JP7126098B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造鋳型から引き抜かれた鋳片を、各々対向する複数対のロールによって支持しつつ鋳造する鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の凝固過程では、炭素、燐、硫黄、マンガンなどの溶質元素は、凝固時の再分配により未凝固の液相(溶鋼)側に濃化される。これが、デンドライト樹間に形成されるミクロ偏析である。連続鋳造機により鋳造されつつある鋳片の凝固収縮及び熱収縮、並びに、連続鋳造機のロール間で発生する凝固シェルのバルジングなどによって、鋳片の厚み中心部に空隙が形成されたり負圧が生じたりすると、この部分に向かって溶鋼が流動する。その際、凝固末期の鋳片の厚み中心部には十分な量の溶鋼(未凝固層)が存在しない。そのため、上記のミクロ偏析によって溶質元素が濃縮された溶鋼が流動し、鋳片の厚み中心部に集積して凝固する。このようにして形成された偏析スポットは、溶質元素の濃度が溶鋼の初期濃度に比べ格段に高濃度となっている。この現象は、一般にマクロ偏析と呼ばれ、偏析スポットの存在部位に由来して、中心偏析とも呼ばれる。
建築材や橋梁材として用いられる厚鋼板においては、中心偏析によって品質が悪化する。具体的には、溶接熱影響部付近に中心偏析が存在すると、厚鋼板に割れが発生する場合がある。従って、鋳片の中心偏析を低減することの重要性は大きい。これに対処するべく、連続鋳造工程では鋳片の中心偏析を低減する対策が多数提案されている。
前述したように、中心偏析の要因の一つに凝固収縮が挙げられる。この対策として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているように、連続鋳造機内において、未凝固層を有する凝固末期の鋳片を、鋳片支持ロールによって凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下量で徐々に圧下しながら鋳造する方法が提案されている。この技術は、「軽圧下」あるいは「軽圧下法」と呼ばれている。この軽圧下技術では、鋳造方向に並んだ複数対のロールを用いて、凝固収縮量及び熱収縮量の和に見合った圧下量で鋳片を徐々に圧下して、未凝固層の体積を減少させる。これにより、鋳片の厚み中心部における空隙あるいは負圧部の形成を防止すると同時に、デンドライト樹間に形成される濃化溶鋼の流動を防止する。その結果、鋳片の中心偏析が軽減される。
また、前述したように、中心偏析の要因の他の一つにバルジングが挙げられる。バルジングとは、鋳型から引き抜かれた鋳片の凝固シェルが、鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロールの間で膨らむ現象である。そこで、特許文献3にはバルジングを抑制する方法が提案され、特許文献4及び特許文献5には、バルジングを抑制しつつ、鋳片に軽圧下を付与する方法が提案されている。特許文献3には、凝固シェル厚が50mmないし80mmの範囲の鋳片を支持するセグメントは、隣接するセグメントとは異なるロールピッチとする方法が示されている。特許文献4には、鋳片の鋳造方向で、鋳片の厚み中心部の固相率fsが0.3の位置から0.6の位置までの範囲では、ロールピッチを300~400mmとし、fsが0.7の位置から0.9の位置までの範囲では、ロールピッチを200~300mmとする方法が記載されている。また、特許文献5には、鋳片の鋳造方向で、fsが0.1の位置から0.5~0.6の位置までの範囲では、ロールピッチを300mm以下として鋳片は圧下せず、fsが0.5~0.6の位置から1.0の位置までの範囲では、ロールピッチを300~500mmとして、0.5mm/m以上の圧下勾配で鋳片を軽圧下する方法が記載されている。
特開平8-132203号公報 特開平8-192256号公報 特開2004-34091号公報 特開2005-193265号公報 特開2015-226918号公報
しかしながら、特許文献1~5の手法には以下に示す課題があった。まず、特許文献1や特許文献2の方法では、中心偏析の要因として凝固収縮に着目しているに過ぎない。このため、中心偏析は低減するものの、昨今要求されている厳格な中心偏析抑制レベルを満足することはできない。既述のとおり、中心偏析にはロール間のバルジングも影響しており、バルジングに対しては、軽圧下付与とは別の対策が必要である。
特許文献3では、凝固シェル厚が50~80mmの範囲に該当するセグメントのロールピッチを隣接するセグメントとずらす方法を開示しており、凝固初期の非定常バルジングを低減可能である。しかしながら、後述するように、中心偏析に影響する非定常バルジングは凝固中期~末期にかけて発生するものであり、凝固初期のみ低減しただけでは十分な中心偏析改善効果が得られないことが判明した。
特許文献4及び特許文献5では、fsが0.1となる位置より下流、すなわち凝固末期の鋳片におけるロール間バルジングを抑制するためのロール配置を開示しており、単に軽圧下法を採用した場合と比べれば、中心偏析をさらに低減することができる。しかしながら、本発明者らの検討の結果、凝固末期のみのロールピッチを整備するだけでは、中心偏析の低減が不十分であることが判明した。
また、特許文献4ではfsが0.6~0.7となる範囲、また、特許文献5ではfsが0.5~0.6となる範囲という、非常に狭い範囲(鋳造長さにして数百mm程度)に、ロールピッチの変更部位を設定する必要があり、実操業においてこのような制御は非常に困難である。つまり、同一ロールピッチゾーンを2つ有するロール配置を採用したとしても、ごく限られた鋳造条件(例えば引き抜き速度等)でしか、特許文献4及び特許文献5の方法を実現することができず、鋳造条件の自由度を確保することができない。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、鋳造条件の自由度を確保しつつ、中心偏析をより十分に低減することが可能な鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討したところ、バルジングの中でも「非定常バルジング」が、中心偏析の大きな要因となっていることが判明した。ここで「非定常バルジング」とは、ロール間バルジング量が経時的に変化する現象である。バルジングが発生している場合でも、バルジング量が経時的に変動しない定常バルジングであれば、凝固シェルの内側の未凝固層(溶鋼)はバランスが取れている。これに対して、非定常バルジングが生じると、鋳造方向や厚み方向への液相の流動が大きく生じるため、それに起因して、濃化溶鋼の流動が生じる。特に軽圧下を実施するような凝固末期で非定常バルジングが生じた場合、通常の操業では問題にならないような軽微なバルジング量であっても鋳片中央部の濃化溶鋼の流動を生じさせ、中心偏析が促進されるものと考えられる。したがって、単にバルジングを低減するだけでなく、凝固末期における非定常バルジングを抑制することが中心偏析低減においては重要となる。
そして、本発明者らがさらに検討したところ、鋳片の鋳造方向で、凝固シェル厚が80mmとなる位置から凝固完了位置までの範囲において、ロールピッチが所定の条件を満たすような、ロール配置及び鋳造条件を採用することによって、非定常バルジングを抑制することができることを見出した。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨構成は以下のとおりである。
連続鋳造鋳型から引き抜かれた鋳片を、各々対向する複数対のロールによって支持しつつ鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
前記鋳片の鋳造方向で、少なくとも前記鋳片の厚み中心部の固相率が0.3となる位置から0.7となる位置までの範囲において、前記鋳片に0.5mm/分以上2.0mm/分以下の圧下速度で軽圧下を付与し、
前記鋳片の鋳造方向で、前記鋳片の片側の凝固シェル厚が80mmとなる位置から凝固完了位置までの範囲において、
(1)同一のロールピッチで配置されたロール群からなる同一ロールピッチゾーンが3つ以上存在し、
(2)前記同一ロールピッチゾーンの鋳造方向長さが、いずれも5m以下であり、
(3)鋳造方向上流側からn番目の同一ロールピッチゾーンのロールピッチをRP(n)で表したときに、
(3-1)50mm≦|RP(n)-RP(n+1)|
(3-2)RP(n)<RP(n+1)の場合、2RP(n)>RP(n+1)
P(n)>RP(n+1)の場合、RP(n)<2RP(n+1)
(3-3)RP(n)-RP(n+1)とRP(n+1)-RP(n+2)の正負が逆
の条件を満たすことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、鋳造条件の自由度を確保しつつ、中心偏析をより十分に低減することが可能である。
非定常バルジングの評価指標Aの測定方法を説明するための模式図である。 発明例1における凝固シェル厚の変化及びロール配置を示すグラフである。 発明例2における凝固シェル厚の変化及びロール配置を示すグラフである。 比較例2における凝固シェル厚の変化及びロール配置を示すグラフである。 比較例3における凝固シェル厚の変化及びロール配置を示すグラフである。 比較例4における凝固シェル厚の変化及びロール配置を示すグラフである。 比較例5における凝固シェル厚の変化及びロール配置を示すグラフである。 比較例6における凝固シェル厚の変化及びロール配置を示すグラフである。
本発明の一実施形態による鋼の連続鋳造方法(鋼片の製造方法)は、連続鋳造鋳型から引き抜かれた鋳片を、各々対向する複数対のロールによって支持しつつ鋳造する工程を有する。まず、溶鋼を鋳型で一次冷却する。その後、所定の引き抜き速度で鋳型から鋳片を引き抜き、この鋳片を鋳造方向に並んだ複数対のロールで支持しつつ二次冷却して、鋼片を得る。
本実施形態において用いる連続鋳造機は、鋳型の直下から複数対のロールが鋳造方向に沿って並置されているものであれば特に限定されず、湾曲型、垂直曲げ型、垂直型、及び水平型のいずれの形式でもよい。
厚鋼板において中心偏析が問題とならない鋼種はないため、溶鋼の成分組成は特に限定されないが、例えば、質量%で、C:0.01~0.40%、Si:0.01~1.00%、Mn:0.30~2.00%、P:0.030%以下、及びS:0.010%以下を含有し、任意に、Cu:0.0001~0.50%、Mo:0.0001~0.50%、Ni:0.0001~3.00%、Cr:0.0001~2.00%、V:0.0001~0.10%、Ti:0.0001~0.050%、Nb:0.0001~0.10%、Sol.Al:0.0001~0.1%から選ばれる1種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である成分組成とすることができる。
本実施形態では、凝固収縮に起因する中心偏析を低減するため、凝固末期の鋳片に軽圧下を付与する。具体的には、鋳片の鋳造方向で、少なくとも鋳片の厚み中心部の固相率fs(以後、単に「中心固相率fs」とも称する。)が0.3となる位置から0.7となる位置までの範囲において、鋳片に0.5mm/分以上2.0mm/分以下の圧下速度で軽圧下を付与する。
ここで中心固相率fsは、1次元の伝熱凝固計算によって求められる。伝熱・凝固計算にあたってはエンタルピー法や等価比熱法などが知られているがいずれの方法を用いてもよい。中心固相率fsは次式で算出される。この式は金属学的に厳密な定義には基づいていないが、簡易的にはこの式がよく用いられている。
fs=(T-TL)/{(1-k)・(T-TM)}
T:中心部の温度
TL:液相線温度
TM:純鉄の融点
k:溶質の分配係数
圧下速度:0.5mm/分以上2.0mm/分以下
圧下速度が0.5mm/分未満の場合、凝固収縮量を補償することができず、濃化溶鋼の流動を抑制することができないため、中心偏析は改善されない。また、圧下速度が2.0mm/分超えの場合、圧下量が過多となるため濃化溶鋼が上流側へ逆流し、その結果、逆V偏析と呼ばれる偏析が発生するため、やはり中心偏析は改善されない。よって、本実施形態では、圧下速度を0.5mm/分以上2.0mm/分以下とする。
中心固相率fs:0.3~0.7
さらには、軽圧下付与するタイミングも中心偏析の低減には重要である。中心固相率fsが0.3を超えてから軽圧下を開始しても、既に中心偏析は形成されつつあるため、中心偏析の低減効果は小さい。また、一般的に固液共存域の流動限界固相率はfs=0.7とされており、この中心固相率になると液相は独立して存在するようになるため、流動は発生しない。よって、fsが0.7の位置よりも下流側では軽圧下は不要となる。よって、本実施形態では、少なくともfsが0.3となる位置から0.7となる位置までの範囲で軽圧下を行う。
さて、鋳片に軽圧下を付与する場合、後述するように凝固シェルの変形を助長してしまうために、非定常バルジングが発生しやすくなる。そこで、本発明者らは、鋳片を軽圧下しつつも、非定常バルジングを抑制する手法を検討した。
まず、非定常バルジングが発生する原因を調査した。その結果、原因は凝固シェルの塑性変形と液相圧力の周期的変化にあることが明らかとなった。ロール間バルジングは、弾塑性変形によって生じるため、ロール間で一旦膨らんだ凝固シェルは次のロールに位置した時に完全には元の形状に戻らず、鋳片はバルジング形状を残して連続鋳造機内を移動する。同じロールピッチが続くと、同じ周期で繰り返し鋳片が変形するために、非定常バルジングとなる。さらに、塑性変形をきっかけにして液相の体積が周期的に変動するようになるため、液相の圧力も周期的に変動する。その結果、さらに非定常バルジングが助長される。
ここで重要なことは、[1]液相は鋳造方向に繋がっているということと、[2]同じロールピッチで配置されたロール群が長いほど非定常バルジングが助長されるということである。
まず[1]に関して、凝固末期での非定常バルジングを抑制するためには、上流側の液相の鋳造方向の変位も考慮する必要があるということである。そこで、有限要素法(Finite Element Method:FEM)解析を行い、塑性変形と動圧を考慮した非定常バルジングモデルによって、上流側のロール間バルジングが凝固シェルの塑性変形に与える影響について検討した。その際に、凝固末期の鋳片には1.0mm/mの軽圧下を付与した。その結果、少なくとも凝固シェル厚(片側)が80mmとなる位置では、非定常バルジングの種となり得る塑性変形が生じていることが判明した。
次に、[2]に関して、鋳片の鋳造方向で凝固シェル厚が80mmとなる位置から凝固完了位置(CE位置)までの範囲(以下、単に「対象範囲」とも称する。)において、ロールピッチが満たすべき条件を検討した。その結果、以下の条件を全て満たすことによって、非定常バルジングを十分に抑制することができることを見出した。
(1)同一のロールピッチで配置されたロール群からなる同一ロールピッチゾーンが3つ以上存在する。
(2)同一ロールピッチゾーンの鋳造方向長さが、いずれも5m以下である。
(3)鋳造方向上流側からn番目の同一ロールピッチゾーンのロールピッチをRP(n)で表したときに、
(3-1)50mm≦|RP(n)-RP(n+1)|
(3-2)RP(n)<RP(n+1)の場合、2RP(n)>RP(n+1)
P(n)>RP(n+1)の場合、RP(n)<2RP(n+1)
(3-3)RP(n)-RP(n+1)とRP(n+1)-RP(n+2)の正負が逆
の条件を満たす。なお、ロールピッチRPとは、図1を参照して、鋳造方向に隣り合う2つのロール10の軸間距離を意味する。ただし、湾曲型又は垂直曲げ型の連続鋳造機を用いる場合、ロールピッチRPは、鋳片の厚み方向下面を支持するロールについて求めた値とする。
まず、対象範囲において、同一ロールピッチが続く区間の鋳造方向長さを変えて、様々なシミュレーションを行った。その結果、同一ロールピッチが続く区間の鋳造方向長さが非定常バルジングに大きな影響を与えることが判明した。具体的には、同一ロールピッチが続く区間の鋳造方向長さが5mを超えると、非定常バルジングが大きくなることが分かった。よって、本実施形態では、同一ロールピッチが続く区間の鋳造方向長さを5m以下とすること、すなわち、上記の条件(2)を満たすことが重要である。
さらに、条件(2)を満たす場合でも、多少の非定常バルジングは生成され、鋳造方向での液相の多少の変位は生じる。そこで、本発明者らは、さらにFEM解析を続けた結果、非定常バルジングをさらに低減するためには、異なる周期の液相の変位を加えて、液相の変位を相殺することが有効であることを見出した。そして、そのためには、隣り合う同一ピッチゾーン間におけるロールピッチの差を50mm以上とすることと、同一ロールピッチゾーンを3つ以上設けることが、特に有効であることを見出した。すなわち、上記(1)及び(3-1)の条件を満たすことが重要である。
ただし、隣り合う同一ピッチゾーンのロールピッチに関して、大きい方のロールピッチが小さいほうのロールピッチの2倍を超えると、液相の変位を相殺する効果が薄れることも分かった。すなわち、本実施形態では、上記(3-2)の条件を満たすことも重要である。
なお、同一ロールピッチゾーンの鋳造方向長さの下限は、特に限定されないが、以下の観点から、同一ロールピッチゾーンの鋳造方向長さは1m以上であることが好ましい。すなわち、セグメント設備の構成や保全性を考えると、同じセグメント内に配置されたロール群は等間隔で配置されることが望ましい。したがって、セグメント1個分の鋳造方向長さが同一ロールピッチの下限と等しいことになる。このセグメント長さが短いほど、同一ロールピッチゾーンの鋳造方向長さの下限は小さくなるが、その分、設備側のメンテナンスの負荷は大きくなる。このため、セグメント長の下限は1m程度が望ましい。
条件(3-1)及び条件(3-2)を満たす場合、以下の3通りの方法がある。第1は、徐々にロールピッチを狭くする方法、第2は、徐々にロールピッチを広くする方法、第3は、大小ロールピッチを交互に配置する方法である。ここで、第1の方法の場合、非定常バルジングを小さくすることはできる。しかし、その場合、凝固完了位置付近でのロールピッチが極端に狭くなってしまい、それに伴いロール径も小さくする必要がある。ロール径が小さいと、ロールの耐荷重が減少してしまい、軽圧下に耐えられないため、最終凝固部に軽圧下を付与することができなくなる。第2の方法の場合、凝固末期付近のロールピッチが大きくなるため、非定常バルジングの元になるロール間バルジングが大きくなり、その結果、非定常バルジングが増加してしまう。これに対して、第3の方法の場合、すなわち、上記(3-3)の条件を満たすようにロールを配置することにより、非定常バルジングを低減させつつ、十分な軽圧下付与をすることができ、良好な偏析が得られる。
なお、同一ロールピッチゾーン数の上限は特に限定されないが、ゾーン数を増やすということは、それだけ連続鋳造機の機長を長くする必要があり、莫大な費用が掛かる。また異なるロールピッチのゾーンが増えるため、メンテナンス面を鑑みても、ゾーン数は20個以下とすることが好ましい。
なお、「凝固シェル厚が80mmとなる位置」と「CE位置」、すなわち対象範囲の位置は、鋳造条件、特に引き抜き速度Vcに依存して決まる。よって、本実施形態では、ロール配置と鋳造条件を適切に組み合わせることによって、対象範囲でロールピッチが上記(1)、(2)、(3-1)、(3-2)、(3-3)の条件を満たすようにすればよい。
引き抜き速度Vcは特に限定されないが、概ね0.8m/分以上1.6m/分以下の範囲内、好ましくは0.9m/分以上1.2m/分以下の範囲内から、上記条件を満たすように適切に設定することができる。
また、二次冷却における比水量は特に限定されないが、0.5L/kg以上3.0L/kg以下の範囲内から適切に設定することが好ましい。0.5L/kg以上であれば、ブレークアウト等のトラブルが発生しにくく、3.0L/kg以下であれば、鋳片の過冷却による鋳片の反りが発生にしにくく、搬出トラブルが発生しにくい。
以上説明した本実施形態の一実施形態による鋼の連続鋳造方法では、非定常バルジングを抑制した状態で凝固末期の鋳片に軽圧下を付与することができる。そのため、中心偏析をより十分に低減した高品質の鋼片(スラブ、ブルーム、又はビレット)を製造することができる。また、本実施形態では、同一ロールピッチゾーンの鋳造方向長さが5m以下となる限りは、ロールピッチの変更部位に制限がない。よって、鋳造条件の自由度を確保することができる。
なお、非定常バルジングの大小は、以下の指標Aにより評価することができ、本実施形態では、指標Aを0.15mm以下とすることができる。
Figure 0007126098000001
[指標Aの求め方]
図1に示すように、CE位置よりも2m上流の位置に超音波距離計20を設置した。そして、超音波距離計20により、ロールパスラインPから凝固シェルSの表面(鋳片の表面)までの距離を間欠的に測定する。測定の間隔は、鋳片の測定位置間隔が鋳造方向に100mm以下となるように、引き抜き速度Vcを考慮して設定する。Ziは、ロールパスラインPから凝固シェルSの表面までの距離Zのi番目の測定値を意味する。nは、2以上の任意の整数であり、評価精度の観点から100以上とすることが好ましい。すなわち、指標Aは、ロール間バルジングの時間による変化量の絶対値を測定回数で平均化した値であり、非定常バルジングの大小を示す指標となる。以下、指標Aを、CE位置よりも2m上流での「鋳片厚みの変動量」とも称する。
そして、本実施形態によれば、鋳片の厚み中心部における平均偏析度を1.10以下に制御することができる。平均偏析度は、以下の方法で求めるものとする。鋼片の鋳造方向に垂直な板厚断面において、最終凝固部を中心に厚み方向に20mmで、板幅方向に全幅の範囲(測定範囲)で、電子線マイクロプローブアナライザー(EPMA)装置を用いてMn濃度を分析する。測定範囲内の平均Mn濃度を、粗鋼のMn濃度で割ることによって、Mnの平均偏析度を求める。
垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、建築用50k鋼(規格SM490YA)を鋳造した。鋼の成分組成は、質量%で、C:0.15%、Si:0.30%、Mn:1.4%、P:0.020%以下、S:0.003%以下、及びNb:0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である。鋳片厚みは250mmであり、鋳造幅は1900mmである。ロール配置と引き抜き速度Vcは、図2~8及び表1に示すものとして、種々の水準(発明例1,2及び比較例1~6)で鋳造を行った。いずれの水準においても、鋳込み長15m(fs≦0.1の位置)からCE位置(fs=1.0の位置)まで、表1に示す圧下速度で軽圧下を行った。各水準において、CE位置や凝固シェル厚は、伝熱計算によって求め、図2~8には凝固シェル厚の変化も表示した。凝固シェル厚が80mmとなる位置からCE位置までの範囲(対象範囲)のロール配置は、図2~8及び表1に示した。表1には、条件(3-1)~(3-3)の属否も示した。なお、当然ながら、これら以外の鋳造条件は全水準で統一している。
各水準において、既述の方法で、非定常バルジングの指標(鋳片厚みの変動量)Aと、Mnの平均偏析度を求めた。なお、指標Aの算出において、測定の間隔は、鋳片の測定位置間隔が鋳造方向に10mmピッチとなるようにし、測定回数nは500点とした。結果を表1に示す。
Figure 0007126098000002
表1から明らかなとおり、本発明例1,2では、非定常バルジングの指標である鋳片厚みの変動量Aを0.15mm以下に抑制した状態で適切な軽圧下を付与したため、平均偏析度を1.10以下に抑制することができた。また、本発明例1,2のスラブを用いて製造した板厚30mmの厚鋼板では、溶接部を含めて欠陥は発生しなかった。
これに対して、比較例1では、軽圧下が不十分であることから、平均偏析度が1.10を超えてしまった。また、比較例2~6では、非定常バルジングの指標である鋳片厚みの変動量Aが0.15mmを超えた状態で軽圧下を付与したため、平均偏析度を1.10以下に抑制することができなかった。比較例1~6のスラブを用いて製造した板厚30mmの厚鋼板では、溶接部において偏析を起因とした割れが観察された。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、鋳造条件の自由度を確保しつつ、中心偏析をより十分に低減することが可能である。よって、本発明により製造された鋼片から製造される厚鋼板は、建築材や橋梁材など、品質要求レベルが厳格な用途に好適に使用される。
10 ロール
20 超音波距離計
S 凝固シェル
P ロールパスライン
P ロールピッチ

Claims (1)

  1. 連続鋳造鋳型から引き抜かれた鋳片を、各々対向する複数対のロールによって支持しつつ鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、
    前記鋳片の鋳造方向で、少なくとも前記鋳片の厚み中心部の固相率が0.3となる位置から0.7となる位置までの範囲において、前記鋳片に0.5mm/分以上2.0mm/分以下の圧下速度で軽圧下を付与し、
    前記鋳片の鋳造方向で、前記鋳片の片側の凝固シェル厚が80mmとなる位置から凝固完了位置までの範囲において、
    (1)同一のロールピッチで配置されたロール群からなる同一ロールピッチゾーンが3つ以上存在し、
    (2)前記同一ロールピッチゾーンの鋳造方向長さが、いずれも5m以下であり、
    (3)鋳造方向上流側からn番目の同一ロールピッチゾーンのロールピッチをRP(n)で表したときに、
    (3-1)50mm≦|RP(n)-RP(n+1)|
    (3-2)RP(n)<RP(n+1)の場合、2RP(n)>RP(n+1)
    P(n)>RP(n+1)の場合、RP(n)<2RP(n+1)
    (3-3)RP(n)-RP(n+1)とRP(n+1)-RP(n+2)の正負が逆
    の条件を満たすことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
JP2020127718A 2019-09-04 2020-07-28 鋼の連続鋳造方法 Active JP7126098B2 (ja)

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