JP4259687B2 - ステッピングモータを制御する方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石を備えたロータと、コイルと、コイルと磁石を磁気結合させるステータとを有するステッピングモータを制御する方法であって、
第1極性と、第1極性と反対の第2極性とを交互に有する連続駆動パルスをコイルに加えて、それぞれの駆動パルスのときにコイルに所定の電気エネルギ量を供給する段階と、
各駆動パルスの後に、その駆動パルスに応答したロータの回転または非回転を検出する段階と、
その検出の相関的要素としてその電気エネルギ量を調節する段階とを含む方法に関する。
【0002】
本発明はまた、この方法を実施する装置、すなわち、永久磁石を備えたロータと、コイルと、コイル及び磁石を磁気結合させるステータとを有するステッピングモータを制御する装置であって、
第1極性と、第1極性と反対の第2極性とを交互に有する連続駆動パルスをコイルに加えて、それぞれの駆動パルスのときにコイルに所定の電気エネルギ量を供給できるようにする駆動パルス発生手段と、
各駆動パルスの後に、その駆動パルスに応答したロータの回転または非回転を表す検出信号を発生する検出手段と、
その検出信号に応じて電気エネルギ量を調節する調節手段とを備えた装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
特に米国特許第4,212,156号に開示されているこの形式の方法と装置は、ステッピングモータが消費する電気エネルギの総量を減少させようとしている。携帯用及び/または小型の装置、例えば電子時計にステッピングモータを使用する時、そのような減少は特に望ましい。他がすべて等しいならば、ステッピングモータの電力消費量をこのように減少させることによって、一般的にバッテリで形成されている装置給電用の電源の寿命を延ばすか、そのような電源が占める容積を縮小することができる。
【0004】
ステッピングモータが消費する電気エネルギ量を減少させるために、上記の従来方法は、モータのロータが一定数の駆動パルスに応答して正確に回転した時、次の駆動パルスのときにモータコイルに供給する電気エネルギ量を減少させる段階を含む。さらに、この方法は、モータロータが駆動パルスに応答して正確に回転しなかった時、抜けたステップをロータが正すに十分な電気エネルギ量をコイルに供給する間、補正パルスをモータコイルに加える段階と、後続の駆動パルスの持続中にコイルに供給される電気エネルギ量を最大値まで増加させる段階とを含む。
【0005】
その結果、何らかの理由でモータロータが駆動パルスに応答して回転しなかった場合、次の駆動パルスのときにモータコイルに供給される電気エネルギ量は必ずその最大値になる。
【0006】
この周知の方法は原則的に、モータコイルに実際に供給される電気エネルギ量をその最小値、すなわちロータを正確に回転させるためにコイルに最小限、供給しなければならない電気エネルギ値に近づけることができることがわかるであろう。
【0007】
しかし、ステッピングモータの様々な構成部品の製造と組み立てに一定の寸法及び/または位置決め公差を許容しなければならないことは周知である。
【0008】
このため、例えば、そのようなモータなどのロータの磁化軸線がロータの回転軸線と交差しないことがある。同様に、この回転軸線は、ロータ磁石が位置するステータの開口の軸線及びこの磁石で形成される円筒形の軸線のいずれにも必ずしも正確に一致しない。
【0009】
そのような場合、ステッピングモータのロータがその角位置の相関的要素として受ける位置決め偶力の変化が、ロータが動作するステップによって異なる。
【0010】
また、ステッピングモータのロータ磁石の磁化軸線はこの磁石で形成される円筒形の軸線に対して正確には垂直でないことがある。そのような場合、磁石の磁極の一方が円筒形の一方の端面に他方より近くなり、第2磁極が第1端面よりこの他方の端面に近くなることは明らかである。
【0011】
そのような場合、ロータの一方の端面の一部分に近接した位置でそれと向き合った強磁性材料からなる部品、例えば、ロータのピニオンと噛み合う歯車が存在することも、ロータに加えられる位置決め偶力の変化がロータが動作するステップによって異なるという結果をもたらす。
【0012】
また、ステッピングモータは連続的な外部磁界を受けることがある。そのような場合も、モータのロータに加わる位置決め偶力の変化が、ロータが動作するステップによって異なる。
【0013】
図1は、上記の場合の一方及び/または他方においてステッピングモータのロータが受ける位置決め偶力CPの変化の一例をそのロータの角位置αの関数として示している。
【0014】
図1では、ロータの2つの安定静止位置がそれぞれR1及びR2で示されている。さらに、ロータが位置R1から位置R2に、また位置R2からR1に回転する時のステップが、それぞれP1及びP2で示されている。
【0015】
当該技術の専門家には周知のように、モータのロータがステップP1を実施するための駆動パルスとロータがステップP2を実施するための駆動パルスとは逆の極性を有していなければならない。以下の説明では、これらの駆動パルスをそれぞれ任意に正及び負と呼ぶ。
【0016】
図1において、モータのロータの安定静止位置R1及びR2は正確に正反対ではなく、ロータはステップP1を実施する時に180゜より多く、またステップP2を実施する時に180゜より少なく回転することがわかるであろう。
【0017】
しかし、特に軸線αと位置決め偶力CPの負の部分を表す曲線、すなわちロータの回転に抵抗する偶力CPの部分とで囲まれた表面は、本例では、ロータがステップP1を実施する時がステップP2を実施する時よりも相当に大きいことがわかるであろう。
【0018】
図1において、これらの2つの表面に陰影線でつけて、それぞれをN1及びN2で表している。
【0019】
当該技術の専門家には周知のように、多くの場合、特にステッピングモータを時計に使用する時、ロータがステップを実施するためにモータのコイルに供給しなければならない最小電気エネルギ量は、ほとんどの時にほぼ独占的にこの表面の寸法によって決まる。
【0020】
このため、本例ではこの最小電気エネルギ量は、これらの場合のすべてでほとんどの時に、ステッピングモータのロータがステップP1を実施しなければならない時がステップP2を実施しなければならない時よりも相当に大きい。
【0021】
そのようなモータを上記の従来の方法に従って制御する時、各駆動パルスの持続中にコイルに供給される電気エネルギ量は、このモータのロータが正の駆動パルスに応答してステップP1を正確に実施するために必要である量を下回ることはありえないことがわかるであろう。その結果、各負駆動パルスの間にモータのコイルに供給される電気エネルギ量は、モータロータがステップP2を正確に実施するために必要な量より常に相当に大きい。各負駆動パルスの間モータのコイルに供給される過剰電気エネルギ量が全くの無駄になることは明らかである。
【0022】
また、モータのロータが駆動パルスに応答して回転しなかった理由が、次の駆動パルスがコイルに加えられる時点ですでに存在していないこともある。
【0023】
例えば、モータが駆動パルスの持続中に衝撃を受けた場合、モータのロータはその駆動パルスに応答して回転することができない。
【0024】
さらに例を挙げると、ロータが駆動する歯車列の歯車の1つに欠陥がある場合も、モータロータは駆動パルスに応答して回転することができない。歯車列におけるこの歯車の位置に従って、この欠陥が原因のロータの非回転は、非常に多数の駆動パルスがコイルに加えられた後に再発するだけであろう。
【0025】
また、いずれの場合でも、ロータが回転しなかった時の駆動パルスに後続し、その極性と反対の極性を有する駆動パルスのときにモータコイルに供給される電気エネルギ量が不必要に大きく、この電気エネルギの大部分がやはり全くの無駄になる。
【0026】
このように、以上に記載した従来の方法は、もちろんこの方法を実施する装置と共に、ステッピングモータが消費する電気エネルギ量を所望されるほどに減少させることができない。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ステッピングモータが消費する電気エネルギ量を以上に記載した従来の方法の場合よりもさらに減少させることができるステッピングモータの制御方法を提供することである。
本発明の別の目的は、上記方法を実施するための装置を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明方法は、永久磁石を備えたロータと、コイルと、コイル及び磁石を磁気結合させるステータとを有するステッピングモータを制御する方法において、
第1極性と、第1極性と反対の第2極性とを交互に有する連続駆動パルスをコイルに加えて、その駆動パルスの各々のときにコイルに所定の電気エネルギ量を供給する段階と、
各駆動パルスの後に、その駆動パルスに応答したロータの回転または非回転を検出する段階と、
その検出の相関的要素としてその所定の電気エネルギ量を調節する段階とを含む方法であって、
その調節が、第1極性を有する駆動パルスと第2極性を有する駆動パルスとの場合で別々に実施されることを特徴とする方法である。
【0029】
本発明装置は、永久磁石を備えたロータと、コイルと、コイル及び磁石を磁気結合させるステータとを有するステッピングモータを制御する装置において、
第1極性と、第1極性と反対の第2極性とを交互に有する連続駆動パルスをコイルに加えて、その駆動パルスの各々の持続中にコイルに所定の電気エネルギ量を供給できるようにする駆動パルス発生手段と、
各駆動パルスの後に、その駆動パルスに応答したロータの回転または非回転を表す検出信号を発生する検出手段と、
その検出信号に応じて電気エネルギ量を調節する調節手段とを備えた装置であって、
調節手段が、第1極性を有する駆動パルスと第2極性を有する駆動パルスとの場合で別々に電気エネルギ量を調節するように構成されていることを特徴とする装置である。
【0030】
本発明の他の目的及び利点は、添付の図面を参照した以下の説明から明らかになるであろう。
【0031】
【発明の実施の形態】
図2に示されている実施形態において、本発明に従った装置1は、機械式時刻表示手段、例えば針を有する電子時計に使用されて、その手段を駆動するステッピングモータを制御するためのものである。
【0032】
このステッピングモータは、図2に参照番号2で概略的に示されているが、本例では単一コイルと、二極式永久磁石を有するロータと、コイル及びロータ磁石を磁気結合させるステータと、ロータに2つの安定静止位置のいずれか一方に保持または復帰させようとする位置決め偶力を加える手段とを備えている。モータ2のコイルだけが参照番号3で図示されている。
【0033】
しかし、本発明はこの形式のステッピングモータの制御に限定されず、コイルの数、ロータの永久磁石の磁極の数及びその安定静止位置の数がいずれのものも含む他の形式のステッピングモータの制御にも使用できることは、当該技術の専門家であれば容易に理解できるであろう。また、本発明は時計のステッピングモータの制御に限定されず、他のいずれの形式の装置の一部を形成するステッピングモータの制御にも使用できることも、当該技術の専門家にはわかるであろう。
【0034】
上記形式のステッピングモータを制御するために、第1極性とこの第1極性と反対の第2極性とを交互に有する駆動パルスをコイルに加える必要があり、これらの駆動パルスは、個々の場合に従って、定電圧パルスと呼ばれる形式か、定電流パルスと呼ばれる形式である。
【0035】
上記のように、以下の説明では第1極性を有する駆動パルスと第2極性を有する駆動パルスとを任意にそれぞれ正及び負と呼ぶ。
【0036】
装置1は増幅器4を含むが、これは周知の回路であるので、ここでは詳細に説明しない。
【0037】
簡単に説明すると、増幅器4は、それぞれコイル3の端子の1つに接続された2つの出力部4a及び4bを有している。増幅器4はさらに、2つの入力部4c及び4dを有しており、本例では、その入力部4cが論理状態「1」にある間は正の定電圧駆動パルスを、入力部4dが論理状態「1」にある間は負の定電圧駆動パルスをコイル3に供給するように構成されている。増幅器4はさらに、それの入力部4c及び4dの両方が論理状態「0」にある間、すなわち、1つの駆動パルスの終わりから次の駆動パルスの始めまでの間はコイル3を短絡させるように構成されている。
【0038】
増幅器4はさらに出力部4eを有しており、コイル3が駆動パルスの終わりに短絡された後もコイル3をまだ流れている電流の強さを表す測定信号SMをこの出力部に4eに供給するように構成されている。
【0039】
増幅器4の入力部4c及び4dは、それぞれANDゲート5の出力部及びANDゲート6の出力部に接続されており、これらの両ANDゲート5及び6のそれぞれの入力部はORゲート7の出力部に接続されている。
【0040】
ANDゲート5及び6の第2入力部は、それぞれDフリップフロップ8の直接出力部Qおよび反転出力部Q* に接続されている。
【0041】
Dフリップフロップ8は、タイムベース回路9の出力部9aに接続されたクロック入力部C1と、自身の反転出力部Q* に接続されたデータ入力部Dとを有している。
【0042】
タイムベース回路9は周知の回路であるので、ここでは詳細に説明しない。簡単に説明すると、本例では、その出力部9aから1Hzの周波数を有するパルスから成る周期的信号ST1を発生するように構成されている。また、タイムベース回路9には、やはり本例では、1024Hzの周波数を有するパルスから成る別の周期的信号ST2を発生する第2出力部9bが設けられている。
【0043】
タイムベース回路9の出力部9aは、R−Sフリップフロップ10の制御入力部Sにも接続されており、このフリップフロップ10の直接出力部QはANDゲート11の第1入力部と、ORゲート7の第1入力部とに接続されている。ANDゲート11の第2入力部は、タイムベース回路9の出力部9bに接続されており、このANDゲート11の出力部はカウンタ12のクロック入力部C1に接続されている。
【0044】
カウンタ12は、個別には図示されていないが従来通りに接続された3つのフリップフロップから成り、それらの直接出力部がカウンタ12の出力部12a、12b及び12cを形成している。
【0045】
カウンタ12はさらに、インバータ13を介してR−Sフリップフロップ10の出力部Qに接続されたゼロリセット入力部Rを有している。
【0046】
やはり従来通りに、カウンタ12の入力部Rが論理状態「1」である間、すなわち、R−Sフリップフロップ10の出力部Qが論理状態「0」である間、カウンタ12の3つの出力部12a、12b及び12cは論理状態「0」に保持される。
【0047】
カウンタ12の入力部Rが論理状態「0」である間、後述するようにANDゲート11の出力部を介してカウンタ12の入力部C1に加えられる各パルスに応答して、出力部12a、12b及び12cの論理状態「0」または「1」によって形成される2進数が1単位ずつ増加する。このため、この2進数は、以下の説明でB1と呼ばれるが、000から111まで変化することができる。
【0048】
本装置1はさらに2進比較器14を含み、その3つの第1入力部14a、14b及び14cはそれぞれカウンタ12の出力部12a、12b及び12cに接続されている。この比較器14はまた、3つの第2入力部14d、14e及び14fと共に、R−Sフリップフロップ10のゼロリセット入力部に接続された出力部Sを有している。
【0049】
比較器14は周知の回路であるので、ここでは詳細に説明しない。簡単に説明すると、それの第1入力部14a、14b、14c及び第2入力部14d、14e、14fの論理状態「0」または「1」によって形成される2つの2進数が同一である時だけ、出力部Sが論理状態「1」になる。すべての他の状態では、比較器14の出力部の論理状態は「0」である。
【0050】
本装置1はまた、3つの第1入力部15a、15b及び15cと、3つの第2入力部15d、15e及び15fと、それぞれ比較器14の入力部14d、14e及び14fに接続された3つの出力部15g、15h及び15iと、フリップフロップ8の反転入力部Q* に接続された制御入力部Eとを有するスイッチ15を備えている。
【0051】
スイッチ15は周知の回路であるので、ここでは詳細に説明しない。簡単に説明すると、入力部Eの論理状態が「0」か「1」かに従って、出力部15g、15h及び15iを第1入力部15a、15b及び15cまたは第2入力部15d、15e及び15fに接続するように構成されている。
【0052】
本装置1はさらに、それぞれスイッチ15の第1入力部15a、15b及び15cに接続された3つの出力部16a、16b及び16cを有するカウンタ16と、それぞれスイッチ15の第2入力部15d、15e、15fに接続された3つの出力部17a、17b、17cを有するカウンタ17とを備えている。カウンタ16、17の各々はさらに、クロック入力部C1とゼロリセット入力部Rとを有している。
【0053】
カウンタ16、17は同一であって、それぞれ個別には図示しないが従来通りに縦続接続された5つのフリップフロップより成る。しかし、それぞれの出力部16aないし16c及び17aないし17cを形成するのは、これらのカウンタ16、17の最後の3つのフリップフロップの反転出力部である。
【0054】
その結果、一方では、カウンタ16の入力部Rまたはカウンタ17の入力部Rが論理状態「1」である時、それぞれの出力部16aないし16cまたは17aないし17cの論理状態が2進数の111を形成し、これは、誰でもわかるように、10進数の7に相当する。
【0055】
その結果、他方では、カウンタ16の入力部Rが論理状態「0」である時、カウンタ16の入力部C1は、それの出力部16aないし16cの論理状態「0」または「1」によって形成される2進数を1単位だけ減少させるために4つの連続パルスを受け取らなければならない。この2進数をB2と呼ぶ。
【0056】
同様に、カウンタ17の入力部Rが論理状態「0」である時、カウンタ17の入力部C1は、それの出力部17aないし17cの論理状態「0」または「1」によって形成される2進数を1単位だけ減少させるために4つの連続パルスを受け取らなければならない。この2進数をB3と呼ぶ。
【0057】
当該技術の専門家であれば容易に理解できる理由から、カウンタ16及び17はさらに、2進数B2及びB3が所定の最小値、例えば011より小さくなることができないように構成されている。このため、以下に説明する状況において、これらの2進数B2及びB3は111から011まで、すなわち、10進数で7から3まで変化することができる。
【0058】
カウンタ16のクロック入力部C1及びゼロリセット入力部Rは、それぞれANDゲート18の出力部及びANDゲート19の出力部に接続されており、これらのANDゲートの各々の第1入力部はDフリップフロップ8の直接出力部Qに接続されている。さらに、カウンタ17のクロック入力部C1及びゼロリセット入力部Rは、それぞれANDゲート20の出力部及びANDゲート21の出力部に接続されており、これらのANDゲートの各々の第1入力部はDフリップフロップ8の反転出力部Q* に接続されている。
【0059】
本装置1はまた、入力部22aを有する検出器回路22を備えており、入力部22aは増幅器4の出力部4eに接続されているために、各駆動パルスの終わりに短絡された後もコイル3をまだ流れている電流を表す信号SMを受け取る。
【0060】
ステッピングモータのコイルが駆動パルスの後に短絡された時にコイルをまだ流れている電流の変化が、モータが駆動パルスに応答して正確に回転したか否かに応じて異なることは、当該技術の専門家には周知である。また、この変化の違いを分析する様々な方法や、ロータの回転または非回転を表す検出信号を発生する方法も、当該技術の専門家には周知である。
【0061】
このため、検出器22についてはここでは詳細に説明しない。簡単に説明すると、本例では、検出器22は2つの出力部22b及び22cを有しており、各駆動パルスの後にそれが発生する検出信号が、モータ2のロータが駆動パルスに応答して正確に回転したか否かに応じて出力部22bまたは出力部22cに現れる短パルスによって形成されるように構成されている。
【0062】
検出器22の出力部22b及び22cは、それぞれANDゲート18及び20の第2入力部と、ANDゲート19及び21の第2入力部とに接続されている。
【0063】
本装置1はさらに、ORゲート7の第2入力部に接続された出力部23aと、検出器22の出力部22cに接続された入力部23bとを有するパルス発生器23を備えている。
【0064】
パルス発生器23の実現は当該技術の専門家にはまったく問題にならないためにここでは詳細に説明しないが、パルス発生器23は、その入力部23bに受け取る各パルスに応答して、出力部23aに比較的長い持続時間を有する別のパルスを発生する。
【0065】
以下の説明から明らかになるように、この持続時間は、モータ2のロータが駆動パルスに応答して正確に回転しなかった時毎にコイル3に加えられ、抜けたステップをロータに実施させる補正パルスが有していなければならない持続時間である。そのため、この持続時間は、コイル3に加えられる駆動パルスの最長のものより長いが、個々の場合に応じて異なる幾つかの要因によって決まるため、ここではさらに特定することができない。
【0066】
本装置1の作用は、以上の説明から当該技術の専門家には問題なく理解されるであろうから、ここでは詳細に説明しない。
【0067】
簡単に説明すると、タイムベース回路9が発生する各信号パルスST1がDフリップフロップ8の出力部Q及びQ* の論理状態を変化させる。
【0068】
同時に、この信号パルスST1はR−Sフリップフロップ10の出力部Qを論理状態「1」に変える。その結果、論理状態「1」に変化したのがDフリップフロップ8の出力部Qか出力部Q* かに応じて、増幅器4の入力部4cまたは入力部4dが論理状態「1」に変化する。このため、増幅器4は、第1の場合には正の、第2の場合には負の駆動パルスをコイルに加え始める。さらに、論理状態「1」に変化したのがDフリップフロップ8の出力部Qか出力部Q* かに応じて、スイッチ15を介して比較器14の入力部14dないし14fに加えられるのが、カウンタ16の出力部16aないし16cに現れる2進数B2か、カウンタ17の出力部17aないし17cに現れる2進数B3である。入力部Eは第1の場合には論理状態「0」で、第2の場合には論理状態「1」である。
【0069】
言い換えると、比較器14の入力部14dないし14fは、増幅器4がコイル3に加える駆動パルスが正か負かに応じて、2進数B2または2進数B3を受け取る。
【0070】
R−Sフリップフロップ10の出力部Qが論理状態「1」に変わることによって、カウンタ12はANDゲート11を介して入力部C1に受け取る信号パルスST2をカウントし始める。このため、入力部Rが論理状態「1」であったので前に000であったカウンタ12の2進数B1が増加し始める。
【0071】
この2進数B1が前述した比較器14の入力部14aないし14fに現れる2進数B2またはB3と等しくなった時、この比較器4の出力部Sが論理状態「1」に変わる。その結果、その時まで論理状態「1」であった増幅器4の入力部4cまたは入力部4dと共に、R−Sフリップフロップ10の出力部Qが再び論理状態「0」に変わる。このため、以上に記載したようにしてコイル3に加え始められていた駆動パルスが中断される。
【0072】
各正駆動パルスの持続時間は、この正駆動パルスの持続中にカウンタ16の出力部16aないし16cに現れる2進数B2の値によって決定されることはわかるであろう。同様に、各負駆動パルスの持続時間は、この負駆動パルスの持続中にカウンタ17の出力部17aないし17cに現れる2進数B3の値によって決定される。本例では、これらの持続時間は信号ST2の持続時間の3倍から7倍まで、すなわち、約2.93ミリ秒から約6.84ミリ秒まで変化することができる。
【0073】
本例の場合のように、定電圧駆動パルスのときにステッピングモータのコイルに供給される電気エネルギ量は、特にその駆動パルスの持続時間によって決まる。そのため、この場合、正駆動パルスの持続中または負駆動パルスの間にコイル3に供給される電気エネルギ量は、それぞれ2進数B2または2進数B3によって決まる。この電気エネルギ量はモータの供給電圧及びモータの電気特徴などの他の要因にも依存しているため、それをさらに特定することはできない。この電気エネルギ量は、それぞれ2進数B2またはB3の値が011である時に最小値になり、2進数B2またはB3の値が111である時に最大値になると言えるだけである。
【0074】
上記のように中断された駆動パルスがモータ2のロータを正確に回転させた場合、検出器22の出力部22bが検出パルスを発生し、このパルスは、その駆動パルスが正か負かに応じて、それぞれゲート18またはゲート20を介してカウンタ16またはカウンタ17のクロック入力部C1に供給される。このため、カウンタ16またはカウンタ17の内容が変更され、必要ならば、2進数B2または2進数B3が、その最小値011にまだ達していない場合に1単位だけ減少する。
【0075】
中断された駆動パルスがモータ2のロータを正確に回転させなかった場合、検出パルスを発生するのは検出器22の出力部22cである。この検出パルスは、一方ではパルス発生器23の出力部23aから前述したように長い持続時間のパルスを供給させる。この長い持続時間のパルスによって、同じ長い持続時間を有すると共に、モータ2のロータが回転しなかった時の駆動パルスと同じ極性を有する補正パルスが増幅器4を介してコイル3に加えられる。
【0076】
この同じ検出パルスが、その駆動パルスが正か負かに応じて、それぞれゲート19またはゲート21を介してカウンタ16またはカウンタ17のゼロリセット入力部Rにも供給される。
【0077】
その時、第1の場合の2進数B2または第2の場合の2進数B3が最大値111になり、他方の2進数の値は変更されない。
【0078】
2進数B2及びB3は、必要に応じて互いに独立的に変更されることがわかるであろう。
【0079】
従って、従来の装置によって制御されるステッピングモータとは異なって、正駆動パルスの間及び負駆動パルスの間にコイル3に供給される電気エネルギ量も、必要に応じて互いに独立的に変更されることになる。
【0080】
さらに正確に言い換えれば、所定の極性を有する、例えば、正の駆動パルスに応答したモータ2のロータの回転または非回転は、同じ極性を有する後続の駆動パルスの間にコイル3に供給される電気エネルギ量に影響を与えるだけで、他方の極性、すなわち、本例では負極性を有する後続の駆動パルスのときにコイル3に供給される電気エネルギ量にはまったく影響を与えない。
【0081】
一例として、正及び負の駆動パルスの持続中にコイル3に供給される電気エネルギ量が共にそれぞれの最小値を有する場合について考えてみよう。その時に何らかの理由でモータ2のロータが正の駆動パルスに応答して正確に回転しない場合、後続の正の駆動パルス中にコイル3に供給される電気エネルギ量は実際にその最大値まで増加するが、後続の負の駆動パルス中にコイル3に供給される電気エネルギ量は変更されない。このため、後者の電気エネルギ量は、モータ2のロータがこれらの負駆動パルスに応答して正確に回転し続ける限り、最小値に維持されるであろう。
【0082】
従来の装置によって実施される従来の方法に従ってステッピングモータを制御した時にしばしば発生し、かつこのモータのロータが一定の極性を有する駆動パルスに応答して回転しない時に、逆の極性を有する直後の駆動パルスの間にモータコイルに供給される電気エネルギ量をその最大値まで増加させることによる電気エネルギの不必要な浪費は、上記の装置1などの装置によってモータを制御した時に回避される。
【0083】
従って、他のことがすべて同一であれば、ステッピングモータを制御するために装置1などの装置によって本発明に従った方法を実施することによって、そのモータが一部を成す器具に給電する電源の寿命が長くなるか、そのような電源が占める容積が減少し、このことは従来の方法及び装置に対比した本方法及び装置の大きな利点である。
【0084】
同じ方法を実施すると共に以上に記載した装置1と同じ利点を有している本発明に従った装置の他の様々な実施形態を本発明の範囲から逸脱しないで達成できることは明らかである。
【0085】
特に、本発明に従った装置は、適当にプログラムされると共に、各駆動パルスのときに必要な電気エネルギをモータのコイルに供給することができるインターフェースを備えたマイクロコンピュータの形で達成されることができる。
【0086】
同様に、本発明に従った装置は、それが発生する駆動パルスが定電流駆動パルスであるように構成することができる。そのような場合、モータのコイルに供給される電気エネルギ量を、その時にこのコイルを流れている電流の強さに作用することによって変更できることは、当該技術の専門家には周知であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】様々な場合にステッピングモータのロータが受ける位置決め偶力の変化の一例をロータの角位置の関数として示したグラフである。
【図2】本発明に従った装置の非制限的な例である実施形態を概略的に示している。
【符号の説明】
2 ステッピングモータ、 3 コイル、 4 増幅器、
5、6 ANDゲート、 7 ORゲート 8 Dフリップフロップ、
9 タイムベース回路、 10 R−Sフリップフロップ、
11 ANDゲート、 12 カウンタ、 13 インバータ、
14 2進比較器、 15 スイッチ、 16、17 カウンタ、
18、19、20、21 ANDゲート、 22 検出回路
Claims (3)
- 永久磁石を備えたロータと、コイル(3)と、そのコイル(3)及び前記磁石を磁気結合させるステータとを有するステッピングモータ(2)を制御する方法において、
第1極性と、その第1極性と反対の第2極性とを交互に有する連続駆動パルスを前記コイル(3)に加えて、それぞれの駆動パルスのときに前記コイル(3)に所定の電気エネルギ量を供給する段階と、
前記駆動パルスの各々の後に、前記駆動パルスに応答する前記ロータの回転または非回転を検出する段階と、
その検出に応じて前記電気エネルギ量を調節する段階とを含む方法であって、
前記ロータの回転が検出されて最小値にまだ達していない場合にはエネルギー量が減じられ、前記ロータの非回転が検出された場合にはエネルギー量が最大値まで増加させられ、そして
前記調節が、前記第1極性を有する前記駆動パルスと前記第2極性を有する前記駆動パルスとの場合で別々に実施されることを特徴とする方法。 - 永久磁石を備えたロータと、コイル(3)と、そのコイル(3)及び前記磁石を磁気結合させるステータとを有するステッピングモータ(2)を制御する装置において、
第1極性と、その第1極性と反対の第2極性とを交互に有する連続駆動パルスを前記コイル(3)に加えて、それぞれの駆動パルスのときに前記コイル(3)に所定の電気エネルギ量を供給する駆動パルス発生手段(4〜9)と、
前記駆動パルスの各々の後に、前記駆動パルスに応答したロータの回転または非回転を表す検出信号を発生する検出手段(22)と、
前記検出信号に応じて前記電気エネルギ量を調節する調節手段(10〜21)とを備えた装置であって、
前記ロータの回転が検出されて最小値にまだ達していない場合には、前記調節手段によってエネルギー量が減じられ、前記ロータの非回転が検出された場合には、前記調節手段によってエネルギー量が最大値まで増加させられ、そして
前記調節手段(10〜21)が、前記第1極性を有する前記駆動パルスと前記第2極性を有する前記駆動パルスとの場合で別々に前記電気エネルギ量を調節するように構成されていることを特徴とする装置。 - 前記パルス発生手段(4〜9)が、
第1状態及び第2状態を交互に有する交互信号を発生する手段(8,9)と、その交互信号の前記第1状態及び前記第2状態に応答してそれぞれ前記第1極性及び前記第2極性を有する前記駆動パルスを前記コイル(3)に供給すると共に、決定信号に応答して前記電気エネルギ量を決定する整形手段(4〜6)とを有しており、前記調節手段(10〜21)が、
入力部(14d〜14f)を有し、その入力部(14d〜14f)に加えられたデータ信号に応答して前記決定信号を発生するように構成されている決定手段(10〜14)と、
第1記憶信号(B2)を記憶し、前記決定信号及び前記交互信号の前記第1状態に応答してその記憶信号(B2)を変更する第1記憶手段(16、18、19)と、第2記憶信号(B3)を記憶し、前記検出信号及び前記交互信号の前記第2状態に応答してその第2記憶信号(B3)を変更する第2記憶手段(17、20、21)と、
前記交互信号の前記第1状態及び前記第2状態に応答して、それぞれ前記入力部(14d〜14f)にその時の前記データ信号を構成する前記第1記憶信号(B2)及びその時の前記データ信号を構成する前記第2記憶信号(B3)を加えるスイッチング手段(15)とを有しており、
これによって前記電気エネルギ量が、前記第1極性を有する前記駆動パルスの間は前記第1記憶信号(B2)によって、また前記第2極性を有する前記駆動パルスの間は前記第2記憶信号(B3)によって決定されるようにした請求項2記載の装置。
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