JP4260285B2 - 漂白剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、漂白効果が高く、刺激臭がない漂白剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
浴室の天井、タイル目地、プラスチックの壁や台所の三角コーナー等の黒ずみ汚れは、カビが生産する色素が原因であり、クレンザーや界面活性剤を配合した製品では除去することが困難である。カビ取り掃除には次亜塩素酸塩等を配合した塩素系漂白剤が上市されているが、強い漂白力のため、使用に際しては十分な注意が必要であることから作業しづらく、また使用時に刺激臭があり狭い浴室等で使用した際には苦痛であるという問題がある。
【0003】
これに対して、特開平2−252800号公報や特開平3−97798号公報等の刺激臭が少ない酸素系漂白剤が知られている。しかしながら、これらの酸素系漂白剤は、漂白活性化剤と過酸化水素もしくは過酸化水素放出体をアルカリ性下で反応させる必要があり、剤型が分包状態になる等の問題や粉末体にして水に溶解させて使用する場合も1回の剤の量が多くなるという問題がある。
【0004】
本発明は、漂白効果が高く、刺激臭もなく、使い勝手に優れる漂白剤、特に硬質表面に対して効果的な漂白剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)下記の一般式(1):
【0006】
【化3】
【0007】
[式中、Aは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜9のアルキル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基又は水酸基で置換されていてもよいベンゼン環もしくはナフタレン環を示し;R1は水素原子を示すか、又は水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を示し;nは1〜10の整数を示す。]
で表される有機過酸化物並びに(b)モノテルペン炭化水素、セスキテルペン炭化水素、モノテルペンアルコール、セスキテルペンアルコール及び炭素数7〜10の芳香族アルコールから選ばれる1種以上を含有する漂白剤を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる(a)成分の有機過酸化物は、一般式(1)で表されるものであり、その中でも、下記の一般式(2):
【0009】
【化4】
【0010】
[式中、nは1〜10の整数を示す。]
で表されるものから選ばれる1種以上の組み合わせが好ましく、一般式(2)におけるnは1〜8のものがより好ましく、1〜6が最も好ましい。
【0011】
(a)成分の漂白剤中の含有量は、水に溶解時に1重量%以上になる量で、用途によって要求される漂白力に応じて適宜決定する。カビ取り掃除に用いる場合には、水に溶解し使用する際に1〜20重量%になるように配合することが好ましく、より好ましくは1〜10重量%になるようにするとよい。
【0012】
本発明で用いる(b)成分は、α−ピネン、β−ピネン、D−又はL−リモネン、ターピノレン等のモノテルペン炭化水素、β−カリオフィレン、セドレン等のセスキテルペン炭化水素、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、α−ターピネオール、l−メントール、ボルネオール等のモノテルペンアルコール、ファルネソール、ネロリドール、ワンタロール、セドロール、ベチベロール等のセスキテルペンアルコール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、シンナミックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール等の炭素数7〜10の芳香族アルコールから選ばれる1種以上が挙げられ、これらの中でもD−又はL−リモネンが好ましい。
【0013】
(b)成分の漂白剤中の含有量は、好ましくは0.001〜20重量%、より好ましくは0.01〜10重量%である。
【0014】
本発明の漂白剤には、漂白効果を高め、水への溶解性を向上するため、アルカリ剤を好ましくは0.01〜90重量%、より好ましくは0.1〜85重量%配合する。
【0015】
アルカリ剤は、水溶液中でアルカリ性を示す化合物であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、モノ、ジもしくはトリエタノールアミン等のアミン誘導体、過酸化水素が付加されていてもよい炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸アンモニウム等の炭酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ金属の珪酸塩、珪酸アンモニウム等の珪酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、過酸化水素が付加されていてもよいアルカリ金属のホウ酸塩等から選ばれる1種以上が好ましい。
【0016】
本発明の漂白剤には、漂白効果を高め、例えば水溶液の状態でトリガースプレーで噴霧した場合に泡による付着効果やミストを低減する効果を付与するため、界面活性剤を好ましくは0.01〜40重量%、より好ましくは0.1〜20重量%配合することが好ましい。
【0017】
界面活性剤は、特開平9−310098号公報の3頁4欄9行〜9頁15欄49行までに記載されているカチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましく、これらの中でも両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0018】
本発明の漂白剤には、水溶液の状態でトリガースプレーで噴霧した際、付着性を増強し、漂白効果を高める目的で、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びアルケニルコハク酸並びにそれらのアルカリ金属塩を好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.05〜20重量%配合することが好ましい。
【0019】
本発明の漂白剤には、水溶液の状態でトリガースプレーで噴霧した際、(a)成分を付着させて漂白効果を向上させるため、水溶性高分子を好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%配合することが好ましい。
【0020】
水溶性高分子は、例えば、特開平8−209194号公報6頁10欄20行〜7頁11欄3行に記載のものから選ばれる1種以上が挙げられ、これらの中でも下記の(i)〜(iv)から選ばれる1種以上が好ましい。
【0021】
(i)グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、アラビアガム、ペクチン等の植物由来の天然高分子;
(ii)キサンタンガム等の微生物由来の天然高分子;
(iii)セルロース、デンプン、セルロース又はデンプンを、酸化、メチル化、カルボキシメチル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、カチオン化等の処理により加工したセルロース誘導体又はデンプン誘導体;
(iv)ポリアクリル酸ホモポリマー又はアクリル酸と共重合可能なモノマーとのコポリマーであるポリアクリル酸誘導体、前記のポリアクリル酸ホモポリマー又はポリアクリル酸誘導体を架橋したもの。
【0022】
本発明の漂白剤には、pHを維持し、漂白効果を向上させるため、有機酸を好ましくは0.01〜40重量%、より好ましくは0.1〜30重量%配合することが好ましい。有機酸は、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸及びマロン酸から選ばれる1種以上が好ましい。
【0023】
本発明の漂白剤には、漂白効果を向上させるため、金属イオン封鎖剤を好ましくは0.001〜20重量%、より好ましくは0.01〜10重量%配合することが好ましい。
【0024】
金属イオン封鎖剤は、特開平8−209194号公報7頁12欄9〜20行に記載のものから選ばれる1種以上が挙げられ、具体的には、トリポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸及びそれらのアルカリ金属塩、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸及びそれらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸のN−オキシド及びそれらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、ポリα−ヒドロキシアクリル酸及びそのアルカリ金属塩が挙げられる。
【0025】
本発明の漂白剤には、さらに本発明の目的を損なわない範囲の香料、抗菌剤、顔料、染料、セルロース化合物や硫酸塩等の増量剤又はポリエチレングリコールや水溶性高分子化合物等の造粒助剤等を配合することができる。
【0026】
本発明の漂白剤は、(a)、(b)成分、必要に応じて他の成分の全部を一つにしたもの又は任意の組み合わせの2以上の成分に分包した粉末状、フレーク状、顆粒状、錠剤状等の非水系の固体状製剤にすることができる。また、その他にも、(a)成分を非水系の固体状とし、他の成分を水系の水溶液又は水懸濁液状とし、使用時に混合することもできる。固体状製剤にする場合は、ポリエチレングリコールやポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性バインダーにより製剤化し、さらにヒドロキシプロポキシメチルセルロース等で被覆することもできる。本発明は、従来の塩素系漂白剤よりも刺激臭が少ない上、従来の漂白活性化剤、過酸化水素放出体を使用する場合よりも剤型の制限が少なく、過酸化水素放出体を使用しなくてもよいので、1回の使用量を少なくできる。
【0027】
本発明の漂白剤又は漂白剤製品の硬質表面への適用方法としては、トリガースプレー等の吐出容器又はスクイズ容器等により、対象面に噴霧又は散布する形態、紙や布等に含浸させ湿布する形態、刷毛やローラー等により塗布する形態等を使用することができる。
【0028】
【実施例】
本発明品1〜6、比較品1
表1に示す組成の漂白剤を調製した。これらの漂白剤を表1に示した使用量で水100mlに溶解した溶液を用い、下記の方法で漂白効果を試験した。表1に示す漂白剤はすべて粉末状態で、1つの包装とした。(a)成分は下記の合成法で製造されたフタルイミド型有機過酸化物を用いた。結果を表1に示す。
【0029】
(合成法)
無水フタル酸74gと6−アミノカプロン酸66gを、ビーカー中、160℃で1時間撹拌し、6−フタルイミドカプロン酸を得た(収率65%)。硫酸60gを撹拌下、そこに6−フタルイミドカプロン酸20gを加え、5℃に冷却し、同温度を維持するように60%過酸化水素5.7gを滴下しながら加え、2時間撹拌した。これに20%(NH4)2SO4200mlを加え、15分間撹拌した後、多孔性セプタム上に濾過し、下記式の生成物を得た。収率は83%、過酸の生成量から測定した純度は72%であった。
【0030】
【化5】
【0031】
(漂白効果の試験方法)
クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)を接種し、30℃で14日間培養したプラスチック板(ABS樹脂製)をモデルプレートとした。各漂白剤の水溶液40μlをモデルプレート上に滴下し、15分放置後、水洗し風乾した後、日本電気工業株式会社製の測色計1001DPを用いて明度(L値)を測定した。なお、プラスチック板の元々のL値は92.4であり、モデルプレートのL値は65〜75であった。L値が高いほど、カビの除去率が高い(漂白効果が高い)ことを示している。
【0032】
【表1】
【0033】
本発明品7、比較品2
表2及び表3に示す組成の漂白剤を調製し、下記評価方法に従って臭いの評価を行った。結果を表2及び表3に示す。なお、本発明品7は、(I)剤と(II)剤を別々に調製し、使用時に混合した。
【0034】
(臭いの評価)
表2及び表3の本発明品7及び比較品2の漂白剤を、25〜45歳の女性10人のそれぞれに約6m3の浴室内に100gをトリガースプレーで噴霧使用してもらい、使用中の臭いを下記の基準に従って評価し、該当する人数を表示した。
○:いやな臭いがない
△:臭いがあるが苦痛ではない
×:臭いがあり苦痛である
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、漂白効果が高く、刺激臭がない漂白剤を提供することができる。
Claims (2)
- (a)下記の一般式(1):
で表される有機過酸化物並びに
(b)モノテルペン炭化水素、セスキテルペン炭化水素、モノテルペンアルコール、セスキテルペンアルコール及び炭素数7〜10の芳香族アルコールから選ばれる1種以上を0.01〜10重量%含有する漂白剤を水に溶解して使用するカビ取り方法であり、
前記(a)成分の濃度が1〜20重量%になるように前記漂白剤を水に溶解して使用する、カビ取り方法。
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