JP4258300B2 - ポリ乳酸系繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸系繊維に関する。さらに、耐屈曲性及び透明性に優れ、更には非石油系資源である植物を原料とする環境循環型のポリ乳酸系繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、柔軟性、耐折強さに優れている樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が知られており、各種容器等の成形品やゴミ袋、包装袋等に使用されている。しかしながら、これらの樹脂は石油を原料としているため、使用後廃棄する際、焼却により地球上の二酸化炭素を増大させ、地球温暖化を助長させてしまう。また、焼却せずに埋設処理しても、自然環境下で殆ど分解されないために半永久的に地中に残留する。また投棄されたこれらのプラスチック類により、景観が損なわれ、海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こっている。
【0003】
近年、植物由来の原料やや微生物により得られる熱可塑性樹脂が注目されている。これらの樹脂は、石油を原料としない、環境循環型の素材であり、焼却しても地球上の二酸化炭素を増大させず、また、焼却せずに埋設処理した場合は、微生物により分解されるため、環境破壊を招くことも少ない。このような樹脂としては、ポリ乳酸やポリヒドロキシ酪酸等があり、特にポリ乳酸はTgが約60℃と最も高く、透明であることなどから、将来性のある素材として、各種繊維材料への用途開発が進められている。
【0004】
しかしながら、ポリ乳酸繊維は脆く、耐折強さも非常に低いため、例えばポリ乳酸繊維を使用した織物を裁断したり、折り曲げ加工するときに糸割れを生じたりするなど、加工性に問題がある。また剛性が高いため、従来使用してきた軟質プラスチックを使用した繊維の代替は困難であった。
【0005】
一般に、樹脂を軟質化する技術として、i)可塑剤の添加、ii)軟質ポリマーのブレンド、iii)コポリマー化等の方法が知られている。このi)可塑剤の添加については、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5などに記載されている。しかしながら、繊維形態についてはほとんど検討されていない。
【0006】
またii)軟質ポリマーを添加する方法は、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9などには、ポリ乳酸にポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルをブレンドすることにより、ポリ乳酸の耐衝撃性を改善することが記載されている。しかしながら、これらの脂肪族ポリエステルとポリ乳酸の相溶性が低いため、透明性が低いものしか得られない。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−335060号公報
【特許文献2】
特開平10−316846号公報
【特許文献3】
特開2002−59499号公報
【特許文献4】
特開2002−60604号公報
【特許文献5】
特開2002−80703号公報
【特許文献6】
特開平9−111107号公報
【特許文献7】
特開平9−272794号公報
【特許文献8】
特開平11−222528号公報
【特許文献9】
特開2001−151906号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、繊維として十分な強度を持ち、且つ熱による収縮が低い特徴を持ちながら、耐屈曲性、透明性に優れたポリ乳酸樹系繊維を提供することである。
【0009】
【課題と解決するための手段】
本発明は、ポリ乳酸(A)に乳酸成分(I)とジカルボン酸がダイマー酸からなるポリエステル成分(II)の重量比が10:90〜90:10の範囲である乳酸系ポリエステルを2〜50wt%ブレンドする事で繊維として十分な強度や、熱による収縮を抑えながら優れた耐折強さと透明性を有する繊維を完成するに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】
乳酸成分(I)としては、乳酸、ラクタイド、ポリ乳酸又はポリラクタイドが挙げられる。ラクタイドは、乳酸2分子が環状二量化した化合物で、立体異性体を有するモノマーであり、L−乳酸2分子からなるL−ラクタイド、D−乳酸2分子からなるD−ラクタイド、及びD−乳酸及びL−乳酸からなるmeso−ラクタイドが挙げられる。
【0011】
L−ラクタイド又はD−ラクタイドのみを含む共重合体は結晶化し、高融点である。従って、用途に応じて3種類のラクタイドを種々の割合で組み合わせることにより、乳酸系ポリエステルの特性を調整することができる。例えば、L/D比又はD/L比を重量比で100/0〜90/10の範囲とすれば、乳酸系ポリエステルが結晶化しやすくなるため、加熱乾燥が容易となり、ポリ乳酸等との混合により本発明のポリ乳酸系組成物を製造する際の、水分による分子量低下を抑えることができる。
【0012】
乳酸成分(I)としては、ポリ乳酸又はラクタイドを原料として用いることが好ましい。原料としてポリ乳酸又はラクタイドを用いた場合、得られる乳酸ポリエステルはブロック共重合体となり、透明性に優れ、かつ優れた耐折強さ付与することができる。
【0013】
ポリエステル成分(II)は、ジカルボン酸(IIa)及びジオール(IIb)をエステル反応させて得られる。
【0014】
ジカルボン酸(IIa)としては、ダイマー酸が用いられる。
【0017】
ジオール(IIb)としては、例えば、エチレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3,3−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、キシリレングリコール、フェニルエチレングリコールなどの炭素原子数2〜45の脂肪族ジオールが挙げられる。これらのジオールは、2種類以上併用して使用することもできる。
【0018】
ジオール(IIb)成分の合計量に対する脂肪族ジオールの割合は、30〜100重量%の範囲が好ましい。
【0019】
ポリエステル成分(II)は、液状のものから固体状のものまであるが、ダイマー酸、ダイマージオール、側鎖を有するプロピレングリコールや1,3−ブタンジオールなどの構成比が高いほど融点や流動点は低くなるため、これらからなるポリエステル成分(II)を原料とする乳酸系ポリエステルは、弾性率が低くなり、ポリ乳酸系繊維に、より優れた柔軟性を付与することができるので、好ましい。
【0020】
ジカルボン酸(IIa)及びジオール(IIb)をエステル反応させて得られるポリエステル成分(II)の重量平均分子量には、特に制限がないが、耐折強さが高いポリ乳酸系樹脂組成物を得るためには、分子量を高くする必要があり、重量平均分子量が2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることが更に好ましく、10,000〜200,000の範囲にあることがより好ましく、20,000〜150,000の範囲にあることが更に好ましく、20,000〜100,000の範囲にあることが特に好ましい。
【0021】
分子量100,000以上の高分子量のポリエステル成分(II)は、ジカルボン酸(IIa)及びジオール(IIb)をエステル反応させて得られるポリエステルに、さらに、鎖伸長剤として酸無水物あるいはポリソシアネートを反応させることにより、製造することができる。本発明で使用するポリエステル成分(II)は、このようにポリソシアネートを鎖伸長剤として用いて得られるポリソシアネート変性ポリエステルをも包含する。
【0022】
次に、乳酸系ポリエステルについて説明する。本発明の乳酸系ポリエステルは、乳酸成分(I)と、ジカルボン酸(IIa)及びジオール(IIb)からなるポリエステル成分(II)とを重量比で(I):(II)=90:10〜10:90、好ましくは60:40〜10:90、より好ましくは50:50〜10:90、特に好ましくは50:50〜15:85で反応させて得られる乳酸系ポリエステルである。乳酸成分(I)の割合がこの範囲より小さくなると、ポリ乳酸との相溶性が低下するため、ポリ乳酸系樹脂組成物の透明性が低下する、逆に(I)の割合がこの範囲より大きくなると得られるポリ乳酸系樹脂組成物の耐屈曲性が低下する。
【0023】
乳酸系ポリエステルは、その重量平均分子量が10,000以上のものが好ましい。さらに、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐折性向上のためには、重量平均分子量が20,000〜200,000の範囲のものが好ましく、30,000〜200,000の範囲のものがより好ましい。一方、分子量の上限は特にないが、一般的に200,000以下であり、使用しやすさから150,000以下である。
【0024】
本発明に用いる乳酸系ポリエステルは、ガラス転移点が60℃以下であるである事が好ましい。ガラス転移点が60℃を超えると、乳酸系ポリエステルの柔軟性が低下するため、可塑剤の添加量を多くしなければならず、可塑剤のブリードアウトが起こりやすくなる。またポリ乳酸との相溶性も低下するため、乳酸系ポリエステルとポリ乳酸とのブレンドにおける透明性も低下する。
【0025】
本発明の乳酸系ポリエステルの製造方法としては、例えば、(1)ラクタイドとポリエステル成分(II)とを、重合触媒の存在下で反応させる方法、(2)乳酸を重縮合してポリ乳酸を得、該ポリ乳酸をポリエステル成分(II)存在下で更に脱水、重縮合することによってポリ乳酸−ポリエステルブロック共重合体を得る方法、(3)乳酸又はラクタイドから得られたポリ乳酸とポリエステル成分(II)とをエステル交換触媒の存在下、溶融混練することによりポリ乳酸−ポリエステルブロック共重合体を得る方法などが挙げられる。
【0026】
また、乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を単に混合あるいは混練しただけではこれらの成分が十分に相溶しないため、得られるポリ乳酸系樹脂組成物の透明性が悪化する。このため、上記のように乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を意図的に反応させることが必要である。
【0027】
本発明の乳酸系ポリエステルは、ポリ乳酸(A)に2〜50wt%ブレンドして繊維状物に紡糸する事が必要である。乳酸系ポリエステルが2wt%以下では耐屈曲性に効果が得られず、50wt%以上では得られた糸の強度が低かったり、乳酸系ポリエステルがブリードアウトする。好ましくは、5〜30%である。
【0028】
又、本発明では繊維の柔軟性を改善するために可塑剤を添加する事も可能である。好ましい可塑剤としては、乳酸系ポリエステルとの相溶性が良好である必要がある。この様な可塑剤としては、脂肪族多価カルボン酸エステル、脂肪族多価アルコールエステル、オキシ酸エステル、ロジン系誘導体等が挙げられる。
【0029】
脂肪族多塩基酸エステルとしては、例えば、ジメチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート等が挙げられる。
【0030】
脂肪族多価アルコールエステルとして、例えば、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノフロピオネート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチレート、ジエチレングリコールジブチレート、ジエチレングリコールモノバレレート、ジエチレングリコールジバレレート、トリエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールモノフロピオネート、トリエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールモノブチレート、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールモノバレレート、トリエチレングリコールジバレレート、トリアセチン、グリセリントリプロピオネート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、テトラグリセリンカプリレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンオレート等が挙げられる。
【0031】
オキシ酸エステル類としては、例えば、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、アセチルトリブチルクエン酸等が挙げられる。
【0032】
また、ロジン系誘導体は、生松脂から揮発性の油を除去するか、またはトール油からその脂肪酸を除去して得られる天然樹脂であるロジンから、水添反応、あるいは不均化反応等により生成した誘導体であり、代表的な市販品としては、パインクリスタルGP−2001(荒川化学工業(株))等が挙げられる。
【0033】
これらは一種又は二種以上の混合物として用いることもできる。特に、トリアセチン、アセチルトリブチルクエン酸、ジブチルセバケート、トリエチレングリコールジアセテート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、テトラグリセリンカプリレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンオレート、ロジン系誘導体は、ポリ乳酸系ポリエステルとの相溶性に優れ好適に用いられる。また、乾燥、成形時を含めて、可塑剤が樹脂組成物の外にブリードアウトしにくくするためには、可塑剤の、熱重量測定による減量開始温度が、200℃以上であることが好ましく、ロジン系誘導体(市販品例:パインクリスタルGP−2001)が特に好ましい。
【0034】
可塑剤の添加量は、ポリ乳酸乳100重量部に対し、5〜50重量部、好ましくは7〜40重量部、より好ましくは10〜30重量部である。可塑剤量が5重量部より少ないと、可塑化効果が不十分となり目的の柔軟性を付与できなくなり、逆に50重量部より多いと、可塑剤のブリードアウトが生じる。
【0035】
乳酸系ポリエステルとブレンドして使用するポリ乳酸(A)は、繊維として十分な結晶性を持たせるためには、繊維の製造時に十分な熱処理を実施する必要があり、ポリ乳酸の融点は150℃以上である事が好ましい。
【0036】
又、本発明のポリ乳酸繊維の引張強度は2.6cN/dtex以上が好ましい。2.6cN/dtex以下では織編み時に強度不足で糸切れが発生する。さらに好ましくは3.0cN/dtex以上である。
【0037】
さらに、熱による収縮を抑えるためには100℃乾熱収縮率が10%以下であることが好ましい。上記範囲内であれば織物、編物を熱セットした時の寸法安定性が良好である。さらに好ましくは8%以下である。
【0038】
又、本発明のポリ乳酸繊維は、ポリ乳酸繊維に1g/dtexの荷重をかけて繰り返し屈曲させた時、屈曲による糸の切断回数が200回以上である。上記範囲以上であれば織機の織スピードを上げてもガイド等の屈曲部での糸切れがない。さらに好ましくは400回以上である。
【0039】
本発明のポリ乳酸繊維の形状は、マルチフィラメント、モノフィラメント、ステープルファイバー、フラットヤーン、スパンボンドなどで使用することができるが、特にモノフィラメントやフラットヤーン形状で使用するのに好適である。
【0040】
又、本発明のポリ乳酸繊維を使用した用途としては、土木用資材、園芸用資材、漁業用資材、農業用資材や医療用に使用するのに好適である。
【0041】
【実施例】
以下に、本発明について実施例を用いて説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
(相対粘度ηrel)
フェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比)の混合溶媒に試料を1g/dLの濃度になるよう溶解し、20℃でウベローデ粘度管を用いて相対粘度を測定した。
【0043】
(強伸度の測定)
島津製作所製引っ張り試験機(RTM−100)を用い、試料長20cm、速度20cm/minで引っ張り試験を行った。破断強度を引っ張り強度、破断伸度を伸度とした。
【0044】
(融点)
リガク製Thermoplus DSC8230を使用して、昇温速度10℃/minにて30℃〜200℃の温度範囲にて測定した。
【0045】
(耐屈曲性)
ポリ乳酸繊維に1g/dtexの荷重をかけて、MIT耐揉疲労試験機((株)東洋精機製作所)により測定し、耐折回数として表示した。
【0046】
(可塑剤のブリードアウト)
ポリ乳酸繊維を温度80℃、湿度70%の恒温恒湿槽内に1時間入れた後の可塑剤のブリードアウトを目視にて観察した。
○:ブリードなし
×:ブリードあり
【0047】
(織テスト)
得られた繊維を経糸、緯糸共に使用して織り機(スルーザー)にて300rpm/minのスピードで織物を作製し、5時間の糸切れを評価した。
◎:糸切れが全くない。操業性が非常に良好。
○:糸切れが1〜5回。操業性良好
×:糸切れ5回以上。操業性不良。
【0048】
製造例1(乳酸系ポリエステルP−1の合成)
撹拌器、精留器、ガス導入管を付した50L反応槽に、ダイマー酸1モル当量とプロピレングリコール1.4モル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトライソプロポキシド70ppmを添加し、0.1kPaまで減圧して3時間撹拌して、GPCを用いたポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が18,000、重量平均分子量(Mw)が30,000の脂肪族ポリエステルを得た。
【0049】
この脂肪族ポリエステル50重量部及びL−ラクタイド50重量部をセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ200ppmを添加し、180℃で3.5時間撹拌した。重合終了後にエチルヘキサン酸ホスフェート500ppmを添加して、GPCを用いたポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が25,000、重量平均分子量(Mw)が50,000、ガラス転移点(Tg)が53℃の乳酸系ポリエステル(P−1)を得た。
【0050】
製造例2〜8(乳酸系ポリエステルP−2〜P−8の合成)
ジカルボン酸、ジオール、ラクタイドの種類、添加量を表1のように変えた以外は、参考例1と同様にして、乳酸系ポリエステル(P−2〜P−8)を合成した。各ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移点(Tg)についても表1〜2に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004258300
【0052】
【表2】
Figure 0004258300
【0053】
実施例1
融点168℃、相対粘度(ηrel)3.9のポリ乳酸90重量部、乳酸系ポリエステル(P−1)10重量部をブレンドして、単軸の押出機を使用し220℃で溶融し、口金ノズル1.2mm×18本から押し出した。水冷却バスを通過した後、94℃の熱水で5.5倍に一段延伸、さらに98℃の熱水で1.2倍に二段延伸して130℃の熱風でヒートセットして560dtexのモノフィラメントを製造した。
【0054】
得られたモノフィラメントの強度は4.6cN/dtex、伸度31.6%、100℃乾熱収縮率が5.8%、耐折性は1,700回であった。得られた糸にて織テストを実施したところ、糸切れもなく非常に良子であった。
【0055】
実施例2〜、比較例1〜
ポリ乳酸、乳酸系ポリエステル、添加量を表3〜5のように変えた以外は実施例1と同様に実施した。
【0056】
【表3】
Figure 0004258300
【0057】
【表4】
Figure 0004258300
【0058】
【表5】
Figure 0004258300
【0059】
実施例2〜については、十分な強度を持ちながら、耐折回数が改善される事で耐屈曲性が改善され、且つブリードアウトも見られなかった。織評価では糸切れもなく良好な糸を得る事ができた。
【0060】
比較例1は乳酸系ポリエステルのブレンド量が少ないために耐折回数が123回と低く、織評価では糸切れが多発した。又、比較例2では乳酸系ポリエステルのブレンド量が多いためにモノフィラメントの強度が低く織にて強度不足による糸切れが多発し、乳酸系ポリエステルもブリードアウトした。
【0061】
さらに、比較例3は乳酸系ポリエステルにおいて、ポリエステル/ラクタイドの比率が10/90未満のために、得られたモノフィラメントの耐折回数が低下し、織評価では糸切れが多発した。又、比較例4のポリエステル/ラクタイドの比率が90/10を超える場合はポリ乳酸との相溶性が低下するために、得られたモノフィラメントの強度が低く、耐折回数も低いために織評価では糸切れが多発した。
【0062】
【発明の効果】
本発明のポリ乳酸系繊維は、実用上十分な強度を持ちながら、透明性に優れ、しかも耐屈曲性を改善しており、従来のポリ乳酸繊維よりも織編みなどの加工性に優れており、より効果的である。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸(A)と、乳酸成分(I)とジカルボン酸がダイマー酸からなるポリエステル成分(II)の重量比が10:90〜90:10の範囲である乳酸系ポリエステル(B)からなり、Bの割合が2〜50wt%であって、1g/dtexの荷重をかけて屈曲させ、繊維が切断するまでこれを繰り返す時に、切断までの回数が200回以上であることを特徴とするポリ乳酸系繊維。
  2. 引張強度が2.6cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系繊維。
  3. 100℃の乾熱収縮率が10%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリ乳酸系繊維。
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