JP4633088B2 - 干渉性変調器および表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、干渉性変調器およびそれを用いた表示装置に関し、特に、反射型表示装置に好適に用いることができる干渉性変調器に関する。
一般に、反射型表示装置は周囲光を利用できるため、特にモバイル用途に有用である。
現在、代表的な反射型表示装置としては、液晶の複屈折性や旋光性を利用するTN(Twisted Nematic)モードやSTN(Super−Twisted Nematic)モードが使用されている。
しかし、これらの表示方式は偏光板を用いる必要があり、これらの偏光板による光の損失は約60%にもなるため、表示が暗くなってしまう。
一方、偏光板を用いない液晶表示方式としては、液晶に二色性色素を添加するゲスト−ホスト方式や、動的散乱モード等に代表される透過・散乱方式も提案されているがこれらの表示方式はコントラストが低下し実用化されていない。液晶以外のものを用いた表示方式としては、溶液中着色微粒子の電気泳動方式や二色性回転微粒子(ツイストボール)方式、トナーディスプレイ方式等が提案されていが、駆動電圧、コントラスト、応答速度、安定性や寿命等の問題で実用可には至っていない。
近年、新たに偏光板を用いない表示方式として、入射光の干渉性をマイクロマシン(Micro Electro Mechanical System:MEMS)駆動で変調するiMoDTM方式が、特許文献1や特許文献2に開示されている。この方式は、一方が反射器(金属等)であって他方が誘導吸収体(誘電体等でサンドイッチ状に挟まれた金属等の吸収体)である2つの壁を備えた空洞(干渉性変調器空洞)の間隔を静電的に変形させることによって、干渉性を制御して外光を変調する反射型表示方式である。この方式では、赤(R)、緑(G)または青(B)等の単色表示と黒表示とを切り替えることが可能である。すなわち、反射器と誘導吸収体が特定の光学距離だけ離れた状態で、ファブリペロー干渉の原理によりその光学距離に対応する波長の光が観測者側に反射され、単色が表示される。また、この光学距離を調整することで可視光領域での入射光の反射が防止(吸収)され、黒表示がなされる。
この方式では、干渉によって単色を表示するためCFが不要となる利点がある。また、高いコントラスト比、低消費電力、MEMSの高速応答性、MEMSのヒステレシスを活用した場合にはTFTが不要となる等の利点が挙げられる。
米国特許5、835、255号明細書 特公表2000−500245号公報
しかしながら、上記のiMoDTM方式の明表示は光干渉を利用した「単色表示」であるため、入射角依存性が大きく、見る角度に応じて色ずれが生じてしまう。これを軽減または除去するためには、補助的なフロントライティングや光学的補償機構が必要となる。さらに、カラー表示は、特定波長を中心としたレーザーライクな色味となる。一方、白表示はR・G・Bの各画素の加法混色によって実現されため、各色の干渉反射の半値幅に制限されて白表示のY値を上げることが困難である。これは、白・黒表示に特化した電子書籍
等への応用の点で好ましくない。また、表示色毎に異なる構造の画素を作製する必要もある。さらに、このiMoDTM方式では明・暗の二値表示であるため、中間調表示はパルス幅変調による空間的ディザリング(面積階調方式)を用いるほかなく、大きな負荷となる。
本発明は上記諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、反射型表示装置に好適に用いられ得る干渉性変調器を提供することにある。
本発明の第1の局面による干渉性変調器は、透明基板(屈折率:n0)と、前記透明基
板上に設けられた光学薄膜(複素屈折率:N1=n1−i・k1)と、前記光学薄膜に対向
し、前記光学薄膜とのギャップの距離が可変に配置された吸収体層(複素屈折率:Ns
s−i・ks)とを有し、n1>n0、k1≒0、かつ、ns>n0の関係を満足する。n1>2.0であることが好ましい。
ある実施形態において、下記式(1):
Figure 0004633088
の関係を満足する。
ある実施形態において、前記光学薄膜の物理膜厚d1は、可視光領域内のある波長λに
対して、n1 2−ns 2−ks 2>0の場合、下記式(2):
Figure 0004633088
の関係を満足し、
1 2−ns 2−ks 2<0の場合、下記式(3):
Figure 0004633088
の関係を満足する。
ある実施形態において、d1は、上記式(2)または式(3)を満足する最も小さい値
である。
ある実施形態において、前記光学薄膜と前記吸収体層との間に形成されるギャップを満たす媒体の屈折率nvが前記光学薄膜の屈折率n1よりも小さく、かつ、前記ギャップの物理的距離をdvとすると、可視光領域内のある波長λに対して、下記式(4):
Figure 0004633088
の関係を満足する。
ある実施形態において、前記光学薄膜は、多層等価膜で構成されている。
本発明の第2の局面による干渉性変調器は、透明基板(屈折率:η0)と、前記透明基
板上に設けられた積層膜と、前記積層膜に対向し、前記積層膜とのギャップの距離が可変に配置された吸収体層(複素屈折率:ηs=ns−i・ks)とを有し、
前記積層膜は3つ以上の透明薄膜層を有し、且つ、隣接する2つの透明薄膜層の複素屈折率は互いに異なり、前記透明基板に近い側からj層目の前記薄膜層の複素屈折率をηj
=nj−i・kjおよび位相膜厚をδj、BおよびCが下記式(5):
Figure 0004633088
で与えられるとすると、
j≒0であり、かつ、可視光波長領域(380nm<λ<780nm)において、下
記式(6):
Figure 0004633088
の関係を満足する。
ある実施形態において、前記積層膜と前記吸収体層との間に形成される前記ギャップを満たす媒体の屈折率をηv、かつ、前記ギャップの位相距離をδvとし、DおよびEが下記式(7):
Figure 0004633088
で与えられるとすると、
広帯域の可視光波長領域(380nm<λ<780nm)において、下記式(8):
Figure 0004633088
の関係を満足する。
ある実施形態において、前記積層膜は、複素屈折率が互いに異なる第1透明薄膜層と第2透明薄膜層とが交互に積層された交互積層膜と、前記交互積層膜上に設けられ前記吸収体層に対向する第3透明薄膜層とを有する。
ある実施形態において、前記光学薄膜または前記積層膜と前記吸収体層との間に形成される前記ギャップの距離は、干渉可能な範囲内で変化させられる。
ある実施形態において、前記光学薄膜または前記積層膜と前記吸収体層との間に形成される前記ギャップの距離は、干渉が起こり得ない光学距離まで変化させられる。
ある実施形態において、前記光学薄膜または前記積層膜と前記吸収体層との間に形成される前記ギャップは段階的に変化させられる。
ある実施形態において、前記光学薄膜または前記積層膜と前記吸収体層との間に形成される前記ギャップの距離を変化させる駆動素子をさらに有する。
ある実施形態において、前記駆動素子は圧電素子を備える。
ある実施形態において、前記光学薄膜または前記積層膜と前記吸収体層との間に形成される前記ギャップは真空状態であるか、または気体が充填されている。
ある実施形態において、前記光学薄膜または前記積層膜と前記吸収体層との間に形成される前記ギャップに液体が充填されている。
ある実施形態において、特定の波長を透過するカラーフィルターをさらに備える。
ある実施形態において、光散乱層をさらに備える。
ある実施形態において、前記光学薄膜または前記積層膜は少なくとも1つの透明導電層を含む。
ある実施形態において、前記少なくとも1つの透明導電層に印加される電圧に応じて、前記光学薄膜または前記積層膜と前記吸収体層との間に形成される前記ギャップの距離が変化させられる。
本発明の表示装置は、複数の画素を有する表示装置であって、前記複数の画素のそれぞれが、上記のいずれかの干渉性変調器を備えることを特徴とする。
ある実施形態において、前記複数の画素は第1画素と第2画素とを含み、前記第1画素および前記第2画素が有する前記干渉性変調器は、前記光学薄膜、前記積層膜または前記吸収体層の構成が互いに異なる。
本発明の干渉性変調器においては、透明基板上に設けられた光学薄膜または積層膜と、吸収体層とのギャップ長を調節することによって、透明基板側から入射する光の反射率が制御される。本発明の第1の局面による干渉性変調器の基本的な設計思想は、可視光波長領域内のある波長(例えば550nmの光)に対して最も効果的に反射防止膜および/または反射増大膜として作用する光学薄膜を用いることにある。一方、本発明の第2の局面による干渉性変調器の基本的な設計思想は、可視光波長領域内の任意の波長に対して、す
なわち広帯域で、反射防止効果および/または反射増大効果が得られる積層膜を用いるこにある。いずれの場合でも、例えば、吸収体層と接触したときに反射防止膜となるように構成された光学薄膜または積層膜は、吸収体層との間に所定の距離のギャップ(例えば空気層)を形成すると反射増大膜として作用する。従って、本発明の干渉性変調器においては、ファブリペロー干渉を利用する従来のiMoDTM方式の干渉性変調器よりも高い反射率および高いコントラスト比を得ることができる。また、本発明の干渉性変調器を用いることによって、高輝度および高コントラスト比を有する反射型表示装置が得られる。
以下、図面を参照しながら本発明による実施形態の干渉性変調器の構成と動作を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、図1を参照しながら、本発明の第1の局面による実施形態の干渉性変調器の基本的な構成とその動作原理を説明する。
本発明による干渉性変調器は、透明基板(屈折率:n0)と、透明基板上に設けられた
光学薄膜(複素屈折率:N1=n1−i・k1)と、光学薄膜に対向し、光学薄膜とのギャ
ップの距離が可変に配置された吸収体層(複素屈折率:Ns=ns−i・ks)とを有し、
1>n0、k1≒0、かつ、ns>n0の関係を満足する。この光学薄膜は、吸収体層との
ギャップの距離に応じて反射を低減(防止)または増大するように作用する。例えば、光学薄膜と吸収体層とが接触したときに反射防止膜として作用し、吸収体層との間に所定の距離の空気層が形成されたときに反射増大膜として作用する。
一般に、光の波長より小さい膜厚の薄膜では、光の反射や屈折以外に薄膜特有の種々の性質を示すことが知られている。これら光学薄膜の諸性質は、ガラス表面の反射防止膜(無反射コーティング)、ビームスプリッターや反射鏡の高反射コーティング、各種光学フィルターなどのいわゆる光学多層膜コーティングに応用されており、その他にも光導波路などの薄膜光回路素子、半導体薄膜を用いた受/発光素子などの分野で利用されている。
このような光学的応用に用いられる薄膜材料は様々であるが、光学的には、透明体(絶縁体と吸収端以上の波長での半導体)と、光吸収体(金属(合金を含む)、吸収端以下の波長での半導体)とに大別される。材料の種類としては、誘電体、金属および半導体に分けられる。これら薄膜材料の光学的性質は、一般にその光学定数N=n−i・k(複素屈折率:屈折率n、消衰係数k)と物理膜厚dないし位相膜厚δ=2π・N・d・cosθ/λ(θは入射角、λは入射光の波長)によって一義的に表され、光学薄膜を積層した光学多層膜の性質はそれを構成する複数の層の各光学定数と各膜厚よって決まる。従って、薄膜の光学的な物性を表す量である光学定数(複素屈折率)N=n−i・kが特に重要となる。
例えば、図1の(a)に示すように、屈折率n0の透明媒体(入射媒体)1から、複素
屈折率Ns=ns‐i・ksの吸収体からなる基板4に垂直入射した時の外光の反射率(入
射光2と反射光3との強度比率)R0は、下記の式(1−1)で表される。
Figure 0004633088
ここで、透明媒体1が空気(n0=1)で吸収体基板4がタングステンW(ns=3.5、ks=2.73、λ=551nm)の場合、R0=49.46%となる。
次に、図1の(b)に示すように、吸収体基板4上に屈折率n1、物理膜厚d1の第1透明体薄膜5を形成すると、垂直入射の場合の位相膜厚δ1=2πn11/λとして、反射
率R1は、下記の式(1−2)で表される。
Figure 0004633088
このとき、反射率R1は、図2(a)に示すように、屈折率n1と位相膜厚δ1に依存し
て変化し、波長λ=551nmに対し特定の屈折率n1及び位相膜厚δ1において、完全な反射防止がなされる。透明な基板に対して透明な薄膜を用いて反射防止膜を形成した場合には反射率+透過率=1が成立するので透過率の上昇を意味するが、金属等の吸収体に対して透明な薄膜を用いて反射防止膜を形成した場合には、吸収体による光吸収率の増大を意味する。
次に、図1の(c)に示すように、吸収体基板4と第1透明体薄膜5との間に、屈折率n2、位相膜厚δ2の第2透明体薄膜6を設けた場合の反射率R2は、下記の式(1−3)
で表される。
Figure 0004633088
このとき、反射率R2は、図2(b)に示すように、第2透明体薄膜6の屈折率n2
よび位相膜厚δ2に依存して変化する。なお、図2(b)は第1透明体薄膜5が上記反射
防止条件(式(1−2))を満足する場合を示している。第2透明体薄膜6の屈性率n2
が第1透明体薄膜5の屈性率n1より小さく、かつ第2透明体薄膜6の位相膜厚δ2が特定範囲内にあるとき、吸収体基板4だけがあるとき(図1の(a))よりも反射率が増大する(R2>R0)。
また、図2(b)から分かるように、屈折率比n1/n2が大きいほど反射増大効果が大きくなる。従って、最大の反射率を得るためには、第1透明体薄膜5はできるだけ高い屈折率(n1)を有し、かつ、第2透明体薄膜6はできるだけ低い屈折率(n2)を有することが好ましいことがわかる。第1透明体薄膜5の屈折率n1は2.0以上であることが好
ましい。また、図2(b)から、第2透明体薄膜6の位相膜厚δ2を変化させることによ
って、反射率(すなわち反射光の強度)の変調が可能であることがわかる。
本発明の第2の局面による干渉性変調器では、特定波長の光に対して反射防止膜および/または反射増大膜として作用するように構成された光学薄膜の代わりに、可視光波長領
域(380nm<λ<780nm)において、反射防止効果および/または反射増大効果を有するように構成された積層膜を用いる。
なお、上述した反射増大効果は光干渉による反射率の増大であるが、ここでは、光学系に厚膜を含む場合の、多重反射を利用することによって吸収体単体よりも高い反射率を得られる効果についても反射増大効果というものとする。
上記式(1−1)から(1−3)は薄膜光学の分野では良く知られた式であり、本明細書に示す他の式(1)から(8)も当業者には容易に導出され得るので、ここでは導出しない。これらの式の導出については、例えば、吉田貞史、他著、「薄膜・光デバイス」、東京大学出版会を参照されたい。
本発明による実施形態の干渉性変調器は、上述の原理を利用している。
以下では、干渉性変調器を用いた反射型表示装置の実施形態を例示するが、本発明による干渉性変調器は反射型表示装置以外の用途にも利用できる。
(実施形態1)
図3に、本発明の第1の局面による実施形態の反射型表示装置10の構成を模式的に示す。反射型表示装置10はマトリクス状に配列された複数の干渉性変調器を有し、例えば、それぞれの干渉性変調器が画素を構成する。図3は反射型表示装置の2つの画素、すなわち2つの干渉性変調器を示しており、左側の干渉性変調器は黒表示状態(反射率が最小の状態)にあり、右側の干渉性変調器は白表示状態(反射率が最大の状態)にある。
反射型表示装置10を構成する個々の干渉性変調器は、透明基板12と、透明基板12上に設けられた光学薄膜13と、光学薄膜13とのギャップの距離が可変に配置された吸収体層14とを有している。
吸収体層14は、基板20に設けられた駆動素子15上に形成されている。基板20と透明基板12(ここでは透明基板12上に形成された光学薄膜13)とは、所定の間隔をあけて、スペーサ壁17で固定されている。スペーサ壁17は、吸収体層14と光学薄膜13との間に形成されるギャップを充填する媒体19を密閉している。ここでは、画素ごと(干渉性変調器ごと)にスペーサ壁17で分離されているが、例えば、複数の画素全体を包囲するように設けても良い。なお、吸収体層14が外場に応答する吸収体粉末で構成されている場合(実施形態4)のように、隣接画素間でクロストーク現象が引き起こされる場合には、画素毎に分離するようにスペーサ壁17を設けることが好ましい。
吸収体層14と光学薄膜13とのギャップの距離を変化させるための駆動素子15として、ここでは圧電素子15を用いる。圧電素子15は、電極18に供給される電圧に応じて体積変化を生じ、その結果、吸収体層14と光学薄膜13とギャップの距離(乖離距離)を変化させる。なお、ここでは、吸収体層14と光学薄膜13とが接触している場合を、ギャップの距離(乖離距離)が0nmである、と表現することがある。
駆動素子15は、圧電素子に限られず、電界、磁界、圧力、音波、電磁波(光)、熱の少なくともいずれかの外場に応答して、吸収体層14と光学薄膜13との乖離距離を変化させられるものであればよい。但し、電界により電気的に制御できる駆動素子は、作製も容易であり、表示品位、コストや消費エネルギーの点でも非常に有用である。また、駆動素子が電圧印加を止めた後も状態を保持するメモリ性を有する場合、電圧を保持するためのアクティブ素子は不要であり、単純マトリクス構造を採用することができる。これにより、製造コストを低減することができる。また、上記メモリ性を有しない吸収体層を使用
する場合、画素を保持するためのアクティブ素子が必要となり、アクティブマトリックス構造を用いることが好ましい。
図3の左側画素として示したように、吸収体層14と光学薄膜13とが接触している場合、光学薄膜13は、吸収体層14に対して反射防止膜として機能し、入射光11は吸収体層14に吸収される。一方、図3の右側画素として示したように、吸収体層14と光学薄膜13とが所定の距離のギャップを形成している場合、反射増大効果によって入射光の大半が反射される(反射光16)。
まず、図3の左側に示した黒表示状態を得るための条件を説明する。ここで、透明基板12の屈折率をn0、光学薄膜13の複素屈折率N1をn1−i・k1、吸収体層14の複素屈折率Nsをns−i・ksとする。
まず、図4を参照しながら、吸収体層14の光学特性について説明する。図4は、各種吸収体(金属および半導体)の可視光領域の光に対する屈折率nsおよび消衰係数ksを示している。なお、元素によってプッロットしている波長範囲は異なるが、概ね400nmから800nmの波長に対するデータである。また、図4中の半円形の曲線は、光学薄膜13の屈折率n1がそれぞれの値(n1=2〜3.5)の場合に、完全無反射となる吸収体層の屈折率nsおよび消衰係数ksの値を示している。ここでは、透明基板12の屈折率n0としてガラスの屈折率1.52を用い、光学薄膜13がそれぞれのn1の値を有する単一の膜としている。なお、光学薄膜13は透明であることが好ましいので、k1≒0である
ことが好ましい。
まず、図4中の半円形の曲線に注目する。半円の立ち上がるnsの値は、透明基板12
の屈折率n0の値と等しい。従って、吸収体層14の屈折率nsがns>n0の条件を満足しないと、有効に反射防止が出来ないことがわかる。また、光学薄膜13の屈折率n1が大
きい程、円の直径大きいことから、光学薄膜13の屈折率n1が大きい程、反射防止効果
が得られる条件を満足しやすい、すなわち、吸収体層14の材料の選択の幅が広いおよび/または波長分散の影響を受け難い、ということがわかる。光学薄膜13の屈折率n1
1>n0の条件を満足しないと有効な反射防止が出来ず、n1>2.0であることが好ま
しく、n1>2.5であることがさらに好ましい。また、図4は透明基板12がガラス(
0=1.52)の場合を示しているが、透明基板12の屈折率n0がより小さい程、上記半円の直径が大きくなり、上述の利点が得られる範囲が広がる。従って、透明基板12として、ガラスよりも屈折率が低い、例えばプラスチック基板等を用いることがさらに好ましい。
図4中の各種材料のプロットからわかるように、屈折率nsが1よりも小さいAlやA
gは、ns>n0の条件を満足し得ないので、吸収体層14の材料として使えない。これ
は上述したiMoDTM方式の干渉性変調器の反射器としてAlやAgが好適に用いられることと対照的である。このことからも、本発明による干渉性変調器における干渉がファブリペロー干渉と異なっていることが理解される。
本発明による干渉性変調器の吸収体層14の材料としては、ns>n0の条件を満足する材料のうちで、波長分散が小さいものが好ましい。具体的には、Ta、CrやWを好適に用いることが出来る。特にWは、波長分散が小さく、可視光領域の全体に亘ってns>n0の条件を満足するので、表示品位の観点から特に好ましい。Taは一部の波長域(長波長側)でnsが1.52よりも小さくなるが、使用する光の波長および/または透明基板材
料を選択すればよい。RhやNiは、光学薄膜との組み合わせから、これらを吸収体として使用することは現実的でない。
なお、光学薄膜13や吸収体層14の材料は、既存の材料に限らず、混合堆積法、酸化度法、膜の密度を変化させる等の方法によって、任意の複素屈折率を有する層を形成することができる。また、後述するように、光学薄膜13のn1だけなく、物理膜厚d1を最適化することによって、反射防止効果を高めることができる。
次に、反射防止波長λを中心に、広帯域で良好な黒表示(反射防止効果)を得るための好ましい構成を説明する。
黒表示時に良好な反射防止効果を得るためには、下記式(1):
Figure 0004633088
の関係を満足することが好ましい。
さらに、光学薄膜13の物理膜厚d1は、反射防止の中心波長λに対して、
1 2−ns 2−ks 2>0の場合、下記式(2):
Figure 0004633088
の関係を満足し、
1 2−ns 2−ks 2<0の場合、下記式(3):
Figure 0004633088
の関係を満足することが好ましい。
上記式(1)〜(3)は、上記式(1−2)で表されるR1が最小となる条件から求められる。
上記式(2)および(3)においてjが増加すると、各干渉次数の反射防止波長の間隔は狭くなり、反射防止波長を中心とした反射防止効果の及ぶ波長領域も狭くなる(例えば図6参照)。従って、反射防止波長λを中心に広帯域の反射防止効果を得るためには、上記条件を満たすd1のうち最も小さいものが好ましい。すなわち、可視光波長域(380
nm以上780nm以下)において、0<d1<λ/2n1の関係を満足することが好ましい。
白表示時に良好な反射増大効果を得るためには、ギャップを充填する媒体の屈折率nv
(上記式(1−3)におけるn2)が光学薄膜13の屈折率n1よりも低く、かつ、白表示時における吸収体層14と光学薄膜13との乖離距離をdvすると、反射防止波長λに対
して、下記の式(4):
Figure 0004633088
の関係を満足することが好ましい。すなわち、光学距離nvvが(2m+1)λ/4と一致することが最も好ましい。式(4)は、上記式(1−3)で表されるR2が最大となる条件から求められる。
上述したとおり、良好な反射増大効果を得るためには、ギャップを充填する媒体の屈折率nvは、n1よりも小さくなければならず、さらに高い反射増大効果を得るためには屈折率比nv/n1(図2(b)中のn2/n1)ができるだけ小さいことが好ましい。従って、白表示時に高い反射増大効果を得るためには、ギャップを充填する媒体は、屈折率が1である、真空または空気などの気体であることが好ましい。あるいは、水(nv=1.33
などの屈折率が低い液体を用いてもよい。
本発明による表示装置における白表示は、各画素の干渉性変調器が有する「光学薄膜/ギャップ/吸収体層」からなる光学多層膜系で実現されるため、黒表示状態から白表示状態への切り替えに伴う吸収体層の移動距離(ギャップの距離の変化量)は、光干渉が起こる範囲内であればよい。最も反射率が低いのはギャップの距離が0のときであり、最も反射率が高いのはギャップの距離が、光学距離で(2m+1)λ/4または位相膜厚で(2m+1)π/2(ただし、mは整数)のときである。
あるいは、ギャップの距離の最大値を、光干渉が起こり得ない距離としてもよい。ギャップの距離が光の波長に対して十分に大きい(例えば波長の100倍程度以上)と、光干
渉が生じることはなく、両者の境界でインコヒーレントな多重反射が生じる。この状態で白表示を行うことができる。このような構成を採用すると、白表示のためのギャップ距離の制御が容易になるという利点が得られる。なお、ギャップ距離が一般的な画素サイズの一辺より長くなると観測者が視差を感じてしまうため、ギャップ距離の最大値は500μm以下に設定することが好ましい。
本発明による反射型表示装置が有する干渉性変調器の反射率は、ギャップの距離に依存して変化するので、ギャップ距離を段階的に変化させることによって、黒表示(反射率が最小値)から白表示(反射率が最大値)までの間の中間調表示を段階的に実現することができる。従って、上述のiMoDTM方式のように面積階調を採用する必要が無いので、少ない画素数で高品位の中間調表示を行うことができる。
本発明の反射型表示装置の表示品位を向上するために、光散乱層および/またはカラーフィルタを更に設けても良い。これらは、例えば透明基板12の観察者側に配置される。
光散乱層は、表示光に適度な配光分布を与え、それによって、ペーパーライクな表示を実現する。光散乱層としては、内部光散乱型フィルム(例えば、樹脂中に樹脂と屈折率の異なる微粒子を分散させたもの)や、表面散乱型フィルム(例えば、表面に規則的でない数μm単位の凸凹によるエンボス加工を施したもの)あるいは、これらを組み合わせたものを用いることができる。特に、黒表示状態において観測者側へ出射される散乱光を低減するために、前方散乱特性を有する光散乱層が好ましく、従って、表面光散乱型フィルムよりも内部光散乱型フィルムが好ましい。
本発明の反射型表示装置においては、例えば、R・G・Bの各画素のそれぞれに対応して反射防止波長λを設定し、それぞれのλについて最適化された干渉性変調器(光学薄膜または吸収体層)を形成することによってカラー表示を実現することが出来る。しかしながら、必要に応じて、カラーフィルタをさらに設けることによって、カラー表示の品位の向上(例えば色再現範囲の拡大)を図ることができる。あるいは、波長分散が小さな干渉性変調器を用いる場合(例えばタングステンWを用いて吸収体層を形成した場合)には、干渉性変調器の構成は各画素共通として、カラーフィルタによって発色する構成を採用することもできる。このような構成を採用すると安価な反射型表示装置が得られる。
図3に示した反射型表示装置10は、具体的には、例えば、以下のように構成される。
透明基板12および基板20として、厚さ1.1mmのガラス(波長λ=550nmで屈折率n0=1.52)を用いる。なお、基板20は透明である必要はない。光学薄膜1
3として、膜厚33nmのTiO2薄膜(波長λ=550nmで屈折率n1=2.50、k1=0)を用いる。TiO2薄膜は、ガラス基板12上に例えばスパッタ法を用いて形成される。
基板12上の光学薄膜13と基板20との間隔は、スペーサ壁17によって規定されている。この間隔は例えば約15μmであり、スペーサ壁17は、例えば感光性樹脂で形成される。
吸収体層14として、厚さ約200nmのタンタルTa薄膜(波長λ=550nmで屈折率ns=2.47、ks=1.84)を用いる。吸収体層14のサイズは、例えば、縦・横方向の画素サイズに合わせて、例えば50μm〜300μm程度であることが好ましい。
圧電素子15として、ポリビニルアルコール(PVA)にジメチルスルホキシド(DMSO)を含有させた電場応答ゲルを用いることができる。このゲルは電界印加によって、電界と平行方向では収縮し、電界と垂直方向には膨潤する性質を有し、セラミック等の圧電材料に比べて変位量が大きく、また、弾力性に富むので光学薄膜13への密着性も良好となる。
反射型表示装置10の干渉性変調器では、基板20上に平行に配置された2つの電極18間に印加する電圧を制御することによって、吸収体層14と光学薄膜13とのギャップ距離が変化させられる、すなわち、接触状態と乖離状態とが切り替わるように構成されている。一対の電極18は、例えば20μmの間隔で配置され、個々の電極18は、例えば高さ0.5μm、幅5μmである。圧電素子15の厚さは、ここでは約10μmとする。
反射型表示装置10の各画素(すなわち各干渉性変調器)は、電極18間に0V〜約10Vの電圧を印加することにより、光学薄膜13と吸収体層14とのギャップ距離が変化させられ、ギャップ距離が零のとき(すなわち接触状態のとき)に黒表示となり、ギャップ距離が約135nmのときに白表示(最も輝度が高い)となる。
上述した構成では、例えばTiO2薄膜の膜厚(d1)の33nmは、式(3)において波長λ=550nm、j=0とした場合のd1を満足し(式(3)の右辺=33.42)、
かつ、このd1は反射率が極小値をとる最小の値でありファーストミニマム条件を満足し
ている。
このような構成を有する反射型表示装置10の光学特性をシミュレーションによって求めた結果を説明する。なお、シミュレーションにはSCI社のFilm WizardTM
を用いた。
まず、図5に黒表示状態および白表示状態における分光反射率特性を示す。黒表示状態および白表示状態のそれぞれについて、入射角が0°の場合と30°の場合とを示している。なお、入射角0°は表示面法線方向からの入射を意味する。
図5からわかるように、黒表示が赤みを帯びているものの、反射防止波長550nmを中心に広い波長領域に亘って、良好なコントラスト比が得られる。また、入射角が30°の場合も入射角が0°の場合と同等の特性を示しており、従来のiMoDTM方式の干渉性変調器よりも視角特性が優れている。すなわち、干渉色を利用したiMoDTM方式の変調器では、視角が変化すると色が変化するのに対し、本実施形態の干渉性変調器では分光反射率の変化が小さい。
また、図6に示すように、本実施形態の干渉性変調器は、光学薄膜13と吸収体層14との間のギャップ間距離を変化させることによって、中間調を表示することができる。図6(a)は図5と同じ構成でギャップ距離を0nm〜280nmまで変化させた場合の分光反射率特性を示す図である。
図6(a)からわかるように、ギャップ距離が0nmから増加するに伴って幅広い波長範囲に亘って反射率が単調に増加することが分かる。ギャップ距離が120nm〜140nmの間では、波長によって反射率が逆転する領域が存在するが、図5に示したようにギャップ距離が135nm付近で最も良好な白表示が得られる。ギャップ距離を140nmから更に増大させると反射率は徐々に低下するが、反射率が最小となる波長域が狭くなるとともに中心波長のシフトも大きくなる。従って、ギャップ距離を段階的に変化させて中間調を表示する場合は、ギャップ距離0nm(接触状態)から最初に反射率が最大となるギャップ距離(ここでは約135nm)までの間で制御することが好ましい。
図6(b)は、上記の構成において、光学薄膜13の厚さを約143nmにした場合(セカンドミニマム条件)の分光反射率特性を示している。図6(b)と図6(a)との比較から明らかなように、光学薄膜13の厚さを上記式(2)(または式(3))を満足する最小の値に設定した場合(図6(a))に比べて、図6(b)では反射率の波長分散が大きい。従って、反射率の波長分散を抑制するためには、光学薄膜13の厚さを上記式(2)(または式(3))を満足する最小の値(ファーストミニマム条件)に設定することが好ましい。
なお、ここでは、反射防止波長を550nm(緑)に設定した場合を例示したが、上述した傾向は他の波長でも同様に見られる。また、上述の説明ではカラーフィルタを用いずに表示を行う場合を想定して説明したが、カラーフィルタを用いる場合には、反射率の波長分散に対する要求が緩和されるので、必要とされる波長範囲における波長分散を十分に抑制されるように、反射率の絶対値やコントラスト比などを考慮して、各干渉性変調器を構成すればよい。
なお、圧電素子15の構成は上記の例に限られず、公知の種々の圧電素子を用いることができる。例えば、圧電材料としては、水晶、ロッシェル塩、KPD、BaTiO3、Z
nO、PT、PZT、PLZT、LiNbO3、LiTaO3等の単結晶セラミック材料を用いることができる。また、有機圧電材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)やPVDFと三フッ化エチレン(TFE)もしくはフッ化ビニル(FV)等の共重合体、PVDFやフッ素ゴム、エポキシ樹脂にBaTiO3やPZT等の無機強誘電材料を混合した
複合材料を用いることもできる。
また、電気応答性を有する高分子ゲルとしては、イオン性高分子ゲルであるナフィオン、導電性高分子であるポリアニリンやポリピロール、非イオン性高分子ゲルであるポリウレタンエラストマー等が挙げられる。電気応答性の液晶エラストマーは、側鎖に液晶類似構造を有する高分子中に低分子液晶を膨潤したもので、電場による低分子液晶の配向変化が高分子側鎖に動きとして伝わってマクロな変形を起こすものがある。例えば、シアノビフェニル基を有するアクリル系モノマーとn架橋剤をラジカル共重合し、低分子液晶中で膨潤したものが知られている。その外にも、一般的なワックス類や脂肪酸、脂肪酸誘導体、芳香族アミドを用いることも可能である。
さらに、圧電効果には電気軸と平行方向に伸縮する縦効果と垂直方向に伸縮する横効果等があり、構造上も単板型、積層型、バイモルフ型、ムーニー型、シンバル型など様々なものが選択できる。また、セラミック材料等を使用する場合には間隙を真空とすることも可能である。電極の形状および配置方法も使用する圧電素子の種類によって選択できる。また、吸収体層が、自らが外場に応答する吸収体によって構成されている場合は、駆動素子を省略することができる。
(実施形態2)
図7に、本発明の第1の局面による他の実施形態の反射型表示装置30の構成を模式的に示す。
反射型表示装置30を構成する個々の干渉性変調器は、透明基板32と、透明基板32上に設けられた光学薄膜33と、光学薄膜33とのギャップの距離が可変に配置された吸収体層34とを有している。
吸収体層34は、基板40に設けられた駆動素子35上に形成されている。基板40と透明基板32(ここでは透明基板32上に形成された光学薄膜33)とは、所定の間隔をあけて、スペーサ壁37で固定されている。スペーサ壁37は、吸収体層34と光学薄膜33との間に形成されるギャップを充填する媒体39を密閉している。圧電素子35は一対の電極38によって制御される。
図7の左側画素として示したように、吸収体層34と光学薄膜33とが接触している場合、光学薄膜33は、吸収体層14に対して反射防止膜として機能し、入射光31は吸収体層34に吸収される。一方、図7の右側画素として示したように、吸収体層34と光学薄膜33とが所定の距離のギャップを形成している場合、反射増大効果によって入射光の大半が反射される(反射光36)。
反射型表示装置30は、実施形態1の反射型表示装置10における光学薄膜13が単一の膜であったのに対し、多層等価膜で構成された光学薄膜33を有している。その他の構成は反射型表示装置10と同様であるので、詳細な説明はここでは省略する。
一般に、ある屈折率を有する光学薄膜は、その屈折率よりも大きい屈折率を有する層(高屈折率層)と、その屈折率よりも小さい屈折率を有する層(低屈折率層)とを積層した多層膜によって等価的に置換され得る。このような多層膜は等価多層膜と呼ばれ、単一の複素屈折率で特徴付けられる。多層等価膜は、例えば、膜の中心面に対して対称に積層された多層膜や、それぞれの層の厚さが波長に比べて十分に薄い2層膜である。なお、多層膜を構成する高屈折率層および低屈折率層はそれぞれ1種に限られず、屈折率が互いに異なる3種以上の層を用い、これらを中心面に対して対称に積層した構成としてもよい。
多層等価膜33を用いることによって、単層の光学薄膜13を利用する場合よりも反射防止効果を向上できる。
上述したように、光学薄膜13が反射防止膜として機能するためには、所定の条件(複屈折率および膜厚)を満足する必要がある。ところが、実際に光学薄膜13に使用できる材料の選択肢は限られており、一般に、吸収体層14の複屈折率に対応して反射率を零にする所望の複屈折率を有する光学薄膜13を単一の材料で形成できない。これに対して、多層等価膜を用いると、高屈折率層と低屈折率との組み合わせによって中間の複屈折率を有する光学薄膜33を形成できるので、反射防止条件を満たす(あるいは、反射防止条件により近い)ことができる。
さらに、光学薄膜33を構成する複数の層のうち最も吸収体層34側に位置する層を最も屈折率の低い層とすることによって、黒表示状態における反射率をさらに低減することができる。最も吸収体層34側に位置する層の屈性率をギャップを充填する媒質と同じ屈折率を有する材料で形成することがさらに好ましい。黒表示は、吸収体層34が光学薄膜33に接触した状態によって行われるので、吸収体層34と光学薄膜33との接触が不完全であると、反射防止効果が低下する。このような場合であっても、光学薄膜33の最も吸収体層34側の層の屈折率を最も小さくしておくと、ギャップを充填する媒質との屈折率差が、単層構造の光学薄膜13を用いた場合よりも小さくなるので、反射防止効果の低下を抑制することが出来る。さらに、最も吸収体層34側に位置する層を、ギャップを充填する媒質と同じ物質で形成すると、吸収体層34と光学薄膜33とが接触することによって光学薄膜33の表面が破損した場合でも反射防止効果が低下し難いという利点も得られる。
図7に示した反射型表示装置30は、具体的には、例えば、以下のように構成される。
透明基板32および基板40として、厚さ1.1mmのガラス(波長λ=550nmで屈折率n0=1.52)を用いる。基板32上の光学薄膜33と基板40との間隔は、ス
ペーサ壁37によって約15μmに規定されている。
吸収体層34として、厚さ約200nmのクロムCr薄膜(波長λ=550nmで屈折率ns=3.17、ks=3.33)を用いる。
光学薄膜33は、Crの吸収体層34に対して波長λ=550nmで完全な反射防止を奏する理想的な光学薄膜(屈折率n1=3.88、物理膜厚d1=20.35nm)に対する多層等価膜33として、ガラス基板32に接する側から順に、膜厚17.17nmの単結晶Si薄膜および膜厚2.37nmのSiO2薄膜を形成する。単結晶Siは一般に赤
外線用透明材料として使用される光学材料であるが、可視光領域で屈折率nが3.6〜5.5と高く、消衰係数kは0.2〜0.6と比較的低吸収であるため、本発明による実施形態の干渉性変調器の光学薄膜に好適に使用できる材料の1つである。また、SiO2
膜はSi薄膜の自然酸化膜を利用することができる。
圧電素子35には、実施形態1と同じ厚さ約10μmの電場応答ゲルを用いる。その他の構成も実施形態1の反射型表示装置10と同様である。
反射型表示装置30の各画素(すなわち各干渉性変調器)は、反射型表示装置10と同様に、電極38間に0V〜約10Vの電圧を印加することにより、階調表示を行うことができる。
図8(a)に分光反射率特性を示すように、光学薄膜33と吸収体層34とのギャップ距離が零のとき(すなわち接触状態のとき)に黒表示となり、ギャップ距離が約140nmのときに白表示(最も輝度が高い)となる。図8(a)と図6(a)とを比較するとわ
かるように、反射防止波長である550nmにおいては、本実施形態の反射型表示装置30の方が、黒表示時の反射率が低く、また、白表示時の反射率も高い。このように多層等価膜を用いることによって、より良好な反射防止効果を得ることができる。
なお、図8(a)は図6(a)に比べて波長依存性が大きいが、例えばカラー表示を行う場合には、色ごとに反射防止波長を設定し、また必要に応じて更にカラーフィルタを用いれば、多層等価膜の利点が効果的に発揮される。
図8(b)は、上記の構成において、光学薄膜33の構成をガラス基板32に接する側から順に、膜厚83.45nmの単結晶Si薄膜および膜厚4.37nmのSiO2薄膜
とした場合(セカンドミニマム条件)の分光反射率特性を示している。図8(b)と図8(a)との比較から明らかなように、光学薄膜(多層等価膜)33の等価膜厚が上記式(2)(または式(3))を満足する最小の値に設定した場合(図8(a))に比べて、図8(b)では反射率の波長分散が大きい。従って、反射率の波長分散を抑制するためには、光学薄膜33の厚さを上記式(2)(または式(3))を満足する最小の値(ファーストミニマム条件)に設定することが好ましい。
(実施形態3)
図9に、本発明の第2の局面による実施形態の反射型表示装置50の構成を模式的に示す。
反射型表示装置50を構成する個々の干渉性変調器は、透明基板52と、透明基板52上に設けられた積層膜53と、積層膜53とのギャップの距離が可変に配置された吸収体層54とを有している。積層膜53は3つ以上の透明薄膜層を有し、且つ、隣接する2つの透明薄膜層の複素屈折率は互いに異なる。ここでは、屈折率が大きい第1透明薄膜層53aと屈折率が小さい第2透明薄膜層53bとが交互に積層された交互積層膜と、交互積層膜上に設けられ吸収体層54に対向する第3透明薄膜層53cとを有する積層膜53例示する。交互積層膜を用いると比較的安く積層膜53を作製することができる。
吸収体層54は、基板60に設けられた駆動素子55上に形成されている。基板60と透明基板52(ここでは透明基板52上に形成された積層膜53)とは、所定の間隔をあけて、スペーサ壁57で固定されている。スペーサ壁57は、吸収体層54と積層膜53との間に形成されるギャップを充填する媒体59を密閉している。圧電素子55は一対の電極58によって制御される。
図9の左側画素として示したように、吸収体層54と積層膜53とが接触している場合、積層膜53は、吸収体層54に対して反射防止膜として機能し、入射光51は吸収体層54に吸収される。一方、図9の右側画素として示したように、吸収体層54と積層膜53とが所定の距離のギャップを形成している場合、反射増大効果によって入射光の大半が反射される(反射光56)。
反射型表示装置50は、実施形態1の反射型表示装置10における光学薄膜13に代えて、積層膜53を有しているので、より広帯域に亘って良好な反射防止効果を発現する。反射率がゼロとなる完全な反射防止は、単層膜の場合には特定の単一波長(中心波長)に対してしか成り立たない。また、一般に物質の光学定数は波長により変化して波長分散があるため、中心波長以外の波長では完全に反射率がゼロにならず、広い波長域にわたる反射防止のためには多層膜が必要となる。図9に示す反射型表示装置50は、各層の厚さを変えた積層膜53を有することによって、反射防止領域の広帯域化や視角依存性の改善がなされている。
次に、積層膜53および吸収体層54の組み合わせが、可視光領域で広帯域の反射防止効果(黒表示)および反射増大効果(白表示)を奏するための条件を説明する。
一般に、多層膜の光学特性は、光の入射媒質から見た多層膜系(ここでは、積層膜53と吸収体54とを含めた系)の特性マトリクスを用いて表され、多層膜の特性マトリクスは各層の特性マトリクスの積で規定される。反射率に関しては、光学アドミッタンス(屈折率)η0をもつ入射媒体と特定の光学アドミッタンスを有する多層膜系との境界面での
反射を求めることになる。従って、両者の光学アドミッタンスが一致している場合には反射防止効果が得られるが、大きく異なる場合に反射増大効果が得られる。
ここで、M層(Mは3以上の正数)の積層された積層膜53において、透明基板52の屈折率をη0、吸収体層54の複素屈折率をηs=ns−i・ks、透明基板52に近い側からj層目を構成する層(53a、53bまたは53c)の複素屈折率をηj=nj−i・kjおよび位相膜厚をδjとすると、白表示時に高い反射率を得るための条件として、各層が透明である条件:kj≒0が要求される。
さらに黒表示時に良好な反射防止効果を得るためには、BおよびCが下記式(5):
Figure 0004633088
で与えられるとすると、可視光波長領域(380nm<λ<780nm)において、下記式(6):
Figure 0004633088
の関係を満足することが好ましい。
また、ギャップ59を充填する物質と、吸収体層54と積層膜53とギャップとの組み合わせが、可視光領域で広帯域な反射増大効果(白表示)を奏するためには下記の条件を満足することが好ましい。
積層膜53と吸収体層54との間に形成されるギャップを満たす媒体の屈折率をηv
かつ、ギャップの位相距離をδvとし、DおよびEが下記式(7):
Figure 0004633088
で与えられるとすると、
広帯域の可視光波長領域(380nm<λ<780nm)において、下記式(8):
Figure 0004633088
の関係を満足することが好ましい。
特に、良好な白表示を得るためには、屈折率ηvはできるだけ低く、かつ位相膜厚δvは反射防止効果の及ぶ波長域の特定波長において(2m+1)π/2、(mは整数)であることが好ましい。
図9に示した反射型表示装置50は、具体的には、例えば、以下のように構成される。
透明基板52および基板60として、厚さ1.1mmのガラス(波長λ=550nmで屈折率n0=1.52)を用いる。基板52上の積層膜53および光学薄膜13と基板6
0との間隔は、スペーサ壁57によって約15μmに規定されている。
吸収体層54として、厚さ約200nmのタングステンW薄膜を用いる。
積層膜53として、観測者側ガラス基板52に接する側から、厚さ14.56nmのTa25(第1透明薄膜層53a)、33.58nmのSiO2(第2透明薄膜層53b)
、138.88nmのTa25、35.53nmのSiO2、33.44nmのTa25
、27.09nmのSiO2、89.09nmのTa25、25.7nmのSiO2、13.52nmのTa25、106.2nmのSiO2、および6.93nmのTa25から
なる交互積層膜を用いる。交互積層膜の吸収体層54側に設けられる第3透明薄膜層53cには、厚さ31.24nmのTiO2膜を用いる。Ta25薄膜およびSiO2薄膜は、例えば、真空蒸着法により形成され、TiO2薄膜はスパッタ法により形成される。
反射型表示装置50の各画素(すなわち各干渉性変調器)は、反射型表示装置10と同様に、電極58間に0V〜約10Vの電圧を印加することにより、階調表示を行うことができる。
図10(a)に分光反射率特性を示すように、積層膜53と吸収体層54とのギャップ距離が零のとき(すなわち接触状態のとき)に黒表示となり、ギャップ距離が約140nmのときに白表示(最も輝度が高い)となる。図10(a)と図6(a)とを比較するとわかるように、反射防止波長である550nmにおいては、本実施形態の反射型表示装置50の方が、黒表示時の反射率が高いものの、幅広い領域に亘って反射率が低い。また白表示時の反射率については、反射表示装置50の方が、幅広い領域に亘って反射率が高い。黒および白表示におけるY値はそれぞれ5.2および82.5となり、コントラスト比として約16が得られる。
図10(b)は、上記の構成において、第3透明薄膜層53cの厚さ142.61nmのTiO2膜とした場合(セカンドミニマム条件)の分光反射率特性を示している。図1
0(b)と図10(a)との比較から明らかなように、積層膜53の第3透明薄膜層53cのの厚さを最小の値に設定した場合(図10(a))に比べて、図10(b)では反射率の波長分散が大きい。従って、反射率の波長分散を抑制するためには、第3透明薄膜層53cの厚さを最小の値(ファーストミニマム条件)に設定することが好ましい。
なお、上記の実施形態1〜3では、透明基板にガラス基板を用いたが、これに限るものではない。透明基板の種類としては、可視光透過率の高い材料であればプラスチック基板を用いても良い。透明プラスチック基板を形成するポリマーとしては、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン等が含まれる。光の入射媒体である透明基板の屈折率n0は、光学薄膜および吸収体層の構成を決定する要素となるため、低屈折率であるこ
とが好ましい。透明基板の厚さについては、光干渉の起らない厚膜であることを要する以外に制限はなく、使用目的に応じて適宜選択することが可能である。
また、光学薄膜材料としては、高屈折率のものにTiO2、ZrO2、ZnS、HfO2
、Ta25、Nb25、In23、Nd23、Sb23、CeO2、ZnSe、CdS、
Sb23、Si、Ge、PbTe等、中間屈折率のものにAl23、CeF3、MgO、
LaF3、CeF3、ThO2、La23、SiO等、低屈折率のものにMgF2、SiO2
、CaF2、NaF、Na3AlF6、LiF等が、透明導電膜としてはITO、ZnO(
Al、In、Si)、CdO−SnO2(CTO;CdSnO4)、ZnO−SnO2(Z
2SnO4)、CdIn24等が目的の光学特性に応じて利用できる。
また、これらの成膜方法には、蒸発気化による真空蒸着法や不活性ガスイオンによるスパッタリング等の物理気相成長法(physical vapor deposition:PVD)や化学反応を利用した化学気相成長法(chemical vapor deposition:CVD)、液相からの成長である電気化学的なメッキ法、またはスプレー法などが利用できる。
(実施形態4)
上記の実施形態1から3では、光学薄膜または積層膜と吸収体層とのギャップを制御して(干渉を利用して)白表示を行う構成を例示したが、ここでは、非干渉で白表示を行う構成を説明する。ここでは、実施形態3の改変例を例示するが、実施形態1および2についても同様に改変できる。
実施形態4の反射型表示装置70は、図9に示すように、厚さ1.1mmのガラスからなる上下一対の透明基板72と80とが、スペーサ壁78によって、約50μmの間隙を設けて固定されている。ギャップ79には、空気が充填されている。
また、観測者側ガラス基板72の観測者側には厚さ200nmのITO電極77が設けられており、吸収体層74側には積層膜73が設けられている。積層膜73には実施形態3の反射型表示装置50の積層膜53と同じものを用いる。
下部ガラス基板80の上には、ITO電極76が形成されており、さらにその上に厚さ5μmの正孔輸送層75が形成されている。正孔輸送層75は、例えば、正孔輸送材料である4−dietylamino−2−methylbenzaldehyde−1,1−diphenyl−hydrazoneとポリカーボネートを1:1の重量比で混合した溶液をITO電極76上に例えばスピンコート法により塗布することによって形成される。
吸収体層74は、ここでは、縦横3μmで厚さ約280nmのタングステン(W)の板状粉末から構成されている。この板状粉末は、例えば、基板上に犠牲層としてポジレジスト(S1813、Shipley)を塗布し、その上に約280nmのW膜をスパッタ法で成膜し、一般的なリソグラフィーを用いて縦横3μm角にパターンニングした後、エタノールを溶剤として犠牲層を溶解することによって、形成される。
吸収体層74を構成する板状粉末は、電極76と電極77との間に電圧(0V〜約100V)を印加することによって発生する静電気力によって駆動され、積層膜73と接触した状態(図11左側)と、十分に乖離した状態(図11右側)との間で切替えられる。
吸収体層74が積層膜73に接触した状態で黒表示を行い、十分に乖離状態(正孔輸送層75に堆積した状態:ギャップ距離が約500μm)で、白表示が行われる。乖離状態の距離は、光の干渉が起らない距離であればよく、電圧を制御する必要がないので、単純な構成で駆動することができる。
なお、図11に示した例では、観測者側ガラス基板72の観測者側面にITO電極77を形成したが、積層膜73の最も吸収体層74に近い側(第3透明薄膜層73c)をITO等の透明導電性膜で構成する場合には、透明導電性膜が上部電極を兼ねることも可能である。このような構成を採用することによって、構造をさらに単純に出来る等の効果が得られる。特に、単純マトリクス型の表示装置の構成を単純に出来る利点が大きい。この透明導電性膜を利用することによる構成の簡略化は、実施形態1から3の反射型表示装置にも適用できる。
本発明によると、高い反射率および高いコントラスト比を有する干渉性変調器が得られる。この干渉性変調器を用いることによって、高輝度で高コントラスト比の反射型表示装置が得られる。本発明による反射型表示装置は、種々の電子機器に好適に用いられるが、屋外で使用するモバイル用途の電子書籍をはじめとする携帯電子機器において、文字情報および画像情報(動画情報を含む)の表示に最も適している。
本発明の干渉性変調器は、直視型の反射型表示装置に限られず、投影型表示装置や、さらには、空間光変調素子、光通信用スイッチング素子、光シャッター等の一般的な光変調を利用した素子に適用することができる。
本発明による実施形態の干渉性変調器の基本的な構成とその動作原理を説明するための模式図である。 (a)は、図1(b)に示した構成における反射率R1が屈折率n1および位相膜厚δ1に依存して変化する様子を示す図であり、(b)は、図1(c)に示した構成における反射率R2が屈折率比n2/n1および位相膜厚δ2に依存して変化する様子を示す図である。 本発明による実施形態1の反射型表示装置10の構成を模式的に示す図である。 吸収体(金属・半導体)の複素屈折率を示すグラフである。 反射型表示装置10の黒表示特性および白表示特性を示すグラフである。 反射型表示装置10において、ギャップ距離を0nm〜280nmまで変化させた場合の分光反射率特性を示す図であり、(a)はファーストミニマム条件、(b)はセカンドミニマム条件である。 本発明による実施形態2の反射型表示装置30の構成を模式的に示す図である。 反射型表示装置30において、ギャップ距離を0nm〜280nmまで変化させた場合の分光反射率特性を示す図であり、(a)はファーストミニマム条件、(b)はセカンドミニマム条件である。 本発明による実施形態3の反射型表示装置50の構成を模式的に示す図である。 反射型表示装置50において、ギャップ距離を0nm〜280nmまで変化させた場合の分光反射率特性を示す図であり、(a)はファーストミニマム条件、(b)はセカンドミニマム条件である。 本発明による実施形態4の反射型表示装置70の構成を模式的に示す図である。
符号の説明
1 入射媒体
2 入射光
3 反射光
4 吸収体
5 第1透明体薄膜
6 第2透明体薄膜
10 反射型表示装置
11 入射光
12 透明基板(ガラス)
13 光学薄膜(TiO2)
14 吸収体層(Ta)
15 圧電素子(電場応答ゲル)
16 反射光
17 スペーサ壁
18 電極
19 間隙
20 透明基板(ガラス)
30 反射型表示装置
31 入射光
32 透明基板(ガラス)
33 多層等価膜
34 吸収体層(Cr)
35 圧電素子(電場応答ゲル)
36 反射光
37 スペーサ壁
38 電極
39 間隙
40 透明基板(ガラス)
50 反射型表示装置
51 入射光
52 透明基板(ガラス)
53 積層膜
53a 第1透明薄膜層
53b 第2透明薄膜層
53c 第3透明薄膜層
54 吸収体層(W)
55 圧電素子(電場応答ゲル)
56 反射光
57 スペーサ壁
58 電極
60 透明基板(ガラス)
70 反射型表示装置
71 入射光
72 透明基板(ガラス)
73 積層膜
74 吸収体層(Wの粉末)
75 正孔輸送層
76 ITO電極
77 反射光
78 スペーサ壁
79 間隙
80 透明基板(ガラス)

Claims (13)

  1. 光入射側に配置された透明な第1基板(屈折率:η0)と、
    前記第1基板上に設けられた積層膜と、
    前記第1基板と所定の間隔をあけて配置された第2基板と、
    前記積層膜と前記第2基板との間に設けられた吸収体層(複素屈折率:ηs=ns−i・ks)と、
    前記吸収体層よりも前記第1基板側に配置された第1電極と、
    前記吸収体層よりも前記第2基板側に配置された第2電極と
    を有し、
    前記積層膜は3つ以上の透明薄膜層を有し、且つ、隣接する2つの透明薄膜層の複素屈折率は互いに異なり、前記透明基板に近い側からj層目の前記薄膜層の複素屈折率をηj=nj−i・kjおよび位相膜厚をδj、BおよびCが下記式(A):
    Figure 0004633088
    で与えられるとすると、
    j≒0であり、かつ、可視光波長領域(380nm<λ<780nm)において、下
    記式(B):
    Figure 0004633088
    の関係を満足しており、
    前記第1電極と前記第2電極に印加される電圧に応じて、前記吸収体層が前記第2基板と前記積層膜との間を移動し、前記吸収体層が前記積層膜に接触した第1状態と、前記吸収体層が前記積層膜と光の干渉が起こらない距離に乖離した第2状態との間でスイッチングされ、前記第1状態で黒を表示し、前記第2状態で白を表示する、干渉性変調器。
  2. 前記積層膜は少なくとも1つの透明導電層を含み、前記少なくとも1つの透明導電層は前記第1電極を含む、請求項1に記載干渉性変調器。
  3. 前記第1電極は、前記積層膜の最も吸収体層側に形成されている、請求項1または2に記載の干渉性変調器。
  4. 前記第1電極は、前記積層膜の観察者側に設けられている、請求項1に記載の干渉性変調器。
  5. 光入射側に配置された透明な第1基板(屈折率:n0)と、
    前記第1基板上に設けられた光学薄膜(複素屈折率:N1=n1−i・k1)と、
    前記第1基板と所定の間隔をあけて配置された第2基板と、
    前記光学薄膜と第2基板との間に設けられた吸収体層(複素屈折率:Ns=ns−i・ks)と、
    前記吸収体層よりも前記第1基板側に配置された第1電極と、
    前記吸収体層よりも前記第2基板側に配置された第2電極と
    を有し、
    1>n0、k1≒0、かつ、ns>n0の関係を満足し、
    前記第1電極と前記第2電極に印加される電圧に応じて、前記吸収体層が前記第2基板と前記光学薄膜との間を移動し、前記吸収体層が前記光学薄膜に接触した第1状態と、前記吸収体層が前記光学薄膜と光の干渉が起こらない距離に乖離した第2状態との間でスイッチングされ、前記第1状態で黒を表示し、前記第2状態で白を表示する、干渉性変調器。
  6. 下記式(C):
    Figure 0004633088
    の関係を満足する、請求項5に記載の干渉性変調器。
  7. 前記光学薄膜の物理膜厚d1は、可視光領域内のある波長λに対して、
    1 2−ns 2−ks 2>0の場合、下記式(D):
    Figure 0004633088
    の関係を満足し、
    1 2−ns 2−ks 2<0の場合、下記式(E):
    Figure 0004633088
    の関係を満足する、請求項5または6に記載の干渉性変調器。
  8. 1は、上記式(D)または式(E)を満足する最も小さい値である、請求項7に記載の干渉性変調器。
  9. 前記光学薄膜は、多層等価膜で構成されている、請求項5から8のいずれかに記載の干渉性変調器。
  10. 前記吸収体層は、唯一の吸収体層であり、且つ、前記吸収体層はTa、CrおよびWからなる群から選択された材料で形成されている、請求項1から9のいずれかに記載の干渉性変調器。
  11. 前記第1基板の観察者側に、カラーフィルタまたは光散乱層をさらに有する、請求項1から10のいずれかに記載の干渉性変調器。
  12. 複数の画素を有する表示装置であって、前記複数の画素のそれぞれが、請求項1から11のいずれかに記載の干渉性変調器を備える、表示装置。
  13. 請求項12に記載の表示装置を備える電子機器。
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