JP4261856B2 - 立体画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、観察者により立体的に観察が可能な立体画像を提供する立体画像表示装置に関するものであって、従来よりも観察者の眼の負担を軽減する立体画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、立体を再生する方法として様々な方式が試みられている。これらのうち両眼視差を用いて観察者に立体視を行わせる方法は広く利用されている。しかし、一般の両眼視差を用いる方法において観察者に提供される視差画像自体は二次元的な画像である。この様な二次元画像を観察する場合には、観察者の眼球内で調整される被観察物に対する焦点が二次元画像面に固定されるため、この眼球による焦点の調節機能による立体認識と両眼視差による立体認識との間に矛盾が生じ、観察者は疲労や違和感を覚えることが少なくない。そこで両眼視差のみに頼らず、眼球の有する立体認識機能も満足する3次元像再生の方法がいくつか試みられている。
【0003】
以上を実現する方法の一例が、平成9年に通信・放送機構が発行した「高度立体動画像通信プロジェクト最終成果報告書」の第3章8節「超多眼領域の立体視覚に関する研究」に記載されている。これによれば、単眼の瞳孔に複数の視差画像が入射する程度に視差の刻み角が細かい多視点画像を表示する「超多眼領域」の立体表示下においては、観察者の眼の焦点調節が両眼視差によって誘導される擬似的な立体像の近傍に導かれ、観察者の疲労や違和感が軽減されると報告されている。つまり、従来から行われている2視点からの視差画像を両眼に対して呈示する立体表示方法を、n視点からの視差画像をn視点に対して呈示する方法に拡張し、なおかつn個の視点の隣り合う2点間距離を観察者の瞳孔よりも小さくした場合、「単眼視差効果」により眼が疲れにくい立体表示となる、という見解が示されている。
【0004】
さらに同報告書第3章6節「集束化光源列(FLA)による多眼立体ディスプレイの研究開発」では上記理論を実践する具体例が示されている。図36はこの具体例の構成図である。図36中のFLAは集束化光源列(Focused Light Array)の略語であり、図35に示すような構成を有する。FLAは図35(a)のように半導体レーザーなどの光源(Light Source)の光を光学系(Beam Shaping Optics)により細い光束に整形したものを、図35(b)のように円弧状に並べてすべての光束を円の中心に集光させたものである。こうして形成された焦点(Focal Point)を通過した後の光束は、光学系(Objective lens)を経て、走査系(Vertical Scanner、Horizontal Scanner)により2次元的に高速走査され、光学系(Imaging lens)により垂直拡散板(Vertical Diffuser)に再結像し、異なる焦点位置に異なる2次元的な画像を形成する。走査の周期が観察者の眼の残像許容時間内(約1/50秒以内)であればフリッカーのない画像観察が可能となる。この構成では、二次元画像を観察する視点の数だけ光源が必要となるため、光源の数を増やすことで2次元画像の再現される焦点間の距離を十分に小さくし、観察者の単眼に複数の視差像が入射するようにすることで、「超多眼領域」の立体表示が可能となり、観察者の眼の焦点調節が立体像近傍に導かれ観察者の疲労や違和感が軽減している。
【0005】
また、特開平11−103474には、同様の原理に基づく「立体映像表示装置」が開示されている。図37は上記特開平11−103474に係る発明の概念図である。図37においては、光源およびそれに付随する駆動回路をただ一つとした場合にも、上述の「超多眼領域」の立体表示が可能な多視点立体映像を表示する装置を構成している。これを実現するために、図37に示す従来例ではレーザー光源1つにすると共に、レーザービーム走査によって2次元画像情報を形成すべき面の近傍に、主走査方向に周期的構造を有する円筒レンズアレイを配置していることを特徴としている。図38は図37における円筒レンズアレイの作用を説明する図である。図38においては、レーザービームが円筒レンズアレイ119に入射する際に、円筒レンズアレイ119を構成する要素レンズ毎に焦点を結ぶため、円筒レンズアレイ119上をレーザービームが一回走査した際に要素レンズの数に等しい数の視点に対応する二次元画像が再現可能である。このため、視点の数だけ光源およびそれに付随する駆動回路等を用意する必要が無くなり、単純な構成で「超多眼領域」の立体表示に必要な多数の視差画像を表示することを可能にしている
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の技術には次のような問題点が存在する。
【0007】
つまり、図38に示す手段により、単一の光源を用いて複数の視点に対応した二次元画像を再現する場合、再現される二次元画像の数は円筒レンズアレイ119を構成する要素レンズの数と同数になる。しかし、二次元画像の数を高めるために円筒レンズアレイ119を構成する要素レンズの数を増加させ、各要素レンズが使用するレーザービームの径に対して十分な大きさを持たなくなった場合、二次元画像の解像度が低下する問題を生じる。図39は要素レンズがレーザービームの径に対して十分な大きさを持たない場合を示している。図39に示す場合には、要素レンズの通過後にレーザービーム径が拡がってしまう結果となる。再現される二次元画像は、その各画素をレーザービームにより点描して得られるため、ビーム径が広がった場合にはその解像度が低下が生じる。このため、前述した「超多眼領域」の立体表示を行うために多くの視差画像を表示しようとした場合には十分な解像度が得られない問題があった。
【0008】
本発明は、上述した技術的課題に鑑みてなされたものであり、単一又は数個の光源を用いて多数の視点に対応した二次元画像を再現するに際して、再現される二次元画像の解像度の低下を防ぐことのできる表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
更に本発明は、観察者に対して解像度の高い立体映像を再現可能な立体表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
更に本発明は、観察者に対して立体映像を再現するのに際し、超多眼領域の立体表示を良好に行うことが可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する手段として、第1の請求項に係る発明は、指向性を有するビーム状の光線を変調して射出する少なくとも一つのビーム光光源手段と、入射光を偏向して収束点を形成する偏向素子を有する光偏向部材と、前記ビーム光光源手段から射出されたビーム光を前記光偏向部材の所定の部分に対して二次元に走査するビーム光走査手段と、光偏向部材から射出して前記収束点を通過したビーム光を結像させるリレー光学系とを有する画像表示装置において、前記光偏向部材がその面内で変位可能であると共に、前記光偏向部材の変位が前記ビーム光光源手段によるビーム光の変調と前記ビーム光走査手段によるビーム光の走査と同期して行われることを特徴とする画像表示装置に係る発明である。
【0012】
この発明により、ビーム光光源手段から発せられるビーム光の変形を抑制しつつ、観察視点の多重化を図ることが可能であり、観察者に視差画像を提供することによる立体視を可能とすると共に、超多眼領域での立体表示を良好に行うことが可能な画像表示装置を提供することが可能である。
【0013】
第11の請求項に係る発明は、指向性を有するビーム状の光線を変調して射出する少なくても一つのビーム光光源手段と、入射光を偏向して収束点を形成する偏向素子を有する光偏向部材と、前記ビーム光光源手段から射出されたビーム光を前記光偏向部材に対して水平方向に走査する第1のビーム光走査手段と、前記光偏向部材から射出したビーム光を前記リレー光学系に対して鉛直方向に走査する第2のビーム光走査手段と、前記光偏向部材から射出して前記収束点を通過したビーム光を結像させるリレー光学系とを有する画像表示装置において、前記光偏向部材がその面内を変位可能であると共に、前記光偏向部材の変位が前記ビーム光光源手段によるビーム光の変調と前記第1及び第2のビーム光走査手段によるビーム光の走査と同期して行われることを特徴とする画像表示装置に係る発明である。
【0014】
この発明により、ビーム光光源手段から発せられるビーム光の変形を抑制しつつ、更に分解能を向上しながら観察視点の多重化を図ることが可能であり、観察者に視差画像を提供することによる立体視を可能とすると共に、超多眼領域での立体表示を良好に行うことが可能な画像表示装置を提供することが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は本発明の第1の実施例に係る立体像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の構成を示す概要図である。
【0016】
第1の実施例に係る立体像表示装置は光ビーム走査手段1と、補正光学系2、フィールド光学系3、光偏向作用を有する素子を配列した光偏向部材4、リレー光学系10、鉛直方向拡散手段5の光学部材と、光偏向部材4を直動駆動する直動駆動装置12、光ビーム走査手段1と直動駆動装置12を同期させて動作させる同期回路13から構成され、観察者6に対して立体像を表示する。
【0017】
光ビーム走査手段1は定められた領域内の任意の方向に2次元的に光ビームを走査することができる手段であり、光源とビーム形成のための光学系、ビーム偏向手段を含んでいる。光源としては例えば半導体レーザーやLEDなどが用いられ、これにビーム形成のためのレンズ光学系が組み合わされて光ビームを生成する。生成された光ビームはポリゴンミラー、ガルバノミラー、AOM(音響光学素子)などのビームを高速に偏向できるビーム偏向手段により、定められた領域内の任意の方向に走査される。
【0018】
図1は、光ビーム走査手段1が一つの場合を示しているが、本発明は複数の光ビーム走査手段を有する場合にも適用可能であって、その数を増やすことでさらに多視点の画像を観察者に提供可能となる。
【0019】
補正光学系2は、例えばビーム同士が平行になるようにビームの方向を補正するための光学系で、一般的にはfθレンズが用いられる。フィールド光学系3は光ビームが装置内の所望の光路に向かうように方向を調整する役目を有する。補正光学系2とフィールド光学系3は、共に省略することも可能であり、また単一の光学系にて両光学系の機能を代用することも可能である。更にフィールド光学系3は以下に説明する光偏向部材4の後段に配置することも可能である。
【0020】
光偏向部材4は、入射する光ビームに対して以下に説明する偏向効果を有する光偏向素子を規則的に配列したものであり、光ビームが入射する光偏向素子に応じて異なる方向へ光ビ−ムを偏向する機能を有する。図2は、光偏向部材4を構成する各光偏向素子が有する偏向効果を示す。図2に示すように、各光偏向素子は入射した光ビームを同一の収束点を通るよう偏向させる作用を有する。そのような作用を有する光偏向素子としてはホログラムや回折格子などが用いられる。また、図3に示すような一般的な凸レンズや、図4に示すような焦点を有する凹ミラーなどを用いても同様の光偏向素子を構成できる。
【0021】
図5は光偏向部材4の正面図であって、光偏向部材4を構成する光偏向素子と各光偏向素子の形成する光収束点との関係を示す。図5では、光偏向部材4は水平方向に配列された光偏向素子A1〜A4から構成される。また、図中PA1〜PA4は各光偏向素子の形成する光収束点である。光偏向部材4は、光偏向素子として凸レンズを使用した場合には図6に示すようなレンズアレイとなり、光偏向素子として凹面ミラーを使用した場合には図7に示すようなミラーアレイとなる。
【0022】
鉛直方向拡散手段5は入射する光ビームを、水平方向の光の指向性は不変のまま、鉛直方向にのみ拡散させる役目を有する光学素子である。本実施例では鉛直方向拡散手段5として鉛直方向にきわめて微小な周期構造を有するレンチキュラレンズが用いられている。この周期構造はピッチが非常に細かくすることで、光ビームの入射位置に関わらず水平方向の光の指向性は不変のまま、鉛直方向にのみ光を拡散させることが可能である。
【0023】
リレー光学系10は、光偏向部材4を構成する光偏向素子の作用により光収束点に収束した後のビーム光を観察者6の側に再び収束させる作用を有する。
【0024】
直動駆動装置12は、光偏向部材4をその面内で水平方向に高速で直線的に往復動作させる駆動装置である。直動駆動装置12は軸が直動するボイスコイルモータなどで構成することができる。図8はボイスコイルモータを利用した光偏向部材4の直動駆動の方法を示した図である。光偏向部材4を固定したベース4Bはレール4R上に搭載されており、外力によってレール4Rに沿った方向になめらかに移動が可能である。ベース4Bはジョイント4Jによって直動駆動装置12であるボイスコイルモータの直動シャフト12Sに連結されており、ボイスコイルモータの駆動によりベース4Bをレール4R上で高速で変位させることで、光偏向部材4を高速で直線的に往復動作させることが可能である。
【0025】
また、図9は直動駆動装置12としてガルバノモータを用いた構成を示す。ガルバノモータのシャフト12Sにリンク機構12Lを設け、回転運動を直動運動に変換して光偏向部材4を高速で直線的に往復動作させることが可能である。
【0026】
同期回路13は、直動駆動装置12に対して光偏向部材4の動作についての信号を与え、これに同期して光ビーム走査手段1に対して放射する光ビームの放射強度や放射方向についての信号を与える。これにより光偏向部材4の変位状態と光ビーム走査手段1の光ビーム走査の状態とを同期をとる。尚、同期回路13の制御の流れは、光偏向部材4の変位に応じて光ビーム走査手段1の状態を制御してもよく、また、光ビーム走査手段1からの信号に応じて光偏向部材4の変位を制御してもよい。
【0027】
次に本実施例にかかる立体像表示装置において光ビーム走査手段1から発せられた光ビームが走査して形成する光路のうち、特に水平面内での走査により形成される光路について図10を用いて説明する。尚、本説明で使う“水平面”とは立体像表示装置の観察者の左右の眼球を結ぶ線と同一平面の意味である。図10は図1に示した立体像表示装置を上方から観察した状態を示す概略図である。図10においては光偏向部材4として凸レンズのアレイを使用している。図中の点線a1、a2、b1、b2等は光ビームの光路を示しており、いずれも異なる時刻に光ビーム走査手段1から発せられた光ビームの光路である。
【0028】
光ビーム走査手段1から発せられた光ビームの光路のうち、例えば光ビームがa1の光路を通るとき、このビームは光偏向部材4の要素A2の右端付近に入射する。光ビームはA2によって偏向され、収束点PA2を通過してa1’の光路を進みリレー光学系10に入射する。一方、光ビームがa2の光路を通るとき、このビームは光偏向部材4の要素A2の左端付近に入射する。光ビームはA2によって偏向され、収束点PA2を通過してa2’の光路を進みリレー光学系10に入射する。
【0029】
この様な光偏向部材4の要素A2の効果により、光ビーム走査手段1から発する光ビームを光路a1から光路a2へと順次方向を変えて走査することによって、鉛直方向拡散手段5の裏面の全幅を走査可能となる。この場合のビーム光の光路は、収束点PA2を偏向中心として、鉛直方向拡散手段5の裏面の全幅を走査するような光ビームと同様となる。同様にして、光ビーム走査手段1から発する光ビームが光路b1から光路b2の光路を通るときも収束点PA1を偏向中心として、リレー光学系10を介して鉛直方向拡散手段5の全幅を走査するような光ビームを実現することができる。
【0030】
更に、光ビーム走査手段1から発する光ビームが光偏向部材4の要素A3とA4を走査することによっても、それぞれ鉛直方向拡散手段5の全幅を走査するような光ビームに偏向されることから、光ビーム走査手段1から発する光ビームが水平方向に位置周期の走査をする間に、鉛直方向拡散手段5は4回の走査を受けることできる。
【0031】
従って、光ビーム走査手段1から発する光ビームの走査を垂直方向にも行ない、更に光ビームが光偏向部材4に入射する位置に応じて光ビームの強度を変調すれば、光ビーム走査手段1が光偏向部材4に対して一周期の走査を行う間に、鉛直方向拡散手段5の裏面には、あたかも収束点PA1〜4に位置する光源から走査して投影された2次元の画像情報分布を4回形成することができる。これらの2次元の画像情報分布はリレー光学系10について共役の位置PA1’〜4’に結像し、観察者6はそれぞれの位置において再現される2次元の画像を観察することができる。
【0032】
本実施例では光偏向部材4が4枚の光偏向素子から構成されている場合について説明したが、実施の形態はこれに限定されることは無い。つまり、更に光変更素子の枚数を増やすことで見かけ上の走査光の光源である上記の収束点の数を増加させ、以って光ビーム走査手段1が一度走査する間に鉛直方向拡散手段5の前方に形成される二次元画像の数を増加することができる。
【0033】
次に観察者6が観察を行う位置での光ビームの状態について説明する。鉛直方向拡散手段5は入射する光ビームを、水平方向の光の指向性は不変のまま、鉛直方向にのみ拡散させる効果を有するため、鉛直方向拡散手段5に到達した光ビームの鉛直成分は拡散し、水平成分は素通し状態となる。この結果、リレー光学系10の結像作用により形成される上記の収束点の共役の位置は、垂直方向にのみ引き伸ばされた縦に細長い形状となる。つまり、収束点PA1はPA1’に収束点PA2はPA2’に、収束点PA3、PA4はPA3’、PA4’に、それぞれ縦に細長い形状に空中結像する。
【0034】
以上の鉛直方向拡散手段5の効果により、観察中に観察者6の眼球位置が上下方向に動いても、観察される像は一定であり、観察が容易になる。また、観察者6の眼球位置を精度良く設定することで、鉛直方向拡散手段5は省略可能である。
【0035】
しかし、上述のように光ビーム走査手段1が一度走査する間に鉛直方向拡散手段5の前方に形成される二次元画像の数を増加するために、光偏向部材4を構成する光偏向素子のピッチを小さくした場合、光ビーム走査手段1から発する光ビームのビーム形状が各偏向素子により変形される効果が顕著になり、ビーム光束が拡がってしまう。このために、観察者位置ではその水平幅が単眼よりも広いビームとなってしまい、後述する「超多眼領域」の立体表示を行うことが不可能となってしまう。このために光偏向素子の増加による立体映像の改善には、主に使用されるビーム光の直径に関係した限界が存在する。
【0036】
ところで、前述したように光偏向部材4は、直動駆動装置12によって水平方向の変位が可能な構成とされている。この光偏向部材4の変位による効果について説明する。図11は図10の状態から光偏向部材4が紙面内上方向に変位した状態を示している。この場合、光収束点PA1、PA2がそれぞれPB1、PB2の位置に移動するような位置に光偏向部材4が変位している。前述したようにすべての収束点が観察者近傍に空中結像しているのでPB1、PB2の像PB1’、PB2’もまた変位し、この場合、PA1’、PA2’に対して紙面内下方向にシフトする。
【0037】
この様に光偏向部材4の変位により光収束点とその結像点の変位が生じることを利用して、本実施例においては光収束点の多重化を目的として光偏向部材4の変位を行う。図5に示されているとおり、光偏向部材4の隣り合う光収束点同士の間隔はΔHAである。本実施例では、光収束点の多重化の一例として、ΔH=ΔHA/4なる変位量を光偏向部材4の変位の単位とし、光収束点の4倍多重化を行う場合について説明する。
【0038】
つまり、t=taなる時刻においては各光収束点は図中のPA1、PA2、PA3、PA4の位置にあるが、t=tbなる時刻においては各光収束点は図中のPB1、PB2、PB3、PB4の位置に移動する。同様にして、t=tcなる時刻においては図中のPC1、PC2、PC3、PC4の位置、t=tdなる時刻においては図中のPD1、PD2、PD3、PD4の位置に移動する。
【0039】
図12は光偏向部材4の変位についてのタイミングチャートを示す。チャートの横軸は時刻t、縦軸は水平方向の位置xである。
【0040】
図12に示されるように、光偏向部材4を所定の位置に変位した後、一定時間その位置に維持され、その間に光ビーム走査手段1による一周期の走査を行なう。これにより、例えばPA1、PA2、PA3、PA4を光収束点とした走査を行う。次に、光偏向部材4をΔH=ΔHA/4だけ変位させて停止し、光ビーム走査手段1による一周期の走査を行なう。こうした光偏向部材4の変位の周期を人間の視覚が有する残像時間程度以下とすることで、本実施例の場合には、観察者の眼には16個の光収束点が同時に存在している場合と同様に認識される。このとき全収束点同士の水平方向間隔は等ピッチ(ΔH)となる。
【0041】
光偏向部材4の変位のピッチΔHについて、本実施例では光偏向素子のピッチΔHAの1/4としたが、本発明の実施形態はこれに限られることは無く、光ビーム走査手段1が視覚の持つ残像時間内に走査可能な回数の分だけ、光偏向素子のピッチΔHAを細かく分割することが可能である。また、光偏向部材4の変位を行う場合には、光偏向部材4が一つの光偏向素子からなる場合であっても変位のピッチを適当に設定することで観察者には複数の光収束点が同時に存在しているように認識される。
【0042】
光偏向部材4の変位についてのタイミングチャートとしては、図12のような階段状の変位曲線に限定はされず、図13のような三角波状や、図14のようなサイン波状、図15のような鋸歯状の変位曲線とすることも可能である。この様な場合には、光ビーム走査手段1による走査を同期させ、各図中白丸で示した位置付近において光偏向部材4を走査することで、ビーム径が広がることは無く、同様の効果を得ることが可能である。
【0043】
図16には、図5と別の形態の光偏向部材について示す。図16は図5に示した光偏向部材を一定周期でずらして積層したものである。図17は、図16に示した光偏向部材を用いた、本発明の第一の実施例に係る別の立体画像装置について、立体画像の表示に用いる装置の構成を示す概要図である。図17に示すように、図16に示したような一定周期でずらして積層した光偏向部材を用いることで、光偏向部材を縦に変位させることによっても図1に示した構成と同じ効果を得ることができる。
【0044】
更に、図1の構成において、光偏向部材4を固定し、代わりにリレー光学系10をその面内で水平方向に周期的に変位させることで、光偏向部材4を変位させた場合と同様に多重化を行うことが可能である。
【0045】
(立体視への適用)
以上に説明した、複数の光偏向素子からなる光偏向部材4と、その変位動作による光収束点の多重化とリレー光学系10、鉛直方向拡散手段5の作用によりもたらされる瞳結像状態を図示すると図18のようになる。
【0046】
光収束点PA1はリレー光学系10の作用によりPA1’に結像する。この時、鉛直方向拡散手段5を使用することにより、その作用により鉛直方向に光が拡散されるため、PA1’は図示したように縦に細長い形状となる。その他の光収束点についても同様に縦に細長い形状となって結像する。この結果、多数の縦に細長い結像位置である瞳がほぼ等ピッチで並ぶことになる。
【0047】
次に、本実施例の構成をもつ装置を用いて、立体像が再生される原理について説明する。前述したとおり、光ビームは個々の収束点を偏向中心として走査され、時間的な強度変調を行えば鉛直方向拡散手段5上に2次元の画像情報分布を形成することができる。このとき、図18からも分かるとおり、光収束点PA1を中心として偏向された光ビームによって鉛直方向拡散手段5上に形成される画像情報分布の全貌を観察するためには観察者の眼を瞳PA1’上に置いて鉛直方向拡散手段5の方向を見る必要があり、その他の瞳上からはこの画像情報分布を観察することはできない。
【0048】
同様にして、その他の光収束点を偏向中心として走査された光ビームによって鉛直方向拡散手段5上に形成される画像情報分布の全体を観察するためにはそれぞれ対応する瞳上に観察者の眼を置いて鉛直方向拡散手段5の方向を見る必要がある。この結果、複数の異なる2次元画像情報を水平方向に独立分離した観察位置に別々に再現することができる。この性質を利用して立体像の再生を行うことが可能である。
【0049】
鉛直方向拡散手段5の前方の観察者6が両眼で鉛直方向拡散手段5を観察する際に、左右の眼球の位置をそれぞれ異なる上記瞳に置いた場合、その瞳に対応する画像しか観察されないので、観察位置に応じた別々の視差画像を左右の眼球に提供することで、観察者は両眼視差により立体視を行うことができる。
【0050】
更にこの時、観察のための上記瞳同士の間隔が、観察者の瞳孔径よりも小さければ、前述した「超多眼領域の立体表示」が可能となり、観察者の眼の焦点調節が立体像近傍に導かれ観察者の疲労や違和感を軽減することが可能である。
【0051】
図20を用いて、「超多眼領域の立体表示」について説明する。図20は観察者の単眼に対して、瞳PA1’と瞳PB1’に結像する二次元画像が表示され、瞳PA1’と瞳PB1’の間隔が観察者の瞳孔径よりも小さい場合を示している。この場合に観察者は瞳PA1’と瞳PB1’に結像する二次元画像の両方を認識できる。
【0052】
図20の状態において、鉛直方向拡散手段5と眼球間の三次元空間に再現されるべき立体像を構成する点である点α1〜α4に関して、瞳PA1’と瞳PB1’に結像する二つの二次元画像のそれぞれが点α1〜α4を表現するビーム光を発しており、これらのビーム光はそれぞれ対応する点α1〜α4で交差した後、瞳PA1’と瞳PB1’に結像して眼球に入射する。この状態においては、点α1〜α4を表現するビーム光はあたかも点α1〜α4から発せられたかのように観察される。この時、眼球はその焦点位置の違いから点α1〜α4が異なる距離に存在するように認識するために、単眼によっても点α1〜α4が構成する像が立体像として認識される。
【0053】
この様な「超多眼領域の立体表示」を実現するためには、少なくても二次元画像の瞳同士の間隔が眼球の瞳孔以下であり、且つ、立体像を構成する各点を表現するビーム光の直径が眼球の瞳孔以下である必要がある。
【0054】
この条件を満たすために、本実施例では瞳の水平幅を観察者の瞳孔径に基づいて2mm以下となるよう光学系を最適化し、また、観察位置において瞳同士の間隔もまた2mm以下としている。また、ビーム光の直径は更に小さい方が二次元画像の解像度を向上するために好ましく、0.1mm〜1mm程度であることが好ましい。
【0055】
また、例えば幅200mmの範囲で鉛直方向拡散手段5上に二次元画像を表示して、上記の条件を満たすためには、少なくとも100個の光収束点が必要となる。図1において、光偏向部材4を固定して100個の光収束点を得ようとした場合、光偏向部材4は100個の光偏向素子から構成される必要が生じる。この時、光偏向部材4の全幅が例えば100mmである場合には、光偏向部材4は水平ピッチが1mmの光偏向素子からなる。
【0056】
図39は使用するビーム光の径に対して光偏向素子である凸レンズの大きさが十分でない場合について示す。図39のような場合には、光偏向素子はビーム光を偏向する以外に、ビーム光の形状を変形する作用が顕著になる。その結果、ビーム光の径に対して光偏向素子の大きさが十分でない場合には、観察位置においてビーム光の直径が眼球の瞳孔径以上となり、上記の「超多眼領域の立体表示」の条件を満たさなくなる。
【0057】
これに対し、本実施例においては光偏向部材4を変位させて光収束点の多重化を行うため、例えば10mmのピッチで光偏向素子を横10列配列した光偏向部材4を用いて、時間的に10段階多重化することによって100個の光収束点を形成することができる。これにより、各偏向素子の大きさを光源からのビーム光の直径に対して十分大きくし、ビーム光の変形を最小限に抑制することが可能である。
【0058】
また、本実施例においては、例えば図18において、PA1、PB1等の光の収束点がすべて瞳PA1’、PB1’等となって空中結像することを前提として説明をしてきたが、超多眼領域の立体表示を行う場合は、光ビームが拡がったりせずに指向性を持ったまま観察者の瞳に入射し、かつ交点形成後の光ビームが観察者単眼に複数入射する状況であれば、必ずしも瞳の結像が成立していなくても立体像の再生は可能である。
【0059】
図21を用いてこのことを説明する。図21は光の収束点から瞳の結像が成立していない場合の立体像再生の様子を示した図である。この様な結合の不成立は主にリレー光学系10の収差により発生する。しかし、図21のような場合であっても、図示したように再現された各2次元画像からの光線が正しく立体像を構成する各点で交差して、且つこれらの交点を形成した後の光線が観察者の単眼に複数本入射すれば、観察者は単眼のみでも、これら交点を認識することができる。つまり、収束点の像が瞳として正しく結像していなくても、光ビームが拡がったりせずに指向性を持ったまま観察者の瞳に入射し、かつ交点形成後の光ビームが観察者単眼に複数入射する状況であれば、観察者は超多眼領域の立体像を認識することが可能である。
【0060】
図19には、図18の構成において立体視に使用する通常の視差画像や、「超多眼領域の立体表示」に用いる視差画像の生成方法の一例を示す。図19に示すように、再現したい3次元物体を上記瞳の位置(PA1’、PB1’等)毎に、順に移動していくカメラで撮影し、それぞれの瞳位置と関連づけられた視差画像情報の集合を形成して、上記光ビームで鉛直方向拡散手段5上に形成される2次元画像情報として用いればよい。つまり、例えば光収束点PA1を中心としたビーム偏向で形成される画像情報としては視点位置PA1’で撮影した視差画像情報を使用し、光収束点PB1を中心としたビーム偏向で形成される画像情報としては視点位置PB1’で撮影した視差画像情報を使用するというように対応する視差画像情報を形成するべく図1に示した光ビーム走査手段1から発する光ビームの強度変調を行うことで、必要な視差画像を得ることができる。
【0061】
なお、本実施例においては図19に示したように移動カメラによる多視点画像入力で視差画像を形成したが、複数のカメラを用いて一度に複数の画像情報を入力しても良いし、コンピューターグラフィックの手法を用いて、仮想的なカメラで人工的に複数の2次元画像情報を取得してもよい。
【0062】
次に本実施例の構成部材について、構成変更可能な点について述べる。まず、リレー光学系10は大凸レンズなどで構成できるが、図22に示すように大凹面ミラー11などの反射光学系を用いることもできる。図は見やすくするためにフィールド光学系3より光源側の部材、光路を省略してある。ただし、この場合は鉛直方向拡散手段5を大凹面ミラー11の前に配置すると、ビームが2度通過するためボケが発生してしまう。そのため図23に示すように、凹面ミラー11の表面に鉛直方向の微細な凹凸またはレンチキュラの周期構造を形成し、凹面ミラー11の表面上で鉛直方向に拡散するような工夫を行うことが望ましい。
【0063】
また、反射型光学系を使用していることにより再生される立体像と光ビーム走査手段1などの主要部品の位置とが干渉しやすいので、フロントプロジェクターシステムのように鉛直方向について偏心した光学配置となっていることが望ましい。
【0064】
さらに、光偏向部材4についても、いくつかのバリエーションが考えられる。例えば、図24のようにフィールド光学系3と光偏向部材4とを一体化したハイブリット光偏向部材7を用いることが可能である。ハイブリット光偏向部材7を用いることで部品数を減らし、組立時の位置決め精度を高めることができる。
【0065】
また、光偏向部材4を反射光学系で構成することも可能である。この場合は図25のような凹面鏡アレイを用いることになる。この凹面鏡アレイについてもフィールド光学系3の役目を持たせて一つの反射光学系として一体化することができる。この場合は図26のように上記凹面鏡アレイに全体的な凹面形状をもたせた複合凹面鏡アレイ9を用いる。複合凹面鏡アレイ9は、例えば図中のように半径R大、中心O大の凹面鏡と半径R小、中心O小のレンチ凹面鏡アレイを合成したような構成を有する。
【0066】
反射光学系を用いた場合、透過型の光学系では光学系の厚みなどの問題で部材の大きさに限界があるのに対し、反射光学系ではかなり大きなサイズのものが作製可能となる。また、色収差が発生しない点でも好ましい特性が得られる。
【0067】
また、ここまで説明してきた構成において、光ビーム走査手段の走査方向は2次元的なものであったが、この光ビーム走査手段の走査方向を水平方向のみに限定し、図27のように光ビームが光偏向部材4を出射したあとに、第2の光ビーム走査手段を設け、これにより縦方向の光ビーム走査を行う構成とすることもできる。このときの光ビーム走査手段としてはガルバノモータ14に取り付けられた回転ミラー15を使用している。尚、補正光学系2、フィールド光学系3、光偏向部材4の個々の光偏向素子は縦方向のビーム走査の扱いを容易にするため、水平方向の光学パワーのみを有し、縦方向には光学パワーを有さない構成としている。
【0068】
説明のためにこの構成の側面図を図28に示す。光ビーム走査手段1によって水平方向の光ビーム走査が行われ、光偏向部材4で水平方向の収束点を形成した後、回転ミラー15によって縦方向走査される。
【0069】
このようにビームが縦方向に走査される順序は異なっているが、鉛直方向拡散手段5上に2次元の画像情報が描画されることや、リレー光学系10によって光ビームの水平方向収束点が細長い観察瞳となって観察者近傍に結像する点では、はじめに示した構成と相違ないので、上記のような構成においても、問題なく立体像再生が行えることはいうまでもない。
【0070】
(実施例2)
図29は本発明の第2の実施例に係る立体像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の構成を示す概要図である。第1の実施例とは次の2点で相違している。
1:光ビーム走査手段1’の走査方向が水平方向のみであり、補正光学系2’、フィールド光学系3’の光学的パワーも水平方向のみである。
2:光偏向部材4’の光学的パワーは水平方向のみで、光偏向部材4’通過後の光ビームはガルバノモータ14に接続された回転ミラー15により縦方向走査される。
【0071】
説明のために本実施例の構成の側面図を図30に示す。上記のような相違点により、本実施例ではまず光ビーム走査手段1によって水平方向の光ビーム走査が行われ、光偏向部材4’で収束点を形成した後、回転ミラー15によって縦方向走査される。ただし、こうした光ビーム走査に同期した光偏向部材4’の縦方向変位により、光ビームが入射する光偏向素子は段階的に変化し、これに伴って上記光収束点位置もまた段階的に変化する。これによって実施例1と同様、光収束点位置の時間的多重化が実現される。
【0072】
図32は光偏向部材4’の正面図である。実施例1では光偏向素子が水平方向に1次元的に配置されていたが、本実施例では2次元的な4×4のマトリクス配置となっている。ただし、同じ高さに位置する光偏向素子のグループ毎に水平方向位置がシフトした配置となっている。これにより各光偏向素子によって形成される光収束点同士の水平方向の最小間隔は実施例1で定義したΔHに等しくなる。尚、各段の高さはΔV、全段の高さはΔVAとなっている。
【0073】
次に本実施例における光偏向部材4’の変位と光収束点多重化の関係について説明する。図31は光偏向部材4’の変位のタイミングチャートである。チャートの横軸は時刻t、縦軸は鉛直方向の位置yである。
【0074】
t=taにおいて光ビームは光偏向部材4’の上端部に入射している。つまりA1〜4の光偏向素子で形成されるAの段の作用を受けるため、光ビームは水平収束位置PA1、PA2、PA3、PA4に収束する。これは、前述したとおり光偏向部材4’は水平方向の光学パワーしか持たないため、Aの段のどの高さに入射しても光ビームの高さは変わらず、水平方向のみ水平収束位置に収束するためである。
【0075】
t=taからt=tbの間、光偏向部材4’は鉛直方向に連続的に変位しているが水平方向の収束位置は不変である。
【0076】
t=tbにおいて、光ビームの入射位置はBの段の上端部となる。この時点において光ビームの水平方向収束位置はPB1、PB2、PB3、PB4に変化する。この収束位置はt=tbからt=tcまで続く。
【0077】
同様にして光ビームの入射位置は、例えばBの段→Cの段→Dの段→Cの段→Bの段→Aの段→Bの段というように段階的に変化するので、光ビームの水平方向収束位置をxとすると、光収束位置の変位のタイミングチャートは図12と全く同様になる。したがって、本実施例においても実施例1と全く同様の光収束点多重化が行えることがわかる。
【0078】
本実施例の構成とすることで、直動駆動装置12に不連続な直動動作を行わせず、図31に示すような連続的な直動動作を行わせても、図13〜図15に示したような動作で発生する光収束点のズレの発生が無く、図12に示した動作と同様の効果を得ることができる。
【0079】
本実施例においても、こうした光偏向部材4’の変位は人間の視覚の残像効果よりも短い周期で繰り返されるため、観察者の眼には16個の光収束点が同時に存在しているように見える。このとき全収束点同士の水平方向間隔ΔHは等ピッチ(ΔH)となる。
【0080】
これら光収束点の多重化とリレー光学系10、鉛直方向拡散手段5の作用によりもたらされる瞳結像状態を図示すると図18のようになり、本実施例においても実施例1同様の効果を発生させることができる。
【0081】
また、上記相違点以外の光ビームの挙動については実施例1と相違ないため、構成部材の構成変更が実施例1同様に行えることはいうまでもない。
【0082】
(実施例3)
図33は本発明の第3の実施例に係る立体像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の構成を示す概要図である。第1の実施例とは次の2点で相違する。
1:光ビーム走査手段が水平方向に複数配置され、いずれも光偏向部材4に入射するようビーム走査を行っている。
2:直動駆動装置12は存在せず、光偏向部材4の位置は固定されている。
【0083】
上記のような相違点により、本実施例における光収束点位置の多重化は他の実施例と性質が異なっている。他の実施例では光偏向部材4の時系列的な変位により光収束点位置を多重化していたのに対し、本実施例では、光ビームの出射位置を空間的に多重化し、結果的に光収束点位置の空間的多重化を実現している。
【0084】
図34は、本実施例における構成を上方から見た概略を示している。本実施例では光ビーム走査手段として1−A〜1−Dの4つを同時に使用する。これらはすべて同期回路13に接続されており、互いに発光や走査の同期をとることができる。4つの各光ビーム走査手段から発せられる光ビームはすべて光偏向部材4に入射し、いったん光収束点を形成した後、鉛直方向拡散手段5上に画像情報を描画する。上記光収束点はリレー光学系10によって観察者近傍に再度空中結像する。
【0085】
例えば、光ビーム走査手段1−Aの水平方向の走査の偏向点は光ビーム走査手段1−A内の黒丸[●]で示されているが、この偏向点から発したビーム光は光学系を形成する補正光学系2、フィールド光学系3、光偏向部材4の作用によって、光偏向部材4を出射した後に光収束点を形成し[光偏向部材4の右側の●]、更にリレー光学系10の作用によって再び観察者6の位置で空中結像する[観察者6の左側の●]。同様のことが他の光ビーム走査手段から発せられた光ビームについても成立する。
【0086】
図34からわかるとおり、4つの光ビーム偏向点が4つの光偏向素子のそれぞれによって光収束点を形成することから、合計16個の光収束点が形成される。また、これらの光収束点を空間的に互いに補間し合う形で配置することで、光ビーム走査手段が一個の場合に比べて、各光収束点の水平方向の間隔を小さくすることができる。例えば1−Aからの光ビームの結像位置同士の間隔をpとすると、本実施例の場合、4個の光ビーム走査手段により形成される全各光収束点の間隔をp/4とすることができる。
【0087】
このように、本実施例では光ビーム走査手段の水平方向多重化によって光収束点の空間的多重化を行うことにより、複数の観察瞳を水平方向に微小ピッチで並べることができるため、他の実施例同様の効果を有する立体像表示装置を構成することができる。
【0088】
尚、上記相違点以外の光ビームの挙動については実施例1と相違ないため、構成部材の構成変更が実施例1同様に行えることはいうまでもない。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、入射したビーム光を偏向し、一定の収束点を通過させる効果を有する光偏向素子からなる光偏向部材を規則的に変位させることにより、単一又は数個の光源を用いて多数の視点に対応した二次元画像を再現するに際して、再現される二次元画像の解像度の低下を防ぐことのできる表示装置を提供することが可能となった。
【0090】
更に本発明は、観察者に対して解像度の高い立体映像を再現可能な立体表示装置を提供することが可能となった。
【0091】
更に本発明は、観察者に対して立体映像を再現するのに際し、超多眼領域の立体表示を良好に行うことが可能な立体表示装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る立体画像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の構成を示す概要図である。
【図2】本発明の第1の実施例で使用する光偏向部材を構成する光偏向素子の有する効果を示す概略図である。
【図3】本発明で使用する光偏向素子が凸レンズである場合を示す概略図である。
【図4】本発明で使用する光偏向素子が凹面ミラーである場合を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材の構成(正面図)を示す概略図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材が凸レンズからなる場合を示す概略図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材が凹面ミラーからなる場合を示す概略図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材の直動駆動装置の例を示す概略図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材の直動駆動装置の別の例を示す概略図である。
【図10】本発明の第1の実施例に係る光ビームの平面内での光路を示す概略図である。
【図11】本発明の第1の実施例に係る光ビームの平面内での光路であって、光偏向部材が変位した状態を示す概略図である。
【図12】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材の変位についてのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材の変位についてのタイミングチャートの別の一例を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材の変位についてのタイミングチャートの別の一例を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施例に係る光偏向部材の変位についてのタイミングチャートの別の一例を示す図である。
【図16】本発明の第1の実施例に係る別の光偏向部材の構成(正面図)を示す概略図である。
【図17】本発明の第1の実施例に係る別の立体画像表示装置の構成を示す概要図である。
【図18】本発明の第1の実施例に係るリレー光学系と鉛直方向拡散手段の作用により形成される瞳結像状態を示す概略図である。
【図19】本発明に係る立体画像表示装置で表示される視差画像の生成法の一例を示す概略図である。
【図20】本発明に係る立体画像表示装置で実現される超多眼領域の立体表示の原理を示す概略図である。
【図21】本発明に係る立体画像表示装置で実現される超多眼領域の立体表示の原理を示す別の概略図である。
【図22】本発明の第1の実施例に係る立体像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の別の構成を示す概要図である。
【図23】本発明の第1の実施例に係る立体画像表示装置について、図22の構成で使用される凹面ミラーの一例を示す図である。
【図24】本発明の第1の実施例に係る立体画像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の更に別の構成を示す概要図である。
【図25】本発明の第1の実施例に係る立体画像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の更に別の構成を示す概要図である。
【図26】本発明の第1の実施例に係る立体画像表示装置について、図25の構成で用いられる複合凹面鏡アレイを示す概要図である。
【図27】本発明の第1の実施例に係る立体画像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の更に別の構成を示す概要図である。
【図28】本発明の第1の実施例に係る立体画像表示装置であって、図27に示す構成の側面を示す概要図である。
【図29】本発明の第2の実施例に係る立体画像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の構成を示す概要図である。
【図30】本発明の第2の実施例に係る立体画像表示装置であって、図29に示す構成の側面を示す概要図である。
【図31】本発明の第2の実施例で使用する光偏向部材を構成する光偏向素子の構成(正面図)示す概略図である。
【図32】本発明の第2の実施例に係る光偏向部材の変位についてのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図33】本発明の第3の実施例に係る立体画像表示装置について、立体画像の表示に用いる装置の構成を示す概要図である。
【図34】本発明の第3の実施例に係る立体画像表示装置について、多重化の構成を示す概要図である。
【図35】従来の多眼立体ディスプレイの第一の例の構成部材を示す図である。
【図36】従来の多眼立体ディスプレイの第一の例を示す図である。
【図37】従来の多眼立体ディスプレイの第二の例を示す図である。
【図38】従来の多眼立体ディスプレイの第二の例の表示機構を示す図である。
【図39】従来の多眼立体ディスプレイの第二の例の有する問題点を示す図である。
【符号の説明】
1 光ビーム走査手段
2 補正光学系
3 フィールド光学系
4 光偏向部材
5 鉛直方向拡散手段
6 観察者
7 ハイブリット光偏向部材
8 凹面ミラー
9 複合凹面鏡アレイ
10 リレー光学系(大凸レンズ)
11 リレー光学系(大凹面ミラー)
12 直動駆動装置
13 同期回路
14 ガルバノモータ
15 回転ミラー
119 円筒レンズアレイ
Claims (21)
- 指向性を有するビーム状の光線を変調して射出する少なくとも一つのビーム光光源手段と、入射光を偏向して収束点を形成する偏向素子を有する光偏向部材と、前記ビーム光光源手段から射出されたビーム光を前記光偏向部材の所定の部分に対して二次元的に走査するビーム光走査手段と、前記光偏向部材から射出して前記収束点を通過したビーム光を結像させるリレー光学系とを有する立体画像表示装置において、
前記光偏向部材が前記光偏向部材の設置された面内で変位可能であると共に、前記光偏向部材の変位が前記ビーム光光源手段によるビーム光の変調と前記ビーム光走査手段によるビーム光の走査と同期して行われることを特徴とする立体画像表示装置。 - 前記光偏向部材は水平方向に変位することを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材が複数の前記偏向素子を水平方向に配してなることを特徴とする請求項2に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材が複数の前記偏向素子を鉛直方向に積層してなり、各段の偏向素子は所定の割合づつ水平方向にずらしてあり、且つ前記光偏向部材を鉛直方向に変位することを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
- 前記リレー光学系により結像が生じる複数の結像点のうち、隣合う結像点の距離が観察者の瞳孔径以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 鉛直方向にのみ光を拡散する光拡散手段を前記リレー光学系の後段近傍に配置することを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
- 前記ビーム光走査手段と前記光偏向部材の間にフィールド光学系が配置されることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材を構成する偏向素子は凸レンズであることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材を構成する偏向素子は凹面鏡であることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材を構成する偏向素子は回折光学素子であることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
- 指向性を有するビーム状の光線を変調して射出する少なくとも一つのビーム光光源手段と、入射光を偏向して収束点を形成する偏向素子を有する光偏向部材と、前記ビーム光光源手段から射出されたビーム光を前記光偏向部材に対して水平方向に走査する第1のビーム光走査手段と、前記光偏向部材から射出したビーム光を前記リレー光学系に対して鉛直方向に走査する第2のビーム光走査手段と、前記光偏向部材から射出して前記収束点を通過したビーム光を結像させるリレー光学系とを有する画像表示装置において、
前記光偏向部材が前記光偏向部材の設置された面内を変位可能であると共に、前記光偏向部材の変位が前記ビーム光光源手段によるビーム光の変調と前記第1及び第2のビーム光走査手段によるビーム光の走査と同期して行われることを特徴とする立体画像表示装置。 - 前記光偏向部材は水平方向に変位することを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材が複数の前記偏向素子を水平方向に配してなり、水平方向に変位することを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材が複数の前記偏向素子を鉛直方向に積層してなり、各段の偏向素子は所定の割合づつ水平方向にずらしてあり、且つ前記光偏向部材を鉛直方向に変位することを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
- 前記偏向素子は水平方向にのみ光学的パワーを有することを特徴とする請求項14に記載の立体画像表示装置。
- 前記リレー光学系により結像が生じる複数の結像点のうち、隣合う結像点の距離が観察者の瞳孔径以下であることを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
- 鉛直方向にのみ光を拡散する光拡散手段を前記リレー光学系の後段近傍に配置することを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
- 前記ビーム光走査手段と前記光偏向部材の間にフィールド光学系が配置されることを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材を構成する偏向素子は凸レンズであることを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材を構成する偏向素子は凹面鏡であることを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
- 前記光偏向部材を構成する偏向素子は回折光学素子であることを特徴とする請求項11に記載の立体画像表示装置。
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