JP2009152040A - 発光デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】簡明な構造により、光の照射方向を制御可能とした発光デバイスを提供する。
【解決手段】図2.Aの発光デバイス100は、ガラス基板10aとガラス基板10bの間に、アルミニウム電極1、LiF層と一部にキナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層から成る発光部2、トリフェニルアミン4量体層と銅フタロシアニン層から成る正孔輸送層3、ITO電極4a、フォトポリマー層5、ITO電極4b、並びに、SiO2層611〜614とTiO2層621〜624とを交互に形成した誘電体多層膜6を有する。紫外線硬化樹脂7で積層部側面を被膜した。フォトポリマー層5は、電圧を印加しない場合に屈折率が1.62、電圧を印加した場合に屈折率が1.52と変化する。フォトポリマー層5の屈折率が1.62である場合、光放射方向は20度傾く。屈折率が1.52である場合、ガラス基板面の垂直方向に光が照射される。
【選択図】図2
【解決手段】図2.Aの発光デバイス100は、ガラス基板10aとガラス基板10bの間に、アルミニウム電極1、LiF層と一部にキナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層から成る発光部2、トリフェニルアミン4量体層と銅フタロシアニン層から成る正孔輸送層3、ITO電極4a、フォトポリマー層5、ITO電極4b、並びに、SiO2層611〜614とTiO2層621〜624とを交互に形成した誘電体多層膜6を有する。紫外線硬化樹脂7で積層部側面を被膜した。フォトポリマー層5は、電圧を印加しない場合に屈折率が1.62、電圧を印加した場合に屈折率が1.52と変化する。フォトポリマー層5の屈折率が1.62である場合、光放射方向は20度傾く。屈折率が1.52である場合、ガラス基板面の垂直方向に光が照射される。
【選択図】図2
Description
本発明は、発光部を有し、当該発光部(発光層)の発する光の照射方向を制御可能な発光デバイスに関する。
例えば半導体レーザの出力する光ビームを、ポリゴンミラーやガルバノミラーを用いて広角にスキャンする方法が知られている。また、フォトニック結晶を用いて出射ビームの偏向位置を制御する技術も公表されている。
特開平8−254664号公報
特開平6−66951号公報
特開2006−28519号公報
特開2006−227545号公報
特開2005−277219号公報
特開2001−13439号公報
特許文献1に記載された技術は、弾性変形可能なはりを用いて光をスキャンするものである。
特許文献2に記載された技術は、圧電素子の振動によって弾性変形部を共鳴振動させ、光ビームを走査させるものである。
特許文献3及び4に記載された技術は、強誘電体で作製した2次元フォトニック結晶に電圧を印加し、屈折率を変化させることで、光ビームを偏向させるものである。
特許文献5に記載された技術は、2次元フォトニック結晶レーザの発光位置を電気的に変化させ、発光する位置で回折状態が異なることを利用したレーザ光の偏向手法である。
特許文献6に記載された技術は、2次元フォトニック結晶に入射する光の波長を変えることで、フォトニック結晶内での波長分散性を利用して、出射ビームの偏向位置を制御するものである。
特許文献2に記載された技術は、圧電素子の振動によって弾性変形部を共鳴振動させ、光ビームを走査させるものである。
特許文献3及び4に記載された技術は、強誘電体で作製した2次元フォトニック結晶に電圧を印加し、屈折率を変化させることで、光ビームを偏向させるものである。
特許文献5に記載された技術は、2次元フォトニック結晶レーザの発光位置を電気的に変化させ、発光する位置で回折状態が異なることを利用したレーザ光の偏向手法である。
特許文献6に記載された技術は、2次元フォトニック結晶に入射する光の波長を変えることで、フォトニック結晶内での波長分散性を利用して、出射ビームの偏向位置を制御するものである。
特許文献1及び2のような、ポリゴンミラーやガルバノミラーを用いた手法では,光学系が複雑になり、小型化することが困難である。
特許文献3及び4のような、強誘電体などの屈折率を変化させてフォトニック結晶の状態を変える方法では、その屈折率変化が非常に小さいため、広角にビームを偏向させることが困難である。そのため、もう一段スーパープリズムといった光学部品が必要となる。
特許文献5及び6のような、2次元のレーザアレイを用いることは、原理的には可能であるが、安価で安定性のよいフォトニック結晶レーザの作製が困難である。また、波長分散を利用すると出射される光の波長が変化してしまい、波長を固定するのが必要なデバイスへの応用ができない。
特許文献3及び4のような、強誘電体などの屈折率を変化させてフォトニック結晶の状態を変える方法では、その屈折率変化が非常に小さいため、広角にビームを偏向させることが困難である。そのため、もう一段スーパープリズムといった光学部品が必要となる。
特許文献5及び6のような、2次元のレーザアレイを用いることは、原理的には可能であるが、安価で安定性のよいフォトニック結晶レーザの作製が困難である。また、波長分散を利用すると出射される光の波長が変化してしまい、波長を固定するのが必要なデバイスへの応用ができない。
そこで本発明は、簡明な構造により、発光層の発する光の照射方向を制御可能とした発光デバイスを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、発光層を含む発光部が、互いに平行な反射面を有する反射鏡及び半透過鏡で挟まれた構造の発光デバイスであって、反射鏡の反射面と、半透過鏡の反射面との距離に基づく光学長を可変とする手段を有し、発光層が発する特定波長の光の放射方向を制御可能としたことを特徴とする発光デバイスである。尚、本発明における反射鏡は、例えばDBRを含みうるものであり、その反射率は、必ずしも理想的な100%でなくても良く、90%以上、好ましくは95%以上のものを言う。また、本発明における半透過鏡とは、例えば誘電体多層膜を含みうるものであり、その反射率と透過率が丁度50%ずつで有るものに限定されない。反射率は5〜80%、透過率が95〜20%で良い。
光学長を可変とする手段は、請求項2に係る発明においては、発光部と半透過鏡の間に形成された、印加電圧により屈折率が変化する物質から成る層と、その層への電圧印加手段である。請求項3に係る発明においては、発光部と半透過鏡の間に形成された、光励起により屈折率が変化する物質から成る層と、その層への励起光導入手段である。請求項4に係る発明においては、発光部と半透過鏡の間には間隙が存在し、間隙の距離を変化させることで反射鏡と半透過鏡との距離を変化させる手段である。
請求項5に係る発明は、半透過鏡が誘電体多層膜であることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、発光部は、有機EL、面発光レーザ或いは無機LEDであることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、発光部は、有機EL、面発光レーザ或いは無機LEDであることを特徴とする。
本発明の原理を図1で示す。図1で、実線HMは半透過鏡の反射面を示し、実線Mは反射鏡の反射面を示す。半透過鏡の反射面HMと反射鏡の反射面Mは距離h隔てた平行な二平面であるとする。今、半透過鏡の反射面HMと反射鏡の反射面Mの間に発光点EL−Pがあり、ここから半透過鏡の反射面HM上の点Pに光が発せられたとする。この光の入射角をθ、半透過鏡を通過した光の屈折角をθ’とする。半透過鏡の反射面HMと反射鏡の反射面Mの間が一様な屈折率nの物質であり、半透過鏡の反射面HMを通過すると屈折率1の領域であるとする。ここにおいて、スネルの法則によりsinθ’=nsinθである。
一方、点Pで一部の光は反射され、反射鏡の反射面M上の点Qに達し、それは再び反射されて半透過鏡の反射面HM上の点Rに達し、一部は透過する。尚、点Rで反射された光も以下同様であるので、図1では省略している。
ここで、点Pから、直接屈折率1の領域に透過した光と、点P−点Q−点Rと伝搬して点Rから屈折率1の領域に透過した光の光路差を考えると、図のように、PQ+QR−PSであることは明かである。これは、sinθ’=nsinθを用いると、簡単な計算により、2nhcosθであることがわかる。
ここで、点Pから、直接屈折率1の領域に透過した光と、点P−点Q−点Rと伝搬して点Rから屈折率1の領域に透過した光の光路差を考えると、図のように、PQ+QR−PSであることは明かである。これは、sinθ’=nsinθを用いると、簡単な計算により、2nhcosθであることがわかる。
即ち、発光点EL−Pから入射角θで半透過鏡HMに達した光は、半透過鏡の反射面HMと反射鏡の反射面Mによる多重反射により、隣り合う光は光路差2nhcosθで干渉することとなる。発光点EL−Pの発する光の波長がλであれば、隣り合う光の位相差は4πnhcosθ/λラジアンとなる。干渉により、位相差が2π及びその整数倍となる方向で光の強度が強くなるので、2nhcosθ/λが2π及びその整数倍である方向に強度が強くなる。ここで発光層の発する光の真空中での波長λを一定とし、半透過鏡の反射面HMと反射鏡の反射面Mの間の物質の屈折率n又はそれら反射面の間隔hを大きくすると、2nhcosθ/λが2π及びその整数倍となる発光点EL−Pから半透過鏡の反射面HMへの入射角θが大きくなる。これに伴い、屈折率1の領域での屈折角θ’も大きくなるので、結局、2つの反射面M及びHM間の屈折率n又は距離hを大きくすることで、外部に照射される光強度が強くなる角度θ’を大きくすることができる。
外部要因により屈折率が変化する物質は広く知られている。その1つは、電圧印加により屈折率が変化するフォトポリマー等の電気光学効果のある物質であり、他の1つは、光励起により屈折率が変化するフォトリフラクティブ効果のある物質である。
電気光学効果のある物質としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶等の液晶の他、LiNbO3、LiTaO3等の光学結晶、StTiO3、BaTiO3、PLZT(Pb、La、Zr、Tiの混合酸化物)等の強誘電体を用いることができる。これらは例えば「光エレクトロニクス」(末田正著、昭晃堂、1985年)の第7章やAppl.Phys.Lett.,82(2003)3176に記載されている。また、これらの材料を成膜する方法は、ゾルゲル法が好適である。材料金属のアルコキシドから成るゾルを加水分解し、脱水縮合することで流動性を失ったゲルに変えたのち、加熱して脱水を十分に行い、酸化物膜とする。
フォトリフラクティブ効果のある物質としては、LiNbO3、LiTaO3等の光学結晶、リラクサー系の強誘電体等の酸化物や、有機ポリマーが利用可能である。酸化物膜はゾルゲル法で好適に形成可能である。また、有機ポリマーは有機溶媒に溶解させたのち、スピンコート法やインクジエット法で塗布後に乾燥させれば良い。代表的な文献として、J.Appl.Phys.,96(2004)4852とJpn.J.Appl.Phys.,42(2003)2699を挙げておく。
電気光学効果のある物質としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶等の液晶の他、LiNbO3、LiTaO3等の光学結晶、StTiO3、BaTiO3、PLZT(Pb、La、Zr、Tiの混合酸化物)等の強誘電体を用いることができる。これらは例えば「光エレクトロニクス」(末田正著、昭晃堂、1985年)の第7章やAppl.Phys.Lett.,82(2003)3176に記載されている。また、これらの材料を成膜する方法は、ゾルゲル法が好適である。材料金属のアルコキシドから成るゾルを加水分解し、脱水縮合することで流動性を失ったゲルに変えたのち、加熱して脱水を十分に行い、酸化物膜とする。
フォトリフラクティブ効果のある物質としては、LiNbO3、LiTaO3等の光学結晶、リラクサー系の強誘電体等の酸化物や、有機ポリマーが利用可能である。酸化物膜はゾルゲル法で好適に形成可能である。また、有機ポリマーは有機溶媒に溶解させたのち、スピンコート法やインクジエット法で塗布後に乾燥させれば良い。代表的な文献として、J.Appl.Phys.,96(2004)4852とJpn.J.Appl.Phys.,42(2003)2699を挙げておく。
半透過鏡の反射面HMと反射鏡の反射面Mの距離は、容易に調整できる。即ち、MEMS技術により、微細な機械構造を形成可能である。即ち、例えば有機ELや半導体レーザ或いは無機LED等の発光素子を挟んだ両側に半透過鏡と反射鏡を形成する際、半透過鏡と反射鏡の一方を当該発光素子に固定して他方をMEMS機構により変位可能とすれば良い。或いはその逆に、半透過鏡と反射鏡の一方を当該発光素子に固定してMEMS機構により変位可能とした上、他方を固定すれば良い。
半透過鏡は誘電体多層膜で形成すると製造が容易である。
このように本発明によれば、極めて小型の、放射方向を制御可能な発光デバイスを形成できる。
半透過鏡は誘電体多層膜で形成すると製造が容易である。
このように本発明によれば、極めて小型の、放射方向を制御可能な発光デバイスを形成できる。
本発明は本願出願時点で入手可能な任意の材料と、公知の任意の手法を用いて実現可能である。以下では、主としてシミュレーションに基づくデータを示すが、各シミュレーションが想定している発光デバイスが直ちに容易に構成可能であることは言うまでもない。
本実施例では、緑色有機EL素子を発光部として有し、電圧印加Vcにより屈折率が変化する物質を用いた発光デバイス100を想定した。図2.Aは発光デバイス100の構成を示す断面図である。図2.Aの発光デバイス100は、ガラス基板10aとガラス基板10bの間に、アルミニウム電極1、LiF層と一部にキナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層から成る発光部2、トリフェニルアミン4量体(TPTE)層と銅フタロシアニン層から成る正孔輸送層3、ITO電極4a、フォトポリマー層5、ITO電極4b、並びに、SiO2層611、612、613及び614とTiO2層621、622、623及び624とを交互に形成した誘電体多層膜6を有する。尚、積層部分を保護するため、紫外線硬化樹脂7で積層部側面を被膜する。また、誘電体多層膜6は、ITO電極4bにSiO2層611が接し、ガラス基板10bにTiO2層624が接するものである。
ここでフォトポリマー層5としては、Adv.Mater.2002,14(7)514に示された、電圧を印加しない場合(Vc=0)に屈折率が1.62、電圧を印加した場合(Vc≠0)に屈折率が1.52と変化するものを想定した。
また、誘電体多層膜6が半透過鏡の作用をし、アルミニウム電極1が反射鏡の作用をする。
ここでフォトポリマー層5としては、Adv.Mater.2002,14(7)514に示された、電圧を印加しない場合(Vc=0)に屈折率が1.62、電圧を印加した場合(Vc≠0)に屈折率が1.52と変化するものを想定した。
また、誘電体多層膜6が半透過鏡の作用をし、アルミニウム電極1が反射鏡の作用をする。
シミュレーションにおいて重要となる各層の膜厚は以下の通りである。
発光部2においては、アルミニウム電極1に接するLiF層の膜厚が0.5nm、その次にアルミニウムキノリノール錯体層の膜厚が56.4nm、キナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層の膜厚が20nmである。
正孔輸送層3においては、発光部2に接するトリフェニルアミン4量体(TPTE)層の膜厚が56.4nm、銅フタロシアニン層の膜厚が20nmである。
ITO電極4aの膜厚は30nm、フォトポリマー層5の膜厚は166nm、ITO電極4bの膜厚は30nmである。
SiO2層611、612、613及び614の膜厚はいずれも89nm、TiO2層621、622、623及び624の膜厚はいずれも57.6nmである。
上記の各膜厚は、発光部2の発する光の真空中の波長を520nm、半値幅を0と想定し、発光部2、正孔輸送層3、SiO2層611内部での伝搬波長の1/4の厚さとなるようにしたものである。
発光部2においては、アルミニウム電極1に接するLiF層の膜厚が0.5nm、その次にアルミニウムキノリノール錯体層の膜厚が56.4nm、キナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層の膜厚が20nmである。
正孔輸送層3においては、発光部2に接するトリフェニルアミン4量体(TPTE)層の膜厚が56.4nm、銅フタロシアニン層の膜厚が20nmである。
ITO電極4aの膜厚は30nm、フォトポリマー層5の膜厚は166nm、ITO電極4bの膜厚は30nmである。
SiO2層611、612、613及び614の膜厚はいずれも89nm、TiO2層621、622、623及び624の膜厚はいずれも57.6nmである。
上記の各膜厚は、発光部2の発する光の真空中の波長を520nm、半値幅を0と想定し、発光部2、正孔輸送層3、SiO2層611内部での伝搬波長の1/4の厚さとなるようにしたものである。
上記の発光デバイス100を具体的に構成するには次のようにすれば可能である。即ち、光学研磨したガラス基板10bを有機溶媒で洗浄後,クリーンオーブン中で乾燥させる。このガラス基板10bを高周波マグネトロンスパッタ装置にセットし、300℃に加熱して、Ar−30%O2の混合ガスを導入してTiO2層624とSiO2層614を順にスパッタ成膜する。TiO2層の形成には、TiO2の焼結体ターゲットを用いる。SiO2層の形成には、石英ガラスをターゲットとして用いる。この成膜工程を繰り返し,TiO2/SiO2のペアを合計4回積層して誘電体多層膜6を形成する。
この後、電極パターンが加工されているステンレスマスクを誘電体多層膜6に取り付け、ITO焼結体(5wt%−SnO2)ターゲットを用い、Ar+1%O2ガスを導入して、ITO電極4bをスパッタ成膜する。
この後、電極パターンが加工されているステンレスマスクを誘電体多層膜6に取り付け、ITO焼結体(5wt%−SnO2)ターゲットを用い、Ar+1%O2ガスを導入して、ITO電極4bをスパッタ成膜する。
次に同様に洗浄したガラス基板10aに対して,ステンレスマスクを用いて100nmのアルミニウム電極1をルツボを用いて真空蒸着する。この基板を有機電界発光素子作製装置にセットし、有機膜用のマスクを装着後、LiF、アルミニウムのキノリノール錯体、キナクリドンドープのアルミニウムのキノリノール錯体、トリフェニルアミンの4量体(TPTE)、銅フタロシアニンの順に成膜する。
次に、陽極電極パターンが加工されているステンレスマスクをこの有機EL素子に取り付け、ITO焼結体(5wt%−SnO2)ターゲットを用い、Ar+1%O2ガスを導入して、ITO電極4aをスパッタ成膜する。
2つのガラス基板10aと10bのITO電極4aと4bの間に,直径150nmのビーズを混合したフォトポリマーを注入し、フォトポリマー層5の厚さが166nmとする。素子作製後、露点が60℃以下の乾燥窒素雰囲気中で、素子の側面を紫外線硬化樹脂7で接着し,大気中の水分が素子に浸入しないようにする。
次に、陽極電極パターンが加工されているステンレスマスクをこの有機EL素子に取り付け、ITO焼結体(5wt%−SnO2)ターゲットを用い、Ar+1%O2ガスを導入して、ITO電極4aをスパッタ成膜する。
2つのガラス基板10aと10bのITO電極4aと4bの間に,直径150nmのビーズを混合したフォトポリマーを注入し、フォトポリマー層5の厚さが166nmとする。素子作製後、露点が60℃以下の乾燥窒素雰囲気中で、素子の側面を紫外線硬化樹脂7で接着し,大気中の水分が素子に浸入しないようにする。
上述の図2.Aの構成の発光デバイス100の特性を次のようにシミュレーションした。また、比較例として図2.Bの構成の発光デバイス900の特性もシミュレーションした。尚、図2.Bの構成の発光デバイス900の構成は、図2.Aの発光デバイスからフォトポリマー層5とガラス基板10aを除き、ITO電極4aと4bを一体化して厚さ186nmのITO電極4としたものである。
図2.Aの構成の発光デバイス100は、フォトポリマー層5に電圧を印加せず(Vc=0)、フォトポリマー層5の屈折率が1.62である場合に、ITO電極4aとアルミニウム電極1との間に所定電圧Vを印加すると、ガラス基板面に垂直方向から20度傾いた円錐面状に波長520nmの光が照射された。一方、フォトポリマー層5に電圧を印加し(Vc≠0)、フォトポリマー層5の屈折率が1.52である場合に、ITO電極4aとアルミニウム電極1との間に所定電圧Vを印加すると、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状に波長520nmの光が照射された。この際、全放射束は、フォトポリマー層5に電圧を印加(屈折率1.52)し、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状を100%とすると、フォトポリマー層5に電圧を印加しない(屈折率1.62)、ガラス基板面に垂直方向から20度傾いた円錐面状の場合でも62%となる結果が得られた。これを図3に示す。
図2.Bの構成の比較例に係る発光デバイス900は、ITO電極4とアルミニウム電極1との間に所定電圧Vを印加すると、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状に波長520nmの光が照射されるが、放射方向を変化させられない。
このように、本願発明によれば、電圧変化により屈折率を変化させることができる物質の層を介することで、発光層の発する光の照射方向を連続的に制御可能である。
図2.Bの構成の比較例に係る発光デバイス900は、ITO電極4とアルミニウム電極1との間に所定電圧Vを印加すると、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状に波長520nmの光が照射されるが、放射方向を変化させられない。
このように、本願発明によれば、電圧変化により屈折率を変化させることができる物質の層を介することで、発光層の発する光の照射方向を連続的に制御可能である。
本実施例では、実施例1同様の緑色有機EL素子を発光部として有し、マイクロアクチュエータにより誘電体多層膜6とアルミニウム電極1の間隔を変位できる発光デバイス200を想定した。図4は発光デバイス200の構成を示す断面図である。
図4の発光デバイス200は、ガラス基板10a上に、アルミニウム電極1、LiF層と一部にキナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層から成る発光部2、トリフェニルアミン4量体(TPTE)層と銅フタロシアニン層から成る正孔輸送層3、ITO電極4を積層したものが、枠体8にマイクロアクチュエータ9を介して配置されている。また、SiO2層611、612、613及び614とTiO2層621、622、623及び624とを交互に形成した誘電体多層膜6を形成したガラス基板10bが枠体8に固定されている。ITO電極4と対向しているのはSiO2層611である。枠体8は、少なくともガラス基板10bに接合した面の上方に、520nmの光を透過可能であるものとする。
また、誘電体多層膜6が半透過鏡の作用をし、アルミニウム電極1が反射鏡の作用をする。
図4の発光デバイス200は、ガラス基板10a上に、アルミニウム電極1、LiF層と一部にキナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層から成る発光部2、トリフェニルアミン4量体(TPTE)層と銅フタロシアニン層から成る正孔輸送層3、ITO電極4を積層したものが、枠体8にマイクロアクチュエータ9を介して配置されている。また、SiO2層611、612、613及び614とTiO2層621、622、623及び624とを交互に形成した誘電体多層膜6を形成したガラス基板10bが枠体8に固定されている。ITO電極4と対向しているのはSiO2層611である。枠体8は、少なくともガラス基板10bに接合した面の上方に、520nmの光を透過可能であるものとする。
また、誘電体多層膜6が半透過鏡の作用をし、アルミニウム電極1が反射鏡の作用をする。
シミュレーションにおいて重要となる各層の膜厚は以下の通りである。
発光部2においては、アルミニウム電極1に接するLiF層の膜厚が0.5nm、その次にアルミニウムキノリノール錯体層の膜厚が56.4nm、キナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層の膜厚が20nmである。
正孔輸送層3においては、発光部2に接するトリフェニルアミン4量体(TPTE)層の膜厚が56.4nm、銅フタロシアニン層の膜厚が20nmである。
ITO電極4の膜厚は100nmである。
SiO2層611、612、613及び614の膜厚はいずれも89nm、TiO2層621、622、623及び624の膜厚はいずれも57.6nmである。
上記の各膜厚は、発光部2の発する光の真空中の波長を520nm、半値幅を0と想定し、発光部2、正孔輸送層3、SiO2層611内部での伝搬波長の1/4の厚さとなるようにしたものである。また、ITO電極4とSiO2層611の間隙を157nmとした場合に、発光部2、正孔輸送層3、ITO電極4、間隙である空気層、SiO2層611の総膜厚が、屈折率を考慮した光学長として、真空中の波長が520nmの光の3/2波長となるようにしたものである。
発光部2においては、アルミニウム電極1に接するLiF層の膜厚が0.5nm、その次にアルミニウムキノリノール錯体層の膜厚が56.4nm、キナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層の膜厚が20nmである。
正孔輸送層3においては、発光部2に接するトリフェニルアミン4量体(TPTE)層の膜厚が56.4nm、銅フタロシアニン層の膜厚が20nmである。
ITO電極4の膜厚は100nmである。
SiO2層611、612、613及び614の膜厚はいずれも89nm、TiO2層621、622、623及び624の膜厚はいずれも57.6nmである。
上記の各膜厚は、発光部2の発する光の真空中の波長を520nm、半値幅を0と想定し、発光部2、正孔輸送層3、SiO2層611内部での伝搬波長の1/4の厚さとなるようにしたものである。また、ITO電極4とSiO2層611の間隙を157nmとした場合に、発光部2、正孔輸送層3、ITO電極4、間隙である空気層、SiO2層611の総膜厚が、屈折率を考慮した光学長として、真空中の波長が520nmの光の3/2波長となるようにしたものである。
図4の構成の発光デバイス200は、マイクロアクチュエータ9により、ITO電極4とSiO2層611の間隙を157nm、173nm、225nm、334nmと変化させると、ITO電極4とアルミニウム電極1との間に所定電圧Vを印加した場合に、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状、15度傾いた円錐面状、30度傾いた円錐面状、45度傾いた円錐面状に波長520nmの光が照射される結果となった。この際、全放射束は、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状を100%とすると、順に、99%、87%、64%であった。
即ち、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状の光放射を与える間隙から、177nm以下の間隙の変化で、45度まで照射方向を連続的に変化させることができる。
詳細を図5に示す。図5は、5度刻みで、0度から75度までの方位における光強度を、ITO電極4とSiO2層611の間隙を変化させてシミュレーションしたものである。ITO電極4とSiO2層611の間隙が157nm以上約400nm以下の範囲では、光強度を最大とするピークの角度が1つであると言える。
即ち、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状の光放射を与える間隙から、177nm以下の間隙の変化で、45度まで照射方向を連続的に変化させることができる。
詳細を図5に示す。図5は、5度刻みで、0度から75度までの方位における光強度を、ITO電極4とSiO2層611の間隙を変化させてシミュレーションしたものである。ITO電極4とSiO2層611の間隙が157nm以上約400nm以下の範囲では、光強度を最大とするピークの角度が1つであると言える。
本実施例では、面発光レーザを発光部として有し、マイクロアクチュエータにより誘電体多層膜60との間隔を変位できる発光デバイス300を想定した。図6は発光デバイス300の構成を示す断面図である。
図6の発光デバイス300は、各々10層のSiO2層6010〜6019とTiO2層6020〜6029とを交互に形成した誘電体多層膜60を形成したガラス基板10bが枠体8に固定されている。
また発光部及び反射鏡として、p型GaAs基板31に、DBR層32、多重量子井戸活性層33、n型AlGaAs層34を積層したものが、枠体8にマイクロアクチュエータ9を介して配置されている。DBR層32はp型AlAs層321とp型AlGaAs層322を30組積層したものであり、多重量子井戸活性層33はGaAs層とAlGaAs層を3組積層したものである。
n型AlGaAs層34と対向しているのはSiO2層6010である。枠体8は、少なくともガラス基板10bに接合した面の上方に、850nmの光を透過可能であるものとする。
また、誘電体多層膜60が半透過鏡の作用をし、DBR層32が反射鏡の作用をする。
図6の発光デバイス300は、各々10層のSiO2層6010〜6019とTiO2層6020〜6029とを交互に形成した誘電体多層膜60を形成したガラス基板10bが枠体8に固定されている。
また発光部及び反射鏡として、p型GaAs基板31に、DBR層32、多重量子井戸活性層33、n型AlGaAs層34を積層したものが、枠体8にマイクロアクチュエータ9を介して配置されている。DBR層32はp型AlAs層321とp型AlGaAs層322を30組積層したものであり、多重量子井戸活性層33はGaAs層とAlGaAs層を3組積層したものである。
n型AlGaAs層34と対向しているのはSiO2層6010である。枠体8は、少なくともガラス基板10bに接合した面の上方に、850nmの光を透過可能であるものとする。
また、誘電体多層膜60が半透過鏡の作用をし、DBR層32が反射鏡の作用をする。
シミュレーションにおける設定は以下の通りである。
n型AlGaAs層34の膜厚は121.44nmである。
多重量子井戸活性層33は5nmであり、発光波長は850nmを想定した。
DBR層32は、p型AlAs層321とp型AlGaAs層322の各々の膜厚を、真空中の波長850nmの光の伝搬波長の1/4の厚さに形成した。多重量子井戸活性層33に接するのはp型AlAs層321とし、膜厚は55.72nmとした。
誘電体多層膜60は、SiO2層6010〜6019とTiO2層6020〜6029の膜厚を、真空中の波長850nmの光の伝搬波長の1/4の厚さに形成した。n型AlGaAs層34と対向するのはSiO2層6010であり、その膜厚は145.54nmとした。
また、n型AlGaAs層34とSiO2層6010の間隙を286nmとした場合に、DBR層32の最上層であるp型AlAs層321、多重量子井戸活性層33、n型AlGaAs層34、間隙である空気層、SiO2層6010の総膜厚が、屈折率を考慮した光学長として、真空中の波長が850nmの光の3/2波長となるようにしたものである。
n型AlGaAs層34の膜厚は121.44nmである。
多重量子井戸活性層33は5nmであり、発光波長は850nmを想定した。
DBR層32は、p型AlAs層321とp型AlGaAs層322の各々の膜厚を、真空中の波長850nmの光の伝搬波長の1/4の厚さに形成した。多重量子井戸活性層33に接するのはp型AlAs層321とし、膜厚は55.72nmとした。
誘電体多層膜60は、SiO2層6010〜6019とTiO2層6020〜6029の膜厚を、真空中の波長850nmの光の伝搬波長の1/4の厚さに形成した。n型AlGaAs層34と対向するのはSiO2層6010であり、その膜厚は145.54nmとした。
また、n型AlGaAs層34とSiO2層6010の間隙を286nmとした場合に、DBR層32の最上層であるp型AlAs層321、多重量子井戸活性層33、n型AlGaAs層34、間隙である空気層、SiO2層6010の総膜厚が、屈折率を考慮した光学長として、真空中の波長が850nmの光の3/2波長となるようにしたものである。
図6の構成の発光デバイス300は、マイクロアクチュエータ9により、n型AlGaAs層34とSiO2層6010の間隙を286nm、308nm、380nm、520nmと変化させると、p型GaAs基板31とn型AlGaAs層34との間に所定電圧Vを印加した場合に、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状、15度傾いた円錐面状、30度傾いた円錐面状、45度傾いた円錐面状に波長850nmの光が照射される結果となった。この際、全放射束は、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状を100%とすると、順に、96%、77%、52%であった。
即ち、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状の光放射を与える間隙から、234nm以下の間隙の変化で、45度まで照射方向を連続的に変化させることができる。
詳細を図7に示す。図7は、5度刻みで、0度から75度までの方位における光強度を、n型AlGaAs層34とSiO2層6010の間隙を変化させてシミュレーションしたものである。n型AlGaAs層34とSiO2層6010の間隙が286nm以上約600nm以下の範囲では、光強度を最大とするピークの角度が1つであると言える。
即ち、ガラス基板面の垂直方向に一致したビーム状の光放射を与える間隙から、234nm以下の間隙の変化で、45度まで照射方向を連続的に変化させることができる。
詳細を図7に示す。図7は、5度刻みで、0度から75度までの方位における光強度を、n型AlGaAs層34とSiO2層6010の間隙を変化させてシミュレーションしたものである。n型AlGaAs層34とSiO2層6010の間隙が286nm以上約600nm以下の範囲では、光強度を最大とするピークの角度が1つであると言える。
レーザスキャナその他の分野に適用可能である。
100、200、300:発光デバイス
10a、10b:ガラス基板
1:アルミニウム電極
2:LiF層と一部にキナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層から成る発光部
3:トリフェニルアミン4量体(TPTE)層と銅フタロシアニン層から成る正孔輸送層
4、4a、4b:ITO電極
5:電圧印加により屈折率が変化する物質から成る層(フォトポリマー層)
6、60:誘電体多層膜
611〜614、6010〜6019:SiO2層
621〜624、6020〜6029:TiO2層
7:紫外線硬化樹脂
8:枠体
9:マイクロアクチュエータ
31:p型GaAs基板
32:DBR層
321:DBR層を形成するp型AlAs層
322:DBR層を形成するp型AlGaAs層
33:GaAs/AlGaAs多重量子井戸活性層
34:n型AlGaAs層
10a、10b:ガラス基板
1:アルミニウム電極
2:LiF層と一部にキナクリドンがドープされたアルミニウムキノリノール錯体層から成る発光部
3:トリフェニルアミン4量体(TPTE)層と銅フタロシアニン層から成る正孔輸送層
4、4a、4b:ITO電極
5:電圧印加により屈折率が変化する物質から成る層(フォトポリマー層)
6、60:誘電体多層膜
611〜614、6010〜6019:SiO2層
621〜624、6020〜6029:TiO2層
7:紫外線硬化樹脂
8:枠体
9:マイクロアクチュエータ
31:p型GaAs基板
32:DBR層
321:DBR層を形成するp型AlAs層
322:DBR層を形成するp型AlGaAs層
33:GaAs/AlGaAs多重量子井戸活性層
34:n型AlGaAs層
Claims (6)
- 発光層を含む発光部が、互いに平行な反射面を有する反射鏡及び半透過鏡で挟まれた構造の発光デバイスであって、
前記反射鏡の反射面と、前記半透過鏡の反射面との距離に基づく光学長を可変とする手段を有し、前記発光層が発する特定波長の光の放射方向を制御可能としたことを特徴とする発光デバイス。 - 前記光学長を可変とする手段は前記発光部と前記半透過鏡の間に形成された、印加電圧により屈折率が変化する物質から成る層と、その層への電圧印加手段であることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
- 前記光学長を可変とする手段は前記発光部と前記半透過鏡の間に形成された、光励起により屈折率が変化する物質から成る層と、その層への励起光導入手段であることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
- 前記発光部と前記半透過鏡の間には間隙が存在し、
前記光学長を可変とする手段は、前記間隙の距離を変化させることで前記反射鏡と前記半透過鏡との距離を変化させる手段であることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。 - 前記半透過鏡が誘電体多層膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発光デバイス。
- 前記発光部は、有機EL、面発光レーザ或いは無機LEDであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発光デバイス。
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JP2007328561A JP2009152040A (ja) | 2007-12-20 | 2007-12-20 | 発光デバイス |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014049876A1 (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-03 | パイオニア株式会社 | 有機el素子 |
JP2014135185A (ja) * | 2013-01-09 | 2014-07-24 | Japan Display Inc | El表示装置 |
CN106299145A (zh) * | 2016-10-17 | 2017-01-04 | 京东方科技集团股份有限公司 | 有机发光二极管器件及其制作方法和显示面板 |
-
2007
- 2007-12-20 JP JP2007328561A patent/JP2009152040A/ja active Pending
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