JP4269679B2 - 風向調整装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車室内へ吹き出される空気の風向を調整する風向調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来エアコンデショナ(エアコン)が搭載された自動車には、車室の例えばインストルメントパネル等に空気吹き出し口が開口されていて、エアコンにより調和された空気は、この空気吹き出し口より車室内へ吹き出されるようになっている。
【0003】
また空気の吹き出し口には、吹き出される空気の風向を調整する風向調整装置が設けられており、この種の風向調整装置としては、例えば特許文献1や、図10及び図11に記載されたものが公知である。
【0004】
【特許文献1】
実開平5−36241号公報(段落0004,0005)
【0005】
前記特許文献1に記載された風向調整装置や、図10及び図11に記載された風向調整装置は、空気吹き出し口aに設けられた複数の横フィンbの1枚に、左右方向へ摺動自在にスライドノブcを設け、かつスライドノブcより突設された腕dは、縦フィンeの前縁fを挟むようにした構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上下端に突設された軸hにより回動自在に支承された縦フィンeを、左右方向へ直線的に移動するスライドノブcで回動しようとした場合、スライドノブcより突設された腕dの先端が縦フィンeと干渉して、縦フィンeを回動させることができない。
【0007】
このため前記特許文献1に記載された風向調整装置では、腕dが係合する縦フィンeの前縁fの背後に、図11に示すように半月状の窓iを形成して、スライドノブcを左右へ摺動した際、腕dの先端が縦フィンeと干渉しないようにしている。
【0008】
しかし前記特許文献1のように中央の縦フィンeに半月状の窓iを設けた場合、スライドノブcを左右へ移動して、空気吹き出し口aより吹き出される空気の風向を左右方向へ調整した際、空気の一部が図12に示すように窓iを通過して直進するため、目的の方向へ風向調整できない等の問題がある。
【0009】
また空気吹き出し口aより吹き出される空気の風量が比較的少ない場合は影響が少ないが、吹き出される空気の風量が多くなると、窓iを通過して直線的に進行する気流が、縦フィンeによって風向調整された気流の流れを乱すため、図13に示すように空気吹き出し口aより吹き出される空気に乱流jが発生して、空気の吹き出し効率が低下する等の問題がある。
【0010】
本発明はかかる従来の問題を改善するためになされたもので、操作ノブにより回動される側のルーバに吹き抜け防止手段を設けた風向調整装置を提供して、空気の吹き出し効率を向上させることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の風向調整装置は、自動車の車室内に開口する空気吹き出し口を有するケースに、ルーバを設け、空気吹き出し口より車室内へ吹き出される空気の風向を調整する風向調整装置であって、ルーバに切欠部を形成し、かつ切欠部に、ルーバが風向を変更する際ケース内を流通する空気が切欠部を通過するのを防止する吹き抜け防止手段を設け、吹き抜け防止手段を、ルーバの肉厚より大きい幅を有し、かつ切欠部に回動自在に支承された風防部材と、風防部材にルーバに対してほぼ平行するように設けられ、かつ操作ノブに係合する軸部とから形成してなり、軸部を多角柱状に形成し、かつ操作ノブより突設した二股レバーのスリットに軸部を回転不能に嵌挿すると共に、風防部材の上流側面を凸円弧状に形成して、風防部材の上流側面が常に上流側に向いているように構成したものである。
【0012】
前記構成により、他方のルーバを回動して、空気吹き出し口より車室内へ吹き出される空気の風向を調整した際、ケース内を流通する空気が切欠部を通過して直進することがないため、目的の方向へ確実に風向調整が行えると共に、空気吹き出し口より吹き出される空気の風量が多くなっても、ルーバにより風向調整された気流が直進する気流により乱されることがないため、吹き出し効率及び配風特性の向上が図れるようになる。
【0014】
また前記構成により、ルーバが回動しても切欠部が開口することがないため、空気が切欠部を通過するのを確実に防止することができると共に、ルーバに吹き抜け防止手段が回動自在に支承されていることにより、直線移動する操作ノブの動きを回動するルーバに確実に伝達することができるため、信頼性が高い。
【0016】
また前記構成により、操作ノブを左右方向へ直線的に摺動させても、吹き抜け防止部材が姿勢を変えずに操作ノブとともに移動するため、風防部材の凸弧面が常に上流側に向くようになり、これによって風防部材に気流が衝突しても曲面に沿って流れることから、流路抵抗の低減と、これに伴う吹き出し効率の向上が図れるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
【0018】
図1は風向調整装置の縦断面図、図2は同横断面図、図3は縦ルーバと吹き抜け防止手段の組み立て状態の斜視図、図4は縦ルーバと吹き抜け防止手段の分解斜視図、図5は吹き抜け防止手段と操作ノブの分解斜視図、図6ないし図9は作用説明図である。
【0019】
図1及び図2に示す風向調整装置は、ほぼ角筒状に形成されたケース1を有していて、前端側の開口が空気吹き出し口2となっており、例えば図示しないインストルメントパネル等の内側に設置され、後端側はダクトによりエアコン(ともに図示せず)に接続されている。ケース1の後端側を風上側(上流側)、ケース1の前端側を風下側(下流側)とする。
【0020】
ケース1の空気吹き出し口2には前ルーバ3が、そして前ルーバ3の後方に後ルーバ4が設けられている。
【0021】
前ルーバ3は、例えば複数の横ルーバ3aより構成されていて、各横ルーバ3aの左右端に突設されたピン3bがケース1の両側板1aに回動自在に支承されており、各横ルーバ3aの後縁側は連動リンク5により互に連動されていて、ピン3bを中心に各横ルーバ3aの後端側が同時に上下方向へ回動できるようになっている。
【0022】
各横ルーバ3aのうち、例えば中段に位置する横ルーバ3aには、左右方向へ摺動自在に操作ノブ6が取り付けられている。
【0023】
操作ノブ6は、横ルーバ3aを上下方向より挟着するように取り付けられていて、前端部は横ルーバ3aの前縁より前方へ突出されており、後端部には後方へ向けて二股レバー6aが突設されている。
【0024】
後ルーバ4は、例えば複数の縦ルーバ4aより構成されていて、各縦ルーバ4aの上下端のほぼ中央に突設されたピン4bが、ケース1の上面板1bと底板1cに回動自在に支承されており、各縦ルーバ4aの後縁側は連動リンク7により互に連動されていて、ピン4bを中心に各縦ルーバ4aが同時に左右方向へ回動できるようになっている。
【0025】
一方各縦ルーバ4aのうち、中央に位置する縦ルーバ4aの前縁部には、前縁4cからほぼ中央にかけて切り欠くことにより、ほぼ半月状の切欠部4dが図4に示すように形成されており、この切欠部4dに図5に示すように吹き抜け防止手段8が取り付けられている。
【0026】
この吹き抜け防止手段8は、縦ルーバ4aにより風向調整した際、空気の一部が切欠部4dを通過して直進するのを防止するもので、縦ルーバ4aに形成された切欠部4dの内周面に密着するほぼ弓形の風防部材8aと、風防部材8aの先端間に、縦ルーバ4aの前縁と平行するように設けられた例えば四角形、六角形などの多角柱状の軸部8bよりなる。
【0027】
風防部材8aは縦ルーバ4aの肉厚より十分に大きな幅を有していて、縦ルーバ4aが最大角度回動された際にも、縦ルーバ4aの肉厚部が風防部材8aより逸脱しないようになっていると共に、空気の抵抗を少なくするため、横断面が上流側に凸となった円弧状に形成されている。
【0028】
また風防部材8aの先端側上下面には、軸部8bの中心と一直線状にピン8cが突設されていて、これらピン8cは、切欠部4dの上面と下面に形成されたピン孔4fに回動自在に嵌挿されていると共に、多角柱状に形成された軸部8bの一辺の幅は操作ノブ6より突設された二股レバー6aのスリット幅より僅かに小さく形成されていて、二股レバー6aのスリット6b内に軸部8bを嵌挿することにより、操作ノブ6と縦ルーバ4aが連動されている。
【0029】
次に前記構成された風向調整装置の作用を図6ないし図9を参照して説明する。
【0030】
エアコンにより調整された空気は、ダクトによりケース1内へ送り込まれる。
【0031】
このとき横ルーバ3aに設けられた操作ノブ6が図6に示すように中立位置にある場合は、ケース1内を流通する気流と平行に縦ルーバ4aが停止しているので、気流は縦ルーバ4aの間を通って直進し、空気吹き出し口2より車室内へ吹き出されると共に、このとき吹き抜け防止手段8の風防部材8aに衝突した気流は、風防部材8aの曲面に沿って両側へ分岐された後、空気吹き出し口2より車室内へ吹き出される。
【0032】
またこの状態から例えば風向を右方向へ調整すべく操作ノブ6を図7に示すように右方向へ摺動させると、風防部材8aは姿勢を保ったまま操作ノブ6とともに右方へ移動する。
【0033】
これによって風防部材8aの上下端に突設されたピン8cにより中央の縦ルーバ4aの前縁が右方へと移動されるため、連動リンク7により連動された各縦ルーバ4aがピン4bを中心に右方へと回動され、ケース1内を流通する気流は各縦ルーバ4aにより右方へ風向調整されて、空気吹き出し口2より車室内へ吹き出されると共に、このとき中央の縦ルーバ4aにより風向調整された気流は風防部材8aに衝突するが、図7に示すように風防部材8aの曲面に沿って右方向へ風向調整されるため、ケース1内へ供給された空気の風量が多い場合でも、図9に示すように空気吹き出し口2より車室内へ吹き出される空気に乱流が発生することがない。
【0034】
一方縦ルーバ4aが中立の状態から例えば風向を左方向へ調整すべく操作ノブ6を図8に示すように左方向へ摺動させると、風防部材8aは姿勢を保ったまま操作ノブ6とともに左方へ移動する。
【0035】
これによって風防部材8aの上下端に突設されたピン8cにより中央の縦ルーバ4aの前縁が左方へと移動されるため、連動リンク7により連動された各縦ルーバ4aがピン4bを中心に左方へと回動され、ケース1内を流通する気流は各縦ルーバ4aにより左方へ風向調整されて、空気吹き出し口2より車室内へ吹き出されると共に、このとき中央の縦ルーバ4aにより風向調整された気流は風防部材8aに衝突するが、図8に示すように風防部材8aの曲面に沿って左方向へ風向調整されるため、ケース1内へ供給された空気の風量が多い場合でも、右方向へ風向調整した場合と同様に、空気吹き出し口2より車室内へ吹き出される空気に乱流が発生することがない。
【0036】
なお、上記実施の形態では、ケース1の空気吹き出し口2に前ルーバ3(横ルーバ3a)を設け、その後方に後ルーバ4(縦ルーバ4a)を配置したが、これに限定されるものでなく、両ルーバ3,4を前記逆配置する場合もある。
【0037】
また、横ルーバ3aに操作ノブ6を左右方向へ摺動自在に取り付けているが、ケース1に直接操作ノブを取り付けるなどしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上詳述したように、自動車の車室内に開口する空気吹き出し口に設けられたルーバに切欠部を形成し、かつ切欠部に、ルーバが風向を変更する際ケース内を流通する空気が切欠部を通過するのを防止する吹き抜け防止手段を設けたことから、操作ノブによりルーバを回動して、空気吹き出し口より車室内へ吹き出される空気の風向を調整した際、ケース内を流通する空気が切欠部を通過して直進することがないため、目的の方向へ確実に風向調整が行えると共に、空気吹き出し口より吹き出される空気の風量が多くなっても、ルーバにより風向調整された気流が直進する気流により乱されることがないため、吹き出し効率及び配風特性の向上が図れるようになる。
【0039】
また吹き抜け防止手段を、ルーバの肉厚より大きい幅を有し、かつ切欠部に回動自在に支承された風防部材と、風防部材にルーバとほぼ平行するように設けられ、かつ操作ノブに係合する軸部とから形成したことから、ルーバが回動しても切欠部が開口することがないため、空気が切欠部を通過するのを確実に防止することができると共に、ルーバに吹き抜け防止手段が回動自在に支承されていることにより、直線移動する操作ノブの動きを回動するルーバに確実に伝達することができるため、信頼性が高い。
【0040】
さらに吹き抜け防止手段の軸部を多角柱状に形成し、かつ操作ノブより突設した二股レバーのスリットに軸部を回転不能に嵌挿すると共に、風防部材の上流側面を凸円弧状に形成したしことから、操作ノブを左右方向へ直線的に摺動させても、吹き抜け防止部材が姿勢を変えずに操作ノブとともに移動するため、風防部材の凸弧面が常に上流側を向くようになり、これによって風防部材に気流が衝突しても曲面に沿って流れることから、流路抵抗の低減と、これに伴う吹き出し効率の向上が図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になる風向調整装置の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態になる風向調整装置の横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態になる風向調整装置を構成する縦ルーバと吹き抜け防止手段の組み立て状態の斜視面図である。
【図4】本発明の実施の形態になる風向調整装置を構成する縦ルーバと吹き抜け防止手段の分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態になる風向調整装置を構成する吹き抜け防止手段と操作ノブの分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態になる風向調整装置の作用説明図である。
【図7】本発明の実施の形態になる風向調整装置の作用説明図である。
【図8】本発明の実施の形態になる風向調整装置の作用説明図である。
【図9】本発明の実施の形態になる風向調整装置の作用説明図である。
【図10】従来の風向調整装置の横断面図である。
【図11】従来の風向調整装置の縦断面図である。
【図12】従来の風向調整装置の作用説明図である。
【図13】従来の風向調整装置の作用説明図である。
【符号の説明】
1 ケース
2 空気吹き出し口
3 前ルーバ(一方のルーバ)
4 後ルーバ(他方のルーバ)
4d 切欠部
6 操作ノブ
6a 二股レバー
6b スリット
8 吹き抜け防止手段
8a 風防部材
8b 軸部

Claims (1)

  1. 自動車の車室内に開口する空気吹き出し口を有するケースに、ルーバを設け、前記空気吹き出し口より前記車室内へ吹き出される空気の風向を調整する風向調整装置であって、前記ルーバに切欠部を形成し、かつ前記切欠部に、前記ルーバが風向を変更する際前記ケース内を流通する空気が前記切欠部を通過するのを防止する吹き抜け防止手段を設け、前記吹き抜け防止手段を、前記ルーバの肉厚より大きい幅を有し、かつ前記切欠部に回動自在に支承された風防部材と、前記風防部材に前記ルーバに対してほぼ平行するように設けられ、かつ操作ノブに係合する軸部とから形成してなり、前記軸部を多角柱状に形成し、かつ前記操作ノブより突設した二股レバーのスリットに前記軸部を回転不能に嵌挿すると共に、前記風防部材の上流側面を凸円弧状に形成して、前記風防部材の前記上流側面が常に上流側に向いているように構成したことを特徴とする風向調整装置。
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