JP4268448B2 - エンコーダ製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンコーダの製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
デジタル式の測定器、例えば、デジタル式ノギスやデジタル式マイクロメータなどは、固定部材に対する可動部材の移動量を検出するエンコーダを備えている。
例えば、ノギスにおいては、固定部材としての本尺と、この本尺の長手方向に沿って摺動自在に設けられた可動部材としてのスライダとを備えている。この本尺とスライダとの摺動面にエンコーダが設けられている。
エンコーダは、図6に示すように、本尺11の長手に沿って導電部15および絶縁部16が交互に所定のピッチで配列された電極パターンを有するメインスケール145と、スライダ21に設けられ前記メインスケール145と静電容量結合して本尺に対するスライダの相対移動量を検出する検出ヘッド25とを備えて構成されている。
【0003】
メインスケール145は、絶縁部材161(例えば、ガラスやポリカーボネイトなど)と、この絶縁部材161の表面に所定のピッチで設けられた導電部15とを備えて構成されている。絶縁部材161は、接着層162を介して本尺11に固定(貼付れている。
検出ヘッド25からの検出値は、電気回路26に出力されて演算処理された後、測定値として図示しない表示部に表示される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなエンコーダを製造する場合、メインスケール145を本尺11に接着する工程が必要となる。その分製造工程が増えるので、手間とコストが増大するという問題がある。
メインスケール145を本尺11に接着するため、メインスケール145に反りが生じたり、メインスケール145が本尺11から剥離する可能性がある。その結果、検出誤差に繋がり易いという問題がある。
【0005】
検出精度を維持するためには、メインスケール145の線膨張を一定の範囲内に抑える必要がある。そこで、一般には、測定条件として、例えば、温度を20±10度に制限することによって線膨張による誤差を抑えている。しかしながら、高温や低温など過酷な測定環境においては、線膨張による検出誤差を生じるという問題がある。
本尺11を手で握って操作する場合、手の熱による温度分布のため場所により異なる線膨張がメインスケール145に生じる。その結果、検出誤差に繋がるという問題がある。
【0006】
以上の問題は、デジタル式ノギスに限らず、デジタル式マイクロメータやデジタル式ダイヤルゲージなど、固定部材に対する可動部材の相対移動量を検出するエンコーダを備える測定器に生じる問題である。
【0007】
本発明の目的は、検出精度が向上されるとともに、小型化、軽量化でき、低コストで製造できるエンコーダ製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンコーダ製造方法は、固定部材と、前記固定部材に対して相対移動可能に設けられた可動部材とを備え、前記固定部材に対する前記可動部材の相対移動量を検出するエンコーダを製造するエンコーダ製造方法において、ナノスケール物質を含んだ合成樹脂による絶縁部材によって前記固定部材および前記可動部材の少なくともいずれか一方の本体を射出成形する本体形成工程と、前記本体の表面に導電層を積層する導電層形成工程と、前記導電層を所定のピッチで剥離する剥離工程とを備えていることを特徴とする。
【0009】
ナノスケール物質(例えば、カーボンナノファイバ)を合成樹脂に添加し、適宜諸条件を設定することにより、合成樹脂の母材(例えば、ポリスチレン)に導電性または絶縁性を付与することができる。一般に、合成樹脂は、脆弱で線膨張率が大きいものであるが、ナノスケール物質を合成樹脂に添加することにより、剛性の強化、線膨張の抑制、耐摩耗性の向上、摩擦係数の低下、熱伝導率の向上などの効果が得られる。この理由は正確には分かっていないが、ナノスケール物質が合成樹脂内でネットワークを築くことに基づくとされている。
【0010】
そこで、固定部材および可動部材の少なくともいずれか一方を、ナノスケール物質を含んで絶縁体の合成樹脂で形成して、これを本体とする。さらに、この本体の表面に導電性の電極を所定のピッチで設ける。すると、本体の表面には、本体自体である絶縁部と、表面に設けられた導電部とが交互に配列される。よって、この表面に導電部が配列された本体自体をエンコーダのスケールとすることができる。
ここで、電極は、金属性でもナノスケール物質を含んだ合成樹脂で導電性を有するものであってもよい。
【0011】
従来は、ガラスなどの絶縁体の表面に導電性の電極を形成したスケールを固定部材または可動部材の表面に接着していた。そのため、接着工程が必要となることに加え、スケールの反りや剥離などが生じていた。
これに対して、本発明では、本体形成工程において、ナノスケール物質を含んだ合成樹脂の射出成形によって、固定部材または可動部材の本体を絶縁体として形成する。導電層形成工程において、この本体の表面に導電層を形成する。この導電層は、本体の表面に金属を薄層状にメッキしてもよく、また、ナノスケール物質を含んだ導電性を有する合成樹脂を本体の表面に薄層状に設けてもよい。剥離工程においては、導電層形成工程で形成した導電層を所定のピッチで剥離して、電極パターンを形成する。
【0012】
このような構成によれば、絶縁性に形成された固定部材または可動部材の本体に直接電極を形成することができる。つまり、固定部材または可動部材の本体自体がエンコーダのスケールとなる。よって、従来のように別個に形成したスケールを固定部材または可動部材の本体に貼り付ける必要がなく、本発明によれば、簡便にエンコーダを形成することができる。その結果、製造ラインを簡略化することができ、低コスト化を図ることができる。さらに、本体自体がスケールとなるので、このエンコーダを使用する測定器を小型化することができるとともに、従来のようにスケールに反りが生じたり、スケールが剥離したりすることがないので、検出精度が向上されるとともに、検出精度を長期に亘って維持することができる。
また、本体自体は、射出成形で形成するので簡便であるとともに、ナノスケール物質を含んだ合成樹脂は成形性能に優れ、型転写性がよいので、射出成形後に機械加工や表面仕上げをする必要もない。
【0013】
ナノスケール物質を含んだ合成樹脂は線膨張係数を小さくできるので、本体の線膨張を小さくできる。すなわち、スケールの線膨張が小さくなる。よって、線膨張による誤差を排除し精密な測定精度を有するエンコーダとすることができる。スケールの線膨張係数が小さければ、測定の温度に制限を受けることなく高温や低温など過酷な条件でも精密な測定を行うことができるエンコーダとすることができる。
【0014】
ナノスケール物質を含んだ合成樹脂は熱伝導率がよい。よって、本体を手で握って測定するような測定器としてこのエンコーダを使用した場合でも、手の熱が瞬時に拡散し場所による膨張の差異を生じることがない。よって、手で握って使用するハンドツールタイプであっても、手の熱による測定誤差を生じることがなく、精密な測定を行うことができる。
【0015】
ナノスケール物質を含んだ合成樹脂は剛性が強化される。よって、剛性を維持したままで、本体を薄型化、小型化することができる。その結果、このエンコーダを組み込んだ測定器を薄型化、小型化することができる。
【0016】
本発明では、前記導電層形成工程は、ナノスケール物質を含んだ導電性の合成樹脂を前記本体の上に射出成形することが好ましい
【0017】
ナノスケール物質は導電性付与材として合成樹脂に導電性を与えることができる。そこで、固定部材または可動部材の本体表面に、このナノスケール物質を含み導電性を付与された合成樹脂の電極を形成する。すると、ナノスケール物質を含んだ合成樹脂の性質により、剛性の強化、線膨張の抑制、耐摩耗性の向上、摩擦係数の低下、熱伝導率の向上などの効果を備えた電極を形成することができる。特に、耐摩耗性の向上、摩擦係数の低下が得られることから、エンコーダの摺動面を直接接触させて摺動させる場合でも、電極が摩耗することなく円滑な摺動性が得られるエンコーダとすることができる。
【0018】
本発明によれば、本体形成工程において、ナノスケール物質を含み絶縁性の合成樹脂で射出成形により本体を形成する。続いて、この本体の上に、ナノスケール物質を含み導電性の合成樹脂で導電層を射出成形によって二重成形する。このような構成によれば、本体の上に金属のメッキを施す場合に比べて格段に簡便であり、製造工程の簡略化により、製造効率の向上を図ることができる。
本体と導電部材がともにナノスケール物質を含んだ合成樹脂であることにより、接合面の相性がよい(濡れ性がよい)ので、導電層の剥離などが生じにくく、測定精度を長期に亘って維持できるエンコーダとなる。
【0019】
本発明では、前記ナノスケール物質は、カーボンナノファイバまたはカーボンナノチューブに代表されるカーボンナノスケール物質のいずれかであることが好ましい
【0020】
カーボンナノスケール物質とは、カーボンナノファイバを代表として、カーボンナノチューブ、フラーレンなど炭素原子によって構成されるナノスケール物質を意味する。このような構成によれば、前述したエンコーダ製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態として、本発明のエンコーダを用いたデジタル式ノギス1を示す。
このノギス1は、固定部材としての本尺11と、本尺11の長手に沿ってスライド可能に設けられた可動部材としてのスライダ21とを備えて構成されている。
本尺11は、長手の一端側に設けられた外側用測定ジョー12および内側用測定ジョー13と、本尺11の長手に沿って設けられた静電容量式エンコーダのメインスケール14とを備えて構成されている。
【0027】
メインスケール14は、図2の拡大図に示すように、本尺11の長手に沿って所定のピッチで形成された電極としての導電部15および絶縁部16からなる電極パターンである。本尺11は、外側用測定ジョー12、内側用測定ジョー13およびメインスケール14を含めてナノスケール物質としてカーボンナノファイバを含んだ合成樹脂によって形成されている。
この形成は射出成形によるが、詳しくは、図3を用いて後述する。
【0028】
スライダ21は、スライダ本体22と、このスライダ21の一端側に設けられ本尺11の外側用測定ジョー12および内側用測定ジョー13とともに被測定物の被測定部位に当接される外側用測定ジョー23および内側用測定ジョーとを備える。スライダ本体22の内部には、メインスケール14の電極パターンと静電結合してメインスケール14に対する相対移動量を検出する検出ヘッドと、検出ヘッドからの検出値を演算処理する電気回路と、演算処理された結果を測定値として表示する表示部27とを備えて構成されている。検出ヘッドおよび電気回路の取り付け位置については背景技術の図6に示すものと同様である。スライダ21は、スライダ本体22、外側用測定ジョー23および内側用測定ジョーを含んでカーボンナノファイバを含んだ合成樹脂によって射出成形により一体成形されている。スライダ21は、カーボンナノファイバを含んだ合成樹脂によって導電性に形成されている。
ここで、本尺11のメインスケール14とスライダ21の検出ヘッドによって静電容量式のエンコーダが構成されている。
【0029】
図3を参照して、本尺11のメインスケール14の製造方法について説明する。
メインスケール14の製造方法は、本尺11を形成する本尺形成工程(本体形成工程)と、本尺11の表面に導電層17を積層する導電層形成工程と、導電層17を所定のピッチで剥離する剥離工程とを備えている。
本尺形成工程においては、カーボンナノファイバを含んで絶縁性の合成樹脂によって本尺11を射出成形する(図3(A)参照)。このとき、外側用測定ジョー12および内側用測定ジョー13を含めて本尺11を一体的に射出成形する。カーボンナノファイバを含んだ合成樹脂は、成形性能に優れ、型転写性が良いので、射出成形後に機械加工や表面仕上げを行う必要はない。
【0030】
導電層形成工程においては、カーボンナノファイバを含んだ導電性の合成樹脂を本尺形成工程に続いて薄層状に射出成形(二重成形)する(図3(B)参照)。導電層17は、本尺11の長手部分でスライダ21の検出ヘッドと対向する面に形成される。
剥離工程においては、導電層形成工程において形成された導電層17を本尺11の長手に沿って所定のピッチで剥離していく。すると、本尺11である絶縁部16が導電部15の間に現れる。よって、この本尺11に静電容量式エンコーダのメインスケール14が直接形成される。
【0031】
このような構成によれば、次の効果を奏することができる。
(1)本尺11自体が絶縁部16であり、導電部15も直接本尺11に形成されている。つまり、本尺11自体にメインスケール14が直接形成されている。よって、本尺11とは別個に形成したスケールを接着剤で貼り付ける場合とは違って、メインスケール14に反りが生じたり、メインスケールが本尺11から剥離することがない。その結果、エンコーダの測定精度を向上させることができ、さらに、長年に亘って測定精度を維持することができる。
【0032】
(2)本尺11を射出成形した後、さらに導電層17を射出成形によって形成する。よって、メインスケール14を簡便に形成することができ、製造効率の向上と低コスト化を図ることができる。本尺11と導電層17とが同じカーボンナノファイバを含んだ合成樹脂であるので、ぬれ性がよく、導電層17(電極)が本体から剥離しにくい。よって、エンコーダの耐用年数を長くすることができる。
(3)本尺11およびスライダ21は、カーボンナノファイバを含んだ合成樹脂によって形成されているので、剛性の強化、線膨張の抑制、耐摩耗性能の向上、摩擦係数の低下、熱伝導率の向上などの効果がある。
【0033】
(4)線膨張係数が小さいので、線膨張による本尺11の変形を抑えることができる。つまり、エンコーダのメインスケール14の線膨張を抑えることができるので、精密な測定を行うことができる。線膨張係数が小さいので、測定の温度に制限を受けることなく高温や低温などの周囲の環境に影響されることなく精密な測定を行うことができる。
(5)熱伝導率がよいことから、本尺11を手で握って測定する場合でも手の熱が瞬時に全体に拡散し、本尺11の場所による膨張の差異を生じることがない。つまり、メインスケール14の場所による膨張の差異が生じない。よって、手の熱による測定誤差を生じることがなく、精密な測定を行うことができる。
【0034】
(6)耐摩耗性能が向上することから、スライダ21を本尺11に対して繰り返し摺動させても磨耗することがなく、耐用年数が長く、かつ測定精度を長きに渡って維持することができる。特に、メインスケール14に対してスライダ21を直接接触させて摺動させることもできるので、メインスケール14とスライダ21との間のギャップを維持するなどの機構も必要ない。
(7)摩擦係数が小さいことから、本尺11とスライダ21の摺動性がよく、潤滑剤なしで使用できる。よって、汚れやゴミがつきにくいものとできる。
【0035】
(8)本尺11およびスライダ21が共に合成樹脂で形成されているので、ノギス1を軽いものとすることができる。よって、持ち運びやすく、操作性に優れたものとできる。合成樹脂であるので、金属に比べて、本尺11を握ったときに手になじみやすく、金属アレルギーなどの心配もない。
(9)射出成形によって形成することができるので、ノギス1の製造が簡便であり、低コストで生産することができる。この際、カーボンナノファイバを含む合成樹脂は、型転写性が良いので、射出成形の後に機械加工や表面加工を施す必要がなく簡便である。
【0036】
(10)スライダ本体22が導電性を有するので、スライダ21が電磁シールドとなり、内部の電気回路が外部の磁界および電界から遮蔽される。その結果、スライダ21内部の電気回路が保護されるので、破損や誤作動を防ぐことができ、測定精度を精密に保つことができる。
(11)スライダ21は導電性を有しているので、スライダ21と本尺11との間に静電気が帯電することがなく、メインスケール14および検出ヘッドの破損や誤作動を防止することができる。帯電を防ぐことにより、静電気によるゴミの付着なども防ぐことができる。その結果、測定精度を精密に保つことができる。
【0037】
(12)剛性が強化されることから、測定ジョー(本尺11の外側用測定ジョー12および内側用測定ジョー13、スライダ21の外側用測定ジョー23および内側用測定ジョー24)を剛性を保ちつつ薄く形成することができる。よって、狭い被測定部位であっても測定することができる。測定ジョーの剛性が向上すれば、被測定物に測定ジョーを当接させた場合でも、しなりなどの変形を生じることがなく、測定精度を向上させることができる。
【0038】
(変形
第1実施形態の変形として、メインスケールの変形例を図4に示す。
第1実施形態は、ノギスであって、メインスケール14は、本尺11の長手に沿って形成されていた。変形例においては、ノギスではなく、例えば、マイクロメータやダイヤルゲージのスピンドル41にエンコーダのメインスケールが形成された例である。
【0039】
図4(A)において、可動部材の本体であるスピンドル41Aの軸方向に沿って静電容量式エンコーダのメインスケール144Aが形成されている。
これは、カーボンナノファイバを含んで絶縁性の合成樹脂によって形成されたスピンドル41Aの表面に、軸を中心とした環状の導電部15が、軸方向に沿って所定のピッチで形成されている
【0040】
図4(B)において、スピンドル41Bの円周に静電容量式エンコーダのメインスケール144Bが形成されている。
これは、カーボンナノファイバを含んで絶縁性の合成樹脂によって形成されたスピンドル41Bの表面に、軸方向に伸びる導電部15が、軸を中心とした円周上に所定の間隔で形成されている
【0041】
このような構成によれば、マイクロメータやダイヤルゲージのスピンドル41A、41Bに直接エンコーダのメインスケール144A、144Bを形成することができる。よって、マイクロメータやダイヤルゲージなどスピンドルの移動量を測定する測定器について、簡便にエンコーダを組み込んで、デジタル式とすることができる。
【0042】
メインスケール144A、144Bが、同一面に形成されているので、このメインスケール144A、144Bの部分も摺動部として用いることができる。すると、スケール部分を避けて摺動部分を確保する必要がなくなるので、スピンドルを短くすることが可能となる。従来、スピンドルのスケールを摺動部とすることができなかったため、スピンドルは、スケールの長さとさらに摺動部分の長さを有していなければならなかった。しかし、メインスケールを摺動部として使用すると、スピンドルを短くすることができる。その結果、マイクロメータやダイヤルゲージを小型化することができる。
【0043】
(第2実施形態)
図5に、本発明のエンコーダの第2実施形態を示す。
このエンコーダは、固定部材51と、この固定部材51に設けられたメインスケール511と、固定部材51に沿って相対移動可能な可動部材61と、この可動部材61に設けられメインスケール511と静電容量結合してメインスケール511に対する相対移動量を検出する検出ヘッド62とを備えて構成されている。図5中、可動部材61の摺動方向は紙面に略直交方向である。
可動部材61には、可動部材61から固定部材51側に向かって凸状に形成されメインスケール511と検出ヘッドとのギャップを保持するためのギャップ保持手段としてのギャップ保持部63が設けられている。ギャップ保持部63は、検出ヘッドを挟んで両側に設けられている。
【0044】
可動部材61には、可動部材61の移動面と略平行で薄片状に形成された付勢手段としての押圧力伝達部材64が設けられている。可動部材61は、ギャップ保持部63および押圧力伝達部材64を含めて一体的にカーボンナノファイバを含んだ合成樹脂によって形成されている。押圧力伝達部材64の端部641は、固定された部材81から可動部材61の側に向かって力F1で押圧されている。押圧力伝達部材64がその途中を固定された支持部材71によって固定支持されることにより、可動部材61は、力F2で固定部材51に向かって付勢される。
【0045】
このような構成によれば、次の効果を奏することができる。
ギャップ保持部63が、カーボンナノファイバを含んだ合成樹脂によって形成されている。カーボンナノファイバを含んだ合成樹脂は、耐摩耗性が高く、摩擦係数が小さいので、ギャップ保持部63が摩耗することがなく、長期に亘って、メインスケール511と検出ヘッドとのギャップを一定に維持することができる。よって、検出精度を長期に亘って維持することができる。
【0046】
ギャップ保持部63が、可動部材61とともに一体成形されているので、ギャップ保持機構などを別個に設ける場合に比べて、組み付け工程が必要ないので簡便である。付勢手段としての押圧力伝達部材64が可動部材61に一体的に設けられているので、可動部材61とは別個に付勢手段を設ける場合に比べて部品点数を削減できて簡便である。このように、ギャップ保持部63および押圧力伝達部材64を可動部材61とともに一体成形するので、製造工程が格段に簡略化されるとともに、別個にギャップ保持機構や付勢手段などを設ける必要もないので、小型化を図ることができる。
【0047】
尚、本発明のエンコーダ製造方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
第1実施形態では、導電層形成工程において、カーボンナノファイバを含んだ導電性の合成樹脂で導電層17を射出成形によって形成するとしたが、本尺11の表面に金属メッキを行って導電層17を形成してもよい。
変形例では、スピンドルに静電容量式エンコーダのスケールを形成するとしたが、光電式エンコーダのスケールでも磁気式エンコーダのスケールでもスピンドル上に形成できることはもちろんである。
スケールは、スピンドルの軸を中心として螺旋状に形成してもよい。
【0048】
第2実施形態において、ギャップ保持部63は、可動部材61の側に設けられていたが、ギャップ保持部63は固定部材51の側に設けられていてもよい。つまり、スケールパターンを挟んで、可動部材61の摺動方向に沿ってギャップ保持部63が設けられていてもよい。この場合にも、ギャップ保持部63は、固定部材51とともにカーボンナノファイバを含む合成樹脂によって一体成形されることが望ましい。
また、第2実施形態においては、直線的に摺動するエンコーダについて説明したが、ロータリーエンコーダなど摺動面が回転面であってもよい。例えば、ロータとステータとの間のギャップ保持手段として、カーボンナノファイバを含んだ合成樹脂を用いれば、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0049】
以上において、主として、固定部材の側にエンコーダのスケールを形成する場合について説明したが、可動部材の側にエンコーダのスケールを形成してもよいことはもちろんである。つまり、可動部材の本体をカーボンナノファイバを含んだ合成樹脂で形成して、その表面にスケールパターンを形成してもよい。
【0050】
ナノスケール物質としては、カーボンナノファイバに限らず、カーボンナノチューブ、フラーレンなど炭素を主要構成要素とするナノスケール物質を用いることができる。
合成樹脂の母材としては、ポリスチレンやポリカーボネイトなどを用いることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明のエンコーダ製造方法によれば、検出精度が向上されるとともに、小型化、軽量化でき、低コストで製造できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態として、本発明のエンコーダを用いた測定器としてデジタル式ノギスを示す図である。
【図2】 前記第1実施形態において、メインスケールの拡大図である。
【図3】 前記第1実施形態において、エンコーダの製造方法を示す図である。
【図4】 前記第1実施形態の変形例として、可動部材であるスピンドルにスケールを形成した例を示す図である。
【図5】 本発明の第2実施形態として、押圧力伝達部材およびギャップ保持部を備えたエンコーダを示す図である。
【図6】 従来のエンコーダを示す図である。
【符号の説明】
11 本尺(固定部材)
15 導電部(電極)
16 絶縁部
17 導電層
21 スライダ(可動部材)
41A、41B スピンドル(可動部材)
51 固定部材
61 可動部材
63 ギャップ保持部(ギャップ保持手段)
64 押圧力伝達部材(付勢手段)

Claims (3)

  1. 固定部材と、前記固定部材に対して相対移動可能に設けられた可動部材とを備え、前記固定部材に対する前記可動部材の相対移動量を検出するエンコーダを製造するエンコーダ製造方法において、
    ナノスケール物質を含んだ合成樹脂による絶縁部材によって前記固定部材および前記可動部材の少なくともいずれか一方の本体を射出成形する本体形成工程と、
    前記本体の表面に導電層を積層する導電層形成工程と、
    前記導電層を所定のピッチで剥離する剥離工程とを備えていることを特徴とするエンコーダ製造方法。
  2. 請求項1に記載のエンコーダ製造方法において、
    前記導電層形成工程は、ナノスケール物質を含んだ導電性の合成樹脂を前記本体の上に射出成形することを特徴とするエンコーダ製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のエンコーダ製造方法において、
    前記ナノスケール物質は、カーボンナノファイバまたはカーボンナノチューブに代表されるカーボンナノスケール物質のいずれかであることを特徴とするエンコーダ製造方法。
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