JP2016018113A - ヘッドマウントディスプレイ - Google Patents

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【課題】装着位置の位置ずれに強いヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】ヘッドマウントディスプレイ10は、観察者の前方に配置される接眼レンズ102r、102lと、複数のマイクロレンズが二次元状に配列されたマイクロレンズアレイ202r、202lと、接眼レンズ102r、102lおよびマイクロレンズアレイ202r、202lの前方に、複数のマイクロレンズの各々に対して配置される二次元表示素子201r、201lと、入力画像データに基づく画像を二次元表示素子201r、201lに表示させることによって、二次元表示素子201r、201lの前方に再生像を形成する表示制御手段101とを備え、二次元表示素子201r、201lと観察者の網膜とが共役でない。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヘッドマウントディスプレイに関する。
従来、マイクロレンズアレイを用いたヘッドマウントディスプレイが知られている。例えば非特許文献1には、1つの画像を互いに重なり合った複数の微小画像に分割し、各々の微小画像をマイクロレンズで拡大して、観察者の網膜上でそれら複数の微小画像が重なり合い1つの像を形成するようにしたヘッドマウントディスプレイが記載されている。このヘッドマウントディスプレイは、微小画像の表示面と、観察者の網膜とが光学的に共役な関係となっている。
Douglas Lanman, et. al. "Near-Eye Light Field Displays", ACM SIGGRAPH 2013 Emerging Technologies, 2013年
非特許文献1に記載のヘッドマウントディスプレイには、正しい像を観察するために、眼球の光軸方向における装着位置の厳密な位置合わせが要求されるという問題があった。
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイは、観察者の前方に配置される接眼レンズと、複数のマイクロレンズが二次元状に配列されたマイクロレンズアレイと、前記接眼レンズおよび前記マイクロレンズアレイの前方に、前記複数のマイクロレンズの各々に対して配置される二次元表示素子と、入力画像データに基づく画像を前記二次元表示素子に表示させることによって、前記二次元表示素子の前方に再生像を形成する表示制御手段とを備え、前記二次元表示素子と前記観察者の網膜とが共役でない。
本発明によれば、装着位置の位置ずれに強いヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの構成を模式的に示す断面図である。 表示ユニット104の構成を示す説明図である。 HMD10による像の投影方法を模式的に示す図である。 表示画素と、表示用マイクロレンズアレイと、表示される光点との関係を模式的に示した図である。 図4を二次元的に展開した場合を示す図である。 表示用マイクロレンズとパターン光断面との関係を説明する図である。 表示用マイクロレンズとパターンとの関係を説明する図である。 領域分割を基点マイクロレンズに展開した場合のパターンを説明する図である。 基点マイクロレンズの中心位置に対して光点が偏心した場合のパターンを説明する図である。 二次元画像を表示させる場合の表示画素について説明する図である。 二次元表示される画像の一例を示す図である。 二次元画像を表示させる場合のパターンについて説明する図である。 図12に示すパターンが表示空中像面に二次元表示される様子を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの構成を模式的に示す断面図である。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD)の構成を模式的に示す断面図である。HMD10は、両眼用の表示装置である。HMD10は、左目用の表示ユニット104Lと、右目用の表示ユニット104Rと、制御装置101と、記憶装置103とを備える。以下の説明において、左目用の表示ユニット104Lと右目用の表示ユニット104Rを、表示ユニット104と総称する。
制御装置101は、不図示のCPUとその周辺回路とから成り、不図示の記憶媒体から所定の制御プログラムを読み込んで実行することにより、HMD10を制御する。記憶装置103は、HMD10により再生する画像データを記憶する。制御装置101は、記憶装置103により記憶されている画像データを入力画像データとして読み出し、観察者から観察可能な像として再生する。
表示ユニット104Lは、接眼レンズ102Lと、二次元表示素子201Lと、表示用マイクロレンズアレイ202Lとを備える。右目用の表示ユニット104Rは、接眼レンズ102Rと、二次元表示素子201Rと、表示用マイクロレンズアレイ202Rとを備える。以下の説明において、接眼レンズ102L、102Rを接眼レンズ102と総称し、二次元表示素子201L、201Rを二次元表示素子201と総称し、表示用マイクロレンズアレイ202L、202Rを表示用マイクロレンズアレイ202と総称する。
観察者は、HMD10を両目を覆うように装着する。このとき、観察者の左目50Lと左目用の接眼レンズ102Lが対向し、観察者の右目50Rと右目用の接眼レンズ102Rが対向する。つまり、接眼レンズ102は観察者から見て前方に位置する。同様に、観察者から見て、表示用マイクロレンズアレイ202は接眼レンズ102の前方に位置し、二次元表示素子201は表示用マイクロレンズアレイ202の前方に位置する。なお、接眼レンズ102は、可能な限り表示用マイクロレンズアレイ202に近づけることが望ましい。接眼レンズ102を表示用マイクロレンズアレイ202に近づけることで、表示ユニット104を小型化(薄型化)することができる。
観察者は、接眼レンズ102を介して、制御装置101が二次元表示素子201L、201Rに再生させた二次元像(奥行きのない像)や三次元像(奥行きのある像)を観察することができる。なお、図1においては、接眼レンズ102の光軸方向をz軸、接眼レンズ102の光軸断面の水平方向をx軸、鉛直方向をy軸として座標系を設定する。
次に、表示ユニット104の構成について、図2を参照して説明する。図2(a)は、表示ユニット104をz軸方向ユーザ側から見た場合の表示ユニット104の斜視図であり、図2(b)は表示ユニット104を一部拡大して示す図であり、図2(c)はz軸方向における表示ユニット104の断面を模式的に示す図である。なお、図2では、接眼レンズ102の図示を省略している。
二次元表示素子201は、たとえばバックライトを有する液晶パネルや有機ELパネル等により構成され、二次元状に配置された複数の表示画素群210を有する。これら複数の表示画素群210のそれぞれは、二次元状に配置された複数の表示画素211を有する。なお、本実施の形態においては、1個の表示画素群210には、16×16個の表示画素211が含まれるものとする。ただし、図2においては、図示の都合上、表示画素211の個数を実際よりも少なく描いている。表示画素211は、上述した制御装置101により制御されて、表示用画像データに対応して発光する。
表示用マイクロレンズアレイ202は、二次元状に配列された複数の表示用マイクロレンズ220により構成される。図2(b)に示すように、各々の表示用マイクロレンズ220は、複数の表示画素群210に対応した配置パターンで配置されている。また、図2(c)に示すように、表示用マイクロレンズアレイ202はz軸方向ユーザ側に、表示用マイクロレンズ220の焦点距離fだけ表示画素211から離れた位置に配置される。各表示用マイクロレンズ220は、画像データに応じて表示画素211からの光をz軸方向ユーザ側の所定の像面に投影する。
個々の表示用マイクロレンズ220は、観察者の瞳(瞳孔)よりも小さい直径を有する。具体的には、少なくとも観察者の瞳(瞳孔)の直径の半分以下の直径を有する。このようになっているのは、観察者に観察させる再生像の1点を、複数の表示用マイクロレンズ220により形成させるためである。この点については後に詳述する。
図3は、HMD10による像の投影方法を模式的に示す図である。説明の便宜上、まず図3(a)に示すように、接眼レンズ102が存在しない状態を考える。制御装置101は、入力画像データに基づく表示用画像を二次元表示素子201に表示する。これにより、図3(a)に示すように、表示用マイクロレンズアレイ202から一定距離だけ前方の符号60の位置に目的の像(二次元像または三次元像)が投影され、観察者がこの像を観察することができる。観察者に対して二次元的な画面(平面)を観察させることもできるし、奥行きのある三次元的な画面を観察させることもできる。後者の三次元的な画面を観察させる方法としては、表示ユニット104Lと表示ユニット104Rとで視差のある二次元像を再生してもよいし、三次元像を再生してもよい。いずれの場合であっても、左目50Lと右目50Rとで見える像に視差があれば、観察者からは立体像が観察される。なお、詳細は後述するが、ここで観察者から観察される像は、二次元表示素子201に表示される表示用画像とは大きく異なっている。
例えば、マイクロレンズの焦点距離が1mm、マイクロレンズの直径が0.25mm、マイクロレンズのFナンバーが4、表示画素の1辺が約15.6μmであるとする。このとき、像が投影される位置60はマイクロレンズアレイの後方16mm地点となる。つまり、像が投影される位置60は観察者の両目50L、50Rから極めて近い位置であり、実際には、観察者がこの像を観察することは困難である。
次に、図3(b)に示すように、接眼レンズ102が存在する場合を考える。このとき、観察者からは、符号70の位置に接眼レンズ102による虚像が観察される。この虚像は、接眼レンズ102により、位置60に投影された像が拡大されたものであり、観察者の目50L、50Rからは、例えば約500mm前方の位置にあるように見える。つまり、この虚像は、観察者から十分に離れた位置に見えるため、観察者からは容易に観察することが可能である。
例えば非特許文献1に記載されているような、従来のヘッドマウントディスプレイは、二次元表示素子201の表示面と観察者の網膜51とが光学的に共役な関係であった。つまり、観察者の網膜51には、二次元表示素子201の表示面に表示された像が結像し、観察者は二次元表示素子201の表示面に表示された像を観察していた。これに対して、本実施形態のHMD10は、二次元表示素子201の表示面と観察者の網膜51は共役な関係にない。つまり、観察者の網膜51には、二次元表示素子201の表示面に表示された像とは異なる像が結像され、観察者は、二次元表示素子201の表示面に表示された像とは異なる像を観察することになる。
本実施形態のHMD10は、二次元表示素子201の表示面と観察者の前眼部52とが光学的に共役になるように構成されている。ここで前眼部52とは、角膜、瞳孔、虹彩、水晶体等の部位を指す。例えばHMD10は、二次元表示素子201の表示面と観察者の角膜の頂点とが光学的に共役になるように構成される。このように構成することで、二次元表示素子201が有する各々の表示画素211は、瞳を通過する各光束を代表することになり、視線位置の許容範囲が大きくなる。
次に、HMD10による三次元画像の表示原理について説明する。HMD10の表示原理はプレンオプティクスの原理を逆にしたものである。まず、図4を用いて、プレンオプティクスの原理について簡単に説明する。
図4は、表示画素211と、表示用マイクロレンズアレイ202と、表示される光点LPとの関係を示した図である。上述したように、表示用マイクロレンズアレイ202は、表示画素211から、表示用マイクロレンズ220の焦点距離fだけz軸方向に離れた位置に設けられている。なお、図4においては、光点LPは、表示用マイクロレンズアレイ202からz軸方向ユーザ側に距離4fだけ離れた位置にあるものとする。
光点LPから表示画素211に向かって光束LFを辿った場合がプレンオプティクスである。光点LPからの光束LFは、複数個の表示用マイクロレンズ220を通過して、表示用マイクロレンズ220から4f/3の位置で焦点を結ぶ。しかし、表示用マイクロレンズ220は表示画素211からz軸方向に距離fだけ離れた位置に配置されているので、各表示用マイクロレンズ220を通過した光束LFは、入射した表示用マイクロレンズ220のそれぞれに対応する表示画素211で広がりを持った像となる。以後、この広がりを持った像を光断面と呼び、光断面の形状をパターンPtと呼ぶ。
図5に、上記のパターンPtを二次元的に展開した場合を示す。なお、図5においては、図示の都合上、表示用マイクロレンズ220の配列を正方として描く。すなわち、プレンオプティクスの原理によれば、図4に示す光点LPの光強度(輝度)が、図5に示すパターンPtに分配されることになる。図5においては、パターンPtを斜線を付して示す。
HMD10では、上述したプレンオプティクスの原理を逆にすることによって、すなわち表示画素211から輻射される光束を、表示用マイクロレンズ220を介して投影することにより奥行きを有する空中像が表示される。具体的には、図5に示すパターンPtが、二次元表示素子201を構成する表示画素211上に割り当てられる。このとき、図4を用いて説明した場合とは逆に、表示画素211に割り当てられたパターンPtは表示用マイクロレンズ220によって投影されて光点LPに像を形成する。各パターンPtに含まれる表示画素211から輻射される多方向に進む光束には、その中に光点LPに集光する方向の光束、すなわち上述した入射光束LFの表示画素211への入射角度と同一の角度で輻射する光束が含まれるからである。このため、表示用マイクロレンズアレイ202からz軸方向に距離4fだけ離れた位置に空中像が形成される。
図6を用いて、いくつ、あるいは、どの表示用マイクロレンズ220といずれのパターンPtとが対応するかについて、光点LPからの光束LFの広がりを表示用マイクロレンズ220上に投影することにより説明する。なお、図6では、光点LPから広がる光束LFは、光点LPのz軸方向の位置が表示用マイクロレンズ220の焦点距離fの場合と、その二倍の距離2fの場合とについて示している。図6においては、光点LPのz軸方向の位置が距離fの場合の光束LFの広がりを破線で示し、距離2fの場合を一点鎖線で示す。光点LPが表示用マイクロレンズ220の焦点距離fの位置にあると、光束LFの広がりは表示用マイクロレンズ220で規定されているので、光束LFは1個の表示用マイクロレンズ220内に入射する。以上により、1個の光点LPに対応する表示用マイクロレンズ220が決まる。
光点LPのz軸方向の位置が表示用マイクロレンズ220の焦点距離fのときは、光束LFはその表示用マイクロレンズ220の直下の領域全体に円形開口の光として広がる。このため、正方領域に内接する円の内部に含まれるすべての表示画素211が発光すると、パターンPtが投影されて光点LPで空中像が形成される。光点LPのz軸方向の位置の絶対値が焦点距離fより小さい場合には、光束LFは表示用マイクロレンズ220の直下の領域内で収束せずに広がる。しかし、光点LPから広がる光束LFの角度は表示用マイクロレンズ220のF値で開口の最大(Fの最小)が規定されるので、入射する光束LFは広がり角の制限を受け、パターンPtは被覆領域にとどまる。
ここで光点LPのz軸方向の位置が距離2fにある場合について説明する。図7に、この場合に関係する表示用マイクロレンズ220を示す。図7(a)に示すように、関係する表示用マイクロレンズ220は自身、すなわち光点LPとz軸方向について同軸上に配置された表示用マイクロレンズ220(以後、基点マイクロレンズ220a)とそれに隣接する8個の表示用マイクロレンズ220である。表示用マイクロレンズ220による開口の制限を考えるとき、図7(a)において斜線で示す被覆領域のなかにパターンPtが存在することになる。この場合、各表示用マイクロレンズ220に対応するパターンPtは、図7(b)の斜線で示す領域となる。
図7(b)に示すように、ひとつの基点マイクロレンズ220aの被覆領域が分割され、隣接する表示用マイクロレンズ220に配分されている。分割され配分された被覆領域(部分領域)を積算した場合の全領域は、ひとつの表示用マイクロレンズ220の開口領域になる。そのため、どのような位置の光点LPでもパターンPtの全領域の大きさは同じになるので、部分領域を積算して全領域を算出する場合には、それぞれの部分領域が所属する表示用マイクロレンズ220が決まればよいことになる。
図6において、光点LPのz軸方向の位置と、倍率つまり基点マイクロレンズ220aに隣接する表示用マイクロレンズ220の個数との関係について示したが、これを仮想的な開口領域に適用する。たとえば、倍率で縮小した表示用マイクロレンズ220の配列で開口領域を分割し、これで定義された表示用マイクロレンズ220の中の同じ位置に開口領域の断片を配するという方法をとる。開口領域に外接する正方形を倍率2で縮小し、表示用マイクロレンズ220の配列で開口領域を分割(領域分割)した場合を例に説明する。
図8は、上記の領域分割を基点マイクロレンズ220aに展開した場合のパターンPtを示している。同様の領域分割を倍率に応じて行うと、倍率、すなわち光点LPに対するパターンPtが得られる。具体的には、表示用マイクロレンズ220の径(マイクロレンズの一辺の大きさ)をgとするとき、g/m幅の格子で開口領域が分割される。倍率は、光点LPの高さ(位置)yとマイクロレンズの焦点距離fとの比m=y/fで表すことができる。比mには負の符号も存在する。比mの符合が負の場合には、表示用マイクロレンズ220より表示画素211側に光点LPがあるものとする。
表示用マイクロレンズ220による被覆領域と表示用マイクロレンズ220の個数との積は、ほぼ表示画素群210に含まれる表示画素211の全画素数に等しくなる。このため、1個の表示用マイクロレンズ220内で偏心した複数の点のそれぞれに対応する光点LPを形成することは、表示画素211に再現されたパターンPtを重畳して投影することに等しい。すなわち、各偏心した光点LPからの光束LFが重畳して表示画素211上に存在している。ただし、倍率が1倍のときには、この演算は、単なる内挿作業になって、分解能向上には実質的に寄与しない。これは、表示用マイクロレンズ220頂点近辺に結像すれば、光学的に奥行き方向の情報が失われることを示している。
図9は、基点マイクロレンズ220aの中心位置に対して左に偏心した光点LPについての分割領域を表したものある。基点マイクロレンズ220a(レンズ径をgとする)の中心から図9の左方向へpだけ偏心して、光点LPの高さ(位置)が2fの場合について説明する。なお、図9においては、点O1は偏心した光点LP、点O2は表示用マイクロレンズ220の中心位置を示す。この場合、図7に示す表示用マイクロレンズ220を図中の右方向へpだけずらし、開口領域を分割すれば、図9に示す場合の分割領域が得られる。
表示用マイクロレンズ220を16個に分割するとすれば、中心位置の座標を(0,0)として、x軸y軸に対して、それぞれ−g/2、−g/4、0、g/4、g/2の位置のパターンとそれによる分割領域および、全領域の積算をおこなえば、ひとつの表示用マイクロレンズ220に対して16点の光点群を得ることができる。
次に、文字等の二次元情報を空中像として二次元表示させる場合の原理について説明する。この場合、図10に示すように、表示用マイクロレンズ220に対応する表示画素群210のそれぞれについて、16×16個の表示画素211を4×4個の合成表示画素212に纏めた系を考える。この合成表示画素212を1つの画素とみなして、二次元表示させる二次元画像データのパターンPtが割り当てられる。
図11は、二次元表示する画像の一例が文字「A」であることを示す。図11に示す文字「A」が表示用マイクロレンズ220からz軸方向に距離4fの位置に二次元表示されるためには、図12に示すようにパターンPtが合成表示画素212に割り当てられる。なお、図12(a)は表示用マイクロレンズ220が正方配列の場合を示し、図12(b)は表示用マイクロレンズ220がハニカム配列の場合を示している。図12に示すようなパターンPtが合成表示画素212に割り当てられることによって、図13に示すように、表示用マイクロレンズ220からz軸方向に距離4fの位置に形成される表示空中像面Sに、文字「A」が空中像として二次元表示される。なお、表示空中像面Sは距離4fの位置に形成されるものに限定されず、表示用マイクロレンズ220の焦点距離f以上の位置、または表示用マイクロレンズ220のレンズ面に形成されるものであってもよい。本実施形態の制御装置101は、前述の通り、表示空中像面Sを二次元表示素子201の表示面の前方の所定位置に形成する。
文字等の二次元画像が空中像として表示されるためには、この空中像を構成する各光点LPが合成される必要がある。上述したように、1つの光点LPが形成されるために、1個の表示用マイクロレンズ220による被覆領域に含まれる合成表示画素212、すなわち16個の合成表示画素212に割り当てられたパターンPtの表示用マイクロレンズ220による投影像が合成される。そのため、1個の表示用マイクロレンズ220が16個の光点LPの形成に寄与している場合には、1個の表示用マイクロレンズ220について、表示用マイクロレンズ220による被覆領域内の合成表示画素212の出力の16倍の出力が必要となり、これら全ての出力が合成される必要がある。具体的には、1個の光点LPを形成する各合成表示画素212の大きさが分配されると、隣接する光点LPでは合成表示画素212の出力に加算するようにして出力が分配される。換言すると、1つの光点LPについて16個分の合成表示画素212の出力が重畳されたものとなり、画素出力は最大16倍のダイナミックレンジが必要となる。
制御装置101は、上述した図12に示すようにパターンPtを表示画素211に割り当てることにより、表示用マイクロレンズアレイ202からz軸方向の所定の高さに形成される表示空中像面Sに文字等の二次元画像を表示させる。この場合、制御装置101は、二次元表示素子201に二次元画像として表示させる二次元画像データを記憶装置103から読み出す。記憶装置103から読み出される二次元画像データは、通常の二次元画像の表示に用いられるディスプレイに出力される画像データと同一の内容である。
制御装置101は、読み出した二次元画像データを、複数の表示用マイクロレンズ220に応じた部分画像データに分割する。図11に示す例においては、制御装置101は、16個の部分画像データに分割する。そして、制御装置101は、分割した部分画像データのそれぞれについて二次元表示用部分画像データを生成する。二次元表示用部分画像データは、図12に示すようなパターンPtを表す画像データである。二次元表示用部分画像データを生成した後、制御装置101は、表示用部分画像データが示すパターンPtを合成表示画素212に割り当てる。
以上、二次元画像および三次元画像の表示方法について説明してきたが、いわゆるプレンオプティックカメラで撮影した三次元画像データをそのまま二次元表示素子201で再生しても、この三次元画像データを観察者から視認可能な形で再生することができる。ただしこの場合、三次元画像データに対応する光束の進行方向を時間的に逆転させなければ撮影時における被写体の波面を立体像として再現できないことに注意が必要である。これを実現するための光学系は周知であるため説明を省略する。
上述した第1の実施の形態によるヘッドマウントディスプレイによれば、次の作用効果が得られる。
(1)表示用マイクロレンズアレイ202には、複数の表示用マイクロレンズ220が二次元状に配列される。表示画素群210は、接眼レンズ102および表示用マイクロレンズアレイ202の前方に、複数の表示用マイクロレンズ220の各々に対して配置される。制御装置101(表示制御手段)は、入力画像データに基づく画像を複数の表示画素群210に表示させることによって、複数の表示画素群210の前方に再生像を形成する。複数の表示画素群210と観察者の網膜51とは共役でない。このようにしたので、装着位置の位置ずれに強いヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
(2)複数の表示画素群210と観察者の前眼部52とは共役である。このようにしたので、HMD10の視野角を拡大することができる。
(3)複数の表示用マイクロレンズ220は、観察者の瞳孔よりも小さい径を有する。このようにしたので、装着位置の位置ずれに強いヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
(第2の実施の形態)
図14は、本発明の第2の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの構成を模式的に示す断面図である。なお図14では、説明の便宜上、ヘッドマウントディスプレイ500として、左目502に近接して配置される偏光折り返し光学系521と表示用マイクロレンズアレイ511と二次元表示素子510とのみを記載し、その他の構成は省略している。実際には、第1の実施の形態と同様に、右目および左目の各々に対応して、偏光折り返し光学系521と表示用マイクロレンズアレイ511と二次元表示素子510との組が2つ存在する。
図14に示すヘッドマウントディスプレイ500は、第1の実施の形態に係る接眼レンズ102を、偏光折り返し光学系521で置き換えた構成を有している。つまり、本実施形態の表示用マイクロレンズアレイ511は、第1の実施の形態に係る表示用マイクロレンズアレイ202に対応しており、本実施形態の二次元表示素子510は、第1の実施の形態に係る二次元表示素子201に対応しており、本実施形態の制御装置528は、第1の実施の形態に係る制御装置101に対応している。偏光折り返し光学系521は、二次元表示素子510の表示面側から順に、四分の一波長板525、反射鏡524、液晶板527、四分の一波長板523、反射型直線偏光板522が配置されて成る。
反射型直線偏光板522は、入射光のうちS偏光成分を反射し、P偏光成分を透過させる機能を有する。反射鏡524は、透明基板に凹面を形成した後、凹面を透明基板と同一な屈折率を持つ光学接着剤で充填したものである。凹面(またはその裏側の凸面)にはコレステリック液晶が塗布され、円偏光分離層を形成している。コレステリック液晶による円偏光分離層は、右円偏光を通過させ、左円偏光を左円偏光のまま反射させる。反射鏡524は、凹面が二次元表示素子510に対して凸になるように配置されている。つまり、反射鏡524は観察者の方向を向いて配置されている。なお、反射鏡524は、その焦点位置と光学的に略等価な位置に二次元表示素子510の表示面が位置するように配置される。
液晶板527は、透明電極を貼り付けた一対の透明基材の間に液晶素子による液晶層を形成したものであり、透明電極への電圧の印加の有無(液晶層への電圧の印加の有無)に応じて液晶素子の配向方向が変化し、入射光がそのまま出射するか、180度の位相差を生じて出射するかを切り替えることができる。例えば、電圧が印加されている場合には、入射光はそのままの状態で液晶板527を通過し、電圧が印加されていない場合には入射光は180度の位相差を生じて出射する。つまり液晶板527は、電圧の印加に応じて、液晶板527の位置に二分の一偏光板を抜き差しするのと同様の効果が得られる部材である。このような部材は、例えばTN型やSTN型の液晶パネルとして周知である。液晶板527への電圧の印加は、制御装置528により制御される。
以下、本実施の形態における偏光折り返し光学系521の働きを説明する。図14の右側に置かれた二次元表示素子510の表示面から四分の一波長板525に対して、P偏光の光が出射する。P偏光の光は四分の一波長板525を通過することにより右円偏光に変化する。右円偏光は反射鏡524の凸面を通過して液晶板527に向かう。反射鏡524の凹面には、透明基板と同一な屈折率を持つ光学接着剤が充填されているので、反射鏡524を透過する右円偏光は凹面による屈折効果を受けない。
液晶板527は、透明電極への電圧の印加の有無(液晶層への電圧の印加の有無)に応じて液晶素子の配向方向が変化し、入射光がそのまま出射するか、180度の位相差を生じて出射するかを切り替えることができる。これにより、例えば、電圧が印加されている場合(オン)には、入射光はそのままの状態で液晶板527を通過し、電圧が印加されていない場合(オフ)には入射光は180度の位相差を生じて出射する。本実施の形態の偏光折り返し光学系521は、この液晶板527により、表示用マイクロレンズアレイ511および二次元表示素子510により形成される空中像を拡大するか、シースルーして拡大しないかを切り換えることができる。なお、液晶板527への電圧を印加するかしないかの制御(オンオフ制御)は制御装置528により行う。
拡大画像の観察を行いたい場合、液晶板527に電圧を印加する。反射鏡524を通過した右円偏光は液晶板527に入射し、液晶板527に入射した光は入射したときと同じ偏光方向のまま、すなわち右円偏光のままで液晶板527から出射する。右円偏光は、四分の一波長板523を通過してS偏光の光に変化する。S偏光の光は反射型直線偏光板522に向かい、反射型直線偏光板522により反射されて再び四分の一波長板523に向かう。そして、四分の一波長板523を通過することにより左円偏光に変化する。
この左円偏光は反射鏡524の凹面に向かう。前述の通り、凹面は円偏光分離層により、左円偏光に対し凹面鏡として働く。左円偏光は凹面で反射し、液晶板527をそのまま透過し四分の一波長板523に向かい、四分の一波長板523を通過してP偏光の光に変化する。P偏光の光は再び反射型直線偏光板522に向かい、反射型直線偏光板522を透過して観察者に向かう。よって、観察者からは、第1の実施の形態と同様に、遠方に拡大された虚像が観察される。
他方、シースルーで拡大しない画像の観察を行いたい場合には、液晶板527に電圧を印加しない。このとき、反射鏡524を透過する右円偏光が液晶板527に入射すると、液晶板527の液晶層により180度の位相差が生じ、右円偏光に変化し四分の一波長板523に向かう。右円偏光の光は四分の一波長板523を通過することによりP偏光の光17に変化する。P偏光の光は反射型直線偏光板522を透過して観察者に向かう。つまり、液晶板527に電圧が印加されない場合には、二次元表示素子510からの光は偏光折り返し光学系521を素通りして観察者に向かう。
本実施の形態の偏光折り返し光学系521では、パワーは凹面鏡で発するので同じ焦点距離に対して曲率は4倍つまり、R=2fとなる。同口径だと厚さは2.4mmとなる。さらに凹面から表示面までの距離は、表示素子(510)→1/4λ(525)→凹面鏡(通過)(524)→液晶(通過往路)→1/4λ(523)→偏光反射板(522)→1/4λ(523)→TN液晶(復路)(527)→凹面鏡(反射)(524)の経路をとるので凹面鏡の厚さと液晶板を2度通り、この空間を往復で利用することができるために、ほほ半減することができる。
これから、中心厚を薄くして、必要であった焦点距離だけのスペースを半減することで全体の幅を半分程度にすることができる。この効果を口径の方向につかって、口径を大きくしてもよい、口径を大きくすると眼の位置の許容量が大きくなり、非常に見やすいあるいはpd(瞳孔間距離)の調整を不要にする。
一方、液晶板527で偏光面を回転すると、表示素子(510)→1/4λ(525)→凹面鏡(通過)(524)→TN液晶(通過往路)(527)→1/4λ(523)→偏光反射板(通過)(522)となり、この系は屈折力を有さない。これは制御装置528により動的に切り替えることが可能であるから、一定のデューティで切り替えをおこなえば、シースルーのディスプレイとなる。
上述した第2の実施の形態によるヘッドマウントディスプレイによれば、次の作用効果が得られる。
(1)光学系を上記のような偏光折り返し光学系521としたので、ヘッドマウントディスプレイの光学系として、薄型化され、開放絞り値が小さく(明るく)、かつ、色収差が生じない光学系を使用することが可能になる。
(2)また、このような偏光折り返し光学系521をヘッドマウントディスプレイに使用することにより、ヘッドマウントディスプレイの表示部を、薄型化し、開放絞り値を小さく(明るく)し、かつ、色収差がない像の観察が可能になる。
(3)さらに、表示用マイクロレンズアレイ511および二次元表示素子510により再生される空中像を拡大して観察するか、拡大せずシースルーで観察するかを液晶板527のオンオフにより電気的に切り替えることができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
接眼レンズ102を表示用マイクロレンズアレイ202と一体に形成してもよい。つまり、表示用マイクロレンズアレイ202を、接眼レンズ102との合成光学系としてもよい。
(変形例2)
第1の実施の形態において、接眼レンズ102は表示用マイクロレンズアレイ202の後方(観察者に近い側)に設けられていたが、本発明はこのような実施の形態に限定されない。すなわち、接眼レンズ102を表示用マイクロレンズアレイ202の前方(表示用マイクロレンズアレイ202と二次元表示素子201との間)に設けてもよい。
(変形例3)
第1の実施の形態において、接眼レンズ102は平凸のレンズであった。また、第2の実施の形態においては、接眼レンズ102の代わりに偏光折り返し光学系521を設けた。これらの光学系の代わりに、例えば両凸のレンズなど、同様の効果を有する光学系を用いてもよい。
(変形例4)
上述した各実施の形態のように、両目を用いるヘッドマウントディスプレイではなく、片目のみを用いるヘッドマウントディスプレイに本発明を適用することも可能である。例えば第1の実施の形態から表示ユニット104Rを取り除き、左目50Lに対応する表示ユニット104Lのみを有するヘッドマウントディスプレイとしてもよい。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
10、500…ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、101、528…制御装置、102、102L、102R…接眼レンズ、103…記憶装置、104、104L、104R…表示ユニット、201、201L、201R、510…二次元表示素子、202、202L、202R、511…表示用マイクロレンズアレイ、210…表示画素群、211…表示画素、220…表示用マイクロレンズ、521…光学系、522…反射型直線偏光板、523、525…四分の一波長板、524…反射鏡、527…液晶板

Claims (6)

  1. 観察者の前方に配置される接眼レンズと、
    複数のマイクロレンズが二次元状に配列されたマイクロレンズアレイと、
    前記接眼レンズおよび前記マイクロレンズアレイの前方に、前記複数のマイクロレンズの各々に対して配置される二次元表示素子と、
    入力画像データに基づく画像を前記二次元表示素子に表示させることによって、前記二次元表示素子の前方に再生像を形成する表示制御手段とを備え、
    前記二次元表示素子と前記観察者の網膜とが共役でないヘッドマウントディスプレイ。
  2. 請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
    前記二次元表示素子と前記観察者の前眼部とが共役であるヘッドマウントディスプレイ。
  3. 請求項1または2に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
    前記複数のマイクロレンズは、前記観察者の瞳孔よりも小さい径を有するヘッドマウントディスプレイ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
    前記接眼レンズは、
    第1直線偏光成分を透過し前記第1直線偏光成分と直交する第2直線偏光成分を反射する反射型直線偏光板と、
    前記反射型直線偏光板の一方の面に対向して配置された四分の一波長板と、
    前記四分の一波長板に対向する凹面を有し、前記凹面に入射した前記第1直線偏光成分に対応する回転方向の第1円偏光成分を反射し前記第1円偏光成分と逆の回転方向の第2円偏光成分を透過する反射鏡と、
    を有するヘッドマウントディスプレイ。
  5. 請求項4に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
    前記接眼レンズは、前記四分の一波長板と前記反射型直線偏光板との間に配置され、二分の一波長板と略同一の光学特性を有する第1状態と入射光の偏光状態を変化させずに透過する第2状態とを電気的に切替可能な切替部材を備えるヘッドマウントディスプレイ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイにおいて、
    前記表示制御手段は、前記観察者の右目と左目とで視差を有する前記再生像を形成して前記観察者に立体像を観察させるヘッドマウントディスプレイ。
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