JP4259846B2 - 空気調和システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、室外機の運転モードの最適化を図る空気調和システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、冷暖房切替型の室外機に対して、複数の室内機が冷媒配管を通じて接続されている空気調和システムが存在する。
従来の空気調和システムは、一般的に室外又は代表される部屋にサーモスタットが設置され、サーモスタットは、設定温度と設置雰囲気温度を比較し、その比較結果に応じて内蔵する接点を開放又は短絡することにより室外機の運転モードを決定する。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−27395号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の空気調和システムは以上のように構成されているので、サーモスタットが設置される代表の部屋(または屋外)の設置雰囲気温度に応じて室外機の運転モードが決定される。しかし、サーモスタットが設置される代表の部屋等と他の部屋の温度は、日照条件や発熱機器(例えば、OA機器、冷蔵庫)の有無などによって異なるため、他の部屋に対する室外機の運転モードが最適化されず、快適な室内環境が得られないことがあるなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、代表される部屋の快適度の低下を招くことなく、他の部屋の快適度を高めることができる空気調和システムを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る空気調和システムは、収集手段により収集された設定温度と観測温度の差分温度を室内機毎に演算して、その差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機を検出する検出手段を設け、その検出手段により検出された室内機の差分温度が小さくなるように室外機の運転モードを決定するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による空気調和システムを示す構成図であり、図において、室外機1は暖房モードと冷房モードを切り替えながら運転を実施し、冷媒配管2を通じて室内機3,4と接続されている。室内機3,4はリモコン5,6により設定温度等が設定され、室外機1から送られた温風や冷風を室内に送り出す機能を備えている。
集中リモコン8は室内機3,4に対する設定温度等を伝送路7を介して収集し、室外機の運転モードを決定する機能を備えている。
【0008】
図2は集中リモコン8の内部構成を示す構成図であり、図において、入力部11は室内機3,4の優先順位等の入力を受け付けるキーボード等であり、CPU12は各種の演算処理等を実施し、表示部13は入力部11の入力内容やCPU12の演算結果等を表示する。
【0009】
優先順位設定部21は入力部11により入力された優先順位を設定し、収集手段を構成するデータ収集部22は室内機3,4に対する設定温度を収集するとともに、室内機3,4に内蔵されている温度センサの観測温度を収集する。
検出手段を構成する室内機検出部23はデータ収集部22により収集された設定温度と観測温度の差分温度を室内機毎に演算して、その差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機を検出し、モード決定手段を構成する運転モード決定部24は室内機検出部23により検出された室内機の差分温度が小さくなるように室外機1の運転モードを決定する。
図3は優先順位設定部21による優先順位の設定内容を示す説明図であり、図4は集中リモコン8の処理内容を示すフローチャートである。
【0010】
次に動作について説明する。
まず、ユーザがリモコン5,6を操作して、室内機3,4に対する設定温度を入力すると、室内機3,4は、伝送路7を介して、当該設定温度を集中リモコン8に送信する。
また、ユーザが集中リモコン8の入力部11を操作して、室内機3,4の優先順位を入力すると、優先順位設定部21が室内機3,4の優先順位を設定する。この例では、説明の便宜上、室内機3の優先順位が“1”で、室内機4の優先順位が“2”であるとする(図3を参照)。
【0011】
室内機3,4及び室外機1の運転が開始されると、集中リモコン8のデータ収集部22は、伝送路7を介して、室内機3,4に内蔵されている温度センサの観測温度(室温)を収集する(ステップST1)。
集中リモコン8の室内機検出部23は、データ収集部22が室内機3,4から室温を収集すると、室内機3,4に対する設定温度から室温を減算して差分温度を演算する(ステップST2)。
差分温度=設定温度−室温
【0012】
室内機検出部23は、上記のようにして、差分温度を室内機毎に演算すると、優先順位設定部21の設定内容を参照して、優先順位“1”の室内機(図3の例では、室内機3)を把握し、その室内機3の差分温度が許容温度範囲から逸脱しているか否かを判定する(ステップST3)。
具体的には、室内機3の差分温度が+2℃より大きい場合、差分温度が許容温度範囲から逸脱していると判定する。
運転モード決定部24は、室内機検出部23により室内機3の差分温度が+2℃より大きいと判定された場合、その差分温度の絶対値を小さくするため、室外機1の運転モードを暖房モードに決定して、室外機1を暖房運転させる(ステップST11)。
【0013】
室内機検出部23は、室内機3の差分温度が+2℃以下の場合、室内機3の差分温度が−2℃より小さいか否かを判定し、−2℃より小さい場合、差分温度が許容温度範囲から逸脱していると判定する(ステップST4)。
運転モード決定部24は、室内機検出部23により室内機3の差分温度が−2℃より小さいと判定された場合、その差分温度の絶対値を小さくするため、室外機1の運転モードを冷房モードに決定して、室外機1を冷房運転させる(ステップST12)。
【0014】
次に、室内機検出部23は、室内機3の差分温度が許容温度範囲から逸脱していない場合、優先順位“2”の室内機(図3の例では、室内機4)を把握し、その室内機4の差分温度が許容温度範囲から逸脱しているか否かを判定する(ステップST5,ST6)。
室内機4の差分温度が許容温度範囲から逸脱しているか否かの判定方法は、室内機3の場合と同様であるため説明を省略する。
【0015】
運転モード決定部24は、室内機検出部23により室内機4の差分温度が+2℃より大きいと判定された場合、その差分温度の絶対値を小さくするため、室外機1の運転モードを暖房モードに決定して、室外機1を暖房運転させる(ステップST11)。
一方、室内機検出部23により室内機3の差分温度が−2℃より小さいと判定された場合、その差分温度の絶対値を小さくするため、室外機1の運転モードを冷房モードに決定して、室外機1を冷房運転させる(ステップST12)。
【0016】
室内機検出部23は、差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機がない場合、優先順位“1”の室内機3が暖房運転又は冷房運転を要求しているか否かを判定する(ステップST7,ST8)。
即ち、室内機3の差分温度が次の場合、暖房運転又は冷房運転を要求していると判定する。
暖房要求 : 2℃≧差分温度>0℃
冷房要求 : 0℃>差分温度≧−2℃
【0017】
運転モード決定部24は、優先順位“1”の室内機3が暖房運転を要求している場合、室外機1の運転モードを暖房モードに決定して、室外機1を暖房運転させる(ステップST11)。一方、優先順位“1”の室内機3が冷房運転を要求している場合、室外機1の運転モードを冷房モードに決定して、室外機1を冷房運転させる(ステップST12)。
【0018】
室内機検出部23は、優先順位“1”の室内機3が暖房運転又は冷房運転を要求していない場合(室内機3の差分温度=0℃の場合)、優先順位“2”の室内機4が暖房運転又は冷房運転を要求しているか否かを判定する(ステップST9,ST10)。
即ち、室内機4の差分温度が次の場合、暖房運転又は冷房運転を要求していると判定する。
暖房要求 : 2℃≧差分温度>0℃
冷房要求 : 0℃>差分温度≧−2℃
【0019】
運転モード決定部24は、優先順位“2”の室内機4が暖房運転を要求している場合、室外機1の運転モードを暖房モードに決定して、室外機1を暖房運転させる(ステップST11)。一方、優先順位“2”の室内機4が冷房運転を要求している場合、室外機1の運転モードを冷房モードに決定して、室外機1を冷房運転させる(ステップST12)。
なお、運転モード決定部24は、優先順位“2”の室内機4が暖房運転又は冷房運転を要求していない場合(室内機4の差分温度=0℃の場合)、室外機1の運転モードを変更せず、現状の運転モードでの運転を継続させる(ステップST13)。
【0020】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、データ収集部22により収集された設定温度と観測温度の差分温度を室内機毎に演算して、その差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機を検出する室内機検出部23を設け、その室内機検出部23により検出された室内機の差分温度が小さくなるように室外機の運転モードを決定する構成にしたので、代表される部屋(優先順位が最高の室内機が設置されている部屋)の快適度の低下を招くことなく、他の部屋の快適度を高めることができる効果を奏する。
【0021】
また、この実施の形態1によれば、差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機が複数存在する場合、最も優先度が高い室内機の差分温度が小さくなるように室外機の運転モードを決定するように構成したので、最も優先度が高い室内機が設置されている部屋については、常時快適な室内環境が得られる効果を奏する。
また、この実施の形態1によれば、差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機がない場合、暖房運転又は冷房運転を要求している室内機を検出するように構成したので、各部屋の室内環境を微調整して、室内環境の快適度を高めることができる効果を奏する。
さらに、この実施の形態1によれば、暖房運転又は冷房運転を要求している室内機が複数存在する場合、室外機の運転モードを最も優先度が高い室内機が要求している運転に合わせるように構成したので、最も優先度が高い室内機が設置されている部屋の快適度を優先的に高めることができる効果を奏する。
【0022】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、1台の室外機1に対して2台の室内機3,4を接続するものについて示したが、これに限るものではなく、1台の室外機1に対して3台以上の室内機を接続するようにしてもよく、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、上記実施の形態1では、差分温度が+2℃を越えている場合、または、差分温度が−2℃を下回っている場合、差分温度が許容温度範囲から逸脱していると判定するものについて示したが、これに限るものではなく、例えば、差分温度が+3℃を越えている場合、または、差分温度が−4℃を下回っている場合、差分温度が許容温度範囲から逸脱していると判定するようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、収集手段により収集された設定温度と観測温度の差分温度を室内機毎に演算して、その差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機を検出する検出手段を設け、その検出手段により検出された室内機の差分温度が小さくなるように室外機の運転モードを決定する構成にしたので、優先順位が最高の室内機が設置されている部屋の快適度の低下を招くことなく、他の部屋の快適度を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による空気調和システムを示す構成図である。
【図2】 集中リモコンの内部構成を示す構成図である。
【図3】 優先順位設定部による優先順位の設定内容を示す説明図である。
【図4】 集中リモコンの処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 室外機、2 冷媒配管、3,4 室内機、5,6 リモコン、7 伝送路、8 集中リモコン、11 入力部、12 CPU、13 表示部、21 優先順位設定部、22 データ収集部(収集手段)、23 室内機検出部(検出手段)、24 運転モード決定部(モード決定手段)。
Claims (1)
- 冷房モードと暖房モードに運転モードを切り替えて運転を行う室外機と冷媒配管を通じて接続されている複数の室内機に対する設定温度を収集するとともに、上記複数の室内機に内蔵されている温度センサの観測温度を収集する収集手段と、上記収集手段により収集された設定温度と観測温度の差分温度を室内機毎に演算して、その差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機を検出すると共に、差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機がない場合は、暖房運転又は冷房運転を要求している室内機を検出する検出手段と、上記検出手段により検出された差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機の当該差分温度が小さくなるように上記運転モードを上記複数の室内機に付与されている優先度に従って決定すると共に、前記差分温度が許容温度範囲から逸脱している室内機がない場合は、前記優先度に従って、対象となる室内機が暖房運転または冷房運転を要求しているかに基づいて上記運転モードを決定するモード決定手段とを備えた空気調和システム。
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