JP4258910B2 - 過給機付エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に搭載される過給機付エンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平8−338318号公報に示されるように、ディーゼルエンジンの排気ガスを吸気通路内に還流させるEGR通路(排気還流通路)と、このEGR通路に設けられて上記排気ガスの還流量を調節するEGR弁(排気還流弁)とを有するディーゼルエンジン用排気ガス還流装置において、NOxを低減しつつスモークの発生を抑制すべく、空気過剰率(空燃比)の目標値を定めて、これと検出値との偏差をなくすように、上記EGR弁を制御することが行われている。
【0003】
すなわち、ディーゼルエンジンでは低中負荷域等の空気過剰率が大きい運転領域で比較的多量のEGRが行なわれることによりNOxが低減されるが、EGRの増加によって空燃比が有る程度以下に小さくなるとスモークが急激に増大する傾向が生じるので、NOx低減とスモーク低減との両立を図るには、空燃比を所定値に保つようにEGR量を調整することが要求される。このため、上記公報の装置では、空燃比に対応する空気過剰率の目標値を運転状態に応じて設定するとともに、空気過剰率検出手段により実空気過剰率を検出し、この実空気過剰率が上記目標空気過剰率よりも大きくなると、EGR弁を開いて排気還流量を増加させることにより実空気過剰率を小さくし、逆に実空気過剰率が目標空気過剰率よりも小さくなると、上記EGR弁を閉じて排気還流量を低下させ、あるいはカットすることにより、実空気過剰率を大きくする制御を実行するようになっている。
【0004】
また、例えば特開平10−47070号公報に示されるように、ターボ過給機のタービンに対して排気流通面積を変化させる可変翼を設ける等により、運転状態に応じて過給状態を制御し得るようにしたターボ過給機付エンジンも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように可変翼等により過給状態を制御し得るようにした過給機と、空燃比に応じて排気還流弁をフィードバック制御するようにした装置とはそれぞれ知られているが、従来では両者が互いに関係なく個別に制御されていた。
【0006】
しかし、排気還流弁の制御と過給状態の制御は互いに影響し、例えば過給状態の制御として上記可変翼の開度を制御するような場合は、その開度が変ると排気圧力が変化することで排気還流量に影響を及ぼし、一方、排気還流弁の開度が変ると排気還流通路に逃がされる排気エネルギーが変ること等で過給状態(過給量及び過給圧)に影響を及ぼす。このため、排気還流弁の制御と過給状態の制御を個別に行なうだけで互いの影響を調整しなければ、不適性に影響しあって過給機の効率等を悪化させる可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、排気還流が行なわれる運転領域において、排気還流弁の制御と過給機の制御とを効果的に協調させ、過給機の効率等を良好に保つことができる過給機付エンジンの制御装置を提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、タービンへの排気流通面積を変化させる排気流通面積可変手段を具備したターボ過給機と、上記タービンより上流の排気通路から排気ガスを取り出し排気還流弁を介してターボ過給機のコンプレッサより下流の吸気通路へ還流させる排気還流装置とを備えるとともに、空燃比が目標空燃比となるように排気還流弁を制御する手段を有する過給機付エンジンの制御装置において、排気還流が行なわれている運転領域で、エンジンの加速時に、排気還流弁開口量が減少するように排気還流弁を制御しつつ、排気流通面積が増大するように排気流通面積可変手段を制御する制御手段を備え、この制御手段は、上記加速時における排気流通面積の変化量と排気還流弁開口量の変化量との割合をエンジン回転数に応じて変更して、エンジン低回転側では相対的に排気還流弁開口量の変化量の割合を大きくし、エンジン高回転側では相対的に排気流通面積の変化量の割合を大きくするように制御することを特徴とするものである。
【0026】
この発明の装置によると、エンジンの加速時に、制御手段によって、排気還流弁開口量が減少するように排気還流弁が制御されつつ、排気流通面積が増大するように排気流通面積可変手段が制御されることにより、速やかに過給圧及び新気量が変化し、加速性能の向上及び加速時のエミッション向上等に適した制御状態が得られる。
【0027】
上記排気流通面積可変手段として、ターボ過給機のタービンに対して開度変更可能なノズルを形成する可変翼を備える場合、上記制御手段は、排気還流が行なわれる運転領域で上記可変翼の開度を所定範囲内の部分開度とするようになっていればよい(請求項2)。このように可変翼の開度を所定範囲内の部分開度としておけば、過給圧の調節を効果的に行ない得る。
【0029】
また、排気還流弁開口量が他の運転領域よりも大きいエンジン低回転領域からの加速時に、排気還流弁開口量が減少するように排気還流弁を制御しつつ、排気流通面積が増大するように排気流通面積可変手段を制御し(請求項3)、あるいは、エンジンの低回転低負荷領域からの加速時に、排気還流弁開口量が減少するように排気還流弁を制御しつつ、排気流通面積が増大するように排気流通面積可変手段を制御してもよい(請求項4)。
【0030】
このようにすると、排気還流弁開口量が他の運転領域よりも大きいエンジン低回転領域からの加速時、あるいはエンジンの低回転低負荷領域からの加速時に、新気量の増加が促進され、速やかに加速性能及びエミッションが向上される状態となる。
【0031】
また、上記加速時における排気還流弁開口量の減少を所定下限値までに止めるように規制することが好ましく(請求項5)、このようにすれば、加速時に排気還流弁開口量が小さくなりすぎてNOxの増大を招くといった事態が防止される。
【0034】
すなわち、エンジン低回転低負荷側での定常運転時は排気還流弁開口量が大きくされているので、この状態からの加速時に排気還流弁開口量を減少を優先させることで排気還流を抑制して新気量の増加を促進する作用が高められ、一方、排気流速及び流量が大きいエンジン高回転側では、排気流通面積の変化が排気圧力及びそれに関係する排気還流量等に速やかに影響を及ぼすので、エンジン高回転側での加速時に排気流通面積の変化を優先させることで応答性良く加速性能及びエミッションが向上される。
【0035】
また、上記のような構成に加え、エンジンへの新気量を検出する吸入空気量検出手段と、この吸入空気量検出手段により検出される実新気量が目標空燃比に基づいて求められる目標新気量となるように排気還流弁を制御する手段とを備えること(請求項6)が好ましい。このようにすれば、空燃比を目標空燃比とするための排気還流弁の制御が、実新気量と目標空燃比から求められる目標新気量とに基づいて精度良く行なわれる。そして、通常時にこのような制御で排気還流量が適正に調節されるとともに、特定の加速時には上記のような制御で加速性向上等が図られる。
【0036】
さらに、過給圧を検出する過給圧検出手段と、この過給圧検出手段で検出される実過給圧が予め設定された目標過給圧となるように排気流通面積可変手段を制御する手段とを備えることが好ましい(請求項7)。このようにすれば、過給圧の制御が精度良く行われる。そして、通常時にこのような制御で過給圧が適正に調節されるとともに、特定の加速時には上記のような制御で加速性向上等が図られる。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る制御装置を備えたターボ過給機付エンジンの実施形態を示している。図示のエンジンはディーゼルエンジンであり、そのエンジン本体1には吸気通路2及び排気通路3が接続されている。また、このエンジンにはターボ過給機5が装備され、このターボ過給機5は、吸気通路2に設けられたコンプレッサ6と、コンプレッサ6を排気エネルギーにより駆動するために排気通路3に設けられたタービン7とを備えるとともに、後述のような可変翼8及びこれを駆動するアクチュエータ9からなる排気流通面積可変手段を具備している。さらにこのエンジンには、EGR通路11と、このEGR通路11に介設されたEGR弁(排気還流弁)12とを有するEGR装置(排気還流装置)が設けられている。
【0038】
エンジン各部の構造を具体的に説明すると、エンジン本体1の各シリンダ14には燃焼室内に燃料を噴射する多噴口の燃料噴射弁15が配設されている。これらの燃料噴射弁15の燃料入口側は分配通路16を介してコモンレール(共通管)17に接続され、このコモンレール17が燃料噴射ポンプ18に接続されており、燃料噴射ポンプ18から送給された燃料がコモンレール17で蓄圧された上で各燃料噴射弁15に送られるようになっている。各燃料噴射弁15は、制御信号に応じて燃料噴射時間及び噴射時期の制御が可能な構造となっている。各燃料噴射弁15の燃料出口側はリターン通路19に接続されている。
【0039】
上記吸気通路2には、その上流側から順にエアフローセンサ21と、ターボ過給機5のコンプレッサ6と、インタークーラ22と、サージタンク23とが配設されるとともに、サージタンク23に吸気圧力センサ24が設けられている。また、上記排気通路3には、ターボ過給機5のタービン7と、触媒コンバータ25とが配設されている。
【0040】
上記ターボ過給機5は、図2に示すようにタービン7の周囲にノズルを形成する多数の可変翼8を備えたVGT(バリアブルジオメトリーターボ)からなっている。すなわち、このターボ過給機5(以下、VGT5と呼ぶ)は、可変翼8の角度調節により、図2(a)に示す全閉(流通面積最小)から図2(b)に示す全開(流通面積最大)までにわたり可変翼8の開度つまりノズル開口面積(タービンへの排気流通面積)が可変となり、これによってタービン効率が制御されるように構成されている。
【0041】
図1中に示すように上記可変翼8を駆動するアクチュエータ9は、デューティ制御可能な電磁弁26を介してバキュームポンプ27に接続され、上記電磁弁26がデューティ制御されることでアクチュエータ9に対する負圧と大気圧との導入割合が調整され、これによりVGT5の可変翼開度が制御されるようになっている。
【0042】
また、上記EGR通路11は、その一端部が排気通路3におけるタービン7の上流側に接続されるとともに、他端部が上記吸気通路2におけるコンプレッサ6の下流側、例えばサージタンク23に接続されている。また、上記EGR弁12は、デューティ制御可能な電磁弁28を介してバキュームポンプ27に接続され、上記電磁弁28がデューティ制御されることでEGR弁12の負圧室に対する負圧と大気圧との導入割合が調整され、これによりEGR弁12の開度(開口量)が制御されるようになっている。
【0043】
上記燃料噴射弁15及び電磁弁26,28にはコントロールユニット(ECU)30から制御信号が出力される。このECU30には、上記エアフローセンサ21及び吸気圧力センサ24からの信号が入力され、さらに、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ31、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサ32、上記コモンレール17内の燃料圧力を検出するコモンレール圧力センサ33等からの信号も入力されるようになっている。
【0044】
そして、上記ECU30から燃料噴射弁15に出力される制御信号により燃料噴射弁15からの燃料噴射量及び噴射時期が制御され、また電磁弁26に出力される制御信号(デューティ信号)によりVGT5の可変翼開度が制御されるとともに、電磁弁28に出力される制御信号(デューティ信号)によりEGR弁12の開度が制御されるようになっている。
【0045】
上記ECU30は、図3に示すように、燃料噴射弁15の燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御手段35と、コモンレール17内の燃料圧力を制御するコモンレール圧制御手段36と、上記VGT5の制御とEGR弁12の制御とを関連づけて行なう制御手段40とを有している。
【0046】
上記燃料噴射量制御手段35は、アクセル開度センサ31によって検出されたアクセル開度accelと、エンジン回転数検出手段34によってクランク角信号の周期の計測等により検出されたエンジン回転数Neとに基づき、予め設定されたマップ37からエンジンの目標トルクtrqsolを読み出すとともに、この目標トルクtrqsolと、エンジン回転数Neと、上記エアフローセンサ21によって検出された実新気量FAirとに基づき、予め設定された三次元マップ38から目標燃料噴射量Fsolを読み出し、この目標燃料噴射量Fsolと、コモンレール圧力センサ21によって検出されたコモンレール17内の燃料圧力CRPとに基づいて燃料噴射弁15の励磁時間を調節することにより、燃料噴射量を制御するように構成されている。
【0047】
コモンレール圧力制御手段36は、上記目標トルクtrqsolとエンジン回転数Neとに基づき、予め設定されたマップ39から目標コモンレール圧力CRPsolを読み出し、この目標コモンレール圧力CRPsolと検出された燃料圧力CRPとに基づいて燃料系に設けられた図外の燃料圧力調整手段を制御するようになっている。
【0048】
また、制御手段40は、少なくとも部分負荷領域でEGRを行なわせ、かつ、このときに空燃比が目標空燃比となるようにEGR弁28を制御するとともに、運転状態の変化に伴い上記過給圧と新気量とが互いに対応して増減するようにVGT5とEGR弁12の少なくとも一方を制御するものであり、EGR弁制御のためにEGR弁駆動指令値の演算を行う演算手段41と、VGT制御のためにVGT駆動指令値の演算を行う演算手段42と、EGR弁制御とVGT制御とを協調させる協調制御手段43とを含んでいる。
【0049】
上記EGR弁駆動指令値の演算手段41は、アイドル運転領域、高負荷領域及び減速運転領域を除いた所定の部分負荷領域で、空燃比が目標空燃比A/FsolとなるようにEGR弁12をフィードバック制御すべく、EGR弁駆動指令値の演算を行う。すなわち、上記目標トルクtrqsolとエンジン回転数Neとに基づいて予め設定されたマップ44から目標空燃比A/Fsolが読み出され、この目標空燃比A/Fsolと上記目標燃料噴射量Fsolとに基づき、目標新気量演算部45によりエンジン本体1の燃焼室に吸入される新気の目標新気量FAsolが演算され、この目標新気量FAsolの演算値とエアフローセンサ33で検出された実新気量FAirとが上記演算手段41に入力される。
【0050】
そして、この演算手段41により、目標新気量FAsolと実新気量FAirとの偏差に応じ、PI制御等により上記偏差をなくすようにEGR弁12を駆動するフィードバック制御量がEGR弁駆動指令値として演算される。
【0051】
VGT駆動指令値の演算手段42は、EGRが行なわれる運転領域で、過給圧が目標過給圧となるようにVGT5の可変翼をフィードバック制御すべく、VGT駆動指令値の演算を行う。すなわち、上記目標トルクtrqsolとエンジン回転数Neとに基づいて予め設定されたマップ46から目標過給圧Bstsolが読み出され、この目標過給圧Bstsolと吸気圧力センサ24で検出された実過給圧Bstとが上記演算手段42に入力される。
【0052】
そして、この演算手段42により、目標過給圧Bstsolと実過給圧Bstとの偏差に応じ、PI制御等により上記偏差をなくすようにVGT5の可変翼8を駆動するフィードバック制御量がVGT駆動指令値として演算される。
【0053】
また、協調制御手段43は、基本的には上記EGR弁駆動指令値及びVGT駆動指令値をEGR弁駆動用の電磁弁28及びVGT駆動用の電磁弁26にそれぞれ出力するが、この制御状態で運転状態の変化に伴い過給圧と新気量とが互いに対応して増減するような特性が得られるかどうかを判断し、このような特性が得られない場合は、上記EGR弁駆動指令値及びVGT駆動指令値のうちの少なくとも一方を補正するようになっている。
【0054】
ここで、EGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度が運転状態の変化に伴う過給圧、新気量の変化の特性にどのように影響するかを、図4及び図5の実験データを参照しつつ説明する。
【0055】
図4(a)〜(i)及び図5(a)〜(i)は、EGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度を固定して燃料噴射量を変えることによりエンジン負荷を変化させた場合の、圧力比及び空気流量(新気量)の変化の特性(以下、圧力比・空気流量特性と呼ぶ)を実験的に調べたデータをグラフで示すものであり、図4(a)〜(i)はエンジン回転数を1500rpmとしてEGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度を種々の値に設定した場合の圧力比・空気流量特性、図5(a)〜(i)はエンジン回転数を2000rpmとしてEGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度を種々の値に設定した場合の圧力比・空気流量特性である。
【0056】
上記圧力比は、コンプレッサ6下流の吸気圧力P1(過給圧)とコンプレッサ6上流の吸気圧力P0(略大気圧)との比(P1/P0)であり、コンプレッサ6上流の吸気圧力P0を一定(略1気圧)とすると過給圧に比例する値である。従って、圧力比・空気流量特性は、運転状態の変化に伴う過給圧、吸入空気量の変化に相当するものである。なお、図中に示すEGR弁の開度は0%を全閉、100%を全開としたものであり、またVGTの可変翼開度は0%を全開、100%を全閉としたものである。
【0057】
これらの図に示すように、EGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度の値によって圧力比・空気流量特性が種々異なるが、運転状態の変化に対して圧力比と空気流量とが互いに対応して増減して、エンジンが加速状態となったときには上記過給圧と上記新気量とが互いに対応して増加するような特性、つまりグラフで右上がりとなる特性であって、その傾き(空気流量に対する圧力比の変化割合)が適度であれば、ターボ総合効率ないしはコンプレッサ効率が高いことを意味する。そして、このような圧力比と吸気流量との関係が比較的低負荷側から比較的高負荷側までにわたり広範囲に得られることが好ましい。例えば図4中では(f)(h)(i)等の特性が比較的好ましい特性である。そして、EGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度を特定の範囲内とすることで上記のような好ましい特性が得られる。
【0058】
一方、EGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度が上記特定の範囲から外れた場合、例えばEGR弁12の開度が過度に大きい場合やVGT5の可変翼開度が過度に小さい場合は、ターボ総合効率ないしはコンプレッサ効率が低下することにより、上記傾きが大きくなって吸気流量があまり増加しないのに圧力比が上昇し過ぎる傾向が生じたり、吸気流量が殆ど増加しなくなったりし、好ましくない。
【0059】
そこで、上記のような好ましい圧力比・空気流量特性が得られるECR弁開度及びVGTの可変翼開度の範囲が予め調べられ、これに対応するEGR弁駆動指令値及びVGT駆動指令値の範囲が許容範囲とされ、このような許容範囲がエンジン回転数等の運転状態に応じて設定されている。そして、協調制御手段43は、EGR弁駆動指令値及びVGT駆動指令値が許容範囲から外れたときに調整を行うようになっている。
【0060】
図6は上記制御手段40による制御の一例をフローチャートで示している。このフローチャートの制御がスタートすると、先ずステップS1で実過給圧、実新気量、目標過給圧及び目標新気量が読み込まれ、ステップS2で、実新気量と目標新気量との偏差に応じたEGR弁駆動指令値EGRsolの演算及び実過給圧と目標過給圧との偏差に応じたVGT駆動指令値VGTsolの演算が行われる。
【0061】
次にステップS3で、上記EGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolが上記許容範囲内にあるか否かが判定される。そして、許容範囲内にあれば、上記EGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolががそのまま出力される(ステップS4)。
【0062】
また、許容範囲内にない場合、EGR弁12のフィードバック制御を優先させるべくEGR弁駆動指令値EGRsolはそのまま出力され(ステップS5)、一方、VGT駆動指令値VGTsolが上記許容範囲内に向けて変更され(ステップS6)、例えば許容範囲からEGRが多い側に外れている場合はVGT駆動指令値VGTsolが減少される。そして、変更後のVGT駆動指令値VGTsolが出力される(ステップS7)。
【0063】
以上のような当実施形態の装置によると、空燃比を目標空燃比とするようにECR弁12がフィードバック制御されることにより、NOx及びスモークが低減され、エミッションが改善される。一方、過給圧が目標過給圧となるようにVGT5がフィードバック制御されることにより過給状態が調整される。そして、過給によって充填効率が高められることにより、EGR量が多くされつつ新気量が確保されるため、エミッション改善効果が高められる。
【0064】
しかも、協調制御手段43としての上記ステップS3〜S7の処理により、EGR弁12の制御とVGT5の制御とが調整されて、過給機の効率(ターボ総合効率ないしはコンプレッサ効率)等が良好に保たれ、燃費も良くなる。
【0065】
すなわち、VGT5の可変翼開度が一定でもEGR弁12の開度が変るとEGR通路11に逃がされる排気エネルギーが変ることで過給量及び過給圧が変化し、また、EGR弁12の開度が一定でもVGT5の可変翼開度が変ると排気圧力の変化に伴ってEGR量が変化するというように、EGR弁12の制御とVGT5の制御とは互いに影響し合うので、これらの制御を個別に行なうだけでは、必ずしも両制御が適切に協調する状態が得られず、過給機の効率等が悪化する可能性がある。また、上記各制御における基本制御量、制御範囲、制御ゲイン等の制御条件を予め適度に設定しておくことでより両制御相互の影響を調整することが考えられるが、このようにしてもエンジンや過給機の特性等に個体差があると両制御の影響度合いが変るため、両制御の調整を常に適切に行なうことは難しい。
【0066】
これに対し、当実施形態の装置によると、EGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度につき、運転状態の変化に伴い過給圧と新気量が互いに対応して増減するという条件を満足するような許容値を定め、EGR弁12のフィードバック制御及びVGT5のフィードバック制御で求められる指令値が許容値から外れたときにそれに応じた調整を行なうようにしているため、常に適正な圧力比・空気流量特性が得られ、過給機の効率等を良好に保つことができる。
【0067】
また、当実施形態では、EGR弁12のフィードバック制御を優先させるべく、上記ステップS3で許容範囲から外れたことが判定されたとき、実新気量と目標新気量との偏差に応じて求められたEGR弁駆動指令値EGRsolはそのまま出力されて、VGT駆動指令値VGTsolが変更されるようになっているため、空燃比の目標値に対する追従性は良好に保たれる。そして、VGT駆動指令値VGTsolの変更によってVGT5の可変翼開度が変ると、それが空燃比に影響を及ぼし、それに応じたフィードバック制御でEGR弁12の開度も調整され、このような制御が繰り返されることにより、EGR弁12の制御とVGT5の制御との協調が適切に行なわれることとなる。
【0068】
なお、上記の図6に示す制御例では、EGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolが許容範囲から外れたとき、VGT駆動指令値VGTsolのみ変更しているが、両指令値を所定量ずつ変更させるようにしても良い。また、低回転側では過給不足を避けるべくVGT5の制御を優先させる一方、高回転側ではEGR弁5の制御を優先させるようにしても良い。
【0069】
図7は上記制御手段40による制御の第2の例をフローチャートで示している。このフローチャートの制御がスタートすると、先ずステップS11で実過給圧、実新気量、目標過給圧及び目標新気量が読み込まれ、ステップS12で、実新気量と目標新気量との偏差に応じたEGR弁駆動指令値EGRsolの演算及び実過給圧と目標過給圧との偏差に応じたVGT駆動指令値VGTsolの演算が行われる。さらに、ステップS13で、実新気量の今回値と前回値との差等から新気量変化率が求められるとともに、同様にして過給圧変化率が求められ、ステップS14で、上記新気量変化率と過給圧変化率とから新気量に対する過給圧の変化割合が算出される。
【0070】
次にステップS15で、上記変化割合が所定の傾き(一定の許容範囲を有する)か否かが判定され、所定の傾きであれば、そのままVGT駆動指令値VGTsol及びEGR弁駆動指令値EGRsolが出力される(ステップS16,S17)。
【0071】
上記変化割合が所定の傾きでなければ、ステップS18で所定の傾きより大か否かが判定され、つまり傾きが大きすぎるのか、それとも小さすぎるのかが判定される。そして、傾きが大きすぎる場合はVGT駆動指令値VGTsolが減少され(ステップS19)、傾きが小さすぎる場合はVGT駆動指令値VGTsolが増加される(ステップS20)。
【0072】
この制御例によると、上記ステップS14で新気量に対する過給圧の変化割合が求められ、つまり図4,図5に示す圧力比・空気流量特性の傾きに相当する変化割合が求められる。そして、この傾きが適正範囲からずれたときはVGT駆動指令値VGTsolが変更される。この場合、傾きが大きすぎると、エンジン負荷が増加したとき新気量があまり増えないのに過給圧が上昇し過ぎる傾向となるので、VGT駆動指令値VGTsolが減少されて可変翼開度が大きくなる方向に調整され、また傾きが小さすぎると過給圧が上昇し難い傾向となるので、VGT駆動指令値VGTsolが増加されて可変翼開度が小さくなる方向に調整される。
【0073】
こうして、上記傾きが適正化されるように制御状態が調整され、過給機の効率等を良好に保つことができる。
【0074】
なお、上記制御例では過給圧と新気量とを検出して新気量に対する過給圧の変化割合を調べるようにしているが、図4,図5のデータに対応させるように、圧力比と新気量とを求め、新気量に対する圧力比の変化割合が適正範囲となるように、つまり圧力比と吸入空気量とが互いに対応して適正な変化割合で増減するように調整しても良い。
【0075】
図8は上記制御手段40による制御の第3の例をフローチャートで示している。このフローチャートの制御がスタートすると、先ずステップS31で実過給圧、実新気量、目標過給圧及び目標新気量が読み込まれ、ステップS32で、実新気量と目標新気量との偏差に応じたEGR弁駆動指令値EGRsolの演算及び実過給圧と目標過給圧との偏差に応じたVGT駆動指令値VGTsolの演算が行われる。
【0076】
続いてステップS33でアクセル開度及び燃料噴射量が読み込まれ、ステップS34で、上記アクセル開度や燃料噴射量の変化率を調べること等によりエンジン加速時か否かが判定される。そして、エンジン加速時であれば、ステップS35で、上記EGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolが上記許容範囲(好ましい圧力比・空気流量特性が得られる範囲)内にあるか否かが判定される。
【0077】
上記ステップS34で加速時でないことが判定された場合は上記EGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolががそのまま出力され(ステップS36)、ステップS35で許容範囲内と判定されたときにも上記EGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolががそのまま出力される(ステップS37)。
【0078】
加速時であって、上記EGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolが上記許容範囲内にない場合(ステップS34がYES、ステップS35がNOの場合)、例えばEGR量が多くされるエンジン低回転領域等においてEGR弁12の開度が大きくされている状態で許容範囲から外れている場合、ステップS38〜S42のようにEGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度が制御される。
【0079】
すなわち、ステップS38でエンジン回転数が読み込まれ、ステップS39でEGR弁12の開度を小さくすべくEGR弁駆動指令値EGRsolがエンジン回転数に応じた減少量だけ減少補正され、ステップS40で補正後のEGR弁駆動指令値EGRsolが出力される。さらに、ステップS41でVGT5の可変翼開度を大きくすべくVGT駆動指令値VGTsolがエンジン回転数に応じた減少量だけ減少補正され、ステップS42で補正後のVGT駆動指令値VGTsolが出力される。
【0080】
なお、EGR弁駆動指令値EGRsolの減少量(EGR弁開度の減少量)及びVGT駆動指令値VGTsolの減少量(VGTの可変翼開度の増加量)は、それぞれ、エンジン低回転側程大きくなるように、予めエンジン回転数に対応づけたテーブル等で設定されている。
【0081】
この制御例によると、加速時に、EGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolが許容範囲(運転状態の変化に対し過給圧と新規量とが互いに対応して充分に大きく増減するような圧力比・空気流量特性が得られる範囲)にある場合は、その値が出力されることにより、エミッションが良好に保たれつつ負荷の増大(燃料噴射量の増加)に伴い過給圧及び新気量が増加する状態が確保される。
【0082】
また、加速時にEGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度が上記許容範囲から外れた制御状態となっている場合には、EGR弁12の開度の減少とVGT5の可変翼開度の増大とが同時に行われることにより、加速性が高められるとともに、エミッションの悪化が防止される。
【0083】
より具体的に説明すると、アイドル運転領域やその近傍の低回転低負荷領域では、EGR量を多くすべく、EGR弁12の開度が比較的大きくされるとともにVGT5の可変翼開度がある程度小さくされて、上記許容範囲から外れた制御状態となることがあり、例えばEGR弁駆動指令値EGRsolが60%程度、VGT駆動指令値VGTsolが50%というように制御されることにより、図4(b)に示す特性をもたらす制御状態となることがある。そしてこのような特性でも定常状態では支障がない。しかし、この制御状態で加速が行われると、過給圧及び新気量が殆ど増加しないため充分な加速性能が得られない。
【0084】
このため、この制御状態からの加速時には、過給圧及び新気量を増加させるべくEGR弁12及びVGT5の制御状態を変更する必要があり、この場合、仮にVGT5の可変翼開度を変化させずにEGR弁12だけを開度減少方向に制御したとすると、例えば図4(b)の状態から図(h)のような好適な特性が得られる状態にするまでにはEGR弁12の開度を大きく変化させる必要があり、それに要する時間が加速応答性を悪くする。また、過給効率を高めるべくVGT5の可変翼開度を小さくすることが考えられるが、EGRが行われている状態の低回転低負荷領域からの加速時に可変翼開度を小さくすると、排気圧力が上昇してEGR通路11の両端の差圧が大きくなることでEGR量が増加するため、一時的に新気量が減少して、却って加速初期の出力上昇が妨げられるとともに、スモークが発生し易くなる。
【0085】
これに対し、当制御例では、上記アイドル運転領域等の低回転低負荷領域でEGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolが許容範囲から外れている状態からの加速時に、EGR弁駆動指令値EGRsolが減少されることでEGR弁12の開度が小さくされるとともに、VGT駆動指令値VGTsolが減少されることでVGT5の可変翼開度が大きくされ、この可変翼開度の増大により排気圧力が低下するため、速やかにEGR量が減少し、加速初期の新気量の増加が促進され、出力が高められるとともにスモークの発生が防止される。
【0086】
また、制御状態及び圧力比・空気流量特性が例えば図4(b)の状態から図4(f)の状態へと変化することにより好適な特性が得られるようになり、前述のようにEGR弁12の開度だけを変化させて図4(b)の状態から図4(h)の状態へ変化させるような場合と比べてEGR弁12の開度変化が小さくて済み、好適な特性が得られる状態になるまでの時間が短くなって、加速応答性が高められる。
【0087】
これらの作用により、アイドル運転領域等の低回転低負荷領域から加速が行われる場合でも、加速性能が大幅に向上されるとともにエミッションが改善されることとなる。
【0088】
上記のようにEGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolが許容範囲から外れている状態からの加速時には、EGR弁12の開度の減少とVGT5の可変翼開度の増大が同時に行われるが、これらの変化量をエンジン回転数に応じて設定し、低回転側程変化を大きくすることが加速性能向上等にとって効果的である。すなわち、定常運転時にはエンジン低回転低負荷側程EGR量を多くすべくEGR弁12の開度が大きくされるとともにVGT5の可変翼開度が小さくされた状態となっているので、このような状態からの加速時にはEGR弁開度の減少及びVGT可変翼開度の増加が比較的大きくされることにより、上記のような加速性向上及び加速時のスモーク抑制等の作用が良好に得られることとなる。
【0089】
図9は上記制御手段40による制御の第4の例をフローチャートで示している。このフローチャートにおいて、ステップS31,S32,S34,S36〜S42は図8中の同一符号のステップと同じ処理を行っている。
【0090】
この例では、ステップS31,S32に続いてステップS33´でアクセル開度、燃料噴射量及びエンジン回転数が読み込まれ、次にエンジンが加速状態か否かの判定(ステップS34)が行われ、加速状態であれば、ステップS35´で、エンジン負荷(アクセル開度または燃料噴射量等)とエンジン回転数とにより運転領域が調べられて、EGR弁12の開度が大きい領域か否かが判定される。ここで、EGR弁12の開度が大きい領域は、例えばアイドル運転領域やその付近の低回転低負荷領域である。
【0091】
そして、加速状態で、かつ、EGR弁12の開度が大きい領域であれば、ステップS38〜S42により、EGR弁12の開度を小さくするとともにVGT5の可変翼開度を大きくするように制御される。
【0092】
この制御例によると、定常運転時にEGR弁12の開度が大きくされている運転領域からの加速時に、EGR弁駆動指令値EGRsolが減少されることでEGR弁12の開度が小さくされるとともに、VGT駆動指令値VGTsolが減少されることでVGT5の可変翼開度が大きくされることにより、第3の制御例と同様に、速やかにEGR量が減少して加速初期の新気量の増加が促進されるとともに、好適な圧力比・空気流量特性が得られる状態へ速やかに変化し、加速性能が大幅に向上されるとともにエミッションが改善されることとなる。
【0093】
図10は上記制御手段40による制御の第5の例をフローチャートで示している。このフローチャートにおいて、ステップS31〜S38は図8中の同一符号のステップと同じ処理を行っている。
【0094】
このフローチャートにおいて、ステップS34で加速時であることが判定された場合であって、かつ、ステップS35でEGR弁駆動指令値EGRsol及びVGT駆動指令値VGTsolが許容範囲内にないことが判定された場合は、エンジン回転数の読み込み(ステップS38)に続き、ステップS51でエンジン回転数が所定値以下の低回転領域か否かが判定される。
【0095】
そして、ステップS51で低回転領域であることが判定されたときは、相対的に排気流通面積の変化量に対するEGR弁開度の変化量の割合が大きくされ、つまり、EGR弁駆動指令値EGRsolが比較的大きな減少量で減少補正されて(ステップS52)、その補正後のEGR弁駆動指令値EGRsolが出力される(ステップS53)とともに、VGT駆動指令値VGTsolが比較的小さな減少量で減少補正されて(ステップS54)、その補正後のVGT駆動指令値VGTsolが出力される(ステップS55)。
【0096】
また、ステップS51で低回転領域でないことが判定されたときは、相対的に排気流通面積の変化量に対するEGR弁開度の変化量の割合が小さくされ、つまり、VGT駆動指令値VGTsolが比較的大きな減少量で減少補正されて(ステップS56)、その補正後のVGT駆動指令値VGTsolが出力される(ステップS57)とともに、EGR弁駆動指令値EGRsolが比較的小さな減少量で減少補正されて(ステップS58)、その補正後のEGR弁駆動指令値EGRsolが出力される(ステップS59)。
【0097】
この制御例によっても、第3の制御例と同様に、加速時にEGR弁12の開度及びVGT5の可変翼開度が上記許容範囲から外れた制御状態となっている場合に、EGR弁駆動指令値EGRsolが減少されることでEGR弁12の開度が小さくされるとともに、VGT駆動指令値VGTsolが減少されることでVGT5の可変翼開度が大きくされることにより、速やかにEGR量が減少して加速初期の新気量の増加が促進されるとともに、好適な圧力比・空気流量特性が得られる状態となる。
【0098】
とくに、エンジンの低回転領域では、定常時にEGR弁開度が大きくされていて、EGR弁開度の変化が新気量等に大きく影響を及ぼすので、この状態からの加速時には、EGR弁駆動指令値EGRsolの変化量が大きくされ、つまりEGR弁開口量の減少が優先されることにより、新気量を増加させて加速性及びエミッションを向上する作用が高められる。一方、エンジンの高回転領域では、排気流速及び排気流量が大きく、排気流通面積の変化が排気圧力及びそれに関係するEGR量等に速やかに影響を及ぼすので、この状態からの加速時には、VGT駆動指令値VGTsolの変化量が大きくされ、つまりVGT5の可変翼開度の増大が優先されることにより、加速応答性及びエミッションを向上する作用が高められる。
【0099】
なお、本発明の装置の具体的構造は上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。
【0100】
例えば、図8〜図10の各制御例のように特定の加速時にEGR弁12の開度を小さくするとともにVGT5の可変翼開度を大きくするように制御する場合に、EGR弁開口量については所定の下限値を予め設定しておき、加速時におけるEGR弁開口量の減少を上記所定下限値までに止めるようにしておくことが好ましい。このようにすれば、加速時にEGR弁開口量が小さくなりすぎることがなく、NOxの増大を防止し得ることとなる。
【0101】
また、上記実施形態では過給機としてVGT5を用いてその可変翼開度を制御しているが、タービンをバイパスするウエストゲート通路とこの通路を開閉するウエストゲートバルブを具備したターボ過給機を用い、そのウエストゲートバルブを制御するようにしてもよい。あるいは、過給気をリリーフする手段を具備する機械式過給機を用い、過給気をリリーフする手段を制御するようにしてもよい。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、過給機と、排気還流装置とを備えるとともに、空燃比が目標空燃比となるように排気還流弁を制御する手段を有するものにおいて、排気還流が行なわれている運転領域で、運転状態の変化に伴い過給圧と新気量とが互いに対応して増減するように過給機の駆動量と排気還流弁の開口量とのうちの少なくとも一方を制御する制御手段を備えているため、空燃比が目標空燃比となるようにする排気還流弁の制御によりNOx及びスモークを低減してエミッションを改善することができるとともに、過給機の作動と排気還流弁の制御との関係を適正に調整し、過給機の効率等を良好に保つことができる。
【0103】
また、排気流通面積可変手段を具備したターボ過給機と、排気還流装置とを備えるとともに、空燃比が目標空燃比となるように排気還流弁を制御する手段を有するものにおいて、排気還流が行なわれている運転領域での少なくとも加速時に、運転状態の変化に伴い過給圧と新気量とが互いに対応して増減するように排気流通面積可変手段と排気還流弁開口量の双方を制御し、例えば排気還流弁開口量が大きいエンジン低回転領域等からの加速時に排気還流弁開口量を減少させるとともに排気流通面積を増大させるように制御すると、速やかに加速性能及びエミッションが向上される状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御装置を備えた過給機付エンジンの実施形態を示す概略図である。
【図2】過給機の一例としてのVGTにおける可変翼配設部分の構造の模式図である。
【図3】エンジンのコントロールユニットの具体的構成を示すブロック図である。
【図4】特定のエンジン回転数においてEGR弁の開度及びVGTの可変翼開度を種々の値に設定した場合の圧力比・空気流量特性を示すグラフである。
【図5】図4とは異なるエンジン回転数においてEGR弁の開度及びVGTの可変翼開度を種々の値に設定した場合の圧力比・空気流量特性を示すグラフである。
【図6】制御手段による制御動作の第1の例を示すフローチャートである。
【図7】制御手段による制御動作の第2の例を示すフローチャートである。
【図8】制御手段による制御動作の第3の例を示すフローチャートである。
【図9】制御手段による制御動作の第4の例を示すフローチャートである。
【図10】制御手段による制御動作の第5の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2 吸気通路
3 排気通路
5 ターボ過給機
8 可変翼
11 EGR通路
12 EGR弁
21 エアフローセンサ
24 吸気圧力センサ
30 コントロールユニット
40 制御手段
Claims (7)
- タービンへの排気流通面積を変化させる排気流通面積可変手段を具備したターボ過給機と、上記タービンより上流の排気通路から排気ガスを取り出し排気還流弁を介してターボ過給機のコンプレッサより下流の吸気通路へ還流させる排気還流装置とを備えるとともに、空燃比が目標空燃比となるように排気還流弁を制御する手段を有する過給機付エンジンの制御装置において、排気還流が行なわれている運転領域で、エンジンの加速時に、排気還流弁開口量が減少するように排気還流弁を制御しつつ、排気流通面積が増大するように排気流通面積可変手段を制御する制御手段を備え、この制御手段は、上記加速時における排気流通面積の変化量と排気還流弁開口量の変化量との割合をエンジン回転数に応じて変更して、エンジン低回転側では相対的に排気還流弁開口量の変化量の割合を大きくし、エンジン高回転側では相対的に排気流通面積の変化量の割合を大きくするように制御することを特徴とする過給機付エンジンの制御装置。
- 排気流通面積可変手段として、ターボ過給機のタービンに対して開度変更可能なノズルを形成する可変翼を備え、上記制御手段は、排気還流が行なわれる運転領域で上記可変翼の開度を所定範囲内の部分開度とすることを特徴とする請求項1記載の過給機付エンジンの制御装置。
- 上記制御手段は、排気還流弁開口量が他の運転領域よりも大きいエンジン低回転領域からの加速時に、排気還流弁開口量が減少するように排気還流弁を制御しつつ、排気流通面積が増大するように排気流通面積可変手段を制御することを特徴とする請求項1または2記載の過給機付エンジンの制御装置。
- 上記制御手段は、エンジンの低回転低負荷領域からの加速時に、排気還流弁開口量が減少するように排気還流弁を制御しつつ、排気流通面積が増大するように排気流通面積可変手段を制御することを特徴とする請求項1または2記載の過給機付エンジンの制御装置。
- 上記制御手段は、上記加速時における排気還流弁開口量の減少を所定下限値までに止めるように規制することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の過給機付エンジンの制御装置。
- エンジンへの新気量を検出する吸入空気量検出手段と、この吸入空気量検出手段により検出される実新気量が目標空燃比に基づいて求められる目標新気量となるように排気還流弁を制御する手段とを備える請求項1乃至5のいずれかに記載の過給機付エンジンの制御装置。
- 過給圧を検出する過給圧検出手段と、この過給圧検出手段で検出される実過給圧が予め設定された目標過給圧となるように排気流通面積可変手段を制御する手段とを備える請求項1乃至6のいずれかに記載の過給機付エンジンの制御装置。
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