JP4261272B2 - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳型本体の裏面側に取付け手段によって支持部材が固定された連続鋳造用鋳型に関するものであり、特に鋳型本体のメニスカス(湯面)部の冷却効率を高めた高速鋳造に適応可能な連続鋳造用鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造設備で使用される連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型とも言う)70は、図10に示すように、一対の幅狭冷却部材である短辺部材71、72と、この短辺部材71、72を挟み込むように配置される一対の幅広冷却部材である長辺部材73、74とを備え、この向い合う長辺部材73、74の両端部にそれぞれボルト75を取付け、バネを介してナット76で固定した構成となっている。
この長辺部材73、74は鏡面対称で同じ構成となっており、図10、図11(A)、(B)に示すように、それぞれ裏面側の上下方向に多数の導水溝77が設けられた長辺銅板78と、長辺銅板78の裏面側にボルト79によって固定されたバックプレート80(冷却箱、水箱とも言う)とを有している。そして、バックプレート80の上端部及び下端部にそれぞれ設けられた排水部81及び給水部82を介して導水溝77に冷却水の一例である工業用水を流すことで、長辺銅板78の冷却を行っている。一方、短辺部材71、72も略同じ構成となっているが、短辺部材71、72の短辺銅板83の幅は、長辺部材73、74の長辺銅板78の幅より短く、この短辺銅板83の裏面側にそれぞれ固定されたバックプレート84の幅が、短辺銅板83の幅と略同一になっている。
なお、この短辺部材71、72の短辺銅板83と、長辺部材73、74の長辺銅板78とで鋳型本体85が構成されている。
【0003】
連続鋳造作業時においては、上記した連続鋳造鋳型70の上方(短辺銅板83、長辺銅板78の上側)から溶鋼を注ぎ、この鋳型70により製品となる鋳片の初期凝固を行い、凝固した鋳片を鋳型70下方より連続して引抜いて製造している。なお、鋳型70に注がれる溶鋼温度及び鋳型70出口の鋳片の表面温度は操業条件により異なるが、通常、溶鋼温度は約1500℃程度であり、鋳型70出口の鋳片の表面温度は800〜1200℃である。ここでの鋳片の内部は未凝固状態、即ち液体状態となっている。
溶鋼は上述したように高温であり、短辺銅板83及び長辺銅板78を十分冷却しないとその温度が上昇するため、短辺銅板83及び長辺銅板78の温度を、銅の強度が低下しない程度の温度以下に保つ必要がある。
【0004】
そこで、短辺銅板83及び長辺銅板78の温度を十分に低く、且つ均一な温度分布になるようにするため、短辺銅板83及び長辺銅板78の裏面側に設けられている冷却水を通す多数の導水溝77の位置調整を行う色々な技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1に記載のように、短辺銅板及び長辺銅板の特にメニスカス部近傍から100mm以内の範囲内におけるボルト間の導水溝を、その間隔が小さくなるようボルト側に所要寸法迂回させて通水し、冷却効率が低下するボルト近傍の冷却を行う方法が開示されている。
また、特許文献2に記載のように、短辺銅板及び長辺銅板の端部に位置する導水溝の断面形状を、短辺銅板及び長辺銅板の厚み方向に対して斜めに傾斜させた形状とし、冷却効率が低下する短辺銅板の幅方向端部の冷却効率を高める連続鋳造用鋳型も開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−59144号公報(第1図)
【特許文献2】
実開昭61−36341号公報(第6図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した連続鋳造用鋳型は、銅板の表面温度を均一に保つための提案であったため、近年、連続鋳造作業の能率を向上させるために必要となる鋳造速度の上昇には対応できなくなってきている。
このように鋳造速度が速くなると、銅板に抽出される熱量、及び銅板を冷却するため銅板から奪う熱量も比例的に増大するため、高速で鋳造を行う銅板の寿命は短くなる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、高速度化した鋳造速度においても、鋳型本体の冷却を適切に行うことが可能な連続鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る連続鋳造用鋳型は、熱伝導性が良好な金属からなり、裏面側に通水部が設けられた鋳型本体と、該鋳型本体の裏面側に取付け手段によって固定された支持部材とを有し、該支持部材に設けられた給水部及び排水部を介して前記通水部に冷却水を流すことで前記鋳型本体の冷却を行う連続鋳造用鋳型において、
前記通水部は、前記鋳型本体のメニスカス部を中央として上下に配置されるメニスカス導水部と、該メニスカス導水部に連通し前記鋳型本体の他の部分に配置される鋳型導水部とを有して垂直に並列配置される多数の導水溝を備え、前記メニスカス導水部の溝底を前記鋳型導水部の溝底よりも前記鋳型本体の表面側に形成し、しかも前記メニスカス導水部の深さ方向の一部に、前記メニスカス導水部の断面積を小さくする閉塞部材を配置して、該メニスカス導水部を流れる前記冷却水の流速を前記鋳型導水部を流れる前記冷却水の流速より速く又は同等にし、
更に、隣り合う多数の前記導水溝の間隔を10〜30mmに設定し、しかも前記鋳型本体の幅方向に隣り合う前記取付け手段の中央部に設けられた隣り合う前記導水溝の間隔より、前記鋳型本体の前記取付け手段の近傍に設けられた隣り合う前記導水溝の間隔を狭くし、
かつ、前記鋳型本体の表面から前記メニスカス導水部の溝底までの距離dと、前記鋳型本体の表面から前記鋳型導水部の溝底までの距離Dとの比d/Dを、2/5〜4/5とし、しかも前記鋳型本体の表面から、該鋳型本体の幅方向に隣り合う前記取付け手段の中央部に設けられた前記メニスカス導水部の溝底までの距離より、前記鋳型本体の表面から、該鋳型本体の前記取付け手段の近傍に設けられた前記メニスカス導水部の溝底までの距離を短くする。
ここで、メニスカス部を中央として上下とは、鋳型本体の上端から、例えば50〜150mmの範囲に位置する鋳型本体の溶鋼の湯面、即ちメニスカス部を含んでその上下の範囲を示し、例えば、鋳型本体の上端から30mm下方位置から、上端から400mm下方位置までの範囲を示している。
【0008】
このように、メニスカス導水部が、鋳型導水部よりも鋳型本体の表面側に配置されるので、鋳型本体で最も高温となるメニスカス部の周辺部の冷却効率を高めることができる。また、鋳型導水部が配置される部分の鋳型本体は、冷却された溶鋼の周辺部に凝固シェル(凝固殻)が形成される部分に対応するため、メニスカス部から離れるほど冷却効率を高める必要性がないので、鋳型導水部の深さを、メニスカス導水部の深さよりも浅くしている。
そして、メニスカス導水部の裏側に閉塞部材を配置し、メニスカス導水部の冷却水の流速を鋳型導水部の冷却水の流速より速くするか又は同等にするので、例えば、冷却水の供給量を従来よりも増加させることなく、メニスカス導水部の鋳型本体の冷却効率を高めることができる。
【0009】
前記目的に沿う第の発明に係る連続鋳造用鋳型は、前記鋳型本体の表面から前記メニスカス導水部の溝底までの距離dと、前記鋳型本体の表面から前記鋳型導水部の溝底までの距離Dとの比d/D、2/5〜4/5である。
このように、メニスカス導水部の溝底と鋳型導水部の溝底との関係を設定することで、鋳型本体のメニスカス部の冷却効率を高めることが容易にできる。
ここで、鋳型本体の表面からメニスカス導水部の溝底までの距離dと、鋳型本体の表面から鋳型導水部の溝底までの距離Dとの比d/Dが2/5未満の場合、鋳型下部での表面温度が高くなり、鋳片の品質を悪化させる恐れがある。一方、比d/Dが4/5を超える場合、距離dと距離Dとの差が小さくなるため、例えば、メニスカス導水部の溝底の位置に対して、鋳型導水部の深さが同程度の深さとなり、鋳型本体の加工に要する手間がかかり作業性が悪くなる。
従って、鋳型本体のメニスカス部の冷却効率を高めることができる連続鋳造用鋳型を製作するためには、鋳型本体の表面からメニスカス導水部の溝底までの距離dと、鋳型本体の表面から鋳型導水部の溝底までの距離Dとの比d/Dを、1/2〜4/5とすることが好ましく、更には3/5〜4/5にすることが好ましい。
【0010】
前記目的に沿う第の発明に係る連続鋳造用鋳型は、第の発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記多数の前記メニスカス導水部が形成された前記鋳型本体の裏面側一面には、隣り合う前記各メニスカス導水部を連通する凹部が形成され、該凹部に、耐食性を備えた金属板からなる前記閉塞部材が配置されている。
【0011】
前記目的に沿う第の発明に係る連続鋳造用鋳型は、隣り合う多数の前記導水溝の間隔を10〜30mmに設定する。
ここで、例えば、鋳型本体の厚みを45mm程度、冷却水流量を鋳型幅100mm当たり200L/min程度に設定した場合、隣り合う多数の導水溝の間隔が10mm未満では、鋳型本体の冷却効率の更なる顕著な向上は望めず、しかも鋳型本体の形状が複雑になり、加工時における作業性が悪くなる。一方、導水溝の間隔が30mmを超えるとき、導水溝の間隔が開き過ぎ、鋳型本体の幅方向の冷却を均一に行うことができず、冷却にむらが生じ製造した鋳片品質の低下を招く恐れがある。
従って、例えば、鋳型本体の厚みを45mm程度、冷却水流量を鋳型幅100mm当たり200L/min程度に設定した場合、鋳型本体の加工作業を容易に行うと共に、鋳片品質を向上させるためには、隣り合う多数の導水溝の間隔を、10〜25mmに設定することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型の鋳型本体の長辺銅板の背面図、図2は同長辺銅板の部分拡大図、図3(A)〜(C)はそれぞれ図2のa−a矢視断面図、b−b矢視断面図、図1のc−c矢視断面図、図4は図2のd−d矢視断面図、図5(A)は数値解析に使用した長辺銅板の水路モデルの背面図、(B)は(A)のe−e矢視断面図、図6(A)は図5(A)のf−f矢視断面図、(B)は従来例に係る長辺銅板の水路モデルの説明図、図7(A)、(B)はそれぞれ数値解析結果に基づく長辺銅板の表面側の温度分布の説明図、裏面側の温度分布の説明図、図8は従来例に係る長辺銅板の表面側の温度分布の説明図、図9(A)、(B)はそれぞれ数値解析結果に基づく長辺銅板のメニスカス部の温度分布の説明図、従来例に係る長辺銅板のメニスカス部の数値解析結果に基づく温度分布の説明図である。
【0013】
図1〜図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型(以下、単に鋳型とも言う)は、一対の幅広冷却部材である長辺部材10、11と、一対の幅狭冷却部材である短辺部材(図示しない)とを組合せることで製造されるものである(図10参照)。
【0014】
この連続鋳造用鋳型の長辺部材10、11は、それぞれ熱伝導性が良好な金属の一例である銅からなり、裏面側に通水部12が設けられた長辺銅板(以下、単に銅板とも言う)13と、長辺銅板13の裏面側に取付け手段14によって固定された支持部材の一例であるバックプレート(冷却箱、水箱とも言う)15とを有し、バックプレート15の幅方向に渡って設けられた給水部16及び排水部17を介して通水部12に冷却水の一例である工業用水を流すことで長辺銅板13の冷却を行うものである。この長辺銅板13の表面(冷却面)には、例えばNi、Ni−Co合金等の被覆材が、めっき又は溶射されている。なお、連続鋳造用鋳型の短辺部材も、上記した長辺部材10、11と略同様の構成であり、長辺部材10、11の長辺銅板13と短辺部材の短辺銅板とで鋳型本体が構成され、しかも鋳型本体の内側には、鋳型空間が形成されている。
このように、短辺銅板は長辺銅板13と幅が異なるのみであるため説明を省略し、以下、長辺銅板13についてのみ詳しく説明する。
【0015】
図1〜図4に示すように、銅板13(厚みが例えば、10〜100mm程度)は、銅板13に形成されている雌ねじ部18(ここでは、銅板13の幅方向に等間隔に10箇所、銅板13の上下方向に8箇所、合計80箇所)と、雌ねじ部18に螺合してバックプレート15を締着する雄ねじ(図示しない)とからなる取付け手段14により、例えばステンレスからなるバックプレート15(例えば、厚み50〜500mm程度)に固定されている。なお、バックプレート15の給水部16、排水部17、及び銅板13の通水部12を囲むバックプレート15の周辺部には溝が形成され、ここにOリング19を配置することで、銅板13とバックプレート15との密着性を向上させ、通水部12からの工業用水の漏れを防止している。また、雄ねじを取付けるため、バックプレート15に形成された孔(ここでは80箇所)には、予め防水可能なシール座金が配置されており、雄ねじを取付けた部分からの工業用水の漏れを防止している。
【0016】
これにより、バックプレート15の下側の給水部16に設けられた給水口(図示しない)から工業用水を供給し、給水部16によって通水部12を幅方向に均一に、しかも銅板13の下側から上側にかけて通水部12を流れた工業用水を、バックプレート15の上側の排水部17に設けられた排水口(図示しない)から排出し、銅板13の冷却を行っている。
【0017】
図1〜図3に示すように、通水部12は銅板13の裏面側に垂直に並列配置される多数の導水溝20〜22を備えている。これらの導水溝20〜22は、それぞれ通水部12の流水方向に向けて(即ち、垂直に)実質的に直線状となっており、その溝幅が例えば3〜15mmである。この導水溝20は、銅板13の幅方向に隣り合う雌ねじ部18の中央部に複数本(本実施の形態では、隣り合う雌ねじ部18間に3本、合計27本)設けられている。また、導水溝21は、銅板13の幅方向両端部の導水溝22を除いた雌ねじ部18近傍に複数本(本実施の形態では、雌ねじ部18の一方側に2本、合計36本)設けられている。そして、導水溝22は、銅板13の幅方向両端部にそれぞれ設けられている。
ここで、隣り合う導水溝20の間隔W1が10〜30mmに設定され、更には隣り合う導水溝21の間隔W2が10〜30mmに設定されている。なお、銅板13の厚み及び工業用水の流量に応じて、隣り合う導水溝20の間隔W1、及び隣り合う導水溝21の間隔W2を、5〜30mmに設定することも可能である。
なお、この実施の形態では、隣り合う導水溝21の間隔W2は、隣り合う導水溝20の間隔W1よりも狭くなっており、導水溝を形成できない雌ねじ部18近傍の冷却効率の低下を抑制している。
【0018】
また、図1、図2、図3(A)、図4に示すように、導水溝20は、銅板13のメニスカス部(銅板13の上端から、例えば50〜150mm)を含み、それを中央として上下に所定の範囲(銅板14の上端から、例えば30〜400mmの範囲)に配置されるメニスカス導水部23と、このメニスカス導水部23に連通し、銅板13の他の部分、即ちメニスカス部の下方に配置される鋳型導水部24を有している。
また、図1、図2、図3(B)、図4に示すように、導水溝21も、銅板13のメニスカス部(銅板13の上端から、例えば50〜150mm)を含み、それを中央として上下に所定の範囲(銅板13の上端から、例えば30〜400mmの範囲)に配置されるメニスカス導水部25と、このメニスカス導水部25に連通し、メニスカス部の下方に配置される鋳型導水部26を有している。
【0019】
この各導水溝20、21のメニスカス導水部23、25の溝底は、例えば銅板13の表面から銅板13の厚みの1/3〜1/2程度の位置に形成され、しかも鋳型導水部24、26の溝底よりも銅板13の表面側に形成されている。ここで、銅板13の表面から各メニスカス導水部23、25の溝底までの距離d1、d2と、銅板13の表面から鋳型導水部24、26の溝底までの距離D1、D2との比d1/D1、d2/D2は、2/5〜4/5にそれぞれ設定されている。なお、距離d2は距離d1より短く、また距離D2は距離D1より短くなっており、導水溝を形成できない雌ねじ部18近傍の冷却効率の低下を抑制している。
そして、図1、図2、図3(C)に示すように、導水溝22は、その下端部から上端部まで実質的に同一の断面形状となっている。
【0020】
このように、銅板13に上記した形状の各導水溝20、21が形成されているので、銅板13のメニスカス部近傍の冷却効率を高めることができる。
また、導水溝20のメニスカス導水部23と鋳型導水部24との連続部分、導水溝21のメニスカス導水部25と鋳型導水部26との連続部分は、それぞれなだらかな曲面で構成され、また、各導水溝20〜22の上端部及び下端部もそれぞれなだらかな曲面で構成されているので、長辺部材10、11を下方から上方へかけて流れる工業用水の流れに対する抵抗を小さくできる。
【0021】
図1、図2、図3(A)、(B)、図4に示すように、多数のメニスカス導水部23、25が形成された銅板13の裏面側一面には、隣り合う各メニスカス導水部23、25を連通する凹部27が形成されている。この凹部27は、背面視して矩形状となっており、銅板13とバックプレート15との接合面から凹部27の底までの距離が、各メニスカス導水部23、25の配置位置や、そこを流れる工業用水の流速に応じて、銅板13の厚みの例えば1/10〜1/3に設定されている。
【0022】
この凹部27には、この凹部27の形状に対応した耐食性を備えた金属板である例えば、銅板、ステンレス板等からなる閉塞部材28が配置されている。これにより、各メニスカス導水部23、25の深さ方向の一部(例えば、メニスカス導水部23、25の深さの1/5〜1/2)に、閉塞部材28を配置できる。この閉塞部材28の下端部及び上端部は、それぞれ各導水溝20、21を流れる工業用水の流れに対する抵抗を小さくするため、なだらかに傾斜した状態に加工されている。また、この閉塞部材28は、銅板13に対して、固定手段の一例であるボルト29により取付けられ、銅板13に固定されている。
【0023】
このように、各メニスカス導水部23、25が各鋳型導水部24、26よりも銅板13の表面側に配置され、しかも各メニスカス導水部23、25の断面積を、各鋳型導水部24、26の断面積以下に小さくする閉塞部材28を凹部27に配置して、各メニスカス導水部23、25を流れる工業用水の流速を、鋳型導水部24、26を流れる工業用水の流速より速く又は同等にするので、メニスカス部近傍の銅板13の冷却効率を高めることが可能になる。
従って、従来と同様の流量の工業用水を利用して、より良い冷却効率が得られ経済的である。
【0024】
【実施例】
(数値解析)
続いて、前記した連続鋳造用鋳型の長辺銅板13を使用し、熱伝導解析(FEM解析)を行った結果について説明する。
熱伝導解析に使用した長辺銅板13の各寸法は、図5(A)、(B)、図6(A)に示すように、長辺銅板13の厚みが46mm、銅板13の幅方向に隣り合う雌ねじ部18の中心間距離が152mm、導水溝21、22の幅がそれぞれ5mm、隣り合う導水溝20の間隔W1が17mm、隣り合う導水溝21の間隔W2が9mm、導水溝20の距離d1が23mm、導水溝21の距離d2が21mmである。
また、従来例として、図6(B)に示すように、長辺銅板13とは導水溝の形状及び配置位置のみが異なる長辺銅板30を熱伝導解析に使用した。なお、導水溝31は、隣り合う雌ねじ部32の間に5本形成され、銅板30の表面から導水溝31の溝底までの距離d3が、長辺銅板13の導水溝21の距離d2と同一で、その深さが25mmのものである。
【0025】
上記した構成となった銅板13を使用して解析を行った結果、図7(A)、(B)に示すように、銅板13の表面側のメニスカス部近傍が最も高温となっていることが分かる。また、従来例の長辺銅板30を使用して解析した結果についても、図8に示すように、長辺銅板30の表面側のメニスカス部近傍が最も高温となっていることが分かる。
【0026】
ここで、最も高温となる部分(各長辺銅板13、30の上端から160mm程度の部分)の各長辺銅板13、30の断面の温度分布を、図9(A)、(B)にそれぞれ示す。なお、各長辺銅板13、30の断面において、長辺銅板13、30の表面であって、隣り合う雌ねじ部18、32間の中心位置をa点、雌ねじ部18、32の位置をb点、また導水溝(スリット)20、21、31の溝底であって、隣り合う雌ねじ部18、32間の中心位置をc点、雌ねじ部18、32の側部の位置をd点に、それぞれ設定した。ここで、鋳造速度を1.0、1.5、及び2.0(m/min)の3段階に変化させた場合の各点a〜dの温度を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0004261272
【0028】
表1から明らかなように、鋳造速度を1.0(m/min)に設定した場合、長辺銅板13を使用することにより、溝底(c点、d点)の温度で8℃、表面(a点、b点)の温度で19〜21℃、従来例の長辺銅板30よりも低下できることを確認できた。なお、この温度低下は、鋳造速度を高めた場合においても同様であり、鋳造速度を高速の2.0(m/min)に設定した場合、長辺銅板13を使用することにより、溝底(c点、d点)の温度で10〜11℃、表面(a点、b点)の温度で22〜26℃、従来例の長辺銅板30よりも低下できた。
【0029】
また、鋳造速度を2.0(m/min)に設定した場合、長辺銅板13の溝底の温度が126〜132℃となり、例えば冷却水背圧を0.2(MPa)としたときの水の沸点温度133℃を下回るので、スケール付着の促進を抑えることが可能となる。
一方、鋳造速度を2.0(m/min)に設定した場合、従来の長辺銅板30の溝底の温度は136〜143℃となり、冷却水背圧を0.2(MPa)としたときの水の沸点温度133℃を上回るので、スケールの付着が促進される。
以上のことから、長辺銅板13を備えた連続鋳造用鋳型を使用することで、高速鋳造にも対応可能で、しかも良好な品質を備えた鋳片を製造できる。
【0030】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の連続鋳造用鋳型を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、熱伝導性が良好な金属として銅を使用した場合について説明したが、熱伝導性が良好であれば、例えば他の金属や銅合金等を使用することも可能である。
そして、前記実施の形態においては、多数のメニスカス導水部が形成された鋳型本体の裏面側一面に、隣り合う各メニスカス導水部を連通する凹部を形成し、この凹部に閉塞部材を配置した場合について説明したが、各メニスカス導水部の深さ方向の一部に、メニスカス導水部の断面形状に対応した閉塞部材を、それぞれ配置することも可能である。
【0031】
【発明の効果】
請求項1、2記載の連続鋳造用鋳型においては、鋳型本体で最も高温となるメニスカス部の周辺部の冷却効率を高めることができるので、鋳型本体に対する熱負荷が増大する高速度化した鋳造速度においても、鋳型本体の冷却を適切に行うことができ、安定した品質の鋳片を製造できる。
また、鋳型導水部の深さを、メニスカス導水部の深さよりも浅くすることで、鋳型の製作コストを低減できる。
そして、例えば、冷却水の供給量を従来よりも増加させることなく、メニスカス導水部の鋳型本体の冷却効率を高めることができるので、従来使用されている連続鋳造設備の各装置を変更することなく使用可能な連続鋳造用鋳型を提供できる。
【0032】
特に、請求項記載の連続鋳造用鋳型においては、鋳型本体のメニスカス部の冷却効率を高めることができるので、高品質の鋳片を製造でき、安定して鋳造作業を実施できる。
請求項記載の連続鋳造用鋳型においては、閉塞部材の形状を単純化できるので、例えば閉塞部材の形状加工のコストを低減できて経済的であると共に、製造時における作業性が良好になる。
請求項記載の連続鋳造用鋳型においては、隣り合う多数の導水溝の間隔を設定するので、導水溝を従来よりも冷却効率が高まるように配置することができ、鋳型本体の冷却効率を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る連続鋳造用鋳型の鋳型本体の長辺銅板の背面図である。
【図2】同長辺銅板の部分拡大図である。
【図3】(A)〜(C)はそれぞれ図2のa−a矢視断面図、b−b矢視断面図、図1のc−c矢視断面図である。
【図4】図2のd−d矢視断面図である。
【図5】(A)は数値解析に使用した長辺銅板の水路モデルの背面図、(B)は(A)のe−e矢視断面図である。
【図6】(A)は図5(A)のf−f矢視断面図、(B)は従来例に係る長辺銅板の水路モデルの説明図である。
【図7】(A)、(B)はそれぞれ数値解析結果に基づく長辺銅板の表面側の温度分布の説明図、裏面側の温度分布の説明図である。
【図8】従来例に係る長辺銅板の表面側の温度分布の説明図である。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ数値解析結果に基づく長辺銅板のメニスカス部の温度分布の説明図、従来例に係る長辺銅板のメニスカス部の数値解析結果に基づく温度分布の説明図である。
【図10】連続鋳造用鋳型の平面図である。
【図11】(A)は連続鋳造用鋳型の長辺銅板の説明図、(B)は(A)のg−g矢視断面図である。
【符号の説明】
10、11:長辺部材、12:通水部、13:長辺銅板、14:取付け手段、15:バックプレート(支持部材)、16:給水部、17:排水部、18:雌ねじ部、19:Oリング、20〜22:導水溝、23:メニスカス導水部、24:鋳型導水部、25:メニスカス導水部、26:鋳型導水部、27:凹部、28:閉塞部材、29:ボルト、30:長辺銅板、31:導水溝、32:雌ねじ部

Claims (2)

  1. 熱伝導性が良好な金属からなり、裏面側に通水部が設けられた鋳型本体と、該鋳型本体の裏面側に取付け手段によって固定された支持部材とを有し、該支持部材に設けられた給水部及び排水部を介して前記通水部に冷却水を流すことで前記鋳型本体の冷却を行う連続鋳造用鋳型において、
    前記通水部は、前記鋳型本体のメニスカス部を中央として上下に配置されるメニスカス導水部と、該メニスカス導水部に連通し前記鋳型本体の他の部分に配置される鋳型導水部とを有して垂直に並列配置される多数の導水溝を備え、前記メニスカス導水部の溝底を前記鋳型導水部の溝底よりも前記鋳型本体の表面側に形成し、しかも前記メニスカス導水部の深さ方向の一部に、前記メニスカス導水部の断面積を小さくする閉塞部材を配置して、該メニスカス導水部を流れる前記冷却水の流速を前記鋳型導水部を流れる前記冷却水の流速より速く又は同等にし、
    更に、隣り合う多数の前記導水溝の間隔を10〜30mmに設定し、しかも前記鋳型本体の幅方向に隣り合う前記取付け手段の中央部に設けられた隣り合う前記導水溝の間隔より、前記鋳型本体の前記取付け手段の近傍に設けられた隣り合う前記導水溝の間隔を狭くし、
    かつ、前記鋳型本体の表面から前記メニスカス導水部の溝底までの距離dと、前記鋳型本体の表面から前記鋳型導水部の溝底までの距離Dとの比d/Dを、2/5〜4/5とし、しかも前記鋳型本体の表面から、該鋳型本体の幅方向に隣り合う前記取付け手段の中央部に設けられた前記メニスカス導水部の溝底までの距離より、前記鋳型本体の表面から、該鋳型本体の前記取付け手段の近傍に設けられた前記メニスカス導水部の溝底までの距離を短くすることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  2. 請求項記載の連続鋳造用鋳型において、前記多数の前記メニスカス導水部が形成された前記鋳型本体の裏面側一面には、隣り合う前記各メニスカス導水部を連通する凹部が形成され、該凹部に、耐食性を備えた金属板からなる前記閉塞部材が配置されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
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