加速度規範値演算部と、このLPF処理を施した最終駆動軸回転加速度規範値αωd_ref_lpfと駆動軸回転加速度推定値αωd_estとの偏差に基づきモータトルク補正値Tm_FBを演算するモータトルク補正値演算部105’と、モータトルク補正値Tm_FBに基づきトルク指令値Tm*に補正を施すトルク補正部106からなり、駆動軸回転速度推定部105A’のバンドパスフィルタを振動周波数分のみを抽出する伝達特性とする。
これにより、モータトルク補正値演算部105と駆動軸回転速度推定部105A’では規範応答と実応答との偏差を打ち消すようにモータトルクを補正するため、例えば、駆動系のバックラッシュといったモデル化していない非線形要素の影響を受けづらくなり、その結果、前記第1実施形態の図10で示したように、トルク指令値Tm*がステップ応答する際には、図中実線で示すように最終トルク指令値Tm*’は滑らかに立ち上がり、前述したガクガク振動(図中波線)などを抑制することができる。
そして、駆動軸回転速度推定部105A’ではバンドパスフィルタにより振動周波数成分のみを抽出し補正値を演算するため、定常状態に影響を与えず(路面勾配やトルクバラツキなどを定常的に補償しない)に振動のみを抑制することができる。これにより、例えば、車速制御装置(または定速走行制御装置)といった路面勾配を補償して、常に一定速度を保つような制御システムと同時に作動させた場合においても、互いの制御が干渉することなく、その結果、車速ハンチングの発生を防止することができ、他の制御装置との制御の干渉を回避することが可能となり、車両に搭載する際の設計の労力を低減することができる。
また、バンドパスフィルタを上記(8)式、ローパスフィルタを(7)式に示すような構成とし、最終駆動軸回転加速度規範値αωd_ref_lpfと駆動軸回転加速度推定値αωd_estとの偏差から少なくとも比例要素を用いてモータトルク補正値Tm_FBを演算することで、振動の抑制を図りながらも、規範応答の実現を両立させ、さらに、規範応答に対する補償と安定性に対する補償を独立させることで、F/B補償部(モータトルク補正値演算部105’)を変更することなく規範応答の変更を行うことが可能となるのである。
なお、上記各実施形態では、駆動トルク指令値Td*をエンジントルク指令値Te*及びモータトルク指令Tm*へ配分したときに、モータトルク指令値Tm*を基本指令値(基本トルク指令値)とした場合について述べたが、エンジントルク指令値Te*について同様の制御を行っても良く、エンジントルク指令値Te*を基本指令値とし、上記と同様に規範応答に対する補償と、安定性に対する補償を独立させることで、いずれか一方の補償を変更する際には、他方に影響を与えることがないので、規範応答と安定性に対する補償を両立させて、確実に振動を抑制しながら、設計の変更を容易に行うことが可能となる。なお、この場合、制御対象は上記モータ1に代わってスロットルアクチュエータ20とすればよい。
<第3実施形態>
図15は第3の実施形態を示し、前記第1実施形態の図8に示したモータトルク補正値演算部105に、ハイパスフィルタ(HPF)105Cを加えたもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
モータトルク補正値演算部105及び上記図2のS10では、上記(6)式のバンドパスフィルタBPFを通すことにより振動周波数成分ωd_err_bpfのみを抽出し(バンドパスフィルタ部105A)、これに比例ゲインKp(比例ゲイン105B)を乗じたものに、ハイパスフィルタHPF105Cで所定の周波数以上の成分を通過させる。
このハイパスフィルタHPFは、
Figure 0004270079
で表される。なお、ハイパスフィルタHPFの定数τHや比例ゲインKpは、上記図6、図7から求める。
したがって、モータトルク補正値演算部105の伝達関数は、
Figure 0004270079
となり、この伝達関数は2次以上の微分特性を備えるものとなる。
そして、モータトルク補正値演算部105は、ハイパスフィルタHPF105Cの出力に駆動軸回転速度規範値ωd_refと駆動軸回転速度ωdの偏差を乗じて、次式によりモータトルク補正値Tm_FBを求める。
Figure 0004270079
実際には、前述と同様ダスティン近似等で離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
なお、ハイパスフィルタHPF105Cの演算は、バンドパスフィルタBPF105Bの前に行っても良い。また、定常的な補償を行わないように、ハイパスフィルタHPF105Cの定数を2次以上としても良い。ただし、ハイパスフィルタHPF105Cの次数は、閉ループ系の安定性を考慮して設定する必要がある。
図16は勾配が変化した場合の走行状態を示し、図中1秒の時点から下り勾配(勾配による力>0)モータによる加速を行い、図中3秒の時点から登り勾配(勾配による力<0)に転じた場合、駆動軸回転速度規範値ωd_refと駆動軸回転速度計測値ωdの偏差は、図中3秒以降で増大を続ける。
しかし、モータトルク補正値演算部105の伝達関数が2次以上の微分特性があるため、モータトルク補正値Tm_FBは図中3.5秒以降でゼロに収束するので、振動抑制以外の余計なトルク補正は全く行わない。これにより、ドライバーの意図に反した加速度特性になったり、または、加速度フィードバック制御装置のような加減速性能を改善する制御システムと同時に作動させた場合においても互いの制御が干渉してハンチングなどを起こすことがない。
すなわち、前記第1実施形態の場合では、路面勾配、トルクのバラツキ、ブレーキ操作などがあった場合、振動抑制制御が余計な定常補償をしないのは、駆動軸回転速度ωdとその規範値ωd_refの偏差が一定速に至った後であり、それまでは余計なトルク補償を行って運転性を悪化させる可能性がある。
つまり、路面勾配、トルクバラツキ、ブレーキカなどが駆動軸回転加速度ωdに及ぼす影響が、駆動軸回転加速度規範値αωd_refを算出するモデルに正確に反映されていないと双方にズレが生じて、駆動軸回転速度ωdと駆動軸回転速度規範値ωd_refの偏差が増加または減少し続ける。
この結果、モータトルク補正値演算部(バンドパスフィルタ105A)105に出力が発生して、振動の有無に係わらずモータトルクを補正してしまう。これは、ドライバーの意図に反した加速度特性になる可能性があることを示唆する。更に、上記の振動抑制制御とは別に、加速度フィードバック制御のような意図的に加速度特性を制御する運転性向上制御と組み合わせた場合、両者の制御系が干渉してハンチングを生じる可能性も懸念される。
例えば、前記第1実施形態の場合、上記図16と同様な走行条件では、図17で示すように、勾配が下りから登りへ転じた後の図中3秒以降では、図中C’部のように定常的な補償が行われ、運転者の意図しない加速が生じてしまう。
これに対して、本第3実施形態の場合では、モータトルク補正値演算部の伝達関数が、上記(10)式のように2次以上の微分特性を備えるため、モータトルク補正値はゼロに収束するので、振動抑制以外の余計なトルク補正は全く行わない。つまり、上述のようにモータトルク補正値演算部(バンドパスフィルタ)に出力が発生して、振動の有無に係わらずモータトルクを補正してしまうのを確実に回避して、ドライバーの意図に反した加速を防ぎ、また、加速度フィードバック制御装置のような加減速性能を改善する制御システムと同時に作動させた場合においても互いの制御が干渉してハンチングなどを起こすことがない。
これにより、図16の図中C部で示すように、勾配が下りから登りへ転じ、駆動軸回転速度規範値ωd_refが増大を続けても、定常的な補償は行われずに、モータトルク補正値Tm_FBは0に収束し、運転者の意図しない加速が発生するのを防止できるのである。
ここで、モータトルク補正値演算部の伝達関数微分特性の次数は、上記(10)式の(τHS/(τHS+1))の項の次数を示しており、この次数は、駆動輪速度規範値(ωd_ref)と駆動輪速度計測値(ωd)の偏差の特性で決定する。なお、この次数は車両の諸元などに応じて適宜変更することができる。そして、偏差特性は、ほぼ固定値の場合、モータトルク補正値演算部に1次の微分特性があれば、モータトルク補正値はゼロに収束し、偏差特性に2次以上の特性がある場合、モータトルク補正値演算部に2次以上の微分特性がなければ、モータトルク補正値はゼロに収束することが出来ない。このため、2次以上の微分特性が必要になる。
<第4実施形態>
図18〜図23は、第4の実施形態を示し、前記第1実施形態の制御に、図1に示したブレーキスイッチ40からの信号に基づく制御を行うようにしたもので、車両の構成及び各コントローラの構成は前記第1実施形態と同様である。
図18は統合コントローラ10で行われる制御の一例を示すフローチャートで、所定の周期で実行される。
Sl〜S9及びS10〜S12の処理は前記第1実施形態の図2と同様の処理であり、重複説明を省略する。本第4実施形態では、S9の駆動軸回転速度規範値演算の後に、S13のモータトルク補正値演算部105の各定数の設定処理を加えたものである。
このS13の処理は、図19のサブルーチンで実行されるもので、図19を参照しながら以下に説明する。
まず、S21では、制御対象の振動周波数に応じて、バンドパスフィルタBPFの各定数τH、τL、ならびに比例ゲインKpを設定する。これら定数及び比例ゲインKpの設定は、前記第1実施形態と同様に、フィルタの定数を図6のマップから変速比に応じて設定し、比例ゲインKpを図7に示すマップから変速比に応じて設定する。
次に、S22では、ブレーキスイッチ40からのブレーキ信号に応じてブレーキ作動フラグfbrakeをセットし、ブレーキ作動フラグの前回値fbrake_zと現在値fbrakeからブレーキがONされた直後か否かを判断する。ブレーキ作動フラグfbrakeは、ブレーキ信号がブレーキペダルが踏み込まれた状態のときに「1」をセットし、ブレーキペダルが解放された状態のときに「0」をセットする。
そして、前回値fbrake_z=0で現在値fbrake=1のとき、つまり、ブレーキペダルが解放状態から踏み込まれた直後のときにはS23へ進み、そうでない場合にはS25に進む。
ブレーキペダルが踏み込まれた状態に変化したS23では、図22に示すマップから、タイマtd1に現在の変速比Ipに基づく値(時間値)を設定する。図22のマップは、変速比IpがHi側(小側)のときにタイマtd1の大きくし、変速比IpがLo側(大側)のときにタイマtd1の値が小さくなるように設定する。そして、変速比IpがHi側(図中Iph)からLo側(図中Ipl)へ増大するにつれて徐々にタイマtd1の値を減少させる。
ここで、自車両の減衰係数(減衰率)ζpは、図21に示すように変速比IpがHi側のときには小さく、Lo側のときには大きい。このため変速比がHi側のときは、減衰係数ζpが小さく振動が減衰しにくいので、タイマtdlを大きく設定する。一方、変速比がLo側のときには、減衰係数ζpが大きく振動が減衰しやすいので、タイマtd1を小さく設定する。
次に、S24では現在の比例ゲインKpを比例ゲインKp’に格納してサブルーチンを終了する。
上記S22の判定で、ブレーキペダルが踏み込まれた直後ではない場合にはS25へ進み、ブレーキ作動フラグfbrakeが1、つまりブレーキペダルが踏み込まれた状態であるか否かを判定し、fbrake=1のときにはS26へ進み、fbrake=0のときにはS34へ進む。
S26では、タイマtd1が0、つまり減衰係数ζpに対応した時間が経過したか否かを判定し、経過した場合にはS29へ進み、経過していない場合にはS27に進む。
S27では、タイマtd1の値を前回値td1_zから1を減算してカウントダウンを行い、さらに現在のタイマtd1の値を前回値td1_zに設定する。
次に、S28ででは現在の比例ゲインKpを比例ゲインKp’に格納してサブルーチンを終了する。
タイマtd1が0となったS29では、フラグftd1が1であるか否かを判定し、1であればS31へ進み、1でなければS30に進んで、フラグftd1を1にセットするとともに、比例ゲインKpを比例ゲインKp’にセットする。
次に、S31では、予め設定した比例ゲインの変化量ΔKpと、比例ゲインKp’の前回値Kp’_zから、新たな比例ゲインKp’を、
Kp’=Kp’_z−ΔKp
として、比例ゲインKp’を徐々に減少させる。また、前回値Kp’_zを現在の比例ゲインKp’で更新する。
次に、S32では上記S31で減算した比例ゲインKp’が正であるかを判定し、正であればそのままサブルーチンを終了し、負であればS33に進んで比例ゲインKp’=0に設定してサブルーチンを終了する。比例ゲインKp’を0にすることは、すなわちフィードバック制御を一時的に中断することになる。
一方、上記S25で、ブレーキペダルが開放された状態と判定されたS34では、ブレーキ作動フラグの前回値fbrake_zが1で、かつ、現在のブレーキ作動フラグfbrakeが0であるかを判定する。つまり、ブレーキペダルが踏み込まれた状態から解放された状態に変化した直後であるか否かを判定し、ブレーキペダルが開放された直後であればS35に進んで、フィードバック制御を再開するために、駆動軸回転速度規範値ωd_refと駆動軸回転速度ωdの偏差をなくすために駆動軸回転速度規範値演算部103の初期化を行う。
そして、S36で比例ゲインKp’に比例ゲインKpをセットしてサブルーチンを終了する。
次に、上記図18のS10で行われるモータトルク補正値演算は、上記図19で設定されたフィルタ定数τH、τLと比例ゲインKp’により、次式のようにバンク切り替え度パスフィルタBPFと比例ゲインKp’からモータトルク補正値Tm_FBを演算する。
Figure 0004270079
以上の処理により、ブレーキペダルを踏み込んだときには、図20で示すように比例ゲインKp’が変化する。
時刻T0でブレーキペダルが踏み込まれると、タイマtd1のカウントダウンが開始される(S29)。タイマtd1のカウントダウンが終了した時刻T1からは、比例ゲインKp’が所定の変化量ΔKpずつ減算されて徐々に減少していき、最終的にKp’=0となる(時刻T2)。
したがって、ブレーキペダルを踏み込んで減速を継続するときには、所定時間(td1)経過後に比例ゲインKp’が徐々に減少してフィードバック制御が停止する。なお、図中F/B制御フラグは、フィードバック制御中はONに設定され、フィードバック制御が停止中にはOFFに設定されるフラグである。
ブレーキ踏み込み時、モータトルク補正値演算部105の出力値(フィードバック補正項)を直ぐにゼロにすると、駆動軸トルクに振動が発生する。
すなわち、運転者がブレーキ操作を行った場合、ブレーキ力が駆動軸回転速度規範値ωd_refの算出に全く反映されていないと外乱とみなして抑制補償するので、特に減速度の立上りが遅くなりブレーキの効き感(レスポンス)が悪化する。
これを防ぐために、例えば、ブレーキペダルの踏み込み時にフィードバック制御を停止させる場合、図24で示すように、ブレーキペダルの踏み込みと同時にフィードバック制御が急激に停止するため駆動軸トルクに振動が発生する。
そこで、この振動を抑制するため、モータトルク補正値演算部105の演算を継続しながら徐々にフィードバック制御を停止させる必要がある。図20で示したように、ブレーキペダルを踏み込んだ時点の変速比Ipや車速、エンジン回転速度などの運転状態(車速に関連する車両状態値)に応じて時間tdlを、次のように決定する。
・変速比(または、車速、エンジン回転数)が小さい時は、駆動源のフリクションが小さいので、駆動軸のねじれに起因した振動は減衰しにくい(減衰率が小さい)傾向があるので、時間tdlを大きく設定する。
・変速比(または、車速、エンジン回転数)が大きい時は、駆動源のフリクションが大きいので、駆動軸の摂れに起因した振動は減衰しやすく(減衰率が大きい)傾向があるので、時間tdlを小さく設定する。
そして、図20、図23のように、ブレーキペダルを踏み込んでから時間td1が経過するまでの期間はモータトルク補正値演算部の演算を続けて行うことで、ブレーキ踏み込みによる振動を抑制することができる。時間td1が経過した後は、比例ゲインKp’を徐々に減少させてゼロにすることで、モータトルク補正値演算部の出力値もゼロになり定常状態に影響を与えない。したがって、ブレーキペダルの踏み込み時に、駆動軸トルクに振動が発生するのを確実に防ぐことができる。
<第5実施形態>
次に、第5の実施形態について以下に説明する。
ドライバーがブレーキ操作を行った場合、前記第1実施形態では、ブレーキカが駆動軸回転速度規範値ωd_refの算出に全く反映されていないと外乱とみなして抑制補償するので、特に減速度の立上りが遅くなりブレーキの効き感(レスポンス)が悪化する可能性がある。
そこで、本第5実施形態では、上記図1のブレーキ液圧センサ41から前輪ブレーキのホイールシリンダ液圧Pwc_fと後輪ブレーキのホイールシリンダ液圧Pwc_rを検出し、これらブレーキ液圧からブレーキトルクTBを推定して、駆動軸回転速度規範値演算ωd_refを算出する。
まず、ブレーキ液圧センサ41の検出値から次式により、ブレーキトルクTBを推定演算する。
Figure 0004270079
ただし、Pwc_f:前輪ホイールシリンダ(W/C)液圧
Pwc_r:後輪ホイールシリンダ(W/C)液圧
Af:前輪ホイールシリンダ受圧面積
Ar:後輪ホイールシリンダ受圧面積
μPad_f:前輪ディスクパッド摩擦係数
μPad_r:後輪ディスクパッド摩擦係数
f:前輪ディスクロータ有効半径
r:後輪ディスクロータ有効半径
である。
次に、前記第1実施形態の図2に示したS8では、推定したブレーキトルクTBにより駆動トルク規範値を次式により補正する。なお、補正後の 駆動トルク規範値をT’d_refとする。
Figure 0004270079
そして、ブレーキトルクTBにより補正した駆動トルク規範値T’d_refを用いて、次式により駆動軸回転速度規範値演算ωd_refを求める。
Figure 0004270079
この後は、上記第1実施形態あるいは第2〜第4実施形態と同様にして、モータトルク補正値Tm_FBを求める。
以上より、ドライバーがブレーキ操作を行った場合、ブレーキ力が駆動軸回転速度規範値の算出の際に外乱とみなされるのを防ぎ、駆動トルク規範値を推定演算したブレーキトルクで補正するので、減速度の立上りが遅くなりブレーキの効き感(レスポンス)が悪化するのを防止できる。
このように、第5実施形態では、規範モデルにブレーキトルクを考慮することによって、駆動軸回転速度規範値と実際の駆動輪回転速度に不必要な偏差が生じなくなり、ブレーキ制動力が外乱とは見なされず不必要なフィードバック補償がなされないので、運転者がブレーキ操作を行った場合、ブレーキカが駆動軸回転速度規範値の算出に全く反映されていないと外乱とみなして抑制補償するを回避し、減速度の立上りが遅くなってブレーキの効き感(レスポンス)が悪化するのを防止できる。
<第6実施形態>
次に、図25〜図32は第6の実施形態を示す。
図25は、図8に示した統合コントローラ10の要部を示すブロック図に、位相補償部の出力に制限を加える位相補償出力制限部204とモータトルク補正値に制限を加えるトルク補正量制限部などを付加したもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
前記第1実施形態においては、2次電池の充電状態等で決定するモータトルクの上限値を超えた基本トルク指令値が入力された場合、位相補償出力とモータトルク補正値を加算した最終モータトルク指令値は、位相補償部からの出力(フィードフォワード項)のみでモータトルクが飽和してしまうと、モータトルク補正値を加算してもフィードバック項が反映されず、振動を抑制できない可能性がある。
そこで、本第6実施形態では、位相補償出力とモータトルク補正値の上限をそれぞれ制限してモータトルクの上限値を超えた基本トルク指令値が入力された場合でも、フィードバック項による補正を可能とするものである。
まず、図25の統合コントローラ10の要部を示すブロック図について説明する。
トルク制限値演算部201では、バッテリー8の充電量SOC及びモータ回転角速度(あるいは車速)ωmotからモータが出力可能なトルク制限値(モータトルク制限値)Tm_max、Tm_minを演算する。
なお、Tm_maxはモータトルクの上限値、Tm_minはモータトルクの下限値を示す。
また、トルク補正量制限値演算部202では、アクセル開度(アクセル操作量)及び変速比等の運転状態から、モータトルク補正値の上下限制限値Tm_FB_lmtを後述するように演算する。
そして、位相補償出力制限値演算部203では、モータトルク制限値Tm_max、Tm_minから上下限制限値Tm_FB_lmtを差し引いてモータトルク指令値(位相補償出力)制限値Tm_FF_max、Tm_FF_minを演算する。
次に、位相補償出力制限部204では、前記第1実施形態と同様にして位相補償部101が演算したしたモータトルク指令値Tm_FFに、位相補償出力制限値演算部203からのモータトルク指令値(位相補償出力)制限値Tm_FF_max、Tm_FF_minによる制限を加えたものを、制限後モータトルク指令値Tm_FF’としてトルク補正部106に出力する。
一方、フィードバックループでは、トルク補正値演算部105とトルク補正部106との間に介装したトルク補正量制限部205で、前記第1実施形態と同様にしてトルク補正値演算部105が演算したモータトルク補正値Tm_FBに、トルク補正量制限値演算部202で求めたモータトルク補正値の上下限制限値Tm_FB_lmtで上限と下限に制限を加え、制限後モータトルク補正値Tm_FB’として出力する。
そして、トルク補正部106では、位相補償出力制限部204からの制限後モータトルク指令値Tm_FF’と、トルク補正量制限部205からの制限後モータトルク補正値Tm_FB’の和を最終モータトルク指令値Tm*として出力する。
ここで、統合コントローラ10で行われる制御は、図26で示すフローチャートのようになる。図26のフローチャートは、前記第1実施形態のモータトルク補正値演算(S10)と最終モータトルク指令値演算(S11)の間にS41〜S45の処理を加えたもので、前記第1実施形態と同様の処理には同一の符号を付した。
S1〜S10では、前記第1実施形態と同様にして、モータトルク指令値Tm_FFとモータトルク補正値Tm_FBをそれぞれ求める。
ただし、位相補償フィルタの各定数は前記第1実施形態の図4、図5に示すマップに代わって、図27、図28に示すマップから求める。すなわち、自車両の固有振動数ωp=目標車両の固有振動数ωmとし(図27)、目標車両の減衰係数ζmを1.0、自車両の減衰係数ζpを変速比が増大するにつれて大きくなるように設定する。
そして、S41では、バッテリー充電量SOC及びモータ回転角速度ωmotからモータが出力可能なトルク(モータトルク制限値)Tm_max、Tm_minを演算する。
モータトルク制限値Tm_max(上限側)は、図29のマップから、バッテリー充電量SOCとモータ回転角速度ωmotから求める。すなわち、バッテリー充電量SOCが大きくなるにつれてモータトルク制限値Tm_maxを大きくし、モータ回転角速度ωmotが大きくなるにつれてモータトルク制限値Tm_maxが小さくなるように設定する。ただし、モータ回転角速度ωmotが所定値を超えるまではモータトルク制限値Tm_maxを一定とする。
また、モータトルク制限値Tm_min(下限側)は、図30のマップから、バッテリー充電量SOCとモータ回転角速度ωmotから求める。すなわち、バッテリー充電量SOCが大きくなるにつれてモータトルク制限値Tm_maxを大きく(正側)し、モータ回転角速度ωmotが大きくなるにつれてモータトルク制限値Tm_maxが大きく(絶対値が小さく)なるように設定する。ただし、モータ回転角速度ωmotが所定値を超えるまではモータトルク制限値Tm_maxを一定とする。
S42では、アクセル開度Apoからモータトルク補正値の上下限制限値(モータトルク補正量制限値)Tm_FB_lmt(絶対値)を演算する。この、上下限制限値(モータトルク補正量制限値)Tm_FB_lmtの演算については、図31のサブルーチンで詳述する。
S43では、モータトルク制限値Tm_max、Tm_minから上記S42で求めたモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtを差し引いて、次式のようにモータトルク指令値(位相補償出力)制限値Tm_FF_max、Tm_FF_minを演算する。
Figure 0004270079
S44では、上記S42で求めたモータトルク指令値制限値Tm_FF_max、Tm_FF_minで、上記S6で求めたモータトルク指令値Tm_FFに上下限制限を施して、制限後モータトルク指令値Tm_FF’を演算する。
S45では、上記S42で求めたモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtで、上記S10でモータトルク補正値Tm_FBに上下限制限を施し、制限後モータトルク補正値Tm_FB’を演算する。
S11では、制限後モータトルク指令値Tm_FF’に制限後モータトルク補正値Tm_FB’を加え、最終モータトルク指令値Tm*とする。
S12では、上記最終モータトルク指令値Tm*と、配分された基本エンジントルク指令値Te*を各制御コントローラへと送信する。
次に、図31を参照しながら上記S42で行われるモータトルク補正値の上下限制限値(モータトルク補正量制限値)演算処理について、説明する。
まず、S51では、アクセル開度Apoが所定値Apoth未満か否かを判定する。所定値Apoth未満であればS52へ進み、所定値Apoth以上であればS53に進む。なお、所定値Apothは、アクセル開度Apoが小さく運転者の加速要求が少ない、または加速要求がない状態を示し、例えば、Apoth=5°または1/16等に設定され、駆動トルク指令値Td*が0近傍になる値である。
S52では、モータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtを第1制限値Tm_FB_lmt_1とし、S58に進む。なお、第1制限値Tm_FB_lmt_1は無段変速機5のバックラッシュといった非線形要素が除去できるように、後述する第2制限値Tm_FB_lmt_2よりも大きな値とする。
一方、アクセル開度Apoが所定値Apoth以上のS53では、アクセル開度Apoが所定値Apoth以上となってから(アクセル踏み込み後)の経過時間tapo_onを計測する。
次に、S54では、経過時間tapo_onが所定時間tlmtoffを経過しているか否かを判定する。経過している場合にはS55へ進み、経過していない場合にはS58へ進む。なお、所定時間tlmtoffは変速比(またはモータ回転速度等の車速相当値)を入力とし、図32に示すマップに基づき演算する。図32のマップは、変速比Ipが大きくなるにつれて、所定時間tlmtoffが小さくなるように設定され、この所定時間tlmtoffは、変速比Ipが最小(最Hi)のときに最大(tlmtoffmax)となり、変速比Ipが最大(最Lo)のときに最小(tlmtoffmin)となる。
S55では、前回のモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmt_z1から所定の変化率DELT_Tm_lmtを減算した結果が、所定の第2制限値Tm_FB_lmt_2よりも大きいか否かを判定する。この減算結果が第2制限値Tm_FB_lmt_2よりも大きい場合にはS56へすすみ、それ以外はS57へ進む。
S56では、前回のモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmt_z1から所定の変化率DELT_Tm_lmtを減算した結果をモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtとし、S58へ進む。
一方、S57では、第2制限値Tm_FB_lmt_2をモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtとしS58へ進む。
最後にS58では、前回のモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmt_z1に今回演算したモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtを代入し、上記図30のメインルーチンへ復帰する。
すなわち、上記図31の処理により、運転者の加速操作量(アクセル開度Apo)が微小または零の場合(Apoth未満)、モータトルク補正量制限値を第1制限値Tm_FB_lmt_1として、第2制限値よりもトルク補正量制限値を大きくし、運転者が所定値以上にアクセルを踏み込んだ場合(Apo≧Apoth)には、アクセルが踏み込まれてから所定時間tapo_onが経過した後に、トルク補正量制限値を徐々に小さくし、最終的に第1制限値よりも小さい第2制限値Tm_FB_lmt_2に設定する。
上記図26、図31の処理による作用について、図33を参照しながら説明する。
図33は、時間1.0[sec]において運転者がアクセル開度Apoを零から40[deg]まで踏み込んで加速を開始した状態を示している。
制限後モータトルク指令値Tm_FF’は、時間1.1[sec]において、モータトルク指令値(位相補償出力)制限値Tm_FF_maxに制限され、図中200[Nm]に規制される。したがって、図中破線で示した制限前のTm_FFとの差分がモータトルク補正値Tm_FB’を反映可能な領域として確保される。
また、時間1.1[sec]では、制限後モータトルク補正値Tm_FB’は、上下限制限値Tm_FB_lmt(絶対値)により、まず、下限−Tm_FB_lmtで制限された後、上限Tm_FB_lmtで規制される。
この結果、制限後モータトルク指令値Tm_FF’と制限後モータトルク補正値Tm_FB’の和である最終モータトルク指令値Tm*は、所定の上限値である図中Tm_maxを上限として制限後モータトルク補正値Tm_FB’を反映させることができ、駆動トルクの振動を抑制することができる。
一方、モータトルク指令値Tm_FFとモータトルク補正値Tm_FBに制限を加えない場合では、図34に示すようになる。なお、図34は上記図33と同様に時間1.0[sec]で加速を行った場合を示す。
図34は、最終モータトルク指令値Tm*のみを所定の上限値Tm_maxで規制した場合を示し、時間1.1[sec]で最終モータトルク指令値Tm*が上限値Tm_maxに達する。
このとき、モータトルク指令値Tm_FFは、上限値Tm_maxを超える値となっており、振動を抑制しようとするモータトルク補正値Tm_FBは最終モータトルク指令値Tm*に反映されないため駆動トルクに振動が生じて運転者に違和感を与えることになる。
これに対して本発明によれば、モータトルク指令値Tm_FFとモータトルク補正値Tm_FBにそれぞれ制限を加えるようにしたため、モータトルク指令値Tm_FFが所定の上限値Tm_maxを超えた場合であっても、必ずモータトルク補正値Tm_FBを反映させることが可能となるので、駆動軸トルクに振動が発生するのを抑制できるのである。
また、上記図31の処理による作用について、図35に示す。図35では、運転者が所定値以上にアクセルを踏み込んだ場合(Apo≧Apoth)で、アクセルが踏み込まれてから所定時間tapo_onが経過した1.55[sec]後に、トルク補正量制限値を徐々に小さくし、最終的(1.85[sec])にモータトルク補正値Tm_FB’を第1制限値よりも小さい第2制限値±Tm_FB_lmt_2に制限する。
これにより、アクセルを踏み込んだ時間1.0[sec]から1.55[sec]の期間は、トルク補正量制限値(絶対値)を大きくすることで、振動抑制効果を確保し、所定時間経過後には徐々にトルク補正量制限値を徐々に小さくすることで、定常状態での加速性能を向上させることができるのである。
また、アクセル開度が微小(または零)から踏み込まれた場合、モータトルクは負値から正値へ変化するため、減速機を有しているような構成では、バックラッシュが生じる。このようにバックラッシュといったトルク補正(フィードバック項)がより必要な走行条件では、予めトルク補正量制限値が大きめに確保されるため、確実に補正が行われ、振動を抑制することができる。また、アクセル踏み込み後、徐々にトルク補正量制限値を小さくすることにより、定常での加速性能に与える影響をより小さくできる。
以上のように、第6実施形態では、基本トルク指令値がトルク制限値(モータトルク制限値)Tm_max、Tm_minを越えていても、位相補償出力後のモータトルク指令値Tm_FFに制限を加え、トルク制限値から制限後モータトルク補正値Tm_FB’による補正で必要な分を差し引いた値が、制限後モータトルク指令値Tm_FF’となり、トルク補正値による補正を行う余裕が設けられる。
そして、制限後モータトルク指令値Tm_FF’に制限後モータトルク補正値Tm_FB’を加算してもトルク制限値を超えることがなく、F/B分の値が反映され(トルク制限値で制限されない)、モータトルクが飽和してF/B補正量が反映されない状態を回避して、確実に振動を抑制できるのである。
また、変速機を有する場合、所定時間tlmtoffを変速比(またはモータ回転速度)に応じて設定することで、変速比が比較的Hi(増速)側の状態、すなわち発生する振動の減衰率ζpが小さい(振動が収束するまでの時間が長い)場合、該所定時間tlmtoffも長く設定することにより振動を確実に抑制することができる。また、変速比が比較的Lo(減速)側の状態、すなわち発生する振動の減衰率ζpが大きい(振動が収束するまでの時間が短い)場合、所定時間tlmtoffも短く設定することにより、振動を抑制しつつ定常での加速性能に与える影響をより小さくできる。
<第7実施形態>
次に、図36〜図38は第7の実施形態を示す。
図36は、前記第6実施形態の図25に示した統合コントローラ10の要部を示すブロック図において、位相補償出力制限値演算部203と位相補償出力制限部204に代わって、位相補償部101の入力に制限を加える位相補償入力制限値演算部203Aと位相補償入力制限部204Aとを設けたもので、その他の構成は前記第6実施形態と同様である。
位相補償入力制限値演算部203Aは、前記第6実施形態に示したトルク制限値演算部201からのトルク制限値(モータトルク制限値)Tm_max、Tm_minと、トルク補正量制限値演算部202からのモータトルク補正値の上下限制限値Tm_FB_lmtを入力として、モータトルク制限値Tm_max、Tm_minから上下限制限値Tm_FB_lmtを差し引いたものを基本トルク指令値(モータトルク指令値)制限値Tm*_max、Tm*_minを演算する。
位相補償部101の前段には基本トルク指令値(モータトルク指令値Tm*)を、位相補償入力制限値演算部203Aの出力に基づいて制限する位相補償入力制限部204Aが設けられる。
位相補償入力制限部204Aでは、位相補償入力制限値演算部203Aで求めた基本トルク指令値(モータトルク指令値)制限値Tm*_max、Tm*_minに基づいて、基本トルク指令値(モータトルク指令値Tm*)を制限する。
すなわち、前記第6実施形態では位相補償部101の出力に対して制限を加えたのに対して、本第7実施形態は位相補償部101の入力に対して制限を加えるものである。
したがって、位相補償部101には、基本トルク指令値Tm*をトルク制限値Tm_max、Tm_min以内で、モータトルク補正値の上下限制限値Tm_FB_lmt分を差し引かれた値が基本トルク指令値制限値Tm*’として入力される。
この結果、位相補償部101でのフィルタ処理の前に、予め基本トルク指令値(モータトルク指令値Tm*)を制限しておくことで、フィードバック項の出力を反映させることができる。つまり、位相補償部101の入出力特性としては制限の影響を受けることなく出力の急変を防いで、位相補償部101による振動抑制を確実に行うことができる。
図37は統合コントローラ10で行われる制御の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、前記第6実施形態で示した図26のS41〜S44の処理に代わって、駆動トルク配分演算(S5)と位相補償器用ディジタルフィルタ演算(S6)の間に、前記第6実施形態のモータトルク制限値演算(S41)、モータトルク補正量制限値演算(S42)を加え、さらに位相補償入力制限値演算(S53)及び位相補償入力制限(S54)を加えたものである。
S1〜S5では前記第6実施形態と同様の処理を行ってモータトルク指令値Tm*(基本トルク指令値)を求める。
次に、S41では、前記第6実施形態と同様にバッテリー充電量SOC及びモータ回転角速度ωmotからモータが出力可能なトルク(モータトルク制限値)Tm_max、Tm_minを演算する。また、S42では、アクセル開度Apoからモータトルク補正値の上下限制限値(モータトルク補正量制限値)Tm_FB_lmt(絶対値)を図31の処理により求める。
次に、S53では、モータトルク制限値Tm_max、Tm_minから上記S42で求めたモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtを差し引いたものを、基本トルク指令値(モータトルク指令値)制限値Tm*_max、Tm*_minとして演算する。
そして、S54では、基本トルク指令値Tm*を、基本トルク指令値制限値Tm*_max、Tm*_minで制限して基本トルク指令値制限値Tm*’として算出する。
次に、S6では制限された基本トルク指令値を入力として、前記第6実施形態と同様にして位相補償部101によるフィルタ処理を行い、モータトルク指令値Tm_FFを演算してフィードフォワード項を求める。
S7〜S45では、前記第6実施形態と同様にしてモータトルク補正値の上下限制限値Tm_FB_lmtを用い、フィードバック項の出力として制限後モータトルク補正値Tm_FB’を求める。
そして、S11では、モータトルク指令値Tm_FFに制限後モータトルク補正値Tm_FB’を加算して最終モータトルク指令値Tm*を求め、S12で各コントローラに送信する。
以上の処理により、位相補償部101でのフィルタ処理の前に、予め基本トルク指令値(モータトルク指令値Tm*)を制限しておくことで、フィードバック項の出力を反映させることができる。
本第7実施形態の作用について図38を参照しながら説明する。
図38は前記図33と同様に、時間1.0秒でアクセルを踏み込んで加速を行った場合を示し、図中実線が本第7実施形態を示し、図中破線が前記第6実施形態を示す。
位相補償部101の後段で制限する場合では、位相補償部101の出力が大きく変化したものを制限するため図中破線のように、制限処理によってモータトルク指令値Tm_FFの出力が急変し、駆動トルクの変化量も大きくなっている。
これに対して本第7実施形態のように位相補償部101の前段で基本トルク指令値を制限した場合では、図中実線のように、モータトルク指令値Tm_FFの出力は滑らかに変化するので、駆動トルクの変化量は小さくなって駆動トルクの振動をより確実に抑制することが可能となる。
<第8実施形態>
次に、図39、図40は第8の実施形態を示す。
図39は、前記第7実施形態の図36に示した統合コントローラ10の要部を示すブロック図において、フィードフォワード項の入力のみに制限を加える位相補償入力制限値演算部203Aに代わって、フィードフォワード項とフィードバック項(102〜205)の入力に制限を加える基本トルク制限部301を設けたもので、その他の構成は前記第7実施形態と同様である。
位相補償部101及びトルク規範値演算部102の前段には基本トルク指令値(モータトルク指令値Tm*)を、位相補償入力制限値演算部203Aの出力に基づいて制限する基本トルク制限部301が設けられる。
基本トルク制限部301では、位相補償入力制限値演算部203Aで求めた基本トルク指令値(モータトルク指令値)制限値Tm*_max、Tm*_minに基づいて、基本トルク指令値(モータトルク指令値Tm*)を制限する。そして、位相補償部101及びトルク規範値演算部102では、制限された基本トルク指令値に基づいてフィードフォワード項とフィードバック項をそれぞれ演算し、最終モータトルク指令値Tm*を出力する。
すなわち、前記第7実施形態では位相補償部101の入力のみに対して制限を加えたのに対して、本第8実施形態は位相補償部101の入力に加えて、フィードバック項のトルク規範値演算部102の入力に対しても制限を加えるものである。
したがって、トルク規範値演算部102では、振動成分以外の駆動輪速度規範値と駆動輪速度計測値の偏差が減少し、トルク補正値演算部105で補償を行う部分が振動成分のみとなって、より広い範囲で振動を抑制することが可能となるのである。
本第8実施形態の作用について図40を参照しながら説明する。
図40は前記図33と同様に、時間1.0秒でアクセルを踏み込んで加速を行った場合を示し、図中実線が本第8実施形態を示し、図中駆動トルクの破線が前記第7実施形態を示す。
トルク規範値演算部102の前段で入力を制限しない場合では、図中破線のように、モータトルク補正値Tm_FBの変化量が大きくなる。これは、トルク規範値演算部102において、振動成分以外の駆動輪速度規範値と駆動輪速度計測値の偏差が一時的に増大するためである。この結果駆動トルクの変化量も大きくなっている。
これに対して本第8実施形態のように位相補償部101及びトルク規範値演算部102の前段で基本トルク指令値を制限した場合では、図中実線のように、モータトルク補正値Tm_FB’の変化量は、振動成分以外の駆動輪速度規範値と駆動輪速度計測値の偏差が小さくなった分だけ低減され、この結果、駆動トルクの変化量も小さくなり、振動抑制効果を向上させることができる
このように、基本トルク指令値を位相補償入力制限値演算部203Aの出力で制限してから、位相補償部101とトルク規範値演算部102へ入力することにより、より広い運転状態で振動を抑制することが可能となるのである。
なお、上記第6〜第8の実施形態では、アクセル開度Apoに基づきモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtを決定していたが、アクセル開度の代わりに電磁クラッチ3の制御信号に基づいてモータトルク補正量制限値Tm_FB_lmtを決定することができる。
具体的にはクラッチ開放(シリーズ走行)時は第2制限値Tm_FB_lmt_2に設定し、クラッチ締結時(パラレル走行)時は第1制限値Tm_FB_lmt_1に設定し、さらに、パラレル走行からシリーズ走行に切り替わる際には徐々に制限値を小さくしていく。これにより、上記と同様の作用、効果を得ることができる。特に、エンジン20のように比較的非線形性の強い第2駆動力源がモータ1とパラレルで接続されている場合でも振動抑制効果を確実に得ることができる。なお、アクセル開度Apoとクラッチ信号の両方またはいずれかの信号でモータトルク補正量制限値を決定してもよい。
以上のように、本発明に係る駆動力制御装置では、駆動系の振動を確実に抑制しながら、車両の規範応答と安定性に対する補償を両立させることができ、且つ、設計の変更が容易となって、内燃機関やモータ等の原動機を備えた車両用の駆動力制御系統に適用することができる。
本発明の第1実施形態を示す車両の駆動系の概略図。 統合コントローラで行われる制御の一例を示すフローチャート。 アクセル開度をパラメータとした車速に応じた駆動トルク指令値のマップ。 変速比に応じた固有振動数のマップ。 変速比に応じた減衰率のマップ。 変速比に応じたフィルタ定数のマップ。 変速比に応じた比例ゲインのマップ。 統合コントローラの要部を示す制御ブロック図。 同じく、制御ブロック図。 トルク指令値と時間の関係を示し、図中波線が振動している場合を示し、図中実線及び一点鎖線が本発明を示す。 制御ブロック図の要部とバンドパスフィルタの説明図で、(A)は制御ブロック図の要部を示し、(B)は周波数とゲインの関係を示す。 第2の実施形態を示し、統合コントローラで行われる制御の一例を示すフローチャート。 統合コントローラの要部を示す制御ブロック図。 同じく、制御ブロック図。 本発明の第3実施形態を示し、統合コントローラの要部を示す制御ブロック図。 勾配が変化した場合の走行状態を示すグラフで、モータトルク、勾配による力(走行抵抗)、駆動輪回転速度、モータトルク補正値及び駆動軸トルクと時間の関係を示す。 定常補償を行って勾配が変化した場合の走行状態を示すグラフで、モータトルク、勾配による力(走行抵抗)、駆動輪回転速度、モータトルク補正値及び駆動軸トルクと時間の関係を示す。 本発明の第4実施形態を示し、統合コントローラで行われる制御の一例を示すフローチャート。 同じく、図18のS13で行われる処理のサブルーチンを示すフローチャート。 ブレーキの操作状態と、各値の関係を示すグラフで、ブレーキ踏み込みフラグ、ブレーキトルク、比例ゲイン、F/B制御ON・OFFフラグと時間の関係を示す。 変速比に応じた減衰係数のマップ。 変速比に応じた比例ゲインのマップ。 走行中にブレーキペダルを踏み込んだ場合の走行状態を示すグラフで、モータトルク、ブレーキトルク、比例ゲイン、駆動輪回転速度、モータトルク補正値及び駆動軸トルクと時間の関係を示す。 ブレーキトルクを加味しないで走行中にブレーキペダルを踏み込んだ場合の走行状態を示すグラフで、モータトルク、ブレーキトルク、駆動輪回転速度、モータトルク補正値及び駆動軸トルクと時間の関係を示す。 本発明の第6実施形態を示し、統合コントローラの要部を示す制御ブロック図。 本発明の第6実施形態を示し、統合コントローラで行われる制御の一例を示すフローチャート。 本発明の第6実施形態を示し、変速比に応じた固有振動数のマップ。 本発明の第6実施形態を示し、変速比に応じた減衰係数のマップ。 本発明の第6実施形態を示し、モータ回転角速度とバッテリ充電量に応じたモータトルク制限値(上限値)のマップ。 本発明の第6実施形態を示し、モータ回転角速度とバッテリ充電量に応じたモータトルク制限値(下限値)のマップ。 本発明の第6実施形態を示し、図26のS42で行われるモータトルク補正値の上下限制限値(モータトルク補正量制限値)演算処理のサブルーチンを示すフローチャート。 本発明の第6実施形態を示し、変速比に応じた経過時間tlmtoffのマップ。 本発明の第6実施形態を示し、アクセルペダルを踏み込んで加速を行った場合の走行状態を示すグラフで、アクセル開度、最終モータトルク指令値、モータトルク補正値、モータトルク補正値及び駆動軸トルクと時間の関係を示す。 モータトルク指令値とモータトルク補正値に制限を加えずにアクセルペダルを踏み込んで加速を行った場合の走行状態を示すグラフで、アクセル開度、最終モータトルク指令値、モータトルク補正値、モータトルク補正値及び駆動軸トルクと時間の関係を示す。 図31の処理による作用を示し、アクセルペダルを踏み込んで加速を行った場合の走行状態を示すグラフで、アクセル開度、最終モータトルク指令値、モータトルク補正値、モータトルク補正値及び駆動軸トルクと時間の関係を示す。 本発明の第7実施形態を示し、統合コントローラの要部を示す制御ブロック図。 統合コントローラで行われる制御の一例を示すフローチャート。 アクセルペダルを踏み込んで加速を行った場合の走行状態を示すグラフで、モータトルク指令値、モータトルク補正値、駆動軸トルクと時間の関係を示す。 本発明の第8実施形態を示し、統合コントローラの要部を示す制御ブロック図。 アクセルペダルを踏み込んで加速を行った場合の走行状態を示すグラフで、モータトルク指令値、モータトルク補正値、駆動軸トルクと時間の関係を示す。
符号の説明
1 モータ
2 エンジン
10 統合コントローラ
20 スロットルアクチュエータ
101 位相補償部
102 トルク規範値演算部
103 駆動軸回転加速度規範値演算部
105 モータトルク補正値演算部
106 トルク補正部
201 トルク制限値演算部
202 トルク補正量制限値演算部
203 位相補償出力制限値演算部
204 位相補償出力制限部
205 トルク補正量制限部

Claims (23)

  1. 車両の運転状態に基づいて制御対象に対する出力の基本指令値を演算する目標値演算手段と、
    前記基本指令値と規範応答の伝達特性とに基づいて規範指令値を演算する規範指令値演算手段と、
    前記基本指令値を入力として規範応答に基づいてトルク規範値を演算するトルク規範値演算手段と、このトルク規範値から駆動輪または駆動軸回転速度規範値を演算する駆動軸回転速度規範値演算手段と、前記駆動軸回転速度規範値と駆動軸回転速度の偏差からトルク補正値を演算するトルク補正値演算手段と、このトルク補正値に基づいて前記基本指令値を補正するトルク補正手段と、前記制御対象の出力値の所定の周波数成分に基づいて、前記規範指令値と制御対象の出力値との偏差から補正値を演算する補正値演算手段と、を有し、前記トルク補正値演算手段は前記周波数成分のみを抽出し、前記偏差と振動周波数成分に基づいてトルク補正値を演算する応答性補償手段と、
    前記基本指令値と前記補正値とに基づいて目標指令値を演算する目標指令値演算手段と、
    前記目標指令値に基づき制御対象の出力を制御する制御手段と、を備え
    前記トルク補正値演算手段は、
    ブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動状態検出手段を有し、
    前記ブレーキが作動開始後に、予め設定したタイマ時間が経過するまで、前記駆動軸回転速度規範値と駆動軸回転速度の偏差と所定の比例ゲインからトルク補正値を求め、
    前記タイマ時間が経過した後には、前記比例ゲインを徐々に減少して0に設定することを特徴とする駆動力制御装置。
  2. 前記トルク補正値演算手段は、車速に関連した車両状態値を検出する車両状態値検出手段と、
    前記車両状態値が小さいときには前記タイマ時間を大きく設定する一方、前記車両状態値が大きいときには前記タイマ時間を小さく設定するタイマ時間設定手段と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御装置。
  3. エンジンまたはモータに連結された変速機を有し、
    前記車両状態値検出手段は、前記変速機の変速比を検出し、前記タイマ時間設定手段は前記変速比に応じてタイマ時間を設定することを特徴とする請求項2に記載の駆動力制御装置。
  4. 車両の運転状態に基づいて制御対象に対する出力の基本指令値を演算する目標値演算手段と、
    前記基本指令値と規範応答の伝達特性とに基づいて規範指令値を演算する規範指令値演算手段と、
    前記基本指令値を入力として規範応答に基づいてトルク規範値を演算するトルク規範値演算手段と、このトルク規範値から駆動輪または駆動軸回転速度規範値を演算する駆動軸回転速度規範値演算手段と、前記駆動軸回転速度規範値と駆動軸回転速度の偏差からトルク補正値を演算するトルク補正値演算手段と、このトルク補正値に基づいて前記基本指令値を補正するトルク補正手段と、前記制御対象の出力値の所定の周波数成分に基づいて、前記規範指令値と制御対象の出力値との偏差から補正値を演算する補正値演算手段と、を有し、前記トルク補正値演算手段は前記周波数成分のみを抽出し、前記偏差と振動周波数成分に基づいてトルク補正値を演算する応答性補償手段と、
    前記基本指令値と前記補正値とに基づいて目標指令値を演算する目標指令値演算手段と、
    前記目標指令値に基づき制御対象の出力を制御する制御手段と、を備え、
    前記駆動軸回転速度規範値演算手段は、
    ブレーキの作動状態に応じてブレーキトルクを演算するブレーキトルク演算手段と、
    前記トルク規範値演算手段が演算したトルク規範値から前記ブレーキトルクを減算するトルク規範値補正手段と、を含み、
    前記ブレーキトルクを差し引いたトルク規範値に基づいて駆動軸回転速度規範値を演算することを特徴とすることを特徴とする駆動力制御装置。
  5. 前記基本指令値に基づき位相補償値を演算する動特性補償手段を備え、前記目標指令値演算手段は、前記位相補償値と前記補正値とに基づき目標指令値を演算することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の駆動力制御装置。
  6. 前記動特性補償手段は、前記運転状態に対する駆動軸トルクへの伝達特性Gp(s)の逆系と、運転状態に対する駆動軸トルクへの規範応答Gm(s)を含むことを特徴とする請求項5に記載の駆動力制御装置。
  7. 前記動特性補償手段は、運転状態に応じた規範応答Gm(s)を含み、この規範応答Gm(s)は、前記規範指令値演算手段の規範応答Gm(s)と一致することを特徴とする請求項6に記載の駆動力制御装置。
  8. 前記応答性補償手段は、バンドパスフィルタにより前記周波数成分のみを抽出した後、少なくとも比例ゲインを乗算した結果を用いてトルク補正値を演算することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の駆動力制御装置。
  9. 前記応答性補償手段は、
    前記トルク規範値から駆動輪または駆動軸回転加速度規範値を演算する駆動軸回転加速度規範値演算手段と、
    駆動輪または駆動軸回転速度を入力として、バンドパスフィルタを用いて駆動軸回転加速度を推定演算する駆動軸回転加速度推定値演算手段と、
    前記バンドパスフィルタの遅れ要素分のみを考慮したローパスフィルタを用いて前記駆動軸回転加速度規範値にローパスフィルタ処理を施す最終駆動軸回転加速度規範値演算手段と、を有し、
    前記トルク補正値演算手段は、前記最終駆動軸回転加速度規範値と駆動軸回転加速度推定値との偏差に基づきトルク補正値を演算し、
    前記バンドパスフィルタを前記周波数成分のみを抽出する伝達特性とすることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の駆動力制御装置。
  10. 前記応答性補償手段は、前記バンドパスフィルタと前記ローパスフィルタを、
    Figure 0004270079
    ただし、定数τH、τLは前記周波数成分に応じて設定し、前記最終駆動軸回転加速度規範値と駆動軸回転加速度推定値との偏差に、少なくとも比例ゲインを用いて前記トルク補正値を演算することを特徴とする請求項9に記載の駆動力制御装置。
  11. エンジンまたはモータに連結された変速機を有し、
    前記所定の周波数成分は、前記変速機の変速比に応じて変更されることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の駆動力制御装置。
  12. 前記所定の周波数成分は、前記振動周波数が低い場合には帯域を狭く、前記振動周波数が高い場合には帯域を広く設定することを特徴とする請求項11に記載の駆動力制御装置。
  13. 前記トルク補正値演算手段は、2次以上の微分特性を有する伝達関数を含むことを特徴
    とする請求項1または請求項4に記載の駆動力制御装置。
  14. バンドパスフィルタにより前記周波数成分のみを抽出した後、所定の比例ゲインとハイパスフィルタを用いてトルク補正値を演算することを特徴とする請求項13に記載の駆動力制御装置。
  15. 車両の運転状態に基づいてトルクの上限値と下限値をトルク制限値として演算するトルク制限値演算手段と、
    車両の運転状態に基づいて、前記トルク補正値の上限と下限を規制する上下限制限値を演算するトルク補正量制限値演算手段と、
    前記トルク制限値から前記上下限制限値を差し引いてトルク指令値制限値を演算する位相補償出力制限値演算手段と、
    前記トルク補正値演算手段からのトルク補正値を、前記上下限制限値で規制するトルク補正量制限手段と、
    前記動特性補償手段の出力を前記トルク指令値制限値で上限と下限を規制する位相補償出力制限手段と、を備え、
    前記目標指令値演算手段は、前記位相補償出力制限手段の出力に前記トルク補正量制限手段の出力を加えたものを目標指令値として演算することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の駆動力制御装置。
  16. 車両の運転状態に基づいてトルクの上限値と下限値をトルク制限値として演算するトルク制限値演算手段と、
    車両の運転状態に基づいて、前記トルク補正値の上限と下限を規制する上下限制限値を演算するトルク補正量制限値演算手段と、
    前記トルク制限値から前記上下限制限値を差し引いてトルク指令値制限値を演算する位相補償入力制限値演算手段と、
    前記トルク補正値演算手段からのトルク補正値を、前記上下限制限値で規制するトルク補正量制限手段と、
    前記動特性補償手段の入力を前記トルク指令値制限値で上限と下限を規制する位相補償入力制限手段と、を備え、
    前記目標指令値演算手段は、前記動特性補償手段の出力にトルク補正量制限手段の出力を加えたものを目標指令値として演算することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の駆動力制御装置。
  17. 車両の運転状態に基づいてトルクの上限値と下限値をトルク制限値として演算するトルク制限値演算手段と、
    車両の運転状態に基づいて、前記トルク補正値の上限と下限を規制する上下限制限値を演算するトルク補正量制限値演算手段と、
    前記トルク制限値から前記上下限制限値を差し引いてトルク指令値制限値を演算する基本指令値制限値演算手段と、
    前記トルク補正値演算手段からのトルク補正値を、前記上下限制限値で規制するトルク補正量制限手段と、
    前記動特性補償手段及び前記応答性補償手段へ入力される基本指令値を前記トルク指令値制限値で上限と下限を規制する基本指令値制限手段と、を備え、
    前記目標指令値演算手段は、前記動特性補償手段の出力にトルク補正量制限手段の出力を加えたものを目標指令値として演算することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の駆動力制御装置
  18. 前記トルク補正量制限値演算手段は、
    運転者の加速要求をアクセル操作量に基づいて検出する加速要求検出手段を有し、
    前記加速要求に基づいて前記上下限制限値を変更することを特徴とする請求項15に記載の駆動力制御装置。
  19. 前記トルク補正量制限値演算手段は、
    前記加速要求が所定値未満のときには、前記上下限制限値を大きく設定することを特徴とする請求項18に記載の駆動力制御装置。
  20. 前記トルク補正量制限値演算手段は、
    前記加速要求が増大したときには、前記加速要求が増大した時点から所定時間経過後から前記上下限制限値を徐々に小さくすることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の駆動力制御装置。
  21. 前記トルク補正量制限値演算手段は、
    変速比または車速相当値を検出する検出手段を有し、
    前記所定時間を変速比または車速相当値に応じて変更することを特徴とする請求項20に記載の駆動力制御装置。
  22. エンジンの出力によりモータを駆動して走行するシリーズ走行と、エンジンの出力とモータの出力で走行するパラレル走行とを選択的に切り換える走行モード切替手段を備え、
    前記トルク補正量制限値演算手段は、
    前記走行モード切替手段が、パラレル走行を選択しているときには前記上下限制限値を第1の制限値に設定し、
    前記走行モード切替手段が、シリーズ走行を選択しているときには前記上下限制限値を第1の制限値よりも小さい第2の制限値に設定することを特徴とする請求項21に記載の駆動力制御装置。
  23. 前記トルク補正量制限値演算手段は、
    前記走行モード切替手段が、パラレル走行からシリーズ走行に切り換えたときには、前記上下限制限値を第1の制限値から第2の制限値へ向けて徐々に小さくすることを特徴とする請求項22に記載の駆動力制御装置。
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