JP4266275B2 - 射出圧縮成形型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は射出圧縮成形型のかじり並びに樹脂洩れ対策技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂の成形法の1つにインジェクションプレス(射出圧縮)成形法があり、例えば特開昭63−179722号公報「射出成形方法および成形機」にその詳細が示されている。この発明の背景となっている射出圧縮成形法の原理を次図で説明する。
【0003】
図3(a),(b)は従来の射出圧縮成形法の原理図である。
(a)は射出工程を示す。先ず装置の概要を説明すると、固定型101を取付ける固定盤102と、型締めシリンダ103を取付ける圧受盤104にタイバー105・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)を渡し、これらのタイバー105・・・に移動可能に可動盤106を取付け、この可動盤106に可動型107を取付け、型締めシリンダ103で可動盤106を型締め方向へ押出すことにより固定型101へ可動型107を型締めすることができようにしたものである。
【0004】
型締め完了位置より若干開いた位置に可動型107を保持し、射出ノズル108から定量の溶融樹脂109を射出し充填する。これが射出圧縮成形法における射出工程である。
【0005】
(b)において、型締めシリンダ103及び可動盤106の作用で、可動型107を前進させることにより樹脂109をキャビティへ充満させることで、成形品を得る。これが射出圧縮成形法における圧縮成形工程である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記固定型101と可動型107を合せたものを成形型と言うが、樹脂成形を円滑に行うために成形型を30〜90℃の範囲から選んだ温度に保つことがある。このときに固定型101の温度と可動型107の温度とで差が出ることは見込まなければならない。そうすると、次の様な課題が発生する。
【0007】
図4(a),(b)は従来の射出圧縮成形型の課題を示す図である。
(a)において、キャビティ111の端112から可動型107の移動方向に延びる固定型101の縦分割面113及び可動型107の縦分割面114は、摺動面となる。固定型101より可動型107が高温になる等の理由で摺動面における隙間が無くなり縦分割面113へ縦分割面114が強く当ることが考えられる。この状態で可動型107を型締めしようとすると可動型107が固定型101に噛み込むところの「カジリ」が発生し、以降の作業に支障を来すことになる。
【0008】
又は(b)において、固定型101より可動型107が低温になる等の理由で固定型101の縦分割面113と可動型107の縦分割面114の隙間Tが過大になると、矢印▲1▼のごとく樹脂が隙間に侵入するところの「樹脂洩れ」が発生する。
射出圧縮成形法では前記縦分割面113,114からなるガイドを兼ねた摺動面は必須であり、この摺動面で発生が予想されるカジリ並びに樹脂洩れを防止することが、本発明の目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、固定型と可動型との間に形成したキャビティへ定量の溶融樹脂を射出する射出工程と、次に可動型を型締め方向へ移動させることにより樹脂を流動させつつ成形する圧縮成形工程とをこの順に実施することで成形品を得る射出圧縮成形型において、キャビティの端から可動型の移動方向に延びる固定型の縦分割面と可動型の縦分割面での縦分割面同士の隙間が、圧縮成形工程の開始時に広く、圧縮成形工程の末期に狭くなるように、可動型の縦分割面を固定型の縦分割面に対して相対的に傾斜させると共に、固定型の縦分割面並びに可動型の縦分割面とは異なる部位に、固定型へ可動型を案内するガイドを設けたことを特徴とする。
【0010】
従来は、固定型の縦分割面に可動型の縦分割面を摺動させることにより可動型を案内していた。請求項1では、縦分割面とは異なる部位にガイド(案内)を設けた。この結果、固定型の縦分割面と可動型の縦分割面との間の隙間は自由に設定することができる。そこで、樹脂の洩れを心配する必要の無い圧縮成形工程の開始時に隙間が広く、樹脂の洩れを抑えなければならない圧縮成形工程の末期に隙間が狭くなるようにした。
【0011】
可動型の移動の殆どは広い隙間条件で実施することができ、カジリの発生を防止することができる。
また、圧縮成形工程の末期に隙間を最小にしたので、樹脂の洩れを防止することができる。
従って、請求項1によれば、摺動面におけるカジリの発生の防止並びに樹脂洩れを防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る射出圧縮成形型の断面図であり、射出圧縮成形型10は、スプル21と、キャビティ22を形成する凹部23と、キャビティ22の端24,24から延ばした縦分割面25,25と、これらの縦分割面25,25より外側に設けた縦壁面26,26と、この縦壁面26,26にボルト27・・・で固定したガイドブロック28,28とを含む固定型20及び、キャビティ22を形成する凸部31と、キャビティ22の端24,24から延ばした縦分割面32,32と、これらの縦分割面32,32より外側に設けたガイド面33,33とを含む可動型30からなる。
【0013】
そして、キャビティ22の端24から可動型30の移動方向に延びる固定型20の縦分割面25と可動型30の縦分割面32の隙間が、圧縮成形工程の開始時に広く、圧縮成形工程の末期に狭くなるように、可動型30の縦分割面32を固定型20の縦分割面25に対して相対的に傾斜させたことを特徴とする。
図は圧縮成形工程の末期を示すが、このときにキャビティ22近傍の隙間G1に対して縦分割面25,32の他端の隙間G2は、G1より十分に大きなものとする。例えば、G2=(1.5〜3.0)×G1に設定する。
【0014】
また、「ガイド」を構成するガイドブロック28とガイド面33との間の隙間gは前記隙間G1より僅かに小さく設定する。この結果、隙間g<隙間G1<隙間G2の関係となる。
なお、ガイドブロック28は可動型30側に取付けてもよい。または、固定型20と可動型30の双方に1/2厚さのガイドブロックを取付け、ガイドブロック同士を摺接させるようにしてもよい。
【0015】
以上の構成からなる射出圧縮成形型の作用を次に述べる。
図2(a)〜(c)は本発明に係る射出圧縮成形型の作用説明図である。
(a)は、射出工程を示す図であり、所定寸法開いた状態の型間距離Waに固定型20、可動型30間の距離を保ち、スプル21を通じて定量の樹脂35を射出する。このとき縦分割面25,32間の隙間Taは十分に大きい。
【0016】
(b)は、圧縮成形工程の途中の状態を示す図であり、可動型30を型締め方向へ移動しつつ、キャビティ内の樹脂35を矢印の如く押し広げる。型間距離Wbは当然Waより小さい。このとき、縦分割面25,32間の隙間Tbは先の隙間Taより小さくなるが、まだ十分に大きい。従って、可動型30が固定型20にカジル心配はない。
【0017】
(c)は、圧縮成形工程末期の状態を示す図であり、可動型30を所定の型間距離Wcまで移動することで型締めが完了すると共に、樹脂35を十分に押し広げた状態を示す。このとき、縦分割面25,32間の隙間Tcは十分に小さく、この隙間Tcから樹脂35が洩れる心配はない。
【0018】
以上に述べた実施例では、図1で説明した通りに、縦分割面24,32とは異なる部位にガイド(ガイドブロック28とガイド面33からなる。)を設けた。この結果、固定型20の縦分割面25と可動型30の縦分割面32との間の隙間は自由に設定することができる。そこで、樹脂の洩れを心配する必要の無い圧縮成形工程の開始時に隙間が広く、樹脂の洩れを抑えなければならない圧縮成形工程の末期に隙間が狭くなるようにしたことを構造的特徴とする。
【0019】
この結果、図2(a),(b)に示す通りに、可動型30の移動の殆どは広い隙間Ta〜Tbの条件で実施することができ、カジリの発生を防止することができる。
また、図2(c)に示す通り、圧縮成形工程の末期に隙間Tcを最小にしたので、樹脂35の洩れを防止することができる。
【0020】
尚、縦分割面及びガイドの形状及び位置が本発明の通りであれば、それ以外の部位の形状は、固定型20並びに可動型30ともに自由であり、本発明に係る射出圧縮成形型は、図1の断面図に限定されるものではない。
【0021】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、縦分割面とは異なる部位にガイド(案内)を設けた。この結果、固定型の縦分割面と可動型の縦分割面との間の隙間は自由に設定することができる。そこで、樹脂の洩れを心配する必要の無い圧縮成形工程の開始時に隙間が広く、樹脂の洩れを抑えなければならない圧縮成形工程の末期に隙間が狭くなるようにした。
【0022】
可動型の移動の殆どは広い隙間条件で実施することができ、カジリの発生を防止することができる。また、圧縮成形工程の末期に隙間を最小にしたので、樹脂の洩れを防止することができる。
従って、請求項1によれば、摺動面におけるカジリの発生の防止並びに樹脂洩れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る射出圧縮成形型の断面図
【図2】本発明に係る射出圧縮成形型の作用説明図
【図3】従来の射出圧縮成形法の原理図
【図4】従来の射出圧縮成形型の課題を示す図
【符号の説明】
10…射出圧縮成形型、20…固定型、22…キャビティ、24…キャビティの端、25…固定型の縦分割面、28…ガイドを構成するガイドブロック、30…可動型、32…可動型の縦分割面、33…ガイドを構成するガイド面、35…樹脂。

Claims (1)

  1. 固定型と可動型との間に形成したキャビティへ定量の溶融樹脂を射出する射出工程と、次に前記可動型を型締め方向へ移動させることにより樹脂を流動させつつ成形する圧縮成形工程とをこの順に実施することで成形品を得る射出圧縮成形型において、
    前記キャビティの端から可動型の移動方向に延びる固定型の縦分割面と可動型の縦分割面での縦分割面同士の隙間が、圧縮成形工程の開始時に広く、圧縮成形工程の末期に狭くなるように、可動型の縦分割面を固定型の縦分割面に対して相対的に傾斜させると共に、
    前記固定型の縦分割面並びに可動型の縦分割面とは異なる部位に、固定型へ可動型を案内するガイドを設けたことを特徴とする射出圧縮成形型。
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