JP4871540B2 - 立体像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、立体像表示装置に関し、例えばテレビ、ビデオ、コンピュ−タモニタ、ゲ−ムマシンなどにおいて立体像表示を行うのに好適なものである。
従来、立体像を再生する立体像再生方式として様々な方式が試みられている。特に特殊な眼鏡などの装着を必要としない裸眼立体視方式は臨場感ある立体感が実現できることから次世代の映像情報提示装置として有望視されている。
一般的な裸眼立体視方式は右眼用の視差画像と左眼用の視差画像とをそれぞれ独立に観察者の対応する眼に提示する両眼視差方式によって、観察者に立体を認識させている。両眼に独立した視差画像情報を提示するためには画像表示装置とそこからの画像情報を左右それぞれの眼に指向させる指向性発生手段が必要となる。例えば、裸眼立体視方式として最も一般的な方法であるレンチキュラ方式においてはレンチキュラレンズアレイが上記指向性発生手段の作用をして、LCD、PDPなどの画像表示装置と組み合わせることで、立体像表示装置を構成している。こうした従来の裸眼立体視方式については種々な文献に多く掲載され、広く知られている(非特許文献1)。
しかしながら、両眼視差方式による立体像認識は、眼の焦点調節機能による立体像認識位置と両眼視差による立体像認識位置との間に矛盾が生じるため、観察者は疲労や違和感を覚えることが少なくない。
そこで近年、両眼視差のみに頼らずその他の立体像知覚機能も満足する、より臨場感の高い3次元像再生方法(立体像再生方法)が提案されている(特許文献1)。
特許文献1にて提案されている方式においては、多数の微小視差画像を微小角度ピッチで異なる方向に提示し、観察者の単眼に複数の視差画像が入射するように構成している。このように観察者の単眼に複数の視差画像を提示すると、観察者の眼の焦点調節が両眼視差で認識される立体像位置に導かれ立体像知覚における矛盾が解消されることから、観察者の疲労や違和感が軽減される。
また、観察者の観察位置の移動に対する視差変動(いわゆる運動視差)が正確に表現できるという効果もあり、総合的に立体像の質が向上する。このような立体表示は「超多眼領域」の立体表示と呼ばれており、従来より種々と紹介されている(非特許文献2、3)。
特開2003−307709号公報号公報 「3次元ディスプレイ」(産業図書株式会社発行 増田千尋 著) "Hologramlike video images by 45−view tereoscopic display",Proc. SPIE Vol. 3012, p.154−166, StereoscopicDisplays and Virtual Reality Systems IV(1997) "3D display using intersection of light beams", Proc. SPIE Vol. 3957, p. 215−224, Stereoscopic Displays and Virtual Reality Systems VII(2000)
「超多眼領域」の立体像表示を良好に行うためにはいくつかの方法がある。例えば微小視差画像数を増やし、視差画像の提示方向をより細分化することが立体視する上で好ましい。しかしながら視差画像の提示方向を細分化しようとすると、個々の視差画像の解像度(画素数)が劣化してくる。このことを上述の特許文献1を例に挙げて説明する。
図24は、特許文献1で開示されている立体像表示装置の概略図である。図24において、画像表示パネル101には画像供給装置110から視差画像A1〜A4、B1〜B4、C1〜C4、D1〜D4に基づく画像信号が供給され、画像表示面101a上の表示領域に画像を表示させる。102はマイクロレンズアレイやピンホ−ルアレイなどの微小光学系アレイである。
上記画像表示パネル101の表示領域A1〜A4、B1〜B4、C1〜C4、D1〜D4の4段×4列の計16個の領域に分割され、微小光学系アレイ102もまた上記分割数に対応する数の微小光学系(ピンホ−ル)102aを有している。103は一方向拡散光学素子である。この一方向拡散光学素子103は、所定の1方向(表示装置への組み込み状態では鉛直方向V)にのみ光を拡散させる性質を持つ。具体的には周期構造が微小ピッチのシリンドリカルレンズを鉛直方向で繰り返されるようなレンチキュラレンズ板を用いている。104はリレ−光学系である。このリレ−光学系104は、立体像観察時の観察位置において観察瞳を形成する役割を持っており、ここでは水平方向Hにのみ光学的パワ−(1/焦点距離)を持つシリンドリカルレンズを用いている。
画像表示パネル101上の各視差画像は微小光学系アレイ102によって一方向拡散光学素子103上に重畳投影される。
しかしながらリレ−光学系104の結像作用により、微小光学系アレイ102上の個々のピンホ−ル102aは、図中のように立体像観察時の観察瞳PA1´〜PA4´、PB1´〜PB4´、PC1´〜PC4´、PD1´〜PD4´となって結像する。ただし、一方向拡散光学素子103が鉛直方向Vの拡散作用を有していることと、リレ−光学系104が水平方向Hにのみ光学的パワ−を有していることから、上記観察瞳は図中のように水平方向幅が小さく、鉛直方向長さの長いものになっている。さらに特徴的なのは、画像表示パネル101の各表示領域A1〜A4、B1〜B4、C1〜C4、D1〜D4および微小光学系アレイ102の各ピンホ−ル102aは図示されているように水平方向位置が微小間隔となるように斜め配置されている。このため結像した観察瞳群は水平方向Hについては微小間隔で並ぶ。その結果、観察者105は微小間隔で並んだ観察瞳を通して多数の微小視差画像(PA1´〜PA4´、PB1´〜PB4´、PC1´〜PC4´、PD1´〜PD4´)を微小角度ピッチで異なる方向から観察することができる。
例えば図24において、表示領域A1の画像は、観察瞳PA1´から観察され表示領域B1の画像は観察瞳PB1´から観察される。これが各表示領域の画像について対応している。さらに上記観察瞳間の水平方向Hの間隔を観察者の瞳孔径未満に設定すれば、観察者の単眼に複数の視差画像が入射する「超多眼領域」の立体表示が可能となる。ここで視差画像数を増やすために表示領域の数を増やすと、表示領域内の画素数が減少する。この為個々の視差画像の解像度が劣化してくる。
又、観察者の水平方向Hの観察幅を拡大させようとすると、画像表示パネル101の表示領域や微小光学系アレイ102のサイズもまた拡大せざるを得なく装置全体が大型化してくる。
本発明は、高品質な超多眼を実現するために求められる、多くの微小視差画像を微小角度ピッチで多方向に提示することと、個々の視差画像を高い解像度で表示することの両立を実現できる立体像表示装置の提供を目的とする。
この他本発明は、立体像の解像度や視点数、視点ピッチの関係を高い自由度で設定することができる立体像表示装置の提供を目的とする。
本発明の立体像表示装置は、視差画像情報に基づく光束を出射する画素を複数含む変調手段と、
前記光変調手段の光出射側に配置され、1次光出射点を形成する1次光出射部を、所定の方向に複数個配列して構成される1次光出射点配列手段有し、
前記1次光出射点配列手段は、前記変調手段の各画素からの光束を、指向性があり、かつ互いに異なる複数の方向へ出射する光束とし、
前記1次光出射点配列手段の光出射側に配置され、前記複数の1次光出射部からの光束により前記1次光出射よりも多くの2次光出射、前記1次光出射点の光源像として形成する光出射点多重化手段を有することを特徴としている。
本発明によれば、多くの微小視差画像を微小角度ピッチで多方向に提示することと、個々の視差画像を高い解像度で表示することとができる立体像表示装置が得られる。
はじめに、本発明の立体像表示装置における立体視の基本概念について説明する。本発明の立体像表示装置は、「超多眼領域」の立体像表示(立体表示)を効果的に実現している。尚、ここで言う立体表示とは、観察者に対して互いに異なる複数の画像をほぼ同時に観察させることにより、観察者に立体像を認識させることが可能な表示のことであり、実際に立体像を表示することでなくても構わない。また、「ほぼ同時」というのは勿論同時であっても構わないし、また観察者にとって残像が残っている時間内であれば同時でなくても構わない。具体的には1/60秒以内であれば時間差があっても構わない。
「超多眼領域」の立体表示を実現する基本構成について図1(a),(b)を用いて説明する。
「超多眼領域」の立体表示を実現するための構成は、複数の微小視差画像が微小角度ピッチで異なる複数の方向に提示されており、観察者の単眼に同時に空間内で交差した複数の(好ましくは3つ以上の)微小視差画像情報に基づく光束が入射することである。
図1(a)および(b)はいずれも観察者101aの単眼(瞳面)101に同時に複数(2つ)の微小視差画像情報に基づく光束が入射している状況を示している。
ただし、図1(a)と図1(b)では、画像情報102aの表示最小単位102(一般に画素と呼ばれる)からの光が高い指向性を持っている場合図1(a)とそうではない場合図1(b)とを比較して示している。
図1(a)では、画素102からの光が高い指向性を持ち、観察者の単眼101に到達する時点においても元の画素と同等の光束径を保っており、光線状態のまま単眼101に入射している。この場合、観察者101aは光線自体からその出射位置を特定する奥行き手がかりを得ることができない。なぜなら光束の断面積が画素位置102b〜観察者位置101bにおいて大きく変化しないので、どの位置に眼101のピントを合わせても網膜像101cのボケ量が変化しないからである。
しかしながら、単眼101に複数の光線が異なる角度で入射している場合は、それら光線の交点位置Cに眼の焦点調節が合いやすくなる。なぜなら光線の交点位置Cに眼のピントを合わせた場合に、網膜像101Cの面積が最も小さくなる、つまり網膜像101Cのボケ量が最も小さくなるからである。このことは図1(a)中の面A、B、Cでの光束断面積をそれぞれ調べると明らかである。
したがって、画素102からの光が高い指向性を持つ「光線」状態になっており、かつこれら「光線」が複数本、同時に単眼101内に入射する場合は、これら光線の交点位置Cに観察者101aの眼の調節を誘導することが可能となる。
そして観察者は交点位置Cに像が存在していると認識する。
一方、図1(b)に示すように、画素102からの光の指向性が低いと、観察者101aの単眼101に到達する時点において光束径が元の画素102の数倍以上に拡がってしまう。この為拡散光状態で単眼101に入射する場合は、観察者101aの眼101の調節は画素位置102bに合いやすくなる。なぜなら光束の断面積は画素位置102bにおいて最も小さくなるからである。
したがって、たとえ単眼101に複数の光線が異なる角度で入射している場合でも、それら光線B,Cの交点位置に観察者の眼の調節を誘導することは難しくなる。このことは図1(b)中の面A、B、Cでの光束断面積をそれぞれ調べると明らかである。
したがって図1(b)に示すように、画素102からの光が指向性の低い「拡散光」状態になっている場合、たとえ複数の光束が単眼101内に同時に入射していても、これら光線の交点位置B、Cに観察者の眼の調節を誘導することは困難となる。
上記のことをふまえると「超多眼領域」の立体表示を実現するためには、次の4つの手段又は状態が必要となる。
(イ)指向性の高い光線を生成する「光線生成手段」
(ロ)微小角度ピッチで異なる方向に複数光線を出射させる「光線偏向手段」
(ハ)光線の出射角に応じて視差画像情報を反映した光学情報(強度、色など)を光線ごとに独立に付与する「光線変調手段」
(ニ)観察者から見た光線の光出射点が画像情報の画素と見なせる程度に高密度に配列されている「光出射点の高密度配列状態」
次に超多眼領域の立体像の表示を行う基本構成について説明する。
図2は、「超多眼領域」の立体像表示を実現するための基本構成の説明図である。
立体像表示装置1は光線生成手段1−1、光線偏向手段1−2、光線変調手段1−3(光変調手段)の3つの部分を有する表示部1aを有している。光線生成手段1−1は観察者6の観察位置6aまで光束断面積が大きく変化しない高い指向性を有する光束、すなわち光線を生成する。光線偏向手段1−2は光線ごとに異なる出射角を与える。光線変調手段1−3は視差画像情報を反映した光学情報(強度、色など)を光線ごとに独立に付与する。上記3つの手段は機能的に2つ、あるいは1つにまとめられる場合もある。これらの構成により立体像表示装置1は、任意の光学情報を付与された、高い指向性を有する光線を、微小角度ピッチで異なる方向に出射させている。このとき立体像表示装置1は光線が出射する光出射点を形成する光出射部(以下「光出射点」という。)を複数個配列した光出射部列(以下「光出射点列」という。)を形成している。
即ち立体像表示装置1は、光線が出射する複数の光出射点2a1〜2anが一方向に配列された光出射点列2を形成し、これら光出射点列2は観察者6から見て画像情報の画素と見なせる程度に高密度に配列されている。したがって、観察者6が立体像表示装置1の方向を見るとき、観察者6は画像を認識することができるが、観察位置(観察方向)を変えると、その観察位置(光線の出射角)に応じて異なる視差画像情報が付与された光線が眼に入射してくる。このため観察位置の移動に対する視差変動(いわゆる運動視差)をも認識することができる。
また、観察位置6aに到達する光線同士の間隔は眼の瞳孔径未満に設定されているため、この立体像表示装置1は光線の交点位置Cに眼の調節を誘導すること、すなわち超多眼領域の立体視を観察者に行わせることが可能となる。
次に、上記超多眼領域の立体表示の具体例を説明する。
まずパララックスバリア方式について説明する。
画像表示面の前にパララックスバリアと呼ばれる複数の縦長スリット開口を横方向(水平方向)に配列した集合体を配置して、画像の観察方向に指向性を持たせるパララックスバリア方式は、一般的な2眼式の立体表示装置で頻繁に採用されている。この方式は超多眼領域の立体表示にも拡張することができる。
図3(a)はパララックスバリア12を画像表示手段11の前(光出射側)に配置し、水平方向Hの複数へ指向性ある光束を放射し画像呈示を行う方法の平面図である。本方式により超多眼領域の立体表示を行う原理を部分拡大図3(b)を用いて説明する。
画像表示手段(光線変調手段)11は画素を複数含む。そして画像表現の最小単位である画素11aは図中の○で示したように画像表示手段11の表面11C上に高密度に配列され、それぞれ、しかるべき強度や色を有する画像情報光を発する。画像表示手段11からの光束のうち観察者6に到達する光はパララックスバリア(光出射点配列手段)(光出射部配列手段)(1次光出射点配列手段)12のスリット開口(光出射点)12aを通過した光に限定される。このスリット開口12aの水平幅は十分小さく設定されているので、スリット開口12aを通過した光は高い指向性を有し、光線のように振舞う。また、これら光線の出射方向は上記画素11aとスリット開口12aとの相対的位置関係によって一意的に決定し、どの光線同士も独立な関係を保持することになる。つまり、パララックスバリア方式によって上記超多眼表示を実現する場合、各構成は次のような役割を担う。
上記のような構成を有し、かつ光線の高指向性および、視差画像の呈示方向の微小な分解能があれば、超多眼領域の立体表示が可能となる。
次にレンチキュラ方式について説明する。
画像表示面の前にレンチキュラレンズと呼ばれる複数の縦長シリンドリカルレンズを横方向(水平方向)Hに配列した集合体を配置して、画像の観察方向に指向性を持たせるレンチキュラ方式は一般的な2眼式の立体表示装置で頻繁に採用されている。この方式は超多眼領域の立体表示にも拡張することができる。
図4(a)はレンチキュラレンズ(光出射点配列手段)13を画像表示手段(光変調手段)11の前に配置し、水平方向Hの複数へ指向性ある光束を放射して画像呈示を行う方法の平面図である。
本方式により超多眼領域の立体表示を行う原理を部分拡大図4(b)を用いて説明する。
画像表示手段11の画像表現の最小単位である画素11aは図中の○で示したように画像表示手段11の表面11c上に高密度に配列され、それぞれ、しかるべき強度や色を有する画像情報光を発する。これらの画像情報光はレンチキュラレンズ13に入射するが、その出射方向は画素11aとレンチキュラレンズ13との相対的位置関係によって一意的に決定する。
また、画像表示手段11はレンチキュラレンズ13を構成する各シリンドリカルレンズ(光出射点)13aの焦点距離f前後だけレンチキュラレンズ13からはなれて配置されており、レンチキュラレンズ13からは略平行光が出射していく。つまりレンチキュラレンズ13を通過した光は高い指向性を有し、光線のように振舞う。また、これら光線の出射方向は上記画素11aと個々のシリンドリカルレンズ13aとの相対的位置関係によって一意的に決定し、どの光線同士も独立な関係を保持することになる。つまり、レンチキュラレンズ方式によって上記超多眼表示を実現する場合、各構成は次のような役割を担う。
上記のような構成を有し、かつ光線の高指向性および、視差画像呈示方向の微小な分解能があれば、超多眼領域の立体表示が可能となる。
次にマルチプロジェクション方式について説明する。
図4(a)、(b)のレンチキュラ方式では画像表示手段11の前にレンチキュラレンズ13と呼ばれる縦長シリンドリカルレンズ13aの集合体を配置して、画像の観察方向に指向性を発生させていた。これに対し、マルチプロジェクション方式では、画像表示手段11およびレンチキュラレンズ13を水平方向に複数に分割し、各々独立に画像投影を行って、複数の視差画像の表示を実現する方法である。図5は本方式の概念を示す平面図である。図5において、19は画像表示手段アレイで、各々独立に異なる画像(複数画像19a)を表示しうる。20は画像投影手段アレイで、上記複数の各画像19aを所定の位置に投影する光学系(画像投影手段)20aの集合体となっている。図中21は指向性発生手段アレイで、上記各々の画像投影手段20aの絞りとして作用する微小開口21aの集合体となっており、投影される画像19aの指向性を高める役割を担っている。超多眼表示において表示画像を形成する光に高い指向性が必要なことは、既に図1(a)と図1(b)を用いて説明したとおりである。指向性発生手段アレイ21の微小開口21aを通過した光は高い指向性を有し、光線のように振舞う。
また、これら光線の出射方向は上記画像表示手段アレイ19上の画素19aと上記指向性発生手段アレイ21の微小開口21aおよび画像投影手段アレイ20の画像投影手段20aの画像投影手段20aとの相対的位置関係によって一意的に決定される。どの光線同士も独立な関係を保持することになる。つまり、マルチプロジェクション方式によって上記超多眼表示を実現する場合、各構成は次のような役割を担う。
上記のような装置構成を有し、かつ光線の高指向性および、視差画像呈示方向の微小な分解能があれば、超多眼領域の立体表示が可能となる。
次に本発明の実施例1について説明する。
ここまで、超多眼領域の立体表示を行う方法について述べてきたが、本発明は前述した超多眼領域の立体表示を、より高精細に、あるいはより連続性を持って観察せしめる装置及び方法を提供している。その実施例1の具体例を以下に述べる。
超多眼領域で立体表示するとは、観察者の各々の眼に複数の(好ましくは3つ以上の)視差画像を入射させることにより、それらの視差画像に基づく立体像を観察者に認識させることを言う。
図6は、本発明の実施例1の基本構成の概略図である。立体像表示装置1は光線生成手段1−1、光線偏向手段1−2、光線変調手段1−3の3つの部分を有している。光線生成手段1−1は観察位置まで光束断面積が大きく変化しない高い指向性を有する光束、すなわち光線を生成する。光線偏向手段1−2は光線ごとに異なる出射角を与える。光線変調手段1−3は視差画像情報を反映した光学情報(強度、色など)を光線ごとに独立に付与する。上記3つの手段は機能的に2つ、あるいは1つにまとめられる場合もある。これらの構成により立体像表示装置1は、任意の光学情報を付与された、高い指向性を有する光線を、微小角度ピッチで異なる方向に出射させることができる。
このとき立体像表示装置1は光線が出射する複数の光出射点(光出射部)2a1〜2anが一方向に配列された光出射点列(光出射部列)2を形成し、これら光出射点列2は観察者6から見て画像情報の画素と見なせる程度に高密度に配列されている。
ここまでは、図2の従来の超多眼領域の立体表示装置の構成に等しい。
本実施例において特徴的なのは上記光出射点列2を空間内に互いに重量しないで一方向に結像して多重化するための光出射点多重化手段(光出射部多重化手段)3を有し、1つの光出射点より複数の2次光出射点(2次光出射部)を形成し、より高密度な高密度光出射点列(高密度光出射部列)4を形成していることにある。そして上記光出射点多重化手段3は高密度光出射点列4から放射する光について、高い指向性を維持し、かつ微小角度ピッチで異なる方向に出射させるよう構成されている。このため従来の超多眼表示装置と同様、観察位置(観察方向)を変えると、その観察位置(光線の出射角)に応じて異なる視差画像情報が付与された光線が眼に入射してくる。これによって観察位置において移動に対する視差変動(いわゆる運動視差)をも認識することができる。ここで、1つの光出射点からの光束に基づいて形成される複数の2次光出射点は、互いに異なる位置に形成されており、さらに互いに異なるタイミング(好ましくは1/60秒以内の小さな時間差)で形成される。
また、観察位置6aに到達する光線同士の間隔は眼の瞳孔径未満に設定されているため、この立体像表示装置1は光線の交点位置(図1の位置C)に眼の調節を誘導すること、すなわち超多眼領域の立体視を観察者に行わせることが可能となる。
さらに本実施例においては観察者6が認識する高密度光出射点列4が光出射点多重化手段3によって高密度化されているので、観察者6が立体像表示装置1の方向を見るとき、観察者6は高精細な画像の画素として高密度光出射点列4を認識することができる。
次に、光出射点多重化手段3の構成について説明する。光出射点多重化手段3は実施例1の空間的光出射点多重化手段(空間的光出射部多重化手段)3−1(図7参照)と実施例2の時間的光出射点多重化手段(時間的光出射部多重化手段)3−2(図9参照)の2つが利用できる。本実施例においてはいずれを用いても有効であり、かつ両方を併用することも有効である。以下に具体例を挙げながら説明する。
図7を用いて実施例1の空間的光出射点多重化手段3−1について説明する。
空間的光出射点多重化手段3−1は、光出射点多重化を空間的な多重化手段で行うものをいう。
本実施例においてこの空間的光出射点多重化手段3−1は光線の光出射点多重化を目的とするので、光学的な光路あるいは像の多重化手段をこれに用いることができる。そのような多重化手段には例えば、レンズアレイや複屈折素子、微小開口アレイ、回折格子アレイなどがある。図7はこのうちレンズアレイによる光出射点多重化手段3−1を示した概略図である。図6を用いて説明したように、まず立体像表示装置1により光線の光出射点列2が形成されている。
本実施例では空間的光出射点多重化手段3−1としてレンズアレイ(光学素子アレイ)3−1を配置して、これら光出射点列2に形成した光出射点の数を多重化して高密度光出射点列4を形成している。このとき重要なことは、レンズアレイ3−1の個々の要素レンズ(光学素子)3−1aに対して、複数の光出射点2a1〜2anから出射する光線が同時に入射するということが必要になる。
なぜなら、そのような構成が成立していれば、1つのレンズ3−1aによって複数の光出射点像が形成され、これが複数のレンズにおいて達成されることにより高密度光出射点列4が実現するのである。
例えば、図7のように1個の光出射点(1次光出射点)2a1から出射する光線がレンズアレイ3−1の3個の要素レンズ3−1a1、3−1a2、3−1a3に対して入射する時、1個の光出射点2a1の像が3個(2次光出射点)形成されることになり、3倍の光出射点多重化が実現する。(ただし、図では最端部のみ2倍の光出射点多重化となっている)つまり、m個の光出射点2a1〜2amからの光線が、レンズアレイ3−1の要素レンズn個に同時に入射する時、m×n個の光出射点4をレンズアレイ3−1の像面位置に形成することができる。こうしたことをふまえ、より光出射点多重化の効率を高めた例を図8 に示す。この実施例においては最初の光出射点列2が形成されている位置にフィ−ルド光学系8を配置し、1個の光出射点2a1からの光線がレンズアレイ3−1のすべての要素レンズ3−1a1〜3−1anに対して入射するよう構成している。
このような構成をとることにより、光出射点の多重化は常にすべての要素レンズで行われるようになり、最終的に得られる光出射点の像の個数m×n個を最大化する高密度光出射点列4を形成することができる。
このように、空間的光出射点多重化手段3−1はもともとm個の光出射点を、その光線入射位置に応じて光学的にn倍に多重化する手段であればよい。
一方、実施例2の時間的光出射点多重化手段3−2は、光出射点多重化を時間的な多重化手段で行うものをいう。そのような多重化手段には例えば、図9のような振動レンズ3−2aがある。この振動レンズ3−2aは時系列的に光出射点形成と同期を取りながら光軸と垂直方向に振動(変位)しており、これにより光出射点2a1の像形成位置を多重化して、複数の2次光出射点を形成し、高密度光出射点列4を形成する。例えば振動の過程でt段階のレンズ位置をとることができ、かつ光出射点形成がそのt段階すべてに同期できるとすると、t倍に多重化された光出射点が実現できる。ただし、いずれの場合もこれら光出射点形成時間(レンズの振動周期)が人間の眼の残像許容時間より短い時間内で実行され、観察者からはこれらの光出射点形成がほぼ同時に起こっている現象と認識されることが望ましい。
上記振動レンズ3−2a以外にも、時間的光出射点多重化手段としては次のようなものがある。まず図10に示したように図9のレンズ3−2aの部分をレンズアレイ(光学素子アレイ)3−2bに置き換え、光出射点多重化の度合いをより高めたものが挙げられる。n列のレンズアレイ3−2bで、振動の過程でt段階の位置をとることができ、かつ光出射点形成がそのt段階すべてに同期できるとすると、最大n×t倍に多重化された光出射点より成る高密度光出射点列4が実現できる。
また、反射を利用した光学素子でも同様に時間的多重化手段を構成することができる。図11は回転ミラ−3−2Cによる光出射点多重化を示している。この変位可能な回転ミラ−3−2Cはミラ−を時系列的に光出射点形成と同期を取りながら回転運動させて光出射点の像形成位置を多重化して、高密度光出射点列4を形成する。
例えば運動の過程でt段階のミラ−角度をとることができ、かつ光出射点形成がそのt段階すべてに同期できるとすると、t倍に多重化された光出射点が実現できる。さらに図12に示したように図11の回転ミラ−3−2Cの部分を回転ミラ−アレイ3−2dに置き換え、光出射点多重化の度合いをより高めたものが挙げられる。n列の回転ミラ−アレイ3−2dで、振動の過程でt段階の位置をとることができ、かつ光出射点形成がそのt段階すべてに同期できるとすると、最大n×t倍に多重化された2次光出射点を有する高密度光出射点列4が実現できる。
このように、時間的光出射点多重化手段はもともとm個存在する光出射点が、観察者の残像許容時間内にt倍に多重化されるような手段であればよい。
尚、回転ミラ−の代わりに振動ミラ−を用いても良い。
次に光出射点多重化手段を用いた、より具体的な実施例について説明する。
図13は図4(a)に示すレンチキュラ方式にレンズアレイより成る空間的光出射点多重化手段を用いた立体像表示装置の実施例3の説明図(平面図)である。
画像表示手段11の画像表現の最小単位である画素は画像表示手段11の表面上に高密度に配列され、それぞれ、しかるべき強度や色を有する画像情報光を発する。これらの画像情報光は画像表示手段11の前面に配置されたレンチキュラレンズ13(鉛直方向に長いシリンドリカルレンズの集合体)に入射するが、その出射方向は画素とレンチキュラレンズ13との相対的位置関係によって一意的に決定する。
また、画像表示手段11はレンチキュラレンズ13を構成する各シリンドリカルレンズの焦点距離f前後だけレンチキュラレンズ13からはなれて配置されており、レンチキュラレンズ13からは略平行光が出射していく。
つまりレンチキュラレンズ13を通過した光は高い指向性を有し、光線のように振舞う。このときの指向性はレンチキュラレンズ13の焦点距離を変化させることで調整することができる。
しかしながら、前述したような「超多眼領域」の立体像表示を行うために、本実施例の場合、上記光線が観察者6に到達する位置での光線径が観察者の瞳孔径よりも小さくなるように調整している。
また、これら光線の出射方向は上記画素と個々のシリンドリカルレンズ13aとの相対的位置関係によって一意的に決定し、どの光線同士も独立な関係を保持することになる(図4(b)参照)。
このように従来からある単純なレンチキュラ方式の構成でも、条件さえ満足していれば超多眼表示が可能となることは既に前述したとおりである。
本実施例においてはさらに、図13に示すように空間的光出射点多重化手段であるレンズアレイ3−1を、図示したようにレンチキュラレンズ13を構成する複数のシリンドリカルレンズ13aからの出射光に同時に作用する位置に配置する。レンチキュラレンズ13の各要素レンズ13aの中心点は、この場合光線の光出射点列(2)とみなすことができ、レンズアレイ3−1の各要素レンズ3−1aはこれら光出射点2の像を図中の位置4aに結像し、高密度光出射点列4を形成することになる。観察者6が本装置を観察する場合は、上記高密度光出射点列4から光線が多方向に出射しているのを認識することになる。レンズアレイ3−1の各要素3−1aレンズにはレンチキュラレンズ13の2〜3個の要素レンズ13aからの出射光が入射するので、レンズアレイ3−1の各要素レンズ3−1aは1個につき2〜3個の光出射点像を結像する。
したがって、レンズアレイ3−1が5列のレンズで構成されている場合、図中位置4aに形成される光出射点数は10〜15個となる。もともとレンチキュラレンズ13は図13では5個の光出射点を生成していたので、レンズアレイ3−1は2〜3倍の光出射点多重化を実現していることになる。
次に、図14を用いて光出射点多重化の効率を改善する方法を説明する。図13ではレンズアレイ3−1の各要素レンズ1個3−1aつき、レンチキュラレンズ13側の2〜3個の光出射点が対応していた。
しかし、図14ではレンチキュラレンズ13近傍にフィ−ルドレンズ14を配置することで、レンチキュラレンズ13側の全ての光出射点がレンズアレイ3−1の全ての要素レンズ3−1aに対応するように構成している。これはつまり、レンズアレイ3−1の全幅を装置全体の光学的な瞳とみなし、この瞳全体をレンチキュラレンズ13からの出射光線がカバ−するようにフィ−ルドレンズ14の光学的仕様を決定することで達成することができる。
この構成によれば、例えばレンチキュラレンズ13が5列のシリンドリカルレンズ13aで構成されており、レンズアレイ3−1が5列のレンズで構成されている場合、図中位置4aに形成される光出射点数は5×5=25個の高密度光出射点列4となる。図13の例と比較すると光出射点多重化の効率が改善されていることがわかる。
さらに、図15では観察域の調整を行っている。図14の構成においては、高密度光出射点列4を形成したあとの光線群が、レンズアレイ3−1の外側になればなるほど外向きの角度が付いて光出射点を出射している。
つまり、レンズアレイ3−1の中心付近を通過した光線は図中の観察者6の位置に到達するが、レンズアレイ3−1の周辺部を通過した光線は観察者6の位置には到達しなくなる。これは観察者から見てレンズアレイ3−1の中心付近以外は暗く見えてしまうことを意味する。そこで、図15ではさらに第2のフィ−ルドレンズ15を挿入し、全ての光出射点から出射する光線を観察者6の方面に偏向させる工夫をしている。
この方法によれば、各光出射点から出射する光線の到達領域が常に観察者6の位置を中心として存在することになる(ただし、観察者6の位置は最も存在確率の高い表示装置中心に正対する位置であるとして考えている)。
尚、本実施例は水平方向のみに光学パワ−を持つシリンドリカルレンズのアレイであるレンチキュラレンズ13による光線生成を前提として説明したが、これを水平方向と鉛直方向の双方に光学パワ−を有する蝿の目状のレンズアレイに置き換えて、水平視差のみではなく鉛直視差を発生させることもできる。
図16は、マルチプロジェクション方式にレンズアレイより成る空間的光出射点多重化手段を用いた立体像表示装置の実施例4の説明図(平面図)である。
本実施例では複数の画像表示手段11−1〜11−5とそれぞれに対応する複数の投影手段16が用いられる。ここでは5つの画像表示手段11−1〜11−5とこれに対応する5つの投影手段16−1〜16−5を用いている(以下、任意の画像表示手段を11−x、これに対応する投影手段を16−xと表現する。)。
画像表現の最小単位である画素は画像表示手段11−xの表面上に高密度に配列され、それぞれ、しかるべき強度や色を有する画像情報光を発する。これらの画像情報光は画像表示手段11−xの前面に配置された投影手段16−xによって拡大投影される。投影手段16−xはそれぞれ指向性発生手段17を有しており、投影手段16−xを出射する光は高い指向性を有し光線のように振舞うことになる。
本実施例では指向性発生手段17として小開口絞りを用いることで、指向性の高さを発生させている。
このときの指向性は小開口絞り17の径を変化させることで調整することができる。
しかしながら、前述したような「超多眼領域」の立体像表示を行うために、本実施例の場合、上記光線が観察者6に到達する位置での光線径が観察者の瞳孔径よりも小さくなるように調整している。
また、これら光線の出射方向は上記画素と個々の投影手段16−xとの相対的位置関係によって一意的に決定し、どの光線同士も独立な関係を保持することになる(図4(b)参照)。
本実施例においてはさらに、図16に示すように空間的光出射点多重化手段であるレンズアレイ3−1を、図示したように複数の投影手段16−xからの出射光に同時に作用する位置に配置する。投影手段16−x内の小開口絞り17は、この場合光線の光出射点列(2)とみなすことができ、レンズアレイ3−1の各要素レンズ3−1aはこれら光出射点の像を図中の位置4aに結像し、高密度光出射点列4を形成することになる。観察者6が本装置を観察する場合は、上記高密度光出射点列4から光線が多方向に出射しているのを認識することになる。
レンズアレイ3−1の各要素レンズ3−1aには投影手段16−xのうち2〜3個からの出射光が入射するので、レンズアレイ3−1の各要素レンズ3−1aは1個につき2〜3個の光出射点像を結像する。
したがって、レンズアレイ3−1が5列のレンズで構成されている場合、図中位置4aに形成される光出射点数は10〜15個となる。もともと投影手段16−xは5台存在し、5個の光出射点を生成していたので、レンズアレイ3−1は2〜3倍の光出射点多重化を実現していることになる。
前記図13〜図15の実施例同様、本実施例においても図17のようにフィ−ルドレンズ14を投影手段16−xの近傍に配置することで光出射点多重化の効率を改善することができる。
この構成によれば、例えば画像表示手段11と投影手段16の組が5列で構成されており、レンズアレイ3−1が5列のレンズで構成されている場合、図中位置4aに形成される光出射点数は5×5=25個となる。図16の例と比較すると光出射点多重化の効率が改善されていることがわかる。
さらに、前記図13〜図15の実施例同様、本実施例においても、図18のように第2のフィ−ルドレンズ15を挿入しても良い。これにより全ての光出射点から出射する光線を観察者6の方面に偏向させ、各光出射点から出射する光線の到達領域が常に観察者6の位置を中心として存在するよう構成することができる。
本実施例ではすべて平面図を用いて説明を行ったが、光線偏向が全て水平方向のみに行われるとは限らない。側面図においても図16〜18と同様の光線生成を行うように構成し、水平方向と鉛直方向両方の視差を観察者に認識せしめることも可能である。しかしながら、水平方向と鉛直方向両方の視差情報を発生させるとなると、莫大な情報量の取り扱いが必要となってしまう。そこで、図19に示すように、レンズアレイ3−1を水平方向のみに光学パワ−を持つシリンドリカルレンズのアレイで構成して、水平方向のみ光出射点多重化を行うという構成をとることもできる。この場合、図19に示すように鉛直方向光拡散手段18をレンズアレイ3−1の射出側の光路中に配置することで、鉛直方向の観察域を確保することができる。
図20はマルチプロジェクション方式に振動レンズより成る時間的光出射点多重化手段を用いた立体像表示装置の実施例5の概略図である。
図9にて説明した振動レンズを用い、時系列的に光出射点形成と同期を取りながら振動させて光出射点の像形成性位置を多重化する立体表示装置を示す図である。
図16にて説明したマルチプロジェクション方式の立体像表示装置により形成される高密度光出射点列4の形成手段として時間的光出射点多重化手段として振動レンズ19を作用させる。図20においては3段階のレンズ位置を取ることにより多重化を実施している。これにより3倍に多重化された高密度光出射点列4が実現できる。光出射点形成時間(レンズの振動周期)が人間の眼の残像許容時間より短い時間内で実行されることにより、観察者にはこれらの光出射点形成がほぼ同時に起こっている現象と認識される。
図21はマルチプロジェクション方式に振動レンズアレイより成る時間的光出射点多重化手段を適用したものであり、図20における振動レンズ19を振動レンズアレイ20に置き換え、光出射点多重化の度合いをより高めた光学系の構成を示す図である。
複数のレンズアレイ要素20aに1つの光出射点からの光線を入射させることにより複数の光出射点像を形成し、さらに、この振動レンズアレイ20を時系列的に光出射点形成と同期を取りながら振動させることにより光出射点を多重化する。これにより、さらに高密度な光出射点多重化を実現する。
図22(a)〜図22(c)は、マルチプロジェクション方式に回転ミラ−より成る時間的光出射点多重化手段を用いた立体像表示装置の実施例6の概略図である。
図11にて説明した回転ミラ−を用い、時系列的に光出射点形成と同期を取りながら振動させて光出射点の像形成性位置を多重化する立体表示装置を示す平面図である。図22(b)は側面図である。入射される光線と回転ミラ−20により折り返される光線は図22(b)に示すように必ずしも同一面内でなくても良い。図22(c)は回転ミラ−22の反射によって光線が折り返された後の、虚像である高密度光出射点列4と観察者の関係を示している。回転ミラ−22が回転することにより、虚像である光出射点位置が移動する。このため、見かけの光出射点数が増加し、光出射点間隔が減少する。回転においてt段階のレンズ位置を取ることができ、かつ光出射点形成がそのt段階全てに同期できるとするとt段階に多重化された光出射点が形成される。
図23(a)、(b)は、マルチプロジェクション方式に回転ミラ−アレイより成る時間的光出射点多重化手段を用いたものである。
図23(a),(b)は図22における回転ミラ−23aを回転ミラ−アレイ23に置き換え、個々の回転ミラ−21aのサイズを減少し、装置構成をより薄型にした様子を示す図である。図23(b)は回転ミラ−アレイ23の反射によって光線が折り返された後の、虚像である高密度光出射点列4と観察者6の関係を示している。回転ミラ−23aが回転することにより、虚像である光出射点位置が移動するため、見かけの光出射点数が増加し、光出射点間隔が減少する。回転においてt段階のレンズ位置を取ることができ、かつ光出射点形成がそのt段階全てに同期できるとするとt段階に多重化された光出射点が形成される。
以上、光出射点多重化手段を用いた具体的な実施例について説明したが、より広い立体像を表示しようとする場合には、本実施例の立体像表示装置をタイリングにより並べることで実現しても良い。その際、立体像観察領域が適切に得られるように、フィ−ルド光学系に偏心を持たせても良い。
以上、各実施例によれば、「超多眼領域」の立体像表示を行う際において、多くの視差画像を微小角度ピッチで多方向に提示することと、個々の視差画像を高い解像度で表示することとが両立された立体像表示装置が得られる。かつ立体像の解像度や視点数、視点ピッチの関係が高い自由度で設定された立体像表示装置が得られる。
尚、各実施例において、超多眼領域で立体表示するとは、観察者の各々の眼に複数の(好ましくは3つ以上の)視差画像を入射させることにより、それらの視差画像に基づく立体像を観察者に認識させることを言う。
超多眼立体視の説明図 従来の立体像表示装置の概略図 パララックス方式を用いた従来の立体像表示装置の原理説明図 レンチキュラ方式を用いた従来の立体像表示装置の原理説明図 ビ−ム偏向方式を用いた従来の立体像表示装置の原理説明図 本発明の実施例の基本構成の概略図 本発明の実施例1の空間的な光出射点多重手段にレンチキュラ−レンズを用いた立体像表示装置の概略図 図7の一部にフィ−ルドレンズを用いたときの概略図 本発明の実施例2の時間的な光出射点多重手段の説明図 アレイ化された時間的な光出射点多重手段の説明図 回転ミラ−による時間的な光出射点多重手段の説明図 アレイ化された回転ミラ−による時間的な光出射点多重手段の説明図 本発明の実施例3の空間的な光出射点多重手段を有する立体像表示装置の概略図 図13の一部にフィ−ルドレンズを用いたときの概略図 図13の一部にフィ−ルドレンズを用いたときの概略図 本発明の実施例4のマルチプロジェクション方式を用いた立体像表示装置の概略図 図16の一部にフィ−ルドレンズを用いたときの概略図 図16の一部にフィ−ルドレンズを用いたときの概略図 図16の一部にフィ−ルドレンズと鉛直方向光拡散手段を用いたときの概略図 本発明の実施例のマルチプロジェクション方式と時間的な光出射点多重化手段を用いた立体像表示装置の実施例5の概略図 図20の振動レンズの代わりに振動レンズアレイを用いたときの概略図 図20の振動レンズの代わりに回転ミラ−を用いたときの立体像表示装置の実施例6の概略図 図22の回転ミラ−の代わりに回転ミラ−アレイを用いたときの概略図 従来の立体像表示装置の概略図
符号の説明
101 眼球
101a 観察者
102 画像情報の表示最小単位
1−1 光線生成手段
1−2 光線偏向手段
1−3 光線変調手段
1 立体像表示装置
2 光線の光出射点列
3 光出射点多重化手段
3−1 空間的光出射点多重化手段
3−2 時間的光出射点多重化手段
3−2a 振動レンズ
3−2b 振動レンズアレイ
3−2c 回転ミラ−
3−2d 回転ミラ−アレイ
4 高密度光出射点列
6 観察者
11 画像表示手段
12 パララックスバリア
13 レンチキュラレンズ
14 フィ−ルドレンズ
15 フィ−ルドレンズ
16 投影手段
17 指南性発生手段
18 一方向拡散板手段
19 振動レンズ
20 振動レンズアレイ
22 回転ミラ−
23 回転ミラ−アレイ

Claims (9)

  1. 視差画像情報に基づく光束を出射する画素を複数含む光変調手段と、
    前記光変調手段の光出射側に配置され、1次光出射点を形成する1次光出射部を、所定の方向に複数個配列して構成される1次光出射点配列手段を有し、
    前記1次光出射点配列手段は、前記光変調手段の各画素からの光束を、指向性があり、かつ互いに異なる複数の方向へ出射する光束とし、
    前記1次光出射点配列手段の光出射側に配置され、前記複数の1次光出射部からの光束により前記1次光出射点よりも多くの2次光出射点を、前記1次光出射点の光源像として形成する光出射点多重化手段を有することを特徴とする立体像表示装置。
  2. 超多眼領域で立体表示する立体像表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の立体像表示装置。
  3. 前記光出射点多重化手段は、光学系を有し、該光学系の変位によって、前記1次光出射点よりも多くの2次光出射点を形成することを特徴とする請求項1又は2の立体像表示装置。
  4. 前記光出射点多重化手段は、複数の光学素子を配列した光学素子アレイを有し、
    前記光学素子アレイによって前記1次光出射点よりも多くの2次光出射点を形成することを特徴とする請求項1又は2の立体像表示装置。
  5. 前記光出射点多重化手段は、複数の光学素子を一方向に配列した光学素子アレイを有し、
    1つの前記光学素子に対して、複数の前記1次光出射点からの光束が入射することによって、1つの前記光学素子ごとに、複数の2次光出射点が形成されることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の立体像表示装置。
  6. 前記光出射点多重化手段は、複数の光学素子を一方向に配列した光学素子アレイを有し、1つの前記光学素子に対して、すべての前記1次光出射点からの光束が入射することによって、1つの前記光学素子ごとに、すべての前記1次光出射点の数の2次光出射点が形成されることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の立体像表示装置。
  7. 前記光出射点多重化手段は、要素レンズを複数有するレンズアレイであり、
    前記1次光出射点配列手段により1次光出射点が形成される位置に配置されたフィールド光学系を有し、
    1個の1次光出射点からの光束が、前記レンズアレイのすべての要素レンズに入射することを特徴とする請求項1、2、4乃至6のいずれか1項に記載の立体像表示装置。
  8. 前記光出射点多重化手段は、変位可能な光学素子又は変位可能な複数の光学素子を一方向に配列した変位可能な光学素子アレイを有することを特徴とする請求項1又は2の立体像表示装置。
  9. 前記変位可能な光学素子は、振動レンズ又は振動ミラー又は回転ミラーから成ることを特徴とする請求項の立体像表示装置。
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