JP4258687B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、プリント配線板ソルダーレジスト、半導体パッケージ用ソルダーレジスト等の電子材料分野において、永久マスクレジストとして好適な感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板製造における永久マスクレジストは、熱あるいは紫外線硬化型レジストインキをスクリーン印刷する方法で作製されてきた。
近年、電子デバイスの高集積化に伴い、プリント配線板において配線パターン、絶縁パターンの高精細化が必要とされるようになってきたが、従来のスクリーン印刷によるレジスト形成法では、印刷時に滲み、ダレ等が発生するため、高精細なレジスト像を形成するのが困難である。
【0003】
そこで、フォトリソグラフィーによるレジスト像形成法が開発されるに至った。具体的には、ドライフィルム型の感光性レジストを基材上に熱圧着、あるいは液状の感光性レジストを基材上にカーテン、スプレー塗布し、紫外線などの活性光線をネガマスクを介して照射し、現像することによりレジスト像形成を行うものである。
ドライフィルム型の感光性レジストの場合、基材への熱圧着時に空気を巻き込み気泡を生じやすく、そのため密着性の低下あるいはレジスト像の乱れを生じ、レジスト性能の低下が懸念される。
一方、液状の感光性レジストには、溶剤現像型とアルカリ現像型があるが、作業環境保全、地球環境保全の点からアルカリ現像型が主流になっている。このようなものとして特開昭61−243869号公報、特開平1−141904号公報に示されるものが知られている。
【0004】
しかし、従来の液状感光性レジストは、耐湿熱性、密着性、電食性等の実用特性上まだ問題がある。即ち、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、TCP(テープキャリアパッケージ)等の半導体パッケージにおいて、高信頼性の点から高温高湿下での電気絶縁性が求められるが、従来の液状感光性レジストでは電気絶縁性が低下しやすいという問題がある。
また、耐湿熱性ともいうべき耐PCT性(耐プレッシャークッカーテスト性)が必要であるが、このような厳しい条件下において、従来の液状感光性レジストは、数時間〜+数時間程度しか持たないのが現状である。
更に、実装方法が、挿入実装から表面実装に変わることにより実装時にパッケージにかかる温度が高くなる傾向にあるが、従来の液状感光性レジストでは、熱衝撃で塗膜にクラックが発生したり、基板や封止材から剥離してしまうという、いわゆる耐リフロー性低下の問題があり、これらの改良が求められている。中でも、半導体パッケージの信頼性の点から、電食試験での電気絶縁性の改良が強く求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1、2記載の発明は、絶縁性、耐電食性、密着性、耐熱衝撃性、耐湿熱性、感度、アルカリ現像性、耐熱性、等に優れた高性能な硬化膜を得ることができ、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いられる感光性樹脂組成物を提供するものである
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有カルボン酸との付加反応で得られる二級水酸基を有する樹脂(A′)又は1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有カルボン酸との付加反応で得られる二級水酸基を有する樹脂(A′)に飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂(A″)、光重合開始剤、エラストマー、及び五酸化アンチモン水和物を含んでなる感光性樹脂組成物に関する。
また、更に、三酸化アンチモン水和物又はハイドロタルサイト類を含む請求項1に記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性樹脂組成物は、光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物にイオン吸着剤を添加、混合してなるものである。
光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物としては、種々のものがあり、ポジ型でもネガ型でもよく、そのような組成物にイオン吸着剤を添加することにより絶縁性、耐電食性等の電機特性を格段に向上できる。
イオン吸着剤を添加する光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物は、特に制限はされないが、特定の組成物を選択することにより、特定の特性を向上できる。
【0008】
密着性、耐湿熱性、耐熱性等の点から、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有カルボン酸との付加反応で得られる二級水酸基を有する樹脂(A′)、光重合開始剤及びイオン吸着剤を含んでなる感光性樹脂組成物が好ましい。
また、密着性、耐湿熱性、耐熱性、アルカリ現像性、感度等の点から、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有カルボン酸との付加反応で得られる二級水酸基を有する樹脂(A′)に飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂(A″)、光重合開始剤及び無機イオン吸着剤を含んでなる感光性樹脂組成物が好ましい。
【0009】
上記樹脂(A′)の製造に用いられる1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、一般式(I)で示されるノボラック型エポキシ樹脂、一般式(II)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂、一般式(III)で示されるサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0010】
【化1】
Figure 0004258687
(一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)において、Xは、水素原子又はグリシジル基を示し(水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは1以上の整数である)
【0011】
一般式(I)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂があり、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることで得られる。
【0012】
また、一般式(II)中、Xがグリシジル基であるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、例えば、一般式(IV)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の水酸基とエピクロルヒドリンを反応させることにより得ることができる。
【0013】
【化2】
Figure 0004258687
(Rは、水素原子又はメチル基を示し、nは1以上の整数である)
【0014】
一般式(III)で示されるサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂としては、具体的にはFAE−2500、EPPN−501H、EPPN−502H(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0015】
また、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物として、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂等の樹脂の一部のエポキシ基に両末端カルボン酸変性ブタジエン−アクリルニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等のエポキシ基と反応する基を有する化合物を反応させて得られる樹脂を用いることもできる。
【0016】
上記不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸、水酸基含有アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、不飽和基含有モノグリシジルエーテルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物等が挙げられる。これら半エステル化合物は、水酸基含有アクリレート、不飽和基含有モノグリシジルエーテルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で又は二種類以上を組み合わせて用いられる。
【0017】
不飽和基含有モノカルボン酸の一例である上記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレート、不飽和基含有モノグリシジルエーテルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0018】
上記半エステル化合物の合成に用いられる飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0019】
1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応において、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物のエポキシ基1当量に対して、不飽和基含有モノカルボン酸が0.8〜1.05当量となる比率で反応させることが好ましく、更に好ましくは0.9〜1.0当量である。
【0020】
1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有モノカルボン酸は有機溶剤に溶かして反応させることができ、そのような有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
【0021】
また、反応を促進させるために触媒を用いることが好ましい。そのような触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
触媒の使用量は、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有モノカルボン酸の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0022】
また、反応中の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用するのが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられ、その使用量は、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有モノカルボン酸の合計100重量部に対して、0.01〜1重量部程度である。反応温度は、好ましくは60〜150℃、更に好ましくは80〜120℃である。
【0023】
樹脂(A″)は、上述の反応生成物(A′)に飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させることにより得られる。
上記飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0024】
樹脂(A′)と飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物との反応において、樹脂(A′)中の水酸基1当量に対して、飽和もしくは不飽和基含有多塩基酸無水物を0.1〜1.0当量反応させることが好ましい。
樹脂(A″)の酸価は、30〜150mgKOH/gであることが好ましく、50〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が30mgKOH/g未満ではの希アルカリ溶液への溶解性が低下する傾向があり、150mgKOH/gを超えると硬化膜の電気特性が低下する傾向がある。なお、樹脂(A′)と飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物との反応温度は、60〜120℃程度である。
【0025】
本発明におけるイオン吸着剤は光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物に取り込まれているナトリウムイオン(Na+)、塩素イオン(Cl-)、臭素イオン(Br-)、銅イオン(Cu+、Cu2+)等のイオンを吸着し、絶縁性、耐電食性の低下を防止するもので、陰イオンを吸着する無機イオン交換体、陽イオンを吸着する無機イオン交換体、陰陽両イオンを吸着する無機イオン交換体等を使用することができる。
【0026】
陰陽両イオンを吸着する無機イオン交換体としては、例えば、酸化ベリリウム水和物、酸化ガリウム水和物、酸化ランタン水和物、酸化鉄水和物、酸化アルミニウム水和物、酸化チタン水和物、酸化ジルコニウム水和物、酸化スズ水和物、酸化ゲルマニウム水和物、酸化トリウム水和物等の金属の含水酸化物を挙げることができる。また、東亜合成(株)から上市されている両イオン交換体IEX−1100(カルシウム系)、IXE−1320(アンチモン、マグネシウム、アルミニウム系)、IXE−600(アンチモン、ビスマズ系)、IXE−633 (アンチモン、ビスマズ系)、IXE−680(アンチモン、ビスマズ系)も使用することができる。
【0027】
陽イオンを吸着する無機イオン交換体としては、例えば、五酸化アンチモン水和物、酸化マンガン水和物、酸化ケイ素水和物、酸化ニオブ水和物、酸化タンタル水和物、酸化モリブデン水和物、酸化タングステン水和物等の金属の含水酸化物、リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、リンモリブデン酸アンモン、リンアンチモン酸、モリブデン酸ジルコニウム、モリブデン酸チタン、タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸チタン、モリブデン酸スズ、タングステン酸スズ、アンチモン酸ジルコニウム、アンチモン酸チタン、セレン酸ジルコニウム、テルル酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、リンケイ酸ジルコニウム、ポリリン酸ジルコニウム、トリポリリン酸クロム、アンチモン三りん酸等を挙げることができる。また、東亜合成(株)から上市されている陽イオン交換体IXE−100(ジルコニウム系)、IXE−150(ジルコニウム系)、IXE−200(スズ系)、IXE−300(アンチモン系)、IXE−400(チタン系)アンチモン、マグネシウム、アルミニウム系)も使用することができる。
【0028】
陰イオンを吸着する無機イオン交換体としては、例えば三酸化アンチモン水和物、酸化ビスマス水和物、ハイドロタルサイト類等を挙げることができる。また、東亜合成(株)から上市されている陰イオン交換体IXE−500(ビスマス系)、IXE−550(ビスマス系)、IXE−700(マグネシウム、アルミニウム系)、IXE−702(アルミニウム系)、IXE−800(ジルコニウム系)、IXE−1000(鉛系)も使用することができる。
【0029】
本発明において、好ましいイオン交換体としては、Na+、K+を特異的に吸着する五酸化アンチモン水和物を挙げることができる。この五酸化アンチモン水和物を用いた感光性樹脂組成物は難燃性にも優れるため、ビルドアップ多層プリント配線板の層間絶縁層用として特に有用である。
【0030】
本発明において、イオン交換体は陰陽両イオンを吸着することが好ましく、陽イオンを吸着する五酸化アンチモン水和物は、ハイドロタルサイト類、三酸化アンチモン水和物等のCl−を吸着する無機イオン交換体と組み合わせて用いることが好ましい。特に五酸化アンチモン水和物とハイドロタルサイト類とを組み合わせて用いることが好ましい。
【0031】
イオン吸着剤の使用量は、光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物の固形分100重量部に対して、0.1〜15重量部とすることが好ましく、1〜10重量部とすることがより好ましく、1〜5重量部とすることが特に好ましい。0.1重量部未満では電気特性向上の効果が小さい傾向があり、15重量部を超えた場合には、耐湿熱性、解像度、密着性等が低下する傾向がある。
【0032】
また、イオン吸着剤は、微細分散されていることが好ましく、その粒径は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.1〜2μmであることがより好ましい。この粒径が1μm未満では入手が困難となる傾向があり、5μmを超えた場合には、露光時の光散乱により、解像度が低下する傾向がある。
【0033】
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロノパン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アルミアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等があり、これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いられる。
【0034】
光重合開始剤の量は、光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物の固形分100重量部中、0.5〜20重量部であることが好ましく、2〜15重量部用であることがよりましい。0.5重量部未満では、露光部が現像中に溶出する傾向があり、20重量部を超えると耐熱性が低下する傾向がある。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物には、硬化膜の応力を緩和し、可とう性や接着性を向上させる目的でエラストマーを配合することができる。
【0036】
そのようなエラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられ、これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性、強度に、後者が柔軟性、強靭性に寄与している。
【0037】
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマーが挙げられる。スチレン系エラストマーを構成する成分であるスチレンのほかに、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。
【0038】
具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業(株)製)、エラストマーAR(アロン化成(株)製)、クレイトンG、過リフレックス(以上、シェルジャパン(株)製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、日本合成ゴム(株)製)、デンカSTR(電気化学工業(株)製)、クインタック(日本ゼオン(株)製)、TPE−SBシリーズ(住友化学(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製)、セプトン、ハイブラー(以上、クラレ(株)製)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業(株)製)等が挙げられる。
【0039】
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられ、また、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタンジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィン共重合体が挙げられる。また、ブタジエン−アクニロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキ変性NBRが挙げられる。
【0040】
具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。
更に、具体的には、ミラストマ(三井化学(株)製)、EXACT(エクソン化学(株)製)、ENGAGE(ダウケミカル(株)製)、水添スチレン−ブタジエンラバー“DYNABON HSBR”(日本合成ゴム(株)製)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体“NBRシリーズ”(日本合成ゴム(株)製)、あるいは架橋点を有する両末端カルボキシ基変性ブタジエン−アクニロニトリル共重合体の“XERシリーズ”(日本合成ゴム(株)製)等が挙げられる。
【0041】
ウレタンエラストマーは、低分子のエチレングリコールとジイソシアネートからなるハードセグメントと高分子(長鎖)ジオールとジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位からなり、高分子(長鎖)ジオールとして、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン・1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン・ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10000が好ましい。
また、エチレングリコールの他に、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができ、短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500が好ましい。
ウレタンエラストマーの具体例として、PANDEX T−2185、T−2983N(大日本インキ工業(株)製)、シラクトランE790等が挙げられる。
【0042】
ポリエステル系エラストマーは、ジカルボン酸またはその誘導体及びジオール化合物またはその誘導体を重縮合して得られる。
前記ジカルボン酸の具体例として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香族の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物は2種以上用いることができる。
ジオール化合物の具体例として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、下記一般式(V)で示される二価フェノール等が挙げられる。
【0043】
【化3】
Figure 0004258687
(但し、Yは炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数4〜8のシクロアルキレン基、直接結合、−O−、−S−又は−SO2−を示し、R1及びR2はハロゲン原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、l及びmは0〜4の整数であり、pは0又は1である)
【0044】
その具体例として、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等が挙げられる。これらの化合物は2種以上用いることができる。
また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることができる。ハードセグメントとソフトセグメントの種類、比率、分子量の違いによりさまざまなグレードのものがある。具体例として、ハイトレル(デュポン−東レ(株)製)、ペルプレン(東洋紡績(株)製)、エスペル(日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0045】
ポリアミド系エラストマーは、ハード相にポリアミドを、ソフト相にポリエーテルやポリエステルを用いたポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型の2種類に大別され、ポリアミドとしては、ポリアミド−6、11、12等が用いられ、ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が用いられる。
具体的には、UBEポリアミドエラストマ(宇部興産(株)製)、ダイアミド (ダイセルヒュルス(株)製)、PEBAX(東レ(株)製)、グリロンELY(エムスジャパン製)、ノバミッド(三菱化学(株)製)、グリラックス(大日本インキ工業(株)製)等が挙げられる。
【0046】
アクリル系エラストマーは、アクリル酸エステルを主成分とし、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等が用いられ、また、架橋性モノマとして、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が用いられる。さらに、アクリルニトリルやエチレンを共重合することもできる。
具体的には、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0047】
シリコーン系エラストマーとしては、オルガノポリシロキサンを主成分したもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものもある。
具体例として、KEシリーズ(信越化学工業(株)製)SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)等が挙げられる。
【0048】
また、上記以外に、エラストマーとしてゴム変性したエポキシ樹脂を用いることもできる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂あるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部、または全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリルニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られる。これらのエラストマーの中で、せん断密着性の点で、両末端カルボキシ基変性ブタジエン−アクニロニトリル共重合体、水酸基を有するエスペル(日立化成工業(株)製)(例、エスペル1612、1620)が好ましい。
【0049】
エラストマーの配合量は、光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物の固形分100重量部に対して、2〜30重量部であることが好ましく、4〜20重量部であることがより好ましい。2重量部未満では、添加効果が乏しい傾向があり、50重量部を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。そのような有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0051】
有機溶剤の使用量は、感光性樹脂組成物の固形分が10〜90重量%となるような量であることが、作業性、塗工性等の点から好ましい。
【0052】
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合性モノマーを含んでもよい。そのような光重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジアクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物のアクリレート、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルのアクリレート、メラミンアクリレート、これらに対応するメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリルアミド、これらに対応するメタクリルアミドなどを挙げることができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0053】
光重合性モノマーの使用量は、光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物の固形分100重量部に対して、5〜80重量部とすることが好ましく、10〜70重量部とすることがより好ましい。5重量部未満では、光感度が低くなる傾向があり、80重量部を超えると耐熱性が低下する傾向がある。
【0054】
本発明の感光性樹脂組成物において、硬化剤を配合することができる。硬化剤としては、熱、紫外線等により、本発明の組成物中の成分(例えば、樹脂(A′)又は樹脂(A″))中のカルボキシ基、水酸基と反応硬化する化合物が好ましい。硬化剤を用いることで、最終硬化膜の耐熱性、密着性、耐薬品性等を向上させることができる。
【0055】
硬化剤としては、例えば、エポキシ化合物、メラミン化合物、尿素化合物、オキサゾリン化合物等の熱硬化性化合物を挙げることができる。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂あるいは、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
メラミン化合物としては、例えば、トリアミノトリアジン、ヘキサメトキシメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ヘキサブトキシ化メラミン等が挙げられる。
尿素化合物としては、ジメチロール尿素等が挙げられる。
【0056】
硬化剤の使用量は、光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物の固形分100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましく、2〜50重量部であることがより好ましい。1重量部未満では、最終硬化塗膜の耐熱性が低くなる傾向があり、100重量部を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物には、最終硬化膜の耐熱性、密着性、耐薬品性等の諸特性を更に向上させる目的で硬化促進剤を配合することができる。
硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等を用いることができる。硬化剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
硬化促進剤の使用量は、光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物の固形分100重量部に対して、0.01〜40重量部であることが好ましく、0.1〜20重量部であることがより好ましい。
【0058】
本発明の感光性樹脂組成物には、更に、密着性、塗膜硬度等の諸特性を更に向上させる目的で、必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、タルク、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母等の無機フィラーを、単独で又は2種類以上を組み合わせて配合することができる。
無機フィラーの使用量は、光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物の固形分100重量部に対して、1〜160重量部であることが好ましく、2〜100重量部であることがより好ましい。
【0059】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知の着色剤、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤、シランカップリング剤等の添加剤や臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アンチモン化合物、リン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤などを光、電子線等の照射により反応し溶媒に対する溶解度が変化する組成物の固形分100重量部に対して、0.1〜100重量部程度添加することができる。
【0060】
本発明の感光性樹脂組成物は、各成分をロールミル、ビーズミル等で均一に混練、混合することにより得ることができる。
【0061】
本発明の感光性樹脂組成物を使用しては、例えば、以下のようにして像形成し、硬化膜を作製できる。即ち、感光性樹脂組成物をフレキシブルプリント配線板等の基板に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗装法等の方法で10〜200μmの膜厚で塗布し、次に塗膜を60〜110℃で乾燥させた後、ネガフィルムを直接接触(あるいは透明なフィルムを介して非接触)する等して、活性光(例、紫外線)を像状に照射し、その後、未露光部又は露光部を希アルカリ水溶液、有機溶剤等の現像液で溶解除去(現像)し基板上にパターンを形成する。
次に、必要に応じて、前記パターンを後露光(紫外線露光)及び/又は後加熱によって十分硬化させて硬化膜を得る。後露光は1〜5J/cm2程度であり、後加熱は、100〜200℃で30分〜12時間程度である。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0063】
合成例1
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製EOCN104:一般式(I)で、R=CH3、n=7〜8の樹脂)230重量部、アクリル酸72重量部、ハイドロキノン1.0重量部、カルビトールアセテート180重量部を仕込み、90℃に加熱、撹拌して反応混合物を溶解した。
次に60℃に冷却し、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム1重量部を仕込み、100℃に加熱して、固形分酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。
次にテトラヒドロ無水フタル酸152重量部とカルビトールアセテート100重量部を仕込み、80℃に加熱し、6時間反応し冷却し、固形分濃度が60重量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して樹脂(A″−1)の溶液を得た。
【0064】
合成例2
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製EOCN104)230重量部、アクリル酸72重量部、ハイドロキノン1.0重量部、カルビトールアセテート180重量部を仕込み、90℃に加熱、撹拌して反応混合物を溶解した。
次に60℃に冷却し、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム1部を仕込み、100℃に加熱して、固形分酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。固形分濃度が60重量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して樹脂(A′−1)の溶液を得た。
【0065】
合成例3
サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製FAE2500:一般式(III)でn=4〜5の樹脂)215重量部、アクリル酸72重量部、ハイドロキノン1.0重量部、カルビトールアセテート180重量部を仕込み、90℃に加熱、撹拌して反応混合物を溶解した。
次に60℃に冷却し、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム1重量部を仕込み、100℃に加熱して、固形分酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。
次にテトラヒドロ無水フタル酸152重量部とカルビトールアセテート100重量部を仕込み、80℃に加熱し、6時間反応し冷却し、固形分濃度が60重量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して樹脂(A″−2)の溶液を得た。
【0066】
実施例1〜3及び比較例1〜2
表1に示す配合組成に従って組成物を配合し、ロールミルで混練し調整した。これをスクリーン印刷法により、120メシュのテトロンスクリーンを用いて、約30μmの厚さ(乾燥後)になるように、下記に記載したテスト基板に塗布し、80℃で30分間熱風循環式乾燥機で乾燥させた。
次に、所定のパターンを有するネガマスクを塗膜に密着させ紫外線露光装置を用いて、500mJ/cm2露光した。その後、1重量%の炭酸ナトリウム水溶液(実施例2では、乳酸ブチル/水(25重量%/75重量%)溶液を用いる)からなる現像液を日立化成テクノプラント(株)製スプレー現像装置に仕込み、60秒間、1.8kgf/cm2の圧力でスプレー現像し、未露光部を除去した。次に150℃で1時間加熱し硬化膜パターンをテスト基板上に形成した。
【0067】
IPC−SM−840Bの試験法に従い、常態での絶縁抵抗、相対湿度85%、85℃、直流100V印加、300時間の電気絶縁性を測定した。
更に、テスト基板を、ロジン系フラックス(タムラ化研製、A−226)を用い、260℃で30秒間はんだ付け処理し、次いでイソプロピルアルコールで10分間洗浄処理した後、MIL−STD−202E、107D条件B(−65℃/30分、常温5分間、125℃/30分)100サイクルの冷熱衝撃試験で、硬化膜について、クラックの発生及び剥がれ有無を確認した。結果を表2に示した。
*テスト基板の仕様
基材厚0.4mm、銅箔厚18μmのガラスエポキシ銅張り積層板(日立化成工業(株)製MCL−E−67)の銅箔をフォトエッチング(IPC−B−25くし型テストパターンB)して得た。
【0068】
【表1】
Figure 0004258687
【0069】
【表2】
Figure 0004258687
【0070】
【発明の効果】
請求項1、2記載の感光性樹脂組成物は、絶縁性、密着性、耐熱衝撃性、耐湿熱性、アルカリ現像性、感度、耐電食性等に優れた高性能な硬化膜を得ることができ、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いられるものである

Claims (2)

  1. 1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有カルボン酸との付加反応で得られる二級水酸基を有する樹脂(A′)又は1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物と不飽和基含有カルボン酸との付加反応で得られる二級水酸基を有する樹脂(A′)に飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂(A″)、光重合開始剤、エラストマー、及び五酸化アンチモン水和物を含んでなる感光性樹脂組成物。
  2. 更に、三酸化アンチモン水和物又はハイドロタルサイト類を含む請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
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