参考例
以下、本発明の保護装置を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の保護装置を組み込んだ電源供給装置の参考例を示す回路図である。同図に示すように、車載バッテリB(=直流電源)から供給される電源は、NチャンネルのMOSFETQ1(=電界効果トランジスタ)を介して負荷10に供給される。
上述したMOSFETQ1のゲートには、抵抗R2を介して、ゲート駆動信号S1が供給される。また、MOSFETQ1のゲート−ソース間には、ツェナーダイオードZD1(第1ツェナーダイオード)及びトランジスタQ31(=スイッチ手段、半導体スイッチ素子)から構成される直列回路が設けられている。また、上述したトランジスタQ31と並列に、ツェナーダイオードZD2(=第2ツェナーダイオード)が接続されている。
以上の構成によれば、トランジスタQ31がオフのときには、MOSFETQ1のゲート−ソース間には、ツェナーダイオードZD1及びZD2の両方が接続され、トランジスタQ31がオンのときには、MOSFETQ1のゲート−ソース間には、ツェナーダイオードZD1のみが接続される。今、Vzd1及びVzd2をそれぞれ、ツェナーダイオードZD1及びZD2のツェナー電圧とすると、トランジスタQ31がオフのとき、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vgsは(Vzd1+Vzd2)にクランプされる。一方、トランジスタQ31がオンのとき、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧VgsはVzd1にクランプされる。
なお、ツェナーダイオードZD1及びZD2のツェナー電圧Vzd1及びVzd2は式(1)及び(2)に示すように設定される。
Vp−Vb≦Vzd1+Vzd2<BVgss …(1)
Vp:駆動信号S1の電圧、Vb:バッテリ電圧、BVgss:MOSFETQ1のゲート−ソース間耐電圧
Vgsoff<Vzd2<Vp−Vb …(2)
Vgsoff:MOSFETQ1の遮断電圧
また、上述したトランジスタQ31のベースには、スイッチ制御手段として働くコンパレータCP1の出力が供給されている。このコンパレータCP1には、MOSFETQ1のドレイン電圧Vdを基準にした基準電圧Vref1(=第1基準電圧)、つまり、(Vd−Vref1)が入力されると共に、MOSFETQ1のソース電圧Vsが供給されている。これによって、Vref1<Vds(=Vd−Vs:MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧)のときにはコンパレータCP1の出力がHiとなり、トランジスタQ31がオンされる。一方、Vref1≧VsのときにはコンパレータCP1の出力がLoとなり、トランジスタQ31がオフされる。
なお、基準電圧Vref1は、式(3)に示すように設定される。
Rdsonmin×ILstd<Vref1<Vb …(3)
Rdsonmin:最低動作チャンネル温度でのMOSFETQ1のオン抵抗、ILstd:負荷10の定常電流値
また、上述したMOSFETQ1に対してMOSFETQ2(=分流手段)及び抵抗R1(=副流検出用の抵抗)の直列回路が並列に接続され、抵抗R1の両端は差動増幅器OP1の入力に供給されている。MOSFETQ2のゲートは、MOSFETQ1のゲートに接続されている。このため、MOSFETQ2の通電状態は、MOSFETQ1と同じになる。
MOSFETQ2は、MOSFETQ1の1/nのソース面積を持つようにされ、ソース面積以外の構造は同じに作られる。同じチップ内に集積化されることもある。抵抗R1は、その電圧降下がMOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsよりも十分小さくなるような値に設定されている。これにより、式(4)に示すように、差動増幅器OP1の出力電圧Vmoは、負荷10に流れる負荷電流ILに応じた値となる。
Vmo=A×IL×R1/n …(4)
A:差動増幅器OP1の増幅率
上述した差動増幅器OP1の出力Vmoは、コンパレータCP2の一方の入力端に供給されている。このコンパレータCP2は、その他方の入力端に基準電圧Vref2が供給され、出力がタイマーTM1に供給されている。従って、出力電圧Vmoが基準電圧Vref2を超えた状態が、タイマーTM1に設定された設定時間T1以上継続した場合、タイマーTM1からショート信号S2が出力される。
また、上述した差動増幅器OP1の出力Vmoは、コンパレータCP3の一方の入力端に供給されている。このコンパレータCP3は、その他方の入力端に基準電圧Vref3が供給され、出力がタイマーTM2に供給されている。従って、出力電圧Vmoが基準電圧Vref3を超えた状態が、タイマーTM2に設定された設定時間T2以上継続した場合、タイマーTM2から過電流信号S3が出力される。
上述した基準電圧Vref2及びVref3は式(5)、(6)に示すように設定されている。
A×ILstd×R1/n<Vref3<Vref2<A×ILstr×R1・n …(5)
ILstr:MOSFETQ1がツェナーダイオードZD1のみにクランプされて動作しているときに負荷10に流れる電流の飽和値
Vref3<A×ILlim×R1/n …(6)
ILlim:動作温度範囲内においてMOSFETQ1のチャンネル温度が最大定格値(例えば150度)に達してしまう最低の負荷電流値
また、タイマーTM1に設定されている設定時間T1は、タイマーTM2に設定されている設定時間T2より短い。
上述したショート信号S2及び過電流信号S3は、ORゲート11を介して、DF/F回路12に供給される。DF/F回路12は、ORゲート11を介してショート信号S2及びS3が供給されてから、リセットされるまでHiレベルの異常信号S4を出力する。この異常信号S4は、MOSFETQ1のゲートとグランドとの間に設けられたMOSFETQ4のゲートに供給される。従って、異常信号S4が出力されると、MOSFETQ4がオンして、MOSFETQ1を遮断する。
上述した構成の電源供給装置の動作について、図2の各種信号、電圧のタイムチャートを参照して以下説明する。まず、ゲート駆動信号S1がLoでは(図2(a)参照)、MOSFETQ1は非導通状態であり、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsは、バッテリ電圧Vbに等しい(図2(c)参照)。従って、式(3)からも明らかなように、Vref1<Vdsとなり、コンパレータCP1の出力がHiとなり(図2(e)参照)、トランジスタQ31はオンしている。
次に、ゲート駆動信号S1がHiになると、MOSFETQ1のゲートに電圧Vpが印加される。電圧Vpは、一般にバッテリ電圧Vbよりも4〜15V程度高い電圧とされる。これにより、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vgsは上昇していく(図2(b)参照)。この結果、ゲート−ソース間電圧Vgsが遮断ゲート−ソース間電圧Vgsoffを超えると、MOSFETQ1のドレイン−ソース間が導通し、これにより、負荷電流ILが流れ始める(図2(d)参照)。またこれにより、MOSFETQ1のソース電圧Vsが上昇し始め、ドレイン−ソース間電圧Vdsがバッテリ電圧Vbから下がり始める(図2(c)参照)。
その後、ゲート−ソース間電圧Vgsは、(Vp−Vb)に向かって上昇する。この結果、式(2)からも明らかなように、ゲート−ソース間電圧Vgsは、(Vp−Vb)に達する前に、ツェナー電圧Vzd1にクランプされる(図2(b)参照)。
ところで、負荷10の初期状態での抵抗値は小さいため、ゲート駆動信号S1のHiに応じて、MOSFETQ1が非導通状態から導通状態になると、高い突入電流が負荷電流ILとして流れる。しかしながら、上述したように、ツェナーダイオードZD1によって、ゲート−ソース間電圧Vgsに抑えられているため、この突入電流は抑えられる。なお、コンパレータCP2及びCP3は突入電流によりしばらくその出力がHiとなるが(図2(f)〜(h)参照)、突入電流を許容するようにタイマーTM1及びTM2の設定時間T1及びT2が設定されているので、異常信号S4が出力されることがなく(図2(i)参照)、負荷電流ILは流れ続ける。
その後、突入電流は、しばらくすると徐々に下がって、負荷電流ILは定常値に落ち着く。負荷電流ILが減少すると、ドレイン−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1を下回り(図2(c)参照)、コンパレータCP1の出力がLoとなり(図2(e)参照)、トランジスタQ31はオフする。これにより、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vgsのクランプ電圧が、Vzd1からVzd1+Vzd2に上がり、ゲート電圧Vgはさらに上昇して、(Vp−Vb)に達する(図2(b)参照)。
また、トランジスタQ31のオフに応じて、式(1)からも明らかなように、MOSFETQ1のゲート−ソース間には、ゲート−ソース間耐電圧BVgssを超えた電圧が印加されることなく、サージ電圧から保護することができる。
次に、通常の立ち上がり動作でのMOSFETQ1の動作点について、図3を参照して以下説明する。本実施形態では、例えば、Vp=Vb+10V、Vzd1=4V、Vzd2=6Vとして説明する。図中、初期負荷線L1は、初期状態(突入電流が流れるような状態)での負荷線であり、定常負荷線L2は、定常状態での負荷線である。また、Vgs=4V曲線L3及びVgs=10V曲線L4は各々、Vgs=4V、10VのときのMOSFETQ1のドレイン電流Id対ドレイン−ソース間電圧Vds特性曲線である。また、軌跡L5は、MOSFETQ1の動作点軌跡である。
MOSFETQ1が非導通状態のときは、ドレイン−ソース間電圧Vds=Vbで、負荷電流IL=0Aである。MOSFETQ1が導通し始めると負荷電流ILは、初期負荷線L1に沿って上がっていき、これに伴ってドレイン−ソース間電圧Vdsは下がる。負荷電流ILが動作点Aまでくるとゲート−ソース間電圧Vgsが4Vにクランプされるため、負荷電流ILは、Vgs=4V曲線L3に沿うため、その上昇は抑えられる。
通電が続き負荷10の抵抗が次第に大きくなると、負荷線は左に傾いていくので、ドレイン−ソース間電圧Vdsは小さくなっていく。ドレイン−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1を下回るとトランジスタQ31がオフしてクランプ値が4Vから10Vに上がるので、今度はVgs=10V曲線L4に沿うようになり動作点Bに落ち着く。ここで、動作点AがVgs=4V曲線L3の飽和領域になるようにしたが、線形領域になるようにしてもよい。また、図3では、突入電流により発生するVdsよりもVref1の方が低くなっているが、高くなるように設定する、つまり、動作点AでのVdsより高く設定してもよい。
次に、図4にショート故障が起こったときの動作タイミングを示す。MOSFETQ1のソースと負荷10との間でグランドに対してショートが起こると、負荷電流ILが急上昇するとともに(図4(d)参照)、ドレイン−ソース間電圧Vdsが大きくなる(図4(c)参照)。ドレイン−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1を上回るとコンパレータCP1はHiとなり(図4(e)参照)トランジスタQ31がオンし、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vgsが(Vp−Vb)からVzd1にクランプされ(図4(b)参照)、これにより負荷電流ILが抑えられる(図4(d)参照)。
負荷電流ILは、Vgs=4VのときのMOSFETQ1の飽和電流にほぼ一定に抑えられる。式(5)からも明らかなように、このクランプ状態での負荷電流ILによりコンパレータCP2がHiとなり(図4(f)〜(h)参照)、タイマーTM1の設定時間T1に達するとショート信号S2が出力され、このショート信号S2の出力に応じて、DF/F12から異常信号S4が保持される(図4(i)参照)。これにより、異常ステータスが出力され、ユーザに報知が行われると共に、MOSFETQ4がオンして、MOSFETQ1が遮断される。
また、基準電圧Vref2に相当する負荷電流ILより小さく、基準電圧Vref3に相当する負荷電流ILより大きい過電流が、タイマーTM2の設定時間T2(>T1)を超えて流れつづけると、タイマーTM2から過電流信号S3が出力され、この過電流信号S2の出力に応じてDF/F12から異常信号S4が保持される。これによっても、異常ステータスが出力され、ユーザに報知が行われると共に、MOSFETQ4がオンして、MOSFETQ1が遮断される。
MOSFETQ1の動作が安全動作領域内に収まるようにクランプ電圧Vzd1、基準電圧Vref1〜Vref3およびタイマーTM1を設定することで、MOSFETQ1は安全に遮断される。ショート発生がごく短時間でおさまりタイマーTM1の時間に達しなかった場合、動作が継続される。
ショート異常時のMOSFETQ1動作点について図5を参照して以下説明する。なお、図3と同等の線には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図中、ショート負荷線L6は、ショート時の負荷線である。
MOSFETQ1にはVgs=10Vがかかっており負荷電流IL=ILstdが流れている。そのため最初は動作点Cにある。ショートが起こると負荷線が右に傾き、負荷電流ILは動作点Dに向かって上昇していく。ドレイン−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1を超えるとゲート−ソース間電圧Vgsが4Vでクランプされるので、MOSFETQ1のドレイン電流Id対ドレイン−ソース間電圧Vds特性曲線は、Vgs=10V線L4からVgs=4V線L3の方に移り、動作点Eに向かう。動作点Eへの移行は正帰還動作となるので、MOSFETQ1は動作点Eで安定する。タイマーTM1が作動し、遮断がかかると、負荷電流ILは、ショート負荷線L6に沿って減少し、IL=0(A)となる。
以上のことから明らかなように、出力電圧Vmo=Vref2又はVref3のときに流れている負荷電流ILの値がそれぞれ、請求項中の所定値に相当し、タイマーTM1及びTM2の設定時間T1、T2がそれぞれ、請求項中の所定時間に相当する。
以上の電源供給装置は、MOSFETQ1は、ゲート−ソース間に与える電圧を下げれば、ドレイン電流Idも下がることに着目したものである。そして、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧Vzd1をMOSFETQ1の駆動電圧(Vp−Vb)より低くすれば、過電流が流れ、トランジスタQ31がオンされると、ゲート−ソース間電圧Vgsは、ツェナーダイオードZD1の働きによって、駆動電圧(Vp−Vb)からツェナー電圧Vzd1に下げられる。このため、ドレイン電流Idが下げられ、負荷電流ILを抑えることができるので、バッテリB及び負荷10の間に設けられたMOSFETQ1が不必要に遮断されることなく、しかも、確実にMOSFETQ1や電源線を保護することができる。
また、上述した電源供給装置は、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsは、負荷電流ILの大きさに応じていることに着目したものである。そして、コンパレータCP1が、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1を超えたとき、トランジスタQ31をオン制御するようになっている。以上の構成によれば、MOSFETQ1とは別に、負荷電流ILに応じた電圧を出力する手段を設けなくても、トランジスタQ31のオンオフ制御を行うことができる。
しかも、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsは、図2(c)に示すように、そのMOSFETQ1がオフのときに最大となり、オンすると徐々に下がって定常値となる。このため、オンしてから基準電圧Vref1以下になる間もトランジスタQ31をオンすることができ、基準電圧Vref1の設定によっては、オンし始めの突入電流が流れる期間もトランジスタQ31をオンすることができ、突入電流を抑えることもできる。
また、上述した電源供給装置は、コンパレータCP2の出力がHiとなる負荷電流ILが設定時間T1を超えて継続して流れたときや、コンパレータCP3の出力がHiとなる負荷電流ILが設定時間T2を超えて継続して流れたときに、異常信号S4を出力する。従って、設定時間T1、T2継続するのを待つことにより、突入電流など短時間に発生する過電流を異常として検出することがない。しかも、過電流が発生して、異常信号S4が出力されるまでの間は、ツェナーダイオードZD1の働きによってその過電流を抑えることができる。
なお、上述した参考例では、コンパレータCP1を用いて、スイッチ手段としてのトランジスタQ31のオンオフを制御していた。しかしながら、例えば、トランジスタQ31のように、バッテリB側に接続されるコレクタ(電源端子)、負荷10側に接続されるエミッタ(負荷側端子)及びベース(=制御端子)を有し、ベース−コレクタ間電圧が遮断電圧以上とのきに、オンする半導体スイッチであれば、図6に示すように、電線などの接続手段を用いて、トランジスタQ31のベースをMOSFETQ3のドレインに接続することも考えられる。
この場合、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsがベース−コレクタ間の遮断電圧を超えると、トランジスタQ31がオンするようになる。つまり、ベース−コレクタ間の遮断電圧が図1中の基準電圧Vref1、請求項中の第1基準電圧に相当する。このように、トランジスタQ31の遮断電圧を基準電圧Vref1として流用することにより、コンパレータCP1を用いない簡単な構成で、トランジスタQ31のオンオフ制御を行うことができる。
また、トランジスタQ31のベースと、MOSFETQ1のドレインとの間に、さらに、ゲートがMOSFETQ1に接続されたMOSFETQ5を設けることも考えられる。このような構成にすれば、MOSFETQ1が導通している間だけ、トランジスタQ31をオン制御することができる。
また、上述した実施の形態では、MOSFETQ2、抵抗R1から構成される直列回路を、MOSFETQ1に対して並列に設け、抵抗R1の両端を差動増幅器OP1に入力して、この差動増幅器OPから負荷電流ILに応じた出力電圧Vmoを出力させていた。しかしながら、例えば、図7に示すような構成にして、出力電圧Vmoを得ることも考えられる。同図に示すように、MOSFETQ2、MOSFETQ6、抵抗R1から構成される直列回路が、MOSFETQ1及び負荷10から構成される直列回路に対して並列に接続されている。
さらに、MOSFETQ1及びQ2のソースはそれぞれ、OPアンプOP2の入力に接続され、OPアンプOP2の出力は、MOSFETQ6のゲート−ドレイン間を介してフィードバックされている。このようにOPアンプOP2の出力をフィードバックすることによって、OPアンプの2つの入力端の電圧がほとんど同じになるイマジナリーショート状態となる。このため、MOSFETQ1及びQ2のソースを同電位にすることができ、抵抗R1に負荷電流ILの1/nの電流を流すことができる。従って、この抵抗R1のバッテリB側に負荷電流ILに応じた出力電圧Vmoが発生する。
また、上述した図1や、図7に示した回路では、ソース面積がMOSFETQ1の1/nのMOSFETQ2を分流手段として用いていた。しかしながら、例えば、図8に示すように、抵抗Rs及び抵抗Rdを用いて分流することも考えられる。上述した抵抗Rsは、MOSFETQ1と負荷10との間に設けられている。一方、抵抗Rdは、上述したMOSFETQ1のソースと、グランド間に設けられている。また、抵抗Rdとグランドとの間には、MOSFETQ6及び抵抗R1が設けられている。
また、抵抗Rs及びRdの負荷側の一端が、OPアンプOP2の入力に接続され、OPアンプOP2の出力が、MOSFETQ6のゲート−ドレイン間を介してフィードバックされている。このようにOPアンプOP2の出力をフィードバックすることによって、OPアンプの2つの入力端の電圧がほとんど同じになるイマジナリーショート状態となる。このため、抵抗Rs及びRdの負荷側の一端を同電位にすることができる。従って、抵抗R1に、負荷電流ILに応じた電流(=IL×Rs/Rd)を流すことができ、この抵抗R1のバッテリB側に負荷電流ILに応じた出力電圧Vmo(=IL×Rs・R1/Rd)が発生する。
さらに、上記参考例では、出力電圧Vmoの比較手段を2個としたが、この場合に限らず、1つでも、3つ以上であってもよい。
第1実施の形態
図9は、本発明の保護装置を組み込んだ電源供給装置の第1実施形態を示す回路図である。同図において、図1と同等の部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。同図に示すように、車載バッテリB(=直流電源)から供給される電源は、NチャンネルMOSFETQ1(=電界効果トランジスタ)を介して負荷10に供給される。
上述したMOSFETQ1のゲートには、抵抗R2を介して、ゲート駆動信号S1が供給される。また、MOSFETQ1のゲート−ソース間には、ツェナーダイオードZD1(=第1ツェナーダ−イオード)及びMOSFETQ32(=スイッチ手段、半導体スイッチ素子)から構成される直列回路が設けられている。
また、上述したMOSFETQ32と並列に、ツェナーダイオードZD2(=第2ツェナーダイオード)が接続されている。さらに、ツェナーダイオードZD1及びZD2と直列に抵抗R4が接続されている。ツェナーダイオードZD1及びZD2のツェナー電圧Vzd1及びVzd2は、上述した式(1)及び(2)に示すように設定される。
また、上述したMOSFETQ32のゲートには、上述した参考例と同様にスイッチ制御手段として働くコンパレータCP1の出力が供給されている。このコンパレー
タCP1には、MOSFETQ1のドレイン電圧Vdを基準にした基準電圧Vref1(=第
1基準電圧)、つまり、(Vd−Vref1)が入力されると共に、MOSFETQ1のソー
ス電圧Vsが供給されている。
また、上述した抵抗R4の両端は、差動増幅器OP3に供給される。つまり、差動増幅器OP3の出力は、ツェナーダイオードZD1に流れる電流に応じた値となる。この差動増幅器OP3の出力は、積分回路13に供給される。積分回路13(=積分手段)は、差動増幅器OP3の出力を積分すると共に、その積分値が閾値を超えると、ショート信号S2を出力する。
また、本実施形態の電源供給装置は、コンパレータCP4を備えている。このコンパレータCP4には、MOSFETQ1のドレイン電圧Vdを基準にした基準電圧Vref4、つまり、(Vd−Vref4)が入力されると共に、MOSFETQ1のソース電圧Vsが供給され、その出力がタイマーTM3に供給されている。従って、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧が、基準電圧Vref4を超えた状態が、タイマーTM3に設定された設定時間T3以上継続した場合、タイマーTM3から過電流信号S3が出力される。
なお、上述した基準電圧Vref4は式(7)、(8)に示すような値に設定される。
Rdsonmin×ILstd<Vref4<Vref1<Vb …(7)
Vref4<Rdsonmax×ILlim …(8)
Rdsonmax:最大定格チャンネル温度でのQ1のオン抵抗
上述したショート信号S2及び過電流信号S3は、参考例と同様に、ORゲート11を介して、DF/F回路12に供給される。
上述した構成の電源供給装置の動作について、図10の立ち上がり時における各種信号、電圧のタイムチャートを参照して以下説明する。まず、ゲート駆動信号S1がLoでは(図10(a)参照)、MOSFETQ1は非導通状態であり、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsは、バッテリ電圧Vbに等しい(図10(c)参照)。従って、式(3)からも明らかなように、Vref1<Vdsとなり、コンパレータCP1の出力がHiとなり(図10(e)参照)、MOSFETQ32はオンしている。
次に、ゲート駆動信号S1がHiになると、MOSFETQ1のゲートに電圧Vpが印加される。電圧Vpは、一般にバッテリ電圧Vbよりも4〜15V程度高い電圧とされる。これにより、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vgsは上昇していく(図10(b)参照)。この結果、ゲート−ソース間電圧Vgsが遮断ゲート−ソース間電圧Vgsoffを超えると、MOSFETQ1のドレイン−ソース間が導通し、これにより、負荷電流ILが流れ始める(図10(d)参照)。またこれにより、MOSFETQ1のソース電圧Vsが上昇し始め、ドレイン−ソース間電圧Vdsがバッテリ電圧Vbから下がり始める(図10(c)参照)。
その後、ゲート−ソース間電圧Vgsは、(Vp−Vb)に向かって上昇する。この結果、式(2)からも明らかなように、ゲート−ソース間電圧Vgsは、(Vp−Vb)に達する前に、ツェナー電圧Vzd1にクランプされる。ところで、負荷10の初期状態での抵抗値は小さいため、ゲート駆動信号のHiに応じて、MOSFETQ1が非導通状態から導通状態になると、高い突入電流が負荷電流ILとして流れる。しかしながら、上述したように、ツェナーダイオードZD1によって、ゲート−ソース間電圧Vgsに抑えられているため、この突入電流は抑えられる。
なお、突入電流によりクリンプされると抵抗R4に電流が流れ、抵抗R4の両端に電圧降下が発生して(図10(g)参照)、積分回路13により積分が行われるが(図10(h)、突入電流を許容するように積分回路13が設定されているので、異常信号S4が出力されることがなく(図10(i)参照)、負荷電流ILは流れ続ける。
次に、図11にショート故障が起こったときの動作タイミングを示す。MOSFETQ1のソースと負荷10との間でグランドに対してショートが起こると、負荷電流ILが急上昇するとともに(図11(d)参照)、ドレイン−ソース間電圧Vdsが大きくなる(図11(c)参照)。ドレイン−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1を上回るとコンパレータCP1はHiとなり(図11(e)参照)、MOSFETQ32がオンし、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vgsが(Vp−Vb)からVzd1にクランプされ(図11(b)参照)、これにより負荷電流ILが抑えられる(図11(d)参照)。
負荷電流ILは、Vgs=4VのときのMOSFETQ1の飽和電流にほぼ一定に抑えられる。このとき、抵抗R4に発生する電圧降下VR4は、式(9)に示すようになる。
VR4=(Vgs−Vzd2)×{R4/(R2+R4)} …(9)
クランプ状態が継続すると、積分回路13の積分値が上昇していく(図11(h)参照)。この積分値が閾値を超えるとショート信号S2が出力される。このショート信号S2の出力に応じて、DF/F12から異常信号S4が保持される(図11(i)参照)。これにより、異常ステータスが出力され、ユーザに報知が行われると共に、MOSFETQ4がオンして、MOSFETQ1が遮断される。
ショートの程度が激しいほど、ドレイン−ソース間電圧Vdsが大きくなることから、式(10)はさらに大きくなるので、遮断までの時間は早くなる。遮断までの時間がMOSFETQ1の安全動作領域内に収まるように基準電圧Vref1、積分回路13の時定数、閾値を設定することで、MOSFETQ1は破壊することなく、安全に遮断される。ショート以上の時はタイマーTM3の設定時間より早い時間で遮断されるので、コンパレータCP4はなにも関係しない。
異常がごく短時間でおさまり、積分回路13が閾値に達しなかった場合は、動作が継続される。このため、誤動作に強いという利点がある。積分回路13の積分値のリセットは、図11に示すようにある程度時間をかけて徐々に行ってもよいし、異常信号S4により瞬間的に行ってもよい。
また、Vref4<Vds<Vref1となるような、比較的小さな過電流が設定時間T3を超えて継続して流れた場合、タイマーTM3から過電流信号S3が出力され、この過電流信号S2の出力に応じてDF/F12から異常信号S4が保持される。これによっても、異常ステータスが出力され、ユーザに報知が行われると共に、MOSFETQ4がオンして、MOSFETQ1が遮断される。
上述した第1実施の形態におけるMOSFETQ1の動作点は、第1実施の形態と同様なため、説明は省略する。以上のことから明らかなように、抵抗R4、差動増幅器OP3、積分回路13が請求項中の第1異常検出手段に相当する。
以上の電源供給装置によれば、ツェナーダイオードZD2に流れる電流の積分値に相当する値が閾値を超えたとき、ショート信号S2を出力している。このように、積分値が閾値を超えるのを待つことにより、突入電流など短時間に発生する過電流を異常として検出することがない。しかも、過電流が発生して、異常信号S4が出力されるまでの間は、ツェナーダイオードZD1の働きによってその過電流を抑えることができる。
また、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsは、負荷電流ILの大きさに応じていることに着目し、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsに基づいて、所定値を超える負荷電流ILが所定時間以上継続して流れているかを検出している。以上の構成によれば、MOSFETQ1とは別に、負荷電流ILに応じた電圧を出力する手段を設けなくても、異常の検出を行うことができ、コストダウンを図ることができる。
また、上述した第1実施の形態では、抵抗R4の両端電圧に応じた差動増幅器OP3の出力電圧を積分回路13により積算することにより、ツェナーダイオードZD1に流れる電流の積分値を求めていた。しかしながら、例えば、図12に示すように、抵抗R10、OPアンプOP4、MOSFETQ10により、抵抗R4に流れる電流を分流し、その分流Isを、定電流源Icc及びコンデンサC10の並列回路に供給するようにしてもよい。この場合、コンデンサC10は、積分手段として働き、(Is−Icc)で充電され、コンデンサC10がインバータ14の閾値に達するとショート信号S2が出力されるようになる。
第2実施の形態
図13は、本発明の保護装置を組み込んだ電源供給装置の第2実施の形態を示す回路図である。同図において、図1と同等の部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。同図に示すように、車載バッテリB(=直流電源)から供給される電源は、NチャンネルMOSFETQ1(=電界効果トランジスタ)を介して負荷10に供給される。
上述したMOSFETQ1のゲートには、抵抗R2を介して、ゲート駆動信号S1が供給される。また、MOSFETQ1のチャンネル温度を検出するためのダイオードD1が、MOSFETQ1と熱的に結合するようごく近接し、かつ、電気的には絶縁されるように設置されている。ダイオードD1は定電流源Icc2に接続され、MOSFETQ1のチャンネル温度に応じた電圧Vfを発生する。チャネル温度対ダイオードD1が発生する電圧Vf特性の一例を図14に示す。同図に示す例では、温度1°Cの上昇に対し電圧Vfが約2mV下がるような関係がある。
コンパレータCP6には、上述したMOSFETQ1のチャネル温度に応じた電圧Vfと、基準電圧Vref5とが供給されている。コンパレータCP6は、MOSFETQ1のチャネル温度が基準電圧Vref5に対応する遮断温度を越えて、電圧Vfが基準電圧Vref5を下回ると、Hiレベルの加熱信号S5をDF/F回路12に供給する。DF/F回路12は、加熱信号S5が供給されてから、リセットされるまでHiレベルの異常信号S4を出力する。この異常信号S4は、MOSFETQ1のゲートとグランド間に設けられたMOSFETQ4のゲートに供給される。従って、異常信号S4が出力されると、MOSFETQ4がオンして、MOSFETQ1を遮断する。
上述した基準電圧Vref5は、定電圧Vccに直列接続された抵抗R5及びR6から成る直列回路と、上述した抵抗R6に並列に接続された抵抗R7及びMOSFETQ7から構成される直列回路とにより得られる。つまり、MOSFETQ7のオンオフによって基準電圧Vref5の値を変更することができる。なお、基準電圧Vref5は、MOSFETQ7がオンしているときMOSFETQ1のチャネル温度の最大定格値に相当する値に設定され、MOSFETQ7がオフしているときMOSFETQ1の動作周囲温度よりも高く最大定格値よりも低い温度に相当する値に設定される。
また、MOSFETQ1のゲート−ソース間には、ツェナーダイオードZD1(=第1ツェナーダイオード)及びMOSFETQ32(=スイッチ手段、半導体スイッチ手段)から構成される直列回路が設けられている。
また、上述したMOSFETQ32と並列に、ツェナーダイオードZD2(=第2ツェナーダイオード)が接続されている。さらに、ツェナーダイオードZD1及びZD2と直列に抵抗R4が接続されている。ツェナーダイオードZD1及びZD2のツェナー電圧Vzd1及びVzd2は、上述した式(1)及び(2)に示すように設定される。
また、上述したMOSFETQ32のゲートには、上述した第1の実施形態と同様にスイッチ制御手段として働くコンパレータCP1の出力が供給されている。このコンパレータCP1には、MOSFETQ1のドレイン電圧Vdを基準にした基準電圧Vref1(=第1基準電圧)、つまり、(Vd−Vref1)が入力されると共に、MOSFETQ1のソース電圧Vsが供給されている。これにより、コンパレータCP1は、ドレイン−ソース間電圧Vdsと基準電圧Vref1とを比較し結果を出力する。
また、コンパレータCP7には抵抗R4の一端が供給されるとともに、抵抗R4の他端を基準にした基準電圧Vref6が供給されている。つまり、コンパレータCP7はツェナーダイオードZD1に流れる電流に応じた値となる抵抗R4での電圧降下と基準電圧Vref6とを比較し結果を出力する。基準電圧Vref6は下記の式(11)に示すように設定される。
(Vp−Vzd2−Vb)・R4/(R2+R4)<Vref6<(Vp−Vzd2)・R4/(R2+R4) …(11)
これにより、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1より大きく、MOSFETQ1のゲート−ソース間がツェナーダイオードZD1のみによりクランプされた状態のとき、抵抗R4での電圧降下が基準電圧Vref6を越えて、コンパレータCP7の出力がLoレベルとなる。また、コンパレータCP7の出力はMOSFETQ7のゲートに接続されている。
上述した構成の電源供給装置の動作について、図15の立ち上がり時における各種信号、電圧のタイムチャートを参照して以下説明する。まず、ゲート駆動信号S1がLoでは(図15(a)参照)、MOSFETQ1は非道通状態であり、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsは、バッテリ電圧Vbに等しい(図15(c)参照)。従って、式(3)からも明らかなように、Vref1<Vdsとなり、コンパレータCP1の出力がHiとなり(図15(e)参照)、MOSFETQ32はオンしている。
次に、ゲート駆動信号S1がHiになると、MOSFETQ1のゲートに電圧Vpが印加される。電圧Vpは、一般にバッテリ電圧Vbよりも4〜15V程度高い電圧とされる。これにより、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vgsは上昇していく(図15(b)参照)。この結果、ゲート−ソース間電圧Vgsが遮断ゲート−ソース間電圧Vgsoffを超えると、MOSFETQ1のドレイン−ソース間が導通し、これにより、負荷電流ILが流れ始める(図15(d)参照)。またこれにより、MOSFETQ1のソース電圧Vsが上昇し始め、ドレイン−ソース間電圧Vdsがバッテリ電圧Vbから下がり始める(図15(c)参照)。
その後、ゲート−ソース間電圧Vgsは、(Vp−Vb)に向かって上昇する。この結果、式(2)からも明らかなように、ゲート−ソース間電圧Vgsは、(Vp−Vb)に達する前に、ツェナー電圧Vzd1にクランプされる。ところで、負荷10の初期状態での抵抗値は小さいため、ゲート駆動信号のHiに応じて、MOSFETQ1が非導通状態から導通状態になると、高い突入電流が負荷電流ILとして流れる。しかしながら、上述したように、ツェナーダイオードZD1によって、ゲート−ソース間電圧Vgsに抑えられているため、この突入電流は抑えられる。
なお、突入電流によりクリンプされると抵抗R4に電流が流れ、抵抗R4の両端に電圧降下が発生し(図15(h)参照)、抵抗R4の電圧降下が基準電圧Vref6を越えて、コンパレータCP7の出力がHiレベルからLoレベルになり、基準電圧Vfef5がより大きな値に変更されて、遮断温度が最大定格値より小さく、かつ、最大周囲温度より高い値に変更される(図15(i)参照)。
しかしながら、突入期間は短く、動作周囲温度を越えてMOSFETQ1が発熱することがないため、基準電圧Vref5がより大きな値に変更されても、MOSFETQ1のチャネル温度に応じた値である電圧Vfが基準電圧Vref5を下回ることがないため、加熱信号S5が出力されることなく(図15(f)参照)、負荷電流ILは流れ続ける。
次に、図16にショート異常が起こったときの動作タイミングを示す。まず、ショートが発生していない間は、ツェナーダイオードZD1によってMOSFETQ1のゲート−ソース間がクランプされることがないため、コンパレータCP7はHiレベルの出力を保っている。このため、MOSFETQ7がオンして、基準電圧Vref5はMOSFETQ1のチャネル温度の最大定格値に相当する値に設定される。
その後、MOSFETQ1のソースと負荷10との間でグランドに対してショートが起こると、負荷電流ILが急上昇するとともに(図16(d)参照)、ドレイン−ソース間電圧Vdsが大きくなる(図16(c)参照)。ドレイン−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1を上回るとコンパレータCP1はHiとなり(図16(e)参照)、MOSFETQ32がオンし、MOSFETQ1のゲート−ソース間電圧Vgsが(Vp−Vb)からVzd1にクランプされ(図16(b)参照)、これにより負荷電流ILが抑えられる(図16(d)参照)。
負荷電流ILは、Vgs=4VのときのMOSFETQ1の飽和電流にほぼ一定に抑えられる。またこのとき、抵抗R4に基準電圧Vref6を越える電圧降下が発生して、コンパレータCP7の出力がHiからLoレベルになる(図16(g)参照)。これによって、MOSFETQ7がオフして、基準電圧Vref5はMOSFETQ1の動作周囲温度より高く、最大定格値よりも低い温度に相当する値に設定される(図16(i)参照)。
ショート状態が続くとMOSFETQ1のチャネル温度は上昇し、電圧Vfは低下していく。電圧Vfが基準電圧Vref5を下回り、コンパレータCP6が加熱信号S5を出力する(図16(f)参照)。この加熱信号S5の出漁に応じてDF/F12から異常信号S4が保持される。これによって、異常ステータスが出力され、ユーザに報知が行われると共に、MOSFETQ4がオンして、MOSFETQ1が遮断される。
ショート発生時のMOSFETQ1のチャネル温度上昇速度は速い。このため異常検知から遮断までの時間遅れや遮断時のスイッチングロスにより温度のオーバーシュートが発生する。しかしながら、上述した第3実施形態では、ツェナーダイオードZD1に電流が流れたときショート発生を検出し、ショート発生検出時に遮断温度を定格値よりも引き下げているので、チャネル温度は定格を越えることがない。
一方、ショートが発生しておらず、何らかの原因でチャネル温度が上昇する場合にはチャネル温度が定格以上となるまで負荷10を使用し続けることができる。しかも、ショート発生時でなければチャネル温度上昇速度は比較的遅いので遮断温度を最大定格値としても、オーバーシュートが発生することがなく、この場合もチャネル温度が最大定格値を越えることはない。
また、上述した第3実施形態から明らかなように、ダイオードD1が請求項中の温度センサに相当し、コンパレータCP6が請求項中の第3異常検出手段に相当し、抵抗R5〜R7、MOSFETQ7が変更手段に相当することが明らかである。上述した第3実施形態においては、ダイオードD1をグランド基準で動作させていた。しかしながら、図17に示すように、バッテリ電圧Vb基準で動作させることも考えられる。
また、上述した第1及び第2実施形態においては、スイッチ制御手段として、コンパレータCP1を用いていた。しかしながら、例えば、図18に示すように、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsを抵抗R8及びR9で分圧して、その分圧電圧をMOSFETQ32のゲートに供給するように構成して、抵抗R8及びR9、MOSFETQ32をスイッチ制御手段として機能させることも考えられる。
上述した抵抗R8及びR9は、MOSFETQ1のドレイン−ソース間電圧Vdsが基準電圧Vref1を越えている間、その分圧電圧がMOSFETQ32のゲート遮断電圧を越えるような値に設定されている。また、MOSFET32はバイポーラトランジスタでもよい。
また、第1及び第2実施形態におけるMOSFETQ1として、図19に示すように、加熱遮断機能を持たせたものを用いてもよい。このMOSFETQ1は、ドレイン端子がバッテリBに接続され、ソースが負荷10に接続されるメインFETQ11と、ドレインがメインFETQ11のゲートに、ソースがメインFETQ11のソースに接続される遮断用FETQ12とを備えている。
そして、温度が上がるとダイオードD2及びD3の順方向電圧が下がることを利用して、ある温度異常でコンパレータCP5がLレベルからHレベルに反転し、遮断FETQ12をオンする。これによりメインFETQ11のゲート−ソースが同電位となり、メインFETQ11がオフして、負荷電流ILが遮断される。このメインFETQ11がオフして温度が下がるとコンパレータCP5が反転し、遮断用FETQ12がオフとなるため、メインFETQ11は再びオンする。
また、上述した第1及び第2実施の形態では、MOSFETQ1として、Nチャンネルのものを用いていたが、Pチャンネルのものを用いてもよい。また、基準電圧Vref1〜Vref4には、温度依存性や、バッテリ電圧Vbに対する依存性を持たせてもよい。