JP4255744B2 - 動作補助装置の制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人間の脚体の関節回りにトルクを付与することで該人間の動作を補助する動作補助装置を制御するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人間の大腿部の角速度に応じ、大腿部の補助力の付与タイミングが制御される動作(歩行)補助装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この動作補助装置によれば、人間の大腿部角度の変化に応じて大腿部に補助力が付与されることで、この人間の歩行動作や着席動作が補助され得る。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−166997号公報
(0020〜0024段落、0038〜0044段落、図5、図8)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、人間の脚体に補助力が付与されるタイミングが適切であっても、補助力の大きさや時間変化が不適切な場合には、人間が動作補助装置の使用に違和感を覚える場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、人間が違和感を覚えずに自然に歩行等の動作を行うために適切なトルクが脚体の関節回りに付与されるように動作補助装置を制御し得るシステムを提供することを解決課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の動作補助装置の制御システムは、脚体が着床状態にある立脚であるか、離床状態にある遊脚であるかの別と、脚体姿勢又は脚体姿勢及び脚体動作を判定する脚体状態判定手段と、脚体状態判定手段による判定結果に基づき、第1係数k1i(i=1,2,‥)と、第2係数k2j(j=1,2,‥)とを設定する係数設定手段と、人間の姿勢に応じて変化する姿勢変数xと、人間の動作に応じて変化する動作変数yとを測定する測定手段と、係数設定手段により設定された第1係数k1iと、測定手段により測定された姿勢変数xの関数fi (x)との積の和Σi k1ifi を第1トルクT1 として設定し、係数設定手段により設定された第2係数k2jと、測定手段により測定された動作変数yの関数gj (y)との積の和Σj k2jgj を第2トルクT2 として設定した上で、少なくとも第1トルクT1 と第2トルクT2 の和T1 +T2 を含み、脚体の関節回りに付与されるトルクTを設定するトルク設定手段と、脚体の関節回りに付与されるトルクT(t)が、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から徐々に増加した後、トルク設定手段により設定されたトルクTに到るように動作補助装置を制御するトルク制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1トルクT1 が「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」に応じて設定される第1係数k1iと、人間の「姿勢」に応じて変化する姿勢変数xの関数fi との積の和Σi k1ifi として設定される。すなわち、第1トルクT1 はバネ係数k1iを有する仮想的なバネの変位fi に応じた力として表現される。前記のように第1係数k1iは「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」に応じて設定され、姿勢変数xの関数である当該仮想的なバネの変位fi には人間の「姿勢」が反映されている。従って、第1トルクT1 は人間の「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」、さらに人間の「姿勢」に鑑み、当該人間に違和感を感じさせない観点から適切に設定され得る。
【0008】
また第2トルクT2 が「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」に応じて設定される第2係数k2jと、人間の「動作」に応じて変動する動作変数yの関数gj との積の和Σj k2jgj として設定される。すなわち、第2トルクT2 はバネ係数k2jを有する仮想的なバネの変位gj に応じた力として表現される。前記のように第2係数k2jは「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」に応じて設定され、動作変数yの関数である当該仮想的なバネの変位gj には人間の「動作」が反映されている。従って、第2トルクT2 は「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」、さらに人間の「動作」に鑑み、当該人間に違和感を感じさせない観点から適切に設定され得る。
【0009】
そして、人間の脚体の関節回りに付与されるトルクTが、第1トルクT1 及び第2トルクT2 に基づいて設定される。このため、人間の脚体の関節周りに付与されるトルクTは「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」、さらには人間の「姿勢」及び「動作」に応じ、当該人間に動作の違和感を感じさせない観点から適切な大きさに設定され得る。
【0010】
また、脚体の関節回りに付与されるトルクT(t)が、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から徐々に増加した後、トルク設定手段により設定されたトルクTに到るように動作補助装置が制御される。このため、人間の脚体の関節周りに付与されるトルクT(t)は時間経過に伴い0又は有限値(>0)から当該設定トルクTまで徐々に増加するように滑らかに変化する。
【0011】
従って、本発明によれば「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」、人間の「姿勢」及び「動作」に鑑みて適切な大きさに設定されたトルクTが、滑らかに当該人間の脚体の関節回りに付与される。このため、動作補助装置によりその動作(歩行、走行、着座、起立等)が補助されている人間に違和感を感じさせないように動作補助装置が滑らかに制御され得る。
【0012】
また、本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段が姿勢変数x、姿勢変数xのa累乗(0<a<1)xa 及び姿勢変数xの累積値Ixを姿勢変数xの関数fi として用いて第1トルクT1 を設定し、動作変数y、動作変数yのb累乗(b>1)yb 、動作変数yの累積値Iy及び動作変数yの変化値dyを動作変数yの関数gj として用いて第2トルクT2 を設定することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、姿勢変数xの関数fi =x、xa 及びIxに反映される「姿勢」と、動作変数yの関数gj =y、yb 、Iy及びdyに反映される「動作」と、第1係数k1i及び第2係数k2jに反映される「脚体状態」とに応じてトルクTが適切に設定され得る。
【0014】
さらに本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク制御手段がトルク設定手段により設定されたトルクTに応じたレベルの信号を生成する信号生成手段と、信号に応じ時間経過に伴い0又は有限値(>0)から該信号のレベルまで徐々に増加する信号を出力するフィルタとを備え、該信号生成手段により生成された信号に応じた該フィルタの出力を動作補助装置に付与することで、脚体の関節回りに付与されるトルクT(t)が、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から徐々に増加した後、トルク設定手段により設定されたトルクTに到るように動作補助装置を制御することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、信号がフィルタを経過した上で動作補助装置に付与されることで、人間の「姿勢」「動作」及び「脚体状態」に鑑みて適切な大きさに設定されたトルクTが、滑らかに当該人間の脚体の関節回りに付与される。
【0016】
また、本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段により脚体の股関節トルクTが設定されるとき、脚体状態判定手段により該脚体が遊脚であり、且つ、該遊脚の大腿部が両脚体の股関節を含み上体を前後に分割する基準面より(1) 後方で前方移動すると判定された場合、(2) 後方で後方移動すると判定された場合、(3) 前方で前方移動すると判定された場合、(4) 前方で後方移動すると判定された場合に応じ、係数設定手段が(1) 第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値(≠0)に設定し、(2) 第1係数k1iを有限値に設定する一方、第2係数k2jを0に設定し、(3) 第1係数k1iを0に設定する一方、第2係数k2jを有限値に設定し、(4) 第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、(1) 遊脚の大腿部が基準面より後方で前方移動する場合、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和が含まれるように当該遊脚の股関節トルク(股関節回りに付与されるトルク)Tが設定される。すなわち、仮想バネの変位である「姿勢」及び「動作」に応じた股関節トルクTが、大腿部が基準面より後方で前方移動する遊脚の股関節回りに付与される。
【0018】
また、(2) 遊脚の大腿部が基準面より後方で後方移動する場合、少なくとも第1トルクT1 が含まれる一方、第2トルクT2 が除外されるように当該遊脚の股関節トルクTが設定される。すなわち、仮想バネの変位である「姿勢」に応じた股関節トルクTが、大腿部が基準面より後方で後方移動する遊脚の股関節回りに付与される。
【0019】
さらに(3) 遊脚の大腿部が基準面より前方で前方移動する場合、少なくとも第2トルクT2 が含まれる一方、第1トルクT1 が除外されるように当該遊脚の股関節トルクTとして設定される。すなわち、仮想バネの変位としての「動作」に応じた股関節トルクTが、大腿部が基準面より前方で前方移動する遊脚の股関節回りに付与される。
【0020】
また(4) 遊脚の大腿部が基準面より前方で後方移動する場合、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が「0」に設定される。すなわち、大腿部が基準面より前方で後方移動する遊脚の股関節回りには、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 は付与されない。
【0021】
前記のように場合(1) 〜(4) に応じて股関節トルクTが設定された上で遊脚の股関節回りに付与されることにより、歩行や走行時における当該遊脚の動作を含む人間の動作が違和感なく滑らかに補助されるように動作補助装置が制御され得る。
【0022】
さらに本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段が基準面より前方における遊脚の大腿部の前方移動に伴って徐々に増大した後で徐々に減少するように第2トルクT2 を有限値に設定することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、遊脚の大腿部が基準面より前方で前方移動するとき、第2トルクT2 が当該移動に伴い徐々に増大した後徐々に減少するように設定される。また、第2トルクT2 が含まれるように当該遊脚の股関節トルクTが設定され、この股関節トルクTが遊脚の股関節回りに付与される。これにより、遊脚の動作を含む人間の動作が違和感なく滑らかに補助されるように動作補助装置が制御され得る。
【0024】
また本発明の動作補助装置の制御システムは、脚体状態判定手段により脚体が遊脚であると判定されたとき、トルク設定手段が、人間の脚体の股関節回りに付与されることで、歩行補助装置の装着による該人間の動作負担を軽減する第3トルクT3 を設定した上で、第3トルクT3 が含まれるように該遊脚の股関節トルクTを設定することを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、第3トルクT3 が含まれるように設定された股関節トルクTが遊脚の股関節回りに付与される。これにより、歩行補助装置の装着による人間の動作負担、具体的には、遊脚の移動に伴う当該遊脚の股関節回りの動作負担が軽減され得る。
【0026】
さらに本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段が遊脚の大腿部の前方移動に伴って徐々に増大した後、該大腿部の後方移動に伴って徐々に減少するように該遊脚の股関節回りに付与される第3トルクT3 を設定することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、歩行補助装置の装着による人間の動作負担が、遊脚の大腿部の前方移動に伴い大きくなり、その後の後方移動に伴い小さくなることに鑑み、当該負担の大きさに応じた第3トルクTが含まれる股関節トルクTが遊脚の股関節回りに付与される。
【0028】
これにより、歩行補助装置の装着による人間の動作負担、具体的には遊脚の移動に伴う当該負担がより確実に軽減され得る。
【0029】
また本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段により脚体の膝関節トルクが設定されるとき、脚体状態判定手段により(1')該脚体が遊脚であると判定された場合、係数設定手段が第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、(1')脚体が遊脚である場合、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 が排除された形で膝関節トルク(膝関節回りに付与されるトルク)Tが設定される。これにより、遊脚の膝関節が不自然に曲げられることが回避され、歩行時における人間の遊脚の動作が違和感なく滑らかに補助されるように動作補助装置が制御され得る。
【0031】
さらに本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段により脚体の股関節トルクTが設定されるとき、脚体状態判定手段により該脚体が立脚であり、且つ、該立脚の大腿部が両脚体の股関節を含み上体を前後に分割する基準面より(5) 前方で後方移動すると判定された場合、(6) 前方で前方移動すると判定された場合、(7) 後方で後方移動すると判定された場合、(8) 後方で前方移動すると判定された場合に応じ、係数設定手段が(5) 第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値(≠0)に設定し、(6) 第1係数k1iを有限値に設定する一方、第2係数k2jを0に設定し、(7) 第1係数k1iを0に設定する一方、第2係数k2jを有限値に設定し、(8) 第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、(5) 立脚の大腿部が基準面より前方で後方移動する場合、当該立脚の股関節トルクTが「0」に設定される。すなわち、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 は、大腿部が基準面より前方で後方移動する遊脚の股関節回りに付与されない。
【0033】
また、(6) 立脚の大腿部が基準面より前方で前方移動する場合、少なくとも第1トルクT1 が含まれる一方、第2トルクT2 が除外されるように当該立脚の股関節トルクTが設定される。すなわち、仮想バネの変位としての「動作」に応じたトルクTが、大腿部が基準面より前方で前方移動する立脚の股関節回りに付与される。
【0034】
さらに(7) 立脚の大腿部が基準面より後方で後方移動する場合、少なくとも第2トルクT2 が含まれ、第1トルクT1 が除外されるように当該立脚の股関節トルクTが設定される。すなわち、仮想バネの変位としての「動作」に応じた股関節トルクTが、大腿部が基準面より後方で後方移動する立脚の股関節回りに付与される。
【0035】
また(8) 立脚の大腿部が基準面より後方で前方移動する場合、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 が含まれるように当該立脚の股関節トルクTが設定される。すなわち、仮想バネの変位としての「姿勢」及び「動作」に応じたトルクTが、大腿部が基準面より後方で前方移動する立脚の股関節回りに付与される。
【0036】
前記のように場合(5) 〜(8) に応じて股関節トルクTが設定された上で立脚の股関節回りに付与されることで、歩行や走行時における立脚の動作を含む人間の動作が違和感なく滑らかに補助されるように動作補助装置が制御され得る。
【0037】
また本発明の動作補助装置の制御システムは、脚体状態判定手段により一方の脚体のみが立脚であると判定される状態の開始後、トルク設定手段が第1トルクT1 と第2トルクT2 とを、両者の和T1 +T2 が徐々に増大した後で徐々に減少するように設定することを特徴とする。
【0038】
本発明によれば、一方の脚体のみが立脚であると判定される状態の開始後、当該立脚の股関節トルクTが徐々に増大するように設定される。これにより、両脚体が立脚である状態から一方の脚体のみが立脚である状態に変化した後、増大する当該一方の脚体の負担が軽減され得る。
【0039】
また、当該トルクTはしかる後、徐々に減少するように設定される。これにより、他方が遊脚にある場合の立脚の股関節トルクTが過大になる事態が回避され、人間の動作が違和感なく滑らかに補助されるように動作補助装置が制御され得る。
【0040】
また本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段により脚体の膝関節トルクTが設定されるとき、脚体状態判定手段により該脚体が立脚であり、且つ、該立脚の大腿部が両脚体の股関節を含み上体を前後に分割する基準面より(2')前方にあると判定された場合、(3')後方にあると判定された場合に応じ、係数設定手段が(2')第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値に設定し、(3')第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする。
【0041】
本発明によれば、(2')立脚の大腿部が基準面より前方にある場合、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 が含まれるように当該立脚の膝関節トルクTが設定される。すなわち、仮想バネの変位としての「姿勢」及び「動作」に応じた膝関節トルクTが、大腿部が基準面より前方にある立脚の膝関節回りに付与される。
【0042】
また、(3')立脚の大腿部が基準面より後方にある場合、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が0に設定される。すなわち、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 は、大腿部が基準面より後方にある立脚の膝関節に付与されない。
【0043】
前記のように場合(2')(3')に応じて膝関節トルクTが設定された上で、 脚体の膝関節回りに付与されることで、歩行や走行時における立脚の動作を含む人間の動作が違和感なく滑らかに補助されるように動作補助装置が制御され得る。
【0044】
さらに本発明の動作補助装置の制御システムは、脚体状態判定手段により脚体が遊脚であると判定されたとき、トルク設定手段が人間の脚体の膝関節回りに付与されることで、歩行補助装置の装着による該人間の動作負担を軽減する第3トルクT3 を設定した上で、第3トルクT3 が含まれるように該遊脚の膝関節トルクTを設定することを特徴とする。
【0045】
本発明によれば、第3トルクT3 が含まれるように設定された膝関節トルクTが、遊脚の膝関節回りに付与される。これにより、歩行補助装置の装着による人間の動作負担、具体的には、遊脚の移動に伴う当該遊脚の膝関節回りの動作負担が軽減され得る。
【0046】
また、本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段により両脚体の股関節トルクTが設定されるとき、脚体状態判定手段により該両脚体が立脚であり、両脚体の大腿部が両脚体の股関節を含み上体を前後に分割する基準面より前方にあり、且つ、(9) 両脚体の大腿部が後方移動し、人間の重心と該立脚の足部の重心位置との前後方向の間隔が所定間隔未満であると判定された場合、(10)両脚体の大腿部が前方移動し、該間隔が該所定間隔未満であると判定された場合、(11)該間隔が該所定間隔以上であると判定された場合に応じ、係数設定手段が(9) 第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値に設定し、(10)第1係数k1iを有限値に設定する一方、第2係数k2jを0に設定し、(11)第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする。
【0047】
本発明によれば(9) 基準面より前方にある両立脚の大腿部が後方移動し、前記間隔が所定間隔未満である場合、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 が含まれるように両立脚の股関節トルクTが設定される。この場合、人間が椅子からの起立動作の終期にあることが想定され、仮想バネの変位としての「姿勢」及び「動作」に応じた大きさの股関節トルクTが、大腿部が基準面より前方で後方移動する両立脚の股関節回りに付与される。
【0048】
また、(10)基準面より前方にある両立脚の大腿部が前方移動し、前記間隔が所定間隔未満である場合、少なくとも第1トルクT1 が含まれる一方、第2トルクT2 が除外されるように両立脚の股関節トルクTが設定される。この場合、椅子への着座動作の初期にあることが想定され、仮想バネの変位としての「姿勢」に応じた股関節トルクTが、大腿部が基準面より前方で前方移動する両立脚の股関節回りに付与される。
【0049】
さらに(11)両立脚の大腿部が基準面より前方にあり、前記間隔が所定間隔以上である場合、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が0に設定される。この場合、椅子への着座動作の終期又は椅子からの起立動作の初期にあることが想定され、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 は両立脚の股関節回りに付与されない。
【0050】
前記のように場合(9) 〜(11)に応じて股関節トルクTが設定された上で、両脚体の股関節回りに付与されることで、椅子へ着座、椅子から起立する人間の動作が違和感なく滑らかに補助されるように動作補助装置が制御され得る。
【0051】
さらに本発明の動作補助装置の制御システムは、トルク設定手段により両脚体の膝関節トルクTが設定されるとき、脚体状態判定手段により該両脚体が立脚であり、両脚体の大腿部が両脚体の股関節角度を含み上体を前後に分割する基準面より前方にあり、且つ(4')人間の重心と該立脚の足部の重心位置との前後方向の間隔が所定間隔未満であると判定された場合、(5')該間隔が該所定間隔以上であると判定された場合に応じ、係数設定手段が(4')第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値に設定し、(5')第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする。
【0052】
本発明によれば、(4')両立脚の大腿部が基準面より前方にあり、前記間隔が所定間隔未満である場合、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 が含まれるように、両立脚の膝関節トルクTが設定される。この場合、椅子への着座動作の初期又は椅子からの起立動作の終期にあることが想定され、仮想バネの変位としての「姿勢」及び「動作」に応じた膝関節トルクTが両脚体の膝関節回りに付与される。
【0053】
また、(5')両脚体の大腿部が基準面より前方にあり、前記間隔が所定間隔以上である場合、第1トルクT1 と第2トルクT2 とが除外されるように両脚体の膝関節トルクTが設定される。この場合、椅子への着座動作の終期又は椅子からの起立動作の初期にあることが想定され、少なくとも第1トルクT1 及び第2トルクT2 は、大腿部が基準面より前方にあり、股関節角度が所定角度以上である両脚体に付与されない。
【0054】
前記のように場合(4')(5')に応じてトルクTが両立脚の膝関節に付与されることにより、椅子へ着座・椅子から起立する人間の動作が違和感なく滑らかに補助されるように動作補助装置が制御され得る。
【0055】
また、本発明の動作補助装置の制御システムは、測定手段が姿勢変数x及び動作変数yとして脚体の股関節角度θ及び股関節角速度θ’を測定し、トルク設定手段が第1係数k1iと、脚体の股関節角度θの関数fi (θ)との積の和Σi k1ifi を第1トルクT1 として設定し、第2係数k2jと、股関節角速度θ’の関数gj (θ’)との積の和Σj k2jgj を第2トルクT2 として設定した上で、該脚体の股関節トルクTを設定することを特徴とする。
【0056】
本発明によれば「脚体の股関節角度θ」に反映される「脚体姿勢」と、「脚体の股関節角速度θ’」に反映される「脚体動作」とに応じてトルクTが適切に設定され得る。
【0057】
さらに本発明の動作補助装置の制御システムは、測定手段が姿勢変数x及び動作変数yとして脚体の膝関節角度φ及び膝関節角速度φ’を測定し、トルク設定手段が第1係数k1iと、脚体の股関節角度φの関数fi(φ)との積の和Σik1ifi を第1トルクT1 として設定し、第2係数k2jと、膝関節角速度φ’の関数gj(φ’)との積の和Σjk2jgj を第2トルクT2 として設定した上で、該遊脚の膝関節トルクTを設定することを特徴とする。
【0058】
本発明によれば「脚体の膝関節角度φ」に反映される「脚体姿勢」と、「脚体の膝関節角速度φ’」に反映される「脚体動作」とに応じてトルクTが適切に設定され得る。
【0059】
【発明の実施の形態】
本発明の動作補助装置の制御システムの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0060】
図1は動作補助装置及び本発明の制御システムの構成説明図であり、図2は姿勢変数及び動作変数の定義説明図であり、図3は重力補償トルクの導出用変数の説明図であり、図4は股関節トルク設定方法の説明図であり、図5は膝関節トルク設定方法の説明図であり、図6は平地歩行時における人間の姿勢及び動作の説明図であり、図7は平地歩行時における股関節角度と股関節トルクとの相関説明図であり、図8は平地歩行時における膝関節角度と膝関節トルクとの相関説明図であり、図9は昇り歩行時における人間の姿勢及び動作の説明図であり、図10は昇り歩行時における股関節角度と股関節トルクとの相関説明図であり、図11は昇り歩行時における膝関節角度と膝関節トルクとの相関説明図であり、図12は椅子着座・起立時における人間の姿勢及び動作の説明図であり、図13は椅子着座・起立時における股関節角度と股関節トルクとの相関説明図であり、図14は椅子着座・起立時における膝関節角度と膝関節トルクとの相関説明図であり、図15は歩行時における股関節角度−膝関節角度軌跡の説明図であり、図16は両膝屈伸時における股関節角度−膝関節角度軌跡の説明図である。
【0061】
まず、動作補助装置及び本発明の制御システムの構成について図1を用いて説明する。
【0062】
図1に示す動作補助装置100は、左右一対の股関節アクチュエータ102と、左右一対の膝関節アクチュエータ104とを備えている。
【0063】
股関節アクチュエータ102は人間の腹部、大腿部にそれぞれ取り付けられる腹部サポータ112及び大腿部サポータ114を介し、バッテリ106からの供給電力によりトルクTを各脚体の股関節回りに付与する。膝関節アクチュエータ104は歩行者の大腿部、下腿部に取り付けられた大腿部サポータ114及び下腿部サポータ116を介し、バッテリ106からの供給電力によりトルクTを各脚体の膝関節回りに付与する。バッテリ106は人間の背中に装着されるバックパック118に格納されている。
【0064】
本発明の制御システム200は、バックパック118に格納されたCPU等により構成されている。
【0065】
制御システムは、脚体状態判定ユニット210と、係数設定ユニット220と、測定ユニット230と、トルク設定ユニット240と、トルク制御ユニット250とを備えている。
【0066】
脚体状態判定ユニット210は人間の足裏に前後一対に配置され、荷重に応じた信号を出力するフットスイッチ212の出力信号に基づき、各脚体が着床状態にある「立脚」であるか、離床状態にある「遊脚」であるかの別を判定する。また、脚体状態判定ユニット210は脚体の股関節角度θに応じた信号を出力する股関節角度センサ222の出力信号に基づき、各脚体が両股関節を含み上体を前後に分割する基準面p(図2参照)より前方及び後方のいずれにあるか等「脚体姿勢」を判定する。さらに脚体状態判定ユニット210は股関節角度センサ222の出力信号に基づき、各脚体が前方及び後方のいずれに移動しているか等「脚体動作」を判定する。基準面pは、人間の直立時には当該人間の両股関節を含む鉛直平面と一致する。
【0067】
係数設定ユニット220は脚体状態判定ユニット210による判定結果に基づき、脚体の股関節及び膝関節ごとに第1係数k1i(i=1,2,3)と、第2係数k2j(j=1,2,3,4)を設定する。
【0068】
測定ユニット230は股関節角度センサ222からの出力信号に基づき、左右の股関節角度θ(=姿勢変数x:図2参照)を測定し、左右の股関節角速度θ’(=動作変数y)を測定する。股関節角度θは基準面p(図2参照)より前方に大腿部がある場合を正、基準面pより後方に大腿部がある場合を負として定義される。また、股関節角速度θ’は大腿部が前方移動する場合を正、大腿部が後方移動する場合を負として定義される。
【0069】
また、測定ユニット230は膝関節角度センサ224からの出力信号に基づき、左右の膝関節角度φ(=姿勢変数x:図2参照)を測定し、左右の膝関節角速度φ’(=動作変数y)を測定する。
【0070】
さらに、測定ユニット230は記憶装置(図示略)により記憶されている大腿部長さl1 及び下腿部長さl2 と、股関節角度センサ222の出力に応じた股関節角度θと、膝関節角度センサ224の出力に応じた膝関節角度φとに基づき、人間の重心CGと、脚体の足部の重心位置SCGとの前後方向の間隔dを測定する(図2参照)。
【0071】
トルク設定ユニット240は係数設定ユニット220により設定された第1係数k1iと、測定ユニット220により測定された姿勢変数x=(θ,φ)の関数fi としての姿勢変数x、姿勢変数xのa累乗(0<a<1)xa 及び姿勢変数xの累積値Ixとに基づき、次式(i) に従って脚体の股関節及び膝関節ごとに第1トルクT1 を設定する。
【0072】
またトルク設定ユニット240は係数設定ユニット220により設定された第2係数k2jと、測定ユニット230により測定された動作変数y=(θ’,φ’)の関数gj としての動作変数y、動作変数yのb累乗(b>1)yb 、動作変数yの累積値Iy及び動作変数yの変化値dyとに基づき、次式(ii)に従って脚体の股関節及び膝関節ごとの第2トルクT2 を設定する。
【0073】
さらにトルク設定ユニット240は人間の脚体の股関節、膝関節回りに付与されることで、歩行補助装置100の装着による当該人間の動作負担を軽減する第3トルクT3 を設定する。
【0074】
第3トルクT3 には動作補助装置100の重さの影響を軽減する重力補償トルクT3Gと、アクチュエータ102、104のフリクションの影響を軽減する摩擦力補償トルクT3Fとが含まれる。
【0075】
トルク設定ユニット240は記憶装置(図示略)により記憶されている複数の変数と、測定ユニット230により測定される複数の変数とに基づき、股関節、膝関節回りに付与される重力補償トルクT3Gを設定する。記憶装置により記憶されている当該変数には、図3に示す大腿部の質量m1 、下腿部の質量m2 、大腿部長さl1 、下腿部長さl2 、股関節−大腿部重心距離l10及び膝関節−下腿部重心距離l20とが含まれる。測定ユニット230により測定される当該変数には、鉛直方向に対する大腿部の角度(股関節角度θから基本全額面に対する基準面pの傾斜角度を差し引いた角度)θq 及び膝関節角度φが含まれる。これら変数に基づき、股関節、膝関節回りに付与される重力補償トルクT3Gがそれぞれ次式(iii)(iv) に従って設定される。
【0076】
トルク設定ユニット240は第1トルクT1 、第2トルクT2 及び第3トルクT3 に基づき、次式(v) に従って脚体の各股関節及び各膝関節トルクTを設定する。
【0077】
T=T1 +T2 +T3 ‥(v)
なお脚体の股関節回りに付与される第1トルクT1 、第2トルクT2 、第3トルクT3 及びトルクTは当該脚体の大腿部の後方移動を補助する場合は正、前方移動を補助する場合は負で定義される。また、脚体の膝関節回りに付与される第1トルクT1 、第2トルクT2 、第3トルクT3 及びトルクTは当該脚体の膝の折り曲げを補助する場合は負、膝の伸ばしを補助する場合は正で定義される。
【0078】
トルク制御ユニット250は信号生成ユニット252と、フィルタ254とを備えている。
【0079】
信号生成ユニット252はトルク設定ユニット240により設定されたトルクTに応じたレベルの信号を生成する。
【0080】
フィルタ254は1次遅れフィルタ等、遅れ要素を有するフィルタであり、信号に応じ、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から当該信号のレベルまで徐々に増加する信号を出力する。
【0081】
トルク制御ユニット250は信号生成ユニット252により生成された信号に応じたフィルタ254の出力に基づき、脚体の関節回りに付与されるトルクT(t)が、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から徐々に増加した後、トルク設定ユニット240により設定されたトルクTに到るようにバッテリ106からアクチュエータ102及び104への供給電力を制御する。
【0082】
次に、前記構成の本発明の制御システムによる動作補助装置の制御方法について図4〜図11を用いて説明する。
【0083】
まず、動作補助装置100の股関節アクチュエータ102により、脚体の股関節トルクTが、制御システム200によりどのように設定されるかについて図4を用いて説明する。なお、次に説明するトルク設定処理は、動作補助装置100のスイッチ(図示略)がOFFからONに切り替えられたとき等、所定のタイミングで開始させられる。
【0084】
脚体状態判定ユニット210により左右のフットスイッチ212の出力信号に基づいて各脚体が離床状態にある「遊脚」であるか、着床状態にある「立脚」であるかが判定される(s1.1)。
【0085】
脚体状態判定ユニット210により脚体が「遊脚」であると判定された場合、測定ユニット230により測定された当該脚体の股関節角度θに基づき、脚体状態判定判定ユニット210により、当該脚体の大腿部が基準面より前方及び後方のいずれにあるかが判定される(s1.2)。また、この場合、測定ユニット230により測定された当該脚体の股関節角速度θ’に基づき、脚体状態判定判定ユニット210により、当該脚体の大腿部が前方及び後方のいずれに移動しているかが判定される(s1.2)。
【0086】
続いて係数設定ユニット220により、脚体状態判定ユニットの判定結果(s1.1,s1.2参照)に基づき、第1係数k1i(i=1,2,3)及び第2係数k2j(j=1,2,3,4)が次のように複数の場合(1) 〜(4) に応じて設定される。
【0087】
すなわち、(1) 遊脚の大腿部が基準面より後方にあり(股関節角度θが負)、当該遊脚の大腿部が前方移動している(股関節角速度θ’が正)場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定される(s2.1)。
【0088】
また、(2) 遊脚の大腿部が基準面より後方にあり(股関節角度θが負)、当該遊脚の大腿部が後方移動している(股関節角速度θ’が負)場合、第1係数k1iが有限値に設定され、第2係数k2jが0に設定される(s2.2)。
【0089】
さらに(3) 遊脚の大腿部が基準面より前方にあり(股関節角度θが正)、当該遊脚の大腿部が前方移動している(股関節角速度θ’が正)場合、第1係数k1iが0に設定され、第2係数k2jが有限値に設定される(s2.3)。
【0090】
また、(4) 遊脚の大腿部が基準面より前方にあり(股関節角度θが正)、当該遊脚の大腿部が後方移動している(股関節角速度θ’が負)場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定される(s2.4)。
【0091】
次に測定ユニット230により当該遊脚の股関節角度θ及び股関節角速度θ’が測定される(s3)。
【0092】
続いてトルク設定ユニット240により第1係数k1iと、股関節角度θの関数fi としてのθ、θa 及びIθとに基づき、前記式(i) に従って第1トルクT1 が設定される(s4.1)。
【0093】
またトルク設定ユニット240により第2係数k2jと、股関節角速度θ’の関数gj としてのθ’、θ’b 、Iθ’及びdθ’と前記式(ii)に従って第2トルクT2 が設定される(s4.2)。
【0094】
さらにトルク設定ユニット240により、当該遊脚の股関節回りに付与されることで、動作補助装置100の装着に伴う人間の動作負担を軽減するための第3トルクT3 が設定される(s4.3)。
【0095】
そして、トルク設定ユニット240により、第1トルクT1 、第2トルクT2 及び第3トルクT3 に基づき、前記式(v) に従って遊脚の股関節トルクTが設定される(s4.4)。
【0096】
具体的には、(1) 遊脚の大腿部が基準面より後方で前方移動している場合、第1トルクT1 、第2トルクT2 及び第3トルクT3 の和が当該遊脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定され(s2.1)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 も有限値に設定され得るからである。
【0097】
また、(2) 遊脚の大腿部が基準面より後方で後方移動している場合、第1トルクT1 及び第3トルクT3 の和が当該遊脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1iが有限値に設定され、第2係数k2jが0に設定され(s2.2)、第1トルクT1 が有限値に設定され得る一方、第2トルクT2 が0に設定されるからである。
【0098】
さらに(3) 遊脚の大腿部が基準面より前方で前方移動している場合、第2トルクT2 及び第3トルクT3 の和が当該遊脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1iが0に設定され、第2係数k2jが有限値に設定され(s2.3)、第1トルクT1 が0に設定される一方、第2トルクT2 が有限値に設定され得るからである。
【0099】
また、(4) 遊脚の大腿部が基準面より前方で後方移動している場合、第3トルクT3 が当該遊脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定され(s2.4)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が0に設定されるからである。
【0100】
一方、脚体状態判定ユニット210により脚体が「立脚」であると判定された場合、測定ユニット230により測定された両脚体の大腿部が基準面より前方にあるか(股関節角度θがともに正であるか)否かが判定される(s1.3)。
【0101】
ここで、両脚体の大腿部が基準面より前方にある(股関節角度θがともに正である)のではないと判定された場合、係数設定ユニット220により、脚体状態判定ユニット210の判定結果(s1.1,s1.3参照)に基づき、第1係数k1i(i=1,2,3)及び第2係数k2j(j=1,2,3,4)が次のように複数の場合(5) 〜(8) に応じて設定される。
【0102】
すなわち、(5) 立脚の大腿部が基準面より前方にあり(股関節角度θが正)、立脚の大腿部が後方移動している(股関節角速度θ’が負)場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定される(s2.5)。
【0103】
また、(6) 立脚の大腿部が基準面より前方にあり(股関節角度θが正)、立脚の大腿部が前方移動している(股関節角速度θ’が正)場合、第1係数k1iが有限値に設定され、第2係数k2jが0に設定される(s2.6)。
【0104】
さらに(7) 立脚の大腿部が基準面より後方にあり(股関節角度θが負)、立脚の大腿部が後方移動している(股関節角速度θ’が負)場合、第1係数k1iが0に設定され、第2係数k2jが有限値に設定される(s2.7)。
【0105】
また、(8) 立脚の大腿部が基準面より前方にあり(股関節角度θが正)、立脚の大腿部が後方移動している(股関節角速度θ’が負)場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定される(s2.8)。
【0106】
次に測定ユニット230により当該遊脚の股関節角度θ及び股関節角速度θ’が測定される(s3)。
【0107】
続いてトルク設定ユニット240により第1トルクT1 、第2トルクT2 、第3トルクT3 及び当該立脚の股関節トルクTが設定される(s4.1〜4.4)。なお、第3トルクT3 は「0」に設定される。
【0108】
具体的には、(5) 立脚の大腿部が基準面より前方で後方移動している場合、第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和が当該立脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定され(s2.5)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 も有限値に設定され得るからである。
【0109】
また、(6) 立脚の大腿部が基準面より前方で前方移動している場合、第1トルクT1 が当該立脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1iが有限値に設定され、第2係数k2jが0に設定され(s2.6)、第1トルクT1 が有限値に設定され得る一方、第2トルクT2 は0に設定されるからである。
【0110】
さらに、(7) 立脚の大腿部が基準面より後方で後方移動している場合、第2トルクT2 が当該立脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1iが0に設定され、第2係数k2jが有限値に設定され(s2.7)、第1トルクT1 が0に設定される一方、第2トルクT2 が有限値に設定され得るからである。
【0111】
また、(8) 立脚の大腿部が基準面より後方で前方移動している場合、当該立脚の股関節トルクTは0に設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定され(s2.8)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が0に設定されるからである。
【0112】
また両脚体の大腿部がともに基準面より前方にある(股関節角度θが正)と判定された場合、係数設定ユニット220により、脚体状態判定ユニット210の判定結果(s1.1,s1.3参照)に基づき、第1係数k1i及び第2係数k2jが次のように複数の場合(9) 〜(11)に応じて設定される。
【0113】
すなわち、(9) 両立脚の大腿部が後方移動し(股関節角速度θ’が負)、人間の重心CGと、脚体の足部の重心位置SCGとの前後方向の間隔d(図2参照)が所定間隔d0 未満であると判定された場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定される(s2.9)。
【0114】
また、(10)両立脚の大腿部が前方移動し(股関節角速度θ’が正)、間隔dが所定間隔d0 未満であると判定された場合、第1係数k1iが有限値に設定される一方、第2係数k2jが0に設定される(s2.10)。
【0115】
さらに(11)間隔dが所定間隔d0 以上であると判定された場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定される(s2.11)。
【0116】
次に測定ユニット230により当該遊脚の股関節角度θ及び股関節角速度θ’が測定される(s3)。
【0117】
続いてトルク設定ユニット240により第1トルクT1 、第2トルクT2 、第3トルクT3 及び当該立脚の股関節トルクTが設定される(s4.1〜4.4)。なお、第3トルクT3 は「0」に設定される。
【0118】
具体的には、(9) 間隔d(図2参照)が所定間隔d0 未満の状態で両立脚の大腿部が基準面より前方で後方移動している場合、第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和が両立脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定され(s2.9)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が有限値に設定され得るからである。
【0119】
また、(10)間隔d(図2参照)が所定間隔d0 未満の状態で両立脚の大腿部が基準面より前方で前方移動している場合、第1トルクT1 が両立脚の股関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1iが有限値に設定され、第2係数k2jが0に設定され(s2.10)、第1トルクT1 が有限値に設定され得る一方、第2トルクT2 が0に設定されるからである。
【0120】
さらに(11)両立脚の大腿部がともに基準面より前方にあって間隔dが所定間隔d0 以上である場合、当該両立脚の股関節トルクTが0に設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定され(s2.11)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が0に設定されるからである。
【0121】
次に、動作補助装置100の膝関節アクチュエータ104により、脚体の膝関節トルクTが、制御システム200によりどのように設定されるかについて図5を用いて説明する。
【0122】
まず、脚体状態判定ユニット210により左右のフットスイッチ212の出力信号に基づいて各脚体が離床状態にある「遊脚」であるか、着床状態にある「立脚」であるかが判定される(s5.1)。
【0123】
(1')脚体が「遊脚」であると判定された場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定される(s6.1)。
【0124】
次に測定ユニット230により当該遊脚の膝関節角度φ及び膝関節角速度φ’が測定される(s7)。
【0125】
続いてトルク設定ユニット240により第1係数k1iと、股関節角度θの関数fi としてのθ、θa 及びIθとに基づき、前記式(i) に従って第1トルクT1 が設定される(s8.1)。
【0126】
またトルク設定ユニット240により第2係数k2jと、股関節角速度θ’の関数gj としてのθ’、θ’b 、Iθ’及びdθ’と前記式(ii)に従って第2トルクT2 が設定される(s8.2)。
【0127】
さらにトルク設定ユニット240により、脚体の膝関節回りに付与されることで、動作補助装置100の装着に伴う人間の動作負担を軽減するための第3トルクT3 が設定される(s8.3)。
【0128】
そして、トルク設定ユニット240により、第1トルクT1 、第2トルクT2 及び第3トルクT3 に基づき、前記式(v) に従って遊脚の膝関節トルクTが設定される(s8.4)。
【0129】
具体的には、(1')脚体が「遊脚」である場合、第3トルクT3 が当該遊脚の膝関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定され(s6.1)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が0に設定されるからである。
【0130】
一方、脚体が「立脚」であると判定された場合、両脚体の大腿部が基準面より前方にあるか(測定ユニット230により測定された両脚体の股関節角度θがともに正であるか)否かが判定される(s5.2)。
【0131】
両脚体の大腿部が基準面より前方にあるのではない(股関節角度θがともに正であるのではない)と判定された場合、係数設定ユニット220により、脚体状態判定ユニット210の判定結果(s5.1,s5.2参照)に基づき、第1係数k1i及び第2係数k2jが次のように複数の場合(2')及び(3')に応じて設定される。
【0132】
すなわち、(2')立脚の大腿部が基準面より前方にある(股関節角度θが正)場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値に設定される(s6.2)。
【0133】
また、(3')立脚の大腿部が基準面より後方にある(股関節角度θが負)場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定される(s6.3)。
【0134】
次に測定ユニット230により当該立脚の膝関節角度φ及び膝関節角速度φ’が測定される(s7)。
【0135】
続いてトルク設定ユニット240により第1トルクT1 、第2トルクT2 、第3トルクT3 及び当該立脚の膝関節トルクTが設定される(s8.1〜8.4)。なお、第3トルクT3 は「0」に設定される。
【0136】
具体的には、(2')立脚の大腿部が基準面より前方にある場合、第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和が当該立脚の膝関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定され(s6.2)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が有限値に設定され得るからである。
【0137】
また、(3')立脚の大腿部が基準面より後方にある場合、当該立脚の膝関節トルクTが0に設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定され(s6.3)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が0に設定されるからである。
【0138】
また、両脚体の大腿部が基準面より前方にある(両脚体の股関節角度θがともに正である)と判定された場合、係数設定ユニット220により、脚体状態判定ユニットの判定結果(s210,s212参照)に基づき、第1係数k1i及び第2係数k2jが次のように複数の場合(4')及び(5')に応じて設定される。
【0139】
すなわち、(4')人間の重心CGと足部の重心位置SCGとの前後方向の間隔d(図2参照)が所定間隔d0 未満である場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定される(s6.4)。
【0140】
また、(5')間隔dが所定間隔d0 以上である場合、第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定される(s6.5)。
【0141】
次に測定ユニット230により当該立脚の膝関節角度φ及び膝関節角速度φ’が測定される(s7)。
【0142】
続いてトルク設定ユニット240により第1トルクT1 、第2トルクT2 、第3トルクT3 及び当該立脚の膝関節トルクTが設定される(s8.1〜8.4)。なお、第3トルクT3 は「0」に設定される。
【0143】
具体的には、(4')両立脚が基準面より前方にあって、間隔dが所定間隔d0 未満である場合、第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和が当該立脚の膝関節トルクTとして設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが有限値(≠0)に設定され(s6.4)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が有限値に設定され得るからである。
【0144】
また、(5')両立脚が基準面より前方にあって、間隔dが所定間隔d0 以上である場合、当該立脚の膝関節トルクTは0に設定される。これは、この場合、前記のように第1係数k1i及び第2係数k2jが0に設定され(s6.5)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 が0に設定されるからである。
【0145】
図4及び図5に示された手順に従って設定されたトルクTが、脚体の股関節及び膝関節に付与されるようにトルク制御ユニット250により動作補助装置100が制御される。
【0146】
具体的には、まず信号生成ユニット252によりトルク設定ユニット240により設定されたトルクTに応じたレベルの信号が生成される。次に信号生成ユニット252により生成された信号がフィルタ254に入力される。そして、トルク制御ユニット250により、フィルタ254の出力に基づき、脚体の関節回りに付与されるトルクT(t)が、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から徐々に増加した後、当該トルクTに到るようにバッテリ106からアクチュエータ102及び104への供給電力が制御される。
【0147】
続いて、動作補助装置100を装着した人間の脚体の股関節及び膝関節トルクT(t)が、当該人間の動作に応じて制御システム200によりどのように制御されるかを図6〜図14を用いて説明する。
【0148】
まず、平地歩行時において、脚体の股関節及び膝関節の角度と、脚体の股関節及び膝関節トルクとがどのように変化するかを図6、図7及び図8を用いて説明する。
【0149】
平地歩行時における人間の姿勢及び動作は図6(a)〜図6(g)に示すように変化する。
【0150】
図6(a)は右脚体Rが遊脚であり、右大腿部が基準面pより後方で矢印A+ で示すように前方移動する一方、左脚体Lが立脚であり、左大腿部が基準面pより前方にある状態▲1▼を示す。
【0151】
図6(b)は右脚体Rが遊脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A+ で示すように前方移動する一方、左脚体Lが立脚であり、左大腿部が基準面pより後方にある状態▲2▼を示す。
【0152】
図6(c)は右脚体Rが遊脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lが立脚であり、左大腿部が基準面pより後方にある状態▲3▼を示す。
【0153】
図6(d)は右脚体Rが立脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lも立脚であり、左大腿部が基準面pより後方にある状態▲4▼を示す。
【0154】
図6(e)は右脚体Rが立脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lが遊脚であり、左大腿部が基準面pより後方にある状態▲5▼を示す。
【0155】
図6(f)は右脚体Rが立脚であり、右大腿部が基準面pより後方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lが遊脚であり、左大腿部が基準面pより前方にある状態▲6▼を示す。
【0156】
図6(g)は右脚体Rが立脚であり、右大腿部が基準面pより後方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lも立脚であり、左大腿部が基準面pより前方にある状態▲7▼を示す。
【0157】
平地歩行時において図6(a)〜図6(g)に示す状態▲1▼〜▲7▼の変遷に応じ、右脚体Rの股関節角度θ及び股関節トルクTは図7に示すように変化する。図7に示す状態▲1▼〜▲7▼の変遷周期は約1.5[sec]である。
【0158】
図4に示すトルク設定処理によれば、状態▲1▼では第1トルクT1 (=Σi k1ifi (θ))及び第2トルクT2 (=Σj k2jgj (θ))の和(一点鎖線)と、第3トルクT3 (点線)との和が股関節トルクTとして設定される(図4s2.1,s3,s4.1〜4.4参照)。
【0159】
さらに状態▲2▼では第2トルクT2 と第3トルクT3 との和が股関節トルクTとして設定される(図4s2.2,s3,s4.1〜4.4参照)。
【0160】
また、状態▲3▼では第3トルクT3 が股関節トルクTとして設定される(図4s2.4,s3,s4.1〜4.4参照)。状態▲2▼から状態▲3▼に切り替わったとき、図7に示すように第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和(一点鎖線)が0に設定されるので、股関節トルクTの大きさが減少する。
【0161】
さらに状態▲4▼及び▲5▼では第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和が股関節トルクTとして設定される(図4s2.5,s3,s4.1〜4.4参照)。状態▲4▼から状態▲5▼に切り替わった後、図7に示すように股関節トルクTは徐々に増大した後徐々に減少するように設定される。
【0162】
また状態▲6▼及び▲7▼では第2トルクT2 が股関節トルクTとして設定される(図4s2.7,s3,s4.1〜4.4参照)。
【0163】
また、平地歩行時において、図6(a)〜図6(g)に示す状態▲1▼〜▲7▼の変遷に応じ、右脚体Rの膝関節角度φ及び膝関節トルクTは図8に示すように変化する。図8に示す状態▲1▼〜▲7▼の変遷周期は約1.5[sec]である。
【0164】
図5に示すトルク設定処理によれば、状態▲1▼〜▲3▼では第3トルクT3 (点線)が膝関節トルクTとして設定される(図5s6.1,s7,s8.1〜8.4参照)。
【0165】
また、状態▲4▼及び▲5▼では第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和(一点鎖線)が膝関節トルクTとして設定される(図5s6.2,s7,s8.1〜8.4参照)。状態▲4▼から状態▲5▼に切り替わった後、図8に示すように膝関節トルクTは徐々に増大した後徐々に減少するように設定される。
【0166】
さらに状態▲6▼及び▲7▼では第2トルクT2 が膝関節トルクTとして設定される(図5s6.3,s7,s8.1〜8.4参照)。
【0167】
次に階段や坂道等の昇り歩行時において、脚体の股関節及び膝関節の角度と、脚体の股関節及び膝関節トルクとがどのように変化するかを図9、図10及び図11を用いて説明する。
【0168】
昇り歩行時における人間の姿勢及び動作は図9(a)〜図9(f)に示すように変化する。
【0169】
図9(a)は右脚体Rが遊脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A+ で示すように前方移動する一方、左脚体Lが立脚であり、左大腿部が基準面pより前方にある状態▲1▼’を示す。
【0170】
図9(b)は右脚体Rが遊脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lが立脚であり、左大腿部が基準面pより前方にある状態▲2▼’を示す。
【0171】
図9(c)は右脚体Rが立脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lも立脚であり、左大腿部が基準面pより前方にある状態▲3▼’を示す。
【0172】
図9(d)は右脚体Rが立脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lが遊脚であり、左大腿部が基準面pより前方にある状態▲4▼’を示す。
【0173】
図9(e)は右脚体Rが立脚であり、右大腿部が基準面pより前方で矢印A- で示すように後方移動する一方、左脚体Lも立脚であり、左大腿部が基準面pより前方にある状態▲5▼’を示す。
【0174】
平地歩行時において、図9(a)〜図9(e)に示す状態▲1▼’〜▲5▼’の変遷に応じ、右脚体Rの股関節角度θ及び股関節トルクTは図10に示すように変化する。図7に示す平地歩行時の股関節トルクTと比較して図10に示す昇り歩行時の股関節トルクTが全般的に大きくなっている。図10に示す状態▲1▼’〜▲5▼’の変遷周期は約3.0[sec]である。
【0175】
図4に示すトルク設定処理によれば、状態▲1▼’では第2トルクT2 (二点鎖線)と、第3トルクT3 (点線)との和が股関節トルクTとして設定される(図4s2.3,s3,s4.1〜4.4参照)。
【0176】
また状態▲2▼’では第3トルクT3 が股関節トルクTとして設定される(図4s2.4,s3,s4.1〜4.4参照)。状態▲1▼’から状態▲2▼’に切り替わったとき、図10に示すように第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和(一点鎖線)が0に設定されるので、トルクTの大きさが減少する。
【0177】
さらに状態▲3▼’〜▲5▼’では第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和(一点鎖線)が股関節トルクTとして設定される(図4s2.5,s3,s4.1〜4.4参照)。状態▲3▼’から状態▲4▼’に切り替わった後、図10に示すように股関節トルクTは徐々に増大した後徐々に減少するように設定される。
【0178】
また、昇り歩行時において、図9(a)〜図9(e)に示す状態▲1▼’〜▲5▼’の変遷に応じ、右脚体Rの膝関節角度φ及び膝関節トルクTは図11に示すように変化する。図8に示す平地歩行時の膝関節トルクTと比較して図11に示す昇り歩行時の膝関節トルクTが全般的に大きくなっている。図11に示す状態▲1▼’〜▲5▼’の変遷周期は約3.0[sec]である。
【0179】
図5に示すトルク設定処理によれば、状態▲1▼’及び▲2▼’では第3トルクT3 (点線)が膝関節トルクTとして設定される(図5s6.1,s7,s8.1〜8.4参照)。
【0180】
また状態▲3▼’〜▲5▼’では第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和(一点鎖線)が膝関節トルクTとして設定される(図5s6.2,s7,s8.1〜8.4参照)。状態▲3▼’から状態▲4▼’に切り替わった後、図11に示すように膝関節トルクTは徐々に増大した後徐々に減少するように設定される。
【0181】
続いて、椅子着座・起立時において、脚体の股関節及び膝関節の角度と、脚体の股関節及び膝関節トルクとがどのように変化するかを図12、図13及び図14を用いて説明する。
【0182】
椅子着座・起立時における人間の姿勢及び動作は図12(a)〜図12(c)に示すように変化する。
【0183】
図12(a)は人間が起立している状態▲1▼”を示す。
【0184】
図12(b)は両脚体が立脚であり、重心CGと足部の重心位置SCGとの前後方向の間隔dが所定間隔d0 未満である状態▲2▼”を示す。
【0185】
図12(c)は両脚体が立脚であり、間隔dが所定間隔d0 以上である状態▲3▼”を示す。
【0186】
図12(d)は人間が椅子cに着座している状態▲4▼”を示す。
【0187】
椅子着座・起立時において図12(a)〜図12(d)に示す状態▲1▼”〜▲4▼”の変遷(起立状態から椅子に着座するまでの動作に相当)及び状態▲4▼”〜▲1▼”の変遷(椅子への着座状態から起立するまでの動作に相当)に応じ、脚体の股関節角度θ及び股関節トルクTは図13に示すように変化する。図13に示す状態▲1▼”〜▲4▼”の変遷周期は約5.5[sec]である。
【0188】
図4に示すトルク設定処理によれば状態▲1▼”では、両立脚の股関節トルクTが0に設定される。
【0189】
図13で右側の状態▲2▼”では、両立脚の大腿部が後方移動しており(起立動作)、第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和が両立脚の股関節トルクTとして設定される(図4s2.9,s3,s4.1〜4.4参照)。また図13で左側の状態▲2▼”では、両立脚の大腿部が前方移動しており(着座動作)、第1トルクT1 が両立脚の股関節トルクTとして設定される(図4s2.10,s3,s4.1〜4.4参照)。
【0190】
また、状態▲3▼”では両立脚の股関節トルクTが0に設定され(図4s2.11,s3,s4.1〜4.4参照)、状態▲4▼”でも両立脚の股関節トルクTが0に設定される。
【0191】
また、椅子着座・起立時において図12(a)〜図12(d)に示す状態▲1▼”〜▲4▼”の変遷(起立状態から椅子に着座するまでの動作に対応する。)及び状態▲4▼”〜▲1▼”の変遷(椅子への着座状態から起立するまでの動作に対応する。)に応じ、脚体の膝関節角度φ及び膝関節トルクTは図14に示すように変化する。図14に示す状態▲1▼”〜▲4▼”の変遷周期は約5.5[sec]である。
【0192】
図5に示すトルク設定処理によれば、状態▲1▼”では両立脚の膝関節トルクTが0に設定される。
【0193】
状態▲2▼”では第1トルクT1 及び第2トルクT2 の和が両立脚の膝関節トルクTとして設定される(図5s6.4,s7,s8.1〜8.4参照)。
【0194】
また状態▲3▼”では両立脚の膝関節トルクTが0に設定され(図5s6.5,s7,s8.1〜8.4参照)、状態▲4▼”でも両立脚の膝関節トルクTが0に設定される。
【0195】
前記のように動作補助装置100を制御する制御システム200によれば、第1トルクT1 が第1係数k1iと、股関節角度θ及び膝関節角度φ(姿勢変数x)の関数fi との積の和Σi k1ifi として設定される(前記式(i) 参照)。すなわち、第1トルクT1 はバネ係数k1iを有する仮想的なバネの変位fi に応じた力として表現される。
【0196】
前記のように第1係数k1iは、「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」に応じて設定され、当該仮想的なバネの変位fi には脚体の股関節角度θ及び膝関節角度φにより表される人間の「姿勢」が反映されている。従って、第1トルクT1 は人間の「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」、さらに人間の「姿勢」に鑑み、当該人間に違和感を感じさせない観点から適切に設定され得る。
【0197】
また、第2トルクT2 が第2係数k2jと、股関節角速度θ’及び膝関節角速度φ’(動作変数y)の関数gj との積の和Σj k2jgj として設定される(前記式(ii)参照)。すなわち、第2トルクT2 はバネ係数k2jを有する仮想的なバネの変位gj に応じた力として表現される。
【0198】
前記のように第2係数k2jは、「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」に応じて設定され、当該仮想的なバネの変位gj には股関節角速度θ’及び膝関節角速度φ’により表される人間の「動作」が反映されている。従って、第2トルクT2 は「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」、さらに人間の「動作」に鑑み、当該人間に違和感を感じさせない観点から適切に設定され得る。
【0199】
そして、人間の脚体の関節回りに付与されるトルクTが、第1トルクT1 及び第2トルクT2 に基づいて設定される。このため、人間の脚体の関節周りに付与されるトルクTは「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」、さらには人間の「姿勢」及び「動作」に応じ、当該人間に動作の違和感を感じさせない観点から適切な大きさに設定され得る。
【0200】
また、脚体の関節回りに付与されるトルクT(t)が、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から徐々に増加した後、トルク設定手段により設定されたトルクTに到るように動作補助装置が制御される。このため、人間の脚体の関節周りに付与されるトルクT(t)は時間経過に伴い0又は有限値(>0)から当該設定トルクTまで徐々に増加するように滑らかに変化する。
【0201】
従って、本発明によれば「遊脚・立脚の別」「脚体姿勢」及び「脚体動作」、人間の「姿勢」及び「動作」に鑑みて適切な大きさに設定されたトルクTが、滑らかに当該人間の脚体の関節回りに付与される。このため、動作補助装置によりその動作(歩行、走行、着座、起立等)が補助されている人間に違和感を感じさせないように動作補助装置が滑らかに制御され得る。
【0202】
さらに、第3トルクT3 が含まれるように設定されたトルクTが脚体(遊脚)の関節回りに付与され得る。これにより、歩行補助装置100の装着による人間の動作負担、具体的には、遊脚の移動に伴う当該遊脚の関節回りの動作負担が軽減され得る。
【0203】
ここで歩行時に(A)全くトルクが付与されない場合、(B)第3トルクT3 のうち摩擦力補償トルクT3Fが付与された場合、(C)第1トルクT1 、第2トルクT2 及び摩擦力補償トルクT3Fが付与された場合の股関節角度θ−膝関節角度φの軌跡を図15を用いて説明する。
【0204】
歩行時に(B)第3トルクT3 のみが付与された場合の軌跡(破線)は(A)全くトルクが付与されない場合の軌跡(一点鎖線)よりも、膝関節角度φについて広がりが大きくなっている。これは、股関節及び膝関節回りに摩擦力補償トルクT3Fが付与されることで歩行動作が補助され、脚体動作が大きくなり、人間が自然に近い動作・姿勢で歩行し得ることを意味する。
【0205】
また、歩行時に(C)第1トルクT1 、第2トルクT2 及び摩擦力補償トルクT3Fが付与された場合の軌跡(実線)は(B)摩擦力補償トルクT3Fが付与された場合の軌跡(破線)よりも股関節角度θ及び膝関節角度φについて広がりが大きなっている。これは、摩擦力補償トルクT3Fに加えて第1トルクT1 及び第2トルクT2 が付与されることで歩行動作が補助され、脚体動作がさらに大きくなり、人間がさらに自然に近い動作・姿勢で歩行し得ることを意味する。
【0206】
続いて両膝屈伸時に(A)全くトルクが付与されない場合、(B)第3トルクT3 のうち摩擦力補償トルクT3Fが付与された場合、(C)第1トルクT1 、第2トルクT2 及び摩擦力補償トルクT3Fが付与された場合の股関節角度θ−膝関節角度φの軌跡を図16を用いて説明する。
【0207】
両膝屈伸時に(B)第3トルクT3 のみが付与された場合の軌跡(破線)は(A)全くトルクが付与されない場合の軌跡(一点鎖線)よりも、膝関節角度φについて正方向にずれている。これは、股関節及び膝関節回りに摩擦力補償トルクT3Fが付与されることで両膝屈伸動作が補助され、脚体動作が大きくなり、人間が自然に近い動作・姿勢で両膝を屈伸し得ることを意味する。
【0208】
また、両膝屈伸時に(C)第1トルクT1 、第2トルクT2 及び摩擦力補償トルクT3Fが付与された場合の軌跡(実線)は(B)摩擦力補償トルクT3Fが付与された場合の軌跡(破線)よりも膝関節角度φについて正方向にずれている。これは、摩擦力補償トルクT3Fに加えて第1トルクT1 及び第2トルクT2 が付与されることで両膝屈伸動作が補助され、脚体動作がさらに大きくなり、人間がさらに自然に近い動作・姿勢で両膝を屈伸し得ることを意味する。
【0209】
なお前記実施形態では第1トルクT1 の設定時、姿勢変数x=(θ,φ)の関数fi として(θ,φ)、(θa ,φa )及び(Iθ,Iφ)が用いられ、第2トルクT2 の設定時、動作変数y=(θ’,φ’)の関数gj として、(θ’,φ’)、(θ’a ,φ’a )、(Iθ’,Iφ’)及び(dθ’,dφ’)が用いられたが、他の実施形態として関数fi 及び関数gj として前記以外の関数が用いられてもよく、また、関数の組合せパターンが種々変更されてもよい。
【0210】
前記実施形態では第2バネ係数k2jが有限値に設定される場合があったが(図4s2.1,s2.3,s2.5,図5s6.1等参照)、他の実施形態として第2バネ係数k2jが定常的に0に設定されてもよい。当該他の実施形態によれば、人間の動作に応じた第2トルクT2 が排除された形で、当該人間の脚体の関節回りにトルクTが付与され得る。
【0211】
前記実施形態ではフットスイッチ212(図1参照)により脚体が遊脚であるか立脚であるかが判断されたが(図4s1.1,図5s5.1参照)、他の実施形態として膝関節部分や足関節部分に赤外線を用いて床面との距離を測定する距離センサ(図示略)が設けられ、当該距離センサにより測定される距離に基づいて脚体が遊脚であるか立脚であるかが判断されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】動作補助装置及び本発明の制御システムの構成説明図
【図2】姿勢変数及び動作変数の定義説明図
【図3】重力補償トルクの導出用変数の説明図
【図4】股関節トルクの設定方法の説明図
【図5】膝関節トルクの設定方法の説明図
【図6】平地歩行時における人間の姿勢及び動作の説明図
【図7】平地歩行時における股関節角度と股関節トルクとの相関説明図
【図8】平地歩行時における膝関節角度と膝関節トルクとの相関説明図
【図9】昇り歩行時における人間の姿勢及び動作の説明図
【図10】昇り歩行時における股関節角度と股関節トルクとの相関説明図
【図11】昇り歩行時における膝関節角度と膝関節トルクとの相関説明図
【図12】椅子着座・起立時における人間の姿勢及び動作の説明図
【図13】椅子着座・起立時における股関節角度と股関節トルクとの相関説明図
【図14】椅子着座・起立時における膝関節角度と膝関節トルクとの相関説明図
【図15】歩行時における股関節角度−膝関節角度軌跡の説明図
【図16】両膝屈伸時における股関節角度−膝関節角度軌跡の説明図
【符号の説明】
100‥動作補助装置、102,104‥アクチュエータ、200‥制御システム、210‥脚体状態判定ユニット、212‥フットスイッチ、220‥係数設定ユニット、222‥股関節角度センサ、224‥膝関節角度センサ、230‥測定ユニット、240‥トルク設定ユニット、250‥トルク制御ユニット、252‥信号生成ユニット、254‥フィルタ、p‥基準面
Claims (16)
- 人間の脚体の関節回りにトルクを付与することで該人間の動作を補助する動作補助装置を制御するシステムであって、
脚体が着床状態にある立脚であるか、離床状態にある遊脚であるかの別と、脚体姿勢又は脚体姿勢及び脚体動作を判定する脚体状態判定手段と、
脚体状態判定手段による判定結果に基づき、第1係数k1i(i=1,2,‥)と、第2係数k2j(j=1,2,‥)とを設定する係数設定手段と、
人間の姿勢に応じて変化する姿勢変数xと、人間の動作に応じて変化する動作変数yとを測定する測定手段と、
係数設定手段により設定された第1係数k1iと、測定手段により測定された姿勢変数xの関数fi (x)との積の和Σi k1ifi を第1トルクT1 として設定し、係数設定手段により設定された第2係数k2jと、測定手段により測定された動作変数yの関数gj (y)との積の和Σj k2jgj を第2トルクT2 として設定した上で、少なくとも第1トルクT1 と第2トルクT2 の和T1 +T2 を含み、脚体の関節回りに付与されるトルクTを設定するトルク設定手段と、
脚体の関節回りに付与されるトルクT(t)が、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から徐々に増加した後、トルク設定手段により設定されたトルクTに到るように動作補助装置を制御するトルク制御手段とを備えていることを特徴とする制御システム。 - トルク設定手段が姿勢変数x、姿勢変数xのa累乗(0<a<1)xa 及び姿勢変数xの累積値Ixを姿勢変数xの関数fi として用いて第1トルクT1 を設定し、動作変数y、動作変数yのb累乗(b>1)yb 、動作変数yの累積値Iy及び動作変数yの変化値dyを動作変数yの関数gj として用いて第2トルクT2 を設定することを特徴とする請求項1記載の制御システム。
- トルク制御手段がトルク設定手段により設定されたトルクTに応じたレベルの信号を生成する信号生成手段と、
信号に応じ、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から該信号のレベルまで徐々に増加する信号を出力するフィルタとを備え、
該信号生成手段により生成された信号に応じた該フィルタの出力を動作補助装置に付与することで、脚体の関節回りに付与されるトルクT(t)が、時間経過に伴い0又は有限値(>0)から徐々に増加した後、トルク設定手段により設定されたトルクTに到るように動作補助装置を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の制御システム。 - トルク設定手段により脚体の股関節トルクTが設定されるとき、
脚体状態判定手段により該脚体が遊脚であり、且つ、該遊脚の大腿部が両脚体の股関節を含み上体を前後に分割する基準面より(1) 後方で前方移動すると判定された場合、(2) 後方で後方移動すると判定された場合、(3) 前方で前方移動すると判定された場合、(4) 前方で後方移動すると判定された場合に応じ、
係数設定手段が(1) 第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値(≠0)に設定し、(2) 第1係数k1iを有限値に設定する一方、第2係数k2jを0に設定し、(3) 第1係数k1iを0に設定する一方、第2係数k2jを有限値に設定し、(4) 第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする請求項1、2又は3記載の制御システム。 - トルク設定手段が基準面より前方における遊脚の大腿部の前方移動に伴って徐々に増大した後で徐々に減少するように第2トルクT2 を有限値に設定することを特徴とする請求項4記載の制御システム。
- 脚体状態判定手段により脚体が遊脚であると判定されたとき、トルク設定手段が、人間の脚体の股関節回りに付与されることで、歩行補助装置の装着による該人間の動作負担を軽減する第3トルクT3 を設定した上で、第3トルクT3 が含まれるように該遊脚の股関節トルクTを設定することを特徴とする請求項4又は5記載の制御システム。
- トルク設定手段が遊脚の大腿部の前方移動に伴って徐々に増大した後、該大腿部の後方移動に伴って徐々に減少するように該遊脚の股関節回りに付与される第3トルクT3 を設定することを特徴とする請求項6記載の制御システム。
- トルク設定手段により脚体の膝関節トルクが設定されるとき、脚体状態判定手段により(1')該脚体が遊脚であると判定された場合、係数設定手段が第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の制御システム。
- トルク設定手段により脚体の股関節トルクTが設定されるとき、
脚体状態判定手段により該脚体が立脚であり、且つ、該立脚の大腿部が両脚体の股関節を含み上体を前後に分割する基準面より(5) 前方で後方移動すると判定された場合、(6) 前方で前方移動すると判定された場合、(7) 後方で後方移動すると判定された場合、(8) 後方で前方移動すると判定された場合に応じ、
係数設定手段が(5) 第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値(≠0)に設定し、(6) 第1係数k1iを有限値に設定する一方、第2係数k2jを0に設定し、(7) 第1係数k1iを0に設定する一方、第2係数k2jを有限値に設定し、(8) 第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の制御システム。 - 脚体状態判定手段により一方の脚体のみが立脚であると判定される状態の開始後、トルク設定手段が第1トルクT1 と第2トルクT2 とを、両者の和T1 +T2 が徐々に増大した後で徐々に減少するように設定することを特徴とする請求項9記載の制御システム。
- トルク設定手段により脚体の膝関節トルクTが設定されるとき、
脚体状態判定手段により該脚体が立脚であり、且つ、該立脚の大腿部が両脚体の股関節を含み上体を前後に分割する基準面より(2')前方にあると判定された場合、(3')後方にあると判定された場合に応じ、
係数設定手段が(2')第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値に設定し、(3')第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の制御システム。 - 脚体状態判定手段により脚体が遊脚であると判定されたとき、トルク設定手段が人間の脚体の膝関節回りに付与されることで、歩行補助装置の装着による該人間の動作負担を軽減する第3トルクT3 を設定した上で、第3トルクT3 が含まれるように該遊脚の膝関節トルクTを設定することを特徴とする請求項11記載の制御システム。
- トルク設定手段により両脚体の股関節トルクTが設定されるとき、
脚体状態判定手段により該両脚体が立脚であり、両脚体の大腿部が両脚体の股関節を含み上体を前後に分割する基準面より前方にあり、且つ、(9) 両脚体の大腿部が後方移動し、人間の重心と該立脚の足部の重心位置との前後方向の間隔が所定間隔未満であると判定された場合、(10)両脚体の大腿部が前方移動し、該間隔が該所定間隔未満であると判定された場合、(11)該間隔が該所定間隔以上であると判定された場合に応じ、
係数設定手段が(9) 第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値に設定し、(10)第1係数k1iを有限値に設定する一方、第2係数k2jを0に設定し、(11)第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の制御システム。 - トルク設定手段により両脚体の膝関節トルクTが設定されるとき、
脚体状態判定手段により該両脚体が立脚であり、両脚体の大腿部が両脚体の股関節角度を含み上体を前後に分割する基準面より前方にあり、且つ(4')人間の重心と該立脚の足部の重心位置との前後方向の間隔が所定間隔未満であると判定された場合、(5')該間隔が該所定間隔以上であると判定された場合に応じ、
係数設定手段が(4')第1係数k1i及び第2係数k2jを有限値に設定し、(5')第1係数k1i及び第2係数k2jを0に設定することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の制御システム。 - 測定手段が姿勢変数x及び動作変数yとして脚体の股関節角度θ及び股関節角速度θ’を測定し、
トルク設定手段が第1係数k1iと、脚体の股関節角度θの関数fi (θ)との積の和Σi k1ifi を第1トルクT1 として設定し、第2係数k2jと、股関節角速度θ’の関数gj (θ’)との積の和Σj k2jgj を第2トルクT2 として設定した上で、該脚体の股関節トルクTを設定することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の制御システム。 - 測定手段が姿勢変数x及び動作変数yとして脚体の膝関節角度φ及び膝関節角速度φ’を測定し、
トルク設定手段が第1係数k1iと、脚体の股関節角度φの関数fi(φ)との積の和Σi k1ifi を第1トルクT1 として設定し、第2係数k2jと、膝関節角速度φ’の関数gj(φ’)との積の和Σjk2jgj を第2トルクT2 として設定した上で、該遊脚の膝関節トルクTを設定することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15記載の制御システム。
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