JP2005061242A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大幅なフリクション低減効果を発揮し得る内燃機関の可変動弁装置を提供する。
【解決手段】駆動軸2と、駆動軸2と平行に配置した制御軸3と、制御軸3の一部を支持点とするロッカーアーム4と、駆動軸2からの駆動力によりロッカーアーム4を駆動するアーム駆動機構と、ロッカーアーム4の動作をバルブ9に伝える駆動力伝達機構と、出力軸14aを具備しこの出力軸14aに取付けたウォーム15を制御軸3に取付けたウォームホイール13に噛み合わせて制御軸3の回転角度を変えることでバルブ9のリフト量を変化させる制御モータ14を備え、潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ14側のウォーム15と制御軸3側のウォームホイール13との各接触部を硬質炭素薄膜で被覆した。
【選択図】 図1
【解決手段】駆動軸2と、駆動軸2と平行に配置した制御軸3と、制御軸3の一部を支持点とするロッカーアーム4と、駆動軸2からの駆動力によりロッカーアーム4を駆動するアーム駆動機構と、ロッカーアーム4の動作をバルブ9に伝える駆動力伝達機構と、出力軸14aを具備しこの出力軸14aに取付けたウォーム15を制御軸3に取付けたウォームホイール13に噛み合わせて制御軸3の回転角度を変えることでバルブ9のリフト量を変化させる制御モータ14を備え、潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ14側のウォーム15と制御軸3側のウォームホイール13との各接触部を硬質炭素薄膜で被覆した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転状態に応じて吸気弁又は排気弁の作動タイミング及びバルブ開度量を制御するのに用いられる内燃機関の可変動弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球全体の温暖化、オゾン層の破壊など地球規模での環境問題が大きくクローズアップされ、とりわけ地球全体の温暖化に大きな影響があるといわれているCO2の削減については各国でその規制値の決め方をめぐって大きな関心を呼んでおり、このCO2の削減については、自動車の燃費の削減を図ることが大きな課題の1つである。
【0003】
自動車のエンジンにおける可変動弁装置で生じる摩擦力は、エンジン全体の機械損失のかなりの量を占めており、ここでのフリクションの低減は、自動車の燃費削減に直結する重要事項である。
【0004】
上記したような内燃機関の可変動弁装置の場合、作動角を可変化する制御軸に取付けたウォームホイールに、制御モータの出力軸に取付けたウォームを噛み合わせて、制御軸の回転角度を変えることでバルブのリフト量を変化させるようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−123809号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来の可変動弁装置では、ウォームの特性上、バイアススプリングやバルブ駆動の際に生じるトルクにより、ギア部の面圧が高い状態で摺動するようになっているので、摩耗や焼き付きが生じやすいという問題があるほか、ギア部の面圧を下げるためにギア形状を大きくすると、レイアウトやコストの面で不利になるという問題を有していた。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性及び耐焼き付き性を確保したうえで、摺動部分の大幅なフリクションの低減を実現して燃費の向上に寄与することができる内燃機関の可変動弁装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく銑意検討を重ねた結果、内燃機関の可変動弁装置において、潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部や、潤滑油の存在下で摺動する駆動軸とアーム駆動機構との各接触部を硬質炭素薄膜で被覆することで、格段に優れたフリクション低減効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、駆動軸と、この駆動軸と平行に配置した制御軸と、この制御軸の一部を支持点とするロッカーアームと、上記駆動軸からの駆動力によりロッカーアームを駆動するアーム駆動機構と、ロッカーアームの動作をバルブに伝える駆動力伝達機構と、出力軸を具備しこの出力軸に取付けたウォームを上記制御軸に取付けたウォームホイールに噛み合わせて制御軸の回転角度を変えることでバルブのリフト量を変化させる制御モータを備えた内燃機関の可変動弁装置において、潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部を硬質炭素薄膜で被覆したことを特徴とし、また、駆動軸と、この駆動軸と平行に配置した制御軸と、この制御軸の一部を支持点とするロッカーアームと、上記駆動軸からの駆動力によりロッカーアームを駆動するアーム駆動機構と、ロッカーアームの動作をバルブに伝える駆動力伝達機構と、制御軸の回転角度を変えることでバルブのリフト量を変化させる制御モータを備えた内燃機関の可変動弁装置において、潤滑油の存在下で摺動する駆動軸とアーム駆動機構との各接触部を硬質炭素薄膜で被覆したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示すものとする。
【0011】
潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部や、潤滑油の存在下で摺動する駆動軸とアーム駆動機構との各接触部を被覆する硬質炭素薄膜は、各種PVD法、具体的には、アーク式イオンプレーティング法により形成したDLC薄膜(ダイヤモンド状炭素薄膜)であることが望ましい。このDLC薄膜は、炭素元素を主として構成された非晶質のものであり、具体的には、炭素元素だけから成るa−C(アモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素アモルファスカーボン)、及びチタン(Ti)やモリブデン(Mo)等の金属元素を一部に含むMeC(メタルカーボン又は金属炭化物)が挙げられるが、大幅な摩擦低減効果を発揮させる観点から、水素含有量が少ないものほど好ましく、水素含有量が原子比で10%以下、好ましくは水素含有量が原子比で1.0%以下、さらには水素を含まないa−C系(アモルファスカーボン系)材料を好適に用いることができる。
【0012】
ここで、鉄鋼材又はアルミニウム材から成る基材の表面粗さ、すなわち、硬質炭素薄膜を被覆する前の基材表面粗さがRaで0.03μmを超えると、硬質炭素薄膜表面の粗さに起因する突起部が相手材との局所的な接触面積を増大させて皮膜の割れを誘発してしまうことから、硬質炭素薄膜を被覆する前の基材表面粗さをRaで0.03μm以下とすることが好ましい。
【0013】
次に、本発明に用いる潤滑油組成物について詳細に説明する。この潤滑油組成物は、潤滑油基油に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有させて成る。
【0014】
上記潤滑油基油としては特に限定されるものではなく、鉱油、合成油、油脂及びこれらの混合物など、潤滑油組成物の基油として通常使用されるものであれば、種類を問わず使用することができる。
【0015】
鉱油として、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系又はナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用でき、溶剤精製、水素化精製処理したものが一般的であるが、芳香族分をより低減することが可能な高度水素化分解プロセスやGTL Wax(ガス・トウー・リキッド・ワックス)を異性化した手法で製造したものを用いることがより好ましい。
【0016】
合成油としては、具体的には、ポリ−α−オレフィン(例えば、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)、ポリ−α−オレフィンの水素化物、イソブテンオリゴマー、イソブテンオリゴマーの水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジオクチルセバケート等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンイソステアリネート等のトリメチロールプロパンエステル;ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のペンタエリスリトールエステル)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。中でも、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフイン又はその水素化物が好ましい例として挙げられる。
【0017】
本発明に用いる潤滑油組成物の基油は、鉱油系基油又は合成系基油を単独又は混合して用いる以外に、2種類以上の鉱油系基油又は2種類以上の合成系基油の混合物であっても差し支えない。また、上記混合物における2種類以上の基油の混合比も特に限定されず任意に選ぶことができる。
【0018】
潤滑油基油中の硫黄分について、特に制限はないが、基油全量基準で、0.2%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、さらには0.05%以下であることが好ましい。特に、水素化精製鉱油や合成系基油の硫黄分は、0.005%以下、あるいは実質的に硫黄分を含有していない(5ppm以下)ことから、これらを基油として用いることが好ましい。
【0019】
また、潤滑油基油中の芳香含有量についても、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油組成物として長期間低摩擦特性を維持するためには、全芳香族含有量が15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらには5%以下であることが好ましい。即ち、潤滑油基油の全芳香族含有量が15%を超える場合には、酸化安定性が劣るため好ましくない。
【0020】
なお、ここで言う全芳香族含有量とは、ASTM D2549に規定される方法に準拠して測定される芳香族留分(aromatics fraction)含有量を意味している。
【0021】
潤滑油基油の動粘度にも、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、100℃における動粘度が2mm2/s以上であることが好ましく、より好ましくは3mm2/s以上である。一方、その動粘度は、20mm2/s以下であることが好ましく、10mm2/s以下、特に8mm2/s以下であることが好ましい。100℃における潤滑油基油の動粘度が2mm2/s未満である場合には、十分な耐摩耗性が得られないのに加えて、蒸発特性が劣る可能性があるため好ましくない。一方、100℃における潤滑油基油の動粘度が20mm2/sを超える場合には、低摩擦性能を発揮しにくく、低温性能が悪くなる可能性があるため好ましくない。本発明においては、上記基油の中から選ばれる2種以上の基油を任意に混合した混合物等が使用でき、100℃における動粘度が上記の好ましい範囲内に入る限りにおいては、基油単独の動粘度が上記以外のものであっても使用可能である。
【0022】
また、潤滑油基油の粘度指数にも、特別な制限はないが、80以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましく、特に内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、120以上であることが好ましい。潤滑油基油の粘度指数を高めることでよりオイル消費が少なく、低温粘度特性、省燃費性能に優れた内燃機関用潤滑油組成物を得ることができる。
【0023】
上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤としては、炭素数6〜30、好ましくは炭素数8〜24、特に好ましくは炭素数10〜20の直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する脂肪酸エステル、脂肪酸アミン化合物、及びこれらの任意混合物を挙げることができる。炭素数が6〜30の範囲外のときは、摩擦低減効果が十分に得られない可能性がある。
【0024】
炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状炭化水素基としては、具体的には、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等のアルキル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等のアルケニル基などを挙げることができる。なお、上記アルキル基及びアルケニル基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基における二重結合の位置は任意である。
【0025】
また、上記脂肪酸エステルとしては、かかる炭素数6〜30の炭化水素基を有する脂肪酸と脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステルなどを例示でき、具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレートなどを特に好ましい例として挙げることができる。
【0026】
上記脂肪族アミン化合物としては、脂肪族モノアミン又はそのアルキレンオキシド付加物、脂肪族ポリアミン、イミダゾリン化合物等、及びこれらの誘導体等を例示できる。具体的には、ラウリルアミン、ラウリルジエチルアミン、ラウリルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン、オレイルアミン、オレイルプロピレンジアミン、オレイルジエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等の脂肪族アミン化合物や、これら脂肪族アミン化合物のN,N−ジポリオキシアルキレン−N−アルキル(又はアルケニル)(炭素数6〜28)等のアミンアルキレンオキシド付加物、これら脂肪族アミン化合物に炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したりアミド化した、いわゆる酸変性化合物等が挙げられる。好適な例としては、N,N−ジポリオキシエチレン−N−オレイルアミン等が挙げられる。
【0027】
また、本発明に用いる潤滑油組成物に含まれる脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の含有量は、特に制限はないが、組成物全量基準で、0.05〜3.0%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2.0%、特に好ましくは0.5〜1.4%であることがよい。上記含有量が0.05%未満であると摩擦低減効果が小さくなり易く、3.0%を超えると潤滑油への溶解性や貯蔵安定性が著しく悪化し、沈殿物が発生し易いので、好ましくない。
【0028】
一方、本発明に用いる潤滑油組成物は、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有することが好適であり、上記ポリブテニルコハク酸イミドとしては、次の一般式(1)及び(2)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
これら一般式におけるPIBは、ポリブテニル基を示し、高純度イソブテン又は1−ブテンとイソブテンの混合物をフッ化ホウ素系触媒又は塩化アルミニウム系触媒で重合させて得られる数平均分子量が900〜3500、望ましくは1000〜2000のポリブテンから得られる。上記数平均分子量が900未満の場合は清浄性効果が劣り易く、3500を超える場合は低温流動性に劣り易いため、望ましくない。
【0032】
また、上記一般式におけるnは、清浄性に優れる点から1〜5の整数、より望ましくは2〜4の整数であることがよい。更に、上記ポリブテンは、製造過程の触媒に起因して残留する微量のフッ素分や塩素分を吸着法や十分な水洗等の適切な方法により、50ppm以下、より望ましくは10ppm以下、特に望ましくは1ppm以下まで除去してから用いることもよい。
【0033】
更に、上記ポリブテニルコハク酸イミドの製造方法としては、特に限定はないが、例えば、上記ポリブテンの塩素化物又は塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンと無水マレイン酸とを100〜200℃で反応させて得られるポリブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させることにより得ることができる。
【0034】
一方、上記ポリブテニルコハク酸イミドの誘導体としては、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物に、ホウ素化合物や含酸素有機化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性又は酸変性化合物を例示できる。その中でもホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミド、特にホウ素含有ビスポリブテニルコハク酸イミドが最も好ましいものとして挙げられる。
【0035】
上記ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等が挙げられる。具体的には、上記ホウ酸として、オルトホウ酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸などが挙げられる。また、上記ホウ酸塩としては、アンモニウム塩等、具体的には、例えばメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウムが好適例として挙げられる。また、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6のアルキルアルコールとのエステル、より具体的には例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリププロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、ホウ酸トリブチル等が好適例として挙げられる。なお、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミドにおけるホウ素含有量Bと窒素含有量Nとの質量比「B/N」は、通常0.1〜3であり、好ましくは、0.2〜1である。
【0036】
また、上記含酸素有機化合物としては、具体的には、例えばぎ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルポン酸並びにこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる
【0037】
なお、本発明に用いる潤滑油組成物において、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量は特に制限されないが、0.1〜15%が望ましく、より望ましくは1.0〜12%であることが好ましい。0.1%未満では清浄性効果に乏しくなることがあり、15%を超えると含有量に見合う清浄性効果が得られにくく、抗乳化性が悪化し易い。
【0038】
更にまた、本発明に用いる潤滑油組成物は、次の一般式(3)で表されるジチオリン酸亜鉛を含有することが好適である。
【0039】
【化3】
【0040】
上記式(3)中のR4、R5、R6及びR7は、それぞれ別個に炭素数1〜24の炭化水素基を示す。これら炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルアリール基、炭素数7〜19のアリールアルキル基等のいずれかであることが望ましい。また、アルキル基やアルケニル基は、第1級、第2級及び第3級のいずれであってもよい。
【0041】
上記R4、R5、R6及びR7としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等のアルキル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、エチルメチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、エチルジメチルシクロペンチル基、プロピルメチルシクロペンチル基、プロピルエチルシクロペンチル基、ジ−プロピルシクロペンチル基、プロピルエチルメチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシクロへキシル基、エチルシクロへキシル基、プロピルシクロへキシル基、エチルメチルシクロへキシル基、トリメチルシクロへキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、エチルジメチルシクロヘキシル基、プロピルメチルシクロヘキシル基、プロピルエチルシクロヘキシル基、ジ−プロピルシクロへキシル基、プロピルエチルメチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、エチルメチルシクロヘプチル基、トリメチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基、エチルジメチルシクロヘプチル基、プロピルメチルシクロヘプチル基、プロピルエチルシクロヘプチル基、ジ−プロピルシクロヘプチル基、プロピルエチルメチルシクロヘプチル基等のアルキルシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、エチルメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルジメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基等のアリールアルキル基、等が例示できる。
【0042】
なお、R4、R5、R6及びR7がとり得る上記炭化水素基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造をが含まれ、また、アルケニル基の二重結合の位置、アルキル基のシクロアルキル基への結合位置、アルキル基のアリール基への結合位置、及びアリール基のアルキル基への結合位置は任意である。また、上記炭化水素基の中でも、その炭化水素基が、直鎖状又は分柱状の炭素数1〜18のアルキル基である場合若しくは炭素数6〜18のアリール基、又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基である場合が特に好ましい。
【0043】
上記ジチオリン酸亜鉛の好適な具体例としては、例えば、ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオリン酸亜鉛、ジイソトリデシルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。
【0044】
また、上記ジチオリン酸亜鉛の含有量は、特に制限されないが、より高い摩擦低減効果を発揮させる観点から、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下であることが好ましく、また0.06%以下であることがより好ましく、更にはジチオリン酸亜鉛が含有されないことが特に好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量がリン元素換算量で0.1%を超えると、DLC部材と鉄基部材との摺動面における上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤や上記脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の優れた摩擦低減効果が阻害されるおそれがある。
【0045】
上記ジチオリン酸亜鉛の製造方法としては、従来方法を任意に採用することができ、特に制限されないが、具体的には、例えば、上記R4、R5、R6及びR7に対応する炭化水素基を持つアルコール又はフェノールを五二硫化りんと反応させてジチオリン酸とし、これを酸化亜鉛で中和させることにより合成することができる。なお、上記ジチオリン酸亜鉛の構造は、使用する原料アルコールによって異なることは言うまでもない。
【0046】
本発明においては、上記一般式(3)に包含される2種以上のジチオリン酸亜鉛を任意の割合で混合して使用することもできる。
【0047】
上述のように、本発明の潤滑油組成物は、硬質炭素薄膜で被覆した制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部や、駆動軸とアーム駆動機構との各接触部に用いた場合に、極めて優れた低摩擦特性を示すものであるが、特に内燃機関用潤滑油組成物として必要な性能を高める目的で、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、他の無灰摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤若しくは極圧剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
【0048】
上記金属系清浄剤としては、潤滑油用の金属系清浄剤として通常用いられる任意の化合物が使用できる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレートナフテネート等を単独で又は複数種を組合せて使用できる。ここで、上記アルカリ金属としてはナトリウム(Na)やカリウム(K)等、上記アルカリ土類金属としてはカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等が例示できる。また、具体的な好適例としては、Ca又はMgのスルフォネート、フェネート及びサリシレートが挙げられる。
【0049】
なお、これら金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択できる。通常、全塩基価は、過塩素酸法で0〜500mgKOH/g、望ましくは150〜400mgKOH/gであり、その添加量は組成物全量基準で、通常0.1〜10%である。
【0050】
また、上記酸化防止剤としては、潤滑油用の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物を使用できる。例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、アルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、並びにこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。また、かかる酸化防止剤の添加量は、組成物全量基準で、通常0.01〜5%である。
【0051】
更に、上記粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体やその水添物等のいわゆる非分散型粘度指数向上剤、及び更に窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤等が例示できる。また、他の粘度指数向上剤の具体例としては、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)及びその水素化物、ポリイソブチレン及びその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、並びにポリアルキルスチレン等も例示できる。
【0052】
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートでは5000〜1000000、好ましくは100000〜800000がよく、ポリイソブチレン又はその水素化物では800〜5000、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物では800〜300000、好ましくは10000〜200000がよい。また、かかる粘度指数向上剤は、単独で又は複数種を任意に組合せて含有させることができるが、通常その含有量は、潤滑油組成物基準で0.1〜40.0%であることが望ましい。
【0053】
更にまた、他の無灰摩擦調整剤としては、ホウ酸エステル、高級アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤、ジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン、二硫化モリブデン等の金属系摩擦調整剤等が挙げられ、他の無灰分散剤としては、数平均分子量が900〜3500のポリブテニル基を有するポリブテニルベンジルアミン、ポリブテニルアミン、数平均分子量が900未満のポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸イミド等及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0054】
更にまた、上記磨耗防止剤又は極圧剤としては、ジスルフィド、硫化油脂、硫化オレフィン、炭素数2〜20の炭化水素基を1〜3個含有するリン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル及びこれらのアミン塩等が挙げられる。
【0055】
更にまた、上記防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられ、上記非イオン系界面活性剤及び抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0056】
更にまた、上記金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等が挙げられ、上記消泡剤としては、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
【0057】
なお、これら添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は、組成物全量基準で、他の摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤又は極圧剤、防錆剤、及び抗乳化剤については0.01〜5%、金属不活性剤については0.005〜1%、消泡剤については0.0005〜1%の範囲から適宜選択できる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、この実施例のみに限定されるものではない。
【0059】
図1及び図3に示すように、この実施例の内燃機関の可変動弁装置1は、クランク軸から伝えられる動力により回転する駆動軸2と、この駆動軸2とほぼ平行に配置した制御軸3と、この制御軸3の一部を支持点とするロッカーアーム4を備えている。
【0060】
駆動軸2は、その外周面に駆動偏心カム5を具備している。この駆動偏心カム5は、図2にも示すように、その中心Xを駆動軸2の軸心Yからオフセットさせた状態で固定してあり、駆動軸2の回転に伴って駆動軸2の軸心Yを中心として偏心しつつ回転するようになっている。
【0061】
上記駆動偏心カム5とロッカーアーム4との間には、駆動偏心カム5とともにアーム駆動機構を構成するリング状リンク6が設けてある。このリング状リンク6は、大径部6aと小径部6bとを有していて、大径部6aを駆動偏心カム5の外周に回転可能に連結すると共に、小径部6bをロッカーアーム4の一端部4aに回転可能に連結しており、このリング状リンク6は、駆動偏心カム5の偏心しながらの回転運動をロッカーアーム4に揺動運動として伝達するようになっている。
【0062】
この場合、駆動偏心カム5(駆動軸側の接触部)及びリング状リンク6(アーム駆動機構側の接触部)の各摺動面に対して、水素原子の量が0.5原子%以下で且つヌープ硬度Hkが2170kg/mm2 ,Ryが0.03μm,厚さが0.5μmのDLC薄膜をPVDアーク式イオンプレーティング法により成膜し、ベースオイル(PAO)にエステル系無灰摩擦調整剤を添加したものを潤滑油として使用した。
【0063】
制御軸3は、制御カム7を具備している。この制御カム7は、その中心P1を制御軸3の軸心P2からオフセットさせた状態で一体的に設けてあり、制御軸3を回転させることで、その回転角度に応じて中心P1が制御軸3の軸心P2を中心として移動するようになっている。
【0064】
上記ロッカーアーム4は、制御カム7によって揺動自在に支持されており、上述したように、一端部4aには、リング状リンク6の小径部6bが連結してあると共に、他端部4bには、後述するロッド状リンク8の上端部8aが連結してある。このロッカーアーム4の一端部4a及び他端部4bは、制御カム7の中心P1を揺動中心としてほぼ上下方向に揺動するようになっており、この際の揺動中心は、上述の制御軸3の回転により移動するものとなっている。すなわち、制御軸3の回転によって制御カム7の中心P1が移動すると、この移動した点がロッカーアーム4の揺動中心となり、このロッカーアーム4の揺動中心が移動することによって、吸気弁9のバルブタイミング及びバルブリフト量が変更されるようになっている。
【0065】
上記ロッド状リンク8は、ロッカーアーム4とこのロッド状リンク8とともに駆動力伝達機構を構成する揺動カム10とを連結している。このロッド状リンク8は、ほぼ上下方向に配置してあって、上述のごとくその上端部8aをロッカーアーム4の他端部4bに回転自在に連結していると共に、下端部8bを揺動カム10の一端部に回転自在に連結しており、このロッド状リンク8は、ロッカーアーム4の揺動運動を揺動カム10の揺動運動として伝達するようになっている。
【0066】
揺動カム10は、駆動軸2と吸気弁9に取り付けたバルブリフタ11との間に位置していて、上述のごとくその一端部はロッド状リンク8の下端部8bに回転自在に連結しており、他端部の外周はシリンダヘッドに回転自在に支持され、その内周は駆動軸2の外周に回転自在に連結されて、制御軸3を支持している。この揺動カム10は、そのカム面10aをバルブリフタ11の冠面に当接させており、その揺動中心は駆動軸2の軸心Yと一致していて、ロッド状リンク8により一端部が揺動される。
【0067】
ここで、軸受12を介してヘッドに支持されている制御軸3には、ウォームホイール13が一体的に設けてあり、このウォームホイール13は、制御モータ14の出力軸14aに取付けたウォーム15に噛み合わせてある。制御モータ14は、コントロールユニットにより制御され、その駆動力をウォーム15及びウォームホイール13を介して制御軸3に伝達して、制御軸3の回転角度を制御するものとなっている。
【0068】
この実施例において、ウォーム15及びウォームホイール13の各摺動面に対して、水素原子の量が0.5原子%以下で且つヌープ硬度Hkが2170kg/mm2 ,Ryが0.03μm,厚さが0.5μmのDLC薄膜をPVDアーク式イオンプレーティング法により成膜し、ベースオイル(PAO)にエステル系無灰摩擦調整剤を添加したものを潤滑油として使用した。
【0069】
次に、制御軸3とロッカーアーム4との姿勢について説明する。まず、大リフトを発生させたい場合は、制御軸3の制御カム7の中心P1を駆動軸2へ近づけることにより、揺動カム10を大リフト側に移動させる(図4(a)に示す状態)。
【0070】
これとは逆に、小リフトを発生させたい場合は、制御軸3の制御カム7の中心P1を制御軸3の軸心P2回りに駆動軸2の軸心Yから遠ざけることにより、揺動カム10を小リフト側に移動させる(図4(b)に示す状態)。
【0071】
小リフトでは、大リフトよりもロッカーアーム4とロッド状リンク8との接点を高くして、揺動カム10をバルブリフタ11から遠ざけることで小リフトを達成している。
【0072】
この際、シリンダヘッド上のロッカーアーム4の作動位置は若干変化しており、制御軸3も約90°回転している。
【0073】
そこで、制御軸3とロッカーアーム4との相対位置関係を見るため、制御軸3を固定した場合の揺動カム10の位置を図2に示す。
【0074】
ここでは、大リフト時の揺動範囲と、小リフト時の揺動範囲とは大きく異なっている。制御軸3軸内に給油用の油通路があり、制御カム7の外周にも油通路を設けて制御カム7の外周とロッカーアーム4の内周との潤滑を行っている。
【0075】
この油通路と連通するようにしてロッカーアーム4の外周にも油通路を設けると、この通路を通してロッカーアーム4とロッド状リンク8との接点に向けて油を飛び出させることができ、これにより上記接点の潤滑を行う。
【0076】
また、小リフト時に制御軸3の油通路とロッカーアーム4の油通路とを連通させることにより、小リフト時にのみロッカーアーム4とロッド状リンク8との接点を潤滑させることができる。
【0077】
小リフトを使用する領域は、当然エンジン回転数が低く、機関の油圧が低いことに加えて、ムービングパーツの速度も低いことから、油がほとんど巻き散らない。このため、小作動角にのみ油通路を開通させて潤滑を行うようにしている。
【0078】
一方、作動角が大きくなる(エンジン回転数が高くなる)につれて、エンジン内の潤滑油がミスト状となって上記接点に運ばれるため、他からの潤滑は不要なものとなる。このように作動角が大きくなると、揺動運動を行っている制御カム7とロッカーアーム4との間の荷重が高くなることから、給油が必要となる。制御カム7とロッカーアーム4との位置関係は変化し、制御カム7からの給油通路とロッカーアーム4の油通路とは、ロッカーアーム4の揺動中には開通することがなくなる。
【0079】
したがって、全潤滑油を制御カム7とロッカーアーム4との潤滑に使用することができ、この際、制御カム7の給油通路とロッカーアーム4の油通路とを利用しているため、制御軸3に対する追加加工は発生しない。また、リング状リンク6との接点への給油も同様に可能となる。
【0080】
次に、各部へのバルブ反力の伝わり方を説明する。まず、吸気弁9がリフトしているとき、バルブスプリング反力は、揺動カム10のプロフィール面に加わり、揺動カム10からロッド状リンク8を伝わって、ロッカーアーム4の片端へ伝わり、ロッカーアーム4の支点により荷重方向が変更されてリング状リンク6へ伝わり、このリング状リンク6から駆動軸2へ荷重が加られる。
【0081】
図2の側面からこの荷重を見ると、駆動軸2の荷重は、これを回転支持する揺動カム10の内周へ伝わり、この揺動カム10を回転支持するシリンダヘッドのカムジャーナルが受ける。つまり、バルブ反力は、最終的に駆動軸2から揺動カム10を通してシリンダヘッドのカムジャーナルが受ける。
【0082】
この側面図で判るように、吸気弁9がリフトすると、駆動軸2とカムジャーナルとの間に揺動カム10が挟み込まれ、作用・反作用の力が加わっている。また、この挟み込まれている揺動カム10は、吸気弁9を作動させるために揺動運動することから、この上下の荷重に対して摩擦力が発生し、駆動軸2による吸気弁9の作動時にはフリクションとして作用することから、バルブ反力に対抗して吸気弁9を作動させる力に加えて、このフリクション分の力を発揮しなければならない。
【0083】
つまり、荷重に対してフリクションが発生し、このフリクションに対抗するために更にバルブ反力に対して大きな力が必要になるが、駆動軸2のトルクが増す、すなわち、反力が大きくなって、 駆動軸2とカムジャーナルとの間の作用力が大きくなる。この駆動軸2〜揺動カム10間フリクション、揺動カム10〜カムジャーナル間フリクションが大きくなると、単にフリクション分の駆動トルクが必要になるのではなく、極端に駆動トルクが増大する。
【0084】
次に、駆動軸2と揺動カム10との動きを説明する。駆動軸2が反時計回りに回転していると、リフト開始時からリフトが開き方向へ動いている場合の領域は、駆動軸2と揺動カム10の各回転方向が逆になる。また、リフト開き方向のため、駆動軸2の回転に伴ってバルブリフト反力は大きくなる。つまり、バルブ反力による入力と、駆動軸2〜揺動カム10間フリクションは非常に大きくなっていく。
【0085】
リフト最大点からバルブが徐々に閉じていく場合の領域は、駆動軸2と揺動カム10の各回転方向が同じであり、相対的に移動量が小さく、フリクションは非常に小さい。また、リフト閉じ方向のため、駆動軸2の回転に伴ってバルブリフト反力は小さくなる。つまり、バルブ反力による入力と、駆動軸2〜揺動カム10間フリクションは小さくなっていく。このように、バルブ開時の駆動軸トルクは非常に大きくなる。
【0086】
駆動軸2が回転して駆動軸2〜揺動カム10〜カムジャーナル間に油膜が発生している場合は、摩擦係数μが小さく、ほぼバルブ反力=駆動軸トルクとなっており、バルブ開時期の駆動軸トルクは大きくならない。
【0087】
しかし、エンジン始動時には、駆動軸2〜揺動カム10〜カムジャーナル間が静摩擦係数で大きいため、開弁時期の起動トルクがが大きく、バルブリフトが大きいときは、駆動軸トルクを伝達する駆動系に過大な力が発生する。また、スターターモータの負荷も大きくなる。
【0088】
そこで、起動トルクの大きさを説明する。図5〜図7,図9において、横軸が起動時の駆動軸2の角度を示し、縦軸がバルブリフト量を示している。本実施例のリフト特性のうちの大から小までの4種類のリフト特性である。
【0089】
図8は作動角と目標特性に対するバルブ開口時間面積の変化率との関係を示す。リフト上り時の起動トルクは大きく、リフトが大きくなると起動トルクも大きくなる。このとき、バルブ上り時の駆動軸2と揺動カム10の相対動きは先述したように、逆回転方向となる。
【0090】
通常、低回転、低負荷領域では、小リフトを使用するため、駆動軸角度全域で駆動軸トルクは小さい。しかし、作動応答遅れなど、フェール時には大リフトで固着、エンジン停止をしてしまうことがある。そのときは、制御軸3の角度によっては過大な起動トルクとなってしまう。この過大な駆動軸トルク領域を脱出するためには、スターターモータを逆回転させることが有効となる。このように、駆動軸2を逆回転させることにより、駆動軸2の起動トルクは極端に小さくなり、低い駆動軸トルクで駆動可能となる。
【0091】
以上のように、駆動軸2の逆転機能を持たせることにより、バルブリフト特性を可変とする制御軸3の駆動部がフェールに陥っても、過大な駆動力が無くてもエンジンの起動が可能となる。
【0092】
上記した実施例では、駆動偏心カム5(駆動軸側の接触部)及びリング状リンク6(アーム駆動機構側の接触部)の各摺動面、並びに、ウォーム15及びウォームホイール13の各摺動面に対して、水素原子の量が0.5原子%以下で且つヌープ硬度Hkが2170kg/mm2 ,Ryが0.03μm,厚さが0.5μmのDLC薄膜をPVDアーク式イオンプレーティング法により成膜するようにし、ベースオイル(PAO)にエステル系無灰摩擦調整剤を添加したものを潤滑油として使用するようにしているので、両者間の摺動抵抗が大幅に低減することとなって、低フリクション化及び耐焼き付き性を確保することができ、加えて、コンパクト化をも実現可能である。
【0093】
なお、図10では、アジャスタフランジ,アジャスタスクリュー及びストッパ部を具備した制御軸角度調整機構を用いて制御軸3の角度調整要領を示し、図11では、ダミーシムを用いたバルブクリアランスの調整手法を示した。
【0094】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、上記した構成としたため、耐摩耗性及び耐焼き付き性を確保しつつ、フリクションの大幅な低減及びコンパクト化をもを実現した内燃機関の可変動弁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関の可変動弁装置の一実施例を示す斜視説明図である。
【図2】図1における内燃機関の可変動弁装置の正面方向からの断面説明図である。
【図3】図1における内燃機関の可変動弁装置の側面方向からの断面説明図である。
【図4】図1における内燃機関の可変動弁装置のバルブリフタ近傍の大リフト時の側面説明図(a)及び小リフト時の側面説明図(b)である。
【図5】図1における内燃機関の可変動弁装置の揺動カムのカムプロフィールを示す特性図である。
【図6】バルブクリアランスの調整によるバルブリフト特性の変化を示す特性図である。
【図7】バルブリフト量の調整によるバルブリフト特性の変化を示す特性図である。
【図8】作動角と目標特性に対するバルブ開口時間面積の変化率との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の内燃機関の可変動弁装置に採用される調整方法でのバルブリフト特性を示す特性図である。
【図10】制御軸角度調整機構の一例を示す簡略説明図である。
【図11】バルブクリアランスの調整手法の説明図である。
【符号の説明】
1 内燃機関の可変動弁装置
2 駆動軸
3 制御軸
4 ロッカーアーム
5 駆動偏心カム(アーム駆動機構)
6 リング状リンク(アーム駆動機構)
8 ロッド状リンク(駆動力伝達機構)
9 吸気弁
10 揺動カム(駆動力伝達機構)
13 ウォームホイール
14 制御モータ
14a 制御モータの出力軸
15 ウォーム
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転状態に応じて吸気弁又は排気弁の作動タイミング及びバルブ開度量を制御するのに用いられる内燃機関の可変動弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球全体の温暖化、オゾン層の破壊など地球規模での環境問題が大きくクローズアップされ、とりわけ地球全体の温暖化に大きな影響があるといわれているCO2の削減については各国でその規制値の決め方をめぐって大きな関心を呼んでおり、このCO2の削減については、自動車の燃費の削減を図ることが大きな課題の1つである。
【0003】
自動車のエンジンにおける可変動弁装置で生じる摩擦力は、エンジン全体の機械損失のかなりの量を占めており、ここでのフリクションの低減は、自動車の燃費削減に直結する重要事項である。
【0004】
上記したような内燃機関の可変動弁装置の場合、作動角を可変化する制御軸に取付けたウォームホイールに、制御モータの出力軸に取付けたウォームを噛み合わせて、制御軸の回転角度を変えることでバルブのリフト量を変化させるようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−123809号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来の可変動弁装置では、ウォームの特性上、バイアススプリングやバルブ駆動の際に生じるトルクにより、ギア部の面圧が高い状態で摺動するようになっているので、摩耗や焼き付きが生じやすいという問題があるほか、ギア部の面圧を下げるためにギア形状を大きくすると、レイアウトやコストの面で不利になるという問題を有していた。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性及び耐焼き付き性を確保したうえで、摺動部分の大幅なフリクションの低減を実現して燃費の向上に寄与することができる内燃機関の可変動弁装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく銑意検討を重ねた結果、内燃機関の可変動弁装置において、潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部や、潤滑油の存在下で摺動する駆動軸とアーム駆動機構との各接触部を硬質炭素薄膜で被覆することで、格段に優れたフリクション低減効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、駆動軸と、この駆動軸と平行に配置した制御軸と、この制御軸の一部を支持点とするロッカーアームと、上記駆動軸からの駆動力によりロッカーアームを駆動するアーム駆動機構と、ロッカーアームの動作をバルブに伝える駆動力伝達機構と、出力軸を具備しこの出力軸に取付けたウォームを上記制御軸に取付けたウォームホイールに噛み合わせて制御軸の回転角度を変えることでバルブのリフト量を変化させる制御モータを備えた内燃機関の可変動弁装置において、潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部を硬質炭素薄膜で被覆したことを特徴とし、また、駆動軸と、この駆動軸と平行に配置した制御軸と、この制御軸の一部を支持点とするロッカーアームと、上記駆動軸からの駆動力によりロッカーアームを駆動するアーム駆動機構と、ロッカーアームの動作をバルブに伝える駆動力伝達機構と、制御軸の回転角度を変えることでバルブのリフト量を変化させる制御モータを備えた内燃機関の可変動弁装置において、潤滑油の存在下で摺動する駆動軸とアーム駆動機構との各接触部を硬質炭素薄膜で被覆したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示すものとする。
【0011】
潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部や、潤滑油の存在下で摺動する駆動軸とアーム駆動機構との各接触部を被覆する硬質炭素薄膜は、各種PVD法、具体的には、アーク式イオンプレーティング法により形成したDLC薄膜(ダイヤモンド状炭素薄膜)であることが望ましい。このDLC薄膜は、炭素元素を主として構成された非晶質のものであり、具体的には、炭素元素だけから成るa−C(アモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素アモルファスカーボン)、及びチタン(Ti)やモリブデン(Mo)等の金属元素を一部に含むMeC(メタルカーボン又は金属炭化物)が挙げられるが、大幅な摩擦低減効果を発揮させる観点から、水素含有量が少ないものほど好ましく、水素含有量が原子比で10%以下、好ましくは水素含有量が原子比で1.0%以下、さらには水素を含まないa−C系(アモルファスカーボン系)材料を好適に用いることができる。
【0012】
ここで、鉄鋼材又はアルミニウム材から成る基材の表面粗さ、すなわち、硬質炭素薄膜を被覆する前の基材表面粗さがRaで0.03μmを超えると、硬質炭素薄膜表面の粗さに起因する突起部が相手材との局所的な接触面積を増大させて皮膜の割れを誘発してしまうことから、硬質炭素薄膜を被覆する前の基材表面粗さをRaで0.03μm以下とすることが好ましい。
【0013】
次に、本発明に用いる潤滑油組成物について詳細に説明する。この潤滑油組成物は、潤滑油基油に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有させて成る。
【0014】
上記潤滑油基油としては特に限定されるものではなく、鉱油、合成油、油脂及びこれらの混合物など、潤滑油組成物の基油として通常使用されるものであれば、種類を問わず使用することができる。
【0015】
鉱油として、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系又はナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用でき、溶剤精製、水素化精製処理したものが一般的であるが、芳香族分をより低減することが可能な高度水素化分解プロセスやGTL Wax(ガス・トウー・リキッド・ワックス)を異性化した手法で製造したものを用いることがより好ましい。
【0016】
合成油としては、具体的には、ポリ−α−オレフィン(例えば、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)、ポリ−α−オレフィンの水素化物、イソブテンオリゴマー、イソブテンオリゴマーの水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジオクチルセバケート等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンイソステアリネート等のトリメチロールプロパンエステル;ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のペンタエリスリトールエステル)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。中でも、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフイン又はその水素化物が好ましい例として挙げられる。
【0017】
本発明に用いる潤滑油組成物の基油は、鉱油系基油又は合成系基油を単独又は混合して用いる以外に、2種類以上の鉱油系基油又は2種類以上の合成系基油の混合物であっても差し支えない。また、上記混合物における2種類以上の基油の混合比も特に限定されず任意に選ぶことができる。
【0018】
潤滑油基油中の硫黄分について、特に制限はないが、基油全量基準で、0.2%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、さらには0.05%以下であることが好ましい。特に、水素化精製鉱油や合成系基油の硫黄分は、0.005%以下、あるいは実質的に硫黄分を含有していない(5ppm以下)ことから、これらを基油として用いることが好ましい。
【0019】
また、潤滑油基油中の芳香含有量についても、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油組成物として長期間低摩擦特性を維持するためには、全芳香族含有量が15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらには5%以下であることが好ましい。即ち、潤滑油基油の全芳香族含有量が15%を超える場合には、酸化安定性が劣るため好ましくない。
【0020】
なお、ここで言う全芳香族含有量とは、ASTM D2549に規定される方法に準拠して測定される芳香族留分(aromatics fraction)含有量を意味している。
【0021】
潤滑油基油の動粘度にも、特に制限はないが、内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、100℃における動粘度が2mm2/s以上であることが好ましく、より好ましくは3mm2/s以上である。一方、その動粘度は、20mm2/s以下であることが好ましく、10mm2/s以下、特に8mm2/s以下であることが好ましい。100℃における潤滑油基油の動粘度が2mm2/s未満である場合には、十分な耐摩耗性が得られないのに加えて、蒸発特性が劣る可能性があるため好ましくない。一方、100℃における潤滑油基油の動粘度が20mm2/sを超える場合には、低摩擦性能を発揮しにくく、低温性能が悪くなる可能性があるため好ましくない。本発明においては、上記基油の中から選ばれる2種以上の基油を任意に混合した混合物等が使用でき、100℃における動粘度が上記の好ましい範囲内に入る限りにおいては、基油単独の動粘度が上記以外のものであっても使用可能である。
【0022】
また、潤滑油基油の粘度指数にも、特別な制限はないが、80以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましく、特に内燃機関用潤滑油組成物として使用する場合には、120以上であることが好ましい。潤滑油基油の粘度指数を高めることでよりオイル消費が少なく、低温粘度特性、省燃費性能に優れた内燃機関用潤滑油組成物を得ることができる。
【0023】
上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤としては、炭素数6〜30、好ましくは炭素数8〜24、特に好ましくは炭素数10〜20の直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する脂肪酸エステル、脂肪酸アミン化合物、及びこれらの任意混合物を挙げることができる。炭素数が6〜30の範囲外のときは、摩擦低減効果が十分に得られない可能性がある。
【0024】
炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状炭化水素基としては、具体的には、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等のアルキル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等のアルケニル基などを挙げることができる。なお、上記アルキル基及びアルケニル基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基における二重結合の位置は任意である。
【0025】
また、上記脂肪酸エステルとしては、かかる炭素数6〜30の炭化水素基を有する脂肪酸と脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステルなどを例示でき、具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレートなどを特に好ましい例として挙げることができる。
【0026】
上記脂肪族アミン化合物としては、脂肪族モノアミン又はそのアルキレンオキシド付加物、脂肪族ポリアミン、イミダゾリン化合物等、及びこれらの誘導体等を例示できる。具体的には、ラウリルアミン、ラウリルジエチルアミン、ラウリルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン、オレイルアミン、オレイルプロピレンジアミン、オレイルジエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等の脂肪族アミン化合物や、これら脂肪族アミン化合物のN,N−ジポリオキシアルキレン−N−アルキル(又はアルケニル)(炭素数6〜28)等のアミンアルキレンオキシド付加物、これら脂肪族アミン化合物に炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したりアミド化した、いわゆる酸変性化合物等が挙げられる。好適な例としては、N,N−ジポリオキシエチレン−N−オレイルアミン等が挙げられる。
【0027】
また、本発明に用いる潤滑油組成物に含まれる脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の含有量は、特に制限はないが、組成物全量基準で、0.05〜3.0%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2.0%、特に好ましくは0.5〜1.4%であることがよい。上記含有量が0.05%未満であると摩擦低減効果が小さくなり易く、3.0%を超えると潤滑油への溶解性や貯蔵安定性が著しく悪化し、沈殿物が発生し易いので、好ましくない。
【0028】
一方、本発明に用いる潤滑油組成物は、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有することが好適であり、上記ポリブテニルコハク酸イミドとしては、次の一般式(1)及び(2)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
これら一般式におけるPIBは、ポリブテニル基を示し、高純度イソブテン又は1−ブテンとイソブテンの混合物をフッ化ホウ素系触媒又は塩化アルミニウム系触媒で重合させて得られる数平均分子量が900〜3500、望ましくは1000〜2000のポリブテンから得られる。上記数平均分子量が900未満の場合は清浄性効果が劣り易く、3500を超える場合は低温流動性に劣り易いため、望ましくない。
【0032】
また、上記一般式におけるnは、清浄性に優れる点から1〜5の整数、より望ましくは2〜4の整数であることがよい。更に、上記ポリブテンは、製造過程の触媒に起因して残留する微量のフッ素分や塩素分を吸着法や十分な水洗等の適切な方法により、50ppm以下、より望ましくは10ppm以下、特に望ましくは1ppm以下まで除去してから用いることもよい。
【0033】
更に、上記ポリブテニルコハク酸イミドの製造方法としては、特に限定はないが、例えば、上記ポリブテンの塩素化物又は塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンと無水マレイン酸とを100〜200℃で反応させて得られるポリブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させることにより得ることができる。
【0034】
一方、上記ポリブテニルコハク酸イミドの誘導体としては、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物に、ホウ素化合物や含酸素有機化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性又は酸変性化合物を例示できる。その中でもホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミド、特にホウ素含有ビスポリブテニルコハク酸イミドが最も好ましいものとして挙げられる。
【0035】
上記ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等が挙げられる。具体的には、上記ホウ酸として、オルトホウ酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸などが挙げられる。また、上記ホウ酸塩としては、アンモニウム塩等、具体的には、例えばメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウムが好適例として挙げられる。また、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6のアルキルアルコールとのエステル、より具体的には例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリププロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、ホウ酸トリブチル等が好適例として挙げられる。なお、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミドにおけるホウ素含有量Bと窒素含有量Nとの質量比「B/N」は、通常0.1〜3であり、好ましくは、0.2〜1である。
【0036】
また、上記含酸素有機化合物としては、具体的には、例えばぎ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルポン酸並びにこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる
【0037】
なお、本発明に用いる潤滑油組成物において、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量は特に制限されないが、0.1〜15%が望ましく、より望ましくは1.0〜12%であることが好ましい。0.1%未満では清浄性効果に乏しくなることがあり、15%を超えると含有量に見合う清浄性効果が得られにくく、抗乳化性が悪化し易い。
【0038】
更にまた、本発明に用いる潤滑油組成物は、次の一般式(3)で表されるジチオリン酸亜鉛を含有することが好適である。
【0039】
【化3】
【0040】
上記式(3)中のR4、R5、R6及びR7は、それぞれ別個に炭素数1〜24の炭化水素基を示す。これら炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルアリール基、炭素数7〜19のアリールアルキル基等のいずれかであることが望ましい。また、アルキル基やアルケニル基は、第1級、第2級及び第3級のいずれであってもよい。
【0041】
上記R4、R5、R6及びR7としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等のアルキル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、エチルメチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、エチルジメチルシクロペンチル基、プロピルメチルシクロペンチル基、プロピルエチルシクロペンチル基、ジ−プロピルシクロペンチル基、プロピルエチルメチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシクロへキシル基、エチルシクロへキシル基、プロピルシクロへキシル基、エチルメチルシクロへキシル基、トリメチルシクロへキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、エチルジメチルシクロヘキシル基、プロピルメチルシクロヘキシル基、プロピルエチルシクロヘキシル基、ジ−プロピルシクロへキシル基、プロピルエチルメチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、エチルメチルシクロヘプチル基、トリメチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基、エチルジメチルシクロヘプチル基、プロピルメチルシクロヘプチル基、プロピルエチルシクロヘプチル基、ジ−プロピルシクロヘプチル基、プロピルエチルメチルシクロヘプチル基等のアルキルシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、エチルメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルジメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基等のアリールアルキル基、等が例示できる。
【0042】
なお、R4、R5、R6及びR7がとり得る上記炭化水素基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造をが含まれ、また、アルケニル基の二重結合の位置、アルキル基のシクロアルキル基への結合位置、アルキル基のアリール基への結合位置、及びアリール基のアルキル基への結合位置は任意である。また、上記炭化水素基の中でも、その炭化水素基が、直鎖状又は分柱状の炭素数1〜18のアルキル基である場合若しくは炭素数6〜18のアリール基、又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基である場合が特に好ましい。
【0043】
上記ジチオリン酸亜鉛の好適な具体例としては、例えば、ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオリン酸亜鉛、ジイソトリデシルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。
【0044】
また、上記ジチオリン酸亜鉛の含有量は、特に制限されないが、より高い摩擦低減効果を発揮させる観点から、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下であることが好ましく、また0.06%以下であることがより好ましく、更にはジチオリン酸亜鉛が含有されないことが特に好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量がリン元素換算量で0.1%を超えると、DLC部材と鉄基部材との摺動面における上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤や上記脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の優れた摩擦低減効果が阻害されるおそれがある。
【0045】
上記ジチオリン酸亜鉛の製造方法としては、従来方法を任意に採用することができ、特に制限されないが、具体的には、例えば、上記R4、R5、R6及びR7に対応する炭化水素基を持つアルコール又はフェノールを五二硫化りんと反応させてジチオリン酸とし、これを酸化亜鉛で中和させることにより合成することができる。なお、上記ジチオリン酸亜鉛の構造は、使用する原料アルコールによって異なることは言うまでもない。
【0046】
本発明においては、上記一般式(3)に包含される2種以上のジチオリン酸亜鉛を任意の割合で混合して使用することもできる。
【0047】
上述のように、本発明の潤滑油組成物は、硬質炭素薄膜で被覆した制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部や、駆動軸とアーム駆動機構との各接触部に用いた場合に、極めて優れた低摩擦特性を示すものであるが、特に内燃機関用潤滑油組成物として必要な性能を高める目的で、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、他の無灰摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤若しくは極圧剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
【0048】
上記金属系清浄剤としては、潤滑油用の金属系清浄剤として通常用いられる任意の化合物が使用できる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレートナフテネート等を単独で又は複数種を組合せて使用できる。ここで、上記アルカリ金属としてはナトリウム(Na)やカリウム(K)等、上記アルカリ土類金属としてはカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等が例示できる。また、具体的な好適例としては、Ca又はMgのスルフォネート、フェネート及びサリシレートが挙げられる。
【0049】
なお、これら金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択できる。通常、全塩基価は、過塩素酸法で0〜500mgKOH/g、望ましくは150〜400mgKOH/gであり、その添加量は組成物全量基準で、通常0.1〜10%である。
【0050】
また、上記酸化防止剤としては、潤滑油用の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物を使用できる。例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、アルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、並びにこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。また、かかる酸化防止剤の添加量は、組成物全量基準で、通常0.01〜5%である。
【0051】
更に、上記粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体やその水添物等のいわゆる非分散型粘度指数向上剤、及び更に窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤等が例示できる。また、他の粘度指数向上剤の具体例としては、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)及びその水素化物、ポリイソブチレン及びその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、並びにポリアルキルスチレン等も例示できる。
【0052】
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートでは5000〜1000000、好ましくは100000〜800000がよく、ポリイソブチレン又はその水素化物では800〜5000、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物では800〜300000、好ましくは10000〜200000がよい。また、かかる粘度指数向上剤は、単独で又は複数種を任意に組合せて含有させることができるが、通常その含有量は、潤滑油組成物基準で0.1〜40.0%であることが望ましい。
【0053】
更にまた、他の無灰摩擦調整剤としては、ホウ酸エステル、高級アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤、ジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン、二硫化モリブデン等の金属系摩擦調整剤等が挙げられ、他の無灰分散剤としては、数平均分子量が900〜3500のポリブテニル基を有するポリブテニルベンジルアミン、ポリブテニルアミン、数平均分子量が900未満のポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸イミド等及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0054】
更にまた、上記磨耗防止剤又は極圧剤としては、ジスルフィド、硫化油脂、硫化オレフィン、炭素数2〜20の炭化水素基を1〜3個含有するリン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル及びこれらのアミン塩等が挙げられる。
【0055】
更にまた、上記防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられ、上記非イオン系界面活性剤及び抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0056】
更にまた、上記金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等が挙げられ、上記消泡剤としては、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
【0057】
なお、これら添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は、組成物全量基準で、他の摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤又は極圧剤、防錆剤、及び抗乳化剤については0.01〜5%、金属不活性剤については0.005〜1%、消泡剤については0.0005〜1%の範囲から適宜選択できる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、この実施例のみに限定されるものではない。
【0059】
図1及び図3に示すように、この実施例の内燃機関の可変動弁装置1は、クランク軸から伝えられる動力により回転する駆動軸2と、この駆動軸2とほぼ平行に配置した制御軸3と、この制御軸3の一部を支持点とするロッカーアーム4を備えている。
【0060】
駆動軸2は、その外周面に駆動偏心カム5を具備している。この駆動偏心カム5は、図2にも示すように、その中心Xを駆動軸2の軸心Yからオフセットさせた状態で固定してあり、駆動軸2の回転に伴って駆動軸2の軸心Yを中心として偏心しつつ回転するようになっている。
【0061】
上記駆動偏心カム5とロッカーアーム4との間には、駆動偏心カム5とともにアーム駆動機構を構成するリング状リンク6が設けてある。このリング状リンク6は、大径部6aと小径部6bとを有していて、大径部6aを駆動偏心カム5の外周に回転可能に連結すると共に、小径部6bをロッカーアーム4の一端部4aに回転可能に連結しており、このリング状リンク6は、駆動偏心カム5の偏心しながらの回転運動をロッカーアーム4に揺動運動として伝達するようになっている。
【0062】
この場合、駆動偏心カム5(駆動軸側の接触部)及びリング状リンク6(アーム駆動機構側の接触部)の各摺動面に対して、水素原子の量が0.5原子%以下で且つヌープ硬度Hkが2170kg/mm2 ,Ryが0.03μm,厚さが0.5μmのDLC薄膜をPVDアーク式イオンプレーティング法により成膜し、ベースオイル(PAO)にエステル系無灰摩擦調整剤を添加したものを潤滑油として使用した。
【0063】
制御軸3は、制御カム7を具備している。この制御カム7は、その中心P1を制御軸3の軸心P2からオフセットさせた状態で一体的に設けてあり、制御軸3を回転させることで、その回転角度に応じて中心P1が制御軸3の軸心P2を中心として移動するようになっている。
【0064】
上記ロッカーアーム4は、制御カム7によって揺動自在に支持されており、上述したように、一端部4aには、リング状リンク6の小径部6bが連結してあると共に、他端部4bには、後述するロッド状リンク8の上端部8aが連結してある。このロッカーアーム4の一端部4a及び他端部4bは、制御カム7の中心P1を揺動中心としてほぼ上下方向に揺動するようになっており、この際の揺動中心は、上述の制御軸3の回転により移動するものとなっている。すなわち、制御軸3の回転によって制御カム7の中心P1が移動すると、この移動した点がロッカーアーム4の揺動中心となり、このロッカーアーム4の揺動中心が移動することによって、吸気弁9のバルブタイミング及びバルブリフト量が変更されるようになっている。
【0065】
上記ロッド状リンク8は、ロッカーアーム4とこのロッド状リンク8とともに駆動力伝達機構を構成する揺動カム10とを連結している。このロッド状リンク8は、ほぼ上下方向に配置してあって、上述のごとくその上端部8aをロッカーアーム4の他端部4bに回転自在に連結していると共に、下端部8bを揺動カム10の一端部に回転自在に連結しており、このロッド状リンク8は、ロッカーアーム4の揺動運動を揺動カム10の揺動運動として伝達するようになっている。
【0066】
揺動カム10は、駆動軸2と吸気弁9に取り付けたバルブリフタ11との間に位置していて、上述のごとくその一端部はロッド状リンク8の下端部8bに回転自在に連結しており、他端部の外周はシリンダヘッドに回転自在に支持され、その内周は駆動軸2の外周に回転自在に連結されて、制御軸3を支持している。この揺動カム10は、そのカム面10aをバルブリフタ11の冠面に当接させており、その揺動中心は駆動軸2の軸心Yと一致していて、ロッド状リンク8により一端部が揺動される。
【0067】
ここで、軸受12を介してヘッドに支持されている制御軸3には、ウォームホイール13が一体的に設けてあり、このウォームホイール13は、制御モータ14の出力軸14aに取付けたウォーム15に噛み合わせてある。制御モータ14は、コントロールユニットにより制御され、その駆動力をウォーム15及びウォームホイール13を介して制御軸3に伝達して、制御軸3の回転角度を制御するものとなっている。
【0068】
この実施例において、ウォーム15及びウォームホイール13の各摺動面に対して、水素原子の量が0.5原子%以下で且つヌープ硬度Hkが2170kg/mm2 ,Ryが0.03μm,厚さが0.5μmのDLC薄膜をPVDアーク式イオンプレーティング法により成膜し、ベースオイル(PAO)にエステル系無灰摩擦調整剤を添加したものを潤滑油として使用した。
【0069】
次に、制御軸3とロッカーアーム4との姿勢について説明する。まず、大リフトを発生させたい場合は、制御軸3の制御カム7の中心P1を駆動軸2へ近づけることにより、揺動カム10を大リフト側に移動させる(図4(a)に示す状態)。
【0070】
これとは逆に、小リフトを発生させたい場合は、制御軸3の制御カム7の中心P1を制御軸3の軸心P2回りに駆動軸2の軸心Yから遠ざけることにより、揺動カム10を小リフト側に移動させる(図4(b)に示す状態)。
【0071】
小リフトでは、大リフトよりもロッカーアーム4とロッド状リンク8との接点を高くして、揺動カム10をバルブリフタ11から遠ざけることで小リフトを達成している。
【0072】
この際、シリンダヘッド上のロッカーアーム4の作動位置は若干変化しており、制御軸3も約90°回転している。
【0073】
そこで、制御軸3とロッカーアーム4との相対位置関係を見るため、制御軸3を固定した場合の揺動カム10の位置を図2に示す。
【0074】
ここでは、大リフト時の揺動範囲と、小リフト時の揺動範囲とは大きく異なっている。制御軸3軸内に給油用の油通路があり、制御カム7の外周にも油通路を設けて制御カム7の外周とロッカーアーム4の内周との潤滑を行っている。
【0075】
この油通路と連通するようにしてロッカーアーム4の外周にも油通路を設けると、この通路を通してロッカーアーム4とロッド状リンク8との接点に向けて油を飛び出させることができ、これにより上記接点の潤滑を行う。
【0076】
また、小リフト時に制御軸3の油通路とロッカーアーム4の油通路とを連通させることにより、小リフト時にのみロッカーアーム4とロッド状リンク8との接点を潤滑させることができる。
【0077】
小リフトを使用する領域は、当然エンジン回転数が低く、機関の油圧が低いことに加えて、ムービングパーツの速度も低いことから、油がほとんど巻き散らない。このため、小作動角にのみ油通路を開通させて潤滑を行うようにしている。
【0078】
一方、作動角が大きくなる(エンジン回転数が高くなる)につれて、エンジン内の潤滑油がミスト状となって上記接点に運ばれるため、他からの潤滑は不要なものとなる。このように作動角が大きくなると、揺動運動を行っている制御カム7とロッカーアーム4との間の荷重が高くなることから、給油が必要となる。制御カム7とロッカーアーム4との位置関係は変化し、制御カム7からの給油通路とロッカーアーム4の油通路とは、ロッカーアーム4の揺動中には開通することがなくなる。
【0079】
したがって、全潤滑油を制御カム7とロッカーアーム4との潤滑に使用することができ、この際、制御カム7の給油通路とロッカーアーム4の油通路とを利用しているため、制御軸3に対する追加加工は発生しない。また、リング状リンク6との接点への給油も同様に可能となる。
【0080】
次に、各部へのバルブ反力の伝わり方を説明する。まず、吸気弁9がリフトしているとき、バルブスプリング反力は、揺動カム10のプロフィール面に加わり、揺動カム10からロッド状リンク8を伝わって、ロッカーアーム4の片端へ伝わり、ロッカーアーム4の支点により荷重方向が変更されてリング状リンク6へ伝わり、このリング状リンク6から駆動軸2へ荷重が加られる。
【0081】
図2の側面からこの荷重を見ると、駆動軸2の荷重は、これを回転支持する揺動カム10の内周へ伝わり、この揺動カム10を回転支持するシリンダヘッドのカムジャーナルが受ける。つまり、バルブ反力は、最終的に駆動軸2から揺動カム10を通してシリンダヘッドのカムジャーナルが受ける。
【0082】
この側面図で判るように、吸気弁9がリフトすると、駆動軸2とカムジャーナルとの間に揺動カム10が挟み込まれ、作用・反作用の力が加わっている。また、この挟み込まれている揺動カム10は、吸気弁9を作動させるために揺動運動することから、この上下の荷重に対して摩擦力が発生し、駆動軸2による吸気弁9の作動時にはフリクションとして作用することから、バルブ反力に対抗して吸気弁9を作動させる力に加えて、このフリクション分の力を発揮しなければならない。
【0083】
つまり、荷重に対してフリクションが発生し、このフリクションに対抗するために更にバルブ反力に対して大きな力が必要になるが、駆動軸2のトルクが増す、すなわち、反力が大きくなって、 駆動軸2とカムジャーナルとの間の作用力が大きくなる。この駆動軸2〜揺動カム10間フリクション、揺動カム10〜カムジャーナル間フリクションが大きくなると、単にフリクション分の駆動トルクが必要になるのではなく、極端に駆動トルクが増大する。
【0084】
次に、駆動軸2と揺動カム10との動きを説明する。駆動軸2が反時計回りに回転していると、リフト開始時からリフトが開き方向へ動いている場合の領域は、駆動軸2と揺動カム10の各回転方向が逆になる。また、リフト開き方向のため、駆動軸2の回転に伴ってバルブリフト反力は大きくなる。つまり、バルブ反力による入力と、駆動軸2〜揺動カム10間フリクションは非常に大きくなっていく。
【0085】
リフト最大点からバルブが徐々に閉じていく場合の領域は、駆動軸2と揺動カム10の各回転方向が同じであり、相対的に移動量が小さく、フリクションは非常に小さい。また、リフト閉じ方向のため、駆動軸2の回転に伴ってバルブリフト反力は小さくなる。つまり、バルブ反力による入力と、駆動軸2〜揺動カム10間フリクションは小さくなっていく。このように、バルブ開時の駆動軸トルクは非常に大きくなる。
【0086】
駆動軸2が回転して駆動軸2〜揺動カム10〜カムジャーナル間に油膜が発生している場合は、摩擦係数μが小さく、ほぼバルブ反力=駆動軸トルクとなっており、バルブ開時期の駆動軸トルクは大きくならない。
【0087】
しかし、エンジン始動時には、駆動軸2〜揺動カム10〜カムジャーナル間が静摩擦係数で大きいため、開弁時期の起動トルクがが大きく、バルブリフトが大きいときは、駆動軸トルクを伝達する駆動系に過大な力が発生する。また、スターターモータの負荷も大きくなる。
【0088】
そこで、起動トルクの大きさを説明する。図5〜図7,図9において、横軸が起動時の駆動軸2の角度を示し、縦軸がバルブリフト量を示している。本実施例のリフト特性のうちの大から小までの4種類のリフト特性である。
【0089】
図8は作動角と目標特性に対するバルブ開口時間面積の変化率との関係を示す。リフト上り時の起動トルクは大きく、リフトが大きくなると起動トルクも大きくなる。このとき、バルブ上り時の駆動軸2と揺動カム10の相対動きは先述したように、逆回転方向となる。
【0090】
通常、低回転、低負荷領域では、小リフトを使用するため、駆動軸角度全域で駆動軸トルクは小さい。しかし、作動応答遅れなど、フェール時には大リフトで固着、エンジン停止をしてしまうことがある。そのときは、制御軸3の角度によっては過大な起動トルクとなってしまう。この過大な駆動軸トルク領域を脱出するためには、スターターモータを逆回転させることが有効となる。このように、駆動軸2を逆回転させることにより、駆動軸2の起動トルクは極端に小さくなり、低い駆動軸トルクで駆動可能となる。
【0091】
以上のように、駆動軸2の逆転機能を持たせることにより、バルブリフト特性を可変とする制御軸3の駆動部がフェールに陥っても、過大な駆動力が無くてもエンジンの起動が可能となる。
【0092】
上記した実施例では、駆動偏心カム5(駆動軸側の接触部)及びリング状リンク6(アーム駆動機構側の接触部)の各摺動面、並びに、ウォーム15及びウォームホイール13の各摺動面に対して、水素原子の量が0.5原子%以下で且つヌープ硬度Hkが2170kg/mm2 ,Ryが0.03μm,厚さが0.5μmのDLC薄膜をPVDアーク式イオンプレーティング法により成膜するようにし、ベースオイル(PAO)にエステル系無灰摩擦調整剤を添加したものを潤滑油として使用するようにしているので、両者間の摺動抵抗が大幅に低減することとなって、低フリクション化及び耐焼き付き性を確保することができ、加えて、コンパクト化をも実現可能である。
【0093】
なお、図10では、アジャスタフランジ,アジャスタスクリュー及びストッパ部を具備した制御軸角度調整機構を用いて制御軸3の角度調整要領を示し、図11では、ダミーシムを用いたバルブクリアランスの調整手法を示した。
【0094】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、上記した構成としたため、耐摩耗性及び耐焼き付き性を確保しつつ、フリクションの大幅な低減及びコンパクト化をもを実現した内燃機関の可変動弁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関の可変動弁装置の一実施例を示す斜視説明図である。
【図2】図1における内燃機関の可変動弁装置の正面方向からの断面説明図である。
【図3】図1における内燃機関の可変動弁装置の側面方向からの断面説明図である。
【図4】図1における内燃機関の可変動弁装置のバルブリフタ近傍の大リフト時の側面説明図(a)及び小リフト時の側面説明図(b)である。
【図5】図1における内燃機関の可変動弁装置の揺動カムのカムプロフィールを示す特性図である。
【図6】バルブクリアランスの調整によるバルブリフト特性の変化を示す特性図である。
【図7】バルブリフト量の調整によるバルブリフト特性の変化を示す特性図である。
【図8】作動角と目標特性に対するバルブ開口時間面積の変化率との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の内燃機関の可変動弁装置に採用される調整方法でのバルブリフト特性を示す特性図である。
【図10】制御軸角度調整機構の一例を示す簡略説明図である。
【図11】バルブクリアランスの調整手法の説明図である。
【符号の説明】
1 内燃機関の可変動弁装置
2 駆動軸
3 制御軸
4 ロッカーアーム
5 駆動偏心カム(アーム駆動機構)
6 リング状リンク(アーム駆動機構)
8 ロッド状リンク(駆動力伝達機構)
9 吸気弁
10 揺動カム(駆動力伝達機構)
13 ウォームホイール
14 制御モータ
14a 制御モータの出力軸
15 ウォーム
Claims (11)
- 駆動軸と、この駆動軸と平行に配置した制御軸と、この制御軸の一部を支持点とするロッカーアームと、上記駆動軸からの駆動力によりロッカーアームを駆動するアーム駆動機構と、ロッカーアームの動作をバルブに伝える駆動力伝達機構と、出力軸を具備しこの出力軸に取付けたウォームを上記制御軸に取付けたウォームホイールに噛み合わせて制御軸の回転角度を変えることでバルブのリフト量を変化させる制御モータを備えた内燃機関の可変動弁装置において、潤滑油の存在下で噛み合いつつ摺動する制御モータ側のウォームと制御軸側のウォームホイールとの各接触部を硬質炭素薄膜で被覆したことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
- 駆動軸と、この駆動軸と平行に配置した制御軸と、この制御軸の一部を支持点とするロッカーアームと、上記駆動軸からの駆動力によりロッカーアームを駆動するアーム駆動機構と、ロッカーアームの動作をバルブに伝える駆動力伝達機構と、制御軸の回転角度を変えることでバルブのリフト量を変化させる制御モータを備えた内燃機関の可変動弁装置において、潤滑油の存在下で摺動する駆動軸とアーム駆動機構との各接触部を硬質炭素薄膜で被覆したことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
- 上記硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が10原子%以下である請求項1又は2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が1.0原子%以下である請求項1〜3のうちのいずれか1つの項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記接触部は、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油の存在下で摺動する請求項1〜4のうちのいずれか1つの項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記潤滑油の脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤は、炭素数6〜30の炭化水素基を有し、組成物全量基準で0.05〜3.0%含有されている請求項5に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記潤滑油は、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有している請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量を組成物全量基準で0.1〜15%としている請求項7に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記潤滑油は、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下のジチオリン酸亜鉛を含有している請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- アーク式イオンプレーティング法により成膜したDLC薄膜を硬質炭素薄膜とした請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記硬質炭素薄膜の被覆前における基材の表面粗さをRaで0.03μm以下とした請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003207644A JP2005061242A (ja) | 2003-08-15 | 2003-08-15 | 内燃機関の可変動弁装置 |
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JP2003207644A JP2005061242A (ja) | 2003-08-15 | 2003-08-15 | 内燃機関の可変動弁装置 |
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JP2005061242A true JP2005061242A (ja) | 2005-03-10 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103249921A (zh) * | 2010-12-27 | 2013-08-14 | 川崎重工业株式会社 | 基准角度检测装置 |
CN106948893A (zh) * | 2017-02-15 | 2017-07-14 | 浙江大学 | 一种双凸轮可变升程气门结构 |
-
2003
- 2003-08-15 JP JP2003207644A patent/JP2005061242A/ja active Pending
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