JP4269198B2 - ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアリ−レンサルファイド樹脂固有の耐熱性、耐薬品性といった特長を保持したまま、エポキシ樹脂硬化物との密着性が大幅に改良されたポリアリ−レンサルファイド樹脂組成物に関し、具体的には、ポリアリ−レンサルファイド樹脂成形体をコイルケースとし、該ケース内でイグニッションコイルをエポキシ樹脂組成物で封止した自動車用イグニッションコイル用ケース、更に、点火プラグとイグニッションコイルとが一体化した、いわゆるディストリビュータレスイグニッションシステム(以下、「DLIシステム」と略記する。)におけるコイルケース、その他エポキシ樹脂封止型の半導体素子などの電子部品や電気部品などの幅広い分野で有用なポリアリ−レンサルファイド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアリ−レンサルファイド(以下、「PAS」と略記する)樹脂は卓越した耐熱性、耐薬品性を有するエンジニアリングプラスチックスとして近年注目されている。
【0003】
昨今これらの優れた特長を生かして、PAS樹脂組成物でケ−シングなどの成形体を射出成形し、その後該成形体中で、電子部品、その他各種素子をエポキシ樹脂で封入して得られる電気、電子部品、特にDLIシステムにおけるコイル部分への適用に際して、PAS樹脂製ケ−シング中に半導体素子やコイル等を装着、固定した後に未硬化のエポキシ樹脂を流し込み、その後加熱等により該エポキシ樹脂を硬化させて当該電気、電子部品とする技術が検討されている。
【0004】
PAS樹脂をこの様な用途に用いる場合は、PAS樹脂本来の長期耐熱性や耐薬品性に加え、特に広範囲な使用環境温度下で長期に亘りエポキシ樹脂との密着性に優れること、すなわち、PAS樹脂成形体を用いたエポキシ樹脂封入部品を、例えば−40℃程度から140℃程度の温度範囲で繰り返し使用しても、封入されたエポキシ樹脂とPAS樹脂成形体の界面で剥離が起こらない性能が求められる。しかし、PAS樹脂は本来エポキシ樹脂との密着性に劣り、更にガラス繊維等で強化した場合でも脆弱であるため、本用途での使用に耐えないものであった。
【0005】
そこで、PAS樹脂とエポキシ樹脂との密着性を改善する技術として、例えば、特開平9−3326号公報には、PAS樹脂にα−オレフィン/α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体とカルボン酸アマイド系ワックスを含有させることにより、冷熱時のエポキシ樹脂とPAS樹脂との界面応力を緩和させて密着性を改善する方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記特開平9−3326号公報記載の樹脂組成物においても、エポキシ樹脂硬化物との密着性は依然不十分であり、また、冷熱時にクラックが発生したりして、未だ実用的に使用に耐えるレベルに至っていないのが現状であった。
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、PAS樹脂固有の優れた耐熱性、耐薬品性等を損なうことなく、冷熱時のエポキシ密着性を飛躍的に改善させること、更に、耐衝撃性改質樹脂を併用することにより、冷熱時の耐クラック性を大幅に向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、PAS樹脂に対し、ビスフェノール型エポキシ樹脂とオキサゾリン基含有非晶性ポリマーとを含有せしめることにより、エポキシ密着性が飛躍的に改善されること、更に、PAS樹脂に対し、ビスフェノール型エポキシ樹脂とオキサゾリン基含有共重合体と耐衝撃性改質剤とを含有させることにより、エポキシ密着性と共に、従来にない冷熱時の耐クラック性を発現できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、ポリアリーレンサルファイド樹脂(A)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)オキサゾリン基含有非晶性ポリマー(C)及び耐衝撃性改質樹脂(D)を必須成分とするポリアリーレンサルファイド樹脂組成物であって、前記耐衝撃性改質樹脂(D)が酸基又はエポキシ基含有ビニル系重合体(d1)、及び、酸基又はエポキシ基含有ゴム質重合体(d2)から選択される樹脂成分であることを特徴とするポリアリーレンサルファイド樹脂組成物に関する。
【0010】
本発明に使用するポリアリーレンサルファイド樹脂(A)としては、特に制限されるものではないが、一般式1〔−Ar−S−〕(式中、−Ar−は少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族基を示す)で示される繰り返し単位を主要構造単位として有するものであり、特に、前記一般式1で示される構造単位を70モル%以上含有するものが、耐熱性と耐薬品性とに優れる点から好ましい。
【0011】
この一般式1で示される構造単位を70モル%以上含有するものなかでも特に、一般式2〔−φ−S−〕(但し、−φ−はp−フェニレン基を示す)で表わされる繰り返し単位を有する、ポリフェニレンスルフィド(以下、「PPS」と略記する)が好ましく、とりわけ一般式2で表わされる繰り返し単位を、70モル%以上含有するポリマ−が、特に結晶性ポリマ−としての特徴である十分な強度が得られ、かつ、靭性、耐薬品性にも優れる点から好ましい。
【0012】
ここで、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)中に含有される、前記一般式1で示される構造単位との共重合成分としては、下記に示すようなメタ結合、エーテル結合、スルホン結合、スルフィドケトン結合、ビフェニル結合、置換フェニルスルフィド結合、3官能フェニルスルフィド、ナフチル結合等が挙げられる。共重合体成分の含有率は、30モル%未満が好ましいが、3官能性以上の結合を含有させる場合の含有率は、5モル%以下、中でも3モル%以下であることが好ましい。
【0013】
【化2】
Figure 0004269198
【0014】
【化3】
Figure 0004269198
【0015】
【化4】
Figure 0004269198
【0016】
【化5】
Figure 0004269198
【0017】
【化6】
Figure 0004269198
【0018】
【化7】
Figure 0004269198
【0019】
【化8】
Figure 0004269198
(式中、Rはアルキル基、ニトロ基、フェニル基又はアルコキシ基を表す。)
【0020】
【化9】
Figure 0004269198
【0021】
【化10】
Figure 0004269198
【0022】
また、本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、特に(B)成分や(C)成分との反応性に優れ、冷熱時のエポキシ密着性を飛躍的に高めることができる点から、
△HClが10μmol/g以下、△NaOHが5〜30μmol/gで、かつ、(△NaOH−△HCl)≧5μmol/gであることが、(B)及び(C)成分の分散性が良好で、冷熱時のエポキシ密着性が一層良好なものとなり好ましい。
【0023】
ここで、△HCl、△NaOH及び(△NaOH−△HCl)は以下の様にして測定される値である。
[測定方法:
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)10gを1mol/lのHCl10mlを加えて攪拌し、その後濾過する。次いでHClが検出されなくなるまで水洗を繰り返し、水洗で用いた濾液を全て回収し、該濾液中のHClをNaOHで滴定し、消費されたHClのモル数を△HClとする。
次いで、水洗後のポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を再度蒸留水に分散させ、そこに1mol/lNaOH10mlを加えて攪拌する。攪拌後濾過し、NaOHが検出されなくなるまで水洗を繰り返す。水洗で用いた濾液を全て回収し、該濾液中のNaOHをHClで滴定し、消費されたNaOHのモル数を△NaOHとする。尚、△NaOH−△HClは、この様にしてもとめた△NaOHと△HClの差である。]
【0024】
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、末端チオール基の濃度が5〜50μモル/gの範囲であることが、(B)及び(C)成分との反応性が良好で分散性に優れると共に、流動性に優れ成形性が良好となる点から好ましい。即ち、5μモル/g以上においては、分散性により優れたものとなり、また、50μモル/g以下においては流動性に優れたものとなる。
【0025】
尚、本発明における末端チオール基濃度の測定方法は、ヨードアセトアミド法により定量することができる。ここで、ヨードアセトアミド法とは、PAS樹脂を一旦塩酸等により全て酸性化してチオ−ル基とし、その後全末端チオ−ル基とヨ−ドアセトアミドとの加熱下での反応により沃素を生成させて、酸性化に費やされた酸のモル数とUV分光法により定量された沃素のモル数から、初期段階でポリマ−中存在した末端チオ−ル基を算出するものである。
【0026】
具体的測定方法としては、具体的には、以下の方法が挙げられる。
[測定方法:
粉末状のポリマ−サンプル10mg〜1g程度を精秤し、密栓型試験管に入れ、アセトン1mlと純水3mlを加え、更に希塩酸を加えて撹拌後、濾別した濾液をNaOH水溶液により逆滴定して末端酸性化に消費された塩酸のモル数を測定する。次いで濾別されたポリマ−サンプルを純水にて30分間洗浄し、アセトン2.5mlおよびヨードアセトアミド50mモルからなるアセトン溶液2.5mlを加え、密栓し、100℃で60分間加熱し、水冷し、開栓し、それから液相部を分離し、紫外線吸光度計を用いて、450nmの吸光度(I2の吸光度)を測定する。前もってモデルチオール化合物「Cl−C6H4-SH」に関して作製しておいた検量線を用いて吸光度から酸性化後の全末端チオール基濃度を算出する(サンプル量はアセトンスラリー中のチオール基の濃度が0.1〜0.3mモルの範囲になるように適当に選ぶことが好ましい。)。この酸性化後の全末端チオ−ル基濃度から末端酸性化に費やされた塩酸のモル数を差し引いたモル数が、求めるべきPAS樹脂の末端チオ−ル基となる。同一粉末状サンプルにつき3回づつ測定を行って、末端チオール基濃度の平均値を求める。]
【0027】
本発明で用いるポリアリーレンサルファイド樹脂(A)は、実質的に線状で分岐又は架橋構造を有しない分子構造、或いは、分岐や架橋を有する構造の何れでもよいが、実質的に線状構造を有するものが、反応性、相溶性等の点から好ましい。
【0028】
この様なポリアリーレンサルファイド樹脂(A)の重合方法としては、特に限定されるものではないが、求核置換反応による重合として、方法(1)として、ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリとを反応させる方法があり、具体的には、
(1)−1:p−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、
(1)−2:p−ジクロルベンゼンを、極性溶媒中で、硫化ナトリウムと反応させる方法、
(1)−3:p−ジクロルベンゼンを、極性溶媒中で、水硫化ナトリウム及び水酸化ナトリウムと反応させる方法、
(1)−4:p−ジクロルベンゼンを、極性溶媒中で、硫化水素と水酸化ナトリウムの存在下で重合させる方法、が挙げられ、また、方法(2)として、p−クロルチオフェノール等のチオフェノ−ル類を炭酸カリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ触媒又は沃化銅等の銅塩の共存下で自己縮合させる方法が挙げられる。また、方法(1)にて使用し得る極性溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤やスルホラン等が挙げられる。
【0029】
また、求電子置換反応による重合として、(3)ベンゼン等の芳香族化合物をフリ−デルクラフツ反応によりルイス酸触媒存在下塩化硫黄と縮合させる方法等が挙げられる。
【0030】
これらのなかでも特に、ポリアリーレンサルファイド樹脂(A)の分子量が高くなり、かつ、収率が高くなる点から(1)−2の方法が好ましく、具体的には、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が最も適当である。また、該方法(1)−2においては、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加したりすることが好ましい。
【0031】
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、実質的に線状構造を有するものが、反応性、相溶性等の点から好ましい。実質的に線状構造を有するPAS樹脂を製造する方法は、特に特定されないが、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどの有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物及び酢酸リチウム等の有機アルカリ金属カルボン酸塩を反応させる方法や有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を反応させるにおいて重合反応途中で多量の水を添加しつつ且つ同時に重合温度を上昇させる水添加二段重合法などで代表される製造方法が挙げられる。
【0032】
本発明で好適に使用される実質的に線状構造を有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、酸処理の後洗浄されたものであることが特に好ましい。
【0033】
この酸処理に使用される酸としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を分解する作用を有するものでなければ特に制限はないが、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸、プロピル酸等を挙げることができ、なかでも酢酸、塩酸が好ましく使用される。酸処理の方法としては、酸または酸水溶液にポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を浸漬する方法等がある。この際、必要に応じ撹拌または加熱することができる。例えば、酢酸により酸処理する場合、pH4の水溶液を80〜90℃に加熱した中にPAS樹脂を浸漬し、30分間撹拌することにより、十分な効果が得られる。酸処理されたPAS樹脂は、残存している酸または塩等を物理的に除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。このときに使用される水としては、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
【0034】
上記酸処理には、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の粉粒体を用いても、或いは重合後のスラリ−状態にあるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)をそのまま酸処理に供してもよい。
【0035】
次に、本発明で用いるビスフェノール型エポキシ樹脂(B)は、エポキシ樹脂硬化物との密着性を飛躍的に向上させる必須の成分であり、また、後述する衝撃性改質樹脂(D)を併用する場合には、該(D)成分の分散性も著しく向上するものである。
【0036】
この様なビスフェノール型エポキシ樹脂(B)としては、特に制限されるものでなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノ−ルAF型エポキシ樹脂及びビスフェノ−ルAD型エポキシ樹脂の何れであってもよいが、本発明においては、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合に、エポキシ接着性が飛躍的に向上するため好ましい。
【0037】
このビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、具体的にはビスフェノ−ルAのグリシジルエーテル、及び、該グリジシジルエーテルを更にビスフェノールAで高分子量化した構造のものが挙げられる。
【0038】
このビスフェノール型エポキシ樹脂(B)としては、特に、組成物中の成形加工性、相溶性が良好である点からエポキシ当量150〜2100g/eqの範囲であることが好ましい。とりわけ成形加工性の点から700〜2100g/eqの範囲が好ましい。
【0039】
次に、本発明において必須の成分として用いられるオキサゾリン基含有非晶性ポリマー(C)は、上記(B)成分と同様にエポキシ樹脂硬化物との密着性を飛躍的に向上させ、また、後述する耐衝撃性改質樹脂(D)の分散性をも向上させるものである。即ち、本発明においては、(B)成分と(C)成分とを併用することにより従来にない優れたエポキシ接着性を発現するのである。また、オキサゾリン基含有非晶性ポリマー(C)は、特にPAS樹脂中での耐衝撃性改質樹脂(D)の微細分散化に効果を発現して樹脂組成物全体の冷熱衝撃性を向上させるという効果を奏する。
【0040】
ここでオキサゾリン基含有非晶性ポリマー(C)とは、ガラス転移点又は融点以上の温度条件で液化した状態から冷却により固化させた状態であって、かつ、200℃以下の温度領域内で非晶領域を80重量%以上含有するポリマーをいう。
具体的にはオキサゾリニル基含有重合性不飽和モノマ−の単独重合体、及び該モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。
【0041】
ここで、オキサゾリニル基含有重合性不飽和モノマーとしては、ビニルオキサゾリンが好ましい。また、該オキサゾリニル基含有重合性不飽和モノマーと共重合し得るその他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン等の芳香族ビニル、アクリロニトリル等のシアン化ビニルや酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸またはその誘導体成分、さらにエチレンプロピレン等のα−オレフィンやブタジエン、イソプレン等のジエン成分が挙げられる。
これらの中でも特に、相溶性の点からスチレン、アクリロニトリルが好ましい。
【0042】
また、オキサゾリニル基含有重合性不飽和モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとの共重合体としては、上記単量体成分から選択される二元共重合体又は三元共重合体であることが好ましく、具体的には、ビニルオキサゾリンと、スチレン及び/又はアクリロニトリルであることが好ましい。
【0043】
本発明においては、上記(A)〜(C)の各成分に加え、更に、耐衝撃性改質樹脂(D)を併用することにより、成形物の靭性が飛躍的に改善され、エポキシ密着性が飛躍的に向上する他、前述した通り、熱衝撃時の耐クラック性を大幅に改善できる。
【0044】
耐衝撃性改質樹脂(D)としては、特に限定されるものではないが、特に、酸基又はエポキシ基含有ビニル系重合体(d1)、及び、酸基又はエポキシ基含有ゴム質重合体(d2)であることが熱衝撃に対する耐クラック性に優れる点から好ましい。
【0045】
また、酸基又はエポキシ基含有ビニル系重合体(d1)としては、特に制限されないが、酸基若しくはエポキシ基含有α−ポリオレフィン(d1−1)、又は、酸基若しくはエポキシ基含有α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル重合体(d1−2)が挙げられる。
【0046】
ここで、酸基若しくはエポキシ基含有α−ポリオレフィン(d1−1)としては、特に限定されないが、α−オレフィン、及びα,β−不飽和カルボン酸若しくはその無水物の共重合体、α−オレフィン、α,β−不飽和カルボン酸若しくはその無水物、及びα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルの共重合体、α−オレフィン、及びα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとの共重合体、α−オレフィン、α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル、及びα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルの共重合体が挙げられる。
【0047】
ここで、α−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1及びこれらの混合物等が含まれるが、特にエチレンが好ましい。
【0048】
また、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クリトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸及びその無水物などがあり、特に無水マレイン酸、無水コハク酸が好ましく使用される。
【0049】
次に、α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとは、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどであり、特にメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
【0050】
また、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルは、例えば炭素数3〜8個の不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸等のアルキルエステルが挙げられ、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸イソブチル等が挙げられ、これらのうち特にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルが好ましい。
【0051】
α−オレフィンに対する、各単量体成分の変性割合は、特に制限されるものではないが、該共重合体中の変性部位を各単量体重量に換算し、共重合体重量に対する割合として、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその無水物の場合、10重量%以下、好ましくは0.1〜5重量%共重合であることが好ましく、α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルの場合、0.1〜15重量%、なかでも0.5〜10重量%の範囲が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルを併用する場合は5〜35重量%の範囲が好ましい。
【0052】
次に、酸基若しくはエポキシ基含有α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル重合体(d1−2)は、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル重合体に酸基またはエポキシ基を導入した構造を有するものであり、具体的にはα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルに対し、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその無水物またはα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルを共重合した構造のものが挙げられる。
【0053】
ここで、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、上記したものが何れも使用でき、例えば炭素原子数3〜8個の不飽和カルボン酸、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸等のアルキルエステルが挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、併用してもよい。なかでも、特にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルが好ましい。
【0054】
次に、これらα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルと共重合させる、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリリ酸、クリトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸及びその無水物などが挙げられ、特に無水マレイン酸、無水コハク酸が好ましい。
【0055】
また、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルと共重合させる、α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとは、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどが挙げられ、特にメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
【0056】
α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルと共重合させる、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその無水物又はα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルの変性割合としては、得られる共重合体中の共重合成分構成部位を単量体重量に換算した際の、該重合体に対する比率で、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその無水物の場合、0.01〜10重量%、中でも0.05〜5重量%の範囲、α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルの場合、0.1〜15重量%、中でも0.5〜10重量%の範囲が好ましい。
【0057】
次に、酸基又はエポキシ基含有ゴム質重合体(d2)としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸基若しくはエポキシ基を含有する、共役ジエンと芳香族ビニル系単量体との共重合体の水添物が好ましい。具体的には、共役ジエンと芳香族ビニル系単量体との水添共重合体に、α,β−不飽和カルボン酸若しくはその無水物又はα,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルをグラフト共重合した構造を有するものが挙げられる。
【0058】
ここで、共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素の水添共重合体とは、共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素とのブロック共重合体またはランダム共重合体であって、かつ、その少なくとも80%が水素添加により還元されているものである。
この場合、なかでも共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素とのブロック共重合体が好ましく用いられる。尚、本発明においては、水素添加により還元される不飽和結合として、芳香核の二重結合は含まれない。
【0059】
ここで、共役ジエンとしては、1、3−ブタジエン、イソプレン、1、3−ペンタジエンなどが挙げられ、なかでも、1、3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0060】
芳香族ビニル炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1、3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、なかでもスチレンが好ましい。
【0061】
共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素の水添共重合体の具体例としては、スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック水添共重合体、スチレン/イソプレン/スチレントリブロック水添共重合体などが挙げられるが、なかでもクラック防止効果が顕著である点からスチレン/ブタジエン/スチレントリブロック水添共重合体が好ましい。
【0062】
詳述した水添共重合体にグラフト共重合させるα,β−不飽和カルボン酸もしくはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリリ酸、クリトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸及びその無水物などが挙げられ、特に無水マレイン酸、無水コハク酸が好ましい。
【0063】
α,β−不飽和カルボン酸グリシジルとは、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどが挙げられ、特にメタクリル酸グリシジルが好ましい。
【0064】
水添物(d2)中の、酸基若しくはエポキシ基の含有量としては、特に制限されるものではないが、該水添物(d2)中の官能基量を原料単量体量に換算した場合の、水添物(d2)に対する割合で、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその無水物の場合、0.01〜10重量%、なかでも0.05〜5重量%の範囲であることが好ましく、α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルに場合、0.1〜15重量%、なかでも0.5〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0065】
上記した酸基又はエポキシ基含有ビニル系重合体(d1)、及び酸基又はエポキシ基含有ゴム質重合体(d2)のなかでも、特に、官能基として酸基を持つものがエポキシ接着性や耐クラック性に著しく優れる点からこのましく、特に酸基含有のビニル系重合体(d1)、なかでも酸基含有α−オレフィン(d1−1)、とりわけα−オレフィン、α,β−不飽和カルボン酸若しくはその無水物及びα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルの共重合体が、当該効果が顕著なものとなり好ましい。
【0066】
本発明の組成物における上記した各成分の含有比率としては、特に制限されるものではないが、樹脂組成物の合計に対し、ポリアリ−レンサルファイド樹脂(A)が30〜90重量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(B)が1〜10重量%及びオキサゾリン基含有重合体(C)が1〜20重量%となる範囲であることが本発明の効果が顕著なものとなり好ましい。また、エポキシ密着性及び耐クラック性改善の点から耐衝撃性改質成分(D)を併用する場合には、組成物中0.5〜20重量%となる範囲であることが好ましい。
【0067】
本発明においては、上記(A)〜(C)成分、又は、(A)〜(D)成分に加え、さらに繊維状強化材(E)を含有させることが好ましい。
【0068】
繊維状強化材は、本発明の目的を達し、且つ用途に適合すれば特に限定されないが、具体的にはガラス繊維、炭素繊維、酸化亜鉛ウイスカ、アスベスト繊維、シリカ繊維、ほう酸アルミウイスカ、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真ちゅう等の金属の繊維状物の無機質繊維状物質、並びに、アラミド繊維、ポリアミド、フッ素樹脂及びアクリル樹脂等の高融点有機質繊維状物質等が挙げられるが、中でもガラス繊維が好ましい。
【0069】
繊維状強化材(E)の添加量は、特に制限さればいが、樹脂組成物中5〜50重量%の範囲が好ましい。
【0070】
繊維状強化材(E)は冷熱時の耐クラック性向上のため好適に使用され、繊維状強化材を含むことにより、冷熱時のPAS樹脂自身の熱伸縮に起因した応力に耐え得る強度が発現され、冷熱時におけるPAS樹脂製成形物のクラック発生が、より一層抑止される。
【0071】
また本発明の組成物は、さらにシラン化合物(F)を含有させることにより、PAS樹脂(A)とオキサゾリン基含有重合体(C)との相溶性、更に耐衝撃性改質樹脂(D)との相溶性を一層向上させることができる。特に、シラン化合物(F)はPAS樹脂中での耐衝撃性改質樹脂(D)を良好に微細分散させ、樹脂組成物全体の耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
【0072】
この様なシラン化合物(F)は、有機官能基及び珪素原子を構造中に含有するシランカップリング剤が何れも使用できるが、なかでもエポキシ基を含むアルコキシシラン又はフェノキシシラン、アミノ基を含むアルコキシシラン又はフェノキシシラン、或は、イソシアネ−ト基を含むアルコキシシラン又はフェノキシシランが好ましい。これらは単独で使用してもよいし、または、2種以上を併用してもよい。
【0073】
エポキシアルコキシシラン又はエポキシフェノキシシランとしては、1分子中にエポキシ基を1個以上有し、アルコキシ基又はフェノキシ基を2個あるいは3個有するシラン化合物が好ましく、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0074】
アミノアルコキシシラン又はアミノフェノキシシランとしては、1分子中にアミノ基を1個以上有し、アルコキシ基又はフェノキシ基を2個あるいは3個有するシラン化合物が好ましく、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリフェノキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0075】
イソシアネ−トアルコキシシラン又はイソシアネ−トフェノキシシランとしては、1分子中にイソシアネ−ト基を1個以上有し、アルコキシ基又はフェノキシ基を2個あるいは3個有するシラン化合物が好ましく、例えば、イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン、イソシアネ−トプロピルトリフェノキシシラン、イソシアネ−トプロピルトリメトキシシラン、イソシアネ−トプロピルメチリルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0076】
シラン化合物(F)の添加量は、樹脂組成物中、0.01〜3.0重量%となる範囲が好ましい。
【0077】
本発明の組成物は、上記各成分に加え、さらに多価アルコ−ルの高級脂肪酸エステル(G)を併用することが、金型からの型離れを良好とする離型剤としての役割と同時に、樹脂組成物のエポキシ樹脂との密着性を向上させる点から好ましい。
【0078】
ここで言う多価アルコ−ルとは、分子内に2個以上のヒドロキシ基を有するアルコ−ルを指し、また高級脂肪酸とは炭素数8〜45の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸が好ましい。
【0079】
多価アルコ−ルの高級脂肪酸エステル(G)の具体例としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸及びパルミチン酸などの脂肪酸と、エチレングルコ−ル、グリセリン、2−メチルプロパン−1.2.3.−トリオ−ル及びペンタエリスリト−ルなどの多価アルコ−ルとのエステル及びその分岐ポリエステルオリゴマ−などが挙げられる。
【0080】
多価アルコ−ルの高級脂肪酸エステル(G)の添加量は、樹脂組成物の合計に対し、0.01〜3.0重量%の範囲が好適である。
【0081】
さらに、PAS樹脂の高い加工温度に耐えるための耐熱分解性に優れるという点で、好ましくは、エチレングルコ−ル、2−メチルプロパン−1.2.3.−トリオ−ル又はペンタエリスリト−ルのモンタン酸エステル及びその分岐ポリエステルオリゴマ−を添加することができる。
【0082】
また本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、無機フィラ−を併用してもよい。無機フィラ−としては、炭化珪素、窒化ホウ素、各種金属粉末、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレ−、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルパルジャイト、ウオラストナイト、PMF、フェライト、硅酸アルミニウム、硅酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石膏、ガラスビ−ズ、ガラスパウダ−、ガラスバル−ン、石英、シリカ、石英ガラス等を挙げることができる。
【0083】
また本発明の組成物には、本発明の目的を損わない範囲で下記の如きその他の重合体を混合して使用できる。その他の重合体としては、例えばエチレン、ブチレン、ペンテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの単量体の単独重合体または共重合体、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト等のポリエステル、ポリアセタ−ル、ポリカ−ボネ−ト、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリルサルホン、ポリエ−テルサルホン、ポリア−リレ−ト、ポリフェニレンオキシド、ポリエ−テルケトン、ポリエ−テルエ−テルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエ−テルイミド、シリコ−ン樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマ−、ポリアリ−ルエ−テルなどの単独重合体、ランダム共重合体またはブロック共重合体、グラフト共重合体等を挙げることができる。
【0084】
また、本発明の組成物には、可塑剤、少量の離型剤、着色剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0085】
本発明の組成物は、公知の方法で調製が可能である。
例えば、PAS樹脂(A)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(B)及びオキサゾリン基含有重合体(C)と、必要に応じ更に、耐衝撃性改質樹脂(D)及びその他の原料とをタンブラー又はヘンシェルミキサーのような混合機で均一に混合の後、1軸又は2軸押出混練機に供給して200℃〜350℃の温度範囲下で溶融混練し、ペレットとして本発明の組成物を得る方法が挙げられる。
【0086】
本発明の組成物は、特にエポキシ樹脂硬化物との密着性に極めて優れるが、ここで言うエポキシ樹脂硬化物とは、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤とを硬化反応させて得られる硬化物である。
【0087】
ここで、エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルF、ビスフェノ−ルS、ビスフェノ−ルAF、ビスフェノ−ルAD、4、4−ジヒドロキシビフェニ−ル、レゾルシン、サリゲニン、トリヒドロキシジフェニルジメチルメタン、テトラフェニロ−ルメタン、これらのハロゲン置換体及びアルキル基置換体、ブタンジオ−ル、エチレングリコ−ル、エリスリット、ノボラック、グリセリン、ポリオキシアルキレン等のヒドロキシル基を分子内に2個以上含有する化合物とエピクロルヒドリン等から合成されるグルシジルエ−テル系、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系、アニリン、ジアミノジフェニルメタン、メタキシリレンジアミン、1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の第一または第二アミンとエピクロルヒドリン等から合成されるグルシジルアミン系、等等のグルシジルエポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の非グリシジルエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独または2種以上の混合物として使用される。
【0088】
またこれらのエポキシ樹脂は、前記した通り、硬化剤により硬化させて使用され、前述のように電子部品、各種素子をエポキシ樹脂で封入する用途では、例えば未硬化のエポキシ樹脂と硬化剤とを混合後PAS樹脂製ケ−シング中に流し込み、その後加熱等により該エポキシ樹脂を硬化させるのが一般的である。硬化剤としては、アミン類、ポリアミド、アミノ樹脂、酸無水物類、多価フェノ−ル類、フェノ−ル樹脂、多硫化物、イソシアネ−ト等が例示できる。
【0089】
本発明のPAS樹脂組成物は、DLIシステムに利用される自動車用イグニッションコイル用ケースに代表される電気部品、半導体部品などはもちろん、その優れた特性、例えば優れた耐クラック性、耐衝撃性等により種々の用途に利用でき、さらに粉体塗料、溶液型の接着剤、塗料等としても使用できる。
【0090】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、例中の部は重量部を意味する。
尚、以下の参考例で得られるPPSの末端チオール基濃度、対数粘度〔η〕、メルトフローレート、全ナトリウム含有量の測定は以下の通りである。
【0091】
(1)末端チオール基濃度
前述のヨードアセトアミド法に準拠。
【0092】
(2)対数粘度〔η〕
PPSのα−メチルクロルナフタレン溶液(PPS濃度0.4g/100ml)の206℃(400°F)における相対粘度値を測定し、次式により算出。
【0093】
【式1】
〔η〕=ln(相対粘度値)/PPS濃度
【0094】
(3)メルトフロ−レ−ト
ASTM D1238による316℃/5000g荷重下、オリフィス;0.0825±0.002インチ径×0.315±0.001インチ長さでの値。
【0095】
(4)全ナトリウム含有量
ポリマ−を硫酸分解して、原子吸光法により測定。
【0096】
(5)△HCl、△NaOH
ポリマー10gを1mol/lのHCl10mlを加えて攪拌し、その後濾過する。次いでHClが検出されなくなるまで(AgNO3溶液を滴下して白濁しなくなるまで)水洗を繰り返し、水洗で用いた濾液を全て回収し、該濾液中のHClをNaOHで滴定し、消費されたHClのモル数を△HClとした。
次いで、水洗後のポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を再度蒸留水に分散させ、そこに1mol/lNaOH10mlを加えて攪拌する。攪拌後濾過し、NaOHが検出されなくなるまで(フェノールフタレイン溶液を滴下して赤色化しなくなるまで)水洗を繰り返す。水洗で用いた濾液を全て回収し、該濾液中のNaOHをHClで滴定し、消費されたNaOHのモル数を△NaOHとした。
【0097】
参考例1(PPS−1の製造)
オ−トクレ−ブにN−メチルピロリドン 7900gと硫化ナトリウム 3260g(25モル、結晶水40%を含む)、水酸化ナトリウム 4.0gおよび酢酸ナトリウム三水和物 3400g(25モル)とを仕込み、窒素雰囲気下に205℃まで約2時間かけて撹拌しながら徐々に昇温させて、水 1360gを含む1500mlの留出水を除去した。
【0098】
次いで、反応系を150℃に冷却したのちp−ジクロルベンゼン 3750g(25.5モル)とN−メチルピロリドン 2000gを加え、230℃で4時間反応させ、さらに260℃で2時間反応させた。
【0099】
しかるのち、オ−トクレ−ブを冷却して内容物を濾別し、次いでケ−キを70℃の温水で5回洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥せしめて、約2200gの顆粒状のPPSを得た(収率82%)。
【0100】
さらに、この顆粒状のPPS樹脂約2200gを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液 20l中に投入し、約30分間撹拌し続けた後濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄し、120℃で24時間乾燥した。
【0101】
ここに得られたPPSは、末端チオール基濃度が40μモル/g、固有粘度〔η〕0.32、メルトフロ−レ−ト100g/10分、全ナトリウム含有量が250ppm、△HCl=2.0μmol/g、△NaOH=20.0μmol/gであった。これをPPS−1と称す。
【0102】
参考例2(PPS−2の製造)
撹拌機付のオ−トクレ−ブにN−メチルピロリドン 1993gと硫化ナトリウム2.7水塩 537g(4.1モル)、水酸化ナトリウム 1.6g(0.04モル)および安息香酸ナトリウム 144g(1.0モル)とを仕込み、窒素雰囲気下に200℃まで約2時間かけて撹拌しながら徐々に昇温させて102mlの水を留出させた。
【0103】
次いで、反応系を150℃に冷却したのちp−ジクロルベンゼン 603g(4.1モル)と1、2、4−トリクロルベンゼン 1.8g(0.01モル)およびN−メチルピロリドン 310gを加え、230℃で2時間、さらに260℃で3時間反応させたが、この間、重合反応終了時の内圧は 9.5Kg/cm2であった。
【0104】
しかるのち、オートクレーブを冷却して内容物を濾別し、次いでケ−キを熱水で3回洗浄し、さらにアセトンで2回洗浄してから120℃で乾燥せしめて、394gの淡灰褐色をした粒状のPPSを得た(収率=89%)。
【0105】
ここに得られたPPSは、末端チオール基濃度が15μモル/g、対数粘度〔η〕0.25、メルトフロ−レ−ト550g/10分、全ナトリウム含有量が80ppm、△HCl=10.0μmol/g、△NaOH=20.0μmol/gであった。これをPPS−2と称す。
【0106】
参考例3(PPS−3の製造)
撹拌機付の5lオ−トクレ−ブにN−メチルピロリドン 1233gと硫化ナトリウム2.7水塩 636g(5.0モル、分析61.5%)、酢酸リチウム二水和物 510g(5.0モル)及び水 90g(5.0モル)とを仕込み、窒素雰囲気下で205℃において約1時間20分撹拌しながら水 257gを含む留出液290mlを生じた。
【0107】
次いで、反応系を150℃に冷却したのちp−ジクロルベンゼン 750g(5.1モル)をN−メチルピロリドン 400g中に溶解させた溶液を加え、265℃で3時間反応させたが、この間、重合反応終了時の内圧は9.0Kg/cm2であった。
【0108】
しかるのち、オ−トクレ−ブを冷却して内容物を濾別し、次いでケ−キを熱水で3回洗浄し、さらにアセトンで2回洗浄した後、pH 1のHCl水溶液に室温で30分間浸漬後、脱イオン水で洗浄/80℃下減圧乾燥により467gのPPSを得た。(収率=86%)
ここに得られたPPSは、末端チオール基濃度が35μモル/g、固有粘度〔η〕0.25、メルトフロ−レ−ト550g/10分、全ナトリウム含有量が100ppm、△HCl=1.0μmol/g、△NaOH=12.0μmol/gであった。これをPPS−3と称す。
【0109】
実施例1〜10
上記の各参考例で製造したPPS樹脂及び第1表、又は第2表に示す各配合成分を表中に示す割合で均一に混合の後、35mmφの2軸押出機にて300℃で溶融混練しペレットを得た。このペレットをインラインスクリュ−式の3オンス射出成形機を用いシリンダ−温度290℃、金型温度140℃、射出圧力1000Kgf/cm2、射出スピード中速にて、各種特性評価用の成形とテストピ−ス作成し、特性、相溶性を評価した。この結果を第1表及び第2表に示す。ガラス繊維は、10μm径のチョップドストランドを使用した。なお、評価項目は以下のとうりである。
【0110】
<機械的特性>
(1)Izod衝撃強度
ASTM D−256に準拠して、ノッチ無/ノッチ付の両衝撃強度を 1/8inch(厚)×1/2inch(幅)×2.5inch (長)の試片にて測定。
ただし、測定試片数:n=5である。
【0111】
(2)耐クラック性
図1に示すような、金属(S55C)製ブロックを1mm厚みの樹脂層でくるむ形状のインサ−ト成形品を用いて、気相にて「1サイクル;-40゜C/ 1時間〜140゜C/1時間」の冷熱サイクル試験を実施し、PPS外壁層にクラックが発生するサイクル数を記録した。
ただし、測定試片数:n=5である。
【0112】
判定は、全ての試験片のクラック発生サイクル数により、下記の基準で行った。
【0113】
10サイクル未満でクラック発生…ランク「E」
10以上〜100サイクル未満でクラック発生…ランク「D」
100以上〜300サイクル未満でクラック発生…ランク「C」
300以上〜1000サイクル未満でクラック発生…ランク「B」
1000サイクル以上…ランク「A」
【0114】
<相溶性>
フィルムゲ−トによる2mm(厚)×50mm(幅)×100mm(長)のシ−トでの外観を目視にて判定。
【0115】
○…成形品の表面が均一で剥離現象がなく良好。
△…成形品の表面が不均一でパ−ル状光沢がある。
×…成形品の表面が不均一で剥離現象がある。
【0116】
<冷熱衝撃性向上成分分散粒径>
ノッチ 付Izod衝撃試験後試験片を、熱キシレンに浸漬後その破断面を走査型電子顕微鏡にて観察する(2500倍)。
【0117】
<エポキシ接着強度>
25mm(幅)×75mm(長さ)×3mm(厚み)の試験片を成形し、接着面積; 25mm×10mmにて、下述のエポキシ樹脂を厚さ;40−50μmに塗布してクリップにて固定後、 85゜C/3時間→150゜C/3時間→徐冷にて硬化させた。
【0118】
この後、5mm/分の引張速度にて引張せん断強度を測定し、実荷重を記録した。
【0119】
接着強度測定用エポキシ樹脂;
主剤;エピクロン850(大日本インキ化学工業(株)製)/シリカ(充填率50wt.%)
硬化剤;無水ヘキサヒドロフタル酸
主剤/硬化剤=100/30
【0120】
<エポキシポッティング材密着性>
底辺;30mm(幅)×80mm(長さ)の長方形で、高さ;15mmで厚み;2mmの箱型成形品を成形し、上述の接着強度測定に使用のエポキシ樹脂を高さ10mmまで流し込み、同一の条件で硬化後、気相にて「1サイクル;-40゜C/1時間〜140゜C/1時間」の冷熱サイクル試験を実施し、箱型成形品内壁面とエポキシ樹脂界面の剥離までのサイクル数を記録した。
【0121】
判定は以下の基準で行った。
10サイクル未満で剥離発生…ランク「IV」
10以上〜100サイクル未満で剥離発生…ランク「III」
100以上〜300サイクル未満でクラック発生…ランク「II」
300サイクル以上…ランク「I」
【0122】
【表1】
Figure 0004269198
【0123】
【表2】
Figure 0004269198
【0124】
比較例1〜9
各参考例で製造したPPS樹脂と、各配合成分を第3表、第4表中に示す割合で均一に混合の後、35mmφの2軸押出機にて、300℃で溶融混練しペレットを得た。このペレットを用い、実施例1〜10と全く同様の射出成形により、実施例1〜10と同様の項目を評価した。この結果を第3表、第4表に示す。
【0125】
【表3】
Figure 0004269198
【0126】
【表4】
Figure 0004269198
【0127】
(第1表〜第4表中、括弧内数値は重量%を表し、G成分は、多価アルコール高級脂肪酸エステルを表す。また、各略称は以下の通りである。
【0128】
B−1ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂,エポキシ当量2000
B−2;ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂,エポキシ当量190
B−3;ビスフェノ−ルS型エポキシ樹脂,エポキシ当量210(商品名;エピクロン EXA−1514,大日本インキ化学工業(株)製)
B−4;1,6−ジヒドロキシナフタレンのエポキシ化物,エポキシ当量150(商品名;エピクロン XP4032,大日本インキ化学工業(株)製)
以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(B)成分、
【0129】
C−1;ビニルオキサゾリン5wt%含有オキサゾリン/スチレン共重合体
C−2;ビニルオキサゾリン5wt%含有オキサゾリン/スチレン/アクリロニトリル共重合体,スチレン/アクリロニトリル=70/25
以上、オキサゾリン基含有重合体(C)成分、
【0130】
D−1;無水マレイン酸(Maah)グラフトエチレン(Et)プロピレン(PP)共重合体,Et/PP/Maah=58/40/2
D−2;エチレン/エチルアクリレ−ト(EA)/無水マレイン酸三元共重合体,Et/EA/Maah=66/32/2
D−3;エチレン/グリシジルメタクリレ−ト(GMA)共重合体,Et/GMA=88/12
D−4;エチレン/エチルアクリレ−ト/グリシジルメタクリレ−ト三元共重合体,Et/EA/GMA=68/24/8
D−5;無水マレイン酸グラフトスチレン/ブタジエン/スチレンブロック水添共重合体,エチレン・ブテン/スチレン/Maah=68/30/2
D−6;GMA共重合スチレン/ブタジエン/スチレンブロック水添共重合体,エチレン・ブテン/スチレン/GMA=68/30/2
D−7;エチルアクリレ−ト/ブチルアクリレ−ト(BA)/無水マレイン酸共重合体,EA/BA/Maah=62/36/2
D−8;エチルアクリレ−ト/ブチルアクリレ−ト(BA)/グリシジルメタクリレ−ト共重合体,EA/BA/GMA=68/30/2
D−9;エチレン/エチルアクリレ−ト(EA)共重合体,Et/EA=85/15
以上、耐衝撃性改質樹脂(D)
【0131】
F−1;γ−グリシドキシプロピルトリメトトキシシラン
F−2;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
F−3;イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン
以上、シラン化合物(D)
【0132】
G−1;エチレングリコ−ルジモンタネ−ト
G−2;トロメチロ−ルプロパントリモンタネ−ト
G−3;ペンタエリスリト−ルテトラステアレ−ト
以上、多価アルコ−ルの高級脂肪酸エステル(G)
【0133】
その他成分
アマイド系Wax;ステアリン酸及びセバシン酸とエチレンジアミンとの反応生成物であるカルボン酸アマイド系Wax(DSC測定による吸熱ピ−ク;143゜C,エチレンビスステアリルアミド含有率;30wt.%))
【0134】
【発明の効果】
本発明によれば、PAS樹脂固有の優れた耐熱性、耐薬品性等を損なうことなく、冷熱時のエポキシ密着性を飛躍的に改善させること、更に、耐衝撃性改質樹脂を併用することにより、冷熱時の耐クラック性を大幅に向上させることができる。
従って、このような本発明組成物は、エンジニアリングプラスチックスとして優れた物性を備えた実用性の大きい成形材料であり、電子部品を始め各種用途に好適な材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1〜10及び比較例1〜9の耐クラック性の評価に用いたインサ−ト成形品の斜視図である。
A:金属(S55C)製ブロック
B:各実施例及び比較例で調整した組成物

Claims (12)

  1. ポリアリーレンサルファイド樹脂(A)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)オキサゾリン基含有非晶性ポリマー(C)及び耐衝撃性改質樹脂(D)を必須成分とするポリアリーレンサルファイド樹脂組成物であって、前記耐衝撃性改質樹脂(D)が、酸基又はエポキシ基含有ビニル系重合体(d1)、及び、酸基又はエポキシ基含有ゴム質重合体(d2)から選択される樹脂成分であることを特徴とするポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  2. ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)がビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1記載の組成物。
  3. (A)〜(D)の各成分に加え、更に繊維状強化材(E)を含有する請求項1又は2記載の組成物。
  4. ポリアリーレンサルファイド樹脂(A)が、△HClが10μmol/g以下、△NaOHが5〜30μmol/gで、かつ、(△NaOH−△HCl)≧5μmol/gのものである請求項1〜の何れか1つに記載の組成物。
  5. ポリアリーレンサルファイド樹脂(A)が、下記構造式1
    Figure 0004269198
    で示される構造単位を70モル%以上有するものである請求項記載の組成物。
  6. 酸基又はエポキシ基含有ビニル系重合体(d1)が、酸基又はエポキシ基含有α−ポリオレフィン(d1−1)である請求項記載の組成物。
  7. 酸基又はエポキシ基含有α−ポリオレフィン(d1−1)が、α−オレフィン、α,β−不飽和カルボン酸若しくはその無水物、及びα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルの共重合体である請求項記載の組成物。
  8. 酸基又はエポキシ基含有ビニル系重合体(d1)が、酸基又はエポキシ基含有α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル重合体(d1−2)である請求項記載の組成物。
  9. 酸基又はエポキシ基含有ゴム質重合体(d2)が、酸基若しくはエポキシ基を含有する、共役ジエンと芳香族ビニル系単量体との共重合体の水添物である請求項記載の組成物。
  10. オキサゾリン基含有非晶性ポリマー(C)が、ビニルオキサゾリンと、スチレン系単量体とを必須の単量体成分とする共重合体である請求項1記載の組成物。
  11. 更に、シラン化合物(F)を含有する請求項1〜1の何れか1つに記載の組成物。
  12. 更に、多価アルコールの高級脂肪酸エステル(G)を含有する請求項1〜1の何れか1つに記載の組成物。
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