JP4259051B2 - 連続鋳造機及び連続鋳造鋳片の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼の連続鋳造機及び連続鋳造鋳片の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造における鋳型内溶鋼の湯面レベル制御は、タンディッシュから鋳型への溶鋼注湯量を調整することにより行われている。鋳型内溶鋼の湯面変動は、モールドパウダーの巻き込みなどの原因になり、鋳片品質に悪影響を与えている。又、湯面変動量が大きいと、操業の安定性を阻害し、鋳造速度増速の妨げとなる。この湯面変動の原因としては、鋳型内への溶鋼吐出流が引き起こす鋳型内溶鋼流動や、浸漬ノズル内に吹き込まれるArガス流量の影響などであり、湯面変動を低減するために、従来から浸漬ノズル形状の改善や電磁力の印加などの対策が採られてきた。
【0003】
一方、湯面変動は鋳片のバルジング現象によっても発生する。バルジング現象とは、連続鋳造機の鋳造方向に隣り合うガイドロール間で、凝固シェルが内部の未凝固層の溶鋼静圧によって膨らむ現象であり、一般的には、ガイドロールの鋳造方向の設置間隔(「ロールピッチ」と呼ぶ)が大きいほど、凝固シェル厚が薄いほど、又、溶鋼静圧が大きいほど、バルジング量は大きくなる。
【0004】
鋳造方向に隣り合うガイドロール間でバルジングが発生しても、バルジングした部分が次のガイドロール位置まで移動すれば、一般的には、膨らんだ部分がガイドロールで圧下されて膨らみが元に戻り、同時に、新たにガイドロール間でバルジングが発生する。このため、全体としては鋳片の体積は変化しない。
【0005】
ところが、図4に示すように、バルジングによって膨らんだ凝固シェル8の部分が次のガイドロール4の位置に来ても、凝固シェル8の変形が元に戻らず、膨らんだままの状態でガイドロール4に圧下される現象が起こることがある。これは、凝固シェル8における凝固進行の不均一などがきっかけとなって発生することが多いが、鋼種や条件によっては明確なきっかけがなくても発生する。この現象を「非定常バルジング」と呼んでいる。図4は、非定常バルジングの発生状況を概念的に示す図であり、図中、符号9は未凝固層である。
【0006】
この非定常バルジングが発生すると鋳片の体積が変化する。特に、ロールピッチが連続して一定になっている部分で非定常バルジングが発生すると、一箇所の膨れの量は高々0.5mm程度であっても、同一のロールピッチが連続する部分全体で、同じ周期で起こるため、鋳片体積の変化が大きくなり、未凝固層9が非定常バルジングに応じて鋳造方向上下に移動するため、鋳型内において大きな湯面変動を発生させることになる。この非定常バルジングに起因する湯面変動は、発生原理から明らかなように、ロールピッチに対応した一定の周期を持つ湯面変動であり、他の原因による湯面変動とは明確に区別することができる。
【0007】
この現象の防止方法として、一般に、ロールピッチを緻密化してバルジングの発生そのものを防止することが行われているほか、特公平4−65742号公報には、ロールピッチを不均一とする、或いは、左右ガイドロールを非対称に配置して、バルジング発生の周期性を防止する方法が開示され、又、特開平11−320059号公報には、ガイドロールのロールピッチを2種以上とし、その2種以上のロールピッチで順次繰り返して現れるようにガイドロールを配置して、バルジング発生の周期性を防止する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロールピッチを緻密化するためには、ガイドロールを小径化し、且つ、ガイドロールの設置個数を増やす必要があり、設備費や維持管理費の増加を招く。又、近年では、複数対のガイドロールを一つの単位としたセグメント構造の連続鋳造機が広く用いられており、一つのセグメント内でロールピッチを変化させると、各々のガイドロールにかかる負荷の大きさや方向が変化するため、それを考慮した設計が必要になり、構造の複雑化及び維持管理の煩雑化を招く。更に、これらの対策を連続鋳造機の全長に適用することは、多大の設備費や保守時間並びに維持管理費を必要とする。
【0009】
又、従来、鋳型内溶鋼湯面から例えば10m以内の、連続鋳造機の上流側については、凝固シェルが脆弱であるために十分な支持が必要との観点から、ロールピッチに配慮が加えられていたが、或る程度凝固が進行した、連続鋳造機の中流側及び下流側では、ロールピッチを粗くするような設計がなされていた。しかし、非定常バルジングは連続鋳造機の上流側だけに限定して発生しているわけではない。
【0010】
このように、非定常バルジングに起因する湯面変動を防止するための従来の方策では、設備費及び維持管理費が大きくなり、特に、既設の連続鋳造機でこのような防止対策を施す場合には、鋳片支持機構であるガイドロール群を全面的に設計し直すことが必要で、設備改造のための費用が莫大になる。このため、従来、特に既設の連続鋳造機では、十分な対策は実際には実施されていなかった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、既設の連続鋳造機においても少ない設備改造費及び維持管理費で、非定常バルジングに起因する湯面変動を効率良く抑えることが可能な連続鋳造機並びに連続鋳造鋳片の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた。以下に、検討結果を説明する。
【0013】
非定常バルジングの発生メカニズムを詳細に検討解析したところ、非定常バルジングの発生には凝固シェル厚の影響があることが分かった。凝固シェル厚が薄い場合には、バルジングによって凝固シェルが変形しても、凝固シェルの強度が低いため、次のロール位置では変形が元に戻り、非定常バルジングにはなりにくい。又、凝固シェル厚が薄い部分は鋳型出口に近いため、凝固シェルにかかる溶鋼静圧が相対的に低く、バルジング量が比較的小さい。
【0014】
又、連続鋳造機の下流側では、凝固シェルに作用する溶鋼静圧は大きくなるが、凝固シェル厚が厚くなることと、凝固シェルの表面温度が低下することによって凝固シェル自体の強度が大きくなるために、バルジング量は小さくなる。このため、非定常バルジングも発生しない。
【0015】
これらの事象を踏まえた詳細な調査・検討結果から、非定常バルジングを発生させる凝固シェル厚は、50mmないし80mmの範囲であることが明らかになった。従って、連続鋳造機の全域にわたって非定常バルジングの対策を採る必要はなく、この領域に該当するガイドロールのみを対称として対策を施せば十分である。
【0016】
この領域を、定常鋳造時の鋳造速度Vc(m/min)と、冷却条件に固有の凝固係数K(mm/min1/2 )とを用いて、鋳型内溶鋼湯面位置からの距離で表示すると、鋳型内溶鋼湯面位置から[50/K]2 ×Vc(m)ないし[80/K]2 ×Vc(m)の範囲になる。ここで、凝固係数Kとは、凝固シェル厚D(mm)と凝固時間t(min)との関係をD=K×t1/2 で表したときの定数Kである。凝固時間tは、鋳型内で凝固開始してからの経過時間である。
【0017】
連続鋳造機における凝固係数Kは、一般的に26mm/min1/2 ないし30mm/min1/2 程度であるから、非定常バルジングの対策を採る必要のある領域は、鋳型内溶鋼湯面位置から2.8×Vc(m)ないし9.5×Vc(m)の範囲、或いは、鋳型内での凝固開始後170秒ないし570秒経過した鋳片が通過する範囲に相当する。
【0018】
非定常バルジングを防止するための効果的な手段は、(1)ロールピッチを緻密化してバルジングそのものを抑制することと、(2)同一ロールピッチを長く連続させないことである。しかしながら、非定常バルジング対策を行う必要がある全領域のロールピッチを緻密化した場合には、前述したように設備コストが増大する。
【0019】
ところで、複数対のガイドロールを一つの単位としたセグメント構造からなる連続鋳造機の場合、セグメントの鋳造方向長さLは通常2m以下であり、非定常バルジング対策として、この範囲内ではロールピッチを変更する必要がないことが分かった。即ち、同一ロールピッチ範囲が2m以下であれば、非定常バルジングは生じないことが分かった。
【0020】
この結果から、非定常バルジング対策が必要な領域を構成するセグメントにおいて、隣接するセグメント間ではロールピッチが一致しないようにガイドロールを配置することにより、非定常バルジングを抑制できるとの知見を得た。
【0021】
そして、これらのセグメントの内の少なくとも1つのセグメントのロールピッチを緻密化すること、具体的には300mm以下にすることで、この部位におけるバルジングそのものが抑えられ、非定常バルジングをより効率的に抑制することができることが分かった。尚、バルジング量は計算により推定することができ、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲で且つロールピッチが300mm以下の場合のバルジング量は極めて小さくなる。
【0022】
セグメントの鋳造方向長さLは前述したように通常2m以下であり、この場合には、300mm以下のロールピッチで十分である。しかし、セグメントの鋳造方向長さLが2mを越える場合には、それだけ同一ロールピッチが長く連続することになり、非定常バルジングを抑えるためには、ロールピッチを300mmより更に狭めることが望ましい。この場合には、セグメントの鋳造方向長さL(m)に対して、ロールピッチを600/L(mm)以下にする必要があることが分かった。
【0023】
本発明は上記検討結果に基づきなされたもので、上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造機は、鋳片を支持するためのガイドロール群が、複数対のガイドロールを一つの単位としたセグメント構造からなる連続鋳造機であって、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片を支持するセグメントは、セグメント内ではロールピッチを変化させず、少なくとも隣接するセグメントとは異なるロールピッチで配置されたガイドロールで構成されることを特徴とするものである。
【0024】
第2の発明に係る連続鋳造機は、第1の発明において、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片を支持するセグメントの少なくとも1つは、当該セグメントの鋳造方向長さL(m)に対してガイドロールのロールピッチが600/L(mm)以下で、且つ、300mm以下であることを特徴とするものである。
【0025】
第3の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、鋳片を支持するためのガイドロール群が、複数対のガイドロールを一つの単位としたセグメント構造からなる連続鋳造機を用いて、溶鋼から連続鋳造鋳片を製造する方法であって、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片が通過する位置に設置する、前記連続鋳造機のセグメントには、セグメント内ではロールピッチを変化させず、隣接するセグメントとは互いに異なるロールピッチでガイドロールを配置することを特徴とするものである。
【0026】
第4の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、第3の発明において、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片が通過する位置に設置するセグメントの少なくとも1つは、当該セグメントの鋳造方向長さL(m)に対してガイドロールのロールピッチが600/L(mm)以下で、且つ、300mm以下であることを特徴とするものである。
【0027】
第5の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、鋳片を支持するためのガイドロール群が、複数対のガイドロールを一つの単位としたセグメント構造からなる連続鋳造機を用いて、溶鋼から連続鋳造鋳片を製造する方法であって、鋳型内での凝固開始後170秒ないし570秒経過した鋳片が通過する位置に設置する、前記連続鋳造機のセグメントには、セグメント内ではロールピッチを変化させず、隣接するセグメントとは互いに異なるロールピッチでガイドロールを配置することを特徴とするものである。
【0028】
第6の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、第5の発明において、鋳型内での凝固開始後170秒ないし570秒経過した鋳片が通過する位置に設置するセグメントの少なくとも1つは、当該セグメントの鋳造方向長さL(m)に対してガイドロールのロールピッチが600/L(mm)以下で、且つ、300mm以下であることを特徴とするものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明を適用した連続鋳造機の概略図である。
【0030】
図1に示すように、連続鋳造機1には、溶鋼6を注入して凝固させるための鋳型3が設置され、そして、この鋳型3の下方には、鋳型3から引き抜かれる鋳片7を支持するための複数対のガイドロール4が設置されている。ガイドロール4は、複数対のガイドロール4を一つの単位としたセグメント構造で構成され、図1では、鋳型3の直下から、第1セグメント11、第2セグメント12、第3セグメント13、第4セグメント14、第5セグメント15、第6セグメント16、第7セグメント17、第8セグメント18、第9セグメント19の順に構成されている。この第1セグメント11から第9セグメント19の範囲は、二次冷却帯と呼ばれる冷却ゾーンになっており、エアーミストスプレーノズル(図示せず)や水スプレーノズル(図示せず)が配置されている。鋳型3の上方所定位置には、溶鋼6を中継滞留するためのタンディッシュ2が設置されている。尚、セグメントの配置数が図1では9つであるが、連続鋳造機1の機長に応じてその数は変化する。
【0031】
取鍋(図示せず)からタンディッシュ2内に溶鋼6を注湯し、次いで、タンディッシュ2内の溶鋼6を、浸漬ノズル5を介して鋳型3内に注湯する。溶鋼6は鋳型3内で冷却されて凝固シェル8を形成し、形成した凝固シェル8は、ガイドロール4に支持されながら鋳型3の下方に連続的に引き抜かれ、鋳片7となる。鋳型3内の溶鋼湯面10上には、通常モールドパウダー(図示せず)を添加する。図中、符号9は鋳片7内の未凝固層である。
【0032】
ここで、凝固シェル8の厚みが50mmないし80mmの範囲の鋳片7を支持するガイドロール4に該当するセグメントでは、隣接するセグメントとは互いに異なるロールピッチでガイドロール4を配置する。この場合、隣接していないセグメントであれば、ロールピッチが同一のセグメントがあっても構わない。そして、この範囲のセグメントの少なくとも1つは、そのロールピッチを、そのセグメントの鋳造方向長さL(m)に対して600/L(mm)以下で、且つ、300mm以下とすることが好ましい。
【0033】
凝固シェル8の厚みが50mmないし80mmになる範囲は、鋳造速度Vc(m/min)で鋳造している定常鋳造時には、溶鋼湯面10から下流側への距離が2.8×Vc(m)ないし9.5×Vc(m)の範囲になり、従って、この範囲に該当するセグメントについて、隣接するセグメント同士でロールピッチを変化させればよい。又、この範囲は、溶鋼湯面10で凝固開始後170秒ないし570秒経過した鋳片7が通過する位置に相当する。
【0034】
従って、鋳造速度が速い連続鋳造機の場合は、鋳造速度が遅い連続鋳造機の場合よりも下流側で非定常バルジング対策を行う必要がある。具体的には、鋳造速度が1〜1.5m/min程度の比較的低速の連続鋳造機では、溶鋼湯面10の位置からおよそ3mないし14mの領域で非定常バルジング対策を行う必要があり、一方、鋳造速度が2m/min以上の比較的高速の連続鋳造機では、溶鋼湯面10の位置からおよそ6mないし30mの領域で非定常バルジング対策を行う必要がある。
【0035】
一般的な連続鋳造機では、上流側は凝固シェル8が脆弱なためロールピッチが緻密になっているが、溶鋼湯面10から下流側に10m以上離れた部位では、ロールピッチが粗くなる傾向がある。しかし、たとえバルジングが内部割れを引き起こさない程度の微量であっても、同一ロールピッチが長く連続する場合には、全体として大きな湯面変動を発生させる原因となる。従って、特に高速度で鋳造する連続鋳造機においては、下流までの対策が必要になる。
【0036】
尚、凝固シェル8の厚みが50mmないし80mmになる範囲に該当するセグメントにおいて、ガイドロール4を左右非対称に配置したり、ロールピッチを同一セグメント内で変更する必要はない。これらの方法でも非定常バルジングを防止することは可能であるが、前述のように、これらの対策ではコストが多大になり、好ましくない。
【0037】
本発明による連続鋳造機1を用いて溶鋼6を連続鋳造することにより、非定常バルジングに起因する鋳型3内の湯面変動を防止して、高品質の鋳片7を製造することができる。又、非定常バルジングの対策を施す部位が限定された領域であり、且つ、セグメント間でロールピッチを変えると云った比較的簡単な対策であるため、既設の連続鋳造機にも安価な設備改造費で適用することができる。
【0038】
【実施例】
[実施例1]
図2に示すロールピッチ配列を持ったスラブ連続鋳造機を用い、厚みが220mm、幅が1650mmである断面サイズの鋳片を、鋳造速度1.4m/minで鋳造した。この時、鋳型内の溶鋼湯面は、約15秒の周期で変動し、その振幅は約20mmに達した。
【0039】
この鋳造条件においては、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲に相当する位置は、鋳型内溶鋼湯面から5mないし8mの位置に該当する。この部分は、鋳造方向長さLが2m以下である、第2セグメントないし第5セグメントの4つのセグメントで構成されていた。このうち、第2セグメントから第4セグメントまでは同一のロールピッチでガイドロールが配置されていた。
【0040】
そこで、第3セグメントのロールピッチを350mmから290mmに改造し、隣接する第2セグメント及び第3セグメントとはロールピッチを変化させた。この改造により、同一鋳造条件で鋳造した結果、周期的な湯面変動は全く発生しなかった。尚、図2における破線が改造前のロールピッチで、実線が改造後のロールピッチである。
【0041】
[実施例2]
図3に示すロールピッチ配列を持ったスラブ連続鋳造機を用い、厚みが250mm、幅が1250mmである断面サイズの鋳片を、鋳造速度2.6m/minで鋳造した。この時、鋳型内の溶鋼湯面は、約8秒の周期で変動し、その振幅は約20mmに達した。
【0042】
この鋳造条件においては、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲に相当する位置は、鋳型内溶鋼湯面から10mないし25mの位置に該当する。この部分は、鋳造方向長さLが2m以下である、第7セグメントないし第14セグメントの8つのセグメントで構成されていた。このうち、第7セグメントから第9セグメントまでは同一のロールピッチでガイドロールが配置されていた。
【0043】
そこで、第8セグメントのロールピッチを350mmから290mmに改造し、隣接する第7セグメント及び第9セグメントとはロールピッチを変化させた。この改造により、同一鋳造条件で鋳造した結果、周期的な湯面変動は全く発生しなかった。尚、図3における破線が改造前のロールピッチで、実線が改造後のロールピッチである。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、非定常バルジングの発生しやすい領域に限定して隣接するセグメント間でロールピッチを変化させるので、非定常バルジングの発生が防止され、非定常バルジングに起因する鋳型内の湯面変動を防止し、高品質の連続鋳造鋳片を製造することができる。又、非定常バルジングの対策を施す部位が限定された領域であり、且つ、セグメント間でロールピッチを変えると云った比較的簡単な対策であるため、既設の連続鋳造機にも安価な設備改造費並びに維持管理費で適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した連続鋳造機の概略図である。
【図2】実施例1における連続鋳造機のロールピッチを示す図である。
【図3】実施例2における連続鋳造機のロールピッチを示す図である。
【図4】非定常バルジング発生状況の概念図を示す図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 鋳型
4 ガイドロール
5 浸漬ノズル
6 溶鋼
7 鋳片
8 凝固シェル
9 未凝固層
10 溶鋼湯面
11 第1セグメント
12 第2セグメント
13 第3セグメント
14 第4セグメント
15 第5セグメント
16 第6セグメント
17 第7セグメント
18 第8セグメント
19 第9セグメント
Claims (6)
- 鋳片を支持するためのガイドロール群が、複数対のガイドロールを一つの単位としたセグメント構造からなる連続鋳造機であって、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片を支持するセグメントは、セグメント内ではロールピッチを変化させず、少なくとも隣接するセグメントとは異なるロールピッチで配置されたガイドロールで構成されることを特徴とする連続鋳造機。
- 凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片を支持するセグメントの少なくとも1つは、当該セグメントの鋳造方向長さL(m)に対してガイドロールのロールピッチが600/L(mm)以下で、且つ、300mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機。
- 鋳片を支持するためのガイドロール群が、複数対のガイドロールを一つの単位としたセグメント構造からなる連続鋳造機を用いて、溶鋼から連続鋳造鋳片を製造する方法であって、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片が通過する位置に設置する、前記連続鋳造機のセグメントには、セグメント内ではロールピッチを変化させず、隣接するセグメントとは互いに異なるロールピッチでガイドロールを配置することを特徴とする、連続鋳造鋳片の製造方法。
- 凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片が通過する位置に設置するセグメントの少なくとも1つは、当該セグメントの鋳造方向長さL(m)に対してガイドロールのロールピッチが600/L(mm)以下で、且つ、300mm以下であることを特徴とする、請求項3に記載の連続鋳造鋳片の製造方法。
- 鋳片を支持するためのガイドロール群が、複数対のガイドロールを一つの単位としたセグメント構造からなる連続鋳造機を用いて、溶鋼から連続鋳造鋳片を製造する方法であって、鋳型内での凝固開始後170秒ないし570秒経過した鋳片が通過する位置に設置する、前記連続鋳造機のセグメントには、セグメント内ではロールピッチを変化させず、隣接するセグメントとは互いに異なるロールピッチでガイドロールを配置することを特徴とする、連続鋳造鋳片の製造方法。
- 鋳型内での凝固開始後170秒ないし570秒経過した鋳片が通過する位置に設置するセグメントの少なくとも1つは、当該セグメントの鋳造方向長さL(m)に対してガイドロールのロールピッチが600/L(mm)以下で、且つ、300mm以下であることを特徴とする、請求項5に記載の連続鋳造鋳片の製造方法。
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