JP6408408B2 - 電動車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動車両の駆動力制御装置に関する。
電気自動車において、モータの騒音や振動は大きな問題となっている。このような騒音や振動の原因の一つは、モータの低回転時等に発生するトルクリプルであると考えられる。 ここで、トルクリップルとは、モータの回転に際してトルクが有する変動幅のことである。
このようなトルクリップルに起因する振動(以下、トルクリップル振動という)を抑制する技術は種々提案されている(例えば、特許文献1等)。
特許文献1に係る制御装置では、予め取得したトルクリップルのテーブルデータから、トルクリップル振動の逆位相のトルクをトルク指令値に重畳することでトルクリップル振動を抑制している。
特開2007−267465号公報
しかしながら、上記従来技術では、予めトルクリップルのデータを取得する必要があり、工程が増えるなどしてコストが嵩むという不都合がある。
また、上記従来技術では、フィードフォワード(出力に変動を起こさせる外乱を予測し、前もって打ち消してしまう制御方式)で制御しているが、外乱の変動に弱いという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、比較的低コストで、外乱に対する耐性を有するようにトルクリップル振動を抑制することのできる電動車両の駆動力制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る電動車両の駆動力制御装置は、モータを駆動源として搭載する電動車両について、運転者のアクセル操作に基いて目標モータトルクを算出する目標モータトルク算出手段と、前記目標モータトルクを前記電動車両が搭載する駆動系の慣性で除算して、目標加速度を演算する目標加速度演算手段と、実際のモータ回転数を検出するモータ回転数検出手段と、前記モータ回転数検出手段で検出されたモータ回転数を微分して実加速度を演算する実加速度演算手段と、前記目標加速度演算手段で算出された目標加速度と、前記実加速度演算手段で算出された実加速度との偏差が小さくなるように、モータトルク指令値に対する補正量を演算する補正量演算手段と、前記補正量演算手段によって算出される補正量に対してハイパスフィルタ処理を行って、補正トルクを演算するモデル化誤差抑制手段と、前記モータトルク指令値に前記補正量を加算して、最終的に制御に適用する制御用モータトルク指令値を算出する制御用モータトルク指令値算出手段と、前記モータ回転数検出手段で検出されたモータ回転数に基いて、前記電動車両にトルクリップル振動が現れ易い条件であるか否かを判定するトルクリップル振動判定手段と、トルクリップル振動が現れ易い条件であるときに、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を、通常走行時と比較して小さくなるよう切り換えてトルクリップル振動を抑制するように制御するトルクリップル振動抑制制御手段と、前記トルクリップル振動判定手段による判定結果に応じて、前記補正量演算手段による前記補正量の演算処理の制御をP制御(比例制御)からPD制御(比例・微分制御)に切り換える制御構成切換手段と、を備えることを要旨とする。
本発明は、高い応答性でトルクリップル振動を抑制することができる。
第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置の構成例を示すブロック図である。 比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置の構成例を示すブロック図である。 駆動系に生じる捻じれ振動を説明するための概略図である。 第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置の構成例を示すブロック図である。 第3の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置の構成例を示すブロック図である。 本実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置で実行されるトルクリップル振動抑制処理の処理手順を示すフローチャートである。 実施例1に係るトルク指令値に関するシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例1に係るモータ回転数に関するシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例2に係るトルク指令値に関するシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例2に係るモータ回転数に関するシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例3に係るトルク指令値に関するシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例3に係るモータ回転数に関するシミュレーション結果を示すグラフである。
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
[第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置]
(比較対象について)
第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aについての説明に先立って、本発明の元となった比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300の構成例について、図2および図3を参照して説明する。
ここで、図2は、比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300の構成例を示すブロック図、図3は、駆動系30に生じる捻じれ振動を説明するための概略図である。
比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300は、電気自動車等の車両Vに搭載される。
比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300は、車両V等の制振制御を行う装置である。
比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300は、図2のブロック図に示すように、運転者のアクセルペダル操作に基いて目標モータトルクを算出する目標モータトルク算出手段301と、目標モータトルクを駆動系の慣性で除算して目標加速度を演算する目標加速度演算手段302と、実際のモータ回転数を検出するモータ回転数検出手段250(例えば、車両Vが備えるモータ回転数検出センサ等)と、モータ回転数を微分して実加速度を演算する実加速度演算手段305と、目標加速度と実加速度の偏差が小さくなるように、モータトルク指令値に対する補正量を演算する補正量演算手段320と、補正量演算手段320によって算出される補正量をハイパスフィルタHPFを通過させることにより駆動系のモデル化誤差を抑制するモデル化誤差抑制手段304と、モータトルク指令値に対し補正量を加算して最終的なモータトルク指令値を算出するモータトルク指令値算出手段306とを備えている。
なお、電動車両の駆動力制御装置300の各手段は、中央演算処理装置(CPU)やメモリ、演算回路等により構成することができる。
車両Vは、図3に示すような駆動系30を備える。
駆動系30は、図3に示すように、駆動源としてのモータ31と、モータ31に出力軸32、減速機35および駆動軸33を介して連結された車輪34とを有する。
モータ31の回転は、図2に示したモータトルク指令値算出手段106により演算される最終的に制御に適用されるモータトルク指令値Tにより制御される。
車両Vの駆動系30において、モータ31を回転させたときに、駆動軸33の捻じれにより振動(捻じれ振動)が生じる。
なお、図3では、駆動軸33の「捻じれ」をばね形状で模式的に示している。
この捻じれ振動を抑制するために、モータトルク指令値算出手段306がモータトルク指令値を演算する際に補正が行われる。
図2に示した目標モータトルク算出手段301は、運転者のアクセルペダル操作に基いて目標モータトルクT を算出する。
目標モータトルクT は、制御用モータトルク指令値算出手段306および目標加速度演算手段302に送られる。
目標加速度演算手段302は、目標モータトルクT を駆動系の慣性で除算して目標加速度(理想加速度)を算出する。
補正量演算手段320は、偏差演算手段320aおよび比例制御手段320bを有する。
補正量演算手段320は、外乱除去手段を構成するハイパスフィルタHPFを有するモデル化誤差抑制手段304に接続されている。
偏差演算手段320aは、目標加速度演算手段302により演算された目標加速度から、モータ回転数検出手段250により検出されたモータ回転速度ωを実加速度演算手段305で微分して算出される実加速度を減算することにより、目標加速度と実加速度との偏差を演算する。
そして、目標加速度と実加速度との偏差は、比例制御手段320bに入力される。
比例制御手段320bは、偏差演算手段320aにより演算された偏差に所定の比例ゲインKpを乗算することにより、駆動系30に生じる捻じれ振動を抑制するための補正量を演算する。なお、比例ゲインKpの値は適宜設定可能である。
上記補正量は、目標加速時と実加速度の偏差を0とするか或いは小さくするものであり、この補正量はハイパスフィルタHPFに入力される。
モデル化誤差抑制手段304は、補正量演算手段320によって算出される補正量をハイパスフィルタHPFを通過させることにより駆動系30のモデル化誤差を抑制する。
モータトルク指令値算出手段306は、目標モータトルク指令値に、ハイパスフィルタHPFにより外乱トルク成分を除去した補正量(補正トルク)を加算することにより、車両Vを駆動するモータ31の最終的なモータトルク指令値T[Nm]を演算する。
モータトルク指令値Tに一致または追従するようにモータトルクを発生させるようにモータ31を回転させ、モータトルクが駆動系30に入力される。
このような構成により、比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300は、捻じれ振動を抑制する制振制御を行うことができる。
ところで、比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300は、上述のように、車両Vの走行時に生じる「捻じれ振動」を抑制する技術に関するものであったが、本発明者は、この電動車両の駆動力制御装置300における制振制御を応用することにより、車両Vの走行中に発生するトルクリップル振動を抑制できるのではないかとの着想を得て、本発明を案出するに至ったものである。
(第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置の構成)
第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aの構成例について、図1および前出の図3を参照して説明する。
ここで、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aによって、トルクリップル振動を抑制できる原理等について簡単に説明する。
まず、トルクリップルの振動を抑制するためには、トルクリップル振動が発生しないようなモータトルクにする必要がある。
即ち、「トルクリップル振動抑制制御」とは、トルクリップル振動が起きないようなトルク指令値を決めることであるといえる。
また、トルクリップルを抑制するには、カットオフ周波数ωを変えただけでは不十分であり、P制御(比例制御)からPD制御(比例・微分制御)へ切り換える必要がある。このように、PD制御へ切り換えることにより、トルクリップル振動抑制を実現できる。
また、カットオフ周波数ωを変えるのは、例えばω=10rad/sのままでは、それ以下の周波数のトルクリップル振動がハイパスフィルタを通過できず、リップル振動を抑制できなくなるためである。
なお、最終的なトルク指令値を決定する処理は、モータコントローラで行うことができる。したがって、モータコントローラで、モータに指令するトルク指令値を最終的に決めることが可能であるため、トルクリップル振動抑制制御の処理は、モータコントローラで行うことが可能である。
ここで、図1は、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、電動車両の駆動力制御装置1Aは、モータ31(図3参照)を駆動源として搭載する電動車両(車両V)について、運転者のアクセル操作に基いて目標モータトルクT を算出する目標モータトルク算出手段101と、目標モータトルクT を車両Vが搭載する駆動系30(図3参照)の慣性で除算して、目標加速度を演算する目標加速度演算手段102と、実際のモータ回転数を検出するモータ回転数検出手段(回転速度センサ等)250と、モータ回転数検出手段250で検出されたモータ回転数を微分して実加速度を演算する実加速度演算手段105と、目標加速度演算手段102で算出された目標加速度と、実加速度演算手段105で算出された実加速度との偏差が小さくなるように、モータトルク指令値に対する補正量(補正トルク)を演算する補正量演算手段120と、補正量演算手段120によって算出される補正量をハイパスフィルタHPFを通過させて、駆動系30のモデル化誤差を抑制するモデル化誤差抑制手段104と、モータトルク指令値に補正量を加算して、最終的に制御に適用する制御用モータトルク指令値を算出する制御用モータトルク指令値算出手段106と、モータ回転数検出手段250で検出されたモータ回転数に基いて、車両Vにトルクリップル振動が現れ易い条件であるか否かを判定するトルクリップル振動判定手段201と、トルクリップル振動判定手段201による判定結果に応じて、ハイパスフィルタHPFのカットオフ周波数を切り換えてトルクリップル振動を抑制するように制御するトルクリップル振動抑制制御手段202とを備える。
また、補正量演算手段120には、P制御に代えて、PD制御を行うPD制御手段400が接続されている。
また、モデル化誤差抑制手段104およびPD制御手段400には、捻じれ振動の抑制制御とトルクリップル振動の抑制制御とを切り換える制御構成切換手段401が接続されている。
電動車両の駆動力制御装置1Aの各手段は、中央演算処理装置(CPU)やメモリ、演算回路等により構成することができる。
なお、トルクリップル振動抑制制御手段202は、トルクリップル振動判定手段201の判定結果に応じて、トルクリップル振動を抑制可能なハイパスフィルタHPFのカットオフ周波数を生成し、その生成したカットオフ周波数を選択するようにしてもよいし、あるいは予め複数種のカットオフ周波数を格納しておき、その中からトルクリップル振動の抑制に有効なカットオフ周波数を選択するようにしてもよい。
ここで、図1と図2を比較すると分かるように、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aと比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300との構成上の主な相違点は、電動車両の駆動力制御装置1Aが、トルクリップル振動判定手段201と、このトルクリップル振動判定手段201による判定結果に応じてトルクリップル振動を抑制するように制御するトルクリップル振動抑制制御手段202とを備える点である。
このように、本実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aは、比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300にトルクリップル振動判定手段201とトルクリップル振動抑制制御手段202とPD制御手段400と制御構成切換手段401を付加した構成となっており、電動車両の駆動力制御装置300と同様の捻じれ振動を抑制する制振制御を行うことも可能である。
即ち、本実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aは、車両Vの通常の走行状態においては、捻じれ振動を抑制する制振制御を行い、トルクリップル振動判定手段201により車両Vにトルクリップル振動が現れ易い条件であると判定された場合(例えば、モータ回転数が400rpm以下の場合など)にトルクリップル振動抑制制御手段202によるトルクリップル振動抑制制御を行うように制御構成を切り換えるといった運用を行うことができる。
また、車両Vの停止状態から所定時間(例えば150ms)までは、トルクリップル振動抑制制御を行わず、所定時間経過し、且つ、モータ回転数が閾値以下(例えば、400rpm以下)のときに、トルクリップル振動抑制制御を行うように制御してもよい。これにより、車両Vの発進時の加速応答性を向上させることができる。
なお、制御構成切換手段401は、トルクリップル振動抑制制御を行う際には、信号線151からの入力に基いて、制御構成をトルクリップル振動抑制制御用に切り換え、捻じれ振動の制振制御を行う際には、信号線150からの入力に基いて、制御構成を捻じれ振動の制振制御用に切り換えている。
図1に示す目標モータトルク算出手段101は、運転者のアクセルペダル操作に基いて目標モータトルクT を算出する。算出された目標モータトルクT は、制御用モータトルク指令値算出手段106および目標加速度演算手段102に送られる。
目標加速度演算手段102は、目標モータトルクT を駆動系30の慣性で除算して目標加速度を算出する。
ここで、理想車両モデルとは、車両駆動系においてバックラッシュがなく、且つ完全な剛体であると仮定したモデルを意味する。
目標加速度演算手段102は、目標モータトルクT を、駆動系の慣性JN(慣性モーメントJと減速比Nとの積)で除算して、理想車両モデルのモータの目標加速度を演算する。
理想車両モデルの伝達関数Gm(s)は、例えば以下の式(1)で表すことができる。
Gm(s)=ω/{J(s+ω)} …(1)
ここで、ω[rad/s]は、カットオフ周波数であり、後述の式(2)、(3)のωと同じ値に設定される。
[Nms]はモータ軸に換算された総合イナーシャ(慣性モーメント)であり、Nは減速機35(図3参照)の減速比であり、sはラプラス演算子である。
慣性モーメントJ及び減速比Nは車両駆動系の種類に応じて適宜設定可能であり、減速比Nは減速機を用いない場合には1となる。
補正量演算手段120は、偏差演算手段120aおよび比例制御手段120bを有する。
補正量演算手段120は、外乱除去手段を構成するハイパスフィルタHPFを有するモデル化誤差抑制手段104に接続されている。
補正量演算手段120は、目標加速度演算手段102により演算された目標加速度及び実加速度演算手段105により演算された実加速度に基づいて、モータトルク指令値に対する補正量を演算する。
この補正量は、トルクリップル振動を抑制するためのものであり、目標加速度と実加速度との偏差が0または小さくなるように演算される。
補正量演算手段120で演算された補正量はハイパスフィルタHPFに入力される。
ここで、偏差演算手段120aは、目標加速度演算手段102により演算された目標加速度から、モータ回転数検出手段250により検出されたモータ回転速度ωを実加速度演算手段105で微分して算出される実加速度を減算することにより、目標加速度と実加速度との偏差を演算する。
ハイパスフィルタHPFは、比例制御手段120bにより演算された補正量に対して動的な補正処理(フィルタ処理)を行い、外乱トルク成分を除去する。
なお、本実施の形態において、ハイパスフィルタHPFで除去可能な外乱トルク成分とは、空気抵抗等の走行抵抗トルク成分や、ブレーキ操作による制動トルク成分等である。
ハイパスフィルタHPFは、補正量の高域側を通過させ、低域側を遮断して、補正量に含まれている外乱トルク成分を除去して、最終的な補正量を演算する。
ハイパスフィルタHPFは、以下の式(2)で表すような伝達関数Gh(s)を用いることができる。
Gh(s)=s/(s+ω) …(2)
式(2)において、sはラプラス演算子であり、ω[rad/s]はカットオフ周波数である。
トルクリップル振動抑制制御のときは、ハイパスフィルタHPFの定数ωの値を、ハイパスフィルタHPFの効果をなくすように小さくすると良い。即ち、例えば、ω=0.01rad/sなどとすると良い。
一方、捻じれ振動の制振制御を行う際には、ハイパスフィルタHPFの定数ωを捻じれ振動周波数のみを通す値にする。例えば、ω=10rad/sなどとすると良い。
実加速度演算手段105は、回転速度検出手段250で検出された駆動系30内のモータ31の実回転速度ω[rad/s]を微分して、実際の回転加速度(実加速度)を演算する。
実加速度演算手段105の伝達特性(伝達関数)Ga(s)は、例えば以下の式(3)で表すことができる。
Ga(s)=sω/(s+ω) …(3)
ここで、ω[rad/s]は等価変換で合成したハイパスフィルタHPFのカットオフ周波数であり、sはラプラス演算子である。
実加速度は補正量演算手段120に入力される。
伝達関数Ga(s)に含まれるω/(s+ω)の部分により、前出の伝達関Gm(s)に含まれるω/(s+ω)の部分と同様の遅れを生じる。
モデル化誤差抑制手段104は、補正量演算手段120によって算出される補正量をハイパスフィルタHPFを通過させることにより駆動系30のモデル化誤差を抑制する。
制御用モータトルク指令値算出手段106は、目標モータトルク指令値に、ハイパスフィルタHPFにより外乱トルク成分を除去した補正量(補正トルク)を加算することにより、車両Vを駆動するモータ31の最終的な制御用モータトルク指令値T[Nm]を演算する。
モータトルク指令値Tに一致または追従するようにモータトルクを発生させるようにモータ31を回転させ、モータトルクが駆動系30に入力される。
このような制御により、車両Vにトルクリップル振動が現れ易い条件であると判定された場合に、トルクリップル振動を効果的に抑制することができる。
ここで、トルクリップル振動抑制制御手段202は、モータ回転数が所定値ω未満(例えば、モータ回転数が400rpm未満)である場合に、トルクリップル振動の抑制制御を開始するように制御できる。
これにより、トルクリップル振動の抑制制御が有効な状態を確実に検出して、適切なタイミングでトルクリップル振動の抑制制御を開始することができる。
また、トルクリップル振動抑制制御手段202は、例えば、捻じれ振動を抑制する制振制御に代えてトルクリップル振動の抑制制御を行う際に、補正量演算手段120で補正量の演算処理における制御をP制御(比例制御)からPD制御手段400で実行するPD制御(比例・微分制御)に切り換えるように制御できる。
即ち、所定のソフトウェア等で構成される比例制御手段120bに代えて、他のソフトウェア等で構成されるPD制御手段400に制御構成を切り換えて制御するようにできる。これにより、トルクリップル振動の抑制効果を向上させることができる。
これは、P制御に比して、PD制御は高周波の偏差を抑制できるためである。即ち、トルクリップルは振動であるので、目標加速度と実加速度との偏差が高周波になる。そのため、D制御を入れないと偏差を0に近づけることができないからである。
なお、目標加速度と実加速度との偏差が定常偏差である場合には、PD制御に代えてPI制御(比例・積分制御)としてもよい。
[第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置]
第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Bの構成例について、図4および前出の図3を参照して説明する。
ここで、図4は、第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Bの構成例を示すブロック図である。
なお、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aと同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Bと第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aとの構成上の主な相違点は、車両Vが走行する路面の勾配の斜度を算出する勾配斜度算出手段500がトルクリップル振動判定手段201に接続して設けられている点である。
ここで、トルクリップル振動は、車両Vが極低速で高トルクのとき、即ち、登坂路を走行する場合に車体に伝わり易いという特性がある。一方、平坦路ではリップル振動は車体に伝わり難く、急発進時の捻じれ振動が発生する場合が多い。そのため、登坂路を走行する際には、リップル抑制制御よりも捻じれ振動の制振制御を優先して実行する方がよいと考えられる。
そこで、本実施の形態では、勾配斜度算出手段500で登坂路の斜度を算出し、トルクリップル振動判定手段201で、勾配斜度が所定の閾値以上であると判定された場合に、トルクリップル振動の抑制制御を行うようにした。
なお、勾配斜度算出手段500は、例えば、ナビゲーションシステムの斜度情報やGPS等の位置情報から勾配斜度を求めるようにできる。
これにより、トルクリップル振動判定手段201は、勾配斜度算出手段500で算出される勾配の斜度を勘案して、車両Vにトルクリップル振動が現れ易い条件であるか否かを判定することができ、より的確なタイミングでトルクリップル振動の抑制制御を行うことができる。
ここで、図4を参照しつつ、電動車両の駆動力制御装置1Bにおける制御処理の順序等について説明する。
まず、第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Bは、比較対象に係る電動車両の駆動力制御装置300と同様の構成を備えているので、電動車両の駆動力制御装置1Bは、捻じれ振動を抑制する制振制御を行うことも可能である。
即ち、本実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Bは、車両Vの通常の走行状態においては、捻じれ振動を抑制する制振制御を行い、トルクリップル振動判定手段201により車両Vにトルクリップル振動が現れ易い条件であると判定された場合にトルクリップル振動抑制制御手段202によるトルクリップル振動抑制制御を行うように切り換えるといった運用を行うことができる。
目標モータトルク算出手段101は、運転者のアクセルペダル操作に基いて目標モータトルクT を算出する。算出された目標モータトルクT は、制御用モータトルク指令値算出手段106と、目標加速度演算手段102と、トルクリップル振動判定手段201とに送られる。
トルクリップル振動判定手段201は、回転数と斜度とに基いて、トルクリップル振動が現れ易い条件を判定する。
そして、トルクリップル振動判定手段201でトルクリップル振動が現れ易い条件であると判定された場合には、トルクリップル振動抑制制御手段202によるトルクリップル振動の抑制制御が実行される。
目標加速度演算手段102は、目標モータトルクT を駆動系30の慣性で除算して目標加速度(理想加速度)を算出する。
目標加速度演算手段102は、目標モータトルクT 対して積分を行い、理想車両モデルのモータの加速度を目標加速度として演算する。
目標加速度演算手段102は、目標モータトルクT を、駆動系の慣性JN(慣性モーメントJと減速比Nとの積)で除算して、理想車両モデルのモータの目標加速度を演算する。
理想車両モデルの伝達関数Gm(s)は、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aの説明で示した式(1)と同じである。
実加速度演算手段105は、回転速度検出手段250で検出された駆動系30内のモータ31の実回転速度ω[rad/s]を微分して、実際の回転加速度(実加速度)を演算する。
実加速度演算手段105の伝達特性(伝達関数)Ga(s)は、電動車両の駆動力制御装置1Aの説明で示した式(3)と同様である。
実加速度は補正量演算手段120に入力される。
伝達関数Ga(s)に含まれるω/(s+ω)の部分により、前出の伝達関Gm(s)に含まれるω/(s+ω)の部分と同様の遅れを生じる。
補正量演算手段120は、偏差演算手段120aおよび比例制御手段120bを有する。
補正量演算手段120は、外乱除去手段を構成するハイパスフィルタHPFを有するモデル化誤差抑制手段104に接続されている。
補正量演算手段120は、目標加速度演算手段102により演算された目標加速度及び実加速度演算手段105により演算された実加速度に基づいて、モータトルク指令値に対する補正量を演算する。
この補正量は、トルクリップル振動を抑制するためのものであり、目標加速度と実加速度との偏差が0または小さくなるように演算される。
補正量演算手段120で演算された補正量はハイパスフィルタHPFに入力される。
偏差演算手段120aは、目標加速度演算手段102により演算された目標加速度から、モータ回転数検出手段250により検出されたモータ回転速度ωを実加速度演算手段105で微分して算出される実加速度を減算することにより、目標加速度と実加速度との偏差を演算する。
ハイパスフィルタHPFは、比例制御手段120bにより演算された補正量に対して動的な補正処理(フィルタ処理)を行い、外乱トルク成分を除去する。
ハイパスフィルタHPFは、補正量の高域側を通過させ、低域側を遮断して、補正量に含まれている外乱トルク成分を除去して、最終的な補正量を演算する。
ハイパスフィルタHPFとしては、電動車両の駆動力制御装置1Aの説明で示した式(2)で表すような伝達関数Gh(s)を用いることができる。
ここで、トルクリップル振動抑制制御のときは、ハイパスフィルタHPFの定数ωの値を、ハイパスフィルタHPFの効果をなくすように小さくすると良い。即ち、例えば、ω=0.01rad/sなどとすると良い。
一方、捻じれ振動の制振制御を行う際には、ハイパスフィルタHPFの定数ωを捻じれ振動周波数のみを通す値にする。例えば、ω=10rad/sなどとすると良い。
また、トルクリップル振動抑制制御手段202の制御により、補正量の演算処理は、比例制御手段120bからPD制御手段400に適宜切り換えられる。
PD制御手段400によるPD制御を行う場合には、理想加速度と実加速度との偏差を0にすることができ、より効果的にトルクリップル振動量を減らすことができる。
モデル化誤差抑制手段104は、補正量演算手段120によって算出される補正量をハイパスフィルタHPFを通過させることにより駆動系30のモデル化誤差を抑制する。
モデル化誤差抑制手段104、PD制御手段400およびトルクリップル振動判定手段201からの出力結果に基いて、制御構成切換手段401は、捻じれ振動の制振制御とトルクリップル振動の抑制制御とを適宜切り換える。
制御用モータトルク指令値算出手段106は、目標モータトルク指令値に、ハイパスフィルタHPFにより外乱トルク成分を除去した補正量(補正トルク)を加算することにより、車両Vを駆動するモータ31の最終的な制御用モータトルク指令値T[Nm]を演算する。
モータトルク指令値Tに一致または追従するようにモータトルクを発生させるようにモータ31を回転させ、モータトルクが駆動系30に入力される。
このような制御により、車両Vにトルクリップル振動が現れ易い条件であると判定された際に、トルクリップル振動を効果的に抑制することができる。
[第3の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置]
第3の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Cの構成例について、図5および前出の図3を参照して説明する。
ここで、図5は、第3の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Cの構成例を示すブロック図である。
なお、第1および第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1A、1Bと同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
第3の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Cと第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Bとの構成上の主な相違点は、勾配斜度算出手段500に接続される勾配トルク算出手段501と、目標モータトルクから勾配トルクを減算して目標加速度を算出する算出手段502とを備える点である。
ここで、第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Bでは、勾配抵抗を考慮していない理想車両モデルから目標加速度を算出し、実加速度が目標加速度に一致するように制御している。そのため、登坂路においても平坦路と同じ加速度となってしまうため、運転者に加速時の違和感を生じさせてしまう。
そこで、本実施の形態では、勾配斜度算出手段500で算出された勾配斜度に基いて、勾配トルク算出手段501で勾配トルクを算出し、目標モータトルクから勾配トルクを減算した値と理想車両モデルに基いて目標加速度を求めることにより、勾配トルクを考慮した加速度と実加速度が一致するように制御している。
なお、勾配トルクは、次式(4)で算出することができる。
=9.8×M×Sinθ …(4)
但し、T:勾配抵抗トルク[N]、M:車両総重量[kg]、θ:斜度[rad]である。
これにより、勾配に応じた目標加速度によりトルクリップル振動の抑制制御を行うことができる。そして、勾配トルクを考慮した目標加速度と実加速度が一致するように制御することにより、加速時の違和感を低減することができる。
なお、電動車両の駆動力制御装置1Cにおける制御処理の順序等は、電動車両の駆動力制御装置1Bと同様である。
捻じれ振動の制振制御とトルクリップル振動の抑制制御の開始および終了の切り換え条件等は、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aと略同様であり、処理手順については図6に示すフローチャートを参照して後述する。
[トルクリップル振動抑制処理]
図6のフローチャートを参照して、上述の第2の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Bおよび第3の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Cを例に、トルクリップル振動抑制制御処理の処理手順について説明する。
なお、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aについても、一部の処理(ステップS13)を除いて同様の処理手順を適用できる。
なお、車両Vのイグニッションスイッチはオンされ、車両Vは発進可能な状態にあるものとする。
トルクリップル振動抑制制御処理は、端的には、トルクリップル振動が現れ易い条件と判定された際にはトルクリップル振動抑制制御に切り換え、それ以外のときには、捻じれ振動の制振制御を行うようにする処理である。
本処理が開始されると、まずステップS10で、車両Vは停止中か否かが判定される。具体的には、例えばモータ回転数が0或いは所定値ω未満であるか否かが判定され、「No」の場合にはステップS17に移行して、捻じれ振動の制振制御を行う。
捻じれ振動の制振制御では、例えば、ハイパスフィルタHPFの定数ωを捻じれ振動周波数のみを通す値(例えば、ω=10rad/s)などとする処理が実行される。
この制振制御は、例えば車両Vが信号待ち等により停止状態となるまで継続され、車両Vの走行中に発生する捻じれ振動が抑制される。
一方、ステップS10で「Yes」と判定された場合にはステップS11に移行して、発進から所定時間(例えば、150ms)経過したか否かが判定される。
そして、「No」の場合にはステップS17に移行して、捻じれ振動の制振制御を行い、「Yes」の場合にはステップS12に移行する。
ステップS12では、モータ回転数は所定値(例えば、400rpm)未満であるか否かが判定され、「No」の場合にステップS17に移行して、捻じれ振動の制振制御を行う。
また、「Yes」の場合にはステップS13に移行して、勾配の斜度は所定値以下であるか否かが判定され、「No」の場合にステップS17に移行して、捻じれ振動の制振制御を行う。
一方、ステップS13の判定結果が「Yes」の場合にはステップS14に移行して、トルクリップル振動の抑制制御を行う。
次いで、ステップS15では、トルクリップル振動の抑制制御の終了条件を満たしたか否かが判定され、「No」の場合にはトルクリップル振動の抑制制御を継続し、「No」の場合にはステップS16に移行する。
ステップS16では、トルクリップル振動の抑制制御を終了してステップS17に移行し、捻じれ振動の制振制御を行う。
このような処理により、適切なタイミングでトルクリップル振動抑制制御と捻じれ振動の抑制制御との切り換えを行うことができる。
なお、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aでは、ステップS13の判定処理は省略される。
[シミュレーション結果]
図7から図12のグラフを参照して、本実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1A〜1Cのシミュレーション結果(実施例1〜3)について説明する。
(実施例1について)
ここで、図7は実施例1Aに係るトルク指令値に関するミュレーション結果を示すグラフ、図8は実施例1Bに係るモータ回転数に関するミュレーション結果を示すグラフである。
なお、実施例1Aは、所定回転数以下でトルクリップル振動抑制制御を行う場合のシミュレーション、実施例1Bは、トルクリプル抑制振動を常にONにした場合のシミュレーションである。
図7のグラフにおいて、線L1は目標トルク指令値を、線L2はトルクリップル振動抑制制御なしの状態を、線L3は実施例1Aをそれぞれ示す。
図8のグラフにおいて、線L11はトルクリップル振動抑制制御なしの状態を、線L12は実施例1Bをそれぞれ示す。
図8にグラフに示すように「トルクリップル抑制制御なし」では、トルクリップル振動が生じているのに対し、実施例1Bでは振動がなく、トルクリップル振動を抑制できていることが判る。
(実施例2について)
図9は実施例2に係るトルク指令値に関するシミュレーション結果を示すグラフ、図10は実施例2に係るモータ回転数に関するシミュレーション結果を示すグラフである。
実施例2は、走行開始150ms後に、トルクリップル振動抑制制御をONにしたときのシミュレーションである。
図9のグラフにおいて、線L21は目標トルク指令値を、線L22はトルクリップル振動抑制制御なしの状態を、線L23は実施例1Bを、線L24は実施例2をそれぞれ示す。
図10のグラフにおいて、線L31はトルクリップル振動抑制制御なしの状態を、線L32は実施例1Bを、線L33は実施例2をそれぞれ示す。
図10のグラフにおいて、発進時に実施例1Bは、「トルクリップル振動抑制制御なし」の制振制御に比べて、モータ回転数の立ち上りが遅く、加速が遅くなっていることが判る。
これに対し、実施例2では、0.5s〜0.65sまでは捻じれ振動の制振制御にしているため実施例1Bに比べて加速性能が向上していることが判る。
(実施例3について)
図11は実施例3に係るトルク指令値に関するシミュレーション結果を示すグラフ、図12は実施例3に係るモータ回転数に関するシミュレーション結果を示すグラフである。
実施例3は、登坂路を走行した場合のシミュレーションである。
図11のグラフにおいて、線L41は目標トルク指令値を、線L42はトルクリップル振動抑制制御なしの状態を、線L43は実施例1Bを、線L44は実施例3をそれぞれ示す。
図12のグラフにおいて、線L51はトルクリップル振動抑制制御なしの状態を、線L52は実施例1Bを、線L53は実施例3をそれぞれ示す。
トルクリップル抑制制御なしのシミュレーション結果は、捻じれ振動の制振制御であり、この制振制御では勾配抵抗トルクなどの走行抵抗を補正しないようにハイパスフィルタを入れているため、違和感のない加速になっている。
図12において、実施例1Bは、勾配抵抗トルクを考慮していないため、「トルクリップル抑制制御なし」のシミュレーション結果と乖離しており、登坂路であるにも拘らず、平坦路と同様の加速となってしまう。
これに対し、実施例3のシミュレーション結果は、勾配抵抗トルクを考慮しているため、トルクリップル抑制制御なしの結果と一致しており、違和感のない加速になっていることが判る。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載にしたがって解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、本実施の形態では、モータの加速度をベースに、捻じれ振動の制振制御およびトルクリップル振動の抑制制御を行っているが、これに代えて、モータの速度をベースに、捻じれ振動の制振制御およびトルクリップル振動の抑制制御を行うようにしてもよい。
この場合、電動車両の駆動力制御装置は、例えば、モータ31を駆動源として搭載する電動車両(車両V)について、運転者のアクセル操作に基いて目標モータトルクを算出する目標モータトルク算出手段101と、目標モータトルクに基いて、目標速度を演算する目標速度演算手段と、実際のモータ回転数を検出するモータ回転数検出手段250と、記モータ回転数検出手段250で検出されたモータ回転数に基いてモータ角速度を演算する角速度演算手段と、目標速度演算手段で算出された目標速度と、角速度演算手段で算出されたモータ角速度との偏差が小さくなるように、モータトルク指令値に対する補正量を演算する補正量演算手段と、補正量演算手段によって算出される補正量に対してハイパスフィルタ処理を行って、補正トルクを演算するモデル化誤差抑制手段104と、モータトルク指令値に前記補正量を加算して、最終的に制御に適用する制御用モータトルク指令値を算出する制御用モータトルク指令値算出手段106と、モータ回転数検出手段250で検出されたモータ回転数に基いて、電動車両にトルクリップル振動が現れ易い条件であるか否かを判定するトルクリップル振動判定手段201と、トルクリップル振動が現れ易い条件であるときに、ハイパスフィルタHPFのカットオフ周波数を、通常走行時と比較して小さくなるよう切り換えてトルクリップル振動を抑制するように制御するトルクリップル振動抑制制御手段202と、トルクリップル振動判定手段201による判定結果に応じて、補正量演算手段による補正量の演算処理の制御をP制御(比例制御)からPD制御(比例・微分制御)に切り換える制御構成切換手段401とを備えるように構成することができる。なお、同一符号を付した構成部材については、第1の実施の形態に係る電動車両の駆動力制御装置1Aと同様の構成を適用することができる。
1A、1B…駆動力制御装置
V…車両(電動車両)
30…駆動系
31…モータ
32…出力軸
33…駆動軸
34…車輪
35…減速機
101…目標モータトルク算出手段
102…目標加速度演算手段
104…モデル化誤差抑制手段
105…実加速度演算手段
106…制御用モータトルク指令値算出手段
120…補正量演算手段
120a…偏差演算手段
120b…比例制御手段
201…トルクリップル振動判定手段
202…トルクリップル振動抑制制御手段
250…モータ回転数検出手段
300…駆動力制御装置
301…目標モータトルク算出手段
302…目標加速度演算手段
304…モデル化誤差抑制手段
305…実加速度演算手段
306…制御用モータトルク指令値算出手段
320…補正量演算手段
320a…偏差演算手段
320b…比例制御手段
400…PD制御手段
401…制御構成切換手段
HPF…ハイパスフィルタ

Claims (6)

  1. モータ(31)を駆動源として搭載する電動車両(車両V)について、運転者のアクセル操作に基いて目標モータトルクを算出する目標モータトルク算出手段(101)と、
    前記目標モータトルクを前記電動車両が搭載する駆動系の慣性で除算して、目標加速度を演算する目標加速度演算手段(102)と、
    実際のモータ回転数を検出するモータ回転数検出手段(250)と、
    前記モータ回転数検出手段で検出されたモータ回転数を微分して実加速度を演算する実加速度演算手段(105)と、
    前記目標加速度演算手段で算出された目標加速度と、前記実加速度演算手段で算出された実加速度との偏差が小さくなるように、モータトルク指令値に対する補正量を演算する補正量演算手段(120)と、
    前記補正量演算手段によって算出される補正量に対してハイパスフィルタ処理を行って、補正トルクを演算するモデル化誤差抑制手段(104)と、
    前記モータトルク指令値に前記補正量を加算して、最終的に制御に適用する制御用モータトルク指令値を算出する制御用モータトルク指令値算出手段(106)と、
    前記モータ回転数検出手段で検出されたモータ回転数に基いて、前記電動車両にトルクリップル振動が現れ易い条件であるか否かを判定するトルクリップル振動判定手段(201)と、
    トルクリップル振動が現れ易い条件であるときに、ハイパスフィルタ(HPF)のカットオフ周波数を、通常走行時と比較して小さくなるよう切り換えてトルクリップル振動を抑制するように制御するトルクリップル振動抑制制御手段(202)と、
    前記トルクリップル振動判定手段による判定結果に応じて、前記補正量演算手段による前記補正量の演算処理の制御をP制御(比例制御)からPD制御(比例・微分制御)に切り換える制御構成切換手段(401)と、
    を備えることを特徴とする電動車両の駆動力制御装置。
  2. 前記トルクリップル振動抑制制御手段は、
    前記モータ回転数が所定値未満のときに、トルクリップル振動抑制制御を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の電動車両の駆動力制御装置。
  3. 前記トルクリップル振動抑制制御手段は、
    走行開始から所定時間内は、トルクリップル振動抑制制御を行わないように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動車両の駆動力制御装置。
  4. 前記電動車両が走行する路面の勾配の斜度を算出する勾配斜度算出手段(500)を有し、
    前記トルクリップル振動抑制制御手段は、
    前記勾配斜度算出手段で算出した勾配の斜度が所定値以下の場合は、トルクリップル振動抑制制御を行わないように制御することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電動車両の駆動力制御装置。
  5. 前記勾配斜度算出手段で算出した勾配の斜度に基いて勾配トルクを算出する勾配トルク算出手段(501)をさらに備え、
    前記目標加速度演算手段は、前記目標モータトルクから前記勾配トルクを減算して目標加速度を算出することを特徴とする請求項4に記載の電動車両の駆動力制御装置。
  6. モータ(31)を駆動源として搭載する電動車両(車両V)について、運転者のアクセル操作に基いて目標モータトルクを算出する目標モータトルク算出手段(101)と、
    前記目標モータトルクに基いて、目標速度を演算する目標速度演算手段と、
    実際のモータ回転数を検出するモータ回転数検出手段(250)と、
    前記モータ回転数検出手段で検出されたモータ回転数に基いてモータ角速度を演算する角速度演算手段と、
    前記目標速度演算手段で算出された目標速度と、前記角速度演算手段で算出されたモータ角速度との偏差が小さくなるように、モータトルク指令値に対する補正量を演算する補正量演算手段と、
    前記補正量演算手段によって算出される補正量に対してハイパスフィルタ処理を行って、補正トルクを演算するモデル化誤差抑制手段(104)と、
    前記モータトルク指令値に前記補正量を加算して、最終的に制御に適用する制御用モータトルク指令値を算出する制御用モータトルク指令値算出手段(106)と、
    前記モータ回転数検出手段で検出されたモータ回転数に基いて、前記電動車両にトルクリップル振動が現れ易い条件であるか否かを判定するトルクリップル振動判定手段(201)と、
    トルクリップル振動が現れ易い条件であるときに、ハイパスフィルタ(HPF)のカットオフ周波数を、通常走行時と比較して小さくなるよう切り換えてトルクリップル振動を抑制するように制御するトルクリップル振動抑制制御手段(202)と、
    前記トルクリップル振動判定手段による判定結果に応じて、前記補正量演算手段による前記補正量の演算処理の制御をP制御(比例制御)からPD制御(比例・微分制御)に切り換える制御構成切換手段(401)と、
    を備えることを特徴とする電動車両の駆動力制御装置。
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