JP4262324B2 - 遊技盤用の盤面化粧板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ等のピンボール遊技機及び他の遊技機に用いられる遊技盤の盤面に貼着される盤面化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来遊技盤の盤面化粧板は、セルロイドあるいはアクリル樹脂製の透明板の裏面に、顔料による着色インクを溶剤で希釈してスクリーン印刷などの方法で模様を印刷し、白色のバックコート塗料を裏面全面に塗布するという塗膜形成によって模様を形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の化粧板では、顧客の注意を惹くためのデザインが、どうしても単純で、しかも2次元的な平面模様に止まるものであった。本発明は、盤面表面からみて、そのデザインが3次元的に形成できる手段を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段は、特許請求の範囲に記載のとおり、少なくとも、最上層を構成する透明なプラスチックによる表面材と、該表面材より融点または軟化点温度の低い透明なプラスチックによる熱変形部材と、該熱変形部材の下方に隣接して設けられ、該熱変形部材よりも耐熱性が高く屈曲可能な膜材とを有し、前記薄膜材の下方に配置され、前記熱変形部材よりも耐熱性が高く、前記熱変形部材を熱変形させる型部材を、前記表面材、前記熱変形部材及び前記薄膜材に重ね合わせ、加熱加圧することで、前記型部材にならって前記熱変形部材が溶融流動し、同時に前記薄膜材が軟化可能な状態で屈曲変形し、前記薄膜材に、表面から透視できる立体模様を形成させつつ、少なくとも、前記表面材、前記熱変形部材及び前記薄膜材が一体化されていることを特徴とする遊技盤用の盤面化粧板であり、前記表面材、前記熱変形部材、前記薄膜材及び前記型部材が一体化したもの、前記薄膜材は、樹脂フィルム、紙材、不織布、金属箔の中から選択される変形なじみ性に優れたもの、前記薄膜材は、光輝性の金属箔、光輝性の金属の薄膜、金属蒸着フィルム、金属蒸着薄膜、箔粉含有フィルムの中から選択される光輝性薄膜材であるもの、前記型部材は、プラスチック、織布、不織布、紙材、金属材、木材、コルク材、あるいはこれらに印刷塗膜を形成したものの中から1つ又は複数選択されるもの、最下層には、遊技盤本体の基盤との接着力を保持するための裏打材を設けるもの、などを含む。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる表面材の基本的な必要特性は、耐薬品性があり、遊技盤の使用中の汚れに対して、アルコールなどの溶剤による洗浄が可能なこと、表面硬度があり鉄製の小球により傷が容易につかないこと、汚れにくいこと、小球の転がりが良いこと、耐摩耗性があり鉄製の小球通過に対する摩耗が少なく、遊技盤の耐久性を高めるものであることが要求される。
【0006】
更に表面材は、複数層を一体化する際の加熱工程に対して表面の平滑性を維持するため、耐熱性が高くそして融点が高いことが望ましい。また表面材の裏面に従来と同様の印刷塗膜の形成による着色意匠模様を付与するためには透明性が高いことが望ましく、あるいは染料による昇華印刷に対して発色性が高く色鮮やかで堅牢性の高い印刷とするために染料染着性の有るプラスチックであることが望ましい。
【0007】
このような条件に適する表面材としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアクリルニトリル系(PAN)樹脂、の中から選択されるプラスチックが好ましい。
【0008】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましく、特に2軸延伸フィルムが透明性、寸法安定性、表面硬度、塗膜形成印刷、昇華印刷特性などの点で優れており好ましく適用できる。ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、およびこれらの共重合体、非晶性ナイロンなどが挙げられ、EVOH樹脂、PC樹脂、PAN樹脂とともに上記に挙げた特性の点で優れ、好ましく適用できる。
【0009】
これらの樹脂の融点に関しては、ポリエステル樹脂においては、220℃〜270℃、ポリアミド樹脂で160℃〜230℃、EVOH樹脂で160℃〜190℃、PC樹脂で200℃〜260℃、またPAN樹脂は軟化点温度で70〜90℃程度の温度特性を持つ。本発明の化粧板の表面材としては、後の加熱に対しても変形することなく、表面は平滑性を保つことが必要であり、少なくとも150℃以上の融点を持つ樹脂あるいは150℃以上で溶融する上記の樹脂が好ましい。
【0010】
表面材の厚さに関しては、遊技盤用の盤面化粧板としては通常総厚1mm以内程度であるので、当該表面材としての厚さは、25〜500μmの範囲である。
【0011】
表面材の表面にハードコート処理を施すことにより、表面のキズつきを防止して、耐摩耗性を向上させることができる、アクリル等の有機系、シリコン等の無機系、及び有機系無機系の複合タイプにより、UVキュア、あるいは焼き付けによりハードコード処理が施されたものであってもよい。
【0012】
さらには、シロキサン系の界面活性剤等を表面コート処理することで、表面材表面に帯電防止効果を付与して、汚れの付着を低減することができる。
【0013】
また本発明では、表面材に着色意匠模様を付与してもよく、従来実施されているものと全く同様の印刷を施すことができ、シルク印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等の公知の印刷が適用できる。通常透明な表面材の裏面に着色摸様を印刷した後、白色のバックコートを施すことが一般的に行われ、透明な表面材を透視してこれらを視認することができる。
【0014】
更にその他として、染料による昇華転写印刷等の方法で表面材の表面から染料による浸透像を付与する方法があり、これは予め転写用紙とすべく紙材等の基材に染料を配合したインクにより印刷が施された昇華転写紙を用いて、該昇華転写紙の印刷面を表面材の表面に当接して加熱しながら染料を表面材に移行せしめ、該転写紙を剥離して印刷を完了する方法であり、着色隠ぺい性が低く透明感があるため好ましく適用できる。
【0015】
また本発明では表面材に施す印刷は省略しても良いし、あるいは上記の印刷方法を併用して実施しても良い。また表面材に対する印刷を適宜に選択して実施すれば、本発明の立体模様と印刷模様とが複合して形成されるので、化粧板としての意匠性を非常に高めることができる。
【0016】
次に本発明の熱変形部材は、薄膜材に隣接して設けられ、加熱加圧により、型部材によって自らが熱溶融変形して、型部材にならって薄膜材を変形せしめ、立体模様を形成させる機能をもつ部材である。そこで熱変形部材は、表面材より軟化点、もしくは融点温度の低いプラスチックであることが好ましく、加熱の際に、表面材が溶融すると表面材の表面平滑性を維持できなくなるため、熱変形部材は表面材より融点または軟化点温度が低い物質とする必要があり、熱可塑性のプラスチックであれば好ましく適応できる。
【0017】
本発明の熱変形部材は、ポリオレフィン系樹脂、低融点ポリアミド系樹脂、低融点ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、の中から選択されるプラスチックであることが好ましい。
【0018】
ポリオレフィン系樹脂としてはエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂[融点60〜113℃]、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン樹脂[融点100〜140℃]、アイオノマー樹脂[融点82〜99℃]が好ましく適応できる。
【0019】
その他のポリオレフィン系樹脂の中で変性したものの例としては、EVA、EEA(エチレン・エチルアクリレ−ト共重合体)、PE、PP(ポリプロピレン)等の樹脂に無水マレイン酸をグラフト変性したプラスチック、あるいはEVA、EEA等の樹脂に変性シランをグラフト変性したプラスチック、さらにはEVA、EEA等の樹脂に無水マレイン酸及び変性シランをグラフト変性したプラスチック、その他に、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等のプラスチックがある。
【0020】
更には、エポキシ基を有するGMA(グリシジルメタアクリレ一ト)との共重合体として、エチレン・GMA共重合体、エチレン・GMA・酢酸ビニル共重合体、エチレン・GMA・アクリル酸メチル共重合体、及びポリオレフィンとコポリエステルの組成物にこれらの共重合体を配合したプラスチックもある。以上掲げたポリオレフィン系樹脂も融点が50〜140℃の範囲であり接着住及び成形性が良好で好ましく適用できる。
【0021】
また、低融点ポリアミド樹脂及び低融点ポリエステル樹脂としては、それぞれナイロンの共重合体及びポリエステルの共重合体であって低融点の樹脂[融点80〜130℃]が好ましい。
【0022】
そのほかには、ポリビニルブチラール樹脂、あるいは前記樹脂を含めた接着性ポリマーとして変成した低融点の樹脂などが好ましく適応できる。
【0023】
そして熱変形部材の融点または軟化点は、少なくとも表面材の融点もしくは軟化点より低いプラスチックが好ましく、表面材の融点、軟化点と関係するが、概ね融点50〜140℃の範囲のプラスチックが好ましく、更に好ましくは融点60〜130℃の範囲であるプラスチックが成形性が良く好ましい。
【0024】
上記の中でも特にEVA系の樹脂は、低融点であり成形性が好ましく、接着性及び透明性が良好であり好ましく適応できる。
【0025】
熱変形部材の厚さとしては、該部材が熱溶融変形して薄膜材に立体模様を付するに見合うだけの厚さ、即ち型部材に近似する厚さであり、意匠性との関係で特定されるものではないが、立体模様を視認できる盤面化粧盤とするためには、50〜500μm程度が好ましく、更に好ましくは100〜250μm程度の厚さとして、これに対応する立体模様を付するのがよい。
【0026】
次に薄膜材は、熱変形部材に隣接し、表面材の下側に位置され、型部材の形状にならって、熱変形部材の変形と共に薄膜材が変形されて立体的な凹凸模様を形成するものであるため、凹凸に対しての変形なじみ性が優れるものが好ましく、また熱変形部材より耐熱性が高いものが好ましい。
【0027】
また、薄膜材は、形成された立体的な凹凸模様が、透明な表面材から透視されて、立体的な模様として見えるようなものであれば特に問わず着色、無着色、印刷などの模様付け等の意匠性を付与した、樹脂フィルム、紙材、布帛、不織布、金属箔などが適応でき、これらは化粧板全面に設けたり部分的に配置する形態のものであったり、化粧板中に上記のものを組み合わせて複数用いることもできる。
【0028】
さらに、より立体感のある立体模様とするためには、該薄膜材を光輝性の優れた材料による光輝性薄膜材とすることにより、より凹凸感が明瞭になり、立体感の優れた立体模様とすることができる。
【0029】
光輝性薄膜材としては、アルミニウム、ブロンズ、クローム、ニッケル、金、銀、亜鉛等の光輝性の金属箔、もしくは金属箔を基材に貼着した光輝性の金属の薄膜等が好ましく適応できる。
【0030】
同様に、ポリエステル、ナイロン、アクリル、EVOH、ポリチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)樹脂等であり、金属蒸着可能な樹脂フィルムに施した金属蒸着フィルム、ホログラム調の蒸着フィルム、あるいは布帛、不織布に施した金属蒸着薄膜等も好ましく適応できる。
【0031】
あるいはまた、PE、PP、ナイロン、ポリエステル、EVOH、アイオノマー、EVA、ABS等の樹脂に、金属箔粉、パール箔粉、マイカ箔粉、二酸化チタンをコーティングしたマイカ箔粉等を配合して、樹脂中に含有させて光輝性を高めた上記の含有フィルムによる光輝性薄膜材なども好ましく適応できる。
【0032】
本発明の薄膜材の厚さは、薄いもの程型部材に対しての変形特性がよいが、取扱性、強度面を考慮すれば慨ね10〜100μmの範囲のものが適応でき、更に好ましくは、15〜50μmの範囲であれば変形特性がより好ましい。
【0033】
次に本発明における型部材は、前述の薄膜材に立体模様を形成せしめるための部材であり、表面材の表面から透視できる文字、模様、輪郭、凹凸等の立体模様に符合して形づける部材である。
【0034】
型部材は、加熱、加圧によって前述の熱変形部材を利して薄膜材を変形させるため、少なくとも熱変形部材より耐熱性の高い材料とし、確実に熱変形部材を変形できるような材料であることが好ましい。材料としては特定されるものではなく例えば、熱可塑性、熱硬化性のプラスチック、あるいは天然繊維、合成繊維、無機繊維による織布、不織布、そして紙材、金属材、木材、コルク材、あるいはこれらに印刷塗膜を形成したものなどであって、好ましく適応できる。
【0035】
これらの材料を型部材とする場合、所望の形状に切り抜いたものを使用すれば凸模様が得られ、逆に所望の形状部分を切り捨てた孔明きシ一トを応用すれば凹模様を得ることができ、これらを複合して応用すれば凹凸模様を同時に得ることができる。更にはこれらの材料をシ一ト状にそのまま使用すれば、例えば織布、不織布、紙等であれば表面の織り柄模様、あるいは微細な凹凸模様等を全面に表現する事ができる。
【0036】
また、型部材の選定によっては複数、多重の凹凸模様を付することが可能で、例えば型部材に織布、不織布を選定して、文字形状の立体模様を得ようとすれば、文字の表面には織布の織り柄、微細凹凸等の立体模様が同時に形成され、2重の立体模様を得ることができるなど、型部材の選定により幅広い意匠性の演出ができる。
【0037】
その他の型部材として、上記の材料の表面にシルク印刷等の公知の印刷手段により所望の摸様を塗膜形成したものを型部材としても良いし、あるいは所望の模様を施した金型を用いて加熱、加圧、注型等の方法で模様成形したものを型部材としても良く、これらは切り抜きなどの方法と異なり微細もしくは複雑な模様をも表現でき、さらに能率良く成形できるので好ましく適用できる。
【0038】
ここで型部材は塗膜形成によるものとする場合、シルク印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等の公知の印刷塗膜によるもの以外に、スプレ一塗装塗膜、静電塗装塗膜などによる公知の塗膜形成手段が適用でき、塗膜形成は基材を選ぶことなく能率良く実施できるので好ましい。また概ね1〜500μmの範囲の膜厚であれば薄膜材に立体模様を形成できるが、明確な立体模様を能率良く得るためには50〜400μmの範囲の膜厚がより好ましい。
【0039】
また、型部材は、盤面化粧板の部材として一体化させて用いてもよいし、成形時にのみ用いて、成形後に離脱して成形毎に繰り返し使用するものであってもよいが、後の本体基盤との接着を考慮すれば化粧板に一体化して裏面全体を平坦に成形することが望ましい。
【0040】
次に裏打材は、本発明の盤面化粧盤を遊技盤本体に用いる場合の、基盤との接着力を保持するために機能する部材であり、通常本体の基盤は木製の合板が用いられ、酢酸ビニル系の接着剤が使用されている。そのため、これらとの接着性の好ましい材料が選定され、紙材、合成繊維の織布、不織布、あるいはメラミン、フェノール等の適宜のプラスチックも適用できる。なかでも、紙材と比較して層間強度の高い不織布が好適であり、特にビニロン系の不織布が本体基盤との接着性が良く好ましい。
【0041】
次に本発明に使用する接着助材としては、各種の熱可塑性、熱硬化性の接着剤であって、液状、フィルム状を問わず好ましく適応できるが、特にポリエチレン、EVA、アイオノマー、等のオレフィン系樹脂による熱可塑性の接着フィルムが好ましい。更に好ましくは、接着性ポリオレフィン樹脂であり、無水マレイン酸をグラフト重合したポリエチレン、EVA、PP等の樹脂フィルムが好ましく適応できる。また前述の熱変形部材と同一のプラスチック等による樹脂フィルムも接着性が良好であり好ましく適用できる。その厚さとしては、各部材間の接着を目的とするものであり薄く成形されていることが好ましく、20〜100μmの範囲が好ましく、更に好ましくは30〜80μmの厚さが成形性が良く使用でき、これらは必要に応じて任意の層間に複数使用してもよい。
【0042】
本発明の遊技盤用の盤面化粧板の製造方法は、すくなくとも、透明なプラスチックによる表面材と、表面材より融点または軟化点温度の低いプラスチックによる熱変形部材と、熱変形部材に隣接して設けた薄膜材とを、型部材と重ね合わせ、表面材の溶融温度以下であって、熱変形部材の溶融温度以上の温度で加熱加圧することによって、型部材にならって、熱変形部材を溶融流動させ、同時に薄膜材をも変形させることで、薄膜材に立体模様を形成させつつ一体化するものである。
【0043】
具体的には、温度制御可能な上下2枚の熱プレス板にて、各部材を挟持し加熱加圧して成形する。加熱温度及び加圧力は、各部材の温度特性により異なり適宜に決定されるものであるが、少なくとも表面材が溶融する温度以下であり、熱変形部材が溶融する温度以上で、加圧加熱する。また多段プレス等の公知の熱圧成形により能率よく行うことができる。
【0044】
すなわち、該温度条件下であれば熱変形部材は容易に溶融することができ、上下からのプレス圧によって、型部材に倣って流動変形することができる。
【0045】
そしてまた、熱変形部材に隣接して設けられた薄膜材もまた、薄膜であるため、加熱により軟化伸展可能な状態となり、熱変形部材とともに型部材に倣って屈曲変形して、型部材の形状に忠実に従うことが可能となり、薄膜材に立体模様を付与することができる。
【0046】
加熱温度は熱変形部材を溶融する温度であり、表面材を溶融する温度以下であるので、表面材は溶融変形することなく、表面材の平滑性を損なうことなく成形することが可能であり、表面平滑に立体模様を有する遊技盤用の盤面化粧板を得ることができる。
【0047】
また、本発明の遊技盤用の盤面化粧板の製造方法においては、各種部材と型部材とを同時に重ねて成形するが、型部材は化粧板そのものに一体化するように成形してもよいし、重ねて成形したのち型部材を離脱した化粧板を得るようにしてもよい。後者の場合型部材の材料を吟味すれば、成形ごとに再使用が可能となる
。
【0048】
更に型部材を用いず、薄膜材を予め立体変形させておき、熱変形部材とともに加圧加熱して立体模様を得ることもできる。
【0049】
また、本発明の遊技盤用の盤面化粧板の製造方法においては、上記の各部材の最下層に本体基盤との接着力を保持するための裏打材を同時に重ね合わせて成形してもよいし、さらにその他任意の部材を重ね合わせて成形一体化することもできる。
【0050】
さらにまた、本発明の遊技盤用の盤面化粧板の製造方法においては、表面材の表面に、染料による昇華印刷を施すため、昇華転写紙の印刷面を表面材の表面に当接して設置して成形一体化後、該昇華転写紙を剥離することにより、同時に表面材に染料による昇華印刷を施すことができる。
【0051】
【実施例1】
図1および図2は本発明の実施例の部分断面図であり、図1は完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図、図2は形成一体化する前の素材の状態を示す断面図である。符号1は化粧板、2は表面材、3は熱変形部材、4は薄膜材、5は型部材である。
【0052】
この実施例においては、最上層を構成する透明なプラスチックの表面材2として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いている。この例に用いたものは、押し出し成形で得られ、2軸延伸加工が施された厚さ188μmの透明性の良好な平坦なフィルムであり、耐薬品性、耐磨耗性に優れ、表面硬度も充分であり、融点が260℃と高く、他の部材との加熱による一体化を行っても表面の平滑性を損なうことがない。本発明では、表面材は小球の遊動に影響を与えない範囲で平滑であればよく、予め表裏面に凹凸模様を施したり、印刷模様を施しておいてもよい。
【0053】
熱変形部材3としては、表面材1よりも融点温度の低い72℃であるEVA系の樹脂フィルムを使用しており、この例では押し出し成形によって得られた厚さ150μmの透明で平坦なフイルムを使用している。この樹脂は型部材5に対して熱変形特性に優れ、薄膜材4との接着性もよい。また本発明では、異なる意匠性を持たせるため、熱変形部材と薄膜材とは部分的に空隙を設けるようにしてもよいし、或いはまた表面材と熱変形部材との間に設けるようにしてもよい。
【0054】
薄膜材4は、この例では厚さ20μmのアルミニウム箔を用いている。この薄膜材4は、熱変形部材3に隣接して設けられており、金属箔は伸展性がよいので、細かな凹凸模様も形成することができる。
【0055】
型部材5は、薄膜材に立体模様を形成させるもので、この例ではアルミ板の表面に凸状の模様を形成したものを用いている。この例の立体模様の高さは、概ね100μm程度である。型部材は、金属に限らず、板自体を凹凸に変形したものや、模様を切り抜いた板であってもよく、また繊維による織り布、紙等任意の素材でよく、立体的に形成可能なものであれば材質や形状を問わない。
【0056】
これらの素材を用いて化粧板1を製造するには、2乃至5の各部材を重ね合わせ、上下2枚の熱プレス板に挟持し、加熱しながら加圧して一体化する。加熱条件は表面材2が溶融する温度以下でかつ熱変形部材2が溶融する温度である160℃にて行った。加圧条件は2kg/平方cmであり、5分間加熱した後、プレス板より取り出し、冷却板に挟んで冷却し、その後型部材5を剥がして化粧板1を製造した。得られた化粧板は光輝性の立体模様が形成されるので表面側からみたとき、模様が際だって立体的に表現される。
【0057】
本実施例の化粧板の裏面には、アルミ箔による凹凸模様が形成されるが、そのまま遊技盤の本体基盤にエポキシ樹脂系の接着剤等で容易に貼着することができるが、更に裏打ち材を貼着した化粧板としてもよい。またこの例では、型部材は成形の都度再利用して用いることができるが、型部材を用いずあらかじめ立体模様を形成した薄膜材を用いて成形しても良く、この例のような金属箔薄膜材であれば可能となる。
【0058】
【実施例2】
図3および図4は本発明の他の実施例の部分断面図であり、図3は完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図、図4は形成一体化する前の素材の状態を示す断面図である。符号11は化粧板、12は表面材、13は熱変形部材、14は薄膜材、15は型部材である。
【0059】
この実施例においては、最上層を構成する透明なプラスチックの表面材12として、ナイロン12樹脂を用いている。この例に用いたものは、押し出し成形で得られた厚さ200μmの透明性の良好な平坦なフィルムである。前記同様耐薬品性、耐磨耗性に優れ、表面硬度も充分であり、融点が165℃と高く、他の部材との加熱による一体化を行っても表面の平滑性を損なうことがない。
【0060】
熱変形部材13としては、表面材11よりも融点温度の低い99℃であるアイオノマー樹脂フィルムを使用しており、この例では押し出し成形によって得られた厚さ250μmの透明で平坦なフイルムを使用している。この樹脂は型部材15に対して熱変形特性に優れ、薄膜材14の金属蒸着面との接着性もよい。
【0061】
薄膜材14は、この例では厚さ25μmのポリエチレン樹脂にアルミニウムの真空蒸着を施した金属蒸着フィルムを用いている。
【0062】
型部材15は、この例では所望のデザイン模様に切り抜いた厚さ200μmの超高分子量ポリエチレンを用いている。
【0063】
これらの素材を用いて化粧板11を製造するには、12乃至15の各部材を重ね合わせ、上下2枚の熱プレス板に挟持し、加熱しながら加圧して一体化する。加熱条件は140℃にて行った。加圧条件は2kg/平方cmであり、5分間加熱した後、プレス板より取り出し、冷却板に挟んで冷却して化粧板11を製造した。この例では、立体模様を形成する型部材を化粧板11に一体化してあり、薄膜材のポリエチレンと型部材のポリエチレンが加熱により熱融着され、全体が一体でかつ裏面が平滑な化粧板とすることができ、本体基盤との接着を容易で確実にする。
【0064】
【実施例3】
図5および図6は本発明の他の実施例の部分断面図であり、図5は完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図、図6は形成一体化する前の素材の状態を示す断面図である。符号21は化粧板、22は表面材、23は熱変形部材、24は薄膜材、25は型部材、26、27は接着助材、28は裏打材である。
【0065】
この実施例においては、最上層を構成する表面材22として、前述と同様のPET樹脂を用いている。この例に用いたものは、厚さ188μmで、融点は260℃である。
【0066】
熱変形部材23としては、前述と同様の融点72℃であるEVA系の樹脂フィルムを使用しており、この例では厚さ150μmの透明で平坦なフイルムを使用している。
【0067】
薄膜材24は、この例ではEVOH樹脂にアルミニウムの真空蒸着を施した厚さ15μmの金属蒸着フィルムを用いている。
【0068】
型部材25は、この例では所望のデザイン模様に切り抜いた厚さ250μmのポリエステル繊維による不織布を用いている。この型部材は、耐熱性も高く、型抜きの加工性もよく、好ましく使用できる。また不織布のため弾力性があり、薄く低強度の薄膜材24に対する緩衝性がある。この型部材に隣接する両面には、接着助材として厚さ50μmの接着性ポリエチレンフイルム26、27、が設けられている。
【0069】
ここで型部材25は所望のデザイン形状に切り抜いた断片的な形態のものを使用しているが、全体を一体に成形する際に化粧板の適正位置に該型部材25を正確に位置決めすることが困難な場合がある。その解決法の一例として、他の部材と外形寸法を同一とした基材上に型部材25を事前に載置したものを型部材として用いても良いし、あるいは該基材上にシルク印刷等により型部材25と同デザインの印刷塗膜を形成したものを型部材として用いても良い。また本実施例に応用する場合には該基材をポリエステル不織布またはPET樹脂フィルム等にすれば容易に一体に成形ができる。
【0070】
また最下層には、本体基盤との接着力を保持するための裏打ち材28が設けてあり、この例では厚さ250μmのビニロン繊維による不織布を用いているので、本体基盤との接着に使用されることが多い、酢酸ビニル系の接着剤に対し安定した接着性を保てる。
【0071】
これらの素材を用いて化粧板21を製造するには、22乃至28の各部材を重ね合わせ、前記同様に加熱しながら加圧して一体化する。加熱条件は160℃にて行った。この例でも、立体模様を形成する型部材を化粧板21に一体化してあり、全体が一体でかつ表裏面が平滑で内部の立体模様が透視できる化粧板とすることができ、本体基盤との接着を容易で確実にする。
【0072】
【実施例4】
図7および図8は、本発明の他の実施例の部分断面図であり、図7は完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図、図8は形成一体化する前の素材の状態を示す断面図である。符号31は化粧板、22は表面材、23は熱変形部材、24は薄膜材、35は型部材、26、27は接着助材、28は裏打材である。
【0073】
この例は、実施例3と同様の構成であるが、型部材35として透明なポリエステル樹脂を用い、型部材と薄膜材との位置を実施例3とは逆にしてあり、薄膜材による立体模様の形成の凹凸方法が逆になった例である。
【0074】
【実施例5】
図9は、本発明の他の実施例の部分断面図であり、完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図を示す。この例の化粧板41は、実施例3と同一の方法で作成されているが、表面材に染料による昇華印刷29が施されている例である。薄膜材による立体模様に加えて、昇華印刷を施すことにより、複雑で多様化したデザインを形成することができる。
【0075】
本実施例の化粧板は、表面材に染料による昇華印刷を施したため、従来の塗膜を形成する化粧印刷と異なり、染料は印刷の際に気体となって(昇華して)プラスチックの表面から内部へ浸透し、プラスチック内部に浸透固着するので、透明感が高くなお発色性が高いので、盤面化粧板の立体感模様を損なうことなく着色模様を同時に付与することができる。
【0076】
また同時に染料による印刷模様は、表面から内部に浸透固着するため、盤面に対する表面からの傷あるいは小球の通過による摩耗に対しても容易に消滅することがなく、高耐久性の印刷模様とすることができ、遊技盤用の盤面化粧板として最適である。
【0077】
本実施例での染料による昇華印刷は、予め転写用紙とすべく紙材等の基材に染料を配合したインクにより印刷が施された昇華転写紙を用いて、該昇華転写紙の印刷面を表面材の表面に当接して設置し、前述と同様に各部材を重ね合わせて形成一体化後、該昇華転写紙を剥離することにより、同時に表面材に染料による昇華印刷を施したものである。
【0078】
その他の方法として予め表面材の表面もしくは裏面に染料による昇華印刷を施した表面材を用いて、一体に成形してもよいし、裏面に塗膜形成による印刷を施した表面材を用いたものでもよい。
【0079】
【発明の効果】
本発明の化粧板は、透明性がよく、耐油性、耐磨耗性、耐薬品性に優れ、遊技盤用の化粧板として優秀な特性を有する。特に本発明により遊技盤において際だった立体感のあるデザインを得ることができる利点がある。更に立体模様と印刷を組み合わせることにより、遊戯者の興味を惹く多様で複雑な任意のデザインが得られる特徴がある。また顕著な立体感が得られる反面、表面も裏面も平滑で強固な化粧板が得られるので、例えばパチンコ盤などの遊技盤としての機能を損なわず、遊技盤を製造する際にも容易で強固な接着を行うことができるなどの多くの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図。
【図2】 本発明の実施例の形成一体化する前の素材の状態を示す断面図。
【図3】 本発明の実施例の完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図。
【図4】 本発明の実施例の形成一体化する前の素材の状態を示す断面図。
【図5】 本発明の実施例の完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図。
【図6】 本発明の実施例の形成一体化する前の素材の状態を示す断面図。
【図7】 本発明の実施例の完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図。
【図8】 本発明の実施例の形成一体化する前の素材の状態を示す断面図。
【図9】 本発明の実施例の完成したパチンコ遊技盤用の化粧板の断面図。
【符号の説明】
1は化粧板、
2は表面材、
3は熱変形部材、
4は薄膜材、
5は型部材,
11は化粧板、
12は表面材、
13は熱変形部材、
14は薄膜材、
15は型部材,
21は化粧板、
22は表面材、
23は熱変形部材、
24は薄膜材、
25は型部材、
26は接着助材、
27は接着助材、
28は裏打材、
35は型部材、
41は化粧板。
Claims (6)
- 少なくとも、最上層を構成する透明なプラスチックによる表面材と、該表面材より融点または軟化点温度の低い透明なプラスチックによる熱変形部材と、該熱変形部材の下方に隣接して設けられ、該熱変形部材よりも耐熱性が高く屈曲可能な薄膜材とを有し、
前記薄膜材の下方に配置され、前記熱変形部材よりも耐熱性が高く、前記熱変形部材を熱変形させる型部材を、前記表面材、前記熱変形部材及び前記薄膜材に重ね合わせ、加熱加圧することで、前記型部材にならって前記熱変形部材が溶融流動し、同時に前記薄膜材が軟化可能な状態で屈曲変形し、前記薄膜材に、表面から透視できる立体模様を形成させつつ、少なくとも、前記表面材、前記熱変形部材及び前記薄膜材が一体化されていることを特徴とする遊技盤用の盤面化粧板。 - 前記表面材、前記熱変形部材、前記薄膜材及び前記型部材が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技盤用の盤面化粧板。
- 前記薄膜材は、樹脂フィルム、紙材、不織布、金属箔の中から選択される変形なじみ性に優れたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技盤用の盤面化粧板。
- 前記薄膜材は、光輝性の金属箔、光輝性の金属の薄膜、金属蒸着フィルム、金属蒸着薄膜、箔粉含有フィルムの中から選択される光輝性薄膜材であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の遊技盤用の盤面化粧板。
- 前記型部材は、プラスチック、織布、不織布、紙材、金属材、木材、コルク材、あるいはこれらに印刷塗膜を形成したものの中から1つ又は複数選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の遊技盤用の盤面化粧板。
- 最下層には、遊技盤本体の基盤との接着力を保持するための裏打材を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の遊技盤用の盤面化粧板。
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