JP4259689B2 - ズームレンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はマクロモードを有するズームレンズに係り、特にデジタルカメラ、ビデオカメラに用いるズーム撮影レンズとして使用され、更に銀塩カメラに用いるズーム撮影レンズとして使用されるマクロモードを有するズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PC(パーソナルコンピュータ)の普及により立ち上がったデジタルカメラの市場は、プリントアウトのためのインフラストラクチャーの整備が進むにつれて更に大きなものとなりつつある。ユーザのデジタルカメラに対する要望としては、高画質化、高変倍化、小型化、省電力化等のウエイトが大きく、今後は、これらの要望に沿った形のデジタルカメラを開発していく必要がある。そのため、撮影レンズとしてはズームレンズが当り前となり、300万画素を超えるような受光素子に対応するための高画質化と、高変倍化、小型化の両立が求められる。
また、ユーザの使い勝手を考えた場合、より近距離にフォーカシングできる撮影レンズが望ましい。この場合、近距離にフォーカシングできるとは、高い撮影倍率を確保し、より小さな領域を撮影できるということでもある。
【0003】
デジタルカメラ用のズームレンズには多くの種類が考えられるが、小型化に適したタイプとして、物体側より順に、正の焦点距離をもつ第1群と、負の焦点距離をもつ第2群と、正の焦点距離をもつ第3群と、正の焦点距離をもつ第4群を有し、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、第2群が変倍のために物体側から像側へと単調に移動し、第3群が像側から物体側へと単調に移動するとともに、フォーカシングを第4群の移動により行うものがある。このタイプでは、補助的な変倍作用を第3群にもたせることにより、変倍に際する第2群の移動量が少なくて済み、第1群から開口絞りまでの距離を短縮できるため、第1群のレンズ径を小さくすることが可能である。
このようなタイプのズームレンズとしては、特開平06−194572号公報に記載の「変倍レンズ」や、特開平10−062687号公報に記載の「ズームレンズ」が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開平06−194572号公報に記載の「変倍レンズ」においては、短焦点端では殆どレンズ先端までフォーカシングが可能とされている。
しかし、これは、短焦点端における第3群と第4群との間隔が無限遠にフォーカシングした際に十分に大きく、フォーカシング移動量の確保が容易であることに起因している。従って、レンズの小型化、特に全長の短縮化を進めると、無限遠にフォーカシングした際の短焦点端における第3群と第4群との間隔が十分に確保できるとは限らず、フォーカシングを第4群によって行うからといって、短焦点端で常にレンズ先端までフォーカシングできるわけではない。
【0005】
また、上記の特開平10−062687号公報に記載の「ズームレンズ」においては、別の方法で近距離へのフォーカシングを行っている。即ち、通常撮影領域におけるフォーカシングは第4群の移動によって行い、より近距離へのフォーカシングは第4群に加えて第2群を移動させることによって行っている。
しかし、測距手段等からのフォーカス信号によって駆動される群が複数存在することは、機構の複雑化を招くため好ましくない。
【0006】
そこで本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、通常撮影領域よりも近距離にフォーカシング可能なマクロモードを有しながら、小型化に適し、かつ機構の簡単なマクロモードを有するズームレンズを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明に係るマクロモードを有するズームレンズによって達成される。即ち、請求項1に係るマクロモードを有するズームレンズは、物体側より順に、正の焦点距離をもつ第1群と、負の焦点距離をもつ第2群と、開口絞りと、正の焦点距離をもつ第3群と、正の焦点距離をもつ第4群からなり、前記第2群、前記第3群、前記第4群が可動するように構成されたズームレンズであって、
フォーカシング可能範囲が無限遠から有限距離である通常撮影領域においては、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、前記第2群は物体側から像側へと単調に移動し、前記第3群は像側から物体側へと単調に移動するとともに、前記第4群の移動によりフォーカシングを行い、
前記第2群と前記第3群を、前記通常撮影領域におけるズーミング時とは異なる位置関係となるように、前記第3群を、前記通常撮影領域での長焦点端における該第3群の位置と略一致する開口絞り近傍の位置に配置し、前記第2群を前記通常撮影領域での長焦点端における該第2群の位置とは異なる位置に配置することにより、フォーカシング可能範囲が有限距離内に限定され、且つ前記通常撮影領域よりも近距離までフォーカシング可能なマクロモードを有し、該マクロモードにおけるフォーカシングを前記第4群の移動により行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係るズームレンズは、
物体側より順に、正の焦点距離をもつ第1群と、負の焦点距離をもつ第2群と、開口絞りと、正の焦点距離をもつ第3群と、正の焦点距離をもつ第4群からなり、前記第2群、前記第3群、前記第4群が可動するように構成されたズームレンズであって、
フォーカシング可能範囲が無限遠から有限距離である通常撮影領域においては、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、前記第2群は物体側から像側へと単調に移動し、前記第3群は初め像側から物体側へと移動し、中間焦点距離よりも長焦点側の領域で最も物体側に接近し、その後は像側へと移動し、長焦点端においては短焦点端よりも物体側に位置するとともに、前記第4群の移動によりフォーカシングを行い、
前記第2群と前記第3群を、前記通常撮影領域におけるズーミング時とは異なる位置関係となるように、前記第3群を、前記通常撮影領域での長焦点端における該第3群の位置と略一致する位置に配置し、前記第2群を前記通常撮影領域での長焦点端における該第2群の位置とは異なる位置に配置することにより、フォーカシング可能範囲が有限距離内に限定され、且つ前記通常撮影領域よりも近距離までフォーカシング可能なマクロモードを有し、該マクロモードにおけるフォーカシングを前記第4群の移動により行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係るズームレンズは、上記請求項1または2に係るズームレンズにおいて、マクロモードにおける前記第2群の位置が短焦点端における前記第2群の位置よりも像面に近いことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係るズームレンズは、上記請求項1〜3のいずれか1項に係るズームレンズにおいて、前記第1群が像面に対して常に固定されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係るズームレンズは、上記請求項1〜4のいずれか1項に係るズームレンズにおいて、開口絞りが像面に対して常に固定されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係るズームレンズは、上記請求項1〜5のいずれか1項に係るズームレンズにおいて、無限遠にフォーカシングした際の前記第3群と前記第4群との間隔が短焦点端において最短となることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係るズームレンズは、上記請求項1〜6のいずれか1項に係るズームレンズにおいて、以下の条件式
【0015】
【数1】
f12T /f1 <−1.0
但し、f1 :第1群の焦点距離
f12T :長焦点端における第1群と第2群の合成焦点距離
【0016】
を満足することを特徴とする。
【0017】
通常、本タイプのズームレンズにおいては、通常撮影領域におけるフォーカシングを前記第4群の移動によって行うが、レンズ系の小型化、特に全長の短縮化を達成するためには、前記第3群と前記第4群との間隔も小さくする必要があることから、前記第4群の移動量に自ずから制限が生じ、そのままでは最短撮影距離を極端に短くする、例えばレンズ先端までフォーカシングすることは難しい。そこで、請求項1に係るマクロモードを有するズームレンズにおいては、前記第2群と前記第3群を、前記通常撮影領域におけるズーミング時とは異なる位置関係となるように、前記第3群を、前記通常撮影領域での長焦点端における該第3群の位置と略一致する開口絞り近傍の位置に配置し、前記第2群を前記通常撮影領域での長焦点端における該第2群の位置とは異なる位置
に配置することにより、フォーカシング可能範囲が有限距離範囲内に限定され、且つ前記通常撮影領域よりも近距離までフォーカシング可能なマクロモードを構成している。
【0018】
この場合、マクロモードにおいては、通常撮影領域における最短撮影距離から、より近距離(マクロモードにおける最短撮影距離)までのフォーカシングを行う必要があるが、その際に移動させる群が、通常撮影領域においてフォーカシングのために移動する群と同じである、つまり第4群であることが重要である。通常撮影領域におけるフォーカシングとマクロモードにおけるフォーカシングを、どちらも第4群の移動によって行う構成とすることにより、測距手段等からのフォーカス信号によって駆動される群が1つで済み、フォーカシングのための機構を簡略化することができる。
【0019】
また、請求項2に係るズームレンズにおいても、上記請求項1に係るズームレンズと同様に、第2群と第3群を通常撮影領域におけるズーミング時とは異なる位置関係に配置することにより、フォーカシング可能範囲が有限距離範囲内に限定され且つ前記通常撮影領域よりも近距離までフォーカシング可能なマクロモードを構成し、通常撮影領域におけるフォーカシングとマクロモードにおけるフォーカシングをどちらも第4群の移動によって行う構成としているため、同様の作用を奏する。
また、上記請求項2のズームレンズにおいても、マクロモードにおける前記第3群の位置が長焦点端における前記第3群の位置と略一致するように構成している。
【0020】
そして、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、上記請求項1の場合は、第3群が像側から物体側へと単調に移動するのに対して、請求項2の場合には、第3群が初め像側から物体側へと移動し、中間焦点距離よりも長焦点側の領域で最も物体側に接近し、その後は像側へと移動するため、無限遠にフォーカシングした際の第4群を一定の位置に固定することが可能になり、例えばズームレンズの組立の際の第2群や第3群の調整が容易になる。
【0022】
通常、第4群の移動によりフォーカシングを行う場合、近距離にフォーカシングするほど第3群を通過する軸外光線の高さが増すため、周辺光束がケラレをおこし、周辺光量の不足を招き易い。他方、十分な周辺光量を確保しようとすれば、第3群の大型化を招いてしまう。第3群は長焦点端において開口絞りに最も接近しているが、このとき、第3群による周辺光束のケラレは最も少なくなる。このため、マクロモードにおける第3群の位置を長焦点端と同様に開口絞り近傍とすることにより、第4群の移動によって近距離にフォーカシングした場合にも、第3群による周辺光束のケラレを最小限に抑え、周辺光量の不足や第3群の大型化を防ぐことができる。
【0023】
また、上記請求項1または2のようなズームレンズを構成する場合、マクロモードにおける第2群の位置が短焦点端における第2群の位置よりも像面に近いことが望ましい(請求項3)。
【0024】
上記請求項1または2のような構成のズームレンズにおいては、短焦点端において大きな負の歪曲収差が発生し易く、第4群の移動によってフォーカシングを行う場合、近距離にフォーカシングするほど歪曲収差が大きくなる。この短焦点端において大きな負の歪曲収差が発生し易い原因は、第2群が第1群に最も接近して、開口絞りの物体側遠方に強い負のパワーが生じることによる。このため、マクロモードにおいても、第2群が第1群と接近していると、同様に大きな負の歪曲収差が発生し易い。そこで、マクロモードにおける第2群の位置を第1群からある程度遠ざけることにより、負の歪曲収差を小さく抑えることが可能となる。
【0025】
こうして、マクロモードにおいて第2群、第3群を上記のように配置することにより、マクロモードにおける焦点距離は、ズーミングの短焦点端よりも長く、長焦点端よりも短くなる。この状態において、マクロモードのフォーカシング範囲を、通常撮影領域における最短撮影距離から、より近距離までとすることにより、実現可能な撮影倍率に不連続な部分が生じることがない。
【0026】
また、上記請求項1〜3のようなズームレンズをより簡単な機構で実現するためには、前記第1群が像面に対して常に固定されていることが望ましい(請求項4)。
【0027】
第1群がズーミングおよびフォーカシングに際して固定されていること自体は特に目新しいものではないが、ここでは、通常撮影領域からマクロモードヘの切り換えにおいても第1群を移動させる必要がないため、特に第1群の固定が望まれるものである。このため、最も大きくて重い第1群が像面に対して常に固定されることにより、群の移動に用いるアクチュエータの数を増やしたりアクチュエータのトルクを増加させたりする必要がなく、低コスト化、省電力化に有利となる。
【0028】
更に、上記請求項1〜4のようなズームレンズをより簡単な機構で実現するためには、開口絞りに関しても、像面に対して常に固定されていることが望ましい(請求項5)。
【0029】
開口絞りの位置にはシャッタが設けられることが多く、シャッタの移動は機構の煩雑化を招き好ましくない。また、シャッタは駆動時に振動を発生するが、シャッタを移動させる構成を採ると振動がレンズユニットの他の部分に伝わり易くなり、像ぶれの原因となる恐れがある。このため、開口絞りが像面に対して常に固定されることにより、機構が簡略化されると共に、シャッタの振動に起因する像ぶれの発生が抑制される。
【0030】
また、上記請求項1〜5のようなズームレンズをより小型化するためには、無限遠にフォーカシングした際の前記第3群と前記第4群との間隔が短焦点端において最短となることが望ましい(請求項6)。
【0031】
ズームレンズにおいてレンズ系の小型化を達成するためには、第3群と第4群との間隔が小さく、フォーカシングのための第4群の移動量が制限されていることが望ましいことは、先に説明した通りである。中でも、無限遠にフォーカシングした際の第3群と第4群との間隔が短焦点端において最短となるような場合に、レンズ系の小型化、特に全長の短縮化を図る効果が大きい。同一距離へのフォーカシングを考えた場合、焦点距離が短いほどフォーカシング群(第4群)の移動量は小さくなるため、フォーカシング移動量の点からは、短焦点端が近距離へのフォーカシングに最も有利である。しかし、無限遠にフォーカシングした際の第3群と第4群との間隔が短焦点端において最短となってしまう場合には、その最も有利であるはずの短焦点端でも、最短撮影距離の短縮が非常に困難となるからである。
【0032】
また、上記請求項1〜6のようなズームレンズにおいては、以下の条件式
【0033】
【数2】
f12T /f1 <−1.0
【0034】
を満足するように構成することで、更なる小型化が図られる(請求項8)。
【0035】
ここで、f12T /f1 は長焦点端における第2群の倍率である。レンズ系の小型化のためには、第1群のパワーを強める(焦点距離を短くする)必要があるため、長焦点端における第2群の倍率f12T /f1 は−1よりも小さく設定することが望ましい。この場合、少なくとも長焦点端において従来技術(特開平10−062687号公報)に見られるような第2群によるフォーカシングができない(フォーカシングのためには第2群を像面に近付ける必要があり、開口絞りと干渉してしまう)ことになるが、請求項8に係るマクロモードを用いれば、何ら障害となることはない。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの構成と群の移動概念を示す断面図であり、図2は本第1の実施形態に係るズームレンズのマクロモードにおける構成を示す断面図であり、図3は本第1の実施形態に係るズームレンズの短焦点端、無限遠における収差曲線図であり、図4は本第1の実施形態に係るズームレンズの中間焦点距離、無限遠における収差曲線図であり、図5は本第1の実施形態に係るズームレンズの長焦点端、無限遠における収差曲線図であり、図6は本第1の実施形態に係るズームレンズの短焦点端、撮影距離0.3mにおける収差曲線図であり、図7は本第1の実施形態に係るズームレンズの中間焦点距離、撮影距離0.3mにおける収差曲線図であり、図8は本第1の実施形態に係るズームレンズの長焦点端、撮影距離0.3mにおける収差曲線図であり、図9は本第1の実施形態に係るズームレンズのマクロモード、撮影距離0.3mにおける収差曲線図であり、図10は本第1の実施形態に係るズームレンズのマクロモード、撮影距離0.07mにおける収差曲線図である。
なお、図3〜図10の収差曲線図においては、それぞれ球面収差、非点収差、歪曲収差、及びコマ収差を示す。そして、球面収差を示す図中の破線は正弦条件を表し、非点収差を示す図中の実線はサジタルを、破線はメリディオナルをそれぞれ表す。
【0037】
図1及び図2に示されるように、本第1の実施形態に係るズームレンズは、物体側より順に光軸上に配置された、正の焦点距離をもつ第1群G11と、負の焦点距離をもつ第2群G12と、開口絞りS1と、正の焦点距離をもつ第3群G13と、正の焦点距離をもつ第4群G14と、各種フィルタからなる平行平面板F1とから構成されている。
【0038】
ここで、第1群G11は、第1〜第3レンズの3枚のレンズからなり、第2群G12は、第4〜第6レンズの3枚のレンズからなり、第3群G13は、第7〜第9レンズの3枚のレンズからなり、第4群G14は、第10〜第12レンズの3枚のレンズからなっている。また、第1群G11と開口絞りS1は、像面に対して常に固定されている。
【0039】
そして、図1の上段部に示されるように、短焦点端におけるフォーカシングは、第4群G14の移動により行う。また、図1の下段部に示されるように、長焦点端におけるフォーカシングも、短焦点端における場合と同様に、第4群G14の移動により行う。
【0040】
また、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際しては、図1の上段部と下段部との中間に示す矢印で表されるように、第2群G12は物体側から像側へと単調に移動し、第3群G13は像側から物体側へと単調に移動する。
【0041】
また、図2に示されるように、通常撮影領域よりも近距離にフォーカシングするマクロモードにおいても、その際のフォーカシングは、短焦点端および長焦点端における場合と同様に、第4群G14の移動により行う。また、このマクロモードにおける第2群G12は、図1の上段部に示される短焦点端における第2群G12の位置よりも像面に近い位置に配置される。同じく、第3群G13は、図1の下段部に示される長焦点端における第3群G13の位置と略一致する位置に配置される。
【0042】
(第2の実施形態)
図11は本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの構成と群の移動概念を示す断面図であり、図12は本第2の実施形態に係るズームレンズのマクロモードにおける構成を示す断面図であり、図13は本第2の実施形態に係るズームレンズの短焦点端、無限遠における収差曲線図であり、図14は本第2の実施形態に係るズームレンズの中間焦点距離、無限遠における収差曲線図であり、図15は本第2の実施形態に係るズームレンズの長焦点端、無限遠における収差曲線図であり、図16は本第2の実施形態に係るズームレンズの短焦点端、撮影距離0.3mにおける収差曲線図であり、図17は本第2の実施形態に係るズームレンズの中間焦点距離、撮影距離0.3mにおける収差曲線図であり、図18は本第2の実施形態に係るズームレンズの長焦点端、撮影距離0.3mにおける収差曲線図であり、図19は本第2の実施形態に係るズームレンズのマクロモード、撮影距離0.3mにおける収差曲線図であり、図20は本第2の実施形態に係るズームレンズのマクロモード、撮影距離0.074mにおける収差曲線図である。なお、図13〜図20の収差曲線図においては、それぞれ球面収差、非点収差、歪曲収差、及びコマ収差を示す。そして、球面収差を示す図中の破線は正弦条件を表し、非点収差を示す図中の実線はサジタルを、破線はメリディオナルをそれぞれ表す。
【0043】
図11及び図12に示されるように、本第2の実施形態に係るズームレンズは、物体側より順に光軸上に配置された、正の焦点距離をもつ第1群G21と、負の焦点距離をもつ第2群G22と、開口絞りS2と、正の焦点距離をもつ第3群G23と、正の焦点距離をもつ第4群G24と、各種フィルタからなる平行平面板F2とから構成されている。
【0044】
ここで、第1群G21は、第1〜第3レンズの3枚のレンズからなり、第2群G22は、第4〜第6レンズの3枚のレンズからなり、第3群G23は、第7〜第9レンズの3枚のレンズからなり、第4群G24は、第10〜第11レンズの2枚のレンズからなっている。また、第1群G21と開口絞りS2は、像面に対して常に固定されている。
【0045】
そして、図11の上段部に示されるように、短焦点端におけるフォーカシングは、第4群G24の移動により行う。また、図11の下段部に示されるように、長焦点端におけるフォーカシングも、短焦点端における場合と同様に、第4群G24の移動により行う。
【0046】
また、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際しては、図11の上段部と下段部との中間に示す矢印で表されるように、第2群G22は物体側から像側へと単調に移動するが、第3群G23は、上記第1の実施形態の場合と異なり、初め像側から物体側へと移動し、中間焦点距離よりも長焦点側の領域で最も物体側に接近し、その後は像側へと移動する。
【0047】
また、図12に示されるように、通常撮影領域よりも近距離にフォーカシングするマクロモードにおいても、その際のフォーカシングは、短焦点端および長焦点端における場合と同様に、第4群G24の移動により行う。また、このマクロモードにおける第2群G22は、図11の上段部に示される短焦点端における第2群G22の位置よりも像面に近い位置に配置される。同じく、第3群G23は、図11の下段部に示される長焦点端における第3群G23の位置と略一致する位置に配置される。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態に係るズームレンズの具体的な数値データを示す。なお、この実施例における記号の意味は以下の通りである。
【0049】
【表1】
────────────────────────────────────
f :全系の焦点距離
F/No.:Fナンバー
ω :半画角
R :曲率半径
D :面間隔
Nd :屈折率
νd :アッベ数
K :非球面の円錐定数
A4 :4次の非球面係数
A6 :6次の非球面係数
A8 :8次の非球面係数
A10 :10次の非球面係数
────────────────────────────────────
【0050】
但し、ここで用いられる非球面は、近軸曲率半径の逆数をC、光軸からの高さをHとするとき、以下の式で定義される。
【0051】
【数3】
【0052】
(第1の実施例)
上記第1の実施形態に係るズームレンズの具体的な数値データは、以下の通りである。
【0053】
【表2】
【0054】
なお、上記の表において、面番号に*印を付した面は非球面であることを示しており、その円錐定数及び非球面係数は、以下の通りである。
【0055】
非球面;第6面
【0056】
【数4】
K =0.0
A4 =8.68431×10-5
A6 =−1.44766×10-6
A8 =2.09929×10-8
A10=−1.58449×10-10
【0057】
非球面;第12面
【0058】
【数5】
K =−6.18832
A4 =3.35200×10-5
A6 =−3.15800×10-6
A8 =8.89782×10-8
A10=−2.24716×10-9
【0059】
非球面;第23面
【0060】
【数6】
K =0.0
A4 =1.82984×10-4
A6 =−1.42913×10-6
A8 =3.33456×10-8
A10=−2.99026×10-10
【0061】
また、通常撮影領域における可変間隔は、以下の通りである。
【0062】
【表3】
【0063】
また、マクロモードにおける可変間隔は、以下の通りである。
【0064】
【表4】
【0065】
また、条件式数値は、以下の通りである。
【0066】
【数7】
f12T /f1 =−1.324
【0067】
(第2の実施例)
上記第2の実施形態に係るズームレンズの具体的な数値データは、以下の通りである。
【0068】
【表5】
【0069】
なお、上記の表において、面番号に*印を付した面は非球面であることを示しており、その円錐定数及び非球面係数は、以下の通りである。
【0070】
非球面;第6面
【0071】
【数8】
K =0.0
A4 =8.76330×10-5
A6 =−1.00557×10-6
A8 =8.70046×10-9
A10=−4.65380×10-11
【0072】
非球面;第13面
【0073】
【数9】
K =−4.77319
A4 =1.29390×10-4
A6 =−1.30660×10-7
A8 =−1.21202×10-7
A10=3.23950×10-9
【0074】
非球面;第23面
【0075】
【数10】
K =3.43729
A4 =2.78810×10-4
A6 =−1.81528×10-6
A8 =3.16416×10-8
A10=−4.87685×10-10
【0076】
また、通常撮影領域における可変間隔は、以下の通りである。
【0077】
【表6】
【0078】
また、マクロモードにおける可変間隔は、以下の通りである。
【0079】
【表7】
【0080】
また、条件式数値は、以下の通りである。
【0081】
【数11】
f12T /f1 =−1.073
【0082】
以上のように、第1及び第2の実施例における収差は通常撮影領域、マクロモードの双方において十分に補正されており、300万画素を超えるような受光素子に対応することが可能となっている。つまり、第1及び第2の実施形態のようにマクロモードを有するズームレンズを構成することで、非常に良好な像性能を確保し得ることは、第1及び第2の実施例より明らかである。
【0083】
また、第1の実施例においては、マクロモードにおける撮影距離0.07m(像面から)で約0.3倍と十分な撮影倍率を得ることができる。また、第2の実施例においても、マクロモードにおける撮影距離0.074m(像面から)で約0.3倍と十分な撮影倍率を得ることができる。
【0084】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るズームレンズによれば、以下のような効果を奏することができる。即ち、請求項1に係る発明によれば、
物体側より順に、正の焦点距離をもつ第1群と、負の焦点距離をもつ第2群と、開口絞りと、正の焦点距離をもつ第3群と、正の焦点距離をもつ第4群からなり、前記第2群、前記第3群、前記第4群が可動するように構成されたズームレンズであって、
フォーカシング可能範囲が無限遠から有限距離である通常撮影領域においては、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、前記第2群は物体側から像側へと単調に移動し、前記第3群は像側から物体側へと単調に移動するとともに、前記第4群の移動によりフォーカシングを行い、
前記第2群と前記第3群を、前記通常撮影領域におけるズーミング時とは異なる位置関係となるように、前記第3群を、前記通常撮影領域での長焦点端における該第3群の位置と略一致する開口絞り近傍の位置に配置し、前記第2群を前記通常撮影領域での長焦点端における該第2群の位置とは異なる位置に配置することにより、フォーカシング可能範囲が有限距離内に限定され、且つ前記通常撮影領域よりも近距離までフォーカシング可能なマクロモードを有し、該マクロモードにおけるフォーカシングを前記第4群の移動により行うことにより、
通常撮影領域よりも近距離にフォーカシング可能なマクロモードを有しながら、通常撮影領域、マクロモードの双方で収差が十分に補正され、小型で且つ機構の簡単なズームレンズを提供することができるため、近距離(例えば、マクロモードにおける撮影距離0.07m)にフォーカシングが可能で、最大倍率が高く(例えば、約0.3倍)、例えば切手程度のサイズのものまでが撮影可能な小型のデジタルカメラを、コストアップを招くことなく実現することができ、さらには、第3群の大型化を招くことなく、第3群による周辺光束のケラレを最小限に抑え、マクロモードにおいても十分な周辺光量を確保することが可能なズームレンズを提供することができる。
【0085】
また、請求項2に係る発明によれば、物体側より順に、正の焦点距離をもつ第1群と、負の焦点距離をもつ第2群と、開口絞りと、正の焦点距離をもつ第3群と、正の焦点距離をもつ第4群からなり、前記第2群、前記第3群、前記第4群が可動するように構成されたズームレンズであって、
フォーカシング可能範囲が無限遠から有限距離である通常撮影領域においては、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、前記第2群は物体側から像側へと単調に移動し、第3群は初め像側から物体側へと移動し、中間焦点距離よりも長焦点側の領域で最も物体側に接近し、その後は像側へと移動し、長焦点端においては短焦点端よりも物体側に位置するとともに、前記第4群の移動によりフォーカシングを行い、
前記第2群と前記第3群を、前記通常撮影領域におけるズーミング時とは異なる位置関係となるように、前記第3群を、前記通常撮影領域での長焦点端における該第3群の位置と略一致する開口絞り近傍の位置に配置し、前記第2群を前記通常撮影領域での長焦点端における該第2群の位置とは異なる位置に配置することにより、フォーカシング可能範囲が有限距離内に限定され、且つ前記通常撮影領域よりも近距離までフォーカシング可能なマクロモードを有し、該マクロモードにおけるフォーカシングを前記第4群の移動により行うことにより、上記請求項1の場合と同様の効果を奏することができると共に、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、前記第3群が初め像側から物体側へと移動し、中間焦点距離よりも長焦点側の領域で最も物体側に接近し、その後は像側へと移動するため、無限遠にフォーカシングした際の前記第4群を一定の位置に固定することが可能になり、例えばズームレンズの組立の際の第2群や第3群の調整を容易に行うことができ、さらには、第3群の大型化を招くことなく、第3群による周辺光束のケラレを最小限に抑え、マクロモードにおいても十分な周辺光量を確保することが可能なズームレンズを提供することができる。
【0087】
また、請求項3に係る発明によれば、マクロモードにおける前記第2群の位置を短焦点端における前記第2群の位置よりも像面に近くすることにより、マクロモードにおいても歪曲収差の小さいズームレンズを提供することができるため、マクロモードにおいても十分な像性能を有するデジタルカメラを実現することができる。
【0088】
また、請求項4に係る発明によれば、前記第1群が像面に対して常に固定されていることにより、より簡単な機構で実現可能なズームレンズを提供することができるため、近距離へのフォーカシングが可能でありながら、低コストで省電力のデジタルカメラを実現することができる。
【0089】
また、請求項5に係る発明によれば、開口絞りが像面に対して常に固定されていることにより、より簡単な機構で実現可能なズームレンズを提供することができるため、近距離へのフォーカシングが可能でありながら、低コストで省電力のデジタルカメラを実現することができる。
【0090】
また、請求項6に係る発明によれば、無限遠にフォーカシングした際の前記第3群と前記第4群との間隔を短焦点端において最短とすることにより、より小型化に適したズームレンズを提供することができるため、近距離へのフォーカシングが可能でありながら、更に小型のデジタルカメラを実現することができる。
【0091】
また、請求項8に係る発明によれば、
【0092】
【数12】
f12T /f1 <−1.0
【0093】
を満足するように構成することにより、より小型化に適したズームレンズを提供することができるため、近距離へのフォーカシングが可能でありながら、更に小型のデジタルカメラを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの構成と群の移動概念を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズのマクロモードにおける構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの短焦点端、無限遠における収差曲線図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの中間焦点距離、無限遠における収差曲線図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの長焦点端、無限遠における収差曲線図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの短焦点端、撮影距離0.3mにおける収差曲線図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの中間焦点距離、撮影距離0.3mにおける収差曲線図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの長焦点端、撮影距離0.3mにおける収差曲線図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズのマクロモード、撮影距離0.3mにおける収差曲線図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るズームレンズのマクロモード、撮影距離0.07mにおける収差曲線図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの構成と群の移動概念を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズのマクロモードにおける構成を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの短焦点端、無限遠における収差曲線図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの中間焦点距離、無限遠における収差曲線図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの長焦点端、無限遠における収差曲線図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの短焦点端、撮影距離0.3mにおける収差曲線図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの中間焦点距離、撮影距離0.3mにおける収差曲線図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの長焦点端、撮影距離0.3mにおける収差曲線図である。
【図19】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズのマクロモード、撮影距離0.3mにおける収差曲線図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係るズームレンズのマクロモード、撮影距離0.074mにおける収差曲線図である。
【符号の説明】
G11 第1群
G12 第2群
G13 第3群
G14 第4群
S1 開口絞り
F1 平行平面板
G21 第1群
G22 第2群
G23 第3群
G24 第4群
S2 開口絞り
F2 平行平面板
Claims (7)
- 物体側より順に、正の焦点距離をもつ第1群と、負の焦点距離をもつ第2群と、開口絞りと、正の焦点距離をもつ第3群と、正の焦点距離をもつ第4群からなり、前記第2群、前記第3群、前記第4群が可動するように構成されたズームレンズであって、
フォーカシング可能範囲が無限遠から有限距離である通常撮影領域においては、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、前記第2群は物体側から像側へと単調に移動し、前記第3群は像側から物体側へと単調に移動するとともに、前記第4群の移動によりフォーカシングを行い、
前記第2群と前記第3群を、前記通常撮影領域におけるズーミング時とは異なる位置関係となるように、前記第3群を、前記通常撮影領域での長焦点端における該第3群の位置と略一致する開口絞り近傍の位置に配置し、前記第2群を前記通常撮影領域での長焦点端における該第2群の位置とは異なる位置に配置することにより、フォーカシング可能範囲が有限距離内に限定され、且つ前記通常撮影領域よりも近距離までフォーカシング可能なマクロモードを有し、該マクロモードにおけるフォーカシングを前記第4群の移動により行うことを特徴とするズームレンズ。 - 物体側より順に、正の焦点距離をもつ第1群と、負の焦点距離をもつ第2群と、開口絞りと、正の焦点距離をもつ第3群と、正の焦点距離をもつ第4群からなり、前記第2群、前記第3群、前記第4群が可動するように構成されたズームレンズであって、
フォーカシング可能範囲が無限遠から有限距離である通常撮影領域においては、短焦点端から長焦点端へのズーミングに際して、前記第2群は物体側から像側へと単調に移動し、第3群は初め像側から物体側へと移動し、中間焦点距離よりも長焦点側の領域で最も物体側に接近し、その後は像側へと移動し、長焦点端においては短焦点端よりも物体側に位置するとともに、前記第4群の移動によりフォーカシングを行い、
前記第2群と前記第3群を、前記通常撮影領域におけるズーミング時とは異なる位置関係となるように、前記第3群を、前記通常撮影領域での長焦点端における該第3群の位置と略一致する開口絞り近傍の位置に配置し、前記第2群を前記通常撮影領域での長焦点端における該第2群の位置とは異なる位置に配置することにより、フォーカシング可能範囲が有限距離内に限定され、且つ前記通常撮影領域よりも近距離までフォーカシング可能なマクロモードを有し、該マクロモードにおけるフォーカシングを前記第4群の移動により行うことを特徴とするズームレンズ。 - 請求項1または2に記載のズームレンズにおいて、
前記マクロモードにおける前記第2群の位置が、前記通常撮影領域での短焦点端における前記第2群の位置よりも像面に近いことを特徴とするズームレンズ。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のズームレンズにおいて、
前記第1群が、像面に対して常に固定されていることを特徴とするズームレンズ。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のズームレンズにおいて、
前記開口絞りが、像面に対して常に固定されていることを特徴とするズームレンズ。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のズームレンズにおいて、
無限遠にフォーカシングした際の前記第3群と前記第4群との間隔が、短焦点端において最短となることを特徴とするズームレンズ。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のズームレンズにおいて、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
f12T /f1 <−1.0
但し、f1は前記第1群の焦点距離、f12 Tは長焦点端における前記第1群と前記第2群の合成焦点距離を表す。
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