JP4264813B2 - 位相可変装置 - Google Patents

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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの運転条件の変化に対応してカムシャフトの角度を常に理想角度となるように変化させるのに用いる位相可変装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球全体の温暖化、オゾン層の破壊など地球規模での環境問題が大きくクローズアップされ、とりわけ地球全体の温暖化に大きな影響があるといわれているCOの削減については各国でその規制値の決め方をめぐって大きな関心を呼んでおり、このCOの削減については、自動車の燃費の削減を図ることが大きな課題の1つである。
【0003】
自動車のエンジンにおけるベーン式位相可変装置(例えば、特許文献1参照)や、電磁クラッチ式位相可変装置(例えば、特許文献2参照)で生じる摩擦力は、エンジン全体の機械損失のかなりの量を占めており、ここでのフリクションの低減は、自動車の燃費削減に直結する重要事項である。
【0004】
位相可変装置におけるフリクションを低減させるには、その構成要素のうちの特定部位とこの特定部位と摺動する部位との間に焼付けが生じるのを防ぐこと、及び、摩耗を低減すると共に軽量化を図ることが有効な手立てである。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−276520号
【特許文献2】
特開2002−97908号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したように、特定部位とこの特定部位と摺動する部位との間に焼付けが生じるのを防ぐために、特定部位表面を高硬度金属の皮膜で覆ったり、構成要素自体をセラミックで形成して摩耗低減及び軽量化を図ったりしても、大幅なフリクション低減効果が期待できないことがわかってきた。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、大幅なフリクション低減効果を発揮する位相可変装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく銑意検討を重ねた結果、位相可変装置の数ある構成要素間の摺動部分を硬質炭素薄膜で被覆することで、格段に優れたフリクション低減効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、カムシャフトの位相を変化させて吸排気バルブの開閉時期を変化させる位相可変装置であって、具体的には、
(1)インテークカムシャフト上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケットと、このカムスプロケットのフロント面に固定した円筒状を成すボディと、このボディのフロント端面に固定したフロントプレートと、ボディの内部においてインテークカムシャフトに固定されてボディ内に供給されるオイルによりボディに対するインテークカムシャフトの位相を変化させるベーンと、オイルをシールするアペックスシールと、ベーンのロック機構と、ボディ内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブを備えた位相可変装置、
(2)インテークカムシャフト上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケットと、このカムスプロケットのフロント面に固定した円筒状を成すハウジングと、このハウジングの内部においてインテークカムシャフトに固定されたロータと、このロータの外周面において開口する軸方向に沿う溝に摺動可能に挿入されてハウジング内に供給されるオイルによりロータを介してハウジングに対するインテークカムシャフトの位相を変化させるブレードと、ブレードのロック機構と、ハウジング内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブを備えた位相可変装置、
(3)インテークカムシャフト上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケットと、このカムスプロケットのフロント面に固定されて内周面にヘリカルスプラインが形成された円筒状を成すボディと、このボディのフロント端面に固定したカバーと、ボディの内部においてインテークカムシャフトに固定されて外周面にヘリカルスプラインが形成されたカムフロントシャフトと、ボディ内周面のヘリカルスプライン及びカムフロントシャフト外周面のヘリカルスプラインの双方と噛み合ってボディ内に供給されるオイルにより軸方向に移動してボディに対するインテークカムシャフトの位相を変化させるヘリカルギアと、ボディ内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブを備えた位相可変装置、
(4)インテークカムシャフト上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケットと、このカムスプロケットに固定されて内周面にヘリカルスプラインが形成されたヘリカルギアと、カムシャフトと連結されて外周面にヘリカルスプラインが形成されたスプラインシャフトと、外周面及び内周面にそれぞれヘリカルスプラインが形成されてヘリカルギア及びスプラインシャフトの双方と噛み合うアドバンシングプレートと、このアドバンシングプレートの外周面に形成した歯部と噛み合う三条ねじ部を内周面に具備してスプラインシャフトに回転自在に支持されるドラムと、このドラムのフロント側に回転が規制された状態で設けられて通電時にはドラムを吸着してアドバンシングプレートを軸方向に移動させることでカムスプロケットに対するインテークカムシャフトの位相を変化させる電磁クラッチと、カムスプロケット及びヘリカルギアの間に位置するフリクションプレートと、スプラインシャフトの外周面に設けた環状突起をフリクションプレートに押し付けて内部フリクションを生じさせる皿ばねを備えた位相可変装置であって、
上記構成要素のうち特定部位と該特定部位と摺動する部位の内の少なくとも一方の部位を硬質炭素薄膜で被覆し、硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が10原子%以下であると共に、特定部位と該特定部位と摺動する部位は、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油の存在下で摺動することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示すものとする。
【0011】
特定部位と該特定部位と摺動する部位の内の少なくとも一方の部位を被覆する硬質炭素薄膜は、各種PVD法、具体的には、アーク式イオンプレーティング法により形成したDLC薄膜(ダイヤモンド状炭素薄膜)であることが望ましい。このDLC薄膜は、炭素元素を主として構成された非晶質のものであり、具体的には、炭素元素だけから成るa−C(アモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素アモルファスカーボン)、及びチタン(Ti)やモリブデン(Mo)等の金属元素を一部に含むMeC(メタルカーボン又は金属炭化物)が挙げられるが、大幅な摩擦低減効果を発揮させる観点から、水素含有量が少ないものほど好ましく、水素含有量が原子比で10%以下、好ましくは水素含有量が原子比で1.0%以下、さらには水素を含まないa−C系(アモルファスカーボン系)材料を好適に用いることができる。
【0012】
ここで、鉄鋼材又はアルミニウム材から成る基材の表面粗さ、すなわち、硬質炭素薄膜を被覆する前の基材表面粗さがRaで0.03μmを超えると、硬質炭素薄膜表面の粗さに起因する突起部が相手材との局所的な接触面積を増大させて皮膜の割れを誘発してしまうことから、硬質炭素薄膜を被覆する前の基材表面粗さをRaで0.03μm以下とすることが好ましい。
【0013】
次に、本発明に用いる潤滑油組成物について詳細に説明する。この潤滑油組成物は、潤滑油基油に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有させて成る。
【0014】
上記潤滑油基油としては特に限定されるものではなく、鉱油、合成油、油脂及びこれらの混合物など、潤滑油組成物の基油として通常使用されるものであれば、種類を問わず使用することができる。
【0015】
鉱油として、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系又はナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用でき、溶剤精製、水素化精製処理したものが一般的であるが、芳香族分をより低減することが可能な高度水素化分解プロセスやGTL Wax(ガス・トウー・リキッド・ワックス)を異性化した手法で製造したものを用いることがより好ましい。
【0016】
合成油としては、具体的には、ポリ−α−オレフィン(例えば、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)、ポリ−α−オレフィンの水素化物、イソブテンオリゴマー、イソブテンオリゴマーの水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジオクチルセバケート等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンイソステアリネート等のトリメチロールプロパンエステル;ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のペンタエリスリトールエステル)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。中でも、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフイン又はその水素化物が好ましい例として挙げられる。
【0017】
本発明に用いる潤滑油組成物の基油は、鉱油系基油又は合成系基油を単独又は混合して用いる以外に、2種類以上の鉱油系基油又は2種類以上の合成系基油の混合物であっても差し支えない。また、上記混合物における2種類以上の基油の混合比も特に限定されず任意に選ぶことができる。
【0018】
潤滑油基油中の硫黄分について、特に制限はないが、基油全量基準で、0.2%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、さらには0.05%以下であることが好ましい。特に、水素化精製鉱油や合成系基油の硫黄分は、0.005%以下、あるいは実質的に硫黄分を含有していない(5ppm以下)ことから、これらを基油として用いることが好ましい。
【0019】
また、潤滑油基油中の芳香含有量についても、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油組成物として長期間低摩擦特性を維持するためには、全芳香族含有量が15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらには5%以下であることが好ましい。即ち、潤滑油基油の全芳香族含有量が15%を超える場合には、酸化安定性が劣るため好ましくない。
【0020】
なお、ここで言う全芳香族含有量とは、ASTM D2549に規定される方法に準拠して測定される芳香族留分(aromatics fraction)含有量を意味している。
【0021】
潤滑油基油の動粘度にも、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、100℃における動粘度が2mm/s以上であることが好ましく、より好ましくは3mm/s以上である。一方、その動粘度は、20mm/s以下であることが好ましく、10mm/s以下、特に8mm/s以下であることが好ましい。100℃における潤滑油基油の動粘度が2mm/s未満である場合には、十分な耐摩耗性が得られないのに加えて、蒸発特性が劣る可能性があるため好ましくない。一方、100℃における潤滑油基油の動粘度が20mm/sを超える場合には、低摩擦性能を発揮しにくく、低温性能が悪くなる可能性があるため好ましくない。本発明においては、上記基油の中から選ばれる2種以上の基油を任意に混合した混合物等が使用でき、100℃における動粘度が上記の好ましい範囲内に入る限りにおいては、基油単独の動粘度が上記以外のものであっても使用可能である。
【0022】
また、潤滑油基油の粘度指数にも、特別な制限はないが、80以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましく、特に内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、120以上であることが好ましい。潤滑油基油の粘度指数を高めることでよりオイル消費が少なく、低温粘度特性、省燃費性能に優れた内燃機関用潤滑油組成物を得ることができる。
【0023】
上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤としては、炭素数6〜30、好ましくは炭素数8〜24、特に好ましくは炭素数10〜20の直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する脂肪酸エステル、脂肪酸アミン化合物、及びこれらの任意混合物を挙げることができる。炭素数が6〜30の範囲外のときは、摩擦低減効果が十分に得られない可能性がある。
【0024】
炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状炭化水素基としては、具体的には、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等のアルキル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等のアルケニル基などを挙げることができる。なお、上記アルキル基及びアルケニル基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基における二重結合の位置は任意である。
【0025】
また、上記脂肪酸エステルとしては、かかる炭素数6〜30の炭化水素基を有する脂肪酸と脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステルなどを例示でき、具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレートなどを特に好ましい例として挙げることができる。
【0026】
上記脂肪族アミン化合物としては、脂肪族モノアミン又はそのアルキレンオキシド付加物、脂肪族ポリアミン、イミダゾリン化合物等、及びこれらの誘導体等を例示できる。具体的には、ラウリルアミン、ラウリルジエチルアミン、ラウリルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン、オレイルアミン、オレイルプロピレンジアミン、オレイルジエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等の脂肪族アミン化合物や、これら脂肪族アミン化合物のN,N−ジポリオキシアルキレン−N−アルキル(又はアルケニル)(炭素数6〜28)等のアミンアルキレンオキシド付加物、これら脂肪族アミン化合物に炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したりアミド化した、いわゆる酸変性化合物等が挙げられる。好適な例としては、N,N−ジポリオキシエチレン−N−オレイルアミン等が挙げられる。
【0027】
また、本発明に用いる潤滑油組成物に含まれる脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の含有量は、特に制限はないが、組成物全量基準で、0.05〜3.0%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2.0%、特に好ましくは0.5〜1.4%であることがよい。上記含有量が0.05%未満であると摩擦低減効果が小さくなり易く、3.0%を超えると潤滑油への溶解性や貯蔵安定性が著しく悪化し、沈殿物が発生し易いので、好ましくない。
【0028】
一方、本発明に用いる潤滑油組成物は、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有することが好適であり、上記ポリブテニルコハク酸イミドとしては、次の一般式(1)及び(2)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
【化1】
Figure 0004264813
【0030】
【化2】
Figure 0004264813
【0031】
これら一般式におけるPIBは、ポリブテニル基を示し、高純度イソブテン又は1−ブテンとイソブテンの混合物をフッ化ホウ素系触媒又は塩化アルミニウム系触媒で重合させて得られる数平均分子量が900〜3500、望ましくは1000〜2000のポリブテンから得られる。上記数平均分子量が900未満の場合は清浄性効果が劣り易く、3500を超える場合は低温流動性に劣り易いため、望ましくない。
【0032】
また、上記一般式におけるnは、清浄性に優れる点から1〜5の整数、より望ましくは2〜4の整数であることがよい。更に、上記ポリブテンは、製造過程の触媒に起因して残留する微量のフッ素分や塩素分を吸着法や十分な水洗等の適切な方法により、50ppm以下、より望ましくは10ppm以下、特に望ましくは1ppm以下まで除去してから用いることもよい。
【0033】
更に、上記ポリブテニルコハク酸イミドの製造方法としては、特に限定はないが、例えば、上記ポリブテンの塩素化物又は塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンと無水マレイン酸とを100〜200℃で反応させて得られるポリブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させることにより得ることができる。
【0034】
一方、上記ポリブテニルコハク酸イミドの誘導体としては、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物に、ホウ素化合物や含酸素有機化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性又は酸変性化合物を例示できる。その中でもホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミド、特にホウ素含有ビスポリブテニルコハク酸イミドが最も好ましいものとして挙げられる。
【0035】
上記ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等が挙げられる。具体的には、上記ホウ酸として、オルトホウ酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸などが挙げられる。また、上記ホウ酸塩としては、アンモニウム塩等、具体的には、例えばメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウムが好適例として挙げられる。また、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6のアルキルアルコールとのエステル、より具体的には例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリププロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、ホウ酸トリブチル等が好適例として挙げられる。なお、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミドにおけるホウ素含有量Bと窒素含有量Nとの質量比「B/N」は、通常0.1〜3であり、好ましくは、0.2〜1である。
【0036】
また、上記含酸素有機化合物としては、具体的には、例えばぎ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルポン酸並びにこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる
【0037】
なお、本発明に用いる潤滑油組成物において、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量は特に制限されないが、0.1〜15%が望ましく、より望ましくは1.0〜12%であることが好ましい。0.1%未満では清浄性効果に乏しくなることがあり、15%を超えると含有量に見合う清浄性効果が得られにくく、抗乳化性が悪化し易い。
【0038】
更にまた、本発明に用いる潤滑油組成物は、次の一般式(3)で表されるジチオリン酸亜鉛を含有することが好適である。
【0039】
【化3】
Figure 0004264813
【0040】
上記式(3)中のR、R、R及びRは、それぞれ別個に炭素数1〜24の炭化水素基を示す。これら炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルアリール基、炭素数7〜19のアリールアルキル基等のいずれかであることが望ましい。また、アルキル基やアルケニル基は、第1級、第2級及び第3級のいずれであってもよい。
【0041】
上記R、R、R及びRとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等のアルキル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、エチルメチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、エチルジメチルシクロペンチル基、プロピルメチルシクロペンチル基、プロピルエチルシクロペンチル基、ジ−プロピルシクロペンチル基、プロピルエチルメチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシクロへキシル基、エチルシクロへキシル基、プロピルシクロへキシル基、エチルメチルシクロへキシル基、トリメチルシクロへキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、エチルジメチルシクロヘキシル基、プロピルメチルシクロヘキシル基、プロピルエチルシクロヘキシル基、ジ−プロピルシクロへキシル基、プロピルエチルメチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、エチルメチルシクロヘプチル基、トリメチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基、エチルジメチルシクロヘプチル基、プロピルメチルシクロヘプチル基、プロピルエチルシクロヘプチル基、ジ−プロピルシクロヘプチル基、プロピルエチルメチルシクロヘプチル基等のアルキルシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、エチルメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルジメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基等のアリールアルキル基、等が例示できる。
【0042】
なお、R、R、R及びRがとり得る上記炭化水素基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造をが含まれ、また、アルケニル基の二重結合の位置、アルキル基のシクロアルキル基への結合位置、アルキル基のアリール基への結合位置、及びアリール基のアルキル基への結合位置は任意である。また、上記炭化水素基の中でも、その炭化水素基が、直鎖状又は分柱状の炭素数1〜18のアルキル基である場合若しくは炭素数6〜18のアリール基、又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基である場合が特に好ましい。
【0043】
上記ジチオリン酸亜鉛の好適な具体例としては、例えば、ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオリン酸亜鉛、ジイソトリデシルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。
【0044】
また、上記ジチオリン酸亜鉛の含有量は、特に制限されないが、より高い摩擦低減効果を発揮させる観点から、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下であることが好ましく、また0.06%以下であることがより好ましく、更にはジチオリン酸亜鉛が含有されないことが特に好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量がリン元素換算量で0.1%を超えると、DLC部材と鉄基部材との摺動面における上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤や上記脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の優れた摩擦低減効果が阻害されるおそれがある。
【0045】
上記ジチオリン酸亜鉛の製造方法としては、従来方法を任意に採用することができ、特に制限されないが、具体的には、例えば、上記R、R、R及びRに対応する炭化水素基を持つアルコール又はフェノールを五二硫化りんと反応させてジチオリン酸とし、これを酸化亜鉛で中和させることにより合成することができる。なお、上記ジチオリン酸亜鉛の構造は、使用する原料アルコールによって異なることは言うまでもない。
【0046】
本発明においては、上記一般式(3)に包含される2種以上のジチオリン酸亜鉛を任意の割合で混合して使用することもできる。
【0047】
上述のように、本発明の潤滑油組成物は、硬質炭素薄膜で被覆した特定部位と該特定部位と摺動する部位に用いた場合に、極めて優れた低摩擦特性を示すものであるが、特に内燃機関用潤滑油組成物として必要な性能を高める目的で、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、他の無灰摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤若しくは極圧剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
【0048】
上記金属系清浄剤としては、潤滑油用の金属系清浄剤として通常用いられる任意の化合物が使用できる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレートナフテネート等を単独で又は複数種を組合せて使用できる。ここで、上記アルカリ金属としてはナトリウム(Na)やカリウム(K)等、上記アルカリ土類金属としてはカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等が例示できる。また、具体的な好適例としては、Ca又はMgのスルフォネート、フェネート及びサリシレートが挙げられる。
【0049】
なお、これら金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択できる。通常、全塩基価は、過塩素酸法で0〜500mgKOH/g、望ましくは150〜400mgKOH/gであり、その添加量は組成物全量基準で、通常0.1〜10%である。
【0050】
また、上記酸化防止剤としては、潤滑油用の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物を使用できる。例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、アルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、並びにこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。また、かかる酸化防止剤の添加量は、組成物全量基準で、通常0.01〜5%である。
【0051】
更に、上記粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体やその水添物等のいわゆる非分散型粘度指数向上剤、及び更に窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤等が例示できる。また、他の粘度指数向上剤の具体例としては、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)及びその水素化物、ポリイソブチレン及びその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、並びにポリアルキルスチレン等も例示できる。
【0052】
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートでは5000〜1000000、好ましくは100000〜800000がよく、ポリイソブチレン又はその水素化物では800〜5000、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物では800〜300000、好ましくは10000〜200000がよい。また、かかる粘度指数向上剤は、単独で又は複数種を任意に組合せて含有させることができるが、通常その含有量は、潤滑油組成物基準で0.1〜40.0%であることが望ましい。
【0053】
更にまた、他の無灰摩擦調整剤としては、ホウ酸エステル、高級アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤、ジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン、二硫化モリブデン等の金属系摩擦調整剤等が挙げられ、他の無灰分散剤としては、数平均分子量が900〜3500のポリブテニル基を有するポリブテニルベンジルアミン、ポリブテニルアミン、数平均分子量が900未満のポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸イミド等及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0054】
更にまた、上記磨耗防止剤又は極圧剤としては、ジスルフィド、硫化油脂、硫化オレフィン、炭素数2〜20の炭化水素基を1〜3個含有するリン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル及びこれらのアミン塩等が挙げられる。
【0055】
更にまた、上記防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられ、上記非イオン系界面活性剤及び抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0056】
更にまた、上記金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等が挙げられ、上記消泡剤としては、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
【0057】
なお、これら添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は、組成物全量基準で、他の摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤又は極圧剤、防錆剤、及び抗乳化剤については0.01〜5%、金属不活性剤については0.005〜1%、消泡剤については0.0005〜1%の範囲から適宜選択できる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
図1及び図2に示すように、この実施例の位相可変装置1は、インテークカムシャフトIC上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケット2と、このカムスプロケット2のフロント側に固定した円筒状を成すボディ3と、このボディ3のフロント端面3aに固定したフロントプレート4と、ボディ3の内部においてインテークカムシャフトICに固定されたベーン5と、ボディ3内に供給されるオイルをシールするアペックスシール6,7と、ベーン5のロック機構10と、ボディ3内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブ20を備えており、アペックスシール6,7のうちの一方のアペックスシール6はベーン5の先端に配置してあると共に、他方のアペックスシール7はボディ3に設けた内向き突起3bに配置してある。
【0060】
このような構成を成す位相可変装置1では、カムスプロケット2,ボディ3,フロントプレート4及びベーン5の間に形成される油室8に対してソレノイドバルブ20の制御によってオイルを供給し、ベーン5のいずれかの側面に油圧をかけて進角室8Aあるいは遅角室8D(図2では遅角室8D)を形成させるべく移動させることによって、ボディ3、すなわち、カムスプロケット2に対するインテークカムシャフトICの位相を変化させるようにしている。
【0061】
ロック機構10は、エンジン始動時のような油圧によるベーン5の保持が困難な状況下においてベーン5のばたつきを抑えるもので、ベーン5に設けたピン孔11に摺動可能に挿入したロックピン12と、フロントプレート4に設けられてばねの弾性力によりピン孔11内を摺動したロックピン12の先端テーパ部12aと摺動しつつ嵌合するテーパ部嵌合孔13を具備しており、ボディ3に供給されるオイルの圧力が設定レベルに達すると、ロックピン12の先端テーパ部12aがテーパ部嵌合孔13から離脱してロックが解除されるものとなっている。
【0062】
ソレノイドバルブ20は、図3(a)に示すように、ロッド21上に固定されてコイル22から磁力を受けて軸心方向に移動するアーマチュア23と、このアーマチュア23の移動をガイドするスリーブ24と、ロッド21の移動をガイドする軸受25と、オイルを出し入れする複数の貫通孔26aを有するバルブスリーブ26と、ロッド21に同軸に連結されてバルブスリーブ26内において移動してオイルの送り出し方向を制御するスプール27を具備している。なお、図3(b)は、上記ソレノイドバルブ20の変形例を示しており、このソレノイドバルブ20Aでは、より大型のアーマチュア23Aを具備している。
【0063】
上記位相可変装置1において、ベーン5は、カムスプロケット2及びフロントプレート4に対して、微小なクリアランスを持ちつつオイルをシールしながら摺動することから、特定部位としてのベーン5のフロント面5a及び該特定部位と摺動する部位としてのフロントプレート4のリア面4aの双方をDLC薄膜で被覆していると共に、特定部位としてのベーン5のリア面5b及び該特定部位と摺動する部位としてのカムスプロケット2のフロント面2aの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0064】
また、ベーン5の先端に配置したアペックスシール6は、ボディ3の内周面3cに押付けられてオイルをシールしながら摺動し、一方、ボディ3の内向き突起3bに配置したアペックスシール7は、ベーンボス部の外周面5bに押付けられてオイルをシールしながら摺動することから、特定部位としてのボディ3の内周面3c及び該特定部位と摺動する部位としてのベーン側アペックスシール6の外向き面6aの双方をDLC薄膜で被覆していると共に、特定部位としてのベーンボス部の外周面5b及び該特定部位と摺動する部位としてのボディ側アペックスシール7の内向き面7aの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0065】
さらに、カムスプロケット2はベーンボス部に嵌装してあって相互に摺動することから、特定部位としてのベーンボス部の外周面5c及び該特定部位と摺動する部位としてのカムスプロケット2のボス嵌合孔の内周面2bの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0066】
上記した位相可変装置1において、ボディ3内に与えられる油圧は、インテークカムシャフトICの駆動トルクに抗してその位相を変化させる必要油圧と、ボディ3の内部の各構成要素の摩擦抵抗に抗して位相を変化させる圧力の合力として決定される。つまり、上記した各特定部位及びこの特定部位と摺動する部位にDLC薄膜の被覆処理を行うことで、各構成要素間の摩擦抵抗を減少させ得ることとなり、したがって、ボディ3内に与えられる駆動油圧を降下させることができる。そして、位相可変装置1の応答性は、各構成要素間の摩擦抵抗に影響されることから、この各構成要素間の摩擦抵抗を減少させることで、位相可変装置1の駆動時における応答性の向上を実現でき、加えて、上記した各特定部位及びこの特定部位と摺動する部位の耐摩耗性が向上するので、長寿命化が図られることとなる。
【0067】
さらにまた、上記位相可変装置1では、ロック機構10の特定部位としてのロックピン12の外周面12b及び該特定部位と摺動する部位としてのピン孔11の内周面11aの双方をDLC薄膜で被覆していると共に、特定部位としてのロックピン12の先端テーパ部12aの外周面12c及び該特定部位と摺動する部位としてのフロントプレート4のテーパ部嵌合孔13の内周面13aの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0068】
なお、上記ロック機構10において、図4に示すように、ベーン5のピン孔11にスリーブ14を介在させるようにしてもよく、この際、特定部位をロックピン12の外周面12bとし、該特定部位と摺動する部位をベーン5のピン孔11に挿入したスリーブ14の内周面14aとし、双方に対してDLC薄膜の被覆処理を行うことも可能である。
【0069】
このように、上記位相可変装置1では、ロック機構10の各特定部位及びこの特定部位と摺動する部位にもDLC薄膜の被覆処理を行うようにしているので、各構成要素間の摩擦抵抗を減少させ得ることとなり、ロック状態を解除するための油圧を降下させることができる。つまり、ロックピン12にロック方向の圧力を付与しているロックスプリングの荷重特性を低荷重化することができ、これに伴って、ロックスプリングのばらつきが少なくなって、ロックピン12の作動性の向上を実現でき、加えて、上記した各特定部位及びこの特定部位と摺動する部位の耐摩耗性が向上するので、長寿命化が図られることとなる。
【0070】
さらにまた、上記位相可変装置1では、ソレノイド20の特定部位としてのアーマチュア23の外周面23a及び該特定部位と摺動する部位としてのスリーブ24の内周面24aの双方をDLC薄膜で被覆していると共に、特定部位としてのロッド21の外周面21a及び該特定部位と摺動する部位としての軸受25の内周面25aの双方をDLC薄膜で被覆しているほか、特定部位としてのバルブスリーブ26の内周面26b及び該特定部位と摺動する部位としてのスプール27の外周面27aの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0071】
したがって、この位相可変装置1では、ソレノイド20においてもその各構成要素間の摩擦抵抗を減少させ得ることとなり、その結果、オイル流出口の開閉速度が速くなって、応答性の向上が実現すると共に、上記した各特定部位及びこの特定部位と摺動する部位の耐摩耗性が向上するので、長寿命化が図られることとなる。加えて、スプール27のエッジ部を長く保持することができるので、耐異物性能を持続させることができ、各構成要素間の摩擦抵抗を減少により、仕事損失を少なく抑えることができると共にヒステリシスを少なくすることが可能である。
【0072】
(実施例2)
図5に示すように、この実施例の位相可変装置31は、インテークカムシャフトIC上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケット32と、このカムスプロケット32に固定した円筒状を成すハウジング33と、このハウジング33の内部においてインテークカムシャフトICに固定されたロータ34と、このロータ34の外周面において開口する軸方向に沿う溝34aに摺動可能に挿入されてハウジング33内に供給されるオイルによりロータ34を介してハウジング33に対するインテークカムシャフトICの位相を変化させるブレード35と、ブレード35のロック機構40と、ハウジング33内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブ(先の実施例と同じソレノイドバルブ20)を備えており、作動原理は、先の実施例の位相可変装置1と同じである。
【0073】
この位相可変装置31において、図6に簡略的に示すように、特定部位をロータ34の溝34aの側壁面34bとし、特定部位と摺動する部位をブレード35の側面35aとして双方に対してDLC薄膜の被覆処理を施しているので、ブレード35を支持するロータ34の溝34aの耐摩耗性を向上させることが可能である。
【0074】
また、この位相可変装置31のロック機構40は、ロータ34の外周面において開口するキー孔41に摺動可能に挿入したロックキー42と、ハウジング33に設けられて油圧によりキー孔41から突出したロックキー42の先端部と摺動しつつ嵌合する嵌合孔43を具備していて、特定部位をロックキー42の外面42aとし、特定部位と摺動する部位をハウジング33の嵌合孔43の内面43aとしてここでもまた双方に対してDLC薄膜の被覆処理を施しているので、ロックキー42及び嵌合孔43の耐摩耗性が向上することとなって、長寿命化を実現できる。
【0075】
(実施例3)
図7に示すように、この実施例の位相可変装置51は、インテークカムシャフトIC上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケット52と、このカムスプロケット52のフロント面52aに固定されて内周面にヘリカルスプライン53aが形成された円筒状を成すボディ53と、このボディ53のフロント端面53bに固定したカバー54と、ボディ53の内部においてインテークカムシャフトICに固定されて外周面にヘリカルスプライン55aが形成されたカムフロントシャフト55と、ボディ53内周面のヘリカルスプライン53a及びカムフロントシャフト55外周面のヘリカルスプライン55aの双方と噛み合ってボディ53内に供給されるオイルにより軸方向に移動してボディ53に対するインテークカムシャフトICの位相を変化させるヘリカルギア56,57と、ボディ53内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブ(先の実施例と同じソレノイドバルブ20)を備えている。
【0076】
この位相可変装置51において、ヘリカルギア56,57は、カムシャフト駆動トルクをボディ53から受け、カムフロントシャフト55に伝えながら位相を変化させるようにしていることから、特定部位としてのボディ53内周面のヘリカルスプライン53a及び該特定部位と摺動する部位としてのヘリカルギア56,57の双方をDLC薄膜で被覆していると共に、特定部位としてのカムフロントシャフト55外周面のヘリカルスプライン55a及び該特定部位と摺動する部位としてのヘリカルギア56,57の双方をDLC薄膜で被覆している。
【0077】
また、特定部位としてのカバー54のリア面54a及び該特定部位と摺動する部位としてのボディ53のフロント面53bの双方をDLC薄膜で被覆していると共に、特定部位としてのボディ53の内周面53c及び該特定部位と摺動する部位としてのカムフロントシャフト55のボス部55bの外周面55cの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0078】
上記した位相可変装置51では、上記した各特定部位及びこの特定部位と摺動する部位にDLC薄膜の被覆処理を行うことで、各構成要素間の摩擦抵抗を減少させることができ、したがって、ボディ53内に与えられる駆動油圧を降下させることができる。そして、位相可変装置51の応答性は、各構成要素間の摩擦抵抗に影響されることから、この各構成要素間の摩擦抵抗を減少させることで、位相可変装置51の駆動時における応答性の向上を実現でき、加えて、上記した各特定部位及びこの特定部位と摺動する部位の耐摩耗性が向上するので、長寿命化が実現する。
【0079】
(実施例4)
図8に示すように、この実施例の位相可変装置61は、インテークカムシャフトIC上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケット62と、このカムスプロケット62に固定されて内周面にヘリカルスプライン63aが形成されたヘリカルギア63と、カムシャフトICと連結されて外周面にヘリカルスプライン64aが形成されたスプラインシャフト64と、外周面及び内周面にそれぞれヘリカルスプライン65a,65bが形成されてヘリカルギア63及びスプラインシャフト64の双方と噛み合うアドバンシングプレート65と、このアドバンシングプレート65の外周面に形成した歯部65cと噛み合う三条ねじ部66aを内周面に具備してスプラインシャフト64に回転自在に支持されるドラム66と、このドラム66のフロント側に回転が規制された状態で設けられて通電時にはドラム66を吸着してアドバンシングプレート65を軸方向に移動させることでカムスプロケット62に対するインテークカムシャフトICの位相を変化させる電磁クラッチ67と、カムスプロケット62及びヘリカルギア63の間に位置するフリクションプレート68と、スプラインシャフト64の外周面に設けた環状突起64bをフリクションプレート68に押し付けて内部フリクションを生じさせる皿ばね69を備えている。
【0080】
上記位相可変装置61において、電磁クラッチ67を作動させて位相の変化させる場合には、電磁クラッチ67の作動により生じた磁力でドラム66が遅延回転することで、このドラム66の三条ねじ部66aに歯部65cを噛み合わせたアドバンシングプレート65が軸方向に移動することから、特定部位としてのドラム66の三条ねじ部66a及び該特定部位と摺動する部位としてのアドバンシングプレート65の歯部65cの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0081】
また、上記位相可変装置61において、位相の変化させる場合に軸方向に移動するアドバンシングプレート65は、その内周面のヘリカルスプライン65bをスプラインシャフト64の外周面のヘリカルスプライン64aに噛み合わせることでスプラインシャフト64を回転させていると共に、外周面のヘリカルスプライン65aをヘリカルギア63の内周面のヘリカルスプライン63aに噛み合わせているので、特定部位としてのアドバンシングプレート65の内周面のヘリカルスプライン65b及び該特定部位と摺動する部位としてのスプラインシャフト64の外周面のヘリカルスプライン64aの双方をDLC薄膜で被覆していると共に、特定部位としてのアドバンシングプレート65の外周面のヘリカルスプライン65a及び該特定部位と摺動する部位としてのヘリカルギア63の内周面のヘリカルスプライン63aの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0082】
上記した位相可変装置61において、各特定部位及びこの特定部位と摺動する部位、すなわち、上記した様々の歯面にDLC薄膜の被覆処理を行うことで、各歯面間の摺動抵抗を減少させ得ることとなり、したがって、位相可変装置61の応答性の向上を実現できると共に、耐摩耗性及び耐焼き付き性の向上をも実現することが可能である。
【0083】
さらに、上記位相可変装置61において、ドラム66の三条ねじ部66aとアドバンシングプレート65の歯部65cとの噛み合わせや、アドバンシングプレート65の内周面のヘリカルスプライン65bとスプラインシャフト64のヘリカルスプライン64aとの噛み合わせや、アドバンシングプレート65の外周面のヘリカルスプライン65aとヘリカルギア63のヘリカルスプライン63aとの噛み合わせで発生するバックラッシュを低減するために、スプラインシャフト64の外周面に設けた環状突起64bをフリクションプレート68と皿ばね69とで挟み込むことで、内部フリクションを生じさせるようにしているので、特定部位としてのスプラインシャフト64の環状突起64bのフロント面64c及び該特定部位と摺動する部位としてのフリクションプレート68のリア面68aの双方をDLC薄膜で被覆していると共に、特定部位としてのスプラインシャフト64の環状突起64bのリア面64d及び該特定部位と摺動する部位としての皿ばね69のフロント側端面69aの双方をDLC薄膜で被覆している。
【0084】
このように、上記した位相可変装置61では、フリクションプレート68と皿ばね69とによるスプラインシャフト64の環状突起64bの挟持部位にもDLC薄膜の被覆処理を行うようにしているので、各摺動部位の耐摩耗性が向上することとなって、各部品の長寿命化を実現でき、加えて、内部フリクションの経時劣化を抑制することができる。
【0085】
(実施例5)
図9に示すように、この実施例の位相可変装置71が上記実施例の位相可変装置61と相違するところは、特定部位としてのドラム76の内周面76a及び該特定部位と摺動する部位としてのスプラインシャフト74の外周面74aの双方をDLC薄膜で被覆することで、ドラム76をスプラインシャフト74上において転がり軸受を用いずに回転自在に支持するようにした点であり、他の構成は上記実施例の位相可変装置61と同じである。
【0086】
この位相可変装置71では、位相を変化させる場合に相対回転するドラム76の内周面76aとスプラインシャフト74の外周面74aとの双方にDLC薄膜の被覆処理を行っているので、両者間の摺動抵抗を転がり軸受並に抑えたうえで、転がり軸受を用いない分だけ、軽量小型化及び低コスト化を実現することができるうえ、転がり軸受を用いる場合に必須であった軸受ナットも不要なものとすることができる。
【0087】
この実施例では、ドラム76の内周面76aを特定部位としてDLC薄膜で被覆するようにしているが、ドラム76に滑り軸受を装着してこの滑り軸受の内周面をDLC薄膜で被覆するようにしてもよい。
【0088】
上記した実施例1〜5では、いずれも特定部位と該特定部位と摺動する部位の双方をDLC薄膜で被覆する場合を示したが、特定部位と該特定部位と摺動する部位の内の少なくとも一方をDLC薄膜で被覆すればよく、この場合も上記実施例1〜5と同様の効果を得ることができる。
【0089】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、上記した構成としたため、フリクションの大幅な低減を実現した位相可変装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位相可変装置の一実施例を示す側面方向からの断面説明図である。
【図2】図1における位相可変装置のフロントプレートを除去した状態での正面説明図である。
【図3】図1における位相可変装置のソレノイドバルブを示す断面説明図(a)及びこのソレノイドバルブの変形例を示す断面説明図(b)である。
【図4】本発明の位相可変装置に採用されるロック機構の他の構成例を示す部分断面説明図である。
【図5】本発明の位相可変装置の他の実施例を示すフロントプレートを除去した状態での正面説明図である。
【図6】図5における位相可変装置のDLC薄膜で被覆する特定部位及び該特定部位と摺動する部位を明確に示すロータ及びブレードの簡略説明図である。
【図7】本発明の位相可変装置のさらに他の実施例を示す側面方向からの断面説明図である。
【図8】本発明の位相可変装置のさらに他の実施例を示す全体斜視説明図である。
【図9】本発明の位相可変装置のさらに他の実施例を示す側面方向からの部分断面説明図である。
【符号の説明】
1,31,51,61,71 位相可変装置
2,32,52,62 カムスプロケット
2a カムスプロケットのフロント面
2b カムスプロケットのボス嵌合孔の内周面
3,53 ボディ
3c ボディの内周面
4 フロントプレート
4a フロントプレートのリア面
5 ベーン
5a ベーンのフロント面
5b ベーンのリア面
5c ベーンボス部の外周面
6,7 アペックスシール
6a ベーン側アペックスシールの外向き面
7a ボディ側アペックスシールの内向き面
10,40 ロック機構
11 ピン孔(ロック機構)
11a ピン孔の内周面
12 ロックピン(ロック機構)
12a ロックピンの先端テーパ部(ロック機構)
12b ロックピンの外周面
12c ロックピンの先端テーパ部の外周面
13 テーパ部嵌合孔(ロック機構)
13a テーパ部嵌合孔の内周面
14 スリーブ
14a スリーブの内周面
20 ソレノイドバルブ
21 ロッド
21a ロッドの外周面
22 コイル
23 アーマチュア
23a アーマチュアの外周面
24 スリーブ
24a スリーブの内周面
25 軸受
25a 軸受の内周面
26 バルブスリーブ
26a 貫通孔
26b バルブスリーブの内周面
27 スプール
27a スプールの外周面
33 ハウジング
34 ロータ
34a 溝
34b 溝の側壁面
35 ブレード
35a ブレードの側面
41 キー孔
42 ロックキー
42a ロックキーの外面
43 嵌合孔
43a 嵌合孔の内面
53a ボディ内周面のヘリカルスプライン
53b ボディのフロント面
53c ボディの内周面
54 カバー
54a カバーのリア面
55 カムフロントシャフト
55a カムフロントシャフト外周面のヘリカルスプライン
55b カムフロントシャフトのボス部
55c カムフロントシャフトのボス部の外周面
56,57 ヘリカルギア
63 ヘリカルギア
63a ヘリカルスプライン
64,74 スプラインシャフト
64a ヘリカルスプライン
64b スプラインシャフトの環状突起
64c 環状突起のフロント面
64d 環状突起のリア面
65 アドバンシングプレート
65a,65b ヘリカルスプライン
65c 歯部
66,76 ドラム
66a 三条ねじ部
67 電磁クラッチ
68 フリクションプレート
68a フリクションプレートのリア面
69 皿ばね
69a 皿ばねのフロント側端面
74 外周面
76 内周面
IC インテークカムシャフト

Claims (34)

  1. インテークカムシャフト上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケットと、このカムスプロケットのフロント面に固定した円筒状を成すボディと、このボディのフロント端面に固定したフロントプレートと、ボディの内部においてインテークカムシャフトに固定されてボディ内に供給されるオイルによりボディに対するインテークカムシャフトの位相を変化させるベーンと、オイルをシールするアペックスシールと、ベーンのロック機構と、ボディ内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブを備えた位相可変装置であって、上記構成要素のうちの特定部位と該特定部位と摺動する部位の内の少なくとも一方の部位を硬質炭素薄膜で被覆し、硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が10原子%以下であると共に、特定部位と該特定部位と摺動する部位は、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油の存在下で摺動することを特徴とする位相可変装置。
  2. 特定部位をベーンのフロント面とし、特定部位と摺動する部位をフロントプレートのリア面とした請求項1に記載の位相可変装置。
  3. 特定部位をベーンのリア面とし、特定部位と摺動する部位をカムスプロケットのフロント面とした請求項1又は2に記載の位相可変装置。
  4. 特定部位をボディの内周面とし、特定部位と摺動する部位をベーン側アペックスシールの外向き面とした請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  5. 特定部位をベーンボス部の外周面とし、特定部位と摺動する部位をボディ側アペックスシールの内向き面とした請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  6. カムスプロケットはベーンボス部に嵌装してあって、特定部位をベーンボス部の外周面とし、特定部位と摺動する部位をカムスプロケットのボス嵌合孔の内周面とした請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  7. ベーンのロック機構は、ベーンに設けたピン孔に摺動可能に挿入したロックピンと、フロントプレートに設けられてばね圧力によりピン孔内を摺動したロックピンの先端テーパ部と摺動しつつ嵌合するテーパ部嵌合孔を具備し、特定部位をロックピンの外周面とし、特定部位と摺動する部位をベーンのピン孔の内周面とした請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  8. 特定部位をロックピンの先端テーパ部の外周面とし、特定部位と摺動しつつ嵌合する部位をフロントプレートのテーパ部嵌合孔の内周面とした請求項7に記載の位相可変装置。
  9. 特定部位をロックピンの外周面とし、特定部位と摺動する部位をベーンのピン孔に挿入したスリーブの内周面とした請求項7又は8に記載の位相可変装置。
  10. インテークカムシャフト上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケットと、このカムスプロケットのフロント面に固定した円筒状を成すハウジングと、このハウジングの内部においてインテークカムシャフトに固定されたロータと、このロータの外周面において開口する軸方向に沿う溝に摺動可能に挿入されてハウジング内に供給されるオイルによりロータを介してハウジングに対するインテークカムシャフトの位相を変化させるブレードと、ブレードのロック機構と、ハウジング内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブを備えた位相可変装置であって、上記構成要素のうちの特定部位と該特定部位と摺動する部位の内の少なくとも一方の部位を硬質炭素薄膜で被覆し、硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が10原子%以下であると共に、特定部位と該特定部位と摺動する部位は、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油の存在下で摺動することを特徴とする位相可変装置。
  11. 特定部位をロータの溝の側壁面とし、特定部位と摺動する部位をブレードの側面とした請求項10に記載の位相可変装置。
  12. ブレードのロック機構は、ロータの外周面において開口するキー孔に摺動可能に挿入したロックキーと、ハウジングに設けられて油圧によりキー孔から突出したロックキーの先端部と摺動しつつ嵌合する嵌合孔を具備し、特定部位をロックキーの外面とし、特定部位と摺動する部位をハウジングの嵌合孔の内面とした請求項10又は11に記載の位相可変装置。
  13. インテークカムシャフト上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケットと、このカムスプロケットのフロント面に固定されて内周面にヘリカルスプラインが形成された円筒状を成すボディと、このボディのフロント端面に固定したカバーと、ボディの内部においてインテークカムシャフトに固定されて外周面にヘリカルスプラインが形成されたカムフロントシャフトと、ボディ内周面のヘリカルスプライン及びカムフロントシャフト外周面のヘリカルスプラインの双方と噛み合ってボディ内に供給されるオイルにより軸方向に移動してボディに対するインテークカムシャフトの位相を変化させるヘリカルギアと、ボディ内に供給するオイルの制御を行うソレノイドバルブを備えた位相可変装置であって、上記構成要素のうちの特定部位と該特定部位と摺動する部位の内の少なくとも一方の部位を硬質炭素薄膜で被覆し、硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が10原子%以下であると共に、特定部位と該特定部位と摺動する部位は、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油の存在下で摺動することを特徴とする位相可変装置。
  14. 特定部位をボディ内周面のヘリカルスプラインとし、特定部位と摺動する部位をヘリカルギアとした請求項13に記載の位相可変装置。
  15. 特定部位をカムフロントシャフト外周面のヘリカルスプラインとし、特定部位と摺動する部位をヘリカルギアとした請求項13又は14に記載の位相可変装置。
  16. 特定部位をカバーのリア面とし、特定部位と摺動する部位をボディのフロント面とした請求項13〜15のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  17. カムフロントシャフトはボディと摺動可能に嵌合するボス部を有し、特定部位をボディ内周面とし、特定部位と摺動する部位をカムフロントシャフトのボス部の外周面とした請求項13〜16のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  18. ソレノイドバルブは、ロッド上に固定されてコイルから磁力を受けて軸心方向に移動するアーマチュアと、このアーマチュアの移動をガイドするスリーブと、ロッドの移動をガイドする軸受と、オイルを出し入れする複数の貫通孔を有するバルブスリーブと、ロッドに同軸に連結されてバルブスリーブ内において移動してオイルの送り出し方向を制御するスプールを具備し、特定部位をアーマチュアの外周面とし、特定部位と摺動する部位をスリーブの内周面とした請求項1〜17のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  19. 特定部位をロッドの外周面とし、特定部位と摺動する部位を軸受の内周面とした請求項18に記載の位相可変装置。
  20. 特定部位をバルブスリーブの内周面とし、特定部位と摺動する部位をスプールの外周面とした請求項18又は19に記載の位相可変装置。
  21. インテークカムシャフト上に配置されてタイミングチェーンを介して伝えられるクランクスプロケットからの駆動力により回転するカムスプロケットと、このカムスプロケットに固定されて内周面にヘリカルスプラインが形成されたヘリカルギアと、カムシャフトと連結されて外周面にヘリカルスプラインが形成されたスプラインシャフトと、外周面及び内周面にそれぞれヘリカルスプラインが形成されてヘリカルギア及びスプラインシャフトの双方と噛み合うアドバンシングプレートと、このアドバンシングプレートの外周面に形成した歯部と噛み合う三条ねじ部を内周面に具備してスプラインシャフトに回転自在に支持されるドラムと、このドラムのフロント側に回転が規制された状態で設けられて通電時にはドラムを吸着してアドバンシングプレートを軸方向に移動させることでカムスプロケットに対するインテークカムシャフトの位相を変化させる電磁クラッチと、カムスプロケット及びヘリカルギアの間に位置するフリクションプレートと、スプラインシャフトの外周面に設けた環状突起をフリクションプレートに押し付けて内部フリクションを生じさせる皿ばねを備えた位相可変装置であって、上記構成要素のうちの特定部位と該特定部位と摺動する部位の内の少なくとも一方の部位を硬質炭素薄膜で被覆し、硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が10原子%以下であると共に、特定部位と該特定部位と摺動する部位は、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油の存在下で摺動することを特徴とする位相可変装置。
  22. 特定部位をドラムの三条ねじ部とし、特定部位と摺動する部位をアドバンシングプレートの歯部とした請求項21に記載の位相可変装置。
  23. 特定部位をアドバンシングプレートの外周面のヘリカルスプラインとし、特定部位と摺動する部位をヘリカルギアの内周面のヘリカルスプラインとした請求項21又は22に記載の位相可変装置。
  24. 特定部位をアドバンシングプレートの内周面のヘリカルスプラインとし、特定部位と摺動する部位をスプラインシャフトの外周面のヘリカルスプラインとした請求項21〜23のうちのいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  25. 特定部位をスプラインシャフトの環状突起のフロント面とし、特定部位と摺動する部位をフリクションプレートのリア面とした請求項21〜24のうちのいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  26. 特定部位をスプラインシャフトの環状突起のリア面とし、特定部位と摺動する部位を皿ばねのフロント側端面とした請求項21〜25のうちのいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  27. 特定部位をドラムの内周面又はドラムに設けた滑り軸受の内周面とし、特定部位と摺動する部位をスプラインシャフトの外周面とした請求項21〜26のうちのいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  28. 上記硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が1.0原子%以下である請求項1〜27のうちのいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  29. 上記潤滑油の脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤は、炭素数6〜30の炭化水素基を有し、組成物全量基準で0.05〜3.0%含有されている請求項1〜28のうちのいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  30. 上記潤滑油は、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有している請求項1〜29のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  31. ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量を組成物全量基準で0.1〜15%としている請求項30に記載の位相可変装置。
  32. 上記潤滑油は、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下のジチオリン酸亜鉛を含有している請求項1〜31のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  33. アーク式イオンプレーティング法により成膜したDLC薄膜を硬質炭素薄膜とした請求項1〜32のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
  34. 上記硬質炭素薄膜の被覆前における基材の表面粗さをRaで0.03μm以下とした請求項1〜33のいずれか1つの項に記載の位相可変装置。
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