JP2008214383A - ポリアリ−レンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリ−レンスルフィド樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成型品において優れた耐冷熱衝撃性を有し、さらに該成型品の成型時に良好な流動性を有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供することと。
【解決手段】 分子構造中にカルボン酸金属塩を含有し、前記カルボン酸金属塩を構成する金属原子の含有量が、20μmol/g〜150μmol/gとなる範囲にあるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して8質量部〜20質量部となる範囲の熱可塑性エラストマー(B)とを含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)が、エポキシ基含有エラストマー(b)を含有しており、かつ前記熱可塑性エラストマー(B)中のエポキシ基の含有量が300μmol/g〜600μmol/gの範囲にあること。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車の電気又は電子部品の用途に適する、優れた耐冷熱衝撃性および良好な流動性を有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐薬品性等に優れ、電気または電子部品、自動車部品、機械部品、給湯機部品、繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。
これらのなかでも自動車の電気または電子部品の用途では、−40℃〜140℃の範囲における良好な耐冷熱衝撃性を有し、かつ成型時の流動性に優れた樹脂材料の要求が高まっている。
このような耐冷熱衝撃性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物として、例えばポリフェニレンスルフィド樹脂と、エポキシ基、酸無水物基、アイオノマーから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系重合体、およびガラスフレークを含有するものが知られている(特許文献1参照。)。しかしながら前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の成形品は耐冷熱衝撃性が良好でソリが少ないものの、前記オレフィン系重合体中にエポキシ基が多量に含有されているため、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融粘度が上昇して成型時の流動性に劣るものであった。
特開2002−129014号公報
本発明が解決しようとする課題は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成型品において優れた耐冷熱衝撃性を有し、さらに該成型品の成型時に良好な流動性を有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、分子構造中にカルボン酸金属塩を含有し、前記カルボン酸金属塩を構成する金属原子を所定の範囲の含有量で含有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、エポキシ基を分子構造中に所定の範囲の含有量で含有する熱可塑性エラストマー粒子(B)とを、所定の範囲の含有量で含有させることにより上記課題を解決出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、分子構造中にカルボン酸金属塩を含有し、前記カルボン酸金属塩を構成する金属原子の含有量が、20μmol/g〜150μmol/gとなる範囲にあるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して8質量部〜20質量部となる範囲の熱可塑性エラストマー(B)とを含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)が、エポキシ基含有エラストマー(b)を含有しており、かつ前記熱可塑性エラストマー(B)中のエポキシ基の含有量が300μmol/g〜600μmol/gの範囲にあることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。
本発明によれば、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成型品において優れた耐冷熱衝撃性および良好な流動性を有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供できる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、分子構造中にカルボン酸金属塩を含有し、前記カルボン酸金属塩を構成する金属原子の含有量が、20μmol/g〜150μmol/gとなる範囲にあるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して8質量部〜20質量部となる範囲の熱可塑性エラストマー(B)とを含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)が、エポキシ基含有エラストマー(b)を含有しており、かつ前記熱可塑性エラストマー(B)中のエポキシ基の含有量が300μmol/g〜600μmol/gの範囲にあることを特徴とするものである。
すなわち、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して熱可塑性エラストマー(B)を8質量部〜20質量部となる範囲で配合することにより、得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性を大きく改善させることができる。さらにポリアリーレンスルフィド樹脂(A)中のカルボン酸金属塩を構成する金属原子の含有量、熱可塑性エラストマー(B)中のエポキシ基の量を調整することによって、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)両成分間の反応性が好適に制御されるため成型品の耐冷熱衝撃性、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融時の流動性が飛躍的に向上したものである。
前記したように本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、分子構造中にカルボン酸金属塩を含有し、前記カルボン酸金属塩を構成する金属原子の含有量が、20μmol/g〜150μmol/gの範囲のものである。ここで、前記金属原子の含有量が20μmol/g未満の場合、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)はカルボン酸を多く含有するため、前記熱可塑性エラストマー(B)と前記カルボン酸との反応性が高くなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融粘度が上昇し流動性が悪くなる。
一方、前記金属原子の含有量が150μmol/gを超える場合、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)中のカルボン酸含有量が減少し、前記熱可塑性エラストマー(B)との反応性が低くなるため、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)との相溶性が低下する。その結果、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物中の前記熱可塑性エラストマー(B)の分散性が低下して、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成型品の耐冷熱衝撃性の改善効果が発現されなくなる。
これらの中でも前記した流動性と耐冷熱衝撃性バランスの点から、前記金属原子の含有量は特に20μmol/g〜100μmol/gの範囲にあることが好ましい。なお、前記金属原子の含有量の測定方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を酸分解法によって分解した後に、原子吸光分析法により測定する方法が挙げられる。
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記式(1)
Figure 2008214383
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)
で表される構造部位を繰り返し単位とする樹脂である。
ここで、前記式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(2)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(3)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 2008214383
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記構造式(2)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、前記式(1)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(4)〜(7)
Figure 2008214383
で表される構造部位を、前記式(1)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記式(4)〜(7)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)中に、上記式(4)〜(7)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、その分子構造中に、下記式(8)
Figure 2008214383
で表される3官能性の構造部位、或いは、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
かかるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、反応の制御が容易であり、工業的生産性に優れることから、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンとを反応させる方法によって製造することができる。また、本方法においては、重合度を調節するためにカルボン酸のアルカリ金属塩やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加することや、水酸化アルカリを添加することが好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、300℃で測定した溶融粘度が50ポイズ〜400ポイズの範囲にあるものが好ましい。該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度が50ポイズ以上の場合、その分子量を高くすることができ靭性が改善されるため、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性が改善される。一方、前記溶融粘度が400ポイズ以下の場合、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融粘度が低くなるため、流動性が改善される。前記した溶融粘度の範囲の中でも前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性と流動性とのバランスの点から、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の300℃で測定した溶融粘度は、特に100ポイズ〜300ポイズの範囲にあることが好ましい。
ここで、前記した300℃で測定したポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度とは、高下型フローテスターを用い、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して、300℃、荷重20kgf/cmの条件で、6分間保持した後に測定した前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度(ポイズ)を示す。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、架橋型のポリアリーレンスルフィド樹脂、及び実質的に線状構造を有する所謂リニア型のポリアリーレンスルフィド樹脂が挙げられる。ここにおいて前記架橋型ポリアリーレンスルフィド樹脂の分子量と、前記リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂の分子量とを、溶融粘度が同等の条件で比較した場合、後者のリニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂の方が高分子量であるため靭性に優れる。このように該リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂は分子量は高いものの、その流動性が良いという特徴を有しているため、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に要求される流動性と、耐磨耗性とを実現するためには最適なものである。具体的には、非ニュートン指数が0.90〜1.20のもの、さらに0.95〜1.15であることが好ましく、特に0.95〜1.10であることが好ましい。
ここで、前記非ニュートン指数とは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)をキャピラリーレオメーターにて、温度300℃の条件下、直径1mm、長さ40mmのダイスを用いて100〜1000(秒−1)の剪断速度に対する剪断応力を測定し、下記式(I)を用いて算出した値である。N値が1であればニュートン流体であり、N値が1を超えれば非ニュートン流体であることを示す。
Figure 2008214383
[ここで、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ニュートン/m)、そしてKは定数を示す。]
更に、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融時の流動性と靭性とのバランスをとる目的を達成するため、前記したリニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂に、前記式(10)で表されるような多分岐構造を有する分岐状ポリアリーレンスルフィド樹脂を少量配合して粘度調整することも可能で、この場合、混合物の状態で非ニュートン指数が0.90〜1.20であることが好ましい。このような靭性の高いポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を含有することによって、耐冷熱衝撃性のより良好なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が得られるものである。
前記したリニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法の中でも、例えば、
(1)アルカリ金属硫化物、又はアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物との混合物、
(2)酢酸ナトリウム三水和物等のアルカリ金属カルボン酸、及び
(3)有機アミド
の混合物に、p−ジハロゲン化ベンゼンを加え反応させる方法が、より高分子量のリニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂を得られる点で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、塩化メチレンによって抽出される低分子量有機化合物を含有し、その含有率は1質量%〜1.5質量%となる範囲にあることが好ましい。前記低分子量有機化合物を1質量%以上の含有率で含有する場合、前記熱可塑性エラストマー(B)と前記低分子量有機化合物との反応により得られる化合物が、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)との相溶化剤として機能し、前記熱可塑性エラストマー(B)の分散性が改善され、耐冷熱衝撃性が改善される。一方、前記低分子量成分を1.5質量%以下の場合、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の靭性を改善することができるため、耐冷熱衝撃性が改善できるものである。前記低分子量有機化合物を1質量%〜1.5質量%となる範囲で含有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の重合反応の終了後冷却した後に、反応に用いた溶媒を除去し次いで水での洗浄を施し、120℃〜200℃の範囲に加熱された熱水を用い洗浄することによって得ることができる。
前記低分子量有機化合物の塩化メチレンによる抽出方法は、ソックスレー抽出法を採用することが好ましく、例えばポリアリーレンスルフィド樹脂4gを塩化メチレン80gに加え、前記ソックスレー抽出を4時間実施する方法が挙げられる。前記低分子量有機化合物の含有量は、前記ソックスレー抽出による抽出液より塩化メチレンを除去した後の残渣の重量から算出されたものである。
前記の塩化メチレンによって抽出される低分子量有機化合物の構造は、例えば下記の式(9)〜式(11)
Figure 2008214383
(式中lは4〜10の整数、mは1または2の整数、nは3〜5の整数、Xは水素原子またはハロゲン原子、Rは水素原子、ハロゲン原子、チオール基またはそのアルカリ金属塩、メチルチオ基、ヒドロキシル基、アミノ基、メチルアミノ基、Rは炭素原子数1〜2の範囲のアルキル基またはシクロヘキシル基、Yはハロゲン原子、Zはアルカリ金属原子または水素原子を表す。)
で表される化合物が挙げられる。
次に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、その耐冷熱衝撃性と流動性とを兼備させるために、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)中の金属原子の含有量を20μmol/g〜150μmol/gの範囲とするとともに、前記熱可塑性エラストマー(B)を前記ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して8質量部〜20質量部となる割合で含有するものである。
ここで前記熱可塑性エラストマー(B)は、前記エポキシ基含有エラストマー(b)を含有するものであり、前記エポキシ基含有エラストマー(b)としては、エポキシ基含有ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)、エポキシ基含有ニトリル系熱可塑性エラストマー(II)が挙げられる。
前記エポキシ基含有ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)は、例えばエポキシ基を分子構造中に含有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物と、α−オレフィン類との共重合で得ることができる。前記ラジカル重合性化合物は、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等を挙げることができる。また、前記α−オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等の炭素数2〜8のα−オレフィン類等が挙げられる。
前記エポキシ基含有ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(I)は、前記したエポキシ基を分子構造中に含有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物とα−オレフィン類に加えて、さらにカルボキシル基および
下記の式12〜式13
Figure 2008214383
で表される部分構造からなる群の中から選ばれる1つ以上の官能基または部分構造を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物を共重合成分として含有したものは、柔軟性と反応性に優れていることより好ましく用いることができる。
前記したカルボキシル基を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸類、またはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸類を挙げることができ、前記した式(12)
Figure 2008214383
で表される部分構造を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物はマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸類の酸無水物等のα,β−不飽和ジカルボン酸の無水物を挙げることができ、さらに前記した式(13)
Figure 2008214383
で表される部分構造を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル類等のα,β−不飽和カルボン酸類のアルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸のモノ及びジエステル類を挙げることができる。
前記したエポキシ基を分子構造中に含有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物とα−オレフィン類に加えて、さらにカルボキシル基および
下記の式(12)〜式(13)
Figure 2008214383
で表される部分構造からなる群の中から選ばれる1つ以上の官能基または部分構造を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物を共重合成分として含有したポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、α−オレフィン類、アクリル酸エステル、メタクリル酸グリシジルの三元共重合体が好ましい例として挙げられる。
次に、前記エポキシ基含有ニトリル系熱可塑性エラストマー(II)は、前記エポキシ基を分子構造中に含有し、かつ不飽和ニトリル、共役ジエン類が共重合した構造を有するニトリル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
ここで前記不飽和ニトリルは例えばアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが挙げられ、前記共役ジエン類は例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。前記エポキシ基を分子構造中に4mol%〜7mol%になる範囲で含有するニトリル系熱可塑性エラストマーの製造法は、例えば前記不飽和ニトリルと共役ジエン類との共重合体を、過安息香酸などの過酸を用いて前記共重合体の分子構造中の二重結合を酸化してエポキシドを得る方法が挙げられる。さらに前記共役ジエン類の二重結合の一部を水素添加し、ニトリル基の三重結合を維持したまま耐熱性を高めた水添ニトリル系熱可塑性エラストマーが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)との反応性に優れ、かつ相溶性に優れることにより、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性の改善効果が一層顕著なものとなるものである。
また、前記熱可塑性エラストマー(B)は、該熱可塑性エラストマー(B)中のエポキシ基の含有量が300μmol/g〜600μmol/gの範囲にあることを特徴としている。ここで、熱可塑性エラストマー(B)中のエポキシ基の含有量の調節は、(イ)前記したエポキシ基含有エラストマー(b)として、エポキシ基の含有量が300μmol/g〜600μmol/gのものを単独で用いるか、(ロ)エポキシ基含有量の異なる2種以上のエポキシ基含有エラストマー(b)を配合するか、(ハ)前記したエポキシ基含有エラストマー(b)と他のエラストマー(d)と併用することによって、適宜行うことができる。
ここで、当該他のエラストマー(d)は室温でゴム弾性を有するものであることが好ましく、さらに耐熱性に優れる点からポリオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはニトリル系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、α−オレフィン類と、カルボキシル基および下記の式(12)〜式(13)
Figure 2008214383
で表される部分構造からなる群の中から選ばれる1つ以上の官能基または部分構造を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物とを共重合成分として含有したものが挙げられる。前記α−オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等の炭素数2〜8のα−オレフィン類等が挙げられる。
前記したカルボキシル基を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸類、またはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸類を挙げることができ、前記した式(12)
Figure 2008214383
で表される部分構造を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物はマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸類の酸無水物等のα,β−不飽和ジカルボン酸の無水物を挙げることができ、さらに前記した式(13)
Figure 2008214383
で表される部分構造を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル類等のα,β−不飽和カルボン酸類のアルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸のモノ及びジエステル類を挙げることができる。
α−オレフィン類と、カルボキシル基および下記の式12〜式13
Figure 2008214383
で表される部分構造からなる群の中から選ばれる1つ以上の官能基または部分構造を分子構造中に有し、かつ不飽和二重結合を分子構造中に有するラジカル重合性化合物とを共重合成分として含有したポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、α−オレフィン類とアクリル酸エステルとの二元共重合体、またはα−オレフィン類、アクリル酸エステル、及びマレイン酸無水物の三元共重合体等が好ましい例として挙げられる。
次に、前記ニトリル系熱可塑性エラストマーは、不飽和ニトリル、共役ジエン類が共重合したニトリル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。前記不飽和ニトリルは例えばアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが挙げられ、前記共役ジエン類は例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。さらに前記共役ジエン類の二重結合の一部を水素添加し、ニトリル基の三重結合を維持したまま耐熱性を高めた水添ニトリル系熱可塑性エラストマーが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)との反応性に優れ、かつ相溶性に優れることにより、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性の改善効果が一層顕著なものとなるものである。
前記熱可塑性エラストマー(B)中のエポキシ基の含有量が300μmol/g未満の場合、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)との反応点が少なくなり、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)との相溶性が低下し、該熱可塑性エラストマー(B)の分散性が低くなり、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の十分な耐冷熱衝撃性の改善効果が得られないものとなる。一方、前記エポキシ基の含有量が600μmol/gを超える場合、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)との反応点が多いために、ポリマー鎖間の結合点が増加して流動性が低下する。これらの範囲のなかでも前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性と流動性のバランスの点から、前記エポキシ基の前記熱可塑性エラストマー(B)中における含有量は350μmol/g〜500μmol/gになる範囲で含有することがより好ましい。
前記熱可塑性エラストマー(B)は、室温でゴム弾性を有するものであることが好ましく、さらに耐熱性に優れる点からポリオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはニトリル系熱可塑性エラストマーであることが好ましく、
前記したように本発明の熱可塑性エラストマー(B)は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して8質量部〜20質量部含有されるものである。すなわち、前記熱可塑性エラストマー(B)の含有量が8質量部未満の場合、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂と反応して柔軟性を付与できるだけの含有量を満たすことができず、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性は改善されない。一方、前記熱可塑性エラストマー(B)の含有量が20質量部を超える場合、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)とを溶融成形した場合、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の流動性が悪くなるとともに、成型時の前記熱可塑性エラストマー(B)の熱分解による発生ガス量も多くなることにより金型の保守の必要性が増加し成形性が悪くなる。
本発明では前記各成分に加え、更にエポキシシランカップリング剤(C)を併用することにより、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)および前記熱可塑性エラストマー(B)と該エポキシシランカップリング剤(C)との優れた反応性のため、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)との相溶性が改善されるとともに、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)との界面における密着性が向上し前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐冷熱衝撃性の改善効果が一層顕著なものとなる点から好ましい。
前記エポキシシランカップリング剤(C)は、アルキル基として炭素原子数1〜4の直鎖型アルキル基を有する、グリシドキシアルキル基、3,4−エポキシシクロヘキシルアルキル基のようなエポキシ構造含有基と、2個以上のメトキシ基及びエトキシ基とが珪素原子に結合した構造を有するシラン化合物が好ましい。
このようなエポキシシランカップリング剤(C)は、具体的にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及びエポキシ系シリコーンオイルが挙げられる。
前記エポキシ系シリコーンオイルは炭素原子数2〜6の範囲のアルコキシ基を繰り返し単位として2単位乃至6単位で構成されるポリアルキレンオキシ基を有する化合物が挙げられる。
前記エポキシシランカップリング剤(C)のなかでも、特に、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、及び前記熱可塑性エラストマー(B)との反応性に優れる点から
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランに代表されるグリシドキシアルキルトリアルコキシシラン化合物が特に好ましい。
前記エポキシシランカップリング剤(C)の含有率は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物全量に対する含有率として、0.1質量%〜5質量%の範囲にあることが好ましく、0.1質量%以上の場合前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)との相溶性が良くなり、5質量%以下の場合前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組との反応性の制御が容易になり流動性が改善される。これらのなかでも前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物全量に対する含有率として、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記熱可塑性エラストマー(B)との相溶性、及び前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融成型時の流動性のバランスの点から、特に0.1質量%〜2質量%の範囲にあることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、前記した配合物に加え、適宜無機フィラーを配合することが成型物の機械的強度の点から好ましい。前記無機フィラーは、繊維状無機フィラーと非繊維状無機フィラーとを挙げることができる。
前記繊維状無機フィラーは、例えば、ガラス繊維、PAN系又はピッチ系の炭素繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、チタン酸カリウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真ちゅう等の金属の繊維状物の無機質繊維状物質、及びアラミド繊維等の有機質繊維状物質等が挙げられる。
また、前記非繊維状無機フィラーは、例えば、マイカ、タルク、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、クレー、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、ゼオライト、パイロフィライトなどの珪酸塩や炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、アルミナ、酸化マグネシウム、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄などの金属酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウムなどが挙げられる。これらの前記繊維状無機フィラー、及び前記非繊維状無機フィラーは、単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と前記無機フィラーとの配合割合は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融特性やその成型品の力学的特性の観点から前者/後者の割合で40質量部〜80質量部/60質量部〜20質量部となる範囲にあることが好ましい。さらに、前記繊維状無機フィラーと前記非繊維状無機フィラーとの混合割合は成型品に要求される力学的特性の観点から任意の配合でよいが、前者/後者の割合で20質量部〜100質量部/80質量部〜0質量部となる範囲にあることが好ましい。
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、加工熱安定剤、可塑剤、離型剤、着色剤、滑剤、耐候性安定剤、発泡剤、防錆剤、ワックスを適量添加してもよい。
更に本発明の製造方法では、更に、要求される特性に合わせてその他の樹脂成分を適宜配合してもよい。ここで使用し得る樹脂成分としては、エチレン、ブチレン、ペンテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの単量体の単独重合体または共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリアリルサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリアリールエーテルなどの単独重合体、ランダム共重合体またはブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。
以上詳述したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を製造する方法は、具体的には、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)及び前記熱可塑性エラストマー(B)、更に必要に応じてその他の配合成分をタンブラー、ナウタミキサー又はヘンシェルミキサーなどで均一に混合、次いで、2軸押出機に投入し、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜0.2(kg/hr・rpm)なる条件下に溶融混練する方法が挙げられる。かかる条件下に製造することによって、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)中に前記熱可塑性エラストマー(B)を均一分散することができる。
上記製造方法につき更に詳述すれば、前記した各成分を2軸押出機内に投入し、設定温
度320℃、樹脂温度340℃程度の温度条件下に溶融混練する方法が挙げられる。この
際、樹脂成分の吐出量は回転数250rpmの場合5〜50kg/hrの範囲が好ましい。これらの範囲のなかでも特に前記熱可塑性エラストマー(B)の分散性の点から10〜20kg/hrであることが好ましい。よって、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)は、特に0.04〜0.08(kg/hr・rpm)であることが好ましい。また、2軸押出機のトルクは最大トルクが10〜100(A)、特に20〜50(A)となる範囲であることが前記熱可塑性エラストマー(B)の分散性が良好となる点から好ましい。
このようにして溶融混練された前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物はペレットとして得られ、次いで、このペレットを成形機に供して溶融成形することにより、目的とする成形物が得られる。
ここで溶融成形する方法は、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形等が挙げられ、特に限定するものでない。
このようにして得られた前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形物は、前記熱可塑性エラストマー(B)の分散性に優れ、格別良好な耐冷熱衝撃性と流動性とを前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に付与することが可能となる。
本発明の製造方法によって得られた前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、例えば自動車部品として用いられる電気又は電子部品の用途に用いることができ、該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、格別優れた耐冷熱衝撃性と流動性を兼備したものである。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
参考例1(PPS−1の合成)
150リットルオートクレーブに、フレーク硫化ソーダ(60.76重量%)15.413kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.846kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン18.100kg及びN‐メチル‐2‐ピロリドン16.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cmGに加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後冷却してポリマーを晶析した。
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得られたPPS粉末に常法により水洗浄、濾過を7回繰り返した後、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥し、白色粉末状のポリマーを得た。ここに得られたPPSは溶融粘度;100ポイズ、非ニュートン指数、;1.00、ナトリウム含有量;32μmol/g、塩化メチレン抽出量;1.0質量%であった。これをPPS−1と称す。
参考例2(PPS−2の合成)
150リットルオートクレーブに、フレーク硫化ソーダ(60.76重量%)15.413kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.846kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン17.640kg及びN‐メチル‐2‐ピロリドン16.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cmGに加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後冷却してポリマーを晶析した。
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得られたPPS粉末に常法により水洗浄、濾過を7回繰り返した後、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥し、白色粉末状のポリマーを得た。ここに得られたPPSは溶融粘度;300ポイズ、非ニュートン指数、;1.02、ナトリウム含有量;27μmol/g、塩化メチレン抽出量;1.1質量%であった。これをPPS−2と称す。
参考例3(PPS−3の合成)
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.76重量%NaS)15.413kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら216℃まで昇温して、水3.846kgを留出させた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン18.100kg及びN‐メチル‐2‐ピロリドン16.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cmGに加圧して昇温を開始した。液温260℃まで4時間かけて昇温した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後冷却し、液温が150℃になった時点で、シュウ酸二水和物を0.152kg(硫化ソーダ1モルに対して1.0モル%)を加圧注入ポンプでオートクレーブ中に圧入し、次に150℃で30分間攪拌して酸処理した後、冷却した。該処理時のスラリーのpHは、8.4であった。
得られたスラリーろ過したのち、得られた含溶媒ケーキにN‐メチル‐2‐ピロリドンを13kg(PPS重量に対して1倍重量)を加え、ろ過し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得られたPPS粉末に常法により水洗浄、濾過を7回繰り返した後、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥し、白色粉末状のポリマーを得た。ここに得られたPPSは溶融粘度;100ポイズ、非ニュートン指数;1.00、ナトリウム含有量;6.5μmol/g、塩化メチレン抽出量;0.3質量%であった。これをPPS−3と称す。
実施例1〜3及び比較例1〜4
表1に記載する組成(質量%)に従い前記参考例で合成したPPS樹脂を粉体混合した後、次いで表2に記載する組成(PPS樹脂100質量部に対する質量部)に従い各配合材料(ガラス繊維チョップドストランドを除く)をナウタミキサーで均一に混合した。その後、二軸押出機に前記配合材料を投入し、また、サイドフィーダー(スクリュー全長に対する樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率:0.28)から繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを表1に記載する組成(質量%)になる割合で供給しながら、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数250rpm、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)=0.1(kg/hr・rpm)、最大トルク65(A)、設定温度320℃、樹脂温度340℃程度の温度条件下に温度に設定し溶融混練してポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを得た。
次いで、このポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを用いて以下の各種評価試験を行った。
〔冷熱衝撃試験〕
縦25mm、横40mm、厚さ10mmの鋼鉄製のインサートブロック部材の、前記部材縦方向の辺の中点同士を結び、前記部材横方向の辺に平行な直線上に、直径3.55mmの厚さ方向に平行な2個の貫通穴の直径の中心を有し、該貫通穴の直径の中心同士が前記直線の中点を中心にして20mm離れて配置されたインサートブロック部材を準備し、次いで、前記2個の貫通穴と射出成型用金型内部に設置された2本の鋼鉄製円柱形のピンとを用いて、前記インサートブロック部材が前記射出成型用金型の内部に保持されるように設置し、かつ、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを射出成型した後に、前記インサートブロック部材の外周全面が肉厚1mmのポリフェニレンスルフィド樹脂組成物で被覆されるように設計された射出成形金型を用いて、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを射出成型し成型品を得た。得られた前記インサートブロック部材を内包するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の成型品を用いて、気相式の冷熱衝撃試験機中で−40℃〜140℃までの冷熱サイクルを1サイクルとする冷熱衝撃試験を実施し、クラックが発生して破断するまでのサイクル数を測定した。
〔直角曲げ伸び〕
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを射出成形機で成形し、幅12.5mm、長さ127mm、厚さ3.0mmの試験片を得た。次いでこの試験片について、ASTM D790に準じて、射出成型時の樹脂の流動方向に対して直角方向の曲げ試験時の伸びを測定した。
〔スパイラルフロー〕
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のペレットを、下記射出成形機を用い、下記の射出成型条件で幅6.0mm、厚さ1.6mmのスパイラル状金型にて成形された試験片の長さ(cm)をスパイラルフロー値とした。
射出成型機
スクリュー径:26.0mm
射出成型条件
シリンダー温度 : 330℃
金型温度 : 150℃
Figure 2008214383
Figure 2008214383
なお、表2中の配合樹脂、材料は下記のものである。
熱可塑性エラストマー 1:「住友化学工業(株)製ボンドファスト7M」、エポキシ基の熱可塑性エラストマー中における含有量:420μmol/g
熱可塑性エラストマー 2:「住友化学工業(株)製ボンドファスト7L」、エポキシ基の熱可塑性エラストマー中における含有量:210μmol/g
ガラス繊維 : 繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランド
エポキシシラン:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン

Claims (4)

  1. 分子構造中にカルボン酸金属塩を含有し、前記カルボン酸金属塩を構成する金属原子の含有量が、20μmol/g〜150μmol/gとなる範囲にあるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して8質量部〜20質量部となる範囲の熱可塑性エラストマー(B)とを含有し、前記熱可塑性エラストマー(B)が、エポキシ基含有エラストマー(b)を含有しており、かつ前記熱可塑性エラストマー(B)中のエポキシ基の含有量が300μmol/g〜600μmol/gの範囲にあることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の300℃で測定した溶融粘度が、50ポイズ〜400ポイズの範囲にある請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)が、0.90〜1.20の範囲にある非ニュートン指数を有する請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、熱可塑性エラストマー粒子(B)に加え、更にエポキシシランカップリング剤(C)を含有する請求項1〜3の何れか1つに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
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