JP4269403B2 - データ記録再生装置及びタイムスロットの使用方法 - Google Patents

データ記録再生装置及びタイムスロットの使用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばAVサーバのような、ノンリニアアクセス可能な記録媒体を用いてデータの記録・再生を行う記録再生手段を有するとともに複数の入力部及び出力部がそれぞれ割り当てられたタイムスロット内に記録再生手段との間でデータの転送を行うデータ記録再生装置に関する。また本発明は、こうしたデータ記録再生装置におけるタイムスロットの使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CATV(ケーブルテレビ)等の普及による情報提供の多チャンネル化に伴い、従来のVTR(ビデオテープレコーダ)とは異なり、1台の映像・音声データ記録再生装置で複数の映像・音声データ(以下「AVデータ」と呼ぶ)を同時に記録したり、再生したり、さらには記録しながら再生したり等の要求が高まりつつある。そして、この要求を満たすためにハードディスク等のランダムアクセス可能な記録媒体を用いて映像・音声を記録再生するビデオサーバ(またはAV(Audio and/or Video)サーバとも呼ばれる)と呼ばれる装置が普及しつつある。
【0003】
一般的に、放送局内におけるAVサーバは、画質や音質に対する要求から、必要とされるデータの転送レートが高い上に長時間のデータを記録するために大容量である必要がある。そこで、AVデータを蓄積するとともに並列処理が可能な複数のハードディスク(以下「HD」と呼ぶ)装置を含むデータ記録再生装置を用いることによりデータの転送レートの高速化と大容量化を図る試みや、さらにパリティデータを記録しておくことにより、万一いずれかのHD装置が故障しても信頼性を確保できるようにする試みがなされている。
【0004】
これにより、放送局が提供しようとしている番組の内容や放送形態により要求されているチャンネル数が異なる場合であっても、複数のAVデータからなる素材データを分散的に記録しておき多チャンネル送出を同時に行ったり、同一の素材データを再生時間をずらして多チャンネルで再生することにより、VOD(ビデオオンデマンド)やNVOD(ニアビデオオンデマンド)等のシステムを構築する等、多様な使用形態に対応することのできるマルチチャンネルAVサーバを実現することができる。
【0005】
このようなAVサーバに用いられるデータ記録再生装置には、1988年Patterson等によって発表された論文(‘A Case for Redundant Arrays of Inexpensive Disks(RAID)’, ACM SIGMOND Conference, Chicago, III, Jun.1-3,1988. )に提唱されている複数のHDからなるハードディスクドライブ(以下「HDD」と呼ぶ)をさらに複数台用いて構成されたRAID(Redundant Arra ys of Inexpensive Disks )技術が用いられている。
【0006】
上記論文の中でRAIDは、RAID−1からRAID−5まで5つに分類されている。RAID−1は2つのHDDに同じ内容を書き込む方式である。RAID−3は、入力データを一定の長さに分割して複数のHDDに記録するとともに、各HDDの互いに対応するデータブロックの排他的論理和であるパリティデータを生成して他の1台のHDDに書き込む方式である。さらにRAID−5は、データの分割単位(ブロック)を大きくして、1つの分割データをデータブロックとして1つのHDDに記録するとともに、各HDDの互いに対応するデータブロックの排他的論理和をとった結果(パリティデータ)をパリティブロックとして他のHDDに記録するとともにパリティブロックを他のHDDに分散する方式である。
その他のRAIDについては上記論文を参照されたい。
【0007】
このAVサーバで複数のAVデータの同時記録・再生を行うためには、複数のチャンネルで同時にAVデータの入出力を行う必要がある。そこで、AVサーバには、互いに独立して動作する複数の入出力ポートが設けられており、1つの入力ポート,出力ポートがそれぞれ1チャンネル分の入力,出力を行うようになっている。
【0008】
しかし、各入出力ポートが全く同時にデータ記録再生装置との間でAVデータの転送を行うと、AVサーバ内部で各入出力ポートとデータ記録再生装置とを接続しているバスにそれらのAVデータが同時に流れることになるので、処理しきれなくなる。そこで、各入出力ポートに、バスの使用を許可するタイムスロット(=時間間隔)を順番に割り当て、各入出力ポートが、それぞれ割り当てられたタイムスロット内でのみバスを介してデータ記録再生装置との間でのAVデータの転送を行うようになっている。したがって、厳密にいえば複数のAVデータが同時に記録・再生されているわけではないが、タイムスロットよりも長い時間間隔でみると、複数のAVデータの同時記録・再生が実現されているといってよい。
【0009】
ところで、AVサーバには、リアルタイム性を要するAVデータを入出力する入出力ポートとは別に、例えばファイバチャンネル(Fibre Channel )またはイーサネットを利用してリアルタイム性を要しないAVデータの入出力及びデータ記 録再生装置との間での転送(非同期転送)を行うための手段(本明細書では、こ うした手段のことを「非同期転送手段」や「非同期転送部」と呼ぶことにする) が設けられているものもある。こうしたAVサーバでは、各入出力ポートとデー タ記録再生装置との間でバスを介してAVデータの転送を行うための時間以外に 、この非同期転送部とデータ記録再生装置との間でバスを介してAVデータの転 送を行うための時間を確保することが必要となる。
【0010】
また、RAID技術を用いて構成したデータ記録再生装置に対して例えばバージョンアップのようなメンテナンスを行うために、データ記録再生装置からステータスを示すデータ(例えばエラーを示すログデータ等)を取得することが必要となる。したがって、AVサーバでは、各入出力ポートとデータ記録再生装置との間でバスを介してAVデータの転送を行うための時間以外に、データ記録再生装置からバスを介してこのステータスを示すデータを転送するための時間を確保することも必要となる。
【0011】
さらに、RAID技術を用いて構成したデータ記録再生装置では、いずれかのHDが故障してそのHDが新たなHDに交換された後に、故障のないHDから再生したデータやパリティデータを用いてその故障したHDのデータを復元し、その復元したデータをその新たなHDに記録し直すことによりその故障したHDのデータを再構築する処理であるリビルドが行われる。そして、このリビルドを行っている間は、データ記録再生装置と入出力ポートとの間でのAVデータの転送を行うことはできない。したがって、AVサーバでは、各入出力ポートとデータ記録再生装置との間でバスを介してAVデータの転送を行うための時間以外に、データ記録再生装置がこのリビルドを行うための時間を確保することも必要となる。
【0012】
そこで、従来のAVサーバでは、各入出力ポートに割り当てるタイムスロット以外に、AVサーバ全体の管理のために割り当てるタイムスロットである管理用スロットを用意しており、この管理用スロット内に、前述の非同期転送部・データ記録再生装置間のAVデータの転送やメンテナンスのためのデータ記録再生装置からのステータスデータの転送やデータ記録再生装置のリビルドのような、入出力ポート・データ記録再生装置間のデータ転送とは同時に行うことのできない処理を行うようにしている。
【0013】
図9は、こうした従来のAVサーバのタイムスロットの一例を、入出力ポート数が4である場合について示すものである。各ポートP1,P2,P3,P4にそれぞれ割り当てられるタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4に続いて、管理用スロットSL5が用意されている。各スロットSL1,SL2,SL3,SL4,SL5はそれぞれ4フレーム分の時間間隔であり、したがってスロット周期Tは20フレームになっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような管理用スロットが存在すると、その分、スロット周期が長くなるので、1つのポートにタイムスロットが割り当てられてから次に同じポートにタイムスロットが割り当てられるまでの待ち時間が長くなってしまう。
【0015】
特に、スロー再生や可変速再生やシャトルサーチを行うときには、HD上の不連続な領域をシークすることによるロスタイムが頻繁に発生することを原因として、1つのタイムスロット内で転送できるAVデータ量が制約されるので、このように待ち時間が長くなると、1つのフレームのAVデータの転送が終了してから次のフレームのAVデータの転送が終了するまでの速度であるフレーム更新率が低下してしまう。
したがって、従来のAVサーバでは、特にスロー再生や可変速再生やシャトルサーチ時の応答性が悪くなるという不都合があった。
【0016】
また、例えばこうした管理用スロットを用意することなく、複数の入出力ポートのうち現在動作していない入出力ポートに割り当てられているタイムスロット内に、前述の非同期転送部・データ記録再生装置間のAVデータの転送やメンテナンスのためのデータ記録再生装置からのステータスデータの転送やデータ記録再生装置のリビルドのような、入出力ポート・データ記録再生装置間のデータ転送とは同時に行うことのできない処理を行うという方法も考えられる。しかし、この方法には、全ての入出力ポートが動作している間は、これらの処理が全く行えないという不都合がある。
【0017】
本発明は、上述の点に鑑み、全ての入出力ポートが動作しているときにも、各入出力ポートに割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットを用意することなく、入出力ポート・データ記録再生装置間のデータ転送とは同時に行うことのできない処理を行えるようにすることを課題としてなされたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本出願人は、ノンリニアアクセス可能な記録媒体を用いてデータの記録及び/または再生を行う記録再生手段と、外部からデータを入力してこの記録再生手段に転送する少なくとも1つの入力部及びこの記録再生手段から転送されたデータを外部に出力する少なくとも1つの出力部を有しておりこれらの入力部及び出力部はそれぞれこの記録再生手段との間で転送されるデータを一時的に記憶する記憶手段を含んでいる入出力処理手段と、これらの入力部及び出力部にそれぞれこの記録再生手段との間でのデータの転送を行うタイムスロットを割り当てる割当手段と、割当手段により入力部に割り当てられたタイムスロットのうち、入力部内の記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段に送られる所定のデータ量以上であるタイムスロット内に、該記憶手段に記憶された該所定のデータ量のデータを圧縮して該入力部から記録再生手段に転送を行わせ、記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量未満であるタイムスロットでは、入力部から記録再生手段へのデータの転送を行わせない制御と、割当手段により出力部に割り当てられたタイムスロットのうち、出力部内の記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段から読み出す所定のデータ量未満であるタイムスロット内に、該所定のデータ量のデータを伸張して記録再生手段から該出力部に転送を行わせ、記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量以上であるタイムスロットでは、記録再生手段から出力部へのデータの転送を行わせない制御とのうちの少なくともいずれか一方を行う制御手段と、この制御手段が入力部及び出力部のいずれかに記録再生手段との間でのデータの転送を行わせないタイムスロット内に、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを記録再生手段に転送及び/または記録再生手段から転送させる第2の制御手段とを備えたデータ記録再生装置を提案する。
【0019】
このデータ記録再生装置では、割当手段により入力部に割り当てられたタイムスロットのうち、入力部内の記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段に送られる所定のデータ量以上であるタイムスロット内に、該記憶手段に記憶された該所定のデータ量のデータを圧縮して該入力部から記録再生手段に転送を行わせ、記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量未満であるタイムスロットでは、入力部から記録再生手段へのデータの転送を行わせない制御と、割当手段により出力部に割り当てられたタイムスロットのうち、出力部内の記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段から読み出す所定のデータ量未満であるタイムスロット内に、該所定のデータ量のデータを伸張して記録再生手段から該出力部に転送を行わせ、記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量以上であるタイムスロットでは、記録再生手段から出力部へのデータの転送を行わせない制御とのうちの少なくともいずれか一方を行う制御手段が設けられている。
【0020】
これにより、所定のスロット周期毎に、入力部の記憶手段のデータ記憶量が所定のデータ量未満になることによって、入力部に割り当てられたタイムスロットが入力部と記録再生手段との間でのデータ転送のために使用されなくなったり、出力部の記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量以上になったりすることによって、出力部に割り当てられたタイムスロットが出力部と記録再生手段との間でのデータ転送のために使用されなくなる。
【0021】
また、このデータ記録再生装置では、制御手段が入力部及び出力部のいずれかに記録再生手段との間でのデータの転送を行わせないタイムスロット内に、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを記録再生手段に転送及び/または記録再生手段から転送させる第2の制御手段が設けられている。
【0022】
したがって、入力部または出力部に割り当てられたタイムスロットが、所定のスロット周期毎に、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを記録再生手段に転送したり記録再生手段から転送させるために使用される。
【0023】
これにより、全ての入力部及び出力部が動作しているときにも、各入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットを用意することなく、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを、定期的に記録再生手段に転送したり記録再生手段から転送させたりすることができる。
【0026】
ここで、入力部及び出力部が、リアルタイム性を要するデータの入出力を行うものであり、データ記録再生装置が、この入力部及び出力部以外に、リアルタイム性を要しないデータの入出力及び記録再生手段との間での転送を行う非同期転送手段を有している場合には、入力部または出力部と記録再生手段との間でのデータの転送のために使用されないタイムスロット内に、この第2の制御手段に、この非同期転送手段と記録再生手段との間でのデータの転送を行わせることが好適である。
【0027】
あるいは、記録再生手段がRAID技術を用いたディスクアレイシステムである場合には、入力部または出力部と記録再生手段との間でのデータの転送のために使用されないタイムスロット内に、この第2の制御手段に、記録再生手段のメンテナンスを行うために記録再生手段からステータスを示すデータを転送させることが好適である。
【0028】
それにより、全ての入力部及び出力部が動作しているときにも、各入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットを用意することなく、非同期転送手段・記録再生手段間のデータ転送やメンテナンスのための記録再生手段からのステータスデータの転送が定期的に行われるようになる。
【0029】
また、割当手段に、入力部及び出力部にのみタイムスロットを割り当てさせることが好適である。
【0030】
それにより、入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットが用意されなくなるので、その分、スロット周期が短くなり、各入力部及び出力部のタイムスロットの待ち時間が短くなる。したがって、例えばAVサーバにおいては、スロー再生や可変速再生やシャトルサーチ時に、フレーム更新率が向上するのでその応答性が改善されるようになる。
【0031】
次に、本出願人は、ノンリニアアクセス可能な記録媒体を用いてデータの記録及び/または再生を行う記録再生手段と、外部からデータを入力して記録再生手段に転送する少なくとも1つの入力部と記録再生手段から転送されたデータを外部に出力する少なくとも1つの出力部とを有しており入力部及び出力部はそれぞれ記録再生手段との間で転送されるデータを一時的に記憶する記憶手段を含んでいる入出力処理手段とを備えたデータ記録再生装置におけるタイムスロットの使用方法において、入力部及び出力部に、それぞれ記録再生手段との間でのデータの転送を行うタイムスロットを割り当てる第1ステップと、第1ステップで入力部に割り当てたタイムスロットのうち、入力部内の記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段に送られる所定のデータ量以上であるタイムスロット内に、該記憶手段に記憶された該所定のデータ量のデータを圧縮して該入力部から記録再生手段に転送を行わせ、記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量未満であるタイムスロットでは、入力部から記録再生手段へのデータの転送を行わせない制御と、第1ステップで出力部に割り当てられたタイムスロットのうち、出力部内の記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段から読み出す所定のデータ量未満であるタイムスロット内に、該所定のデータ量のデータを伸張して記録再生手段から該出力部に転送を行わせ、記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量以上であるタイムスロットでは、記録再生手段から出力部へのデータの転送を行わせない制御とのうちの少なくともいずれか一方を行う第2ステップと、前記第2ステップで入力部及び出力部のいずれかと記録再生手段との間でのデータの転送を行わせないタイムスロット内に、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを記録再生手段に転送及び/または記録再生手段から転送させる第3ステップとを有するものを提案する。
【0032】
このタイムスロットの使用方法では、第1ステップで入力部に割り当てたタイムスロットのうち、入力部内の記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段に送られる所定のデータ量以上であるタイムスロット内に、該記憶手段に記憶された該所定のデータ量のデータを圧縮して該入力部から記録再生手段に転送を行わせ、記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量未満であるタイムスロットでは、入力部から記録再生手段へのデータの転送を行わせない制御と、第1ステップで出力部に割り当てられたタイムスロットのうち、出力部内の記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段から読み出す所定のデータ量未満であるタイムスロット内に、該所定のデータ量のデータを伸張して記録再生手段から該出力部に転送を行わせ、記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量以上であるタイムスロットでは、記録再生手段から出力部へのデータの転送を行わせない制御とのうちの少なくともいずれか一方を第2ステップで行うようにしている。
【0033】
これにより、所定のスロット周期毎に、入力部の記憶手段のデータ記憶量が所定のデータ量未満になることによって、入力部に割り当てられたタイムスロットが入力部と記録再生手段との間でのデータ転送のために使用されなくなったり、出力部の記憶手段のデータ記憶量がこの所定のデータ量以上になったりすることによって、出力部に割り当てられたタイムスロットが出力部と記録再生手段との間でのデータ転送のために使用されなくなる。
【0034】
また、このタイムスロットの使用方法では、第2ステップで入力部及び出力部のいずれかと記録再生手段との間でのデータの転送を行わせないタイムスロット内に、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを記録再生手段に転送及び/または記録再生手段から転送させる処理を第3ステップで行うようにしている。
【0035】
したがって、入力部または出力部に割り当てられたタイムスロットが、所定のスロット周期毎に、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを記録再生手段に転送したり記録再生手段から転送させたりするために使用される。
【0036】
これにより、全ての入力部及び出力部が動作しているときにも、各入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットを用意することなく、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを、定期的に記録再生手段に転送したり記録再生手段から転送させたりすることができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明をAVサーバに適用した例について説明する。
図1は、本発明を適用した1入力ポート3出力ポートのAVサーバの全体構成を示す。
このAVサーバ1には、1つの入力ポート2と、3つの出力ポート3,4,5と、記録再生部6と、タイミング管理部7と、ファイルシステム8と、制御器9と、非同期転送部10とが設けられている。
【0045】
入力ポート2と出力ポート3,4,5と非同期転送部10とは、それぞれ下りバス11及び上りバス12を介して記録再生部6と接続されている。また、入力ポート2と出力ポート3,4,5と非同期転送部10とは、それぞれ制御バス13を介して制御器9と接続されている。
【0046】
入力ポート2には、圧縮器2Aと、バッファメモリ2Bと、制御器2Cとが設けられている。
圧縮器2Aには、AVサーバ1の外部の機器(例えば、VTRや、ネットワークを介して接続された機器)から、AVデータ(例えばSDI(Serial Digital Interface:SMPTE−259Mとして規格化されている)やSDTI(Serial Digital Transfer Interface :SMPTE−305Mとして規格化されている))等の伝送フォーマットで送られたAVデータ)が入力端子D1を通して入力 される。
【0047】
制御器2Cには、AVサーバ1の上位装置(例えばホストコンピュータ)から、入力ポート2の動作を指示する制御信号(例えばシリアルインターフェースの標準規格であるRS−422に従った制御信号)が制御端子C1を通して与えられる。
【0048】
圧縮器2Aは、AVデータを所定の符号化方式(例えばMPEG)で圧縮するものである。この圧縮器2Aで圧縮されたAVデータは、バッファメモリ2Bに送られる。なお、図1に示す構成ではAVデータを圧縮器2Aで圧縮しているが、AVデータを非圧縮のままバッファメモリ2Bに送ってもよい。
【0049】
制御器2Cは、入力ポート2全体を制御するものであり、例えばマイクロプロセッサから成っている。制御器2Cは、動作の開始を指示する制御信号が与えられると、圧縮器2Aからバッファメモリ2Bに送られたAVデータをバッファメモリ2Bに一時的に記憶させる。
【0050】
制御器2Cには、後述するように、タイミング管理部7から与えられるタイムスロット信号により、下りバス11及び上りバス12の使用を許可するタイムスロットSL1が割り当てられる。
タイミング管理部7は、AVサーバ1の外部から入力端子Rを通して供給される基準ビデオ信号(REF信号)に基づいてこのタイムスロット信号を生成する。
【0051】
また、入力ポート2の動作時には、制御器9により、記録再生部6内の空き領域を示す情報がファイルシステム8から取得される。そして、その空き領域を伝える信号が、制御器9から制御バス13を介して制御器2Cに送られる。
【0052】
制御器9は、AVサーバ1の全体を制御するものであり、例えばマイクロプロセッサから成っている。
ファイルシステム8は、記録再生部6に現在記録されているAVデータのファイル名と、記録再生部6内でそのファイル名のAVデータが記録されている領域のアドレスとを対応させて管理すると共に、記録再生部6の現在の空き領域のアドレスを管理するものであり、それらの管理情報(ファイルシステム情報)を作成する制御回路(例えばCPU)と、この制御回路で作成されたファイルシステム情報を記憶する記憶回路(例えばRAM)とを含んでいる。
【0053】
ファイルシステム8で作成されるファイルシステム情報は、ファイルエントリと、レコードエントリと、フリースペースリストとの3つに大別される。
このうち、ファイルエントリは、各ファイルについて1つ作成されるものであり、ファイル名と、そのファイルについての最初のレコードエントリの先頭位置のアドレスへのポインタ情報(すなわち最初のレコードエントリへのリンク情報)とが書き込まれる。
【0054】
レコードエントリは、記録再生部6内のHD上で1つのファイルが記録されている連続領域毎に作成される。1つのファイルは、HD上の空き領域の長さ及び場所の都合でHD上の互いに離れた複数の連続領域に飛び飛びに記録されることが多いので、通常はレコードエントリも複数作成される。
最初の連続記録についてのレコードエントリには、その連続領域の先頭位置のアドレス(すなわちHD上のそのファイルの最初の記録位置のアドレス)を示す先頭位置データと、先頭位置からそのファイルどれだけの長さ連続して記録されているかを示すデータと、次のレコードエントリの先頭位置のアドレスへのポインタ情報(すなわち次のレコードエントリへのリンク情報)とが書き込まれる。
【0055】
2番目以降の連続記録についてのレコードエントリにも、その連続領域の先頭位置のアドレスを示す先頭位置データと、先頭位置からそのファイルがどれだけの長さ連続して記録されているかを示すデータと、次のレコードエントリの先頭位置のアドレスへのポインタ情報とが書き込まれる。そして、最後のレコードエントリには、このポインタ情報に代えて、その連続領域でファイルの記録が終了していることを示すデータが書き込まれる。
【0056】
フリースペースリストは、記録再生部6内のHD上のデータが未記録の空き領域を示すためのものであり、個々の空き領域毎に作成される。各フリースペースリストには、空き領域の先頭位置のアドレスを示す先頭位置データと、先頭位置からどれだけの長さのデータを書き込める空き領域が連続して存在しているかを示すデータと、次のフリースペースリストの先頭位置のアドレスへのポインタ情報(すなわち次のフリースペースリストへのリンク情報)とが書き込まれる。
【0057】
入力ポート2の制御器2Cは、後述のように、タイムスロット信号によって割り当てられたタイムスロットSL1のうち、入力ポート2から記録再生部6へのAVデータの転送のために使用するタイムスロット内に、それまでバッファメモリ2Bに一時的に記憶させていたAVデータをバッファメモリ2Bから読み出し、このAVデータに制御器9から伝えられた記録再生部6内の空き領域へのAVデータの書込みを指示するコマンドを付加して、下りバス11を介して記録再生部6に転送する。
【0058】
図2は、記録再生部6の構成例を示す。
記録再生部6は、RAID技術を用いて構築されたものであり、映像データ記録用の複数台のHDD21と、これらのHDD21を制御するディスクアレイコントローラ22と、音声データ記録用の複数台のHDD23と、これらのHDD23を制御するディスクアレイコントローラ24と、バッファメモリ25とを含んでいる。
【0059】
ディスクアレイコントローラ22は、例えばRAID−3を採用したものであり、AVデータに付加された書込み指示のコマンドに基づき、入力した映像データを一定の長さのブロックに分割して複数台のHDD21内のそのコマンドの示す空き領域に記録し、かつ、それらのHDD21の互いに対応するデータブロックの排他的論理和であるパリティデータを生成して別の1台のHDD21内のそのコマンドの示す空き領域に書き込む。またディスクアレイコントローラ22は、後述の読出し指示のコマンドに基づき、各HDD21内のそのコマンドの示す領域から映像データ及びパリティデータを読み出し、それらの映像データを単一化された後パリティデータを用いてエラー訂正することにより映像データを再生する。
【0060】
他方、ディスクアレイコントローラ24は、例えばRAID−1を採用したものであり、AVデータに付加された書込み指示のコマンドに基づき、入力した音声データを、2台のHDD23内のそのコマンドの示す空き領域にそれぞれ書き込む。またディスクアレイコントローラ24は、出力ポート3,4,5からの後述の読出し指示のコマンドに基づき、2台のHDD23(1台のHDD23に障害がある場合には残りの1台のHDD23)内のそのコマンドの示す領域から音声データを再生する。
【0061】
バッファメモリ25は、入力ポート2から下りバス11を介して記録再生部6に転送されたAVデータを一時的に記憶する役割を持っており、バッファメモリ25から読み出されたAVデータのうち、映像データがディスクアレイコントローラ22に入力され、音声データがディスクアレイコントローラ24に入力される。またバッファメモリ25は、ディスクアレイコントローラ22及び24で再生されたAVデータを一時的に記憶する役割を持っており、バッファメモリ25から読み出されたAVデータが、上りバス12を介して出力ポート3,4,5に転送される。なお、前者の役割を持つバッファメモリと後者の役割を持つバッファメモリとを別々に設けてもよい。
【0062】
入力ポート2から下りバス11を介して記録再生部6に転送されたAVデータは、このバッファメモリ25を経て、ディスクアレイコントローラ22,24により、HDD21,23のHD上の、そのAVデータに付加されたコマンドの示す空き領域に記録される。
【0063】
図1に示すように、出力ポート3には、復号器3Aと、バッファメモリ3Bと、制御器3Cとが設けられている。出力ポート4,5も、出力ポート3と同一構成のものであり、それぞれ復号器4A,5Aと、バッファメモリ4B,5Bと、制御器4C,5Cとが設けられている。
【0064】
各出力ポート3,4,5の制御器3C,4C,5Cにも、後述するように、タイミング管理部7から与えられるタイムスロット信号により、下りバス11及び上りバス12の使用を許可するタイムスロットSL2,SL3,SL4がそれぞれ割り当てられる。
また、各出力ポート3,4,5の制御器3C,4C,5Cにも、AVサーバ1の上位装置から、出力ポート3,4,5の動作を指示する制御信号がそれぞれ制御端子C2,C3,C4を通して与えられる。
【0065】
また、各出力ポート3,4,5の動作時には、出力ポート3,4,5から出力させるAVデータのファイル名を指定する制御信号が、AVサーバ1の外部からの上位装置から制御端子C5を通して制御器9に与えられる。この制御信号は、各出力ポート3,4,5毎に異なるファイル名を指定する内容のときもあれば、全ての出力ポート3,4,5について同じファイル名を時間をずらして指定する内容のときもある。
【0066】
制御器9では、この制御信号で指定されたファイル名に対応した記録再生部6内の記録領域の情報が、ファイルシステム8から取得される。そして、その記録領域を伝える信号が、制御器9から制御バス13を介して制御器3C,4C,5Cに送られる。
【0067】
制御器3C,4C,5Cは、それぞれ出力ポート3,4,5全体を制御するものであり、例えばマイクロプロセッサから成っている。
制御器3C,4C,5Cは、動作の開始を指示する制御信号が与えられると、後述のように、タイムスロット信号によって割り当てられたタイムスロットSL2,SL3,SL4のうち、記録再生部6から出力ポート3,4,5へのAVデータの転送のために使用するタイムスロット内に、制御器9から伝えられた記録領域からのAVデータの読出しとこの使用するタイムスロットSL2,SL3,SL4内での出力ポート3,4,5へのAVデータの転送とを指示するコマンドを、それぞれ下りバス11を介して記録再生部6に送る。
【0068】
そして、制御器3C,4C,5Cは、そのコマンドに基づいて記録再生部6で再生されてこの使用するタイムスロットSL2,SL3,SL4内に上りバス12を介して出力ポート3,4,5に転送されたAVデータ(図2のディスクアレイコントローラ22,24によりHDD21,23から再生されてバッファメモリ25に一時的に記憶され、この使用するタイムスロットSL2,SL3,SL4内にバッファメモリ25から読み出されたAVデータ)を、それぞれバッファメモリ3B,4B,5Bに一時的に記憶させる。
【0069】
また、各制御器3C,4C,5Cは、それぞれバッファメモリ3B,4B,5Bに記憶させたAVデータを順次読み出していき、この読み出されたAVデータはそれぞれ復号器3A,4A,5Aに送られる。
復号器3A,4A,5Aは、それぞれ入力ポート2の圧縮器2Aと同じ符号化方式でAVデータを伸長するものである。各復号器3A,4A,5Aで伸長されたAVデータは、それぞれ出力端子D2,D3,D4を通して出力されて、AVサーバ1の外部の機器(例えば、VTRや、ネットワークを介して接続された機器)に送られる。
このようにして、このAVサーバ1では、入力ポート2及び出力ポート3,4,5により4チャンネルでのAVデータの同時入出力が行われる。
【0070】
入力ポート2及び出力ポート3,4,5はリアルタイム性を要するAVデータの入出力を行うものであるのに対し、非同期転送部10は、例えばファイバチャンネル(Fibre Channel )またはイーサネットを利用して、リアルタイム性を要しないAVデータの入出力及び記録再生部6との間での転送(例えばAVデータフ ァイルの入出力及び転送)を行うためのものである。
この非同期転送部10には、エンコーダ10Aと、デコーダ10Bと、バッファメモリ10Cと、制御器10Dとが設けられている。
【0071】
非同期転送部10を用いたAVデータの記録時には、AVデータを含んだファイバチャンネルまたはイーサネットの伝送フォーマットのデータが、外部の機器からファイバチャンネルまたはイーサネットを利用して送られて、入力端子D5を通してエンコーダ10Aに入力される。
また、このときには、非同期転送部10から記録再生部6へのAVデータの転送を指示する制御信号が、AVサーバ1の上位装置から制御端子C5を通して制御器9に与えられる。制御器9は、この制御信号に基づき、記録再生部6内の空き領域を示す情報をファイルシステム8から取得する。そして制御器9は、その空き領域と、後述の非同期転送部10・記録再生部6間のAVデータの転送のために使用するタイムスロットSLAとを伝える信号を、制御バス13を介して制御器10Dに送る。
【0072】
エンコーダ10Aは、ファイバチャンネルまたはイーサネットの伝送フォーマットで入力されたデータから、AVデータを取り出すものである。エンコーダ10Aで取り出されたAVデータは、バッファメモリ10Cに送られる。
【0073】
制御器10Dは、非同期転送部10全体を制御するものであり、例えばマイクロプロセッサから成っている。制御器10Dは、エンコーダ10Aからバッファメモリ10Cに送られたAVデータを、バッファメモリ10Cに一時的に記憶させる。そして、制御器9から伝えられたタイムスロットSLA内に、バッファメモリ10Cに一時的に記憶させたAVデータをバッファメモリ10Cから読み出し、このAVデータに制御器9から伝えられた記録再生部6内の空き領域へのAVデータの書込みを指示するコマンドを付加して、下りバス11を介して記録再生部6に転送する。
【0074】
非同期転送部10から下りバス11を介して記録再生部6に転送されたこのAVデータは、図2のバッファメモリ25を経て、ディスクアレイコントローラ22,24により、HDD21,23のHD上の、そのAVデータに付加されたコマンドの示す空き領域に記録される。
【0075】
他方、非同期転送部10を用いたAVデータの再生時には、再生対象のAVデータのファイル名を指定するとともに記録再生部6から非同期転送部10へのAVデータの転送を指示する制御信号が、AVサーバ1の上位装置から制御端子C5を通して制御器9に与えられる。
制御器9は、この制御信号で指定されたファイル名に対応した記録再生部6内の記録領域の情報を、ファイルシステム8から取得する。そして制御器9は、その記録領域とタイムスロットSLAとを伝える信号を、制御バス13を介して非同期転送部10の制御器10Dに送る。
【0076】
制御器10Dは、タイムスロットSLA内に、制御器9から伝えられた記録領域からのAVデータの読出し及びタイムスロットSLA内でのそのAVデータの非同期転送部10への転送を指示するコマンドを下りバス11を介して記録再生部6に送る。
【0077】
そして、制御器10Dは、そのコマンドに基づいて記録再生部6で再生されてタイムスロットSLA内に上りバス12を介して非同期転送部10に転送されたAVデータを、バッファメモリ10Cに一時的に記憶させる。
【0078】
また、制御器10Dは、バッファメモリ10Cに記憶させたAVデータを順次読み出していき、この読み出されたAVデータはデコーダ10Bに送られる。
デコーダ10Bは、AVデータを、ファイバチャンネルまたはイーサネットの伝送フォーマットのデータに変換するものである。デコーダ10Bで変換されたデータは、出力端子D5を通してAVサーバ1から出力されて、ファイバチャンネルまたはイーサネットを利用して外部の機器に送られる。
【0079】
AVサーバ1の上位装置が、記録再生部6に対して例えばバージョンアップのようなメンテナンスを行うために、記録再生部6のステータスを示すデータ(例えばエラーを示すログデータ等)を必要とするようになったときには、このステータスデータの送付を指示する制御信号が、この上位装置から制御端子C5を通して制御器9に与えられる。
【0080】
制御器9は、この制御信号に基づき、記録再生部6からのステータスデータの取得を指示するとともに記録再生部6からのステータスデータの転送のために使用するタイムスロットSLBを伝える信号を、入力ポート2,出力ポート3,4,5の制御器2C,3C,4C,5Cのうちのいずれか(ここでは一例として入力ポート2の制御器2Cとするが制御器3C,4Cまたは5Cであってもよい)に制御バス13を介して送る。
【0081】
制御器2Cは、その信号に基づき、制御器9から伝えられたタイムスロットSLB内でのステータスデータの入力ポート2への転送を指示するコマンドを、バッファメモリ2B及び下りバス11を介して記録再生部6に転送する。そして、そのコマンドに基づいてタイムスロットSLB内に記録再生部6から上りバス12を介して入力ポート2に転送されたステータスデータを、バッファメモリ2B及び制御バス13を介して制御器9に送る。
制御器9は、このステータスデータを、制御端子C5を通してAVサーバ1の上位装置に送る。
【0082】
また、記録再生部6で、いずれかのHDが故障してそのHDが新たなHDに交換された後には、記録再生部6でのリビルドの実行を指示する制御信号が、AVサーバ1の上位装置から制御端子C5を通して制御器9に与えられる。
【0083】
制御器9は、この制御信号に基づき、記録再生部6でのリビルドの実行を指示するとともに記録再生部6でのリビルドの実行のために使用するタイムスロットSLCを伝える信号を、入力ポート2,出力ポート3,4,5の制御器2C,3C,4C,5Cのうちのいずれか(ここでは一例として入力ポート2の制御器2Cとするが制御器3C,4Cまたは5Cであってもよい)に制御バス13を介して送る。
【0084】
制御器2Cは、その信号に基づき、制御器9から伝えられたタイムスロットSLC内でのリビルドの実行を指示するコマンドを、バッファメモリ2B及び下りバス11を介して記録再生部6に転送する。
記録再生部6では、そのコマンドに基づき、タイムスロットSLC内に、故障のないHDから再生したデータやパリティデータを用いてその故障したHDのデータを復元し、その復元したデータをその新たなHDに記録し直すことにより、その故障したHDのデータを再構築する。
【0085】
次に、このAVサーバ1における、タイムスロットの割当と、入力ポート2,出力ポート3,4,5と記録再生部6との間でのAVデータの転送レートと、タイムスロットの使用とについて説明する。
図3は、図1のタイミング管理部7で生成されるタイムスロット信号によってAVサーバ1の各部に割り当てられるタイムスロットの一例を示す。入力ポート2,出力ポート3,4,5には、1つずつ順番にタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4が割り当てられ、出力ポート5に割り当てられるSL4の直後に、次に入力ポート2に割り当てられるSL1が続いている。
【0086】
すなわち、タイミング管理部7からのタイムスロット信号によっては、入力ポート2,出力ポート3,4,5に割り当てられるタイムスロット以外のタイムスロット(図9に示したような管理用スロット)は用意されない。したがって、例えば各スロットSL1,SL2,SL3,SL4を図9の例と同じく4フレーム分の時間間隔とすると、スロット周期Tは、16フレームとなって図9の例よりも4フレーム短くなる。
【0087】
図4は、入力ポート2,出力ポート3,4,5のバッファメモリ2B,3B,4B,5Bと記録再生部6のバッファメモリ25との間でのAVデータの転送レートの一例を示す。
このうち図4Aは、入力ポート2のバッファメモリ2Bから記録再生部6へのAVデータの転送レートを示す。入力ポート2の制御器2Cは、タイムスロット信号によって割り当てられたタイムスロットSL1のうち、後述の記録再生部6へのAVデータの転送のために使用するタイムスロット内に、スロット周期Tの1.5倍の期間に圧縮器2Aからバッファメモリ2Bに送られてバッファメモリ2Bに記憶させたデータ量のAVデータを、バッファメモリ2Bから読み出して下りバス11を介して記録再生部6に転送する。
【0088】
なお、通常のAVサーバにおける入力ポートから記録再生部へのAVデータの転送レートを図4Aと同様にして示すと、図5Aの通りである。通常のAVサーバでは、入力ポートに割り当てられた各スロット周期のタイムスロットSL毎に、1スロット周期Tの期間に圧縮器からバッファメモリに送られてバッファメモリに記憶させたデータ量のAVデータを、バッファメモリから読み出して記録再生部に転送している。
【0089】
このように、このAVサーバ1では、入力ポート2から記録再生部6へのAVデータの転送が、通常の1.5倍の転送レートで行われる。これにより、入力ポート2から記録再生部6へのAVデータの転送は、3スロット周期のうちの2スロット周期のタイムスロットSL1のみを使用して行えば足り、残りの1スロット周期のタイムスロットSL1(図4Aに斜線で示したタイムスロットSL1)は,入力ポート2から記録再生部6へのAVデータの転送のために使用する必要がなくなる。
【0090】
そして、この使用する必要のないスロット周期のタイムスロットSL1には、バッファメモリ2Bのデータ記憶量は、スロット周期Tの1.5倍の期間に圧縮器2Aからバッファメモリ2Bに送られるデータ量DT1よりも少なくなる。
したがって、各スロット周期のタイムスロットSL1が、入力ポート2から記録再生部6へのAVデータの転送のために使用する必要のあるものか否かは、バッファメモリ2Bのデータ記憶量がこのデータ量DT1以上であるか否かによって判断することができる。
【0091】
他方、図4Bは、記録再生部6のバッファメモリ25から出力ポート3,4,5へのAVデータの転送レートを示す(図では代表的に出力ポート3について示してるが、出力ポート4,5についても全く同じである)。
出力ポート3,4,5の制御器3C,4C,5Cは、タイムスロット信号によって割り当てられたタイムスロットSL2,SL3,SL4のうち、後述の記録再生部6からのAVデータの転送のために使用するタイムスロット内に、スロット周期Tの1.5倍の期間にバッファメモリ3B,4B,5Bから読み出して復号器3A,4A,5Aに送られるデータ量のAVデータをバッファメモリ25から読み出させるコマンドを、それぞれ前述の読み出し指示のコマンドの一部として下りバス11を介して記録再生部6に送る。
【0092】
これにより、記録再生部6のバッファメモリ25からは、この使用するタイムスロットSL2,SL3,SL4内に、スロット周期Tの1.5倍の期間にバッファメモリ3B,4B,5Bから読み出して復号器3A,4A,5Aに送られるデータ量のAVデータが読み出されて、上りバス12を介してそれぞれ出力ポート3,4,5に転送される。
【0093】
なお、通常のAVサーバにおける記録再生部から出力ポートへのAVデータの転送レートを図4Bと同様にして示すと、図5Bの通りである。通常のAVサーバでは、出力ポートに割り当てられた各スロット周期のタイムスロットSL毎に、1スロット周期Tの期間に出力ポート内のバッファメモリから読み出して復号器に送られるデータ量のAVデータを、記録再生部内のバッファメモリから読み出して出力ポートに転送させている。
【0094】
このように、このAVサーバ1では、記録再生部6から出力ポート3,4,5へのAVデータの転送も、通常の1.5倍の転送レートで行われる。これにより、記録再生部6から出力ポート3,4,5へのAVデータの転送も、3スロット周期のうちの2スロット周期のタイムスロットSL2,SL3,SL4内のみを使用して行えば足り、残りの1スロット周期のタイムスロットSL2,SL3,SL4(出力ポート3については図4Bに斜線で示したタイムスロットSL2)は,記録再生部6から出力ポート3,4,5へのAVデータの転送のために使用する必要がなくなる。
【0095】
そして、この使用する必要のないスロット周期のタイムスロットSL2,SL3,SL4には、バッファメモリ3B,4B,5Bのデータ記憶量は、スロット周期Tの1.5倍の期間にバッファメモリ3B,4B,5Bから読み出して復号器3A,4A,5Aに送られるデータ量DT2以上になる。
したがって、各スロット周期のタイムスロットSL2,SL3,SL4が、記録再生部6から出力ポート3,4,5へのAVデータの転送のために使用する必要のあるものか否かは、バッファメモリ3B,4B,5Bのデータ記憶量がこのデータ量DT2未満であるか否かによってそれぞれ判断することができる。
【0096】
図6は、各入力ポート2,出力ポート3,4,5の制御器2C,3C,4C,5Cが、タイミング管理部7からのタイムスロット信号によって割り当てられるタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4の使用に関して実行する処理の一例を示すフローチャートである。
この処理では、最初に、現在タイムスロット信号により自分のポートよりも1つ前のポートにタイムスロットが割り当てられているか否かを判断する(例えば、入力ポート2は、現在出力ポート5にタイムスロットSL4が割り当てられているか否かを判断し、出力ポート3は、現在入力ポート2にタイムスロットSL1が割り当てられているか否かを判断する)(ステップS1)。
【0097】
ノーであれば、1タイムスロットずつ待機しながら(ステップS2)、ステップS1の判断を繰り返す。
そして、自分のポートよりも1つ前のポートにタイムスロットが割り当てられると、ステップS1でイエスと判断されてステップS3に進み、自分のポート内のバッファメモリのデータ記憶量を検出する(例えば、入力ポート2はバッファメモリ2Bのデータ記憶量を検出する)。
【0098】
続いて、その検出したデータ記憶量(あるいはこのデータ記憶量から算出した、次のタイムスロットでのデータ記憶量)に基づいて、次に自分のポートに割当てられるタイムスロットを記録再生部6との間でのAVデータの転送のために使用するか否かを判断する(ステップS4)。
すなわち、入力ポート2は、例えば次に入力ポート2にタイムスロットが割り当てられたときのバッファメモリ2Bのデータ記憶量が前述のデータ量DT1以上であるか否かによってこの判断を行い、出力ポート3,4,5は、例えば次に出力ポート3,4,5にタイムスロットが割り当てられたときのバッファメモリ3B,4B,5Bのデータ記憶量が前述のデータ量DT2未満であるか否かによってそれぞれこの判断を行う。
【0099】
ステップS4で使用すると判断した場合(図4を参照して説明したように、3スロット周期のうちの2スロット周期では使用すると判断される)には、次に自分のポートに割り当てられるタイムスロットを自分のポートが使用することを示す信号を、制御バス13を介して制御器9に送る(ステップS5)。
【0100】
続いて、次のタイムスロット内に、記録再生部6との間でのAVデータの転送を行う(ステップS6)。
すなわち、図4を参照して説明したように、入力ポート2の制御器2Cは、通常の1.5倍の転送レートでバッファメモリ2Bから記録再生部6にAVデータを転送し、出力ポート3,4,5の制御器3C,4C,5Cは、通常の1.5倍の転送レートで記録再生部6からバッファメモリ3B,4B,5BにAVデータを転送させる。
そして、ステップS6からステップS1に戻り、ステップS1以下を繰り返す。
【0101】
他方、ステップS4で使用しないと判断した場合(図4を参照して説明したように、3スロット周期のうちの1スロット周期では使用しないと判断される)には、次に自分のポートに割り当てられるタイムスロットを使用しないことを示す信号を、制御バス13を介して制御器9に送る(ステップS7)。
そして、ステップS7からステップS1に戻り、ステップS1以下を繰り返す。
【0102】
図7及び図8は、制御器9が、タイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4の使用に関して実行する処理の一例を示すフローチャートである。
この処理では、最初に、図7に示すように、非同期転送部10・記録再生部6間のAVデータの転送(非同期転送)を指示する制御信号が、AVサーバ1の上位装置から制御端子C5を通して与えられたか否かを判断する(ステップS11)。
【0103】
イエスであれば、ステップS12に進み、各入力ポート2,出力ポート3,4,5の制御器2C,3C,4C,5Cから図6の処理のステップS5またはS7で送られた信号に基づいて、次のタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を入力ポート2,出力ポート3,4,5が記録再生部6との間でのAVデータの転送のために使用するか否かを判断する。
【0104】
使用されるのであれば、1タイムスロットずつ待機しながら(ステップS13)、ステップS12の判断を繰り返す。
そして、次のタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を入力ポート2,出力ポート3,4,5が使用しない場合には、ステップS12でイエスと判断されてステップS14に進み、そのタイムスロットを、非同期転送部10と記録再生部6との間でのAVデータの転送のために使用するタイムスロットSLAとして決定する。
【0105】
続いて、このステップS14で決定したタイムスロットSLA内での非同期転送部10と記録再生部6との間でのAVデータの転送を非同期転送部10に指示する(ステップS15)。
すなわち、すでに非同期転送部10について説明したように、非同期転送部10を用いたAVデータの記録時には、記録再生部6内の空き領域とこのステップS14で決定したタイムスロットSLAとを伝える信号を制御器10Dに送ることにより、このタイムスロットSLA内に、非同期転送部10から下りバス11を介して記録再生部6にAVデータを転送させる。また、非同期転送部10を用いたAVデータの再生時には、再生対象のAVデータの記録再生部6内での記録領域とこのステップS14で決定したタイムスロットSLAとを伝える信号を制御器10Dに送ることにより、このタイムスロットSLA内に、記録再生部6から上りバス12を介して非同期転送部10にAVデータを転送させる。
【0106】
ステップS15に続き、非同期転送部10と記録再生部6との間でのAVデータの転送が完了したか否かを判断する(ステップS16)。
完了していなければ、完了するまでステップS13,S12,S14,S15,S16を繰り返すことにより、入力ポート2,出力ポート3,4,5に使用されないタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を、タイムスロットSLAとして使用し続ける。
そして、非同期転送部10と記録再生部6との間でのAVデータの転送が完了すると、ステップS16からステップS11に戻り、ステップS11以下を繰り返す。
【0107】
ステップS11でノーと判断された場合には、ステップS17に進み、記録再生部6のメンテナンスのために記録再生部6のステータスデータの送付を指示する制御信号が、AVサーバ1の上位装置から制御端子C5を通して与えられたか否かを判断する。
【0108】
イエスであれば、ステップS18に進んでステップS12と同じ判断を行い、次のタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を入力ポート2,出力ポート3,4,5が記録再生部6との間でのAVデータの転送のために使用するのであれば、1タイムスロットずつ待機しながら(ステップS19)、ステップS18の判断を繰り返す。
【0109】
そして、次のタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を入力ポート2,出力ポート3,4,5が使用しない場合には、ステップS18でイエスと判断されてステップS20に進み、そのタイムスロットを、メンテナンスのための記録再生部6からのステータスデータの転送のために使用するタイムスロットSLBとして決定する。
【0110】
続いて、このステップS20で決定したタイムスロットSLB内での記録再生部6からのステータスデータの転送を指示する(ステップS21)。
すなわち、すでに記録再生部6のメンテナンスのためのステータスデータの送付について説明したように、記録再生部6からのステータスデータの取得を指示するとともにこのステップS20で決定したタイムスロットSLBを伝える信号を、入力ポート2,出力ポート3,4,5のうちのいずれかのポートの制御器に送ることにより、このタイムスロットSLB内に、記録再生部6から上りバス12を介してそのポートにステータスデータを転送させる。
【0111】
ステップS21に続き、記録再生部6からのステータスデータの転送が完了したか否かを判断する(ステップS22)。
完了していなければ、完了するまでステップS19,S18,S20,S21,S22を繰り返すことにより、入力ポート2,出力ポート3,4,5に使用されないタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を、タイムスロットSLBとして使用し続ける。
そして、記録再生部6からのステータスデータの転送が完了すると、ステップS22からステップS11に戻り、ステップS11以下を繰り返す。
【0112】
ステップS17でノーと判断された場合には、図8のステップS23に進み、記録再生部6でのリビルドの実行を指示する制御信号が、AVサーバ1の上位装置から制御端子C5を通して与えられたか否かを判断する。
【0113】
イエスであれば、ステップS24に進んでステップS12と同じ判断を行い、次のタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を入力ポート2,出力ポート3,4,5が記録再生部6との間でのAVデータの転送のために使用するのであれば、1タイムスロットずつ待機しながら(ステップS25)、ステップS24の判断を繰り返す。
【0114】
そして、次のタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を入力ポート2,出力ポート3,4,5が使用しない場合には、ステップS24でイエスと判断されてステップS26に進み、そのタイムスロットを、記録再生部6でのリビルドの実行のために使用するタイムスロットSLCとして決定する。
【0115】
続いて、このステップS26で決定したタイムスロットSLC内でのリビルドの実行を指示する(ステップS27)。
すなわち、すでに記録再生部6でのリビルドについて説明したように、記録再生部6でのリビルドの実行を指示するとともにこのステップS26で決定したタイムスロットSLCを伝える信号を、制御器9から入力ポート2,出力ポート3,4,5のうちのいずれかのポートの制御器に送ることにより、このタイムスロットSLC内に、記録再生部6でリビルドを実行させる。
【0116】
ステップS27に続き、記録再生部6でのリビルドの実行が完了したか否かを判断する(ステップS28)。
完了していなければ、完了するまでステップS25,S24,S26,S27,S28を繰り返すことにより、入力ポート2,出力ポート3,4,5に使用されないタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を、タイムスロットSLCとして使用し続ける。
そして、リビルドの実行が完了すると、ステップS28から図7のステップS11に戻り、ステップS11以下を繰り返す。
また、ステップS23でノーと判断された場合にも、ステップS23からステップS11に戻り、ステップS11以下を繰り返す。
【0117】
以上のように、このAVサーバ1では、タイミング管理部7で生成されるタイムスロット信号によっては、入力ポート2,出力ポート3,4,5に割り当てるタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4以外に、従来のような管理スロットは用意していない。そして、入力ポート2,出力ポート3,4,5と記録再生部6との間でのAVデータの転送を通常の1.5倍の転送レートで行うことにより、3スロット周期のうちの1スロット周期のタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を入力ポート2,出力ポート3,4,5と記録再生部6との間でのAVデータの転送のために使用する必要をなくし、この入力ポート2,出力ポート3,4,5に使用されないタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を、非同期転送部10と記録再生部6との間でのAVデータの転送のためのタイムスロットSLAや、メンテナンスのための記録再生部6からのステータスデータの転送のタイムスロットSLBや、記録再生部6でのリビルドの実行のためのタイムスロットSLCとして使用している。
【0118】
これにより、全ての入力ポート2,出力ポート3,4,5が動作しているときにも、入力ポート2,出力ポート3,4,5に割り当てられたタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4内に、非同期転送部10と記録再生部6との間でのAVデータの転送や、メンテナンスのための記録再生部6からのステータスデータの転送や、記録再生部6でのリビルドを定期的に行えるようになっている。
【0119】
また、管理スロットを用意しない分だけ、スロット周期が短くなり、各入力ポート2,出力ポート3,4,5のタイムスロットの待ち時間が短くなっている。
したがって、スロー再生や可変速再生やシャトルサーチのような、HD上の不連続な領域をシークすることによるロスタイムの発生頻度の高い再生動作を行う場合にも、フレーム更新率が向上する。これにより、このAVサーバ1では、スロー再生や可変速再生やシャトルサーチ時の応答性が改善されている。
【0120】
なお、以上の例では、入力ポート2,出力ポート3,4,5と記録再生部6との間でのAVデータの転送を通常の1.5倍の転送レートで行っている。しかし、これに限らず、通常よりも高い適宜の転送レート(例えば1.1倍の転送レート)でこの転送を行うようにしてよく、その場合にも、やはり所定のスロット周期毎(1.1倍の転送レートのときには11スロット周期毎)にタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を入力ポート2,出力ポート3,4,5と記録再生部6との間でのAVデータの転送のために使用する必要がなくなるので、非同期転送部10と記録再生部6との間でのAVデータの転送や、メンテナンスのための記録再生部6からのステータスデータの転送や、記録再生部6でのリビルドを定期的に行えるようになる。
【0121】
また、以上の例では、全ての入力ポート2,出力ポート3,4,5について転送レートを通常よりも高くして所定のスロット周期毎にタイムスロットを使用する必要をなくしているが、入力ポート2,出力ポート3,4,5のうちの一部のポートについてのみこのように転送レートを通常よりも高くして所定のスロット周期毎にタイムスロットを使用する必要をなくし、残りのポートについては通常通りの転送レートで毎スロット周期のタイムスロットを全て使用するようにしてもよい。
【0122】
また、以上の例では、入力ポート2,出力ポート3,4,5と記録再生部6との間でのAVデータの転送のために使用しないタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を、非同期転送部10と記録再生部6との間でのAVデータの転送や、メンテナンスのための記録再生部6からのステータスデータの転送や、記録再生部6でのリビルドのために使用している。しかし、これに限らず、この使用しないタイムスロットSL1,SL2,SL3,SL4を、入力ポート2,出力ポート3,4,5と記録再生部6との間でのAVデータの転送とは同時に行うことのできない適宜の処理のために使用するようにしてよい。
【0123】
また、本発明は、図1に示した構成のAVサーバに限らず、適宜の種類のAVサーバに適用してよいことはもちろんである。
例えば、2,3または5以上の入出力ポートを有するAVサーバに本発明を適用してもよい。
また例えば、MPEG以外の符号化方式でAVデータを圧縮・伸長するAVサーバに本発明を適用してもよい。
また例えば、1つのポートが入力ポートとしての機能と出力ポートとしての機能とを併有するAVサーバに本発明を適用してもよい。
また例えば、RAID技術を用いないHDDにAVデータを記録するAVサーバや、HD以外のノンリニアアクセス可能な記録媒体(例えば半導体メモリや光ディスク)にAVデータを記録するAVサーバに本発明を適用してもよい。
また例えば、AVデータを記録・再生する機能に加えてAVデータを編集する機能を備えたAVサーバに本発明を適用してもよい。
【0124】
また、本発明は、AVサーバ以外の、ノンリニアアクセス可能な記録媒体を用いてデータの記録・再生を行う記録再生手段を有するとともに複数の入力部及び出力部がそれぞれ割り当てられたタイムスロット内に記録再生手段との間でデータの転送を行う適宜の種類のデータ記録再生装置にも適用してよい。
また、本発明は、以上の例に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、その他様々の構成をとりうることはもちろんである。
【0125】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るデータ記録再生装置によれば、全ての入力部及び出力部が動作しているときにも、各入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットを用意することなく、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを、定期的に記録再生手段に転送したり記録再生手段から転送させたりすることができるという効果が得られる。
【0128】
また、全ての入力部及び出力部が動作しているときにも、各入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットを用意することなく、非同期転送手段と記録再生手段との間のデータ転送が定期的に行われるという効果も得られる。
【0129】
また、全ての入力部及び出力部が動作しているときにも、各入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットを用意することなく、メンテナンスのための記録再生手段からのステータスデータの転送が定期的に行われるという効果も得られる。
【0130】
また、入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットが用意されなくなるので、その分、スロット周期を短くして、各入力部及び出力部のタイムスロットの待ち時間を短くすることができるという効果も得られる。したがって、例えばAVサーバにおいては、スロー再生や可変速再生やシャトルサーチ時に、フレーム更新率が向上するのでその応答性を改善できるようになる。
【0131】
次に、本発明に係るタイムスロットの使用方法によれば、本発明に係るデータ記録再生装置におけると同様に、全ての入力部及び出力部が動作しているときにも、各入力部及び出力部に割り当てるタイムスロット以外にタイムスロットを用意することなく、入力部及び出力部が入出力するデータ以外のデータを、定期的に記録再生手段に転送したり記録再生手段から転送させたりすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したAVサーバの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の記録再生部6の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1のタイミング管理部7からのタイムスロット信号によるタイムスロットの一例を示す図である。
【図4】図1の入力ポート2及び出力ポート3,4,5と記録再生部6との間でのAVデータの転送レートの一例を示す図である。
【図5】従来のAVサーバの入力ポート及び出力ポートと記録再生部との間でのAVデータの転送レートを示す図である。
【図6】図1の制御器2C,3C,4C,5Cがタイムスロットの使用に関して実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図1の制御器9がタイムスロットの使用に関して実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図1の制御器9がタイムスロットの使用に関して実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】従来のAVサーバのタイムスロットの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 AVサーバ、 2 入力ポート、 2A 圧縮器、 2B,3B,4B,5B,10C,25 バッファメモリ、 2C,3C,4C,5C,9,10D制御器、 3,4,5 出力ポート、 3A,4A,5A 復号器、 6 記録再生部、 7 タイミング管理部、 8 ファイルシステム、 10 非同期転送部、 10A エンコーダ、 10B デコーダ、 11 下りバス、 12 上りバス、 13 制御バス、 21,23 HDD、 22,24 ディスクアレイコントローラ

Claims (5)

  1. ノンリニアアクセス可能な記録媒体を用いてデータの記録及び/または再生を行う記録再生手段と、
    外部からデータを入力して前記記録再生手段に転送する少なくとも1つの入力部と、前記記録再生手段から転送されたデータを外部に出力する少なくとも1つの出力部とを有し、前記入力部及び前記出力部は、それぞれ前記記録再生手段との間で転送されるデータを一時的に記憶する記憶手段を含んでいる入出力処理手段と、
    前記入力部及び前記出力部に、それぞれ前記記録再生手段との間でのデータの転送を行うタイムスロットを割り当てる割当手段と、
    前記割当手段により前記入力部に割り当てられたタイムスロットのうち、該入力部内の前記記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段に送られる所定のデータ量以上であるタイムスロット内に、該記憶手段に記憶された該所定のデータ量のデータを圧縮して該入力部から前記記録再生手段に転送を行わせ、前記記憶手段のデータ記憶量が該所定のデータ量未満であるタイムスロットでは、該入力部から前記記録再生手段へのデータの転送を行わせない制御と、前記割当手段により前記出力部に割り当てられたタイムスロットのうち、該出力部内の前記記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段から読み出す所定のデータ量未満であるタイムスロット内に、該所定のデータ量のデータを伸張して前記記録再生手段から該出力部に転送を行わせ、前記記憶手段のデータ記憶量が該所定のデータ量以上であるタイムスロットでは、前記記録再生手段から該出力部へのデータの転送を行わせない制御とのうちの少なくともいずれか一方を行う第1の制御手段と、
    前記第1の制御手段が前記入力部及び前記出力部のいずれかに前記記録再生手段との間でのデータの転送を行わせないタイムスロット内に、前記入力部及び前記出力部が入出力するデータ以外のデータを前記記録再生手段に転送及び/または前記記録再生手段から転送させる第2の制御手段と
    を備えたことを特徴とするデータ記録再生装置。
  2. 請求項1に記載のデータ記録再生装置において、
    前記入力部及び前記出力部は、リアルタイム性を要するデータの入出力を行うものであり、
    リアルタイム性を要しないデータの入出力及び前記記録再生手段との間での転送を行う非同期転送手段をさらに備えており、
    前記第2の制御手段は、前記第1の制御手段が前記入力部及び前記出力部のいずれかと前記記録再生手段との間でのデータの転送を行わせないタイムスロット内に、前記非同期転送手段に前記記録再生手段との間でのデータの転送を行わせる
    ことを特徴とするデータ記録再生装置。
  3. 請求項1に記載のデータ記録再生装置において、
    前記記録再生手段は、RAID技術を用いたディスクアレイシステムであり、
    前記第2の制御手段は、前記第1の制御手段が前記入力部及び前記出力部のいずれかと前記記録再生手段との間でのデータの転送を行わせないタイムスロット内に、前記記録再生手段のメンテナンスを行うために該記録再生手段からステータスを示すデータを転送させる
    ことを特徴とするデータ記録再生装置。
  4. 請求項1に記載のデータ記録再生装置において、
    前記割当手段は、前記入力部及び前記出力部にのみタイムスロットを割り当てる
    ことを特徴とするデータ記録再生装置。
  5. ノンリニアアクセス可能な記録媒体を用いてデータの記録及び/または再生を行う記録再生手段と、
    外部からデータを入力して前記記録再生手段に転送する少なくとも1つの入力部と、前記記録再生手段から転送されたデータを外部に出力する少なくとも1つの出力部とを有し、前記入力部及び前記出力部は、それぞれ前記記録再生手段との間で転送されるデータを一時的に記憶する記憶手段を含んでいる入出力処理手段と
    を備えたデータ記録再生装置におけるタイムスロットの使用方法において、
    前記入力部及び前記出力部に、それぞれ前記記録再生手段との間でのデータの転送を行うタイムスロットを割り当てる第1ステップと、
    前記第1ステップで前記入力部に割り当てたタイムスロットのうち、該入力部内の前記記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段に送られる所定のデータ量以上であるタイムスロット内に、該記憶手段に記憶された該所定のデータ量のデータを圧縮して該入力部から前記記録再生手段に転送を行わせ、前記記憶手段のデータ記憶量が該所定のデータ量未満であるタイムスロットでは、該入力部から前記記録再生手段へのデータの転送を行わせない制御と、前記第1ステップで前記出力部に割り当てられたタイムスロットのうち、該出力部内の前記記憶手段のデータ記憶量が、該タイムスロットのスロット周期よりも長い期間に該記憶手段から読み出す所定のデータ量未満であるタイムスロット内に、該所定のデータ量のデータを伸張して前記記録再生手段から該出力部に転送を行わせ、前記記憶手段のデータ記憶量が該所定のデータ量以上であるタイムスロットでは、前記記録再生手段から該出力部へのデータの転送を行わせない制御とのうちの少なくともいずれか一方を行う第2ステップと、
    前記第2ステップで前記入力部及び前記出力部のいずれかと前記記録再生手段との間でのデータの転送を行わせないタイムスロット内に、前記入力部及び前記出力部が入出力するデータ以外のデータを前記記録再生手段に転送及び/または前記記録再生手段から転送させる第3ステップと
    を有することを特徴とするデータ記録再生装置におけるタイムスロットの使用方法。
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