図1は、本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置20が、複写機10に接続された状態を示す正面断面視の説明図である。まず最初に、図1を基に、複写機10について説明する。複写機(上流側装置、画像形成装置)10は、箱形を呈した複写機本体11に原稿読取部12と、像形成部13と、給紙部14とが装着されることによって構成されている。原稿読取部12は、複写機本体11の上面側に設けられているのに対し、像形成部13は、複写機本体11内の略中央部に設けられているとともに、給紙部14は、複写機本体11内における原稿読取部13の下方位置に設けられている。
前記原稿読取部12は、光学的に読み取った原稿画像から画像データを生成するスキャナー等を有し、その上面に第1コンタクトガラス121と第2コンタクトガラス122とを備えている。第1コンタクトガラス121は、原稿抑え123を開いてマニュアル操作で原稿をセットするときに使用されるものであり、複写機本体11の上面中央部の略全面に設けられている。これに対し第2コンタクトガラス122は、原稿抑え123上に載置された複数枚の原稿を、自動的に順次読み取るときに使用されるものであり、原稿搬送機構124の駆動で第2コンタクトガラス122に接するようにして順次搬送される原稿から当該原稿の画像データが読み取られるようになっている。
前記原稿搬送機構124は、原稿載置部125と、搬入ローラ対等を備えた搬入駆動部126と、搬送ローラ対127と、排出ローラ対128と、排紙台129とを備え、原稿載置部125に載置された原稿を自動的に一枚ずつ第2コンタクトガラス122に接触させつつ搬送し、原稿の露光走査後に排紙台129に排出するようになっている。
前記給紙部14には、転写用の用紙Pが収納される挿脱自在の給紙カセット141と、手差し給紙部142とが設けられている。かかる給紙部14は、給紙カセット141から像形成部13へ用紙Pを搬送する第1搬送路143と、手差し給紙部142から像形成部13へ用紙Pを搬送する第2搬送路145とを備えている。また、各給紙カセット141および手差し給紙部142は、収納されている用紙Pを取り出すためのピックアップローラ146と、用紙Pを1枚ずつ搬送路に送り出す給紙ローラ対147とをそれぞれ備えている。
第1搬送路143には、各給紙カセット141からピックアップローラ146および給紙ローラ対147を介して給紙された用紙Pを搬送する搬送ローラ対148と、像形成部13の手前で搬送されてくる用紙Pを所定位置に待機させるためのレジストローラ対149とが設けられている。なお、第2搬送路145は、レジストローラ対149の上流側で第1搬送路143と合流している。
前記像形成部13は、回転可能な感光体ドラム130を有し、この感光体ドラム130の周囲に沿うように帯電部131と、現像部131と、クリーニング部132と、レーザ走査ユニット133と、転写ローラ134と、定着ローラ対135とが配設されている。
帯電部131は、感光体ドラム130の表面を所定電位に均一に帯電させるものであるり、レーザ走査ユニット133は、制御部2から送信された画像データに基づきレーザー
ビームを感光体ドラム130の表面に照射し、感光体ドラム130表面に静電潜像を形成するものである。
また、現像部131は、静電潜像にトナーを付着させて画像を顕在化させるものであり、転写ローラ134は、顕在化したトナー像を用紙Pに転写するものである。また、定着ローラ対135は、用紙Pに転写されたトナー像を定着させるものであり、クリーニング部132は、画像転写後に感光体ドラム130の表面に残留しているトナーを清掃除去して清浄化し、つぎの静電潜像形成に備えるものである。
そして、複写機本体11の上部には、排出ローラ対138と排紙口139とからなる用紙排出部136が設けられ、定着ローラ対135から導出された用紙Pが排出ローラ対138を介して排紙口139から系外へ排出されるようになっている。前記定着ローラ対135の直下流側には排出分岐ガイド137が設けられ、この排出分岐ガイド137によって用紙Pの排出方向を用紙排出部136向けと胴内排紙トレイ111向けとのいずれかに切り換え得るようになっている。
前記系外向けの搬送路には、その下流端に前記排紙口139が設けられているとともに、前記排出ローラ対138は、排紙口139の直上流側に設けられ、側定着ローラ対135から搬送されてきた用紙Pは、排出ローラ対138の駆動で排紙口139を介して外部に排出されるようになっている。
また、複写機本体11の前面側の上部適所には、複写情報入力部101が設けられているとともに、この複写情報入力部101に隣接して後処理情報入力部102が設けられている。前記複写情報入力部101は、複写に関する情報を入力するためのものであり、所定のボタンやテンキーからの入力操作で原稿のサイズや、複写される用紙Pのサイズ、さらには複写枚数、拡大・縮小の倍率等を入力し得るようになっている。かかる複写情報入力部101からの入力情報に基づいて複写処理が実行される。
前記後処理情報入力部102は、複写機10で複写処理が実行された後の用紙Pに対して後処理を施すに際し、当該後処理に関する情報(条件)を入力するものであり、パンチング処理の有無、ステイプル処理の有無、ステイプル処理を行う場合のステイプル位置等が所定のキーボタン操作で入力されるようになっている。
また、これら複写情報入力部101および後処理情報入力部102の近傍には警報を含む各種の情報を表示出力する表示部103が設けられている。
そして、排紙口139から排紙された定着処理済の用紙Pは、本発明に係る用紙後処理装置20へ導入され、前記後処理情報入力部102からの後処理情報に基づいて所定の後処理が施されることになる。以下、用紙後処理装置20の概要について、図1および図2を基に説明する。図2は、用紙後処理装置20の一実施形態を示す斜視図であり、中間トレイ41がメンテナンス等のために引き出された状態を示している。なお、図1および図2において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
図1および図2に示すように、後処理装置20は、複写機10から排紙口139を介して搬入された用紙Pに対しフィニッシング処理の一つであるパンチング処理を行うパンチ部30と、このパンチ部30の下流側に設けられ用紙束P1(図7)に対しステイプル処理を施すステイプル処理部40と、パンチング処理およびステイプル処理のいずれか一方または双方の施された用紙Pまたは用紙束P1を系外に排紙する排紙部50とがそれぞれ箱形を呈した装置本体21に装着されることによって形成されている。
前記装置本体21の複写機本体11に対する当接面には、複写機本体11の排紙口139と対向した用紙受入口22が設けられ、複写機10から排紙口139を介して排紙された定着処理済の用紙Pは、この用紙受入口22から用紙後処理装置20内に導入されるようになっている。
前記パンチ部30は、装置本体21内における用紙受入口22の直下流側に形成されている。かかるパンチ部30には、給紙された用紙Pの所定の位置に綴じ孔を穿孔する所定のパンチマシン31が設けられている。
前記ステイプル処理部40は、パンチマシン31の直下流側に設けられた搬入ローラ対201および搬送分岐ガイド202を介して搬送されてきた用紙Pを用紙束P1として一時的にストックする中間トレイ(用紙貯留部)41を有している。パンチ部30から送り出された用紙Pは、搬送分岐ガイド202が当該用紙Pをステイプル処理部40へ向わせるように姿勢設定され状態で順次中間トレイ41上へ供給され、この中間トレイ41上で貯留されて用紙束P1(図7参照)になる。そして、ステイプル処理部40は、かかる用紙束P1に対して各種の態様でステイプル処理を施すようになっている。
前記排紙部50は、装置本体21に昇降可能に設けられたソート用排出トレイ51と、このソート用排出トレイ51の上方位置で装置本体21に固定されたノンソート用排出トレイ52と、前記ソート用排出トレイ51を昇降させる昇降機構53とを備えて構成されている。ソート用排出トレイ51へは、中間トレイ41でステイプル処理が施された用紙束P1が第1排出ローラ対203を介して排出されるようになっている。これに対し、ノンソート用排出トレイ52へは、パンチ部30を通過し搬送分岐ガイド202によってノンソート用排出トレイ52側に分岐された用紙Pが排出されるようになっている。したがって、ノンソート用排出トレイ52には、ステイプル処理の施された用紙束P1が排出されることはない。
なお、前記昇降機構53は、制御部2からの制御信号に応じてソート用排出トレイ51上に排出された用紙束P1の上面が、第1排出ローラ対203からの用紙束P1の排出に適した高さレベルに位置するように、ソート用排出トレイ51の位置を昇降するものである。
以下図3および図4を基に、必要に応じて図1および図2を参照しながら、ステイプル処理部40について詳細に説明する。図3および図4は、ステイプル処理部40の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図3は分解斜視図、図4は組立て斜視図である。なお、図3および図4におけるXおよびYによる方向表示は、図2の場合と同様である。
図3および図4に示すように、ステイプル処理部40は、前記装置本体21内に幅方向で斜めに配設された中間トレイ41と、この中間トレイ41の前方側に所定の間隔を置いて対向配設された二点鎖線で示す蓋体42と、前記中間トレイ41に装着される搬送構造(排出手段)43および幅寄せ機構44と、前記中間トレイ41および蓋体42のいずれか一方または双方に装着されるステイプラー45とを備えて構成されている。
前記中間トレイ41は、複写機10から給紙された用紙Pをステイプル処理のために一時貯留するものであり、図1に示すように、装置本体21内で上端部が前記第1排出ローラ対203と対向するとともに下端部が装置本体21の下部右方に位置するように斜めに配設され、搬入ローラ対201を介して導入された用紙Pは、中間トレイ41の右面に沿って収納されるようになっている。
かかる中間トレイ41は、上縁部の前後方向中央部が切り欠かれることによって形成された矩形状の上方切欠き部411と、この上方切欠き部411と対向して下縁部に形成された下方切欠き部412とを有している。これらの切欠き部411,412は、後述する搬送構造43の上下のプーリ431,432を装着するためのものである。
また、中間トレイ41には、上下方向の中間位置より若干上方位置に前後方向一対のそれぞれ前後方向に延びる上部ガイド長孔413が穿設されているとともに、上下方向の中間位置より若干下方位置に前後方向一対のそれぞれ前後方向に延びる下部ガイド長孔414が穿設されている。これらのガイド長孔413,414は、前記幅寄せ機構44の後述する幅寄せ部材442を前後方向に移動可能に装着するためのものである。
前記蓋体42は、当該蓋体42と面対向した中間トレイ41とでステイプル処理部40に導入された用紙Pを貯留する貯留空間を形成するためのものであり、搬入ローラ対201を介してステイプル処理部40へ導入される用紙Pは、この蓋体42内を通り、導入ローラ対421および回動案内部材422(図1)を介して中間トレイ41上に供給されるようになっている。
すなわち、蓋体42には、図1に示すように、上下方向で並設された複数の導入ローラ対421が設けられているとともに、各導入ローラ対421の左方のものには、その支軸回りに回動自在に回動案内部材422が軸支されているのである。
前記導入ローラ対421は、ステイプル処理部40へ導入された用紙Pを蓋体42に沿って搬送するものであり、前記回動案内部材422は、サイズの異なる用紙Pや、用紙Pの向きにより搬送方向に対して長さの異なる用紙Pを、それぞれの用紙Pのサイズや向きに応じて中間トレイ41の所定の位置へ搬入するためのものである。
かかる回動案内部材422は、導入ローラ対421の支軸回りに正逆回動することで、用紙Pを蓋体42に沿って直送する直送姿勢と、用紙Pを中間トレイ41へ案内する案内姿勢との間で姿勢変更可能になっており(図1では、全ての回動案内部材422が直送姿勢に姿勢設定された状態が示されている)、用紙Pのサイズ等に応じていずれかの回動案内部材422が案内姿勢に姿勢設定されることにより、用紙Pは、その回動案内部材422に案内されつつ中間トレイ41上の所定の位置に導入されることになる。
前記搬送構造43は、図3に示すように、中間トレイ41の上方切欠き部411に装着される前後方向一対の上部プーリ431と、同下方切欠き部412に装着される前後方向一対の下部プーリ432と、これら各一対の上下のプーリ431,432間に張設される前後方向一対の搬送ベルト433と、これら一対の搬送ベルト433間に架設される用紙受け部材434とを備えて構成されている。
前記上部プーリ431は、上部プーリ軸431aに同心で軸支されている。かかる上部プーリ431は、上部プーリ軸431aが前記上方切欠き部411の前後方向の対向縁部から左方に向けて突設された軸受座411aに貫通支持されることにより、上方切欠き部411に装着されるようになっている。また、下部プーリ432は、下部プーリ軸432aに同心で一体に軸支されている。かかる下部プーリ432は、下部プーリ軸432aが前記下方切欠き部412の前後方向の対向縁部から左方に向けて突設された軸受座412aに貫通支持されることにより、下方切欠き部412に装着されるようになっている。
そして、下部プーリ軸432aには、搬送モータ435の駆動軸が同心で接続され、搬送モータ435の駆動による下部プーリ軸432aを介した下部プーリ432の駆動回転によって中間トレイ41を挟んで各上下のプーリ431,432間に張設されている前後
方向一対の搬送ベルト433が周回するようになされている。
前記用紙受け部材434は、一対の搬送ベルト433間に架設固定される受け部材本体434aと、この受け部材本体434aの右端面から上方に向けて中間トレイ41と平行に突設された外れ止め用の堰部材434bとからなり、正面視でL字状を呈している。堰部材434bと中間トレイ41との間には、所定枚数の用紙Pからなる用紙束P1を収容し得る隙間が形成されている。
かかる搬送構造43によれば、用紙束P1が用紙受け部材434に支持された状態で搬送モータ435を正逆駆動することによって搬送ベルト433が正逆周回し、これによって用紙受け部材434が中間トレイ41に沿って昇降することになる。また、搬送モータ435の連続駆動で搬送ベルト433を反時計方向へ周回させることにより、用紙受け部材434が上昇を継続し、これによって用紙受け部材434に貯留されている用紙束P1をステイプル処理部40から第1排出ローラ対203を介してソート用排出トレイ51へ排出することができるようにもなっている。
前記幅寄せ機構44は、中間トレイ41へ排紙された用紙Pに対し前後方向の整合を行う、いわゆる幅寄せ処理用のものであり、本実施形態においては、前記上部ガイド長孔413に案内されつつ前後方向に正逆移動する前後方向一対の上部幅寄せ機構440と、前記下部ガイド長孔414に案内されつつ前後方向に正逆移動する前後方向一対の下部幅寄せ機構441とからなっている。幅寄せ機構44を上部および下部幅寄せ機構440,441に分割したのは、後述する中綴じ用ステイプラー450を幅寄せ機構44の幅寄せ部材442と干渉することなく前後方向に移動させ得るようにするためである。
かかる幅寄せ部材44は、図3に示すように、中間トレイ41の表面上を前後方向に正逆スライド移動し得る幅寄せ部材442と、この幅寄せ部材442に一体に固定されたラック446と、このラック446に噛合するピニオン447と、このピニオン447を軸心回りに回転駆動する幅寄せモータ448とを備えて構成されている。
前記幅寄せ部材442は、中間トレイ41と摺接する摺接板443と、この摺接板443の前後方向外方縁部から当該摺接板443と直交する方向に突設された幅寄せ板444と、ガイド長孔413,414に摺接状態で嵌り込むように摺接板443の左面から突設された被ガイド突起445とからなっている。かかる幅寄せ部材442は、被ガイド突起445がガイド長孔413,414に嵌め込まれることにより、当該ガイド長孔413,414に案内されつつ前後方向に正逆移動可能になっている。
前記ラック446は,被ガイド突起445がガイド長孔413,414に嵌め込まれた状態で、当該被ガイド突起445の左端面に固定される。かかるラック446は、幅寄せ部材442の延びる方向と直交する方向に延びるように被ガイド突起445に固定され、これによってラック面が前後方向に移動し得るようになっている。前記ピニオン447は、このようなラック446に噛合するように設置位置が設定されている。
そして、各幅寄せ機構44がガイド長孔413,414を介して中間トレイ41に装着された状態で、上部幅寄せ機構440の幅寄せ部材442の下縁部と、下部幅寄せ機構441の幅寄せ部材442の上縁部との間には、後述する中綴じ用ステイプラー450を中間トレイ41の前後方向に正逆移動させるための隙間415が形成されている。
また、中間トレイ41における前記隙間415位置の上下方向の中央部には、前後方向に延びる幅方向一対の中央部ガイド長孔416が穿設され、この中央部ガイド長孔416にガイドされつつ後述のクリンチャー453が前後方向に正逆移動し得るようになってい
る。
かかる幅寄せ機構44によれば、幅寄せモータ448の駆動でピニオン447を回転させることによりこの回転はラック446に伝達され、当該ラック446は、被ガイド突起445がガイド長孔413,414に嵌め込まれていることにより、ガイド長孔413,414に案内されつつ前後方向に移動するため、ラック446と被ガイド突起445を介して一体の幅寄せ部材442が前後方向に移動することになる。
したがって、幅寄せモータ448の駆動を適正に制御することにより、中間トレイ41上に導入され用紙Pの幅寸法(図3および図4における前後寸法)に応じて対向した一対の幅寄せ板444間の隙間寸法を設定したり、一対の幅寄せ板444間に用紙Pを保持した状態で、当該用紙Pの中間トレイ41上における前後位置を変更する、いわゆるシフト操作を行うことができる。
前記ステイプラー45は、中間トレイ41へ排紙された用紙Pに対し綴結針N(図7、図8)で綴結する、いわゆるステイプル処理を施すものであり、本実施形態においては、中間トレイ41上の用紙Pの上下方向の中間位置にステイプル処理を施す前後方向に向けて正逆移動可能な前後方向一対の中綴じ用ステイプラー450と、中間トレイ41上の用紙Pの下縁部にステイプル処理を施す前後方向に向けて正逆移動可能な前後方向一対の端綴じ用ステイプラー451とからなっている。
前記中綴じ用ステイプラー450は、上部幅寄せ機構440と、下部幅寄せ機構441との隙間415を通過し得るように上下寸法が設定されている。かかる中綴じ用ステイプラー450は、図3に示すように、蓋体42側に設けられたステイプラー本体452と、このステイプラー本体452と対向するように中間トレイ41側に設けられた、針受け部材としてのクリンチャー453と、このクリンチャー453に装着された中綴じ綴結針有無センサ454とを備えて構成されている。
前記ステイプラー本体452は、複数本の綴結針Nが装填可能になっているとともに、順次形成される用紙束P1に対して綴結針Nを1本ずつ打ち込む図略の針打込み機構が内装されているとともに、所定の移動機構によって前後方向に正逆移動可能になっている。
かかるステイプラー本体452は、蓋体42内に設けられた所定の移動機構が接続され、この移動機構によって前後方向に正逆移動し得るようになっている。因みに、図3に示す例では、移動機構としてステイプラー移動モータ452aと、このステイプラー移動モータ452aの駆動軸に同心で一体回転可能に接続された駆動プーリ452bと、この駆動プーリ452bに前後方向で対向配置された従動プーリ452cと、これら両プーリ452b,452c間に張設された無端ベルト452dとを備えて構成され、無端ベルト452dがステイプラー本体452に固定されている。そして、ステイプラー本体452は、ステイプラー本体452の駆動の駆動による無端ベルト452dの両プーリ452b,452c間の周回によって前後方向に移動し得るようになっている。
前記クリンチャー453は、中間トレイ41の前記中央部ガイド長孔416に案内されつつ前記ステイプラー本体452と同期しながら同一方向に向けて移動し得るようになっている。中間トレイ41の裏面側には、ステイプラー本体452の移動機構と同様の移動機構が設けられているが、これの説明は省略する。
そして、ステイプラー本体452とクリンチャー453との間には、中間トレイ41へ導入された用紙P1が通過し得る所定寸法の隙間450aが形成され、用紙Pがこの隙間450aを通り中間トレイ41上に積層されることによって形成された用紙束P1は、図
4に二点鎖線で示すように、上下方向の中央位置がステイプラー本体452とクリンチャー453とに挟持されて中綴じ処理を施し得る状態になる。この状態でのステイプラー45の所定の駆動によって用紙束P1の上下方向の中央位置に綴結針Nが打ち込まれて綴結されるステイプル処理が実行される。
前記中綴じ綴結針有無センサ454は、用紙束P1が中綴じ用ステイプラー450によってステイプル処理が施されたか否かを検出するためのものであり、クリンチャー453の上端部に設けられている。具体的にはクリンチャー453のケーシング453bの上端部に用紙Pを前記隙間450aへ向けて誘導する傾斜面453cが形成され、中綴じ綴結針有無センサ454は、この傾斜面453cに面一状態で設けられている。なお、前記傾斜面453cは、中間トレイ41上で用紙束P1を搬送するための本発明に係る搬送路の一部を形成している。
かかる中綴じ綴結針有無センサ454は、本実施形態においては、金属製の綴結針Nを検出し得る、いわゆる金属探知センサによって形成されている。そして、当該金属探知センサとしては、磁気センサや静電容量センサを使用することができる。
前記磁気センサは、対向配置された一対の電磁コイル間に生じる磁束が金属(磁気抵抗)の存在で乱れることにより当該金属の存在を検出するものである。また、前記静電容量センサは、電極から出力される高周波の発振動作状態の変化によって被測定空間の静電容量の変化を検出し、この変化によって被測定空間に金属が存在することを検出するものである。いずれの金属探知センサを使用してもよく、本実施形態においては、狭隘な場所に設ける必要があることから、検出端を電極のみで済ませることができる静電容量センサを採用しているが、静電容量センサに限定されるものではなく、磁気センサを採用してもよい。
このような中綴じ綴結針有無センサ454をクリンチャー453の上端部に設けることにより、搬送モータ435の駆動による搬送ベルト433の反時計方向へ向かう周回で用紙束P1が中綴じ用ステイプラー450から上方へ外れた直後に当該中綴じ綴結針有無センサ454によって中綴じのためのステイプル処理が行われているか否かがほとんどタイムラグのない状態で即座に検出されるようになっている。
前記端綴じ用ステイプラー451は、用紙束P1の下端縁部にステイプル処理を施すものであり、ステイプラー本体452′と、クリンチャー453′とが一体的に結合されている点、および各種の駆動機構を含めて中間トレイ41側に装着されている点が先の中綴じ用ステイプラー450と相違している。ステイプラー本体452′とクリンチャー453′との間には、上面が開口した前後方向に延びる用紙束受け溝450bが形成され、用紙Pが中間トレイ41へ導入されることによって形成された用紙束P1は、下端縁部がこの用紙束受け溝450bに嵌り込むことによって当該端綴じ用ステイプラー451にステイプル処理を施し得る状態で支持されるようになっている。
かかる端綴じ用ステイプラー451にも、先の中綴じ用ステイプラー450の移動機構と同様の移動機構が設けられ、これによって端綴じ用ステイプラー451は、この移動機構の駆動で前後方向に正逆移動して用紙束P1に対するステイプル処理位置を変更し得るようになっているが、その説明については省略する。
また、クリンチャー453′には、その上端の傾斜面453c′に前記中綴じ綴結針有無センサ454と同様の端綴じ綴結針有無センサ454′が設けられ、この端綴じ綴結針有無センサ454′によって用紙束P1の下端部に綴結針Nが存在しているか否かによるステイプル処理の有無が検出されるようになっている。
そして、本発明においては、上記のようなステイプル処理部40におけるステイプル処理を制御するための制御装置60が設けられている。図5は、制御装置60によるステイプル処理の制御を説明するためのブロック図である。
なお、制御装置60は、いわゆるマイクロコンピュータであり、所定の枚数センサ65(図5)からの検出信号に基づき複写機10から給紙される用紙Pの枚数をカウントして中間トレイ41へ導入される1単位の用紙束P1を確定したり、パンチ部30におけるパンチマシン31の駆動制御を行ったり、あるいは複写機本体11から排紙される用紙Pや用紙束P1の排紙部50における排紙先(ソート用排出トレイ51またはノンソート用排出トレイ52)を設定する等、用紙後処理装置20に関する各種の制御を実行するものであるが、図5には、これら各種の制御の内でステイプル処理部40におけるステイプル処理、すなわち、予め設定された用紙Pの所定枚数からなる用紙束P1が中間トレイ41へ導入される状態からの制御に係るものを抽出して示している。
図5に示すように、制御装置60は、幅寄せ部材制御部61と、ステイプラー制御部62と、用紙束搬送制御部63と、ステイプル異常判別部64とを備えている。
前記幅寄せ部材制御部61は、複写情報入力部101からの用紙サイズ情報に基づき、幅寄せモータ448に幅寄せのための制御信号を出力するものである。この制御信号が入力された幅寄せモータ448の駆動により、対向した幅寄せ板444間の内寸法は、用紙Pが導入される直前に処理対象の用紙束P1の用紙幅寸法になるため、回動案内部材422を介して中間トレイ41へ導入された用紙Pは、一対の幅寄せ板444間に納められるこのになる。
前記ステイプラー制御部62は、複写情報入力部101および後処理情報入力部102からの情報に基づき、ステイプラー45の移動や綴結駆動を制御するものである。複写情報入力部101からステイプラー制御部62に伝達される情報は、用紙サイズおよびステイプル処理の対象となる用紙束P1の部数である。また、後処理情報入力部102からステイプラー制御部62に伝達される情報は、用紙束P1に施すステイプル処理の位置である。ステイプル処理の位置としては、用紙束P1の端部にステイプル処理を施す端綴じステイプル処理と、用紙束P1の中央部にステイプル処理を施す中綴じステイプル処理との2種類がある。
そして、複写情報入力部101および後処理情報入力部102からの前記のような情報(すなわちステイプル処理の条件)がステイプラー制御部62へ入力されると、当該ステイプラー制御部62は、ホームポジション(中間トレイ41の前後方向の各端部)に位置している中綴じ用および端綴じ用ステイプラー450,451のいずれか一方に向けて制御信号を出力する。
いずれのステイプラー450,451に制御信号を出力するかは、用紙束P1に対して中綴じステイプル処理を施すのか、端綴じステイプル処理を施すのかによって決まる。すなわち、後処理情報入力部102から中綴じの信号(情報)が出力されている場合には、ステイプラー制御部62は、中綴じ用ステイプラー450のステイプラー移動モータ452aおよびクリンチャー移動モータ453aへ向けて制御信号を出力するのに対し、端綴じ用ステイプラー451のステイプラー移動モータ452aには制御信号を出力しない。
したがって、中綴じ用ステイプラー450(ステイプラー本体452およびクリンチャー453)は、ホームポジションから所定のステイプル位置へ移動して、用紙束P1をステイプラー本体452とクリンチャー453とで挟持し、ステイプル処理待機の状態とさ
れる一方、端綴じ用ステイプラー451は、ステイプラー制御部62からの制御信号が入力されないため、ホームポジションから移動することはない。この状態で、用紙受け部材434の昇降により用紙束P1のステイプル位置が確定された後、ステイプラー制御部62からの中綴じ用ステイプラー450へ向けたステイプル動作開始の制御信号により、用紙束P1は、その中央部に綴結針Nが打ち込まれ中綴じステイプル処理が完了することになる。
これに対し、後処理情報入力部102から端綴じの信号(情報)が出力されている場合には、ステイプラー制御部62は、端綴じ用ステイプラー451のステイプラー移動モータ452aに向けて制御信号を出力するのに対し、中綴じ用ステイプラー450のステイプラー移動モータ452aおよびクリンチャー移動モータ453aには制御信号を出力しない。
したがって、端綴じ用ステイプラー451は、ホームポジションから所定のステイプル位置へ移動して、その用紙束受け溝450bが用紙束P1の下端縁部と対向しステイプル処理待機の状態とされるのに対し、ステイプラー制御部62からは中綴じ用ステイプラー450に向けて制御信号が出力されないため、中綴じ用ステイプラー450はホームポジションから移動することはない。この状態で、用紙受け部材434のホームポジション(端綴じ用ステイプラー451より若干上方位置)からの下降で用紙束P1の下端縁部が用紙束受け溝450bに嵌り込んだ後、ステイプラー制御部62からの端綴じ用ステイプラー451へ向けたステイプル動作開始の制御信号により、用紙束P1に綴結針Nが打ち込まれ、これによって用紙束P1に対する端綴じステイプル処理が完了することになる。
前記用紙束搬送制御部63は、複写情報入力部101からの用紙サイズの信号、および複写情報入力部101からの綴じ位置信号(中綴じか端綴じかの信号)に基づき用紙束P1を支持している用紙受け部材434を昇降させるものである。かかる用紙束搬送制御部63は、ステイプル処理対象の用紙束P1の用紙サイズ、および「中綴じ」か「端綴じ」かに応じて用紙受け部材434を適正なレベルに位置させるべく、搬送モータ435に制御信号を出力する。
これによる搬送モータ435の正逆駆動で用紙受け部材434は昇降して適正な高さレベルで停止する。この状態で、ステイプラー制御部62から中綴じ用ステイプラー450または端綴じ用ステイプラー451へステイプル動作の制御信号が出力され、これによって用紙束P1には所定の位置にステイプル処理が施されることになる。
そして、ステイプル処理が完了すると、用紙束搬送制御部63からの制御信号による搬送モータ435の駆動により搬送ベルト433が図4における反時計方向へ周回し、用紙束P1は、これによる用紙受け部材434の上昇で中間トレイ41に沿って上方に向けて搬送され、第1排出ローラ対203(図1)を介してソート用排出トレイ51へ排出されることになる。
前記ステイプル異常判別部64は、綴結針有無センサ454,454′の検出信号に基づいてステイプラー45によるステイプル処理により用紙束P1に綴結針Nが打ち込まれているか否かを判別するものである。各綴結針有無センサ454,454′は、各ステイプラー450,451のステイプル処理位置であるステイプラー本体452,452′とクリンチャー453,453′との隙間450a,450bの直上方位置に設けられ、しかも各ステイプラー450,451と一体的に移動するため、用紙束P1の上昇に際し当該用紙束P1のステイプル位置は必ず綴結針有無センサ454,454′の上方を近接状態で通過することになり、これによって綴結針有無センサ454,454′は綴結針Nの存否を確実に検出することができる。
そして、綴結針有無センサ454,454′が綴結針Nを検出したとき(すなわち、綴結針有無センサ454,454′から綴結針N有りの検出信号が出力されたとき)にはステイプル異常判別部64から制御信号が出力されることがないのに対し、綴結針有無センサ454,454′が綴結針Nを検出しなかったとき(すなわち、綴結針有無センサ454,454′から綴結針N無しの検出信号が出力されたとき)には、ステイプル異常判別部64は、搬送モータ435に駆動停止の制御信号を出力するとともに、表示部103に対して異常発生を表示させるための制御信号(表示指示信号)を出力するようになっている。
前記駆動停止の制御信号を受けた搬送モータ435は、その駆動を停止するため、搬送されつつあった用紙束P1は停止するとともに、前記表示指示信号を受けた表示部103は、異常を知らせるランプを点灯させたり、異常発生のメッセージを画面表示したり、異常を知らせる音声出力を行う等の異常発生報知を行うことになる。
図6は、制御装置60によるステイプル処理制御の一実施形態を説明するためのフローチャートである。また、図7および図8は、ステイプル処理部40の作用を説明するための図4のA線視の説明図であり、図7は、端綴じステイプル処理時の状態((イ)は、各幅方向一対の上下の幅寄せ部材442間に用紙束P1が貯留された状態、(ロ)は、用紙束P1の下端部にステイプル処理が施されつつある状態、(ハ)は、ステイプル処理の施された用紙束P1が中間トレイ41から排出されつつある状態)を、図8は、中綴じステイプル処理時の状態((イ)は各幅方向一対の上下の幅寄せ部材間に用紙束が貯留された状態、(ロ)は用紙束の中央部にステイプル処理が施されつつある状態、(ハ)はステイプル処理の施された用紙束が中間トレイ41から排出されつつある状態)をそれぞれ示している。以下、図6を基に、必要に応じて図7あるいは図8を参照しながらステイプル処理制御について説明する。
なお、図6のフローチャートにおいては、所定枚数の用紙Pが中間トレイ41に導入されて用紙束P1が形成され、当該用紙束P1がホームポジションに位置した用紙受け部材434によって支持された状態になるところからスタートしている。また、用紙Pとしては、A4サイズ、A3サイズ、B5サイズおよびB4サイズの4種類の用紙が対象とされている。
ステイプル制御がスタートすると、まず、処理対象の用紙束P1の用紙サイズがA4サイズか否かが複写情報入力部101からの情報に基づいて判別され(ステップS1)、この判別の結果A4サイズのとき(ステップS1でYES)は、中間トレイ41への排紙が横長状態での排紙(横排紙)であるのか否かが複写情報入力部101からの情報に基づき判別される(ステップS2)。そして、横排紙の場合(ステップS2でYES)の場合には、各一対の幅寄せ板444間の距離が幅寄せモータ448の駆動および停止でA4紙の長尺寸法に設定される(ステップS3)。したがって、中間トレイ41へ順次排紙された用紙Pは、各幅寄せ板444間に挟持された状態でA4サイズの横排紙の用紙束P1になる。
ステップS2で横排紙でない(すなわち縦排紙)と判別された場合には、各一対の幅寄せ板444間の距離がA4紙の短尺寸法に設定される(ステップS3)。したがって、中間トレイ41へ順次排紙された用紙Pは、各幅寄せ板444間に挟持された状態でA4サイズの縦排紙の用紙束P1になる。
これに対し、ステップS1で用紙サイズがA4サイズでなかった場合(ステップS1でNO)、用紙サイズがA3であるか否かが判別される(ステップS5)。この判別の結果
、用紙サイズがA3サイズのとき(ステップS5でYES)は、各一対の幅寄せ板444間の距離が幅寄せモータ448の駆動および停止でA3紙の短尺寸法に設定される(ステップS6)。なお、ステップS6の直前で横排紙か否かが問われないのは、A3サイズの用紙Pの場合、横排紙が行われることはなく、常に縦排紙が行われるからである。
これに対し、ステップS5で用紙サイズがA3サイズでなかった場合、用紙サイズがB5サイズであるか否かが判別され(ステップS7)、B5サイズであった場合(ステップS7でYES)、引き続き横排紙であるか否かが判別される(ステップS8)。そして、横排紙の場合(ステップS8でYES)の場合には、各一対の幅寄せ板444間の距離が幅寄せモータ448の駆動および停止でA5紙の長尺寸法に設定される(ステップS9)。ステップS8で横排紙でないと判別された場合(ステップS8でNO)には、各一対の幅寄せ板444間の距離がB5紙の短尺寸法に設定される(ステップS10)。
そして、ステップS7で用紙サイズがB5サイズでないと判別された場合(ステップS7でNO)、当該用紙PはB4サイズであるから、各一対の幅寄せ板444間の距離が幅寄せモータ448の駆動および停止でB4紙の短尺寸法に設定される(ステップS11)。なお、ステップS11の直前で横排紙か否かが問われないのは、A3サイズの用紙Pの場合と同様である。
ステップS3、S4、S6、S9、S10またはS11が実行されて中間トレイ41上に用紙束P1が形成された状態では、中間トレイ41上の用紙束P1は、図7の(イ)および図8の(イ)に示すように、ホームポジションに位置した用紙受け部材434と、用紙サイズに応じてホームポジションから前後方向の中央部寄りに移動した各一対の幅寄せ板444に囲まれた状態になる。
ついで、ステップS12において、用紙Pの所定枚数からなる用紙束P1が中間トレイ41上に形成されたか否かが判別される。この判別は、複写情報入力部101からステイプラー制御部62に入力された用紙束P1の枚数情報に基づいて判別される。そのために中間トレイ41の適所には当該中間トレイ41へ導入された用紙Pの枚数をカウントする枚数センサ65が設けられ、この枚数センサ65がカウントした枚数が、複写情報入力部101から入力された枚数と一致した時点で用紙束P1が形成されたと判断されるのである。
そして、中間トレイ41上における用紙束P1の形成が完了する(ステップS12でYES)と、後処理情報入力部102からの入力情報に基づきステイプル処理が端綴じであるのか否か(すなわち、「端とじ」か「中綴じ」か)がステップS13で判別され、端綴じの場合(ステップS13でYES)には、ステイプラー制御部62からの制御信号に基づく搬送モータ435の駆動で用紙受け部材434がホームポジションから若干下降し、これによって用紙受け部材434に支持された用紙束P1が端綴じ位置(用紙束P1の下端縁部が端綴じ用ステイプラー451と対向する位置)に位置設定される(ステップS14)。
なお、この用紙束P1の移動に際しても、先のステップS1、S2、S5、S7およびS8と同様の用紙サイズの判別が行われ、この判別結果に基いて用紙受け部材434の移動量が設定されるのであるが、フローチャートの記述が冗長になるため、この間の詳細ステップの記述を省略している(用紙サイズの判別が必要な部分については以下同様)。
ついで、端綴じ用ステイプラー451が、ステイプラー制御部62からの制御信号に基づき用紙サイズに応じたステイプル位置へ移動し(ステップS15)、これによって用紙束P1は、図7の(ロ)に示すように、その下端縁部が端綴じ用ステイプラー451の用
紙束受け溝450bに嵌り込んだ状態になる。
これに対し、ステップS13において中綴じと判別された場合(ステップS13でNO)には、ステイプル異常判別部64からの制御信号に基づく搬送モータ435の前記とは逆の駆動で用紙受け部材434がホームポジションから若干上昇し、これによって用紙受け部材434に支持された用紙束P1が中綴じ位置(用紙束P1の上下方向の中央部が中綴じ用ステイプラー450と対向する位置)に位置設定される(ステップS16)。
ついで、端綴じ用ステイプラー451が、ステイプラー制御部62からの制御信号に基づき用紙サイズに応じたステイプル位置へ移動し(ステップS17)、これによって用紙束P1は、図8の(ロ)に示すように、その上下方向の中央部が中綴じ用ステイプラー450のステイプラー本体452およびクリンチャー453間の隙間450aに嵌り込み、ステイプラー本体452とクリンチャー453とに挟持された状態になる。
この状態でステイプラー45によるステイプル処理が実行され(ステップS18)、これによって用紙束P1は、綴結針Nで綴結された状態になる。なお、ステイプル処理が端閉じの場合には、端綴じ用ステイプラー451のみが綴結駆動される一方、ステイプル処理が中綴じの場合には、中綴じ用ステイプラー450のみが綴結駆動される。
ステイプラー45による用紙束P1に対するステイプル処理が完了すると、ステイプラー制御部62からの制御信号による搬送モータ435の駆動によって用紙受け部材434が、図7、図8の(ハ)に示すように上昇し、これによってステイプル処理済の用紙束P1はソート用排出トレイ51へ向けて排出されることになる(ステップS19)。
そして、本発明においては、この排出過程で綴結針有無センサ454,454′により用紙束P1に綴結針Nが存在するか否かを検出し、これによってステイプル処理が正常に行われたか否かを判別する(ステップS20)ようにしている。すなわち、ステイプラー45のクリンチャー453,453′先端にそれぞれ金属探知センサからなる綴結針有無センサ454,454′が設けられているため、ステイプラー45によるステイプル処理が施された後の用紙束P1におけるステイプル位置は、必ず綴結針有無センサ454,454′上を通過することになり、これによって用紙束P1に綴結針Nが存在するか否かが確実に検出されるのである。
この綴結針有無センサ454,454′による綴結針Nの検出結果により、ステイプル処理が正常に実行された場合(ステップS20でYES)には、上記一連のステイプル処理部40における処理が完了するのに対し、ステイプル処理が正常に行われなたった(すなわち、綴結針有無センサ454,454′によって綴結針Nが検出されなかった)場合には、ステイプル異常判別部64から搬送モータ435に向けて駆動停止信号が出力され、これによる搬送モータ435の停止で用紙束P1の搬送が中断される。
また、これと同時にステイプル異常判別部64から表示部103に向けて異常表示信号が出力され、これによって表示部103は、ステイプル処理に異常が発生したことを表示出力するため、ユーザーは、この表示を視認することでステイプル処理に異常が生じたことを知ることができる。
この際、例えば中綴じ用ステイプラー450によるステイプル処理の異常が検出された場合、用紙束P1を強制排出させるか、あるいは端綴じ用ステイプラー451による端綴じのステイプル処理を行うかを後処理情報入力部102からの所定の入力操作で操作者に選択させ得るように構成してもよい。こうすることで、中綴じ用ステイプラー450が不調であっても、状況に応じて端綴じで代行することが可能になるから、操作者にこのよう
な選択肢を提供することが可能になり、利便性を向上させることができる。
また、ステイプル処理異常が発生したとき、用紙後処理装置20による処理を一時停止させてもよいが、中綴じ用ステイプラー450または端綴じ用ステイプラー451を活用し、一方のステイプラーが不調のとき他方のステイプラーを用いてバックアップを行わせるようにしてもよい。
例えば、上記の実施形態において、搬送構造43を、端綴じ綴結針有無センサ454′が用紙束P1の端綴じ用ステイプラー451による綴結針Nを検出しなかった場合、用紙束搬送制御部63からの制御信号に基づき当該用紙束P1の端綴じ位置を中綴じ用ステイプラー450のステイプル処理位置まで上昇させるように構成するとともに、当該中綴じ用ステイプラー450によって上昇された用紙束P1に端綴じのステイプル処理(代替端綴じステイプル処理)を施すように構成することが挙げられる。こうすることにより、用紙束P1に端綴じ用ステイプラー451による端綴じのステイプル処理が行われなかっても、当該用紙束P1は、中綴じ用ステイプラー450によって端綴じのステイプル処理が施されるため、端綴じが行われなかったとして用紙束P1に対するステイプル処理が中断されることはなく、ステイプル処理の効率化に貢献することができる。
かかる代替端綴じステイプル処理は、図6に示すフローチャートのステップS19とステップS20との間に介設される。図9は、代替端綴じステイプル処理の制御の一実施形態を示すフローチャートである。
すなわち、代替端綴じステイプル処理においては、図6に示すフローチャートのステップS19の後で端綴じ用ステイプラー451によるステイプル処理が正常に行われたか否かが判別され(ステップS30)、正常に行われたと判別されたとき(ステップS30でYES)には、ステップS20へスキップするのに対し、例えば、端綴じ用ステイプラー451内の綴結針Nがすでに消費され尽くしてしまって空打ちになっているようなときには、綴結針Nが検出されない(ステップS30でNO)ため、まず、表示部103に端綴じを中綴じ用ステイプラー450で代替処理する旨の表示がなされ(ステップS31)、引き続き搬送モータ435の駆動による用紙受け部材434の上昇で用紙束P1が上昇され(ステップS32)、当該用紙束P1の端綴じ位置が端綴じ用ステイプラー451による中綴じステイプル位置まで上昇される(ステップS32)。
この状態で、中綴じ用ステイプラー450の駆動により、用紙束P1の端綴じ位置にステイプル処理が施され(ステップS33)、その後、図6のステップS20へ引き継がれることになる。
そして、中間トレイ41上に順次形成される複数部数の用紙束P1に対してそれぞれにステイプル処理を施す場合には、図6に示すフローチャートのスタートからエンドまでのフローが繰り返されることになるが、この場合にはステップS22とエンドとの間に、用紙束P1を交互に前後方向に若干移動させる、いわゆるシフト処理を施すステップが介設される。このシフト処理は、用紙束P1を挟持している幅寄せ部材442を前後に移動させることにより行われる。
かかるシフト処理が施されることにより、ステイプル処理の完了した複数部数の用紙束P1は、用紙受け部材434の上昇によって交互に前後にずれた状態でソート用排出トレイ51へ排出されるため、用紙束P1の部数の区切りが明確になり、複数部数の用紙束P1の以後の取り扱いが容易になる。
また、用紙Pが中間トレイ41に供給される毎に、互いに対向した幅寄せ部材442を
前後方向に揺動させるステップをステップS12の直前位置に設定することにより、用紙束P1が中間トレイ41上の一対の幅寄せ部材442間に導入される毎に用紙束P1に対する整合処理が実行されるため、用紙束P1が不揃いのままステイプル処理されるような不都合の発生を有効に防止することができる。
以上詳述したように、本発明に係る用紙後処理装置20は、上流側装置である複写機10から供給される用紙Pを装置本体21内に順次受け入れることにより形成された所定枚数の用紙Pからなる用紙束P1にステイプル処理を施すものであり、装置本体21には、複写機10から順次受け入れた用紙Pを積層状態で一時貯留する用紙貯留部としての中間トレイ41と、この中間トレイ41に貯留された用紙束P1に綴結針を打ち込むことによるステイプル処理で用紙束P1を綴結するステイプラー45と、このステイプラー45によるステイプル処理後の用紙束P1を、中間トレイ41に形成された搬送路に沿って中間トレイ41から装置本体21外に排出する排出手段としての搬送構造43とが備えられ、搬送路には、用紙束P1の綴結針の有無を検出する綴結針有無センサ454,454′が設けられているため、ステイプラー45によりステイプル処理が行われた後の用紙束P1における綴結針Nの有無は、搬送路に設けられた綴結針有無センサ454,454′によって検出され、これによってステイプラー45直近の狭隘な位置にセンサが設けられる場合に比較し、綴結針有無センサ454,454′を位置的な制約を受けることなく余裕を持って配設することが可能になり、無理な組み付け作業を行わなくてもよい分組み付けコストが低減化するとともに、余裕がある分、無理な構造になることが回避され、無理な構造に起因した誤検出を回避することで検出精度の向上に貢献することができる。
また、綴結針有無センサ454,454′として金属の存否を検出する金属センサが採用されているため、用紙束P1にステイプル処理が施されている状態において金属センサは、金属製の綴結針Nに感応して所定の信号を出力し、この信号によって用紙束P1にステイプル処理が施されていることが検出される一方、信号が出力されないことによって用紙束P1にステイプル処理が施されていないことを検出することができる。
そして、綴結針有無センサ454,454′としてかかる金属センサを採用することにより、綴結針有無センサ454,454′を簡単な構造でありながら綴結針Nを確実に検出することが可能なものにすることができ、検出精度の向上を図った上で製造コストの低減化に貢献することができる。
なお、綴結針有無センサ454,454′として金属センサを用いた場合には、周りが金属環境であると、周りの環境が外乱になって用紙束P1に打ち込まれた小さな綴結針Nのみを選択的に検出することが困難になるが、金属センサをステイプラー45から離間した搬送路に沿って配設することにより、外乱による金属センサの誤検出を有効に防止することができる。
また、ステイプラー45は、中間トレイ41上を前後方向に移動可能に中間トレイ41に装着されているため、用紙サイズやステイプル位置に応じて当該ステイプラー45を移動させることにより各種のサイズの用紙Pにステイプル処理を施し得るとともに、ステイプル位置を選択し得るようになり、当該ステイプラー45を汎用性に富んだものにすることができる。
また、ステイプラー45として、用紙束P1の中央部にステイプル処理を施す中綴じ用ステイプラー450と、用紙束P1の端部にステイプル処理を施す端綴じ用ステイプラー451とが採用されているため、ステイプラー45は、用紙束P1に対して選択的に端綴じまたは中綴じを行うことが可能なものになり、ステイプラー45の汎用性を向上させることができる。
さらに、搬送構造43を、中間トレイ41でステイプル処理が順次施される複数部数の用紙束P1のそれぞれを順次排出するに際し、各用紙束P1を搬送方向と直交する方向へ向けて交互にずらすように構成しているため、複数部数の用紙束P1は、ソート用排出トレイ51上に排出された状態で、用紙束P1の1部ずつが交互にずれてそれぞれが他と区分された状態になるため、積み重ねられた複数部数の用紙束P1を以後の配布等で容易に取り扱うことができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、綴結針有無センサ454,454′は、ステイプラー450,451のクリンチャー453,453′に設けられ、クリンチャー453,453の移動に同伴して一体的に移動するようになされているが、こうする代わりにステイプラー450,451と独立して綴結針有無センサ454,454のみを移動させるセンサ移動機構を採用し、このセンサ移動機構をステイプラー450,451の移動機構と同期させて駆動するようにしてもよい。こうすることで綴結針有無センサ454,454の設置位置を種々選択することが可能になり、ステイプル処理有無検出の汎用性を向上させることができる。
(2)上記の実施形態においては、中綴じステイプル処理が完了した用紙束P1は、搬送モータ435の駆動による搬送ベルト433を介した用紙受け部材434の上動によって中間トレイ41上を上昇し、第1排出ローラ対203を介してソート用排出トレイ51上に排出されるようになされているが、こうする代わりに、ステイプル処理部40の下部位置に用紙束P1を中央部から二つ折りに折り畳み処理する中折り処理部を連接してもよい。
かかる中折り処理部を設けた場合には、中綴じステイプル処理が完了した用紙束P1を、搬送モータ435の逆駆動による用紙受け部材434の図4における時計方向に向かう周回で中折り処理部へ導入することが行われる。そして、中折り処理部に導入された用紙束P1は、綴結針が存在する位置で二つ折りに折り畳まれて製本になり、この製本は、所定の排出トレーに排出される。したがって、排出された用紙束P1を手作業で二つ折りに折り畳まなくてもよくなり、その分作業効率の向上に貢献することができる。
(3)上記の実施形態においては、綴結針有無センサ454,454′は、ステイプラー45のクリンチャー453,453′の傾斜面453cに設けられているが、本発明は、綴結針有無センサ454,454′がクリンチャー453,453′側に設けられることに限定されるものではなく、上部および下部幅寄せ機構440,441の幅寄せ部材442に設けてもよいし、さらに中間トレイ41の上面に設けてもよい。なお、綴結針有無センサ454,454′を中間トレイ41の上面に設ける場合には、用紙サイズに応じて前後方向で変動するステイプル位置に対応させるために、それぞれ前後方向に複数個設けることが好ましい。
(4)上記の実施形態においては、ステイプラー45は、前後方向に移動可能に構成されているが、これに加えて上下方向へも移動可能に構成してもよい。こうすることによって、ステイプラー45を各種の広汎なステイプル処理に対応させ得るものにすることができる。
(5)上記の実施形態において、搬送構造43を、中綴じ綴結針有無センサ454が用紙束P1の中綴じ用ステイプラー450による綴結針Nを検出しなかった場合、当該用紙
束P1の中央を端綴じ用ステイプラー451のステイプル処理位置まで移動させるように構成するとともに、当該端綴じ用ステイプラー451によって移動された用紙束P1に中綴じのステイプル処理(代替中綴じステイプル処理)を施すように構成してもよい。こうすることによって、中綴じ用ステイプラー450により用紙束P1に中綴じのステイプル処理が施されなかったときであっても、端綴じ用ステイプラー451によって中綴じのステイプル処理が施されるため、中綴じのステイプル処理が施されないまま用紙束P1が排出されるという不都合を解消することができる。
但し、かかる代替中綴じステイプル処理を行うためには、用紙束P1を中間トレイ41の下端部からさらに下方に向けて移動させ得る搬送路を設ける必要がある。
なお、この代替中綴じステイプル処理については、図9に示す代替端綴じステイプル処理のフローチャートにおいて、「端綴じ」を「中綴じ」に変更するだけであるため、フローチャートの図示は省略している。
さらに、中綴じ綴結針有無センサ454が用紙束P1の中綴じ用ステイプラー450による綴結針Nを検出しなかった場合、当該用紙束P1の下端部を端綴じ用ステイプラー451のステイプル処理位置まで移動させるようにし、端綴じ用ステイプラー451によって移動された用紙束P1に端綴じのステイプル処理を施すように構成してもよい。こうすることによって、中綴じ用ステイプラー450により用紙束P1に中綴じのステイプル処理が施されなかったときであっても、次善の策として当該用紙束P1に端綴じが施されるため、ステイプル処理が全く施されない状態で用紙束P1が排出されるという不都合を解消することができる。
(6)上記の実施形態においては、綴結針有無センサ454,454′として磁気抵抗の変化や静電容量の変化を検出することにより用紙束P1における綴結針Nの有無を検出する、いわゆる金属センサが採用されているが、本発明は、綴結針有無センサ454,454′が金属センサであることに限定されるものではなく、例えば、中間トレイ41上において用紙束P1の排出時に綴結針Nが通過する位置に一対の電極端子を配設し、綴結針Nがこれらの電極端子に当接することによる端子間の通電によって綴結針Nの存在を検出するような通電式のセンサを採用してもよい。
(7)上記の実施形態においては、端綴じ用ステイプラー451によるステイプル処理が正常に実行されたか否かを検出するために、端綴じ用ステイプラー451に端綴じ綴結針有無センサ454′が設けられているが、端綴じ綴結針有無センサ454′の設置を省略し、中綴じ用ステイプラー450に設けられた中綴じ綴結針有無センサ454に端綴じの綴結針Nの有無検出を兼用させるようにしてもよい。すなわち、中綴じ綴結針有無センサ454は、端綴じ用ステイプラー451による端綴じ位置より上位に位置しており、端綴じされた用紙束P1の排出処理において端綴じ位置は必ず中綴じの高さレベルの位置を通過するため、中綴じ綴結針有無センサ454を端綴じ位置と対応する位置に予め移動させておくことにより、当該中綴じ綴結針有無センサ454によって端綴じの綴結針Nの有無を検出することができるのである。