JP4258920B2 - 電気掃除機用集塵袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気掃除機用の集塵袋に関し、さらに詳しくは捕集性能を紙製不織布並みに低減して製造コストを紙製不織布並みに低減しながら、紙製不織布では得られない低圧力損失と上記捕集性能を長期間維持可能にする電気掃除機用集塵袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気掃除機に装着される使い捨て用集塵袋には、コスト上の観点からパルプを主材とする紙製のものが多く使用されている。しかし、紙製の集塵袋は、吸引空気の圧力損失を低くして電気掃除機に対する負荷を小さくしようとするとゴミの捕集性能が低下し、逆にゴミの捕集性能を向上させようとすると、圧力損失が高くなって電気掃除機の負荷を増大するという問題を有していた。
【0003】
このような問題を解消するため、エレクトレット効果による吸塵性を有するエレクトレットメルトブロー不織布を濾材の主材に使用することにより、低圧力損失でありながら高い捕集性能を有するようにしたものが提案されている(例えば、特開昭62−210026号公報など参照)。
【0004】
紙製不織布は中塵ゴミや粗ゴミの捕捉が主体であるのに対して、エレクトレットメルトブロー不織布は微塵も捕捉できるため紙製不織布に比べれば高性能ではあるが、その反面でコストが高くなることが欠点とされていた。また、エレクトレットメルトブロー不織布は、強度の低い未延伸糸の集合体から構成されているため、使用中に高い吸引空気圧が連続的に負荷されたり、大型ゴミを吸い込んで衝突したりすると、地合の目びらきも損傷などによって、上記の優れた捕集性能を比較的短期間に低下してしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造コストを従来の紙製不織布並みに低減しながら、紙製不織布並みの捕集性能と従来の紙製不織布では得られない低い圧力損失を長期間維持可能にする電気掃除機用集塵袋を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の電気掃除機用集塵袋は、吸引空気の通過方向に内層、中間層、外層の順に積層した少なくとも3層の積層体からなり、前記内層が破断強度0.5kg/50mm(4.9N/50mm)以上の不織布、前記中間層が平均気孔径25μm超、50μm以下で、最大気孔径70μm以下のエレクトレットメルトブロー不織布、前記外層が破裂強度1.0kg/cm2 (9.8N/cm2 )以上、1%伸長時強度1.5kg/50mm(14.7N/50mm)以上の不織布からなり、かつ前記内層および外層の不織布の1%伸長時強度を、前記中間層の不織布の1%伸長時強度よりも大きくしてなることを特徴とする。
【0007】
このように中間層にエレクトレットメルトブロー不織布を配置し、そのエレクトレットメルトブロー不織布の平均気孔径を25μm超,50μm以下で、最大気孔径を70μm以下にしたことにより、捕集性能は紙製不織布並みの中塵ゴミと粗ゴミを捕集するものであるが、比較的太繊度と低目付で製造することが可能になるため、エレクトレットメルトブロー不織布を使用するものでありながら製造コストを紙製不織布並みに低減することができる。
【0008】
さらに、エレクトレットメルトブロー不織布のエレクトレット性に基づく吸塵効果により、圧力損失を紙製不織布では得られないような低レベルにすることができる。しかも、上記エレクトレットメルトブロー不織布に対し、その内層に破断強度が0.5kg/50mm(4.9N/50mm)以上の不織布を設けたので、この内層により大型ゴミを事前に捕捉してエレクトレットメルトブロー不織布に対する濾過面積の低減や損傷を防止する。また、外層に破裂強度が1.0kg/cm2 (9.8N/cm2 )以上、1%伸長時強度1.5kg/50mm(14.7N/50mm)以上の強靱な不織布を配置したので、高圧力の吸引空気が連続的に負荷してもエレクトレットメルトブロー不織布が目開きしたり、破裂せず、上記捕集性能や低い圧力損失を長期間にわたり維持することができる。
【0009】
本発明の集塵袋は、従来の紙製集塵袋の代替として使用できることは勿論であるが、さらに好ましくは、最終排気部に微塵捕集用プリーツ型フィルターを設けた高級電気掃除機用の主集塵袋としても使用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、電気掃除機用集塵袋を構成する濾材は、吸引空気の通過方向に内層、中間層、外層の順に積層された少なくとも3層の不織布から構成されている。
【0011】
すなわち、図1は、積層体の一例を示す断面図であり、その積層体10は、吸引空気の通過方向(矢印で示す方向)に内層1、中間層2、外層3の順に3層の不織布が積層されて構成されている。これら3層のうち、特に中間層がエレクトレットメルトブロー不織布から構成されていることが特徴である。図示の例では、内層、中間層、外層のそれぞれが単一層として構成されているが、必ずしも単一層であるとは限らず、それぞれ組成の異なる複数層から構成されたものであってもよい。
【0012】
本発明において、中間層のエレクトレットメルトブロー不織布は、紙製不織布フィルターで捕捉するような中塵ゴミや粗ゴミを捕集することを目的として設けられているため、平均気孔径は25μm超、50μm以下であって、かつ最大気孔径が70μm以下になるように構成されている。さらに好ましくは、エレクトレット効果の吸塵力を十分に得るため、表面電荷密度を1×10-10 クーロン/cm2 以上、さらに好ましくは3×10-10 クーロン/cm2 以上にしたものを使用するのがよい。
【0013】
本発明においてエレクトレットメルトブロー不織布の平均気孔径を25μm超、50μm以下にする理由は、次の通りである。すなわち、平均気孔径を25μm以下にするためには、構成繊維の平均単繊維径を極細にしたり、不織布の目付を大きくしたりする必要があるため製造コストが高くなり、紙製不織布並みにすることが難しくなる。また、平均気孔径を50μmよりも大きくなると、中塵ゴミを捕集することが難しくなり、本発明の目的とする捕集性能が困難になる。
【0014】
また、エレクトレットメルトブロー不織布は、平均気孔径を上記範囲にすると共に、最大気孔径を70μm以下にする必要がある。最大気孔径が70μmよりも大きいと、中塵ゴミの捕集性能が低下し、電気掃除機から空気中にダストが漏れやすくなる。
【0015】
エレクトレットメルトブロー不織布は、上述した範囲の平均気孔径と最大気孔径とを有することを条件に、地合を出来るだけ均一な密度にすることが好ましい。具体的には、二元配置のムラ分析でトータルムラ(ムラCV値)が8%以下であること、さらに好ましくは6%以下であることが望ましい。
【0016】
エレクトレットメルトブロー不織布の気孔径をコントロールする要因としては平均単繊維径と目付とがある。平均気孔径と最大気孔径とを上記範囲内にコントロールするには、平均単繊維径を1.7〜10μm、好ましくは2〜10μmにし、また目付を15〜100g/m2 、好ましくは15〜70g/m2 にするとよい。このような目付にするための不織布は単層でもよいが、2層の積層構造にしてもよい。2層構造の場合は、例えば1層目を平均単繊維径1.7〜5μmから構成し、2層目を平均単繊維径5〜10μmから構成するとよい。
【0017】
エレクトレットメルトブロー不織布を構成する繊維の平均単繊維径を1.7μm未満にすると、製造コストのアップが避けられなくなる。平均単繊維径を1.7μm以上、好ましくは2.5μm以上にすることにより、製造コストを紙製不織布のコスト並みに抑制することができ、かつ目付を徒に大きくすることなく中塵ゴミや粗ゴミの捕捉に有利な上記の気孔径範囲にすることができる。しかし、平均単繊維径を10μmよりも大きくすると、上記気孔径の範囲を維持するには、目付を200g/m2 以上にもする必要があり、集塵袋が分厚くなってしまうので好ましくない。
【0018】
エレクトレットメルトブロー不織布の通気量としては、少なくとも50cc/cm2 ・sec以上、好ましくは70cc/cm2 ・sec以上、さらに好ましくは100cc/cm2 ・sec以上にするとよい。
【0019】
メルトブロー不織布をエレクトレット化する加工方法としては、従来公知の方法がいずれも使用可能であり、特に限定すにものではない。例えば、メルトブロー不織布をドラム状のアース電極の上面に供給し、さらにその不織布の上方に3〜10cm離れた位置にワイヤー電極を配置し、そのワイヤー電極から直流の10〜40kvの高電圧を1〜10秒程度印加すると、そのメルトブロー不織布をエレクトレット化することができる。
【0020】
エレクトレットメルトブロー不織布を構成する樹脂は特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなど)、ポリアミド、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリアクリルニトリル、塩化ビニルなど体積抵抗率が1012Ω・cm以上のものを挙げることができる。これらのうちでも、エレクトレット化が容易なポリオレフィン、特にポリプロピレンが好ましい。
【0021】
本発明において、上記積層体を構成する内層、すなわち電気掃除機の吸引空気の通過方向に対して中間層のエレクトレットメルトブロー不織布の上流側に配置される層としては、破断強度が0.5kg/50mm(4.9N/50mm)以上の不織布を使用する。この内層の不織布は、集塵袋内に最初に侵入するゴミのうち、特に質量の大きなゴミを事前に捕捉し、その捕捉によってエレクトレットメルトブロー不織布が変形目開きして捕集性能を低下させたり、或いは濾過面積が縮小して圧力損失を増大したりしないようにする。
【0022】
前述したように、エレクトレットメルトブロー不織布は強度の低い未延伸糸の集合体から構成されているので、質量の大きなゴミが直接衝突したりすると容易に目開きするため捕集性能が低下する。また、大きなゴミがエレクトレットメルトブロー不織布に直接捕捉されると、濾過面積が急激に低下するため圧力損失が増大する。本発明において内層に設ける不織布は、このようなエレクトレットメルトブロー不織布に生ずる問題を防止するのである。
【0023】
また、内層の不織布としては、目付が10〜50g/m2 で、通気量が100cc/cm2 ・sec以上の通気性のよい不織布を使用するのがよい。目付が10g/m2 未満の場合には、密度ムラが生じやすくなるので破断強度が変動しやすくなる。また、50g/m2 よりも多くなると厚みが大きくなるため、積層体全体が分厚くなって袋加工が難しくなる。
【0024】
積層体の内層に使用する不織布の種類としては、特に限定されない。例えば、各種の合成繊維、天然繊維またはこれらの混合繊維などを使用した乾式不織布、抄紙法による湿式不織布や各種合成繊維のスパンボンド不織布などが好ましく使用される。
【0025】
本発明において、積層体を構成する外層、すなわち吸引空気の通過方向に対して中間層のエレクトレットメルトブロー不織布の下流側に積層される層には、破裂強度が1.0kg/cm2 (9.8N/cm2 )以上で、1%伸長時強度が1.5kg/50mm(14.7N/50mm)以上の不織布が使用される。
【0026】
この外層は、エレクトレットメルトブロー不織布の下流側に配置されることにより、強度の弱い未延伸糸からなるエレクトレットメルトブロー不織布を、連続的に負荷する高圧力の吸引空気から保護し、そのエレクトレットメルトブロー不織布が目開きしたり、破損したりしないようにする。このような外層の保護作用により、エレクトレットメルトブロー不織布は初期に有していた捕集性能や低圧力損失の性能を長期間維持可能になる。
【0027】
このような外層の作用のため、外層の不織布は破裂強度が1.0kg/cm2 (9.8N/cm2 )以上である必要があり、好ましくは1.5kg/cm2 (14.7N/cm2 )以上にするのがよい。また、外層は伸び難いことも必要であり、1%伸長時強度が1.5kg/50mm(14.7N/50mm)以上であるようにし、好ましくは2.0kg/50mm(19.6N/50mm)以上、さらに好ましくは2.5kg/50mm(24.5N/50mm)以上であるのがよい。この外層の1%伸長時強度は中間層のエレクトレットメルトブロー不織布を保護するため、中間層の1%伸長時強度よりも大きくすることが好ましい。
【0028】
また、この外層不織布としては、目付が20〜50g/m2 で、通気量が70cc/cm2 ・sec以上であることが好ましい。目付が20g/m2 未満であると、不織布の製造において密度ムラを生じやすくなるので、上述した破裂強度を得ることが難しくなる。また、目付が50g/m2 よりも多くなると、厚みが大きくなるため集塵袋が分厚く硬くなり、集塵袋の加工が難しくなる。
【0029】
外層不織布の通気量は70cc/cm2 ・sec以上であるが、上述したように内圧によるエレクトレットメルトブロー不織布の目開きを防止する役目を行うために、内層の不織布の通気量よりも低くすることが好ましい。また、外層は通気量を70cc/cm2 ・sec以上にすることにより、低い圧力損失の維持を可能にする。しかし、通気量があまり大きくなりすぎると、破断強度を上記下限値に維持することが難しくなるので、300cc/cm2 ・secまでを限度にすることが望ましい。
【0030】
外層不織布の種類は、特に限定されない。内層に使用した不織布と同様に、各種の合成繊維、天然繊維またはこれらの混合繊維などを使用した乾式不織布、抄紙法による湿式不織布や各種合成繊維のスパンボンド不織布などを好ましく使用することができる。これらのうちでも、特に高い1%伸長時強度を得やすい杪紙法による湿式不織布が好適である。
【0031】
本発明において、内層或いは外層用として抄紙法による湿式不織布を製造する場合、常法として主体繊維の他に紙力増強剤を添加することができる。例えば、PVA、エポキシ樹脂、CMC、カチオン澱粉等が使用され、強度、伸度、硬さ等を調整することが可能である。
【0032】
本発明において、上記のように内層、中間層、外層の少なくとも3層が積層された積層体は、積層体全体としての平均気孔径が22〜45μmで、最大気孔径が60μm以下になるようにする。このような気孔径の条件が、エレクトレットメルトブロー不織布の気孔径の条件と相まって、集塵袋の性能を圧力損失を低くしながら捕集性能を紙製不織布並みに維持可能にする。
【0033】
また、積層体全体としての通気量は、大きいほどよく、少なくとも10cc/cm2 ・sec以上、好ましくは30cc/cm2 ・sec以上、さらに好ましくは50cc/cm2 ・sec以上にするとよい。積層体としての通気量が10cc/cm2 ・secよりも小さいと、電気掃除機に対する負荷が大きくなり、騒音や電力消費量が増大する。
【0034】
上述した電気掃除機用集塵袋には、各種の菌、カビ、ダニなどが捕集されるので、内層、中間層、外層の少なくとも一つ、或いは全層に、抗菌加工または/および防ダニ加工施すと有益である。特に、ダストが多量に付着する内層や中間層に対して加工するとよい。
【0035】
これら抗菌加工、防ダニ加工の加工方法、およびこれらの加工に使用される抗菌剤、防ダニ剤としては、従来公知のものがいずれも使用可能であり、特に限定されるものではない。加工方法としては、不織布或いは不織布を構成する繊維に対して抗菌剤、防カビ剤、防ダニ剤などを表面処理或いは含浸処理する方法でも、或いは不織布を構成する繊維に、それを紡糸などの成形時に練り込む方法であってもよい。
【0036】
抗菌剤としては、例えば p−クロロメタクレゾール、p−クロロ−m−キシレノール、o−フェニルフェノール、α−プロムシンナムアルデヒド、2・4・4’−トリクロロ−2’−ハイドロオキシジフェニルエーテル、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、クロルヘキシジン、第4級アンモニウム塩、8−オキシキノリン銅、2−ピリジンチオール−1−オキサイド塩ななとを挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
防ダニ剤(殺虫剤)としては、例えばピレトリン、ジョチュウギクエキス、アレスリン、d−アレスリン、ペルメトリン、フェノトリン、レスメトリン、d−レスメトリン、フタルスリン、フラメトリン、ペーパースリン、シフェノトリンなどのピレスロイド系化合物;フェニトロチオン、ダイアジノン、フェンチオン、カルグロホス、サイアノホス、ジクロルボス、テメホス、ナレド、トリクロルホン、フェンクロホス、マラチオン、ピリダフェンチオンなどの有機リン系化合物;カーバリール、プロポクサー、ジメチランなどのカーバメート系化合物などを挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
上述した本発明の集塵袋は、従来の紙製集塵袋の代替として使用することができる。しかし、さらに好ましくは、最終排気部に微塵捕集用プリーツ型フィルターを設けた高級電気掃除機用の主集塵袋として使用するとよい。
【0039】
【実施例】
以下に説明する実施例において、物性および性能は下記の方法で測定した。
【0040】
〔気孔径〕
濾材性能試験バブルポイント法で測定した。測定器として「多孔質材料自動細孔測定システム Perm-Porometer 」(米国 Porus Materials社製)を用い、測定サンプル径を21mmとし、測定液としてパーフロオロアミン化合物「フロリナート(不活性液体)FC−40 16 dynes/cm 」(住友スリーエム社製)を用いて、細孔分布測定を行った。
【0041】
上記条件の下に測定器によって自動計算して得られた結果のミーン・フロー・ポア・ダイアメータ(MEAN FLOW PORE DIAMETER )を平均気孔径とし、バブル・ポイント・ポア・ダイアメータ(BUBBLE POINT PORE DIAMETER)を最大気孔径とした。なお、1検体から任意に5か所をサンプリング測定し、その平均値を用いた。
【0042】
〔破断強度、1%伸長時強度〕
JIS L1906の規定により測定した。
【0043】
〔破裂強度〕
JIS L1906のミューレン形法により測定した。
【0044】
〔平均単繊維径〕
SEM写真で繊維を拡大撮影し、100本の繊維幅を測定し、その中位値で示した。
【0045】
〔目付〕
0.5m角のサンプル重量を測定し、1m角の重量に換算した。
【0046】
〔ムラCV値〕
100cm角のサンプルをタテ、ヨコそれぞれ20区分(5cm角に400枚)に切り取り、その重量を測定し、2元配置のムラ分析法で解析してトータルムラで示した。
【0047】
〔通気量〕
JIS L1096のフラジール法で測定した。
【0048】
〔捕集率〕
リオン(株)製パーティクルカウンターを使用し、測定風速を12m/minとし、ダストは大気塵とし、供給した塵量に対して濾布上に捕捉された塵量の比率(%)で表し、ダストの粒子径に応じて次の3通りで示した。N数は10とし、その平均値を用いた。
【0049】
0.3: 粒径0.3μm以上、0.5μm未満のダストの捕集率
0.5: 粒径0.5μm以上、1.0μm未満のダストの捕集率
1.0: 粒径1.0μm以上のダストの捕集率
〔圧力損失〕
濾過面積100m2 のサンプル濾布をセットし、そのサンプル濾布に大気塵を含んだ空気を風速12m/minで通過させたときのサンプル濾布の上流と下流との圧力差を単位mmAqで示した。N数は10とし、その平均値を用いた。
【0050】
実施例1〜3、比較例1
それぞれ下記の構成からなる内層、中間層、外層を吸引空気の通過方向に順に積層した実施例1〜3の積層体、および内層と外層とを積層した比較例1の積層体を作成した。比較例1の積層体は、従来の紙製不織布に相当する。
【0051】
上記4種類の積層体について、それぞれ初期の圧力損失と捕集率とを測定した。また、各積層体を集塵袋を製袋し、各集塵袋をそれぞれ実機(ナショナル・キャニスターMC−L51P電気掃除機)に装着して、その袋強度などの実用性と共に、延べ48時間空運転後の圧力損失と捕集率とを測定した。さらに、JIS規定のM5の六角ナット100個を吹き込んだときの集塵袋の破損状況(ナット吸込み試験)を調べた。これらの結果を表1に示す。
【0052】
(実施例1)
内層:
ポリエステル系熱融着繊維/ビスコース繊維=80/20(重量%)からなる湿式不織布;
破断強度2kg/50mm
(目付15g/m2 、通気量170cc/cm2 ・sec)
中間層:
ポリプロピレン・エレクトレットメルトブロー不織布;
平均気孔径/最大気孔径=42/68(μm)
(平均単繊維径2.15μm、目付30g/m2 、 通気量55cc/cm2 ・sec、ムラCV値3.4%)
外層:
ポリエステル系熱融着繊維/ビスコース繊維=80/20(重量%)からなる湿式不織布;
破裂強度3.3kg/cm2 、1%伸長時強度4.1kg/50mm
(目付35g/m2 、通気量120cc/cm2 ・sec)
【0053】
(実施例2)
内層:
エレクトレット化したポリプロピレン・スパンボンド不織布;
破断強度10.5kg/50mm
(平均単繊維径22.5μm、目付35g/m2 、通気量263cc/cm2 ・sec)
中間層:
実施例1の中間層と同じ
外層:
実施例1の外層と同じ
【0054】
(実施例3)
内層:
実施例2の内層不織布に、抗菌剤としてp−(クロロフェニルジグアニ ド)−ヘキサンを6部、防カビ剤として2−(N−nブチルカルバミン酸3−9ヨード−2プロビニルエステルを2部、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールを1部、固着剤として塩素化ポリオレフィン(15.8重量%塩素化ポリプロピレン)を8部、溶剤としてトルエンを用い、液濃度を調整でトータルドライピックアップ量が3.5%になるように調合して、これをグラビアコートし、80℃、60秒乾燥処理した不織布;
破断強度11.2kg/50mm
(目付36g/m2 、通気量252cc/cm2 ・sec)
中間層:
実施例1の中間層と同じ
外層:
実施例1の外層と同じ
【0055】
(比較例1)
内層:
パルプを原料とする紙不織布;
平均気孔径/最大気孔径=1700/3400(μm)、目付15g/m2 、通気量412cc/cm2 ・sec
外層:
パルプを原料とする紙不織布;
平均気孔径/最大気孔径=12/28(μm)、目付55g/m2 、通気量6cc/cm2 ・sec
【0056】
【表1】
【0057】
表1の結果から、実施例1〜3は、圧力損失の初期性能は約11〜12mmAqの低レベルであり、48時間後は約3〜4mmAq程度しか上昇していなかった。また、捕集率は0.3、0.5、1.0の性能とも約77%以上であり、かつ48時間後もほぼ同じ水準を維持している。実用性やボルト吸込み試験も特に問題がなかった。
【0058】
これに対して、比較例1は圧力損失の初期性能は35mmAqと非常に高く、48時間後は57mmAqであって、22mmAqも上昇していた。また、捕集率は0.3の性能が特に低くなっている。
【0059】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、中間層にエレクトレットメルトブロー不織布を配置し、そのエレクトレットメルトブロー不織布の平均気孔径を25μm超,50μm以下で、最大気孔径を70μm以下にしたことにより、捕集性能については中塵ゴミと粗ゴミを捕集する紙製不織布並みではあるが、この平均気孔径と最大気孔径であれば比較的太繊度と低目付で製造可能になるため、製造コストを紙製不織布並みに低減することができる。
【0060】
さらに圧力損失については、エレクトレットメルトブロー不織布のエレクトレット効果の吸塵性に基づいて、紙製不織布では得られない低圧力損失性を得ることができる。しかも、上記エレクトレットメルトブロー不織布に対して、内層に破断強度が0.5kg/50mm(4.9N/50mm)以上の不織布を設けたので、この内層により大型ゴミを事前に捕捉するようにしてエレクトレットメルトブロー不織布に対する濾過面積の低減や損傷を防止し、また外層に破裂強度が1.0kg/cm2 (9.8N/cm2 )以上で、1%伸長時強度が1.5kg/50mm(14.7N/50mm)以上の強靱な不織布を配置したので、高圧力の吸引空気が連続的に負荷した場合でもエレクトレットメルトブロー不織布が目開きしたり破裂したりせずに、上記捕集性能や低圧力損失を長期間にわたり維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気掃除機用集塵袋を構成する濾布の一例について、その要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 内層
2 中間層
3 外層
10 積層体
Claims (4)
- 吸引空気の通過方向に内層、中間層、外層の順に積層した少なくとも3層の積層体からなり、前記内層が破断強度0.5kg/50mm(4.9N/50mm)以上の不織布、前記中間層が平均気孔径25μm超、50μm以下で、最大気孔径70μm以下のエレクトレットメルトブロー不織布、前記外層が破裂強度1.0kg/cm2 (9.8N/cm2 )以上、1%伸長時強度1.5kg/50mm(14.7N/50mm)以上の不織布からなり、かつ前記内層および外層の不織布の1%伸長時強度を、前記中間層の不織布の1%伸長時強度よりも大きくしてなることを特徴とする電気掃除機用集塵袋。
- 前記エレクトレットメルトブロー不織布を構成する繊維の平均単繊維径が1.7〜10μmである請求項1に記載の電気掃除機用集塵袋。
- 前記エレクトレットメルトブロー不織布の目付が15〜100g/m2 である請求項1に記載の電気掃除機用集塵袋。
- 少なくとも前記外層が抄紙法による湿式不織布である請求項1、2または3に記載の電気掃除機用集塵袋。
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