JP4269836B2 - 液晶素子および光ヘッド装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印加電圧の大きさに応じて入射光に対する液晶の実質的屈折率またはリタデーション値を変化させ、出射光を制御する液晶素子に関するもので、特に温度変化に対して安定した光学特性が必要とされる光通信または光ヘッド装置に用いる液晶素子およびその光ヘッド装置に関する。
従来の液晶素子としては、例えば図6に示すように、上下のガラス基板101および102と、このガラス基板101および102間の端部側をシール材103で封止された密封空間に液晶が封入された液晶層104などとを有する構成のものが知られている。
ところが、この液晶素子に用いられる液晶は、一般的に液体であり、液晶を密封空間に充填するために用いられる固体材料から成るシール材103に比べ、熱膨張率が大きい。その結果、図6に示すような構成の従来の液晶素子では、温度上昇に対しては図7に示すように液晶層104は厚さ方向に膨張するとともに、温度低下に対しては図8に示すように液晶層104は厚さ方向に縮小する。
このように、液晶素子に用いられる液晶は、温度変化に対して液晶層104の厚さが、シール材103近傍に比べて、液晶層104の中央部側で大きく変動することが分かっている(例えば、特許公報1参照)。なお、図7および図8において、符号101、102はガラス基板である。
また、入射光の大半を反射し一部を透過する一対の反射ミラー間に液晶層が狭持され、液晶層に電圧を印加することにより液晶層の実質的屈折率を変化させる液晶エタロン型の波長可変フィルタが提案されている。このような波長可変フィルタでは、温度変化に応じて液晶層の厚さが変動すると、反射ミラー間の距離が変動し、透過ピーク波長が大きく変動する問題がある。
そこで、温度変化に対して透過ピーク波長の変動を抑えるために、クランプ部材を液晶素子の両端に連結させ、液晶層の厚さ変動を抑制することにより、反射ミラー間の距離の変動を抑制する構成のものが提案されている(例えば、特許公報2参照)。
また、光ヘッド装置に搭載して用いられる液晶素子においては、温度変化に対して液晶層の厚さが面内で変化することにより、液晶素子を透過する光の透過波面が変形し、情報記録媒体である光ディスク上での集光性が劣化し、安定した情報の記録および再生ができない問題が生じる。そこで、この問題を解決するために、液晶層内に気泡を封入した構成のものが提案されている(例えば、特許公報1参照)。
このような構成とすると、液晶の熱膨張が気泡に吸収されるため、液晶層の厚さ変動に伴う透過波面の変形は抑制させることができる。
また、液晶表示装置において、高い放熱効果を得るために、放熱用ガラス基板と液晶層に接するガラス基板との間に空気層を配する構成のものが提案されている(例えば、特許公報3参照)。
特開2003−45065号公報。 特開2000−10080号公報。 特開平10−123964号公報。
ところが、特許文献1に開示された液晶素子構成では、液晶層内に封入された気泡の位置を固定することが困難であり、衝撃や温度変化により気泡が有効エリア内に進入した時、入射光が散乱され問題となる。
また、特許文献2に開示された液晶素子では、液晶素子両端にクランプを用いることにより液晶素子両端の液晶層の厚さ変動を抑えることはできるが、信号光として実際に利用する光束が透過する領域である有効エリアの液晶層の厚さ変動を抑えることはできない。
また、特許文献3に開示された液晶素子構成では、有効エリア内に空気層を形成しているため、有効エリア内の液晶層の厚さ変動を抑えることはできない。
そこで本発明は、液晶を充填した液晶素子において、液晶の熱膨張により発生する、有効エリア内の液晶層の厚さ変動を抑えることができるとともに、液晶エタロン型の波長可変フィルタにおいて、液晶の熱膨張に起因する反射ミラー間の距離の変動を抑えることにより透過ピーク波長の変動を低減できる液晶素子および光ヘッド装置を提供することを目的とする。
本発明の液晶素子は、入射光に対して液晶の実質的屈折率またはリタデーション値を変化させて出射する液晶素子であって、前記液晶素子は、第1の透明基板と、第1の透明電極と、液晶層と、第2の透明電極と、第2の透明基板とがこの順序に配設され、前記第1の透明基板と前記第1の透明電極との間および/または前記第2の透明基板と前記第2の透明電極との間に、前記液晶層側から固体透明層および透明層が形成され、前記透明層のうち、前記入射光が透過する領域である有効エリアには、固体透明層が配置され、前記有効エリアとは異なる領域は、空気層まれることを特徴とする液晶素子を提供する。上記構成によれば、液晶の熱膨張を吸収する空気層を有効エリア外に設けたため、有効エリア内の液晶層の厚さ変動を抑えた液晶素子を得ることができる。また、空気層は固体透明層により液晶層と分離した位置に固定されるため、有効エリア内に侵入し光学特性の劣化を回避できる。
また、本発明の液晶素子は、前記空気層は密封されていないことを特徴とする液晶素子を提供する。上記構成によれば、液晶に比べて体積弾性変形が起こしやすい。
また、本発明の液晶素子は、表面を含む第1の透明基板と液晶層との間の平面および表面を含む第2の透明基板と液晶層との間の平面に、反射ミラーが形成されている液晶素子を提供する。上記構成によれば、液晶エタロン型の波長可変フィルタにおいて、液晶素子空気層を配置することにより、反射ミラー間の距離の変動を抑制することで透過ピーク波長の温度変化に対する変動を抑制できる。
また、本発明の光ヘッド装置は、光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体上に集光するための対物レンズと、前記光記録媒体へ集光されるとともに前記光記録媒体により反射された前記出射光を検出する光検出部とを備える光ヘッド装置において、上記に記載の液晶素子が前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に配置されていることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。上記構成によれば、有効エリア面内のリタデーション値の変動が小さな液晶素子が作成でき、この液晶素子を光ヘッド装置に搭載することにより、光ディスク上での光の集光性が優れた光ヘッド装置を得ることができる。
本発明によれば、液晶の熱膨張を吸収する空気層を有効エリア外に設けるため、有効エリア内の液晶層の厚さ変動を抑えた液晶素子を得ることができる。また、空気層が固体透明層により液晶層と分離した位置に固定されるため、有効エリア内に侵入し光学特性の劣化を回避できる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る液晶素子である液晶エタロン型の波長可変フィルタの構成例を示す側断面図である。以下、図面を参照しながら本実施形態の液晶素子10を詳細に説明する。
第1の実施形態の液晶素子10は、基本的構成として、第1の透明基板11Aと、第1の透明電極12Aと、液晶層13と、第2の透明電極12Bと、第2の透明基板11Bとをこの順序に備えているが、特にこの外に、第2の透明基板11Bと第2の透明電極12Bとの間に、液晶層13側から固体透明層15および透明層16が順序に形成されている。なお、液晶層13を所定の厚さに保持するために、公知のスペーサ(図示せず)がシール材14A、14Bに混入して用いられている。
透明基板11A、11Bには、例えばガラス基板、アクリルやポリカーボネートなどの有機材料基板、水晶やLiNbOなどの無機結晶からなる無機材料基板などが使用できる。また、透明基板11A、11Bの厚さとしては、固体透明層15よりも形状弾性変形を起こしにくい程度に厚い方がよい。なお、この第1の透明基板11Aおよび第2の透明基板11Bには、液晶層13とは反対側の表面に、必要に応じて反射防止膜(図示せず)を形成するのが好ましい。
透明電極12A、12Bとしては、InにSnOが添加されたITOなどの酸化物膜や、Au、Alなどの金属膜を用いることができる。ITO膜を用いる方が金属膜に比べ、光の透過性が高く、機械的耐久性が優れているため好ましい。なお、この透明電極12A、12Bは、矩形波用の交流電源Pに接続されており、この交流電源Pを用いて電圧を液晶層13に印加することにより、透過ピーク波長を駆動できるようになっている。
固体透明層15は、例えばガラス、アクリルやポリカーボネートなどの有機材料、水晶やLiNbOなどの無機結晶からなる無機材料などからなり、透明基板11A、11Bよりも薄い方が固体透明層15の形状弾性変形が起きやすいので好ましい。
透明層16は、有効エリア外に空気層16Aを含む固体層であり、有効エリアを含む領域には固体透明層16Bが形成されている。
このうち、空気層16Aは、1気圧程度の気体であることが好ましく、さらに空気である方が製造工程上簡便であることから好ましい。さらに、空気層16Aは、液晶に比べて体積弾性変形が大きな物質であればよい。また、空気層16Aは、密封されていても、されていなくてもいずれでもよく、体積弾性変形の起こしやすさからは密封されていないほうが好ましい。また、空気層16Aの厚さとしては、2μm以上であればよく、厚すぎると厚み斑が発生しやすいため薄い方が好ましく、面積としては小さい方が液晶素子10の大きさが小型になるため好ましいが、形状弾性変形を起こす程度の大きさは必要である。
一方、固体透明層16Bは、例えばガラス、透明接着剤やアクリルやポリカーボネートなどの有機材料、水晶やLiNbOなどの無機結晶からなる無機材料などからなり、空気よりも弾性変形を起こしにくいものがよい。
なお、固体透明層15および透明層16は、第1の透明基板11Aと第1の透明電極12Aとの間、または第2の透明基板11Bと第2の透明電極12Bとの間のいずれでもよく、また、両方に形成してもよいが、一方の間に形成する方が液晶素子を作製する工程数が少なく、作業効率がよいので好ましい。
さらに、本発明に使用する液晶としては、通常、液晶ディスプレイなどで使用されるネマチック液晶が好ましく用いられるが、特にこれには限定されず、電圧印加に伴い実質的な屈折率またはリタデーション値を変化させる液晶であれば、スメクチック液晶や強誘電液晶、反強誘電液晶などでもよい。また、液晶以外でも、固体化された高分子液晶や高分子網目中に液晶が分散した高分子/液晶複合体や液晶ゲルなどいずれでもよい。
従って、液晶素子を本実施形態のように構成することにより、温度上昇に対しては図2に示すように、また温度低下に対しては図3に示すように、液晶層13内の液晶の熱膨張は有効エリア外にある空気層16Aに吸収されるため、信号光として実際に利用する光束Lが透過する領域である有効エリア内の液晶層13での液晶の厚さ変動は抑制される。その結果、液晶の熱膨張起因による液晶層13の光路長およびリタデーション値の変動を確実に抑えることができるようになる。なお、図2、3において、図1と同一符号のものは同一要素のものを示す。
また、光ヘッド装置(例えば、特開2003−45065号公報において、図7に記載のもの)の部分に、本発明の第1の実施形態に係る液晶素子10を用いることにより、液晶層13内の液晶部分の熱膨張は有効エリア外にある空気層16Aに吸収されるため、有効エリア内の液晶層13の液晶部分の厚さ変動が抑制される。その結果、従来は液晶の熱膨張に起因して液晶素子10を透過する光に発生していた透過波面の変形を、抑制させることができるようになり、光ディスク上での集光特性の劣化が抑えられる。また、衝撃や温度変化により空気が有効エリア内に侵入することによる光学特性の劣化を抑制することもできるようになる。
[第2の実施形態]
図4は本発明の第2の実施形態の液晶素子20である液晶エタロン型の波長可変フィルタの構成例を示す側断面図である。なお、図4において、図1と同一機能のものには同一符号を付している。
この第2の実施形態の液晶素子20である液晶エタロン型の波長可変フィルタは、第1の透明基板11Aおよび第2の透明基板11Bの液晶層13側に、反射ミラー21Aおよび21Bが形成されていること以外は図1に示す第1の実施形態と同じである。また、本実施形態でも、交流電源Pを用いて電圧を液晶層13に印加することにより、透過ピーク波長を変化できる。
ここで、反射ミラー21A、21Bとは、使用波長帯域である例えば1470〜1630nmからなる入射光に対して80%以上の反射率を有し、一部の光が透過するようゼロでない透過率を有するものである。この反射ミラー21Aおよび21Bとしては、例えば金属の薄膜や、高屈折率誘電体膜と低屈折率誘電体膜を交互に波長レベルの光学膜厚程度で積層した誘電体多層膜などが使用できる。
特に、この誘電体多層膜は、膜構成により分光反射率を制御でき、また、光吸収が少ないため、反射ミラー21A、21Bとして用いるのに好ましい。この誘電体多層膜を構成する高屈折率誘電体としては、Ta、TiO、Nb、Siなどが用いられ、低屈折率誘電体多層膜としてはSiO、MgF、Alなどが用いられる。
なお、反射ミラー21A、21Bとして、例えばSiとSiOを交互に積層した誘電体多層膜の場合、不純物元素をドープしてSi膜層に導電性を付与することにより、透明電極としても機能させることができる。また、AuやAgなどの金属を薄膜化して用いることにより、光吸収は大きいが反射ミラーと電極の両方に機能を発現することもできる。この場合には、第1の透明電極12Aおよび第2の透明電極12Bを形成しなくてもよくなる。
従って、本実施形態のように構成することにより、図1の構成例と同様の効果により、液晶層13内の液晶の熱膨張が有効エリア外にある空気層16Aに吸収されるため、反射ミラー21A、21B間の距離の変動が抑制される。その結果、液晶層13内の液晶の熱膨張に起因する透過ピーク波長の変動を確実に抑えることができるようになる。
[第3の実施形態]
図5は本発明の第3の実施形態である液晶素子30の構成例を示す側断面図である。なお、図5において、図1、図4と同一機能のものには同一符号を付している。
本発明の第3の実施形態に係る液晶素子30では、第2の実施形態のように反射ミラー21A、21Bを配設した構成の場合には、(第2の実施形態の)透明層16の固体透明層16Bのように、有効エリア内に(透明層17の)固体透明層17Bを配設するのではなく、図5に示すように、固体透明層17Bの間の有効エリア内に空気などの体積弾性変形を起こしやすい空気層17Aを配設する構成としてもよい。
従って、本実施形態のように構成することにより、液晶層13における有効エリア内の液晶の厚さは変動するが、空気層17Aにより、液晶の熱膨張が吸収されるため、反射ミラー21A、21B間の距離の変動は抑制され、反射ミラー21A、21B間の距離の変動に伴う、透過ピーク波長の変動を抑えることができるようになる。
[実施例]
本発明の実施例の液晶エタロン型の波長可変フィルタ(第2の実施形態に係る液晶素子20で構成のもの)について、その構造を模式的に示した図4の側断面図を用いて説明する。初めに、実施例の液晶エタロン型の波長可変フィルタの製造方法について説明する。
(1)裏面にARコート(図示せず)をあらかじめ形成した第1および第2の透明基板11Aおよび11Bである石英ガラス基板上に、第1の反射ミラー21Aおよび第2の反射ミラー21Bとして波長1500nmから1600nmの範囲で反射率95%および透過率約5%の誘電体多層膜を形成した基板2Aおよび基板2Bを作成した。
(2)次に、基板2Bの反射ミラー21B面に、液晶ディスプレイ用の直径4μmのスペーサ(図示せず)をシール材(図示せず)と混ぜ合わせた接着剤で、シールパターン層を形成し、厚さ40μmの石英ガラス基板を固体透明層15として貼り合わせ、空気層16Aを形成した。
(3)次に、シールパターン層の有効エリア部に石英ガラスと屈折率がほぼ等しい紫外線硬化型の接着剤を充填し、この接着剤充填後、紫外線照射により接着剤を硬化し、固体透明層16Bを形成し、基板2を作成した。
(4)その後、基板2Aの反射ミラー21A面上および基板2の石英ガラス基板(固体透明層15)面上に、膜厚が7nmであるITOの第1の透明電極12Aおよび第2の透明電極12Bを形成し、さらに、この第1の透明電極12Aおよび第2の透明電極12B上に、液晶用配向膜(図示せず)を厚さ50nm形成し、それぞれ、対向する面内の液晶分子の配向方向が平行となるよう配向処理を施した。
(5)次に、基板2の石英ガラス基板(固体透明層15)上に、液晶ディスプレイ用の直径7.5μmのスペーサ(図示せず)をシール材14Aおよび14Bと混ぜ合わせた接着剤で、シールパターン層を形成し、ここに、液晶用配向膜(図示せず)およびITO膜の第1の透明電極12Aが設けられた基板2Aを貼り合わせた。
(6)その後、配向膜(図示せず)間にネマチック液晶を充填して液晶層13を形成した。
次に、このようにして作成した図4に示す本発明の波長可変フィルタ(第2の実施形態の液晶素子20)と、空気層16Aを含む透明層16が形成されていない従来の液晶エタロン型の波長可変フィルタとの双方に対して、以下に説明する比較実験を行った。
すなわち、1550nm波長帯域で広い発光スペクトルを持つ広帯域光源からの光を、液晶分子の配向方向と同じ偏光方向で入射させ、その出射光を光スペクトルアナライザーで観測した。このとき、波長可変フィルタの液晶層13には、電源Pを用いて矩形波状の交流電圧を第1の透明電極12Aと第2の透明電極12Bを介して0Vから10Vまで印加し、さらに、波長可変フィルタの温度を35℃から45℃まで変化させた。
この比較実験の結果、図4において、空気層16Aを含む透明層16が形成されていない従来の液晶エタロン型の波長可変フィルタにあっては、透過ピーク波長の温度変化に対する変動量(Z)は250pm/℃程度であった。
因みに、液晶層13の厚さの変動に起因する透過ピーク波長の変動量(X)は350pm/℃であり、液晶の屈折率変化に起因する透過ピーク波長の変動量(Y)は−100pm/℃であった。
これにより、この透過ピーク波長の変動(Z)は、反射ミラー21Aと21B間の光路長の変動すなわち液晶層13の厚さ(これに起因する変動量がX)と、この液晶層13内の液晶の屈折率に依存する温度変動(これに起因する変動量がY;固有の定数)とに起因する、換言すれば透過ピーク波長の変動(Z)は、双方の変動値を合算したものに相当する、つまり、次式
Z=X+Y ・・・(1)
の関係を満たすものとの知見も得られた。
一方、図4に示す反射ミラー21Aおよび21Bが設けられていない、予察評価用セルの評価結果から、本発明の図4に示す構成の波長可変フィルタ(液晶素子20)にあっては、透過ピーク波長の温度変化に対する変動量(Z)は−100pm/℃程度となることが確認された。
なお、ここで、上記したように、液晶の屈折率変化に起因する透過ピーク波長の変動量(Y)が固有の定数、つまり前述した−100pm/℃であるので、(1)式から、液晶の熱膨張の寄与による液晶層13の厚さ変動量(X)は、
X=Z−Y
=−100−(−100)
=0(pm/℃)
となり、ゼロとなることが判明した。
従って、前述の比較実験および理論的な計算式からも裏付けられるように、本実施例の波長可変フィルタ(図4に示す液晶素子20)によれば、液晶の熱膨張による反射ミラー21Aおよび21B間の距離の変動に起因した波長変動が抑制され、良好で安定した光学特性が得られることが確認された。
参考例]
図5は参考例である液晶エタロン型の波長可変フィルタ(第3の実施形態に係る液晶素子30で構成のもの)の構造を模式的に示した側面図である。この参考例の液晶エタロン型の波長可変フィルタは、透明層17内の空気層17Aが有効エリア内に形成されていることを除き、図4に示す実施例と同じ構造となっており、同様の方法で形成している。
図5に示す参考例の液晶エタロン型の波長可変フィルタ(液晶素子30)に対して、実施例と同様の実験を行った。その結果、参考例の波長可変フィルタ(液晶素子30)では、透過ピーク波長の温度変化に対する変動量(Z)が80pm/℃程度であることが確認された。
ところで、この参考例での透過ピーク波長の変動(Z)は、実施例での構成要素のほかに、さらに空気層17Aにも依存するので、次式
Z=X+Y+α ・・・(2)
ただし、ここでα:空気層収縮による変動量
の関係を満たすものとの知見も得られた。
因みに、実施例において従来の液晶エタロン型の波長可変フィルタで説明したように、液晶層13の厚さの変動に起因する変動量(X)および液晶の屈折率変化による変動量(Y)は、それぞれ、350pm/℃および−100pm/℃であるから、空気層17Aの収縮により発生する透過ピーク波長の変動量(α)は、(2)式より、
α=Z−(X+Y)
=80−(350−100)
=−170(pm/℃)
であるものとされる。
従って、空気層17Aを有する参考例の波長可変フィルタ(図5の液晶素子30)でも、液晶層13内部の液晶の熱膨張により反射ミラー21Aおよび21B間の距離の変動に起因した波長変動が抑制され、良好で安定した光学特性が得られることが確認された。
本発明の液晶素子は、液晶の熱膨張を吸収する空気層を有効エリア外に設けるため、有効エリア内の液晶層の厚さ変動を抑えることができるとともに、空気層が固体透明層により液晶層と分離した位置に固定されるため、有効エリア内に侵入し光学特性の劣化を回避できる効果を有し、印加電圧の大きさに応じて入射光に対する液晶の実質的屈折率またはリタデーション値を変化させ出射光を制御する液晶素子、および温度変化に対して安定した光学特性が必要とされる光通信または光ヘッド装置等に有用である。
本発明の液晶素子の第1の実施形態の構成例を示す側断面図。 本発明の第1の実施形態の液晶素子が温度変化により液晶層が膨張した例を示す側断面図。 本発明の第1の実施形態の液晶素子が温度変化により液晶層が収縮した例を示す側断面図。 本発明の液晶素子の第2の実施形態および実施例の構成例を示す側断面図。 本発明の液晶素子の第3の実施形態および参考例の構成例を示す側断面図。 従来の液晶素子の構成例を示す側断面図。 従来の液晶素子が温度変化により液晶層が膨張した例を示す側断面図。 従来の液晶素子が温度変化により液晶層が収縮した例を示す側断面図。
符号の説明
10、20、30:液晶素子
11A、11B:透明基板
12A、12B:透明電極
13:液晶層
14A、14B:シール材
15:固体透明層
16、17:透明層
16A、17A:空気層
16B、17B:固体透明層
2:基板
2A、2B:基板
21A、21B:反射ミラー
L:光束
P:矩形波交流電源

Claims (4)

  1. 入射光に対して液晶の実質的屈折率またはリタデーション値を変化させて出射する液晶素子であって、
    前記液晶素子は、第1の透明基板と、第1の透明電極と、液晶層と、第2の透明電極と、第2の透明基板とがこの順序に配設され、
    前記第1の透明基板と前記第1の透明電極との間および/または前記第2の透明基板と前記第2の透明電極との間に、前記液晶層側から固体透明層および透明層が形成され、
    前記透明層のうち、前記入射光が透過する領域である有効エリアには、固体透明層が配置され、前記有効エリアとは異なる領域は、空気層まれることを特徴とする液晶素子。
  2. 前記空気層は密封されていないことを特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  3. 表面を含む前記第1の透明基板と前記液晶層との間の平面、および表面を含む前記第2の透明基板と前記液晶層との間の平面に、反射ミラーが形成されている請求項1または請求項2に記載の液晶素子。
  4. 光源と、
    前記光源からの出射光を光記録媒体上に集光するための対物レンズと、
    前記光記録媒体へ集光されるとともに前記光記録媒体により反射された前記出射光を検出する光検出部とを備える光ヘッド装置において、
    請求項1から3いずれか1項に記載の液晶素子が前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に配置されていることを特徴とする光ヘッド装置。
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