JP4258166B2 - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁束密度の高い方向性電磁鋼板およびその製造方法に関し、特にBi添加鋼について、高い磁束密度を安定して発現させようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
変圧器や発電機の鉄心材料として使用される方向性電磁鋼板は、高磁束密度でかつ低鉄損であることが最も重要な特性として要求される。
今日まで、方向性電磁鋼板の低鉄損化を実現するために様々な手段が講じられてきたが、その中でも最終仕上げ焼鈍後の鋼板の結晶方位を、ゴス方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積させることは、最も重要視されてきた開発目標の一つである。というのは、鉄結晶の磁化容易軸方向である結晶方位<001>が圧延方向に高度に集積することにより、圧延方向への磁化に要する磁化力が小さくなり、保磁力が低下する結果、ヒステリシス損ひいては鉄損が低減するからである。
【0003】
その他、方向性電磁鋼板の重要な要求特性として、磁化した際の騒音が小さいことが挙げられるが、この問題も結晶方位をゴス方位に揃えることによって大幅に改善される。
すなわち、変圧器で生じる騒音の主な原因は、鉄心素材の磁歪振動や電磁振動があることが知られているが、結晶方位のゴス方位への集積度を向上させると、磁歪振動の原因となる90°磁区の生成が抑制されると同時に、励磁電流が低下して電磁振動が抑制され、これらの結果として騒音が低減されるのである。
【0004】
上述したとおり、方向性電磁鋼板にとって結晶方位<001>の圧延方向への集積は最も重要な課題であるといえる。
ここで、結晶方位の集積度の指標としては、B8 (磁化力:800 A/m における磁束密度)が用いられる場合が多く、方向性電磁鋼板の開発はB8 の向上を大きな目標として推進されている。また、鉄損の代表的な値としては、励磁磁束密度:1.7 T, 励磁周波数:50Hzの場合におけるエネルギー損失であるW17/50 が主に使用される。
【0005】
このような方向性電磁鋼板の二次再結晶粒組織は、最終仕上げ焼鈍中の二次再結晶と呼ばれる現象を通じて形成され、この二次再結晶によりゴス方位の結晶粒を優先的に巨大成長させて、所望の磁気特性を有する製品を得る。
上記したような二次再結晶粒の集積を効果的に促進させるためには、一次再結晶粒の成長を選択的に抑制するインヒビタと呼ばれる析出分散相を均一かつ適正なサイズで形成することが重要である。このインヒビタの存在により、一次再結晶粒の正常粒成長が抑制され、最終仕上げ焼鈍中に高温まで細かい一次再結晶の状態が保持されると共に、良好な方位の結晶粒の成長に対する選択性が高まるため、高磁束密度が実現されるのである。一般に、インヒビタが強力で正常粒成長抑制力が強いほど高い方位集積度が得られると考えられている。
【0006】
このようなインヒビタとしては、MnS,MnSe, Cu2-X, Cu2-XSe, AlNおよびBN等の鋼への溶解度の小さい物質が用いられる。例えば、特公昭33−4710号公報や特公昭40−15644 号公報には、最終冷延前の焼鈍で強力なインヒビタであるAlNを形成し、これを利用する技術が開示されている。
【0007】
また、上記のインヒビタ成分に加えて、Sn, As, Bi, Sb,B, Pb, Mo,Te, V, Ge等を付加的に添加することは、二次再結晶粒の方位集積度の向上に対して有効であることが知られている。
これらの付加的インヒビタ元素の中でも、周期律表で5B族元素に分類されるP, As, Sb, Biは、結晶粒界上に偏析することにより、主インヒビタであるMnS,MnSe, Cu2-X, Cu2-XSe, AlN等と共同して正常粒成長抑制力を強化し、磁気特性を高めることが知られており、これらの元素の中でも特にBiは、鉄に対する溶解度が低いことから、粒界偏析効果による正常粒成長抑制力強化元素として注目されている。
【0008】
従来、Biを鋼中に添加することによって高磁束密度を得ようとする技術については、特開平6−88171 号公報や特開平6 −89805 号公報など多数が開示されているが、これらはいずれも、Biを単に素材中に添加することで、Biの高い正常粒成長抑制効果を利用しようとしたものであり、Biの有する作用効果に対して考慮した製造工程が確立されていないために、製品の磁気特性の不安定さを解消することが困難であった。
【0009】
また、特開平6−202716号公報には、Biを包含する4B,5B族元素を素材中に含有させ、熱間圧延中に鋼中で気泡状および/または液状にする方法、さらにこれらの気泡状および/または液状とした元素の粒径を20μm 以下とする方法が開示されている。この技術では、Biの作用効果を、スラブ加熱中にBiが鋼から抜け出る際にインヒビタの析出サイトを増加させる点においているため、スラブを1000℃以上に加熱するという従来の方向性電磁鋼板の製造方法の範疇を出ず、やはり高磁束密度方向性電磁鋼板を安定して製造することは困難であった。
【0010】
さらに、特開2000−109931号公報には、熱間圧延の仕上げ圧延段階での圧下率を88〜98%、また最終冷間圧延での圧下率を80〜95%とし、製品の鋼中に存在するBi量を最終仕上げ焼鈍前の2/3 以下にする技術が開示されているが、最終仕上げ焼鈍中におけるBiの作用を完全には把握できていないため、磁気特性の安定化は完全とは言えなかった。
【0011】
【発明が解決しようする課題】
以上述べたとおり、従来の技術では、Biが二次再結晶に及ぼす影響が的確に把握できていなかったため、良好な二次再結晶を安定して発現させ得ないところに問題を有していた。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、Biの添加によって高い磁束密度を安定して発現させることができる磁束密度の高い方向性電磁鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述したとおり、Biを鋼中添加することにより、二次再結晶方位の尖鋭性が向上し、高磁束密度が実現することは従来から知られていたが、コイルの全幅・全長にわたって安定的して高い磁束密度を得ることは困難であった。
そこで、発明者らは、この原因と解決策について鋭意検討を重ねたところ、
1)最終仕上げ焼鈍板の地鉄中に残存するBiを主体とする析出物の粒径を適正に制御することにより、高磁束密度を安定して得ることが可能となる、
2)そのためには、熱間圧延および冷間圧延での圧下率と最終仕上げ焼鈍の温度条件を的確に管理する必要がある
ことを新たに見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
なお、本発明において、Biを主体とする析出物とは、Biを主成分(含有率:50mass%以上)とし、残部はBiとCu,Sn,Sb,Mn,S,Se,Al,N,B,O,Si,Cr,CおよびMo等との化合物、混合物、複合析出物、さらには固溶体として含む形態からなるものである。以下、本明細書では、単にBi主体析出物という。
【0013】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.地鉄中に、質量%で、
C:0.0060%以下、
Si:2.0 〜5.0 %、
Mn:0.03〜0.20%および
Bi:0.0005〜0.08%
を含有し、残部は Fe および不可避的不純物の組成になり、かつ地鉄中におけるBi主体析出物の平均粒径が 2.0μm 以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
【0014】
2.上記1において、地鉄中のBi主体析出物の平均粒径が、粒径が 0.1μm 以上の該析出物の平均粒径であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
【0015】
3.質量%で、
C:0.01〜0.10%、
Si:2.0 〜5.0 %、
Mn:0.03〜0.20%および
Bi:0.001 〜0.10%
を含有し、かつ
SおよびSeのうちから選んだ1種または2種の合計:0.005 〜0.030 %、
sol.Al:0.010 〜0.035 %および/またはB:0.0010〜0.015 %、
N:0.0015〜0.0130%
を含有し、残部は Fe および不可避的不純物の組成になる溶鋼を、鋳造してスラブとし、ついでこのスラブを加熱後、熱間圧延し、ついで必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延によって最終板厚にするか、または熱延板焼鈍後、1回の冷間圧延によって最終板厚としたのち、脱炭焼鈍し、ついで最終仕上げ焼鈍を施してから、絶縁コーティングを塗布、焼き付ける一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
スラブから熱延板に熱間圧延する際の圧下率を98.5%以上、冷間圧延の圧下率を85%以上とし、最終仕上げ焼鈍における昇温中、800〜1000℃間の昇温速度を1.5 ℃/h以上、800〜1000℃の温度域での滞留時間を8〜80時間とし、1000℃以上の温度域での滞留時間を15〜100 時間とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0016】
4.上記3において、タンディッシュ内へ移動中の溶鋼流に対してBiを添加することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0017】
5.上記3または4において、溶鋼が、さらに質量%で
Cr:0.05〜0.5 %、
Cu:0.05〜0.5 %、
Sn:0.01〜0.10%および
Sb:0.01〜0.10%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を由来するに至つた実験結果について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
(実験1)
C:0.06%,Si:3.25%, Mn:0.07%, P:0.003 %, S:0.003 %, sol.Al:0.023 %, Se:0.020 %, Sb:0.030 %,N:0.0082%およびBi:0.020 %を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるスラブ(厚さ:200 mm)を準備し、熱間圧延により厚さ:2.5 mmの熱延板とした。ついで、均熱温度:900℃、均熱時間:100 秒の熱延板焼鈍後、酸洗してから、1回目の冷間圧延により1.5 mmの厚さとし、ついで1050℃, 100秒の中間焼鈍後、酸洗してから、2回目の冷間圧延により0.23mmの最終製品厚とした。ついで、脱脂後、 850℃, 120秒間の一次再結晶を兼ねる脱炭焼鈍を施したのち、MgOを主成分としTiO2を5%含有する焼鈍分離剤を塗布・乾燥してから、最高到達温度:1180℃の最終仕上げ焼鈍を施した。ここで、最終仕上げ焼鈍のヒートパターンは、図1に示す(イ),(ロ),(ハ)の3種類とし、 図中(イ−2),(ロ−2),(ロ−4),(ハ−2),(ハー4)の領域の昇温速度および(イー3),(ロー5),(ハー5)の保定時間を変化させることによって、 800〜1000℃の温度域および1000℃以上の温度域の滞留時間を変化させた。
【0019】
ついで、リン酸マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とする絶縁性の張力コーティングを塗布、焼き付けることによって張力付与効果のある絶縁被膜を形成した。その後、圧延方向と直角方向に8mm間隔でプラズマ炎を線状照射する磁区細分化処理を行った。
かくして得られた鋼板から、圧延方向に長さ:280 mm、幅:30mmの試片を各条件ごとに50枚採取し、小型SST 試験器によって試片毎の磁束密度B8 を測定し、B8 ≧1.96Tを満足する試片の収率を求めた。
図2に、得られた結果を、 800〜1000℃の温度域での滞留時間および1000℃以上の温度域での滞留時間との関係で示す。
【0020】
同図に示したとおり、ヒートパターン(イ),(ロ)の場合には、 800〜1000℃の温度域での滞留時間が8〜80時間でかつ、1000℃以上の温度域での滞留時間が15時間以上の条件下でB8 ≧1.96Tの収率が98%以上となった。
これに対し、(ハ)のヒートパターンの場合にはB8 ≧1.96Tが得られる領域はごく狭く、またその範囲は不確定であった。
【0021】
次に、上記の製造方法で磁気特性の安定性の良否を分けた原因を調査すべく、製品の地鉄部分の断面試料を作製してSEM による観察を行い、製品地鉄中に残留するBi主体析出物の観察を行い、その平均粒径を求めた。
図3に、Bi主体析出物の平均粒径とB8 ≧1.96Tの収率との関係について調べた結果を示す。
同図から明らかなように、製品中のBi主体析出物の平均粒径を2μm 以下とすることによって、高い収率で高磁束密度が達成されることが分かる。
従って、上記実験での最終仕上げ焼鈍条件の適正化による高磁束密度の安定化は、製品板中のBi主体析出物粒径の適正な制御を通じてなされることが判明し、本発明の基礎的知見を得るに至った。
【0022】
(実験2)
実験1と同じ素材を用い、同様の工程にて表1記載の条件にて、スラブ厚さ、冷間圧延の圧下率、最終仕上げ焼鈍の焼鈍条件を変化させる実験を行った。ここで、スラブ厚さは、連続鋳造にて鋳込んだ後、室温まで冷却して計測した厚さとした。また、最終仕上げ焼鈍でのヒートパターンは、図1の(ロ)または(ハ)とし、(ロ−3)領域の昇温速度、(ハー3)領域の保定時間を変化させた。
得られた製品板のB8 ≧1.96Tの収率およびBi主体析出物の平均粒径について調べた結果を、表1に併記する。
【0023】
【表1】
Figure 0004258166
【0024】
同表に示したとおり、Bi主体析出物の平均粒径を2μm 以下として高磁束密度材を高い収率で得るためには、スラブから熱延板を製造する際の総圧下率を98.5%以上とし、かつ冷間圧延における総圧下率を85%以上とする必要があることが判明した。また、最終仕上げ焼鈍の昇温中、 800〜1000℃の温度域における昇温速度は1.5 ℃/h以上とする必要があることも判明した。
【0025】
以上の知見により、製品地鉄中のBi主体析出物の平均粒径を適正に制御して高磁束密度を安定的に得るためには、熱延および冷延における圧下率ならびに最終仕上げ焼鈍の際の温度条件を適正に制御する必要があることが判明し、本発明を完成するに至ったのである。
【0026】
以下、この発明の方向性電磁鋼板とその製造方法に関する作用と限定理由について述べる。
まず、本発明において、製品板の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.0060%以下
Cは、変態を利用して熱延組織を改善するのに有用な元素であるだけでなく、ゴス核の発生に有用な元素であり、出発材料中には少なくとも0.01%含有を必要とするが、0.10%を超えると脱炭焼鈍において脱炭不良を起こすので、出発材料中のCは0.01〜0.10%の範囲とする必要がある。
しかしながら、このCは、時効劣化を防止するために脱炭焼鈍で添加した大部分を除去するので、製品の地鉄中の残留量は0.0060%以下となる。
【0027】
Si:2.0 〜5.0 %
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を低下させると共に、鉄のα相を安定化させて高温の熱処理を可能とするために必要な元素であり、少なくとも 2.0%の含有を必要とするが、 5.0%を超えると冷延が困難となるので、Siは 2.0〜5.0 %の範囲に限定した。
なお、Siは素材中に添加したほぼ全量が製品の地鉄中に残存する。
【0028】
Mn:0.03〜0.20%
Mnは、鋼の熱間脆性の改善に有効に寄与するだけでなく、SやSeが混在している場合には、MnSやMnSe等の析出物を形成しインヒビタとしての機能を発揮する。しかしながら、Mn量が0.03%より少ないと上記の効果が不十分であり、一方、0.20%を超えるとMnSe等の析出物の粒径が粗大化してインヒビタとしての効果が失われるため,Mnは0.03〜0.20%の範囲に限定した。
なお、Mnは素材中に添加したほぼ全量が製品の地鉄中に残存する。
【0029】
Bi:0.0005〜0.08%
Biは、正常粒成長を強力に抑制することでゴス方位集積度の向上を実現する元素である。これは、Biが、AlNやMnS, MnSe, CuS, CuSe, BN等の析出分散型インヒビタと比較して高温まで抑制力付与効果が持続するため、高温域まで微細な一次再結晶粒径が保たれ、二次再結晶の蚕食の際の駆動力が高まることによると考えられる。
このような作用を有するBiが最終仕上げ焼鈍中に鋼から過度に消失せずに製品の地鉄中に一定量だけ残留することにより、高温域まで正常粒成長抑制効果が保たれて高い結晶方位集積度が実現される。しかしながら、製品の地鉄中のBi量が0.0005%を下回るとこのような正常粒成長抑制効果が十分でなく、一方0.08%を超えて残留するような場合には最終仕上げ焼鈍中の被膜形成を劣化させるので、Biは0.0005〜0.08%の範囲に限定した。
【0030】
Bi主体析出物の平均粒径:2.0 μm 以下
鋼中に分散したBi主体析出物が、最終仕上げ焼鈍中に正常粒成長を強固に抑制する理由は、高温域でBiは一次再結晶粒の結晶粒界に優先的に濃化して結晶粒界の移動を妨げる作用によると考えられる。このためには、二次再結晶前の状態において、Bi主体析出物が十分微細に分散している必要がある。というのは、微細に分散しているほど一次再結晶粒の粒界にBiが均一に拡散し、抑制力の不均一が無くなるからである。このような微細分散を達成するためには、スラブに鋳込まれた後、強加工により鋼中のBi主体析出物を分断・分散させる必要があり、熱間圧延と冷間圧延を十分な圧下率で行う必要がある。
本発明は、最終仕上げ焼鈍中のBiの挙動に着目し、最終仕上げ焼鈍条件の制御により最終仕上焼鈍後の鋼板中におけるBi主体析出物の粒径を適正範囲とすることで高磁束密度を安定して得るものである。
【0031】
Biの添加が方向性電磁鋼板の二次再結晶に及ぼす影響として、強力な正常粒成長抑制効果があり、このために二次再結晶開始温度は通常の方向性電磁鋼板よりも高く、1000℃を超えると考えられる。このため、最終仕上げ焼鈍工程においては、1000℃以下の二次再結晶開始前の温度域と、1000℃以上の二次再結晶開始前後の温度域とを分けて考える必要がある。
まず、 800℃以上、1000℃以下の温度域で一次再結晶粒の粗大化が顕著に進行するが、この温度域では粒界移動の進行と同時に鋼中Biが粒界に浸透・拡散すると考えられる。すなわち、二次再結晶粒の核発生の潜伏期であり、ここで粒界にBiが十分に浸透することで高温域での二次再結晶が良好に進行すると予想される。
以上から、熱間圧延と冷間圧延の圧下率を十分に高くして鋼中のBi主体析出物の分散性を高めると共に、最終仕上げ焼鈍中の 800〜1000℃温度域に適正な時間滞留させることで結晶粒界へのBiの浸透・拡散が起こり、より高温域での抑制力が確保され、さらに1000℃以上の温度域に適正時間滞留させることで、粒界を通じて鋼中Biが地鉄外に放出されつつ二次再結晶が完了するものと推定される。
【0032】
従って、鋼中Biが最終仕上げ焼鈍中の抑制力強化に有効に作用した場合、Biが結晶粒界を通じて地鉄外に放出される量が増加するために、最終仕上げ焼鈍後の地鉄中のBi主体析出物の粒径が十分に細かくなり、このような条件下では高い磁束密度が達成されると結論できる。また、二次再結晶終了後には結晶粒界の密度は二次再結晶前に比べて格段に低下するため、Bi主体析出物の粒径低下はあまり進行しない。また、二次再結晶終了後の平坦化焼鈍、歪取り焼鈍などで鋼中のBi量が増減することはない。
よって、製品地鉄中のBi主体析出物の粒径に関して、平均粒径が 2.0μm を超える場合には、最終仕上げ焼鈍中の粒界を通じてのBiの拡散が十分に行われていないことになり、正常粒成長抑制力が十分に作用しないために高い磁束密度が達成されない。
【0033】
ここで、Bi主体析出物の平均粒径は、製品の地鉄をある断面で切ったときに観察されるBi主体析出物の円相当径を個々の粒子に関して測定し、これを平均した量として定義する。なお、最終仕上げ焼鈍後の地鉄中のBi主体析出物の形状はほぼ球形であるので、観察する断面の方向は特に限定されない。また統計精度の確保のためには、50個以上のBi主体析出物について評価することが好ましい。Biは鉄に比べて原子量の大きい元素であるためSEM による観察が適している。
【0034】
なお、粒径が 0.1μm 未満のBi主体析出物に関しては観察および評価が困難であるだけでなく、 0.1μm 以上の粒子が十分に存在する場合にはこれらの粒子の平均粒径で代表可能であるので、現実には 0.1μm 以上の粒子のみで求めた平均値が 2.0μm 以下であれば良い。
【0035】
次に、出発材料における素材成分の好適範囲について説明する。
C:0.01〜0.10%
Cは、変態を利用して熱延組織を改善するのに有用な元素であるだけでなく、ゴス核の発生に有用な元素であり、出発材料中には少なくとも0.01%含有を必要とするが、0.10%を超えると脱炭焼鈍において脱炭不良を起こすので、出発材料中には0.01〜0.10%を含有させる必要がある。
なお、このCは、時効劣化を防止するために脱炭焼鈍で添加した大部分を除去するので、製品の地鉄中の残留量は0.0060%以下となることは、前述したとおりである。
【0036】
また、SiやMnについては、製品板について前述したところと同じである。
【0037】
Bi:0.001 〜0.10%
Biは、一次再結晶粒の粒界に優先的に濃化し、焼鈍中の粒界の移動度を低下させることにより、二次再結晶開始温度を上昇させて磁束密度を向上させる作用がある。このような効果はSb,As等と類似であるが、Biは鉄に対する溶解度が特に低く、かつ融点が 271℃と非常に低いため、粒界上に遍在する傾向が強く、最終仕上げ焼鈍の高温域で鋼中から抜け出るために、通常のインヒビタ成分と比較して強い抑制力を付与することが可能である。
またBiは、Sb等の同様、粒界偏析型の抑制力強化元素であるため、MnS,MnSe, Cu2-X, Cu2-XSe, AlNおよびBN等のような析出分散型のインヒビタと同時に鋼中に存在させることで、これらいずれに対しても磁気特性の向上作用を有する。
ここに、Bi量が 0.001%に満たないと、上記の粒界への濃化による正常粒成長抑制効果が発揮されず、一方0.10%を超えて添加量を増やしても、鋼中でのBi主体析出物の粒経が粗大化して抑制力を強化する効果の増加が見込めず、さらには被膜外観の劣化が顕著なるため、Biは 0.001〜0.10%の範囲で添加するものとした。
【0038】
SおよびSeのうちから選んだ1種または2種の合計:0.005 〜0.030 %
SやSeは、MnやCuと結合してMnS,MnSe, Cu2-X, Cu2-XSeを形成し、鋼中の分散第二相としてインヒビタの作用を発揮する有用成分である。これらS,Seの合計量が 0.005%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.030%を超えるとスラブ加熱時の固溶が不完全となるだけでなく、製品表面の欠陥の原因ともなるため、これらは単独添加または複合添加いずれの場合も 0.005〜0.030 %の範囲に限定した。
なお、SやSeの製品中における残存は、上記した析出物により鉄損を劣化させる原因となるのでできるだけ低減する必要がある。このため最終仕上げ焼鈍により、S,Seの合計で 60ppm以下に低減される。
【0039】
sol.Al:0.010 〜0.035 %および/またはB:0.0010〜0.015 %
AlやBは、鋼中でAlNやBNを形成して分散第二相としてインヒビタの作用を発現する有用元素であるが、Al量が 0.010%に満たなかったりB量が0.0010%に満たないと十分な析出量が確保できず、一方Alを 0.035%を超えて添加したりBを 0.015%を超えて添加するとAlNやBNが粗大に析出してインヒビタとしての作用が失われるため、sol.AlおよびBはそれぞれ単独添加または複合添加いずれの場合も、sol.Al:0.010 〜0.035 %、B:0.0010〜0.015 %の範囲に限定した。
なお、AlやBの製品中の残留もAlN, BNの析出により鉄損を劣化させる原因となるため、最終仕上げ焼鈍により、製品地鉄中の残留量をそれぞれ50ppm 以下とすることが好ましい。
【0040】
N:0.0015〜0.0130%
Nは、AlやBと同時に鋼中に添加することによってAlNやBNを形成するために必要な元素である。
N添加量が0.0015%を下回るとAlNやBNの析出が不十分となりインヒビタ効果が十分に得られず、一方0.0130%を超えて添加するとスラブ加熱時にふくれ等を生じるため、N量は0.0015〜0.0130%の範囲に限定した。
なお、Nの製品中の残留もAlNの析出により鉄損を劣化させる原因となるため、最終仕上げ焼鈍により、製品地鉄中の残留量を15 ppm以下とすることが好ましい。
【0041】
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cr:0.05〜0.5 %、Cu:0.05〜0.5 %、Sn:0.01〜0.10%、Sb:0.01〜0.10%
これらはいずれも、粒界偏析型のインヒビタ元素であるが、これらの補助的インヒビタ元素を添加することによって抑制力がさらに強化され、磁束密度の安定性を高めることができる。いずれの元素についても、含有量が下限値を下回ると十分な抑制力補助効果が得られず、一方上限値を超えて添加すると飽和磁束密度の低下やAlN, BN等の主インヒビタの析出状態を変化させて磁気特性の劣化を招くので、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。
【0042】
次に、本発明に従う方向性電破鋼板の製造条件の限定理由について述べる。
熱間圧延での圧下率:98.5%以上
Biは、製鋼工程のいずれかの段階で添加され、通常は連続鋳造によりスラブに鋳込まれる。この時、スラブ中での鋼中のBiの分散状態は溶鋼が凝固するまでに決定される。従って、スラブに鋳込まれた後は最終仕上げ焼鈍での結晶粒界を通じたBiの消失が起こる他は、基本的には拡散等によるBiの移動は起こらない。このため、スラブに鋳込み後、製品板厚に至る過程で強圧下されることにより鋼中でのBiの分散が促進される。すなわち、圧延中の鉄の移動に伴い、鋳込み後は粗大であったBi粒子すなわちBi主体析出物が伸張、分断されて微細な粒子となる。特に熱間圧延では圧延中の変形量が大きいため、Bi主体析出物の微細化には有利である。まず、このための条件として、連鋳機での鋳込み後のスラブ厚みを元厚t0 とし、熱延板の厚さをt1 とするとき、(t0 −t1 )/t0 ×100 (%)で定義される熱間圧延での総圧下率を十分に高くする必要がある。ここで、t0、t1 は室温まで冷却後の測定値とする。また、スラブの元厚t0 は連鋳で鋳込んだ後のスラブの厚みとする。ガス炉での加熱の後にスラブの軽圧下を行う場合も、ここでの圧下分を熱延での上記の総圧下率に含める。これはガス炉加熱中には鋼中でのBiの移動はほどんど起こらないからである。
上記により決定される熱延での総圧下率が98.5%に満たないと、素材中のBi主体析出物の粒径が粗大となり、最終仕上げ焼鈍前および最終仕上げ焼鈍後に適正な粒径が得られず高磁束密度が達成されないため、上記の範囲に限定した。
【0043】
冷間圧延での圧下率:85%以上
冷間圧延での強圧下も鋼中のBi主体析出物を分断するのに有利であり、この圧下率を85%以上とする必要がある。ここでの圧下率は、熱延板の板厚(冷却後)をt1 、最終冷間圧延後の板厚をt2 とすると、(t1 −t2 )/t1 ×100 (%)により定義される。
この圧下率が85%に満たないと冷間圧延中のBi主体析出物の分断が十分でなく、鋼中のBi主体析出物の微細化が不十分となるため、最終仕上げ焼鈍前および最終仕上げ焼鈍後に適正な粒径のBi主体析出物が得られず高磁束密度が達成されないので、上記の範囲に限定した。
【0044】
次に、本発明における最も重要な要件である最終仕上げ焼鈍の限定理由と作用について説明する。
800 〜1000℃の温度域での滞留時間:8〜80時間
前述したように、最終仕上げ焼鈍中における 800〜1000℃の温度域での滞留時間が8時間に満たない場合や80時間を超える場合には、最終仕上げ焼鈍後の地鉄中のBi主体析出物の平均粒径が 2.0μm 超となり、良好な磁気特性が得られない。
また、 800〜1000℃の温度域では地鉄外へのBiの放出は起こらないものの、地鉄内部では一次再結晶粒の粒界の移動に合わせてBiが粒界上に広がる。このため800 〜1000℃の温度域での滞留時間が8時間に満たないと、一次再結晶粒の粒界上でのBi濃度が低くなり、十分な抑制力が得られない結果、高磁束密度が得られない。また同時に1000℃以上でのBiの地鉄外への放出が促進されず、製品板中に粗大なBi主体析出物を残すことになる。
一方、 800〜1000℃の温度域での滞留時間が80時間を超えた場合も製品地鉄中のBi主体析出物が粗大となり、磁気特性が劣化する。これは 800〜1000℃の温度域での滞留時間が過剰になると板厚表層部へのBiの濃化が起こり、被膜形成が阻害される結果、1000℃以上の温度域でのコイル層間雰囲気中へのBiの蒸発が阻害されて、鋼中に粗大なBi主体析出物が残留することによるものと考えられる。このような条件では表層部と内部の抑制力のバランスの劣化やBiによる抑制力過剰により二次再結晶が不安定となり、安定的な高磁束密度が達成されないと考えられる。
【0045】
1000℃以上の温度域での滞留時間:15〜100 時間
1000℃以上の温度域では、二次再結晶までの段階で鋼中Biは粒界上に濃化して正常粒成長を抑制しつつ地鉄外に出ていくと考えられる。従って、Biの消失が活発になるのは1000℃〜二次再結晶開始までの温度といえる。Biを添加した材料では、抑制力の強化により二次再結晶開始温度が通常の材料よりも高く、1000〜1200℃の温度域で二次再結晶が開始するため、この温度域に十分な時間だけ保持することで二次再結晶が完結する。ここで、1000℃以上の温度域とは最高温度での保定中および降温中も含むものとする。Biを含有しない通常の素材では二次再結晶開始温度が 970℃以下と低いため、このような現象は起こらず、単に二次再結晶温度以上の温度とするだけで二次再結晶が完了する。しかしながら、Biを含有する本発明の素材では、1000℃以上の温度域の滞留時間が15時間を下回る場合、二次再結晶が未完全になるなどして磁気特性の劣化を招くので上記範囲に限定した。また、1000℃以上の温度域の滞留時間が100 時間を超える場合は生産性の低下などの問題を伴うため 100時間以内に限定した。
【0046】
800 〜1000℃間の昇温速度:1.5 ℃/h以上
前述した実験2では、昇温中に温度を一定に保った条件で高磁束密度材の収率が低下し、同時に製品地鉄中のBi主体析出物の粒径が粗大となった。この原因として、一次再結晶粒の粒界移動とBiの粒界拡散のバランスの不均衡が考えられる。すなわち、一定温度に保持された場合、粒界移動速度が昇温中に比べて低下するため粒界とBi主体析出物の遭遇頻度が低くなり、鋼中のBiは特定の粒界へのみ拡散して抑制力が不均一となるため、高い磁束密度が得られにくくなると考えられる。この場合、粒界とBi主体析出物の遭遇頻度が低下するので製品の地鉄中に粗大なBi主体析出物が残留すると推定される。このような理由で、上記した昇温速度の制御は、正常粒成長とBiの粒界への浸透が活発化する 800〜1000℃の温度域にて行う必要がある。
以上により、最終仕上げ焼鈍における昇温中 800〜1000℃の温度域での昇温速度が 1.5℃/hを下回った場合には、一次再結晶粒界上のBiの濃度が不均一となったり、地鉄中のBi主体析出物の平均粒径が 2.0μm 超となり、高磁束密度が安定的に得られなくなるので、1.5 ℃/h以上に限定した。
なお、上記の昇温速度は、1時間単位で計測したときの最小の昇温速度を示すものとし、 800〜1000℃間で少なくとも1.5 ℃/hの昇温速度を保つ必要がある。昇温速度が 1.5℃/hを下回る時間が1時間未満では上記の影響による磁気特性の劣化は少ない。
【0047】
タンデイッシュ内へ移動中の溶鋼流へのBi添加
最終仕上げ焼鈍以前の鋼中Bi主体析出物の微細分散と最終仕上げ焼鈍での更なる粒径低減は、上記の方法で達成可能であるが、より望ましくはBiの溶鋼への添加をタンディッシュ内へ移動中の溶鋼流に対して行うのが好ましい。これは、鉄に対する固溶度が極めて低いBiを鉄中に有効に分散させるには、十分高い撹拌エネルギーを添加時に与えることが有効だからである。
【0048】
その他の製造条件については次のとおりである。
本発明の方向性電磁鋼板の製造に使用される珪素鋼スラブは,インヒビタ成分の固溶のため、1350℃以上の高温に加熱される。しかしながら、窒化等により後工程でインヒビタを補強する場合は、この加熱温度を1280℃以下とすることができる。ついで、熱間圧延後、焼鈍処理と冷間圧延を組み合わせて最終板厚とし、脱炭焼鈍および最終仕上げ焼鈍を施したのち、絶縁張力コーティングを焼き付けて製品とする。
ここで、最終板厚とする方法としては、
1)熱間圧延後、熱延板焼鈍を施したのち、中間焼鈍を含む2回の冷間圧延で最終板厚とする方法、
2)熱間圧延後、熱延板焼鈍を施したのち、1回の冷間圧延で最終板厚とする方法、
3)熱間圧延後、熱延板焼鈍を施さずに、中間焼鈍を含む2回の冷間圧延で最終板厚とする方法
等が考えられるが、本発明ではこれらいずれの工程をとることも可能である。
また、熱延板焼鈍や中間焼鈍で焼鈍雰囲気を酸化性にして、表層を弱脱炭する処理を施したり、焼鈍の冷却過程を急冷として鋼中の固溶Cを増加させる処理や、これに引き続き鋼中に微細炭化物を析出させるための低温保持処理を行うことは、製品の磁気特性を向上させる上で有効である。
さらに、冷間圧延を 100〜300 ℃の温間で行ったり、パス間で時効処理を施すことも、磁気特性を向上させる上で有利に作用する。
【0049】
脱炭・一次再結晶焼鈍後、二次再結晶開始までの間に鋼中に 300 ppm以下の範囲でNを含ませる窒化処理を施す技術も、公知のように抑制力補強のために有効であり、本発明と組み合わせることで被膜特性と磁気特性に優れた製品を製造することが可能である。
脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上げ焼鈍を行ったのち、絶縁コーティングを塗布、焼き付けし、さらには平坦化を兼ねた平坦化焼鈍を施して製品とする。
【0050】
上記の製法方法と併せて、従来の磁区細分化法を適用することは製品の鉄損低減に有利に作用する。というのは、本発明の方向性電磁鋼板は、高い磁束密度が安定して得られるため、磁区細分化処理による鉄損低滅効果が極めて高いからである。非耐熱型磁区細分化法の場合は、平坦化焼鈍後、レーザーやプラズマ炎による熱歪みを鋼板の圧延方向に対して40〜90°の角度で線状に照射する。耐熱型磁区細分化法の場合は、上記工程において、最終冷間圧延以降にエッチングなどで溝を形成する方法や歯車ロールによる圧下によって溝を形成する方法があり、この場合も同様に圧延方向となす角度は45〜90°とすることが好ましい。
【0051】
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造技術は、最終仕上げ焼鈍でフォルステライト被膜を形成させず、平滑な表面としたのち、人工的な張力被膜を表面させる技術にも適用可能である。本発明で得られる磁束密度の高い方向性電磁鋼板は、平滑化と磁区細分化処理を併用した超低鉄損材の製造に極めて有利となる。ここで、鏡面化材を得る方法としては、最終仕上げ焼鈍後の鋼板の表面のフォルステライト層を研磨や酸洗で除去する方法や、アルミナなどフォルステライト被膜を形成させない焼鈍分離剤を用いる方法、MgOを主成分とする焼鈍分離剤に塩素を含有した化合物を添加する方法などがある。一方、人工的張力被膜の形成方法としては、TiNを鋼板表面に蒸着させる方法や、ゾル−ゲル法による方法などいずれもが適用可能である。
【0052】
【実施例】
実施例1
表2に示す成分を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる18種の珪素鋼スラブ(厚さ:230 mm) を、ガス加熱炉に装入し1230℃まで加熱し、60分間保定したのち、誘導加熱により1400℃,30分間加熱してから、熱間圧延によって 2.5mmの熱延板厚とした。ついで、 900℃, 1分間の熱延板焼鈍後、酸洗し、1回目の冷間圧延により厚さ:1.6 mmとした後、1000℃, 1分間の中間焼鈍を施し、酸洗後、最高到達温度:220 ℃の2回目の冷間圧延により0.23mmの最終板厚とした。ついで, 均熱過程の酸化性がP(H20)/P(H2)=0.45の雰囲気中にて 850℃, 100 秒間で脱炭焼鈍を施した後、TiO2:5%とSr(OH)2 ・8H2O:2%を含有するMgO主体の焼鈍分離剤を鋼板の片面当たり:6g/m2塗布してから、コイルに巻き取った。その後、 800〜1000℃間の滞留時間が20時間となるように 1.5℃/h以上の一定速度で昇温し、さらに1000℃以上の温度域に50時間滞留(最高到達温度:1200℃×5時間)させる最終仕上げ焼鈍を施した。
ついで、残留分離剤を除去してから、コロイダルシリカとリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張力コーティングを鋼板の片面当たり:5g/m2の目付量にて塗布・焼き付けた。さらに、圧延方向と直交する方向に6mm間隔でプラズマ炎による磁区細分化処理を施して製品とした。
【0053】
かくして得られた製品コイルの全長の両端および両端から1/4 の部位のサンプルを採取し.圧延方向に長さ:400 mm、幅:100 mmのSST 試片をぞれぞれの部位で幅方向に10枚採取し、それぞれの試片の磁気特性を測定した。
このデータを用いて、B8 ≧1.96Tの部分の収率と平均鉄損W17/50 を求めた。また、地鉄部分を剪断・研磨後、 SEMよるBi主体析出物の観察を行った。
得られた結果を表3に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0004258166
【0055】
【表3】
Figure 0004258166
【0056】
表3に示したように、本発明に従い得られた方向性電磁鋼板では、地鉄中Bi主体析出物の平均粒径が 2.0μm 以下になっていて、高磁束密度の方向性電磁鋼板が高い収率で得られており、また平均の鉄損値も極めて低かった。
【0057】
実施例2
表2に示した鋼記号Gの素材を用い、表4に示す工程により実施例1の方法に準じて方向性電磁鋼板を製造した。なお、最終仕上げ焼鈍工程における昇温のヒートパターンは図4のとおりとし、温度T1 ,T2 および昇温速度X1 ,X2 を種々に変化させた。
かくして得られた製品コイルの全長の両端および両端から1/4 の部位のサンプルを採取し、圧延方向に長さ:400 mm、幅:100 mmのSST 試片をぞれぞれの部位で幅方向に10枚採取し、それぞれの試片の磁気特性を測定した。
このデータを用いて、B8 ≧1.96Tの部分の収率と平均鉄損W17/50 を求めた。また、地鉄部分を剪断・研磨後、 SEMよるBi主体析出物の観察を行った。
得られた結果を表5に示す。
【0058】
【表4】
Figure 0004258166
【0059】
【表5】
Figure 0004258166
【0060】
表5に示したとおり、本発明に従い得られた方向性電磁鋼板は、地鉄中Bi主体析出物の平均粒径が 2.0μm 以下であり、高磁束密度の方向性電磁鋼板が高い収率で得られていて、平均の鉄損値も極めて低かった。
【0061】
実施例3
C:0.07%, Si:3.30%, Mn:0.15%,P:0.003 %, S:0.006 %,Al:0.025 %, Cr:0.3 %, Sn:0.05%,Cu:0.15%, N:0.0035%およびBi:0.015%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼スラブ(厚さ:180 mm)を、1150℃, 90分間加熱した後、熱間圧延によって 2.0mm厚の熱延板とした。ついで、 900〜1150℃, 1分の熱延板焼鈍後、酸洗し、1回目の冷間圧延により厚さ:1.2 mmとした後、 900〜1150℃, 1分間の中間焼鈍を施してから、酸洗し、最高到達板温:250 ℃の2回目の冷間圧延により0.27mmの最終板厚とした。ついで, 脱炭焼鈍を行い、引き続き NH3雰囲気中でN含有量が0.020 %となるように窒化焼鈍を行った。その後、TiO2:5%を含有するMgO主体の焼鈍分離剤を鋼板の片面当たり:5.0 g/m2塗布してから、 800〜1000℃の温度域における滞留時間を7時間または20時間とする最終仕上げ焼鈍を施した。いずれの条件においても 800〜1000℃間の最小の昇温速度を10℃/h以上とし、また1000〜1200℃の温度域での滞留時間は50時間とした。その後、リン酸マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とする絶縁張力コーティングを、鋼板の片面当たり:5g/m2の目付量にて塗布してから、歯車ロールによる磁区細分化処理を圧延方向と直角に4mmピッチ、深さ:15μm で行い、製品とした。
【0062】
かくして得られた製品コイルの全長の両端および両端から1/4 の部位のサンプルを採取し.圧延方向に長さ:400 mm、幅:100 mmのSST 試片をぞれぞれの部位で幅方向に10枚採取し、それぞれの試片の磁気特性を測定した。
このデータを用いて、B8 ≧1.96Tの部分の収率と平均鉄損W17/50 を求めた。また、地鉄部分を剪断・研磨後、 SEMよるBi主体析出物の観察を行った。
得られた結果を表6に示す。
【0063】
【表6】
Figure 0004258166
【0064】
同表に示したとおり、本発明に適合する条件で処理した場合には、高いB8 安定性が低い鉄損に併せて得られている。
【0065】
実施例4
表2に示した鋼記号Mの素材スラブ(厚さ:145 mm)を、ガス加熱炉に装入し1230℃まで加熱し、60分間保定したのち、誘導加熱により1400℃, 30分間加熱してから、熱間圧延により 2.0mm厚または 2.5mm厚の熱延板とした。ついで、1050℃, 1分の熱延板焼鈍後、酸洗し、冷間圧延(最高到達温度:150 ℃)によって0.27mmの最終板厚とした。ついで、レジストエッチングにより圧延方向と80°の角度で深さ:25μm 、間隔:4mmにて線状の溝を導入した。ついで、均熱過程の酸化性がP(H20)/P(H2)=0.50の雰囲気中にて 850℃, 100 秒間の脱炭焼鈍を施した後、TiO2:2%と Sr(OH)2 ・8H20:2%を含有するMgO主体の焼鈍分離剤を、鋼板の片面当たり:5g/m2塗布してから、コイルに巻き取った。その後、 800〜1000℃間の滞留時間が20時間となるように少なくとも 1.5℃/h以上の一定速度で昇温し、さらに1000℃以上の温度域に50時間滞留(最高到達温度:1180℃×5時間)させる最終仕上げ焼鈍を施した。
その後、残留分離剤を除去してから、コロイダルシリカとリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張コーティングを鋼板の片面当たり:5g/m2の目付量にて塗布・焼き付け、続いてレーザ光を圧延方向となす角度:80°にて7mmピッチで照射する磁区細分化処理を施して製品とした。
【0066】
かくして得られた製品コイルの全長の両端および両端から1/4 の部位のサンプルを採取し.圧延方向に長さ:400 mm、幅:100 mmのSST 試片をぞれぞれの部位で幅方向に10枚採取し、それぞれの試片の磁気特性を測定した。
このデータを用いて、B8 ≧1.96Tの部分の収率と平均鉄損W17/50 を求めた。また、地鉄部分を剪断・研磨後、 SEMよるBi主体析出物の観察を行った。
得られた結果を表7に示す。
【0067】
【表7】
Figure 0004258166
【0068】
同表に示したとおり、本発明に従い得られた方向性電磁鋼板では、地鉄中Bi主体析出物の平均粒径が 2.0μm 以下になっていて、高磁束密度と低鉄損の両者が併せて得られている。
【0069】
実施例5
表2に示した鋼記号Mの素材スラブ(厚さ:230 mm)を、ガス加熱炉に装入し、1230℃まで加熱し、60分保定したのち、誘導加熱により1400℃, 30分間の加熱後、熱間圧延によって 2.5mm厚の熱延板とした。その後、 900℃, l分の熱延板焼鈍後、酸洗し、1回目の冷間圧延により厚さ:1.6 mmとしたのち、1000℃, 1分間の中間焼鈍を施してから、酸洗し、最高到達板温:220 ℃の2回目の冷間圧延により0.23mmの最終板厚とした。ついで, 均熱過程の酸化性がP(H20)/P(H2)=0.50の雰囲気中にて 850℃, 100 秒間で脱炭焼鈍を施した後、 MgCl2:5%を含有するMgO主体の焼鈍分離剤を鋼板の片面当たり:6g/m2塗布してから、コイルに巻き取った。その後、 800〜1000℃間の滞留時間が20時間となるように1.5℃/h以上の一定速度で昇温し、さらに1000℃以上の温度域に10時間または50時間滞留(最高到達温度:1180℃×5時間)させる最終仕上げ焼鈍を施した。
ついで、残留分離剤を除去してから、TiNを蒸着させたのち、コロイダルシリカとリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁張力コーティングを鋼板の片面当たり:3g/m2の目付量にて塗布・焼き付けた。さらに、圧延方向と直交する方向に7mm間隔でレーザ光による磁区細分化処理を施して製品とした。
【0070】
かくして得られた製品コイルの全長の両端および両端から1/4 の部位のサンプルを採取し.圧延方向に長さ:400 mm、幅:100 mmのSST 試片をぞれぞれの部位で幅方向に10枚採取し、それぞれの試片の磁気特性を測定した。
このデータを用いて、B8 ≧1.96Tの部分の収率と平均鉄損W17/50 を求めた。また、地鉄部分を剪断・研磨後、 SEMよるBi主体析出物の観察を行った。
得られた結果を表8に示す。
【0071】
【表8】
Figure 0004258166
【0072】
同表に示したとおり、本発明に従い得られた方向性電磁鋼板では、地鉄中Bi主体析出物の平均粒径が 2.0μm 以下になっていて、高磁束密度と低鉄損の両者が併せて得られている。
【0073】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、高いB8 安定性を有する方向性電磁鋼板を安定して得ることができ、ひいては騒音の低減や磁区細分化後の低鉄損化にも極めて有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 最終仕上げ焼鈍のヒートパターンを示した図である。
【図2】 最終仕上げ焼鈍中における 800〜1000℃の温度域での滞留時間および1000℃以上の温度域での帯留時間が、製品でのB8 ≧1.96Tの収率に及ぼす影響を示した図である。
【図3】 地鉄中のBi主体析出物の平均粒経と製品でのB8 ≧1.96Tの収率との関係を示した図である。
【図4】 実施例2における最終仕上げ焼鈍のヒートパターンを示した図である。

Claims (5)

  1. 地鉄中に、質量%で、
    C:0.0060%以下、
    Si:2.0 〜5.0 %、
    Mn:0.03〜0.20%および
    Bi:0.0005〜0.08%
    を含有し、残部は Fe および不可避的不純物の組成になり、かつ地鉄中におけるBi主体析出物の平均粒径が 2.0μm 以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
  2. 請求項1において、地鉄中のBi主体析出物の平均粒径が、粒径が0.1 μm 以上の該析出物の平均粒径であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
  3. 質量%で、
    C:0.01〜0.10%、
    Si:2.0 〜5.0 %、
    Mn:0.03〜0.20%および
    Bi:0.001 〜0.10%
    を含有し、かつ
    SおよびSeのうちから選んだ1種または2種の合計:0.005 〜0.030 %、
    sol.Al:0.010 〜0.035 %および/またはB:0.0010〜0.015 %、
    N:0.0015〜0.0130%
    を含有し、残部は Fe および不可避的不純物の組成になる溶鋼を、鋳造してスラブとし、ついでこのスラブを加熱後、熱間圧延し、ついで必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延によって最終板厚にするか、または熱延板焼鈍後、1回の冷間圧延によって最終板厚としたのち、脱炭焼鈍し、ついで最終仕上げ焼鈍を施してから、絶縁コーティングを塗布、焼き付ける一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    スラブから熱延板に熱間圧延する際の圧下率を98.5%以上、冷間圧延の圧下率を85%以上とし、最終仕上げ焼鈍における昇温中、800〜1000℃間の昇温速度を1.5 ℃/h以上、800〜1000℃の温度域での滞留時間を8〜80時間とし、1000℃以上の温度域での滞留時間を15〜100 時間とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 請求項3において、タンディッシュ内へ移動中の溶鋼流に対してBiを添加することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 請求項3または4において、溶鋼が、さらに質量%で
    Cr:0.05〜0.5 %、
    Cu:0.05〜0.5 %、
    Sn:0.01〜0.10%および
    Sb:0.01〜0.10%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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