JPWO2006003737A1 - 立体画像表示システム - Google Patents

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良太郎 岩見
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智裕 寺田
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    • H04N13/322Image reproducers for viewing without the aid of special glasses, i.e. using autostereoscopic displays using varifocal lenses or mirrors

Abstract

技術的課題は、観察者がより見やすい立体画像を提供することができる立体画像表示システムを提供することである。立体画像表示システム(1)において、表示装置(3)は、画像生成装置(2)から出力された各データに対して順次的に表示処理を行って、各オブジェクトを表す光が時間軸上で多重された光を発する。このような光に含まれる各オブジェクトに、遠焦点化装置(4)は、立体感又は距離感を与えて、これらオブジェクトを立体的に視認可能な立体画像光を生成する。反射部材(6)は、このような多重光を、観察者(V)の方向に反射して、オブジェクトが合成された立体画像を提供する。したがって、観察者(V)は、現在表示されているオブジェクトを視認すると共に、網膜に残る他のオブジェクトの残像も認識する。これによって、これらオブジェクトが奥行き方向に異なる位置に合成されたように観察者(V)により認識される。

Description

本発明は、立体画像表示システムに関し、より特定的には、奥行き感、言い換えれば立体感を持つ画像を表示する立体画像表示システムに関する。
図18は、上記のような立体画像表示システムにおいて、パララックスバリア方式を採用したものの一例の全体構成を示す模式図である。図18において、立体画像表示システムは大略的に、画像生成装置201と、画像表示装置202とを備える。画像生成装置201は、データ蓄積部203と、左右画像生成部204と、画像合成部205とを含む。また、画像表示装置202は、表示画面206と、格子状のスリット(アパーチャ)が形成されたパララックスバリア板207とを含む。
データ蓄積部203は、表示対象となるオブジェクトAの形状を示すデータを格納する。
左右画像生成部204は、予め定められた観察位置から、オブジェクトAを観察者Vの左右それぞれの眼で見た時の視差を算出する。左右画像生成部204は、算出された視差に基づいて、オブジェクトAについて、左眼用の画像IL及び右眼用の画像IRを生成する。
画像合成部204は、左右画像生成部204で生成された2つの画像IL及びIRのそれぞれを微細な短冊状に分割する。これによって、画像合成部204は、左眼用の部分画像PILをいくつか生成し、また、右眼用の部分画像PIRをいくつか生成する。なお、図18には代表的に、左眼用について1つの部分画像から線を引き出して、「PIL」という参照符号を付けている。同様に、右眼用についても、1つの部分画像に「PIR」という参照符号を与えている。画像合成部204はさらに、全ての部分画像PIL及びPIRから、部分画像PIL又はPIRを1つずつ交互に選択してつなぎ合わせる。これによって、画像合成部204は、合成画像SIを生成し、画像表示装置202に出力する。
画像表示装置202は、自身が備える表示画面206に、入力された合成画像SIを表示する。
観察者Vは、前述の観察位置から、パララックスバリア板207を介して、表示画面206に表示された合成画像SIを両眼で観察する。この時、観察者Vの左眼には、合成画像SIにおいて、部分画像PILは届くが、部分画像PIRは、パララックスバリア板207によって遮断されるため、観察者Vの左眼には届かない。逆に、観察者Vの右眼には、部分画像PIRのみが届き、部分画像PILは届かない。これによって、両眼視差が発生し、観察者Vは、オブジェクトAを立体的に、つまり立体像を視認する。
ところで、実空間において、人間の眼の焦点及び輻輳角の調節は連動している。しかしながら、上述の立体画像表示システムで提供される立体像は、固定的に設置された表示画面206に表示されるので、眼の焦点調節は、観察位置から表示画面206までの距離を変えることで行われる。それに対して、両眼の輻輳角は、観察者Vから立体像までの仮想的な距離(奥行き)に基づいて調節される。したがって、立体像を観察者Vが目視する場合、観察者Vが調節した焦点距離と、輻輳角を調節するための仮想的な距離とは対応しない。つまり、本来連動すべき焦点調節と輻輳角の調節とにずれが生じるため、観察者Vは、立体像を目視した時、違和感を覚えたり、それを長時間目視する場合には疲労を感じたりするという問題があった。
以上の問題を解決するために、ハーフミラー重畳方式を採用した立体画像表示システム(以下、従来の立体画像表示システムと称する)が提案されている(例えば、特開平10−333093号公報を参照)。ここで、図19は、従来の立体画像表示システムの全体構成を示す模式図である。図19において、立体画像表示システムは、画像生成装置210と、画像表示装置211と、光学系212とを備えている。
画像生成装置210は、データ蓄積部222と、画像分割部223と、左右画像生成部224と、画像合成部225とを含む。
データ蓄積部222は、表示対象となる複数のオブジェクト(図示は、オブジェクトP,Q及びR)の形状を示すデータを格納する。
画像分割部223は、データ蓄積部222内のデータを、観察者Vの位置から起算して互いに異なる距離の範囲に含まれるオブジェクト毎のデータに分割する。
なお、説明の便宜上、本説明では、オブジェクトPが、観察者Vから最も遠い距離の範囲(以下、長距離レンジと称する)に属し、オブジェクトRは、観察者Vから最も近い距離の範囲(以下、近距離レンジと称する)に属し、オブジェクトQは、長距離レンジ及び近距離レンジの中間に属する距離の範囲(以下、中距離レンジと称する)に属すると仮定する。このような仮定下では、オブジェクトPの形状を示す部分データと、オブジェクトQの形状を示す部分データと、オブジェクトRの形状を示す部分データとが生成される。
左右画像生成部224は、画像分割部223で分割されたオブジェクトを表す各画像を、予め定められた観察位置から観察者の左右それぞれの眼で見た時の視差を算出する。左右画像生成部224は、算出した視差に基づいて、各オブジェクトについて左眼用の画像ILと、右眼用の画像IRとを生成する。
上述の仮定下では、左右画像生成部224では、オブジェクトPについて、左眼用の画像ILp及び右眼用の画像IRpが生成され、オブジェクトQについて、左眼用の画像ILq及び右眼用の画像IRqが生成され、さらに、オブジェクトRについて、左眼用の画像ILr及び右眼用の画像IRrが生成される。
画像合成部225は、左右画像生成部224で生成された2枚1対の画像IL及びIRのそれぞれを微細な短冊状に分割して、左眼用の部分画像PILをいくつか生成し、右眼用の部分画像PIRをいくつか生成する。画像合成部224はさらに、1セットの部分画像PIL及びPIRから、部分画像PIL又はPIRを1つずつ交互に選択してつなぎ合わせる。このようにして、画像合成部224は、オブジェクト毎に合成画像SIを生成し、表示装置211に出力する。
上述の仮定下では、オブジェクトPについて、左眼用の画像ILp及び右眼用の画像IRpから、左眼用の部分画像PILp及び右眼用の部分画像PIRpが生成され、その後、合成画像SIpが生成される。同様に、オブジェクトQ及びRについても、合成画像SIq及びSIrが生成される。
表示装置211は、各距離範囲に割り当てられる表示部227及びパララックスバリア板228の組みを含む。各表示部227は、画像合成部225で生成される合成画像SIのうち、自身が割り当てられた距離範囲用のものを受け取り、受け取ったものを表示する。各表示部227は、合成画像SIを表す光を、同じ組のパララックスバリア板228に向けて発する。各パララックスバリア板228には格子状のスリットが形成されており、各パララックスバリア板228は、それぞれに対して前置された表示部227から発せられた光を通過させる。
なお、上述の仮定下では、表示装置211は、遠距離用として表示部227L及びパララックスバリア板228Lの組と、中距離用として表示部227I及びパララックスバリア板228Iの組と、近距離用として表示部227S及びパララックスバリア板228Sの組とを含む。
光学系212は、上述の距離範囲毎に割り当てられた複数のミラー230を含む。各ミラー230のうち、観察者Vからみて最も遠くに配置されるものは全反射ミラーでよく、その他のミラー230はハーフミラーである。また、各ミラー230に、前置されたパララックスバリア板228を通過した光が入射されると、入射光は反射する。ここで、各ミラー230の反射方向は、観察者Vの視線と概ね一致するように予め配置される。また、上述のように、観察者Vからみて最も遠くに配置されるミラー230以外はハーフミラーであるため、各ミラー230で反射された光束は合成される。
先に述べた3種の距離レンジが規定されるという仮定下では、遠距離用の全反射ミラー230Lと、中距離用及び近距離用の2個のハーフミラー230I及び230Sが配置される。全反射ミラー230Lは、パララックスバリア板228Lを通過した光を、中距離用のハーフミラー230Iに向けて反射する。また、ハーフミラー230Iは、全反射ミラー230Lにより反射された光を概ね半分だけ透過するとともに、パララックスバリア板228Iを通過した光の一部を反射する。これによって、双方の光は合成される。また、近距離用のハーフミラー230Sは、ハーフミラー230Iで合成された光を概ね半分だけ透過し、パララックスバリア板228Iを通過した光を概ね半分だけ反射する。
これによって、観察者Vは、予め定められた観察位置から光学系212を両眼で観察すると、観察者Vの左眼には、各部分画像PILのみが届き、その右眼には各部分画像PIRのみが届く。さらに、観察者Vは、各ミラー230の位置を仮想スクリーンとして、各オブジェクトを視認することになるので、実際の奥行き感を保ちながら、両眼視差により立体像を認識することが可能となる。その結果、パララックスバリア方式を採用した立体画像表示システムに比べて、従来の立体画像表示システムは、観察者Vの両眼で焦点が調節された距離と、両眼の輻輳角のずれは小さくなるので、観察者の違和感及び/又は疲労を減少させることができる。
しかしながら、従来の立体画像表示システムでは、直列に配置されたハーフミラー230I及び230Sを使って、画像を表す光束を合成するため、観察者Vから遠くで反射されるほど、画像の光量が落ちてしまい、観察者Vには見えにくくなるという問題点がある。具体的には、図20に示すように、ハーフミラー230I及び230Sの特性は、入射光量に対する反射光量及び透過光量に比率は概ね半分になる。したがって、従来の立体画像表示システムのように、2枚のハーフミラー230I及び230Sを透過する全反射ミラー230Lで反射された光は、ハーフミラー230Sを透過した後、元々の2の2乗分の1(つまり25%)に減衰される。同様に、n枚のハーフミラー230を通した光(画像)は、2のn乗分の1に減衰してしまう。以上のことから、ハーフミラー230の設置数を多くし、多くの距離感を持つ仮想スクリーンを設置すれば、滑らかな距離感を持つ画像を観察者Vに提供することが可能になるが、上述のようにハーフミラー230の設置数に応じて光量も減少するので、従来の立体画像表示システムにハーフミラーを多く設置することは適切ではない。
また、従来の立体画像表示システムにハーフミラーを多く設置しつつ、光量減少に対処するために、各表示部227から発せられる光量を大きくすることも可能である。しかし、各表示部227が大きくなったり、表示部227の発熱を抑えるための冷却装置が必要になったりする。その結果、消費電力の増加し、システム自体の肥大化し、若しくはシステムの製造コスト又は維持コストが増大してしまう。
また、従来の立体画像表示システムには、パララックスバリア方式を採用することから観察者Vの観測位置が限られたり、パララックスバリア板228の存在そのもののため画像を観察しづらかったりするという他の問題もある。
それ故に、本発明の目的は、観察者がより見やすい立体画像を提供することができる立体画像表示システムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一局面は、立体画像表示システムに向けられている。立体画像表示システムは、複数のオブジェクトのそれぞれを表すデータを、立体画像の奥行き方向に沿う距離の範囲毎に分類して順次的に出力する画像生成装置と、画像生成装置から出力された各データに対して順次的に表示処理を行って、各オブジェクトを表す光が時間軸上で多重された光を発する表示装置と、表示装置から発せられた多重光に含まれる各オブジェクトに立体感又は距離感を与えて、これらオブジェクトを立体的に視認可能な立体画像光を生成する1又は複数の遠焦点化装置とを備える。ここで、遠焦点化装置は、内部に含む少なくとも1個のDMD(Digital Micro−mirror Device)が有するマイクロミラーの傾きを予め定められた時間毎に変更して、表示装置から発せられた多重光から、複数のオブジェクトのいずれかを含む複数の部分光を分離する光路分岐回路と、光路分岐回路により分離された複数の部分光のそれぞれが表すオブジェクトに、互いに異なる立体感又は距離感を与える遠焦点化部と、内部に含む少なくとも1個のDMDが有するマイクロミラーの傾きを、予め定められた時間と実質的に同じ時間毎に変更することで、遠焦点化部から発せられた複数の部分光を、予め定められた時間毎に順番に選択し、選択した光を順次的に出力して立体画像光を生成する光路選択回路とを含む。
遠焦点化部は、光路分岐回路で分離された各部分光のそれぞれに割り当てられかつ互いに異なる焦点距離を持つ光学部品を有する。
光学部品は、凸レンズ、凹レンズ、凸面鏡及び凹面鏡からなるグループから選ばれる1以上である。また、光学部品は例示的には、ホログラフィック光学素子である。
また、好ましくは、立体画像表示システムにおいて、複数の遠焦点化装置が互いに直列に光結合される。
また、具体的には、各遠焦点化部は、光路分岐回路で分離された各部分光のそれぞれに割り当てられる光学部品を有する。ここで、遠焦点化部のそれぞれから1つずつ選ばれた光学部品を組み合わせたものの焦点距離は互いに異なる。
また、好ましくは、立体画像表示システムはさらに、遠焦点化装置から出力された立体画像光を観察者の方向に反射する、少なくとも1個の反射部材とを備える。このように、反射部材が立体画像光を反射することにより、複数のオブジェクトが合成された立体画像が観察者により視認される。
また、好ましくは、反射部材は、光路選択回路からの光の一部を所定方向に向けて反射するとともに、自身の背後からの光を同方向に向けて透過する。ここで、反射部材は例示的には、ハーフミラー、全反射ミラー及びホログラフィック光学素子のいずれかである。
DMDは一般的には、複数のマイクロミラーを有する。ここで、好ましくは、所定部分のマイクロミラーの傾きを変更することにより、DMDは、各表示部から発せられた光の一部分を選択する。ここで、所定部分のマイクロミラーとは例示的には、立体画像光が表す立体画像においてオブジェクトが無い部分を担当するものである。他の例示として、所定部分のマイクロミラーとは、立体画像光が表す立体画像において、複数のオブジェクトが重なり合う部分の遠距離側を担当するものである。
また、反射部材は、光路選択回路からの光の一部を観察者に向けて反射するとともに、自身の背後からの光を観察者に向けて透過する。この場合において、所定部分のマイクロミラーとは、立体画像光が表す立体映像に含まれるオブジェクトにおいて、反射部材の背後に存在する物体よりも遠距離側に表示される部分を担当するものである。
以上の局面によれば、表示装置は、画像生成装置から出力された各データに対して順次的に表示処理を行って、各オブジェクトを表す光が時間軸上で多重された光を発する。このような光に含まれる各オブジェクトに、遠焦点化装置は、立体感又は距離感を与えて、これらオブジェクトを立体的に視認可能な立体画像光を生成する。反射部材は、このような多重光を、観察者の方向に反射して、オブジェクトが合成された立体画像を提供する。したがって、観察者は、現在表示されているオブジェクトを視認すると共に、網膜に残る他のオブジェクトの残像も認識する。これらオブジェクトは、奥行き方向に異なる位置に表示される。これによって、観察者に各オブジェクトが立体的に合成された立体画像を提供することが可能となる。
また、本立体画像表示システムは、DMDを用いているので、光損失が少なくなり、さらには、パララックスバリア板のような光路を遮断する部材を用いなくて済む。これによって、観察者がより見やすい立体画像を提供することができる立体画像表示システムを実現することが可能となる。
本発明の上記及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、以下に述べる本発明の詳細な説明を添付の図面とともに理解したとき、より明らかになる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示システム1の全体構成を示す模式図である。 図2Aは、図1に示すDMD13又は17の詳細な動作を示す第1の模式図である。 図2Bは、図1に示すDMD13又は17の詳細な動作を示す第2の模式図である。 図2Cは、図1に示すDMD13又は17の詳細な動作を示す第3の模式図である。 図2Dは、図1に示すDMD13による光の反射を示す第1の模式図である。 図2Eは、図1に示すDMD17による光の反射を示す第2の模式図である。 図3は、図1に示すデータ蓄積部8に格納されるデータが表すオブジェクトを例示する模式図である。 図4は、図1に示す各DMD13及び17の動作を示すタイミングチャートである。 図5は、図1に示す立体画像表示システム1により仮想的に形成される仮想スクリーンを例示する模式図である。 図6は、図5に示す各仮想スクリーンに表示される画像の遷移を示す状態遷移図である。 図7は、図1に示す立体画像表示システム1により提供される立体画像を例示する模式図である。 図8は、図1に示す立体画像表示システム1の有利な点を示す図である。 図9は、第1の実施形態の変形例(第1の変形例)におけるDMD13aを真上から観たときの模式図である。 図10Aは、図9に示すDMD13aのマイクロミラー22の状態を示す模式図である。 図10Bは、図9に示すDMD13aにより反射された光がDMD17aにどのように入射され反射されるかを示す模式図である。 図11は、第1の変形例に係る立体画像表示システム1により仮想的に形成される仮想スクリーンを例示する模式図である。 図12は、図11に示す各仮想スクリーンに表示される画像の遷移を示す状態遷移図である。 図13は、第1の変形例に係る立体画像表示システム1により提供される立体画像を例示する模式図である。 図14は、第1の実施形態の変形例(第2の変形例)に係る立体表示装置101の構成を示す模式図である。 図15は、図14に示す遠焦点化装置4a及び4bの詳細な構成を示す模式図である。 図16は、第1の実施形態の変形例(第3の変形例)に係る立体画像表示システム1又は101の構成を部分的に示す模式図である。 図17は、図16に示す立体画像表示システム1又は101の有利な点を示す図である。 図18は、パララックスバリア方式を採用した一般的な立体画像表示システムの全体構成を示す模式図である。 図19は、従来の立体画像表示システムの全体構成を示す模式図である。 図20は、図17に示す立体画像表示システムの問題点を示す模式図である。
符号の説明
1,101 立体画像表示システム
2 画像生成装置
8 データ蓄積部
9 画像分類部
3 表示装置
4,4a,4b 遠焦点化装置
10 光路分岐回路
11 遠焦点化部
12 光路選択回路
13 DMD
14 反射部材
15,151,152 凸レンズ
16 反射部材
17 DMD
22 マイクロミラー
5 レンズ
6 反射部材
(実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示システム1の全体構成を示す模式図である。図1において、立体画像表示システム1は、画像生成装置2と、表示装置3と、遠焦点化装置4と、レンズ5と、反射部材6とを備えている。また、説明の便宜のため、図1には、互いに直行する縦中心面Pv(一点鎖線を参照)と、横中心面Ph(二点鎖線を参照)とが示されている。なお、縦中心面Pv及び横中心面Phは、図面が複雑にならないように、図1において立体画像表示システム1が描かれた部分を貫かないように示されている。
画像生成装置2は、観察者Vに提供する立体画像の基礎となるデータを生成するために、データ蓄積部8と、画像分類部9とを含んでいる。
データ蓄積部8は、表示対象となる複数のオブジェクトの形状を示すデータと、オブジェクト毎に予め定められている奥行き値(観察者Vからの距離)とを格納する。
画像分類部9は、データ蓄積部8内のデータを、観察者Vの位置から起算して互いに異なる距離の範囲に属するオブジェクト毎の部分データに分類する。その後、画像分類部9は好ましくは、分類した部分データを、距離範囲の近いオブジェクトを表すものから順番に、予め定められた時間t毎に送出する。ここで、時間tは、観察者Vの網膜に残像を残すために、極めて短い時間に選ばれる。なお、分類した部分データの送出順は、上述のものに限らず、他の順番でも構わない。
本立体画像表示システム1において、距離範囲の数は、任意に選ぶことができるが、本実施形態では好ましい例として2個(nは正の整数)として説明する。また、本実施形態では、例示的にn=2の場合について説明する。この例示の下では、距離範囲の数は4となる。以降、観察者Vから最も近い距離の範囲を近距離レンジと称し、最も遠い距離の範囲を遠距離レンジと称する。また、近距離レンジ及び遠距離レンジの間で、近距離レンジ寄りの距離の範囲を第1の中間距離レンジと称し、遠距離レンジ寄りのものを第2の中間距離レンジと称する。このような例示の下では、画像分類部9は、近距離レンジに属するオブジェクトAを表す部分データDaと、第1の中間距離レンジに属するオブジェクトBを表す部分データDbと、第2の中間距離レンジに属するオブジェクトCを表す部分データDcと、遠距離レンジに属するオブジェクトDを表す部分データDdに分類して、ある基準時刻t0に部分データDaを、時間(t0+t)に部分データDbを、時間(t0+2×t)に部分データDcを、さらに、時間(t0+3×t)に部分データDdを送出する。
表示装置3は、画像生成装置2により送出された順番で各部分データを処理して、それぞれが表すオブジェクトを自身の表示画面上に表示する。なお、表示画面の中心に対する法線が縦中心面Pvに含まれるように、表示装置3は、画像生成装置2の後段に配置される。以上のような処理により、表示装置3は、概ね時間t毎に、画像分類部9で分類された各オブジェクトを表す光Lを順次的に発する。
上述の例示の下では、表示装置3は、概ね基準時間t0にオブジェクトAを表す光Laを、概ね時間(t0+t)にオブジェクトBを表す光Lbを、概ね時間(t0+2×t)にオブジェクトCを表す光Lcを、さらに、概ね時間(t0+3×t)にオブジェクトDを表す光Ldを発する。
遠焦点化装置4は、表示装置3の出射光Lに含まれる各オブジェクトに立体感(遠近感)を与えて、これらオブジェクトを観察者Vが立体的に視認可能な立体画像光Ltを生成する。このような処理のために、遠焦点化装置4は、光路分岐回路10と、遠焦点化部11と、光路選択回路12とを含む。
光路分岐回路10は、表示装置3の出射光Lを、オブジェクト毎の部分光に分岐する。この光分岐のために、光路分岐回路10は、(2−1)個のDMD(Digital Micro−mirror Device)13と、所定個数の反射部材14とを含む。
ここで、図2A−図2Cは、図1に示すDMD13の詳細な動作を示す模式図であり、また、図2D及び図2Eは、DMD13による光の反射を示す模式図である。
図2A−図2Cにおいて、DMD13は、それぞれがフラットな鏡面を持つ複数のマイクロミラー22を有している。DMD13が初期状態の時、図2Aに示すように、全てのマイクロミラー22は、傾斜せずに、実質的に同一平面(以下、基準面と称する)PR内に含まれる。また、外部からDMD13に第1の駆動電圧が与えられると、全てのマイクロミラー22は、図2Bに示すように、上記基準面PRに対して、反時計回りに所定角度θ(例えば+10°)だけ傾く。また、第2の駆動電圧が与えられると、全てのマイクロミラー22は、図2Cに示すように、上記基準面PRに対して時計回りに所定角度−θ(例えば−10°)だけ傾く。なお、DMD13は、他の角度(例えば、+12°及び−12°の組み合わせ)にも傾くマイクロミラー22を有するものもある。
したがって、図2Bに示す状態で、基準面PRに対する法線Lvの方向から光が各マイクロミラー22に入射されると、つまり、図2Dに示す矢印INから光が入射されると、各マイクロミラー22は、法線Lvに対して左側20°(2×θ°)の方向(矢印OUT1で示す方向)に、入射光を反射する。逆に、図2Cに示す状態であれば、同方向からの入射光を、各マイクロミラー22は、法線Lvに対して右側20°(2×(−θ)°)の方向(矢印OUT2で示す方向)に反射する。
また、図2Bに示す状態で、法線Lvに対して左側20°(つまり、2×θ)の方向から光が各マイクロミラー22に入射されると、つまり、図2Eに示す矢印IN1の方向から光が入射されると、各マイクロミラー22は、法線Lvの方向、つまり図2Eに示す矢印OUTの方向に入射光を反射する。逆に、図2Cに示す状態の場合、法線Lvに対して右側20°(つまり、2×(−θ)°)の方向(図2Eの矢印IN2を参照)からの入射光を、各マイクロミラー22は、法線Lv(矢印OUTを参照)の方向へ反射する。
なお、以降の説明では、全マイクロミラー22を+10°傾けること(つまり、図2Bに示す状態)を、「ONする」と記載し、全マイクロミラー22を−10°傾けること(つまり、図2Cに示す状態)を、「OFFする」と記載する。
再度図1を参照する。上述のように、光路分岐回路10には、(2−1)個のDMD13が備わる。また、本実施形態ではnは2であるから、光路分岐回路10は、画像表示装置3の出射光Lを、オブジェクトAを表す部分光Laと、オブジェクトBを表す部分光Lbと、オブジェクトCを表す部分光Lc及びオブジェクトDを表す部分光Ldの4つに分岐することになり、DMD13として、3個のDMD13a、13b及び13cが少なくとも必要となる。
DMD13aは、自身の法線Lvが出射光Lの軸と実質的に一致する位置に配置される。この位置で、DMD13aは、後述のようなマイクロミラー22の制御により、表示装置3からの出射光Lを、上述のような2方向に反射して(図2Dを参照)、オブジェクトA及びCを表す中間光Libと、オブジェクトB及びDを表す中間光Licに分岐する。
また、DMD13bは、自身の法線Lvが、DMD13aの法線Lvに対して左20°の方向に一致する位置に配置される。このような配置により、DMD13bには、上述の中間光Libが入射され、DMD13bは、後述のようなマイクロミラー22の制御により、入射中間光Libを2方向に反射して、オブジェクトAを表す部分光Laと、オブジェクトCを表す部分光Lcとに2分岐する。これら反射光のうち、部分光La及びLcの一方は縦中心面Pvに平行であるが、他方は、縦中心面Pvに対して(4×θ)°で交わる。なお、図1には、部分光Lcが縦中心面Pvに平行な場合が示されている。
DMD13cは、縦中心面Pvを基準として、DMD13bと対称な位置に配置される。このような配置により、DMD13cには、上述の中間光Licが入射される。DMD13cは、入射中間光Licを2方向に反射して、オブジェクトBを表す部分光Lbと、オブジェクトDを表す部分光Ldとに分岐する。これら反射光のうち、部分光Lb及びLdの一方は縦中心面Pvに平行であるが、他方は、縦中心面Pvに対して(4×θ)°で交わる。なお、図1には、部分光Lcが縦中心面Pvに平行な場合が示されている。
また、各反射部材14は、自身への入射光を、縦中心面Pvに平行な方向に反射する部材であって、好ましくは、全反射ミラーである。本実施形態では、上述のように、部分光La及びLdは縦中心面Pvに平行でないので、2個の反射部材14a及び14bが備わる。
反射部材14aは、DMD13bで生成された部分光Laを反射して、縦中心面Pvに平行にする。
反射部材14bは、縦中心面Pvを基準として、反射部材14aと対称な位置に配置され、DMD13cで生成された部分光Ldを反射して、縦中心面Pvに平行な方向にする。
以上のような構成により、光路分岐回路10は、表示装置3により発せられた光Lを、それぞれが縦中心面Pvに平行な4つの部分光La−Ldに分岐し出射する。
遠焦点化部11は、光路分岐回路10から出射された部分光La−Ldが表すオブジェクトの虚像の位置を調整する。このような処理のために、遠焦点化部11は、互いに焦点距離の異なる凸レンズ15を、2個又は(2−1)個含む。本実施形態では、例示的に、2個の凸レンズ15が備わる場合について説明する。各凸レンズ15は、互いに重複しない部分光に割り当てられており、自身の光軸が、対象となる部分光の軸に一致する位置に配置される。また、各凸レンズ15は、横中心面Phに沿うように配列される。また、複数の凸レンズ15において焦点距離が短いものほど、観察者Vから遠い距離範囲に表示されるオブジェクトを表す光に割り当てられる。以上のような凸レンズ15はそれぞれ、光路分岐回路10から出射された部分光を屈折する
ここで、本実施形態では、n=2の場合について説明しているので、4個の凸レンズ15a、15b、15c及び15dが備わる。凸レンズ15aは、焦点距離が最も長いものであり、光路分岐回路10の出射部分光Laを屈折する。また、凸レンズ15bは、2番目に焦点距離が長いものであり、光路分岐回路10の出射部分光Lbを屈折する。また、凸レンズ15cは、3番目に焦点距離が長いものであり、光路分岐回路10の出射部分光Lcを屈折する。また、凸レンズ15dは、最も焦点距離が短いものであり、光路分岐回路10の出射部分光Ldを屈折する。
なお、上述のように、凸レンズ15の総数は(2−1)個でもよい。例えば、3個の場合には、距離範囲が最も観察者Vに近いオブジェクトAを表す部分光Laには凸レンズ15は割り当てられない。
光路選択回路12は、遠焦点化部11により処理された全ての部分光を受け取り、距離範囲が近いものから、距離範囲が遠いものへと順番に、極めて短い一定の時間毎に光を1つずつ選択する。光路選択回路4はこのような選択処理を繰り返す。また、光路選択回路4は、以上のようにして選択した光をレンズ5に向けて順次出射する。このように出射された光は、それぞれの虚像の位置が互いに異なるオブジェクトを表す立体画像光Ltである。
上述のような処理のために、光路選択回路12は、所定個数の反射部材16と、(2−1)個のDMD17とを含む。各反射部材16及び各DMD17は、各反射部材14及び各DMD13と同様の形状を有しており、横中心面Phを基準として、各反射部材14及び各DMD13と対称な位置に配置される。
凸レンズ5は、DMD13及び17の大きさ(具体的には、対角線の長さ)が数インチと小さいことから、適度な大きさの立体画像を観察者Vが観察できるように、遠焦点化装置4から出射された立体画像光Ltを屈折させ、これによって、遠焦点化装置4の出射光Ltが表す各画像を拡大する。
反射部材6は、典型的には全反射ミラー又はハーフミラーであり、凸レンズ5により屈折された光を観察者Vの方向に反射させる。ここで、反射部材6がハーフミラーの場合、反射部材6の背後の光が観察者Vの方向に透過するため、観察者Vは、反射部材6の背後の情景に、反射部材6の反射光Ltが表す立体画像が重畳された像を視認することができる。
次に以上のような構成の立体画像表示システム1の具体的な動作例について説明する。今説明の便宜上、データ蓄積部8内のデータは、図3に示すような複数のオブジェクト(三角形)A、オブジェクト(長方形)B、オブジェクト(正方形)C及びオブジェクト(丸)Dを表すと仮定する。さらに、オブジェクトDには遠距離レンジに属する奥行き値が、オブジェクトCには第2の中間距離レンジに属する奥行き値が、オブジェクトBには第1の中間距離レンジに属する奥行き値が、さらに、オブジェクトAには近距離レンジに属する奥行き値が割り当てられていると仮定する。
画像分類部9は、前述からも明らかなように、データ蓄積部8内のデータから、部分データDa、Db、Dc及びDdを作成し、その後、部分データDa、Db、Dc及びDdを、前述の順番通りに表示装置3に送る。
表示装置3は、前述からも明らかな通り、部分データDa、Db、Dc及びDdのそれぞれを受け取る度に、それぞれが表すオブジェクトA、B、C及びDを自身の表示画面に表示する。これによって生成された光Lは、光路分岐回路10のDMD13aに向けて出射される。
光路分岐回路10において、DMD13a、13b及び13cは、図示しない制御部からの駆動電圧に従って、それぞれのマイクロミラー22の傾きを変更する。図4は、各DMD13a−13cにおけるマイクロミラー22の傾きを時間軸上で示すタイミングチャートである。図4において、「ON」とは、対象となるDMD13の全マイクロミラー22をONすることを意味し、「OFF」とは、そのDMD13の全マイクロミラー22をOFFすることを意味する。また、「DC」とは、「Don’t Care」、つまり、「ON」でも「OFF」でもどちらでもいいことを意味する。
まず、最初の時間区間t1において、光路分岐回路10に入射される多重光Lは、オブジェクトAを表している。このような多重光Lから、光路分岐回路10は、時間区間t1に入射されるもののみを抜き出して、部分光Laを生成し、遠焦点化部11の凸レンズ15aに出射する。具体的には、この間、DMD13aは、自身が備える全マイクロミラー22をONにして、入射多重光LをDMD13bの方向へと反射し、これによって、中間光Libを生成する。また、この間、DMD13bもまた、自身が備える全マイクロミラー22をONにして、DMD13aで生成された中間光Libを、反射部材14aの方向に反射し、これによって、部分光Laを生成する。反射部材14aは、DMD13bで生成された部分光Laを反射して、部分光Laを凸レンズ15aに与える。なお、この間、DMD13cはDCに設定される。
また、次の時間区間t2において、光路分岐回路10に入射される多重光Lは、オブジェクトBを表している。このような多重光Lから、光路分岐回路10は、時間区間t2に入射されるものを抜き出して、部分光Lbを生成して、遠焦点化部11の凸レンズ15bに出射する。具体的には、この間、DMD13aは、自身の全マイクロミラー22をOFFにして、入射多重光LをDMD13cの方向へと反射し、これによって、中間光Licを生成する。また、この間、DMD13cは、自身の全マイクロミラー22をONにして、DMD13aで生成された中間光Licを反射することにより、部分光Lbを抜き出し、遠焦点化部11の凸レンズ15bに与える。なお、この間、DMD13bはDCに設定される。
また、次の時間区間t3において、光路分岐回路10に入射される多重光Lは、オブジェクトCを表している。このような多重光Lから、光路分岐回路10は、時間区間t3に入射されるものを抜き出して、部分光Lcを生成して、遠焦点化部11の凸レンズ15cに出射する。具体的には、この間、DMD13aは、時間区間t1の場合と同様にして、中間光Libを生成する。また、この間、DMD13bは、自身の全マイクロミラー22をOFFにして、入射される中間光Libを反射することにより、部分光Lcを抜き出して、凸レンズ15cに与える。なお、この間、DMD13cはDCに設定される。
また、次の時間区間t4において、光路分岐回路10に入射される多重光Lは、オブジェクトDを表している。このような多重光Lから、光路分岐回路10は、時間区間t4に入射されるものを抜き出して、部分光Ldを生成して、遠焦点化部11の凸レンズ15dに出射する。具体的には、この間、DMD13aは、時間区間t2の場合と同様にして、中間光Licを生成する。また、この間、DMD13cは、自身の全マイクロミラー22をOFFにして、入射される中間光Licを反射することにより、部分光Ldを抜き出し、凸レンズ15dに与える。なお、この間、DMD13bはDCに設定される。
以上のような時間区間t1、t2、t3及びt4は互いに実質的に同じ時間tであり、極めて短い時間である。これら時間区間t1からt4までを単位周期として、光路分岐回路10は、上述のような処理を周期的に繰り返す。
また、遠焦点化部11において、凸レンズ15aは、時間区間t1に入射される部分光Laを屈折する。このような屈折により、部分光Laが表すオブジェクトAの虚像の位置が近距離レンジに設定される。また、このような部分光Laは、光路選択回路12の反射部材16aに入射される。
また、凸レンズ15bは、時間区間t2に入射される部分光Lbを屈折する。これによって、部分光Lbが表すオブジェクトBの虚像の位置が第1の中間距離レンジに設定される。このような部分光Lbは、光路選択回路12のDMD17cに入射される。
また、凸レンズ15cは、時間区間t3に入射される部分光Lcを屈折する。これによって、部分光Lcが表すオブジェクトCの虚像の位置が第2の中間距離レンジに設定される。このような部分光Lcは、光路選択回路12のDMD17bに入射される。
また、凸レンズ15dは、時間区間t4に入射される部分光Ldを屈折する。これによって、部分光Ldが表すオブジェクトDの虚像の位置が遠距離レンジに設定される。このような部分光Ldは、光路選択回路12の反射部材16bに入射される。
上述から明らかなように、光路選択回路12には、部分光La−Ldが互いに異なる光路を通じて順次的に入射される。光路選択回路12は、入射部分光La−Ldを時間軸上で多重して、立体画像光Ltを生成する。このような処理のために、光路選択回路12において、DMD17a、17b及び17cは、図示しない制御部からの駆動電圧に従って、それぞれのマイクロミラー22の傾きを変更する。図4はさらに、各DMD17a−17cにおけるマイクロミラー22の傾きを時間軸上で示している。
まず、最初の時間区間t1において、光路選択回路12は、入射される部分光Laを立体画像光Ltに多重する。具体的には、この間、反射部材16aは、入射される部分光Laを反射して、DMD17bに与える。この間、DMD17bは、自身が備える全マイクロミラー22をOFFにして、入射される部分光Laを反射して、DMD17aに与える。この間、DMD17aは、自身の全マイクロミラー22をOFFにして、入射される部分光Laを、レンズ5の光軸方向に反射し、これによって、立体画像光Ltに多重する。また、DMD17cは、この間、光選択に関与しないので、DCの状態である。
また、次の時間区間t2において、光路選択回路12は、入射される部分光Lbを立体画像光Ltに多重する。具体的には、この間、DMD17cは、OFFの状態になり、入射される部分光Lbを反射して、DMD17aに与える。また、この間、DMD17aは、ONの状態になり、入射される部分光Lbを、レンズ5の光軸方向に反射し、これによって、立体画像光Ltに多重する。なお、DMD17bは、この間、光選択に関与しないので、DCの状態である。
また、次の時間区間t3において、光路選択回路12は、入射される部分光Lcを立体画像光Ltに多重する。具体的には、この間、DMD17bは、ONの状態になり、入射された部分光Lcを反射して、DMD17aに与える。また、この間、DMD17aは、OFFの状態になり、入射される部分光Lcを、レンズ5の光軸方向に反射し、これによって、立体画像光Ltに多重する。なお、DMD17cは、この間、光選択に関与しないので、DCの状態である。
さらに、次の時間区間t4において、光路選択回路12は、入射される部分光Ldを立体画像光Ltに多重する。具体的には、この間、まず、反射部材16bは、入射される部分光Ldを全反射して、DMD17cに与える。DMD17cは、この間、ONの状態に設定され、入射される部分光Ldを反射して、DMD17aに与える。DMD17aは、この間、ONの状態に設定され、入射される部分光Ldを反射し、これによって、立体画像光Ltに多重する。なお、時間区間t4では、DMD17bは、光選択に関与しないので、DCの状態に設定される。
以上の時間区間t1からt4までを単位周期として、光路選択回路12は、上述のような処理を周期的に繰り返す。これによって、光路選択回路12は、オブジェクトA−Dをその順番通りに多重した立体画像光Ltを生成する。このような立体画像光Ltは、レンズ5に向けて出射される。
また、以上のような光路選択回路12から出射された立体画像光Ltは、レンズ5を通過した後、ミラー6により観察者Vの方向に反射される。
ここで、上述から明らかなように、オブジェクトAには、焦点距離が最も長い凸レンズ15aが割り当てられ、オブジェクトBには、2番目に焦点距離が長い凸レンズ15bが割り当てられ、オブジェクトCには、3番目に焦点距離が長い凸レンズ15cが割り当てられ、さらに、オブジェクトDには、最も焦点距離が短い凸レンズ15dが割り当てられる。各凸レンズ15を以上のように各オブジェクトに割り当てることにより、観察者Vは、図5に示すように、立体画像光Ltに含まれるオブジェクトAがあたかも自身から最も近い仮想スクリーンSA上に表示されているように見える。同様に、オブジェクトBが次に近い仮想スクリーンSB上に、オブジェクトCがあたかも3番目に近い仮想スクリーンSC上に虚像として表示されているように、さらに、オブジェクトDがあたかも最も遠くの仮想スクリーンSD上に虚像として表示されているように観察者Vには見える。
また、このような仮想スクリーン上の画像は、図6に示すように、時間区間t毎に切り替わる。具体的には、最初の時間区間t1では、オブジェクトAの虚像が観察者Vにより視認される。次の時間区間t2では、オブジェクトBの虚像が観察者Vにより視認され、オブジェクトA(点線参照)は残像として観察者Vの網膜に残る。次の時間区間t3では、オブジェクトCの虚像が観察者Vにより視認され、さらに、オブジェクトA及びBの各虚像が残像として残る。また、次の時間区間t4では、オブジェクトDの虚像が観察者Vにより視認され、他のオブジェクトA−Cの各虚像は残像となる。このような時間区間t1−t4までの画像切り替えが周期的に行われる。
このような4回の画像の切り替えにより、図7に示されるような4つのオブジェクトA−Dが立体的に重畳された立体画像が観察者Vに提供される。なお、図7において格子状の点線及び水平線は、奥行き感を表すために単に示されているだけである。
ここで、図8は、本立体画像表示システム1の技術的効果を示す図である。より具体的には、図8は、本立体画像表示システム1における各仮想スクリーンSA、SB、SC及びSDにおける光量と、従来のハーフミラー方式を採用した立体画像表示システムにおける各ハーフミラー(仮想スクリーン)230S、230I及び230Ib及び全反射ミラー230L(図19を参照)における光量とを対比した図である。なお、ハーフミラー230Ibは図19に記載されていないが、本技術的効果を説明するために、ハーフミラー230Iと全反射ミラー230Lとの間に設置されると仮定したハーフミラーである。また、観察者Vからみて、仮想スクリーンSAまでの奥行きと、ハーフミラー230Sまでの奥行きは同じであり、仮想スクリーンSBまでの奥行きとハーフミラー230Iまでの奥行きは同じであり、仮想スクリーンSCまでの奥行きとハーフミラー230Ibまでの奥行きは同じであり、さらに、仮想スクリーンSDまでの奥行きとハーフミラー230Lまでの奥行きは同じであると仮定する。さらに、表示装置3の光源としての強さと、全ての表示部227の光源としての強さとは互いに等しいと仮定する。また、従来技術との対比を正確に行うため、ミラー6は全反射ミラーとする。
従来の立体画像表示システムにおいて、ハーフミラー230S、230Ia及び230Ibの透過率をいずれも50%と仮定すると、全反射ミラー230Lで反射される表示部227Lからの光、及び表示部227Ibからの光は、ハーフミラー230S、230Ia及び230Ibを通過するので、表示部227Lから発せられた光の約13%(≒0.5)しか観察者Vに届かない。また、表示部227Iaからの光については25%、表示部227Sからの光については50%しか観察者Vに届かない。そのため、観察者Vは、表示部227L及び227Ibの画像を特に見づらく感じる。
しかしながら、本立体画像表示システム1において、各DMD13及び17の反射率は約75%である。本立体画像表示システム1では、表示装置3から発せられた光は、観察者Vに届くまで4個のDMDで反射されるので、観察者Vには、表示装置3から発せられた光の約32%(≒0.75)の光が届く。つまり、本立体画像表示システム1では、仮想スクリーンの位置によらず、表示装置3から発せられた光の約32%が観察者Vに届くので、本立体画像表示システム1によれば、観察者Vは奥行き感にかかわらず均等な明るさの立体画像を視認することが可能となる。
また、仮に、光路分岐回路10及び光路選択回路12にさらにDMDを追加して、表示装置3から発せられた光の反射回数を6にしたとしても、つまり、距離範囲の数を8にしても、表示装置3から発せられた光の約18%(≒0.75)は観察者Vに届く。
一方、従来の立体画像表示システムで、距離範囲の数を8にしようとすると、少なくとも7個のハーフミラー230が必要となる。このような場合、最も遠い仮想スクリーンに表示される画像の光量は元々の約0.8%にまで減衰してしまい、観察者Vはこの画像をほぼ視認できない。
以上の説明から明らかなように、本立体画像表示システム1によれば、上述のようなDMDを使うことにより、表示装置3から発せられた光を少ない減衰量で観察者Vまで届けることができる。それによって、観察者がより見やすい立体画像を提供することができる。
(第1の変形例)
以上の実施形態では、各DMDの全マイクロミラー22は時間区間t1−t4のそれぞれにおいて一斉に同じ方向に傾くよう制御されていた。それゆえ、観察者Vには、図7に示すような立体画像、つまり、背景色が黒とならないものが視認される。それに対して、本変形例では、背景が黒の立体画像を提供可能な立体画像表示システム1について説明する。
なお、本変形例に係る立体画像表示システムは、第1の実施形態に係る立体画像表示システム1と比較すると、DMD13及び17に含まれるマイクロミラー22の傾き制御だけが相違する。それ故、本変形例において、第1の実施形態に係る立体画像表示システム1に相当する構成には同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
以下、DMD13内のマイクロミラー22の傾き制御について説明する。DMD13は基本的には、図4を参照して説明した通りに「ON」、「OFF」及び「DC」のいずれかの状態をとる。ただし、各DMD13において、図4に示す通りに「ON」及び「OFF」されるマイクロミラー22は、各時間区間t1−t4で表示されるオブジェクトの外形線内を表す光を反射するものだけである。つまり、各DMD13において、各時間区間t1−t4で表示されるオブジェクトの外形線外を表す光を反射するマイクロミラー22は、上述とは逆に「OFF」及び「ON」の状態をとる。
例えば、時間区間t2においては、オブジェクトBの画像を表す光がDMD13aで反射される。ここで、図9は、この時のDMD13aを上から見たときの図である。図9において、微小な格子はそれぞれマイクロミラー22を表している。なお、図示の都合上、「22」という参照符号は、1個の格子にのみ付されている。また、実際のDMDには数十万個のマイクロミラーが存在するが、図9は、説明の都合上、縦30個×横40個の合計1200個のマイクロミラー22を示している。以上のようなマイクロミラー22において、時間区間t2の間に「OFF」となるのは、図9に示すように、オブジェクトBの外形線内の画素を担当するものだけである。
これによって、図10Aに示すように、入射光Lのうち、オブジェクトBの外形線内を表すものはDMD13cの方向に中間光Licとして反射される。逆に、時間区間t2では、DMD13aにおいて、オブジェクトBの外形線外の画素を担当するマイクロミラー22は、「ON」に設定される。このように設定されたマイクロミラー22がDMD13cの方向へと光を反射するには、図10Aに示すように、法線Lvの方向に対して左40°の方向(矢印αを参照)からの入射光がなければならない。しかしながら、このような方向にはDMD13はおろか、何らの光源も無い。従って、部分光Lbにおいて、オブジェクトBの外形線外に相当する部分は黒く表示されるようになる。
また、図10Aに示すDMD13aにおいて、ONになっているマイクロミラー22は、入射光LをDMD13bの方向に反射可能である。時間区間t2において、DMD13bはDCに設定されるので、この間にDMD13aの方向から入射される光は、凸レンズ15a又は15cを通って光路選択回路12のDMD17bに送られる。しかし、時間区間t2において、DMD17bはDCに設定され、DMD17aはONに設定される。したがって、図10Bに示すように、たとえDMD17bの方向(矢印βを参照)からの光がDMD17aに入射されても、DMD17aは、このような入射光をレンズ5の方向へは反射しない。
以上のような制御により、時間区間t2において、レンズ5には、DMD13a→DMD13c→凸レンズ15b→DMD17c→DMD17aという光路を辿ってきた光のみが入射される。それ故、時間区間t2の間、DMD13aにおいて、ONになっているマイクロミラー22を反射した光は観察者Vには届かず、その結果、観察者Vは、オブジェクトB以外のエリアが黒い立体画像を視認することができる。
ところで、例えばオブジェクトBは、観察者VにとってオブジェクトAよりも奥に位置するように視認される。もし、オブジェクトB及びAが観察者Vからみて重なり合う場合、後から表示されるオブジェクトBにおいて、オブジェクトAと重なり合う部分を表示させると、オブジェクトAと重なり合ったオブジェクトBの一部分が、透き通って見えてしまう。このような不具合を解消するため、図9に示すように、オブジェクトBにおいて、オブジェクトAと重なり合う箇所を反射するマイクロミラー22は「ON」に設定される。
他の時間区間t1、t3及びt4についても同様である。これによって、図11に示すような各仮想スクリーンSA−SD上に、背景が黒のオブジェクトA−Dが表示され、これらオブジェクトA−Dを含む画像は図12に示すように時間t毎に切り替えられる。これによって、図13に示すように、観察者Vにとって違和感の無い立体画像を提供することが可能となる。
(第2の変形例)
また、前述の実施形態において、立体画像表示システム1において、遠焦点化装置4は1段であったが、複数段備わっていても構わない。本変形例では、複数の遠焦点化装置4を備える立体画像表示システムの例について説明する。図14は、立体画像表示システム101の全体構成を示す模式図である。図14において、立体画像表示システム101は、前述の立体画像表示システム1と比較すると、遠焦点化装置4の代わりに、直列に光結合された2個の遠焦点化装置4a及び4bとを備える点で相違する。それ以外に両立体画像表示システム1及び101の間に相違点は無い。それ故、図14において、図1の構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
また、図15は、図14に示す遠焦点化装置4a及び4bの詳細な構成を示す模式図である。図15において、遠焦点化装置4a及び4bは、図1に示す遠焦点化装置4と比較すると、遠焦点化部11の代わりに、遠焦点化部11a及び11bを備える点でそれぞれ相違する。それ以外に遠焦点化装置4と、遠焦点化装置4a及び4bとの間に相違点は無い。それ故、図15において、図1に示す構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
遠焦点化部11a及び11bは、凸レンズ151及び152を、2個又は(2−1)個含む。なお、図15には、前述の実施形態における例と同様に、2個の凸レンズ151及び152が遠焦点化部11a及び11bに備わっており、さらに、n=2の場合について示されている。このような構成の場合、遠焦点化装置4aの内部には4通りの光路が形成され、遠焦点化装置4bの内部にも4通りの光路が形成される。したがって、遠焦点化装置4a及び4bを直列に光結合することにより、表示装置3からレンズ5の間には、4×4=16通りの光路が形成される。ここで、各凸レンズ151及び152の焦点距離は、全凸レンズ151から選ばれた1個と、全凸レンズ152から選ばれた1個とを組み合わせたものの焦点距離が互いに異なるように選ばれる。また、このような立体画像表示システム101において、前述の実施形態と同様に、DMDのマイクロミラーの傾きが制御されると、観察者Vに対して、16種類の奥行き感がある立体映像が提供される。
また、本変形例における光量は、DMDでの反射が8回(4回×2)となるので、表示装置3が発する光の約10%(=0.75)が観察者Vに届く。このような値は、前述の実施形態と比較すると劣るが、従来のハーフミラー重畳方式で16種類の奥行き感のある立体画像を提供しようとすると、観察者Vから近いものから数えて4枚目の仮想スクリーンにおいて、本変形例の光量を下回る約6%になってしまう。また、7枚目の仮想スクリーンでの光量は、表示装置が発する光量の1%であり、最も遠い16枚目の仮想スクリーンでの光量は、その約0.003%となってしまう。つまり、従来のハーフミラー重畳方式では、本変形例のような多数の奥行き感を表現することは、現実的に不可能であることが分かる。
(第3の変形例)
なお、以上の実施形態及び各変形例では、レンズ5の光軸上に基準となるDMD13aが配置され、2個のDMD13b及び13cが光軸を基準として互いに対称な位置に配置されていた。また、DMD17a−17cも同様に配置されていた。しかし、これに限らず、図16に示すように、立体画像表示システム1又は101において、(2−1)個のDMD13又は17は直列に配置されても構わない。この場合、DMD13又は17による反射回数が多ければ多いほど、観察者Vに届く光量は減衰するが、この場合、遠くに見えるオブジェクトを表す光の光路が長くなるようにDMD13又は17を配置し、近くに見えるオブジェクトを表す光の光路が短くなるように、DMD13又は17を配置したり、遠くに見えるオブジェクトを表す光の反射回数を多くし、近くに見えるオブジェクトを表す光の反射回数を少なくしたりすることが可能となる。なお、図16に示す立体画像表示システム1又は101についても、前述の実施形態と同様に、従来の立体画像表示システムとの光量比を図17に示す。
なお、以上の説明において、各遠焦点化部は、凸レンズから構成されるとして説明したが、これに限らず、凹レンズ、凸面鏡又は凹面鏡若しくはこれらを組み合わせたり、レンズの特性を持ったHOE(ホログラフィック光学素子)を用いたりして実現することも可能である。
なお、以上の実施形態では、データ蓄積部8には、各オブジェクトの奥行き値が格納されるとして説明したが、これに限らず、データ蓄積部8は、各オブジェクトに予め割り当てられる距離範囲を格納してもよい。
また、以上の説明では、反射部材6としてハーフミラーを備える例も説明したが、反射部材6に代えて、ハーフミラーの特性を持ったHOE(ホログラフィック光学素子)を備えていても構わない。
また、以上の第1の変形例では、マイクロミラー22の傾きの制御により、複数のオブジェクトにおいて重なり合う部分の画像を観察者Vに見せないようにしていた。しかし、これに限らず、表示装置3自体が、一番観察者V寄りのものを除く全オブジェクトにおいて互いに重なり合う部分を表示しないようにしても構わない。
また、反射部材6がハーフミラーの場合には、観察者Vは、実風景に立体画像が重畳された像を観ることになる。この場合、表示装置3は、実風景よりも遠くに表示されるべき部分の映像光を出力しないようにしても構わない。他にも、表示装置3は、オブジェクト同士間の重なり、又はオブジェクトと実風景との重なりにかかわらず、与えられたデータに従って完全な画像を表す光を発するようにしても構わない。
また、以上の実施形態又は各変形例において、反射部材6が無い構成を採用しても構わない。この場合、観察者Vは、レンズ5を直視することで、立体画像を視認することになる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記説明はあらゆる意味において例示的なものであり限定的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなしに多くの他の改変例及び変形例が可能であることが理解される。
本発明に係る立体画像表示システムは、観察者がより見やすい立体画像を提供することが要求される様々な表示装置等、例えば、ヘッドアップディスプレイ、自動車シミュレータ、フライトシミュレータ、ゲーム機、テーマパーク又は遊園地で立体画像を提供可能なアトラクションに適用できる。
本発明は、立体画像表示システムに関し、より特定的には、奥行き感、言い換えれば立体感を持つ画像を表示する立体画像表示システムに関する。
図18は、上記のような立体画像表示システムにおいて、パララックスバリア方式を採用したものの一例の全体構成を示す模式図である。図18において、立体画像表示システムは大略的に、画像生成装置201と、画像表示装置202とを備える。画像生成装置201は、データ蓄積部203と、左右画像生成部204と、画像合成部205とを含む。また、画像表示装置202は、表示画面206と、格子状のスリット(アパーチャ)が形成されたパララックスバリア板207とを含む。
データ蓄積部203は、表示対象となるオブジェクトAの形状を示すデータを格納する。
左右画像生成部204は、予め定められた観察位置から、オブジェクトAを観察者Vの左右それぞれの眼で見た時の視差を算出する。左右画像生成部204は、算出された視差に基づいて、オブジェクトAについて、左眼用の画像IL及び右眼用の画像IRを生成する。
画像合成部204は、左右画像生成部204で生成された2つの画像IL及びIRのそれぞれを微細な短冊状に分割する。これによって、画像合成部204は、左眼用の部分画像PILをいくつか生成し、また、右眼用の部分画像PIRをいくつか生成する。なお、図18には代表的に、左眼用について1つの部分画像から線を引き出して、「PIL」という参照符号を付けている。同様に、右眼用についても、1つの部分画像に「PIR」という参照符号を与えている。画像合成部204はさらに、全ての部分画像PIL及びPIRから、部分画像PIL又はPIRを1つずつ交互に選択してつなぎ合わせる。これによって、画像合成部204は、合成画像SIを生成し、画像表示装置202に出力する。
画像表示装置202は、自身が備える表示画面206に、入力された合成画像SIを表示する。
観察者Vは、前述の観察位置から、パララックスバリア板207を介して、表示画面206に表示された合成画像SIを両眼で観察する。この時、観察者Vの左眼には、合成画像SIにおいて、部分画像PILは届くが、部分画像PIRは、パララックスバリア板207によって遮断されるため、観察者Vの左眼には届かない。逆に、観察者Vの右眼には、部分画像PIRのみが届き、部分画像PILは届かない。これによって、両眼視差が発生し、観察者Vは、オブジェクトAを立体的に、つまり立体像を視認する。
ところで、実空間において、人間の眼の焦点及び輻輳角の調節は連動している。しかしながら、上述の立体画像表示システムで提供される立体像は、固定的に設置された表示画面206に表示されるので、眼の焦点調節は、観察位置から表示画面206までの距離を変えることで行われる。それに対して、両眼の輻輳角は、観察者Vから立体像までの仮想的な距離(奥行き)に基づいて調節される。したがって、立体像を観察者Vが目視する場合、観察者Vが調節した焦点距離と、輻輳角を調節するための仮想的な距離とは対応しない。つまり、本来連動すべき焦点調節と輻輳角の調節とにずれが生じるため、観察者Vは、立体像を目視した時、違和感を覚えたり、それを長時間目視する場合には疲労を感じたりするという問題があった。
以上の問題を解決するために、ハーフミラー重畳方式を採用した立体画像表示システム(以下、従来の立体画像表示システムと称する)が提案されている(例えば、特開平10−333093号公報を参照)。ここで、図19は、従来の立体画像表示システムの全体構成を示す模式図である。図19において、立体画像表示システムは、画像生成装置210と、画像表示装置211と、光学系212とを備えている。
画像生成装置210は、データ蓄積部222と、画像分割部223と、左右画像生成部224と、画像合成部225とを含む。
データ蓄積部222は、表示対象となる複数のオブジェクト(図示は、オブジェクトP,Q及びR)の形状を示すデータを格納する。
画像分割部223は、データ蓄積部222内のデータを、観察者Vの位置から起算して互いに異なる距離の範囲に含まれるオブジェクト毎のデータに分割する。
なお、説明の便宜上、本説明では、オブジェクトPが、観察者Vから最も遠い距離の範囲(以下、長距離レンジと称する)に属し、オブジェクトRは、観察者Vから最も近い距離の範囲(以下、近距離レンジと称する)に属し、オブジェクトQは、長距離レンジ及び近距離レンジの中間に属する距離の範囲(以下、中距離レンジと称する)に属すると仮定する。このような仮定下では、オブジェクトPの形状を示す部分データと、オブジェクトQの形状を示す部分データと、オブジェクトRの形状を示す部分データとが生成される。
左右画像生成部224は、画像分割部223で分割されたオブジェクトを表す各画像を、予め定められた観察位置から観察者の左右それぞれの眼で見た時の視差を算出する。左右画像生成部224は、算出した視差に基づいて、各オブジェクトについて左眼用の画像ILと、右眼用の画像IRとを生成する。
上述の仮定下では、左右画像生成部224では、オブジェクトPについて、左眼用の画像ILp及び右眼用の画像IRpが生成され、オブジェクトQについて、左眼用の画像ILq及び右眼用の画像IRqが生成され、さらに、オブジェクトRについて、左眼用の画像ILr及び右眼用の画像IRrが生成される。
画像合成部225は、左右画像生成部224で生成された2枚1対の画像IL及びIRのそれぞれを微細な短冊状に分割して、左眼用の部分画像PILをいくつか生成し、右眼用の部分画像PIRをいくつか生成する。画像合成部224はさらに、1セットの部分画像PIL及びPIRから、部分画像PIL又はPIRを1つずつ交互に選択してつなぎ合わせる。このようにして、画像合成部224は、オブジェクト毎に合成画像SIを生成し、表示装置211に出力する。
上述の仮定下では、オブジェクトPについて、左眼用の画像ILp及び右眼用の画像IRpから、左眼用の部分画像PILp及び右眼用の部分画像PIRpが生成され、その後、合成画像SIpが生成される。同様に、オブジェクトQ及びRについても、合成画像SIq及びSIrが生成される。
表示装置211は、各距離範囲に割り当てられる表示部227及びパララックスバリア板228の組みを含む。各表示部227は、画像合成部225で生成される合成画像SIのうち、自身が割り当てられた距離範囲用のものを受け取り、受け取ったものを表示する。各表示部227は、合成画像SIを表す光を、同じ組のパララックスバリア板228に向けて発する。各パララックスバリア板228には格子状のスリットが形成されており、各パララックスバリア板228は、それぞれに対して前置された表示部227から発せられた光を通過させる。
なお、上述の仮定下では、表示装置211は、遠距離用として表示部227L及びパララックスバリア板228Lの組と、中距離用として表示部227I及びパララックスバリア板228Iの組と、近距離用として表示部227S及びパララックスバリア板228Sの組とを含む。
光学系212は、上述の距離範囲毎に割り当てられた複数のミラー230を含む。各ミラー230のうち、観察者Vからみて最も遠くに配置されるものは全反射ミラーでよく、その他のミラー230はハーフミラーである。また、各ミラー230に、前置されたパララックスバリア板228を通過した光が入射されると、入射光は反射する。ここで、各ミラー230の反射方向は、観察者Vの視線と概ね一致するように予め配置される。また、上述のように、観察者Vからみて最も遠くに配置されるミラー230以外はハーフミラーであるため、各ミラー230で反射された光束は合成される。
先に述べた3種の距離レンジが規定されるという仮定下では、遠距離用の全反射ミラー230Lと、中距離用及び近距離用の2個のハーフミラー230I及び230Sが配置される。全反射ミラー230Lは、パララックスバリア板228Lを通過した光を、中距離用のハーフミラー230Iに向けて反射する。また、ハーフミラー230Iは、全反射ミラー230Lにより反射された光を概ね半分だけ透過するとともに、パララックスバリア板228Iを通過した光の一部を反射する。これによって、双方の光は合成される。また、近距離用のハーフミラー230Sは、ハーフミラー230Iで合成された光を概ね半分だけ透過し、パララックスバリア板228Iを通過した光を概ね半分だけ反射する。
これによって、観察者Vは、予め定められた観察位置から光学系212を両眼で観察すると、観察者Vの左眼には、各部分画像PILのみが届き、その右眼には各部分画像PIRのみが届く。さらに、観察者Vは、各ミラー230の位置を仮想スクリーンとして、各オブジェクトを視認することになるので、実際の奥行き感を保ちながら、両眼視差により立体像を認識することが可能となる。その結果、パララックスバリア方式を採用した立体画像表示システムに比べて、従来の立体画像表示システムは、観察者Vの両眼で焦点が調節された距離と、両眼の輻輳角のずれは小さくなるので、観察者の違和感及び/又は疲労を減少させることができる。
特開平10−333093号公報
しかしながら、従来の立体画像表示システムでは、直列に配置されたハーフミラー230I及び230Sを使って、画像を表す光束を合成するため、観察者Vから遠くで反射されるほど、画像の光量が落ちてしまい、観察者Vには見えにくくなるという問題点がある。具体的には、図20に示すように、ハーフミラー230I及び230Sの特性は、入射光量に対する反射光量及び透過光量に比率は概ね半分になる。したがって、従来の立体画像表示システムのように、2枚のハーフミラー230I及び230Sを透過する全反射ミラー230Lで反射された光は、ハーフミラー230Sを透過した後、元々の2の2乗分の1(つまり25%)に減衰される。同様に、n枚のハーフミラー230を通した光(画像)は、2のn乗分の1に減衰してしまう。以上のことから、ハーフミラー230の設置数を多くし、多くの距離感を持つ仮想スクリーンを設置すれば、滑らかな距離感を持つ画像を観察者Vに提供することが可能になるが、上述のようにハーフミラー230の設置数に応じて光量も減少するので、従来の立体画像表示システムにハーフミラーを多く設置することは適切ではない。
また、従来の立体画像表示システムにハーフミラーを多く設置しつつ、光量減少に対処するために、各表示部227から発せられる光量を大きくすることも可能である。しかし、各表示部227が大きくなったり、表示部227の発熱を抑えるための冷却装置が必要になったりする。その結果、消費電力の増加し、システム自体の肥大化し、若しくはシステムの製造コスト又は維持コストが増大してしまう。
また、従来の立体画像表示システムには、パララックスバリア方式を採用することから観察者Vの観測位置が限られたり、パララックスバリア板228の存在そのもののため画像を観察しづらかったりするという他の問題もある。
それ故に、本発明の目的は、観察者がより見やすい立体画像を提供することができる立体画像表示システムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一局面は、立体画像表示システムに向けられている。立体画像表示システムは、複数のオブジェクトのそれぞれを表すデータを、立体画像の奥行き方向に沿う距離の範囲毎に分類して順次的に出力する画像生成装置と、画像生成装置から出力された各データに対して順次的に表示処理を行って、各オブジェクトを表す光が時間軸上で多重された光を発する表示装置と、表示装置から発せられた多重光に含まれる各オブジェクトに立体感又は距離感を与えて、これらオブジェクトを立体的に視認可能な立体画像光を生成する1又は複数の遠焦点化装置とを備える。ここで、遠焦点化装置は、内部に含む少なくとも1個のDMD(Digital Micro−mirror Device)が有するマイクロミラーの傾きを予め定められた時間毎に変更して、表示装置から発せられた多重光から、複数のオブジェクトのいずれかを含む複数の部分光を分離する光路分岐回路と、光路分岐回路により分離された複数の部分光のそれぞれが表すオブジェクトに、互いに異なる立体感又は距離感を与える遠焦点化部と、内部に含む少なくとも1個のDMDが有するマイクロミラーの傾きを、予め定められた時間と実質的に同じ時間毎に変更することで、遠焦点化部から発せられた複数の部分光を、予め定められた時間毎に順番に選択し、選択した光を順次的に出力して立体画像光を生成する光路選択回路とを含む。
遠焦点化部は、光路分岐回路で分離された各部分光のそれぞれに割り当てられかつ互いに異なる焦点距離を持つ光学部品を有する。
光学部品は、凸レンズ、凹レンズ、凸面鏡及び凹面鏡からなるグループから選ばれる1以上である。また、光学部品は例示的には、ホログラフィック光学素子である。
また、好ましくは、立体画像表示システムにおいて、複数の遠焦点化装置が互いに直列に光結合される。
また、具体的には、各遠焦点化部は、光路分岐回路で分離された各部分光のそれぞれに割り当てられる光学部品を有する。ここで、遠焦点化部のそれぞれから1つずつ選ばれた光学部品を組み合わせたものの焦点距離は互いに異なる。
また、好ましくは、立体画像表示システムはさらに、遠焦点化装置から出力された立体画像光を観察者の方向に反射する、少なくとも1個の反射部材とを備える。このように、反射部材が立体画像光を反射することにより、複数のオブジェクトが合成された立体画像が観察者により視認される。
また、好ましくは、反射部材は、光路選択回路からの光の一部を所定方向に向けて反射するとともに、自身の背後からの光を同方向に向けて透過する。ここで、反射部材は例示的には、ハーフミラー、全反射ミラー及びホログラフィック光学素子のいずれかである。
DMDは一般的には、複数のマイクロミラーを有する。ここで、好ましくは、所定部分のマイクロミラーの傾きを変更することにより、DMDは、各表示部から発せられた光の一部分を選択する。ここで、所定部分のマイクロミラーとは例示的には、立体画像光が表す立体画像においてオブジェクトが無い部分を担当するものである。他の例示として、所定部分のマイクロミラーとは、立体画像光が表す立体画像において、複数のオブジェクトが重なり合う部分の遠距離側を担当するものである。
また、反射部材は、光路選択回路からの光の一部を観察者に向けて反射するとともに、自身の背後からの光を観察者に向けて透過する。この場合において、所定部分のマイクロミラーとは、立体画像光が表す立体映像に含まれるオブジェクトにおいて、反射部材の背後に存在する物体よりも遠距離側に表示される部分を担当するものである。
以上の局面によれば、表示装置は、画像生成装置から出力された各データに対して順次的に表示処理を行って、各オブジェクトを表す光が時間軸上で多重された光を発する。このような光に含まれる各オブジェクトに、遠焦点化装置は、立体感又は距離感を与えて、これらオブジェクトを立体的に視認可能な立体画像光を生成する。反射部材は、このような多重光を、観察者の方向に反射して、オブジェクトが合成された立体画像を提供する。したがって、観察者は、現在表示されているオブジェクトを視認すると共に、網膜に残る他のオブジェクトの残像も認識する。これらオブジェクトは、奥行き方向に異なる位置に表示される。これによって、観察者に各オブジェクトが立体的に合成された立体画像を提供することが可能となる。
また、本立体画像表示システムは、DMDを用いているので、光損失が少なくなり、さらには、パララックスバリア板のような光路を遮断する部材を用いなくて済む。これによって、観察者がより見やすい立体画像を提供することができる立体画像表示システムを実現することが可能となる。
本発明の上記及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、以下に述べる本発明の詳細な説明を添付の図面とともに理解したとき、より明らかになる。
(実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示システム1の全体構成を示す模式図である。図1において、立体画像表示システム1は、画像生成装置2と、表示装置3と、遠焦点化装置4と、レンズ5と、反射部材6とを備えている。また、説明の便宜のため、図1には、互いに直行する縦中心面Pv(一点鎖線を参照)と、横中心面Ph(二点鎖線を参照)とが示されている。なお、縦中心面Pv及び横中心面Phは、図面が複雑にならないように、図1において立体画像表示システム1が描かれた部分を貫かないように示されている。
画像生成装置2は、観察者Vに提供する立体画像の基礎となるデータを生成するために、データ蓄積部8と、画像分類部9とを含んでいる。
データ蓄積部8は、表示対象となる複数のオブジェクトの形状を示すデータと、オブジェクト毎に予め定められている奥行き値(観察者Vからの距離)とを格納する。
画像分類部9は、データ蓄積部8内のデータを、観察者Vの位置から起算して互いに異なる距離の範囲に属するオブジェクト毎の部分データに分類する。その後、画像分類部9は好ましくは、分類した部分データを、距離範囲の近いオブジェクトを表すものから順番に、予め定められた時間t毎に送出する。ここで、時間tは、観察者Vの網膜に残像を残すために、極めて短い時間に選ばれる。なお、分類した部分データの送出順は、上述のものに限らず、他の順番でも構わない。
本立体画像表示システム1において、距離範囲の数は、任意に選ぶことができるが、本実施形態では好ましい例として2n 個(nは正の整数)として説明する。また、本実施形態では、例示的にn=2の場合について説明する。この例示の下では、距離範囲の数は4となる。以降、観察者Vから最も近い距離の範囲を近距離レンジと称し、最も遠い距離の範囲を遠距離レンジと称する。また、近距離レンジ及び遠距離レンジの間で、近距離レンジ寄りの距離の範囲を第1の中間距離レンジと称し、遠距離レンジ寄りのものを第2の中間距離レンジと称する。このような例示の下では、画像分類部9は、近距離レンジに属するオブジェクトAを表す部分データDaと、第1の中間距離レンジに属するオブジェクトBを表す部分データDbと、第2の中間距離レンジに属するオブジェクトCを表す部分データDcと、遠距離レンジに属するオブジェクトDを表す部分データDdに分類して、ある基準時刻t0に部分データDaを、時間(t0+t)に部分データDbを、時間(t0+2×t)に部分データDcを、さらに、時間(t0+3×t)に部分データDdを送出する。
表示装置3は、画像生成装置2により送出された順番で各部分データを処理して、それぞれが表すオブジェクトを自身の表示画面上に表示する。なお、表示画面の中心に対する法線が縦中心面Pvに含まれるように、表示装置3は、画像生成装置2の後段に配置される。以上のような処理により、表示装置3は、概ね時間t毎に、画像分類部9で分類された各オブジェクトを表す光Lを順次的に発する。
上述の例示の下では、表示装置3は、概ね基準時間t0にオブジェクトAを表す光Laを、概ね時間(t0+t)にオブジェクトBを表す光Lbを、概ね時間(t0+2×t)にオブジェクトCを表す光Lcを、さらに、概ね時間(t0+3×t)にオブジェクトDを表す光Ldを発する。
遠焦点化装置4は、表示装置3の出射光Lに含まれる各オブジェクトに立体感(遠近感)を与えて、これらオブジェクトを観察者Vが立体的に視認可能な立体画像光Ltを生成する。このような処理のために、遠焦点化装置4は、光路分岐回路10と、遠焦点化部11と、光路選択回路12とを含む。
光路分岐回路10は、表示装置3の出射光Lを、オブジェクト毎の部分光に分岐する。この光分岐のために、光路分岐回路10は、(2n −1)個のDMD(Digital Micro−mirror Device)13と、所定個数の反射部材14とを含む。
ここで、図2A−図2Cは、図1に示すDMD13の詳細な動作を示す模式図であり、また、図2D及び図2Eは、DMD13による光の反射を示す模式図である。
図2A−図2Cにおいて、DMD13は、それぞれがフラットな鏡面を持つ複数のマイクロミラー22を有している。DMD13が初期状態の時、図2Aに示すように、全てのマイクロミラー22は、傾斜せずに、実質的に同一平面(以下、基準面と称する)PR内に含まれる。また、外部からDMD13に第1の駆動電圧が与えられると、全てのマイクロミラー22は、図2Bに示すように、上記基準面PRに対して、反時計回りに所定角度θ(例えば+10°)だけ傾く。また、第2の駆動電圧が与えられると、全てのマイクロミラー22は、図2Cに示すように、上記基準面PRに対して時計回りに所定角度−θ(例えば−10°)だけ傾く。なお、DMD13は、他の角度(例えば、+12°及び−12°の組み合わせ)にも傾くマイクロミラー22を有するものもある。
したがって、図2Bに示す状態で、基準面PRに対する法線Lvの方向から光が各マイクロミラー22に入射されると、つまり、図2Dに示す矢印INから光が入射されると、各マイクロミラー22は、法線Lvに対して左側20°(2×θ°)の方向(矢印OUT1で示す方向)に、入射光を反射する。逆に、図2Cに示す状態であれば、同方向からの入射光を、各マイクロミラー22は、法線Lvに対して右側20°(2×(−θ)°)の方向(矢印OUT2で示す方向)に反射する。
また、図2Bに示す状態で、法線Lvに対して左側20°(つまり、2×θ)の方向から光が各マイクロミラー22に入射されると、つまり、図2Eに示す矢印IN1の方向から光が入射されると、各マイクロミラー22は、法線Lvの方向、つまり図2Eに示す矢印OUTの方向に入射光を反射する。逆に、図2Cに示す状態の場合、法線Lvに対して右側20°(つまり、2×(−θ)°)の方向(図2Eの矢印IN2を参照)からの入射光を、各マイクロミラー22は、法線Lv(矢印OUTを参照)の方向へ反射する。
なお、以降の説明では、全マイクロミラー22を+10°傾けること(つまり、図2Bに示す状態)を、「ONする」と記載し、全マイクロミラー22を−10°傾けること(つまり、図2Cに示す状態)を、「OFFする」と記載する。
再度図1を参照する。上述のように、光路分岐回路10には、(2n −1)個のDMD13が備わる。また、本実施形態ではnは2であるから、光路分岐回路10は、画像表示装置3の出射光Lを、オブジェクトAを表す部分光Laと、オブジェクトBを表す部分光Lbと、オブジェクトCを表す部分光Lc及びオブジェクトDを表す部分光Ldの4つに分岐することになり、DMD13として、3個のDMD13a、13b及び13cが少なくとも必要となる。
DMD13aは、自身の法線Lvが出射光Lの軸と実質的に一致する位置に配置される。この位置で、DMD13aは、後述のようなマイクロミラー22の制御により、表示装置3からの出射光Lを、上述のような2方向に反射して(図2Dを参照)、オブジェクトA及びCを表す中間光Libと、オブジェクトB及びDを表す中間光Licに分岐する。
また、DMD13bは、自身の法線Lvが、DMD13aの法線Lvに対して左20°の方向に一致する位置に配置される。このような配置により、DMD13bには、上述の中間光Libが入射され、DMD13bは、後述のようなマイクロミラー22の制御により、入射中間光Libを2方向に反射して、オブジェクトAを表す部分光Laと、オブジェクトCを表す部分光Lcとに2分岐する。これら反射光のうち、部分光La及びLcの一方は縦中心面Pvに平行であるが、他方は、縦中心面Pvに対して(4×θ)°で交わる。なお、図1には、部分光Lcが縦中心面Pvに平行な場合が示されている。
DMD13cは、縦中心面Pvを基準として、DMD13bと対称な位置に配置される。このような配置により、DMD13cには、上述の中間光Licが入射される。DMD13cは、入射中間光Licを2方向に反射して、オブジェクトBを表す部分光Lbと、オブジェクトDを表す部分光Ldとに分岐する。これら反射光のうち、部分光Lb及びLdの一方は縦中心面Pvに平行であるが、他方は、縦中心面Pvに対して(4×θ)°で交わる。なお、図1には、部分光Lcが縦中心面Pvに平行な場合が示されている。
また、各反射部材14は、自身への入射光を、縦中心面Pvに平行な方向に反射する部材であって、好ましくは、全反射ミラーである。本実施形態では、上述のように、部分光La及びLdは縦中心面Pvに平行でないので、2個の反射部材14a及び14bが備わる。
反射部材14aは、DMD13bで生成された部分光Laを反射して、縦中心面Pvに平行にする。
反射部材14bは、縦中心面Pvを基準として、反射部材14aと対称な位置に配置され、DMD13cで生成された部分光Ldを反射して、縦中心面Pvに平行な方向にする。
以上のような構成により、光路分岐回路10は、表示装置3により発せられた光Lを、それぞれが縦中心面Pvに平行な4つの部分光La−Ldに分岐し出射する。
遠焦点化部11は、光路分岐回路10から出射された部分光La−Ldが表すオブジェクトの虚像の位置を調整する。このような処理のために、遠焦点化部11は、互いに焦点距離の異なる凸レンズ15を、2n 個又は(2n −1)個含む。本実施形態では、例示的に、2n 個の凸レンズ15が備わる場合について説明する。各凸レンズ15は、互いに重複しない部分光に割り当てられており、自身の光軸が、対象となる部分光の軸に一致する位置に配置される。また、各凸レンズ15は、横中心面Phに沿うように配列される。また、複数の凸レンズ15において焦点距離が短いものほど、観察者Vから遠い距離範囲に表示されるオブジェクトを表す光に割り当てられる。以上のような凸レンズ15はそれぞれ、光路分岐回路10から出射された部分光を屈折する
ここで、本実施形態では、n=2の場合について説明しているので、4個の凸レンズ15a、15b、15c及び15dが備わる。凸レンズ15aは、焦点距離が最も長いものであり、光路分岐回路10の出射部分光Laを屈折する。また、凸レンズ15bは、2番目に焦点距離が長いものであり、光路分岐回路10の出射部分光Lbを屈折する。また、凸レンズ15cは、3番目に焦点距離が長いものであり、光路分岐回路10の出射部分光Lcを屈折する。また、凸レンズ15dは、最も焦点距離が短いものであり、光路分岐回路10の出射部分光Ldを屈折する。
なお、上述のように、凸レンズ15の総数は(2n −1)個でもよい。例えば、3個の場合には、距離範囲が最も観察者Vに近いオブジェクトAを表す部分光Laには凸レンズ15は割り当てられない。
光路選択回路12は、遠焦点化部11により処理された全ての部分光を受け取り、距離範囲が近いものから、距離範囲が遠いものへと順番に、極めて短い一定の時間毎に光を1つずつ選択する。光路選択回路12はこのような選択処理を繰り返す。また、光路選択回路12は、以上のようにして選択した光をレンズ5に向けて順次出射する。このように出射された光は、それぞれの虚像の位置が互いに異なるオブジェクトを表す立体画像光Ltである。
上述のような処理のために、光路選択回路12は、所定個数の反射部材16と、(2n −1)個のDMD17とを含む。各反射部材16及び各DMD17は、各反射部材14及び各DMD13と同様の形状を有しており、横中心面Phを基準として、各反射部材14及び各DMD13と対称な位置に配置される。
凸レンズ5は、DMD13及び17の大きさ(具体的には、対角線の長さ)が数インチと小さいことから、適度な大きさの立体画像を観察者Vが観察できるように、遠焦点化装置4から出射された立体画像光Ltを屈折させ、これによって、遠焦点化装置4の出射光Ltが表す各画像を拡大する。
反射部材6は、典型的には全反射ミラー又はハーフミラーであり、凸レンズ5により屈折された光を観察者Vの方向に反射させる。ここで、反射部材6がハーフミラーの場合、反射部材6の背後の光が観察者Vの方向に透過するため、観察者Vは、反射部材6の背後の情景に、反射部材6の反射光Ltが表す立体画像が重畳された像を視認することができる。
次に以上のような構成の立体画像表示システム1の具体的な動作例について説明する。今説明の便宜上、データ蓄積部8内のデータは、図3に示すような複数のオブジェクト(三角形)A、オブジェクト(長方形)B、オブジェクト(正方形)C及びオブジェクト(丸)Dを表すと仮定する。さらに、オブジェクトDには遠距離レンジに属する奥行き値が、オブジェクトCには第2の中間距離レンジに属する奥行き値が、オブジェクトBには第1の中間距離レンジに属する奥行き値が、さらに、オブジェクトAには近距離レンジに属する奥行き値が割り当てられていると仮定する。
画像分類部9は、前述からも明らかなように、データ蓄積部8内のデータから、部分データDa、Db、Dc及びDdを作成し、その後、部分データDa、Db、Dc及びDdを、前述の順番通りに表示装置3に送る。
表示装置3は、前述からも明らかな通り、部分データDa、Db、Dc及びDdのそれぞれを受け取る度に、それぞれが表すオブジェクトA、B、C及びDを自身の表示画面に表示する。これによって生成された光Lは、光路分岐回路10のDMD13aに向けて出射される。
光路分岐回路10において、DMD13a、13b及び13cは、図示しない制御部からの駆動電圧に従って、それぞれのマイクロミラー22の傾きを変更する。図4は、各DMD13a−13cにおけるマイクロミラー22の傾きを時間軸上で示すタイミングチャートである。図4において、「ON」とは、対象となるDMD13の全マイクロミラー22をONすることを意味し、「OFF」とは、そのDMD13の全マイクロミラー22をOFFすることを意味する。また、「DC」とは、「Don’t Care」、つまり、「ON」でも「OFF」でもどちらでもいいことを意味する。
まず、最初の時間区間t1において、光路分岐回路10に入射される多重光Lは、オブジェクトAを表している。このような多重光Lから、光路分岐回路10は、時間区間t1に入射されるもののみを抜き出して、部分光Laを生成し、遠焦点化部11の凸レンズ15aに出射する。具体的には、この間、DMD13aは、自身が備える全マイクロミラー22をONにして、入射多重光LをDMD13bの方向へと反射し、これによって、中間光Libを生成する。また、この間、DMD13bもまた、自身が備える全マイクロミラー22をONにして、DMD13aで生成された中間光Libを、反射部材14aの方向に反射し、これによって、部分光Laを生成する。反射部材14aは、DMD13bで生成された部分光Laを反射して、部分光Laを凸レンズ15aに与える。なお、この間、DMD13cはDCに設定される。
また、次の時間区間t2において、光路分岐回路10に入射される多重光Lは、オブジェクトBを表している。このような多重光Lから、光路分岐回路10は、時間区間t2に入射されるものを抜き出して、部分光Lbを生成して、遠焦点化部11の凸レンズ15bに出射する。具体的には、この間、DMD13aは、自身の全マイクロミラー22をOFFにして、入射多重光LをDMD13cの方向へと反射し、これによって、中間光Licを生成する。また、この間、DMD13cは、自身の全マイクロミラー22をONにして、DMD13aで生成された中間光Licを反射することにより、部分光Lbを抜き出し、遠焦点化部11の凸レンズ15bに与える。なお、この間、DMD13bはDCに設定される。
また、次の時間区間t3において、光路分岐回路10に入射される多重光Lは、オブジェクトCを表している。このような多重光Lから、光路分岐回路10は、時間区間t3に入射されるものを抜き出して、部分光Lcを生成して、遠焦点化部11の凸レンズ15cに出射する。具体的には、この間、DMD13aは、時間区間t1の場合と同様にして、中間光Libを生成する。また、この間、DMD13bは、自身の全マイクロミラー22をOFFにして、入射される中間光Libを反射することにより、部分光Lcを抜き出して、凸レンズ15cに与える。なお、この間、DMD13cはDCに設定される。
また、次の時間区間t4において、光路分岐回路10に入射される多重光Lは、オブジェクトDを表している。このような多重光Lから、光路分岐回路10は、時間区間t4に入射されるものを抜き出して、部分光Ldを生成して、遠焦点化部11の凸レンズ15dに出射する。具体的には、この間、DMD13aは、時間区間t2の場合と同様にして、中間光Licを生成する。また、この間、DMD13cは、自身の全マイクロミラー22をOFFにして、入射される中間光Licを反射することにより、部分光Ldを抜き出し、凸レンズ15dに与える。なお、この間、DMD13bはDCに設定される。
以上のような時間区間t1、t2、t3及びt4は互いに実質的に同じ時間tであり、極めて短い時間である。これら時間区間t1からt4までを単位周期として、光路分岐回路10は、上述のような処理を周期的に繰り返す。
また、遠焦点化部11において、凸レンズ15aは、時間区間t1に入射される部分光Laを屈折する。このような屈折により、部分光Laが表すオブジェクトAの虚像の位置が近距離レンジに設定される。また、このような部分光Laは、光路選択回路12の反射部材16aに入射される。
また、凸レンズ15bは、時間区間t2に入射される部分光Lbを屈折する。これによって、部分光Lbが表すオブジェクトBの虚像の位置が第1の中間距離レンジに設定される。このような部分光Lbは、光路選択回路12のDMD17cに入射される。
また、凸レンズ15cは、時間区間t3に入射される部分光Lcを屈折する。これによって、部分光Lcが表すオブジェクトCの虚像の位置が第2の中間距離レンジに設定される。このような部分光Lcは、光路選択回路12のDMD17bに入射される。
また、凸レンズ15dは、時間区間t4に入射される部分光Ldを屈折する。これによって、部分光Ldが表すオブジェクトDの虚像の位置が遠距離レンジに設定される。このような部分光Ldは、光路選択回路12の反射部材16bに入射される。
上述から明らかなように、光路選択回路12には、部分光La−Ldが互いに異なる光路を通じて順次的に入射される。光路選択回路12は、入射部分光La−Ldを時間軸上で多重して、立体画像光Ltを生成する。このような処理のために、光路選択回路12において、DMD17a、17b及び17cは、図示しない制御部からの駆動電圧に従って、それぞれのマイクロミラー22の傾きを変更する。図4はさらに、各DMD17a−17cにおけるマイクロミラー22の傾きを時間軸上で示している。
まず、最初の時間区間t1において、光路選択回路12は、入射される部分光Laを立体画像光Ltに多重する。具体的には、この間、反射部材16aは、入射される部分光Laを反射して、DMD17bに与える。この間、DMD17bは、自身が備える全マイクロミラー22をOFFにして、入射される部分光Laを反射して、DMD17aに与える。この間、DMD17aは、自身の全マイクロミラー22をOFFにして、入射される部分光Laを、レンズ5の光軸方向に反射し、これによって、立体画像光Ltに多重する。また、DMD17cは、この間、光選択に関与しないので、DCの状態である。
また、次の時間区間t2において、光路選択回路12は、入射される部分光Lbを立体画像光Ltに多重する。具体的には、この間、DMD17cは、OFFの状態になり、入射される部分光Lbを反射して、DMD17aに与える。また、この間、DMD17aは、ONの状態になり、入射される部分光Lbを、レンズ5の光軸方向に反射し、これによって、立体画像光Ltに多重する。なお、DMD17bは、この間、光選択に関与しないので、DCの状態である。
また、次の時間区間t3において、光路選択回路12は、入射される部分光Lcを立体画像光Ltに多重する。具体的には、この間、DMD17bは、ONの状態になり、入射された部分光Lcを反射して、DMD17aに与える。また、この間、DMD17aは、OFFの状態になり、入射される部分光Lcを、レンズ5の光軸方向に反射し、これによって、立体画像光Ltに多重する。なお、DMD17cは、この間、光選択に関与しないので、DCの状態である。
さらに、次の時間区間t4において、光路選択回路12は、入射される部分光Ldを立体画像光Ltに多重する。具体的には、この間、まず、反射部材16bは、入射される部分光Ldを全反射して、DMD17cに与える。DMD17cは、この間、ONの状態に設定され、入射される部分光Ldを反射して、DMD17aに与える。DMD17aは、この間、ONの状態に設定され、入射される部分光Ldを反射し、これによって、立体画像光Ltに多重する。なお、時間区間t4では、DMD17bは、光選択に関与しないので、DCの状態に設定される。
以上の時間区間t1からt4までを単位周期として、光路選択回路12は、上述のような処理を周期的に繰り返す。これによって、光路選択回路12は、オブジェクトA−Dをその順番通りに多重した立体画像光Ltを生成する。このような立体画像光Ltは、レンズ5に向けて出射される。
また、以上のような光路選択回路12から出射された立体画像光Ltは、レンズ5を通過した後、ミラー6により観察者Vの方向に反射される。
ここで、上述から明らかなように、オブジェクトAには、焦点距離が最も長い凸レンズ15aが割り当てられ、オブジェクトBには、2番目に焦点距離が長い凸レンズ15bが割り当てられ、オブジェクトCには、3番目に焦点距離が長い凸レンズ15cが割り当てられ、さらに、オブジェクトDには、最も焦点距離が短い凸レンズ15dが割り当てられる。各凸レンズ15を以上のように各オブジェクトに割り当てることにより、観察者Vは、図5に示すように、立体画像光Ltに含まれるオブジェクトAがあたかも自身から最も近い仮想スクリーンSA上に表示されているように見える。同様に、オブジェクトBが次に近い仮想スクリーンSB上に、オブジェクトCがあたかも3番目に近い仮想スクリーンSC上に虚像として表示されているように、さらに、オブジェクトDがあたかも最も遠くの仮想スクリーンSD上に虚像として表示されているように観察者Vには見える。
また、このような仮想スクリーン上の画像は、図6に示すように、時間区間t毎に切り替わる。具体的には、最初の時間区間t1では、オブジェクトAの虚像が観察者Vにより視認される。次の時間区間t2では、オブジェクトBの虚像が観察者Vにより視認され、オブジェクトA(点線参照)は残像として観察者Vの網膜に残る。次の時間区間t3では、オブジェクトCの虚像が観察者Vにより視認され、さらに、オブジェクトA及びBの各虚像が残像として残る。また、次の時間区間t4では、オブジェクトDの虚像が観察者Vにより視認され、他のオブジェクトA−Cの各虚像は残像となる。このような時間区間t1−t4までの画像切り替えが周期的に行われる。
このような4回の画像の切り替えにより、図7に示されるような4つのオブジェクトA−Dが立体的に重畳された立体画像が観察者Vに提供される。なお、図7において格子状の点線及び水平線は、奥行き感を表すために単に示されているだけである。
ここで、図8は、本立体画像表示システム1の技術的効果を示す図である。より具体的には、図8は、本立体画像表示システム1における各仮想スクリーンSA、SB、SC及びSDにおける光量と、従来のハーフミラー方式を採用した立体画像表示システムにおける各ハーフミラー(仮想スクリーン)230S、230I及び230Ib及び全反射ミラー230L(図19を参照)における光量とを対比した図である。なお、ハーフミラー230Ibは図19に記載されていないが、本技術的効果を説明するために、ハーフミラー230Iと全反射ミラー230Lとの間に設置されると仮定したハーフミラーである。また、観察者Vからみて、仮想スクリーンSAまでの奥行きと、ハーフミラー230Sまでの奥行きは同じであり、仮想スクリーンSBまでの奥行きとハーフミラー230Iまでの奥行きは同じであり、仮想スクリーンSCまでの奥行きとハーフミラー230Ibまでの奥行きは同じであり、さらに、仮想スクリーンSDまでの奥行きとハーフミラー230Lまでの奥行きは同じであると仮定する。さらに、表示装置3の光源としての強さと、全ての表示部227の光源としての強さとは互いに等しいと仮定する。また、従来技術との対比を正確に行うため、ミラー6は全反射ミラーとする。
従来の立体画像表示システムにおいて、ハーフミラー230S、230Ia及び230Ibの透過率をいずれも50%と仮定すると、全反射ミラー230Lで反射される表示部227Lからの光、及び表示部227Ibからの光は、ハーフミラー230S、230Ia及び230Ibを通過するので、表示部227Lから発せられた光の約13%(≒0.53 )しか観察者Vに届かない。また、表示部227Iaからの光については25%、表示部227Sからの光については50%しか観察者Vに届かない。そのため、観察者Vは、表示部227L及び227Ibの画像を特に見づらく感じる。
しかしながら、本立体画像表示システム1において、各DMD13及び17の反射率は約75%である。本立体画像表示システム1では、表示装置3から発せられた光は、観察者Vに届くまで4個のDMDで反射されるので、観察者Vには、表示装置3から発せられた光の約32%(≒0.754 )の光が届く。つまり、本立体画像表示システム1では、仮想スクリーンの位置によらず、表示装置3から発せられた光の約32%が観察者Vに届くので、本立体画像表示システム1によれば、観察者Vは奥行き感にかかわらず均等な明るさの立体画像を視認することが可能となる。
また、仮に、光路分岐回路10及び光路選択回路12にさらにDMDを追加して、表示装置3から発せられた光の反射回数を6にしたとしても、つまり、距離範囲の数を8にしても、表示装置3から発せられた光の約18%(≒0.756 )は観察者Vに届く。
一方、従来の立体画像表示システムで、距離範囲の数を8にしようとすると、少なくとも7個のハーフミラー230が必要となる。このような場合、最も遠い仮想スクリーンに表示される画像の光量は元々の約0.8%にまで減衰してしまい、観察者Vはこの画像をほぼ視認できない。
以上の説明から明らかなように、本立体画像表示システム1によれば、上述のようなDMDを使うことにより、表示装置3から発せられた光を少ない減衰量で観察者Vまで届けることができる。それによって、観察者がより見やすい立体画像を提供することができる。
(第1の変形例)
以上の実施形態では、各DMDの全マイクロミラー22は時間区間t1−t4のそれぞれにおいて一斉に同じ方向に傾くよう制御されていた。それゆえ、観察者Vには、図7に示すような立体画像、つまり、背景色が黒とならないものが視認される。それに対して、本変形例では、背景が黒の立体画像を提供可能な立体画像表示システム1について説明する。
なお、本変形例に係る立体画像表示システムは、第1の実施形態に係る立体画像表示システム1と比較すると、DMD13及び17に含まれるマイクロミラー22の傾き制御だけが相違する。それ故、本変形例において、第1の実施形態に係る立体画像表示システム1に相当する構成には同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
以下、DMD13内のマイクロミラー22の傾き制御について説明する。DMD13は基本的には、図4を参照して説明した通りに「ON」、「OFF」及び「DC」のいずれかの状態をとる。ただし、各DMD13において、図4に示す通りに「ON」及び「OFF」されるマイクロミラー22は、各時間区間t1−t4で表示されるオブジェクトの外形線内を表す光を反射するものだけである。つまり、各DMD13において、各時間区間t1−t4で表示されるオブジェクトの外形線外を表す光を反射するマイクロミラー22は、上述とは逆に「OFF」及び「ON」の状態をとる。
例えば、時間区間t2においては、オブジェクトBの画像を表す光がDMD13aで反射される。ここで、図9は、この時のDMD13aを上から見たときの図である。図9において、微小な格子はそれぞれマイクロミラー22を表している。なお、図示の都合上、「22」という参照符号は、1個の格子にのみ付されている。また、実際のDMDには数十万個のマイクロミラーが存在するが、図9は、説明の都合上、縦30個×横40個の合計1200個のマイクロミラー22を示している。以上のようなマイクロミラー22において、時間区間t2の間に「OFF」となるのは、図9に示すように、オブジェクトBの外形線内の画素を担当するものだけである。
これによって、図10Aに示すように、入射光Lのうち、オブジェクトBの外形線内を表すものはDMD13cの方向に中間光Licとして反射される。逆に、時間区間t2では、DMD13aにおいて、オブジェクトBの外形線外の画素を担当するマイクロミラー22は、「ON」に設定される。このように設定されたマイクロミラー22がDMD13cの方向へと光を反射するには、図10Aに示すように、法線Lvの方向に対して左40°の方向(矢印αを参照)からの入射光がなければならない。しかしながら、このような方向にはDMD13はおろか、何らの光源も無い。従って、部分光Lbにおいて、オブジェクトBの外形線外に相当する部分は黒く表示されるようになる。
また、図10Aに示すDMD13aにおいて、ONになっているマイクロミラー22は、入射光LをDMD13bの方向に反射可能である。時間区間t2において、DMD13bはDCに設定されるので、この間にDMD13aの方向から入射される光は、凸レンズ15a又は15cを通って光路選択回路12のDMD17bに送られる。しかし、時間区間t2において、DMD17bはDCに設定され、DMD17aはONに設定される。したがって、図10Bに示すように、たとえDMD17bの方向(矢印βを参照)からの光がDMD17aに入射されても、DMD17aは、このような入射光をレンズ5の方向へは反射しない。
以上のような制御により、時間区間t2において、レンズ5には、DMD13a→DMD13c→凸レンズ15b→DMD17c→DMD17aという光路を辿ってきた光のみが入射される。それ故、時間区間t2の間、DMD13aにおいて、ONになっているマイクロミラー22を反射した光は観察者Vには届かず、その結果、観察者Vは、オブジェクトB以外のエリアが黒い立体画像を視認することができる。
ところで、例えばオブジェクトBは、観察者VにとってオブジェクトAよりも奥に位置するように視認される。もし、オブジェクトB及びAが観察者Vからみて重なり合う場合、後から表示されるオブジェクトBにおいて、オブジェクトAと重なり合う部分を表示させると、オブジェクトAと重なり合ったオブジェクトBの一部分が、透き通って見えてしまう。このような不具合を解消するため、図9に示すように、オブジェクトBにおいて、オブジェクトAと重なり合う箇所を反射するマイクロミラー22は「ON」に設定される。
他の時間区間t1、t3及びt4についても同様である。これによって、図11に示すような各仮想スクリーンSA−SD上に、背景が黒のオブジェクトA−Dが表示され、これらオブジェクトA−Dを含む画像は図12に示すように時間t毎に切り替えられる。これによって、図13に示すように、観察者Vにとって違和感の無い立体画像を提供することが可能となる。
(第2の変形例)
また、前述の実施形態において、立体画像表示システム1において、遠焦点化装置4は1段であったが、複数段備わっていても構わない。本変形例では、複数の遠焦点化装置4を備える立体画像表示システムの例について説明する。図14は、立体画像表示システム101の全体構成を示す模式図である。図14において、立体画像表示システム101は、前述の立体画像表示システム1と比較すると、遠焦点化装置4の代わりに、直列に光結合された2個の遠焦点化装置4a及び4bとを備える点で相違する。それ以外に両立体画像表示システム1及び101の間に相違点は無い。それ故、図14において、図1の構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
また、図15は、図14に示す遠焦点化装置4a及び4bの詳細な構成を示す模式図である。図15において、遠焦点化装置4a及び4bは、図1に示す遠焦点化装置4と比較すると、遠焦点化部11の代わりに、遠焦点化部11a及び11bを備える点でそれぞれ相違する。それ以外に遠焦点化装置4と、遠焦点化装置4a及び4bとの間に相違点は無い。それ故、図15において、図1に示す構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
遠焦点化部11a及び11bは、凸レンズ151及び152を、2n 個又は(2n −1)個含む。なお、図15には、前述の実施形態における例と同様に、2n 個の凸レンズ151及び152が遠焦点化部11a及び11bに備わっており、さらに、n=2の場合について示されている。このような構成の場合、遠焦点化装置4aの内部には4通りの光路が形成され、遠焦点化装置4bの内部にも4通りの光路が形成される。したがって、遠焦点化装置4a及び4bを直列に光結合することにより、表示装置3からレンズ5の間には、4×4=16通りの光路が形成される。ここで、各凸レンズ151及び152の焦点距離は、全凸レンズ151から選ばれた1個と、全凸レンズ152から選ばれた1個とを組み合わせたものの焦点距離が互いに異なるように選ばれる。また、このような立体画像表示システム101において、前述の実施形態と同様に、DMDのマイクロミラーの傾きが制御されると、観察者Vに対して、16種類の奥行き感がある立体映像が提供される。
また、本変形例における光量は、DMDでの反射が8回(4回×2)となるので、表示装置3が発する光の約10%(=0.758 )が観察者Vに届く。このような値は、前述の実施形態と比較すると劣るが、従来のハーフミラー重畳方式で16種類の奥行き感のある立体画像を提供しようとすると、観察者Vから近いものから数えて4枚目の仮想スクリーンにおいて、本変形例の光量を下回る約6%になってしまう。また、7枚目の仮想スクリーンでの光量は、表示装置が発する光量の1%であり、最も遠い16枚目の仮想スクリーンでの光量は、その約0.003%となってしまう。つまり、従来のハーフミラー重畳方式では、本変形例のような多数の奥行き感を表現することは、現実的に不可能であることが分かる。
(第3の変形例)
なお、以上の実施形態及び各変形例では、レンズ5の光軸上に基準となるDMD13aが配置され、2個のDMD13b及び13cが光軸を基準として互いに対称な位置に配置されていた。また、DMD17a−17cも同様に配置されていた。しかし、これに限らず、図16に示すように、立体画像表示システム1又は101において、(2n −1)個のDMD13又は17は直列に配置されても構わない。この場合、DMD13又は17による反射回数が多ければ多いほど、観察者Vに届く光量は減衰するが、この場合、遠くに見えるオブジェクトを表す光の光路が長くなるようにDMD13又は17を配置し、近くに見えるオブジェクトを表す光の光路が短くなるように、DMD13又は17を配置したり、遠くに見えるオブジェクトを表す光の反射回数を多くし、近くに見えるオブジェクトを表す光の反射回数を少なくしたりすることが可能となる。なお、図16に示す立体画像表示システム1又は101についても、前述の実施形態と同様に、従来の立体画像表示システムとの光量比を図17に示す。
なお、以上の説明において、各遠焦点化部は、凸レンズから構成されるとして説明したが、これに限らず、凹レンズ、凸面鏡又は凹面鏡若しくはこれらを組み合わせたり、レンズの特性を持ったHOE(ホログラフィック光学素子)を用いたりして実現することも可能である。
なお、以上の実施形態では、データ蓄積部8には、各オブジェクトの奥行き値が格納されるとして説明したが、これに限らず、データ蓄積部8は、各オブジェクトに予め割り当てられる距離範囲を格納してもよい。
また、以上の説明では、反射部材6としてハーフミラーを備える例も説明したが、反射部材6に代えて、ハーフミラーの特性を持ったHOE(ホログラフィック光学素子)を備えていても構わない。
また、以上の第1の変形例では、マイクロミラー22の傾きの制御により、複数のオブジェクトにおいて重なり合う部分の画像を観察者Vに見せないようにしていた。しかし、これに限らず、表示装置3自体が、一番観察者V寄りのものを除く全オブジェクトにおいて互いに重なり合う部分を表示しないようにしても構わない。
また、反射部材6がハーフミラーの場合には、観察者Vは、実風景に立体画像が重畳された像を観ることになる。この場合、表示装置3は、実風景よりも遠くに表示されるべき部分の映像光を出力しないようにしても構わない。他にも、表示装置3は、オブジェクト同士間の重なり、又はオブジェクトと実風景との重なりにかかわらず、与えられたデータに従って完全な画像を表す光を発するようにしても構わない。
また、以上の実施形態又は各変形例において、反射部材6が無い構成を採用しても構わない。この場合、観察者Vは、レンズ5を直視することで、立体画像を視認することになる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記説明はあらゆる意味において例示的なものであり限定的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなしに多くの他の改変例及び変形例が可能であることが理解される。
本発明に係る立体画像表示システムは、観察者がより見やすい立体画像を提供することが要求される様々な表示装置等、例えば、ヘッドアップディスプレイ、自動車シミュレータ、フライトシミュレータ、ゲーム機、テーマパーク又は遊園地で立体画像を提供可能なアトラクションに適用できる。
本発明の第1の実施形態に係る立体画像表示システム1の全体構成を示す模式図 図1に示すDMD13又は17の詳細な動作を示す第1の模式図 図1に示すDMD13又は17の詳細な動作を示す第2の模式図 図1に示すDMD13又は17の詳細な動作を示す第3の模式図 図1に示すDMD13による光の反射を示す第1の模式図 図1に示すDMD17による光の反射を示す第2の模式図 図1に示すデータ蓄積部8に格納されるデータが表すオブジェクトを例示する模式図 図1に示す各DMD13及び17の動作を示すタイミングチャート 図1に示す立体画像表示システム1により仮想的に形成される仮想スクリーンを例示する模式図 図5に示す各仮想スクリーンに表示される画像の遷移を示す状態遷移図 図1に示す立体画像表示システム1により提供される立体画像を例示する模式図 図1に示す立体画像表示システム1の有利な点を示す図 第1の実施形態の変形例(第1の変形例)におけるDMD13aを真上から観たときの模式図 図9に示すDMD13aのマイクロミラー22の状態を示す模式図 図9に示すDMD13aにより反射された光がDMD17aにどのように入射され反射されるかを示す模式図 第1の変形例に係る立体画像表示システム1により仮想的に形成される仮想スクリーンを例示する模式図 図11に示す各仮想スクリーンに表示される画像の遷移を示す状態遷移図 第1の変形例に係る立体画像表示システム1により提供される立体画像を例示する模式図 第1の実施形態の変形例(第2の変形例)に係る立体表示装置101の構成を示す模式図 図14に示す遠焦点化装置4a及び4bの詳細な構成を示す模式図 第1の実施形態の変形例(第3の変形例)に係る立体画像表示システム1又は101の構成を部分的に示す模式図 図16に示す立体画像表示システム1又は101の有利な点を示す図 パララックスバリア方式を採用した一般的な立体画像表示システムの全体構成を示す模式図 従来の立体画像表示システムの全体構成を示す模式図 図17に示す立体画像表示システムの問題点を示す模式図
符号の説明
1,101 立体画像表示システム
2 画像生成装置
8 データ蓄積部
9 画像分類部
3 表示装置
4,4a,4b 遠焦点化装置
10 光路分岐回路
11 遠焦点化部
12 光路選択回路
13 DMD
14 反射部材
15,151,152 凸レンズ
16 反射部材
17 DMD
22 マイクロミラー
5 レンズ
6 反射部材
また、以上のような光路選択回路12から出射された立体画像光Ltは、レンズ5を通過した後、反射部材6により観察者Vの方向に反射される。
ここで、図8は、本立体画像表示システム1の技術的効果を示す図である。より具体的には、図8は、本立体画像表示システム1における各仮想スクリーンSA、SB、SC及びSDにおける光量と、従来のハーフミラー方式を採用した立体画像表示システムにおける各ハーフミラー(仮想スクリーン)230S、230I及び230Ib及び全反射ミラー230L(図19を参照)における光量とを対比した図である。なお、ハーフミラー230Ibは図19に記載されていないが、本技術的効果を説明するために、ハーフミラー230Iと全反射ミラー230Lとの間に設置されると仮定したハーフミラーである。また、観察者Vからみて、仮想スクリーンSAまでの奥行きと、ハーフミラー230Sまでの奥行きは同じであり、仮想スクリーンSBまでの奥行きとハーフミラー230Iまでの奥行きは同じであり、仮想スクリーンSCまでの奥行きとハーフミラー230Ibまでの奥行きは同じであり、さらに、仮想スクリーンSDまでの奥行きとハーフミラー230Lまでの奥行きは同じであると仮定する。さらに、表示装置3の光源としての強さと、全ての表示部227の光源としての強さとは互いに等しいと仮定する。また、従来技術との対比を正確に行うため、反射部材6は全反射ミラーとする。

Claims (14)

  1. 立体画像表示システムであって、
    複数のオブジェクトのそれぞれを表すデータを、立体画像の奥行き方向に沿う距離の範囲毎に分類して順次的に出力する画像生成装置と、
    前記画像生成装置から出力された各データに対して順次的に表示処理を行って、各前記オブジェクトを表す光が時間軸上で多重された光を発する表示装置と、
    前記表示装置から発せられた多重光に含まれる各オブジェクトに立体感又は距離感を与えて、これらオブジェクトを立体的に視認可能な立体画像光を生成する1又は複数の遠焦点化装置とを備え、
    前記遠焦点化装置は、
    内部に含む少なくとも1個のDMD(Digital Micro−mirror Device)が有するマイクロミラーの傾きを予め定められた時間毎に変更して、前記表示装置から発せられた多重光から、複数のオブジェクトのいずれかを含む複数の部分光を分離する光路分岐回路と、
    前記光路分岐回路により分離された複数の部分光のそれぞれが表すオブジェクトに、互いに異なる立体感又は距離感を与える遠焦点化部と、
    内部に含む少なくとも1個のDMDが有するマイクロミラーの傾きを、前記予め定められた時間と実質的に同じ時間毎に変更することで、前記遠焦点化部から発せられた複数の部分光を、予め定められた時間毎に順番に選択し、選択した光を順次的に出力して立体画像光を生成する光路選択回路とを含む、立体画像表示システム。
  2. 前記光路分岐回路で分離された各部分光のそれぞれに割り当てられかつ互いに異なる焦点距離を持つ光学部品を、前記遠焦点化部は有する、請求項1に記載の立体画像表示システム。
  3. 前記光学部品は、凸レンズ、凹レンズ、凸面鏡及び凹面鏡からなるグループから選ばれる1以上である、請求項2に記載の立体画像表示システム。
  4. 前記光学部品は、ホログラフィック光学素子である、請求項2に記載の立体画像表示システム。
  5. 複数の前記遠焦点化装置は互いに直列に光結合される、請求項1に記載の立体画像表示システム。
  6. 各前記遠焦点化部は、前記光路分岐回路で分離された各部分光のそれぞれに割り当てられる光学部品を有しており、
    前記遠焦点化部のそれぞれから1つずつ選ばれた光学部品を組み合わせたものの焦点距離は互いに異なる、請求項5に記載の立体画像表示システム。
  7. 前記遠焦点化装置から出力された立体画像光を観察者の方向に反射する、少なくとも1個の反射部材とを備える、請求項1に記載の立体画像表示システム。
  8. 前記反射部材が立体画像光を反射することにより、複数のオブジェクトが合成された立体画像が前記観察者により視認される、請求項7に記載の立体画像表示システム。
  9. 前記反射部材は、前記光路選択回路からの光の一部を所定方向に向けて反射するとともに、自身の背後からの光を同方向に向けて透過する、請求項7に記載の立体画像表示システム。
  10. 前記反射部材は、ハーフミラー、全反射ミラー及びホログラフィック光学素子のいずれかである、請求項7に記載の立体画像表示システム。
  11. 前記DMDは複数のマイクロミラーを有しており、所定部分のマイクロミラーの傾きを変更することにより、各前記表示部から発せられた光の一部分を選択する、請求項1に記載の立体画像表示システム。
  12. 前記所定部分のマイクロミラーとは、前記立体画像光が表す立体画像においてオブジェクトが無い部分を担当するものである、請求項11に記載の立体画像表示システム。
  13. 前記所定部分のマイクロミラーとは、前記立体画像光が表す立体画像において、複数のオブジェクトが重なり合う部分の遠距離側を担当するものである、請求項11に記載の立体画像表示システム。
  14. 前記反射部材は、前記光路選択回路からの光の一部を観察者に向けて反射するとともに、自身の背後からの光を観察者に向けて透過し、
    前記所定部分のマイクロミラーとは、前記立体画像光が表す立体映像に含まれるオブジェクトにおいて、前記反射部材の背後に存在する物体よりも遠距離側に表示される部分を担当するものである、請求項10に記載の立体画像表示システム。
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