JP2022116580A - 歩行支援具 - Google Patents
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Abstract
【課題】2つ以上の部位を紐状体で連結する歩行支援具において、従来の構成に比べて、取り回しを容易にすること。【解決手段】一端が上部(2)に固定され且つ他端が下方に延びる第1の紐状体(11)、を有する上部(2)と、一端が下部(3)に固定され且つ他端が上方に延びて他端が第1の紐状体(11)の他端に着脱可能な第2の紐状体(21)を有する下部(3)と、第1の紐状体(11)および第2の紐状体(21)の少なくとも一方の他端部に対応して配置され、紐状体(11,21)の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ紐状体(11,21)の厚さ方向を覆うガイド(17,27)と、を備えた歩行支援具(1)。【選択図】図1
Description
本発明は、人が装着して、人の歩行時に歩行の支援を行う歩行支援具に関する。
高齢者や身体障害者の歩行を支援する歩行支援具に関し、モータを使用して動作を支援する構成が知られている(特許文献1)。モータを使用する構成では、モータによって大きな動力が得られるが、人間が装着する観点としては危険性が懸念されたり、充電が必要、高価格という問題がある。
モータを使用しない歩行支援具に関し、下記の特許文献2-4に記載の技術が公知である。
モータを使用しない歩行支援具に関し、下記の特許文献2-4に記載の技術が公知である。
特許文献2(特開2017-104271号公報)には、歩行支援用具(1)として、人が上半身に装着する上部(2)と下半身に装着する下部(3)とを有する構成が記載されている。特許文献2では、上部(2)の肩や背中に左右一対の上部非伸縮性紐状体(32F,32B,33F,33B)の上端が固定され、下部(3)の膝や膝裏に左右一対の下部非伸縮性紐状体(21)の下端が固定され、上部非伸縮性紐状体(32F,32B,33F,33B)の下端と下部非伸縮性紐状体(21)の上端とが連結されることで、上体の動きを股関節に伝えて、歩行時の上体の回旋運動により、股関節の屈伸運動を補助する構成となっている。
特許文献3(特開2016-198273号公報)には、歩行支援装具(1)として、腰に装着される腰部ベルト(2)と、大腿部に装着される大腿ベルト(13)を有する構成が記載されている。特許文献3では、腰部ベルト(2)の背中側に肩バンド(24)の端が固定されている。大腿吊り上げ用弾性帯(21)は、下端が大腿ベルト(13)にファスナー(16,17)で装着され、上端が腰部ベルト(2)にファスナー(7,17)装着されている。そして、肩バンド(24)が背中側から肩を経由して前方に垂れ下がり、肩バンド(24)の先端の雄部材(25)が腰部ベルト(2)に端が固定されたベルトの雌部材(4)に連結されている。なお、特許文献3では、大腿吊り上げ用弾性帯(21)は、ファスナー(7,16,17)で取り付けた後、上下両端部で押さえ片(3,14)で大腿吊り上げ用弾性帯(21)が剥がれないように押さえている。
特許文献4(特開2010-12328号公報)には、筋力制御装置(1)として、人の腰に装着された装着ベルト(2)と膝に装着された装着ベルト(3)との間が連結リボン(4)で連結された構成が記載されている。特許文献4では、連結リボン(4)が臀部や大腿部の裏面に沿って配置されており、臀部に沿った部分には、ガイド部材(6)で連結リボン(4)が覆われた構成が記載されている。
(従来技術の問題点)
特許文献2に記載の構成では、非装着前の状況では、4本の下部非伸縮性紐状体(21)が膝部から下方に垂れ下がった状態となるため、上下の紐状体どうしを連結する際に、紐状体を所定の位置に持って行く必要があり、連結作業が面倒である(取り回しが大変)という問題がある。特に、2組の紐状体を連結する組み合わせを間違えやすい問題がある。紐状体を連結する組み合わせを間違えると、目的とする歩行支援効果が得られない問題もある。
特許文献3に記載の構成でも、特許文献2と同様に、肩バンド(24)の取り回しが大変であるという問題がある。
特許文献4に記載の技術のように、腰と膝の動作の連動では、上半身の動きが利用されず、歩行支援の効果は限定的となる問題がある。
特許文献2に記載の構成では、非装着前の状況では、4本の下部非伸縮性紐状体(21)が膝部から下方に垂れ下がった状態となるため、上下の紐状体どうしを連結する際に、紐状体を所定の位置に持って行く必要があり、連結作業が面倒である(取り回しが大変)という問題がある。特に、2組の紐状体を連結する組み合わせを間違えやすい問題がある。紐状体を連結する組み合わせを間違えると、目的とする歩行支援効果が得られない問題もある。
特許文献3に記載の構成でも、特許文献2と同様に、肩バンド(24)の取り回しが大変であるという問題がある。
特許文献4に記載の技術のように、腰と膝の動作の連動では、上半身の動きが利用されず、歩行支援の効果は限定的となる問題がある。
本発明は、2つ以上の部位を紐状体で連結する歩行支援具において、従来の構成に比べて、取り回しを容易にすることを技術的課題とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の歩行支援具は、
人の上半身に装着可能な上部であって、一端が前記上部に固定され且つ他端が下方に延びる第1の紐状体、を有する前記上部と、
人の下半身に装着可能な下部であって、一端が前記下部に固定され且つ他端が上方に延びて他端が前記第1の紐状体の他端に着脱可能な第2の紐状体を有する前記下部と、
前記第1の紐状体および第2の紐状体の少なくとも一方の他端部に対応して配置され、紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ紐状体の厚さ方向を覆うガイドと、
を備えたことを特徴とする。
人の上半身に装着可能な上部であって、一端が前記上部に固定され且つ他端が下方に延びる第1の紐状体、を有する前記上部と、
人の下半身に装着可能な下部であって、一端が前記下部に固定され且つ他端が上方に延びて他端が前記第1の紐状体の他端に着脱可能な第2の紐状体を有する前記下部と、
前記第1の紐状体および第2の紐状体の少なくとも一方の他端部に対応して配置され、紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ紐状体の厚さ方向を覆うガイドと、
を備えたことを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項2に記載の発明の歩行支援具は、
人の上半身に装着可能な上部であって、一端が前記上部に固定され且つ他端が下方に延びる第1の紐状体、を有する前記上部と、
人の下半身に装着可能な下部であって、一端が前記下部に固定され且つ他端が上方に延びて他端が前記第1の紐状体の他端に着脱可能な第2の紐状体を有する前記下部と、
前記第1の紐状体の少なくとも他端部に対応して配置され、前記第1の紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ前記第1の紐状体の厚さ方向を覆う第1のガイドと、前記第2の紐状体の少なくとも他端部に対応して配置され、前記第2の紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ前記第2の紐状体の厚さ方向を覆う第2のガイドと、を有するガイドと、
を備えたことを特徴とする。
人の上半身に装着可能な上部であって、一端が前記上部に固定され且つ他端が下方に延びる第1の紐状体、を有する前記上部と、
人の下半身に装着可能な下部であって、一端が前記下部に固定され且つ他端が上方に延びて他端が前記第1の紐状体の他端に着脱可能な第2の紐状体を有する前記下部と、
前記第1の紐状体の少なくとも他端部に対応して配置され、前記第1の紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ前記第1の紐状体の厚さ方向を覆う第1のガイドと、前記第2の紐状体の少なくとも他端部に対応して配置され、前記第2の紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ前記第2の紐状体の厚さ方向を覆う第2のガイドと、を有するガイドと、
を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の歩行支援具において、
内表面が低摩擦材料で構成された前記ガイド、
を備えたことを特徴とする。
内表面が低摩擦材料で構成された前記ガイド、
を備えたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の歩行支援具において、
前記紐状体の長手方向および幅方向に伸縮可能な材料で構成された前記ガイド、
を備えたことを特徴とする。
前記紐状体の長手方向および幅方向に伸縮可能な材料で構成された前記ガイド、
を備えたことを特徴とする。
請求項1,2に記載の発明によれば、2つ以上の部位を紐状体で連結する歩行支援具において、従来の構成に比べて、取り回しを容易にすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、ガイドと紐状体との摩擦力が大きくなることが低減され、内表面が低摩擦材料で構成されていない場合に比べて、紐状体の動きが妨げられることが低減される。
請求項4に記載の発明によれば、ガイドが伸縮不能な場合に比べて、利用者が上部や下部を着脱する作業をスムーズに行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、ガイドと紐状体との摩擦力が大きくなることが低減され、内表面が低摩擦材料で構成されていない場合に比べて、紐状体の動きが妨げられることが低減される。
請求項4に記載の発明によれば、ガイドが伸縮不能な場合に比べて、利用者が上部や下部を着脱する作業をスムーズに行うことができる。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1は本発明の実施例1の歩行支援具の説明図であり、図1Aは前方から見た図(正面図)、図1Bは後方から見た図(背面図)である。
図1において、本発明の実施例1の歩行支援具1は、上部の一例としての上インナー2と、下部の一例としての下インナー3と、を有する。実施例1の上インナー2は、半袖シャツ状に形成されており、人が上半身に装着する(着る)ことが可能な構成となっている。実施例1の下インナー3は、長ズボン状(股引状)に形成されており、人が下半身に装着する(着る)ことが可能な構成となっている。なお、各インナー2,3の形状は、例示したシャツ状やズボン状に限定されず、任意の形態とすることが狩野である。
図1において、本発明の実施例1の歩行支援具1は、上部の一例としての上インナー2と、下部の一例としての下インナー3と、を有する。実施例1の上インナー2は、半袖シャツ状に形成されており、人が上半身に装着する(着る)ことが可能な構成となっている。実施例1の下インナー3は、長ズボン状(股引状)に形成されており、人が下半身に装着する(着る)ことが可能な構成となっている。なお、各インナー2,3の形状は、例示したシャツ状やズボン状に限定されず、任意の形態とすることが狩野である。
上インナー2には、第1の紐状体の一例としての上ベルト11が支持されている。実施例1の上ベルト11は、上右前ベルト12と、上右後ろベルト13と、上左前ベルト14と、上左後ろベルト15とを有する。各上ベルト12~15は、長尺の紐状、帯状に構成されている。
上右前ベルト12の一端部(上端部)12aは、上インナー2の左肩甲骨に対応する位置に縫い止められており(固定されており)、左脇腹を経由して、右前腰部に向けて延びている。上右前ベルト12の他端部(下端部)12bには、連結部材の一例としての上右前ジョイント12cが支持されている。
上右後ろベルト13の一端部(上端部)13aは、上右前ベルト12と同様に、上インナー2の左肩甲骨に対応する位置に縫い止められている(固定されている)。上右後ろベルト13は、背中に沿って右後ろ腰部に向けて延びている。上右後ろベルト13の他端部(下端部)13bには、連結部材の一例としての上右後ろジョイント13cが支持されている。
上右後ろベルト13の一端部(上端部)13aは、上右前ベルト12と同様に、上インナー2の左肩甲骨に対応する位置に縫い止められている(固定されている)。上右後ろベルト13は、背中に沿って右後ろ腰部に向けて延びている。上右後ろベルト13の他端部(下端部)13bには、連結部材の一例としての上右後ろジョイント13cが支持されている。
上左前ベルト14の一端部(上端部)14aは、上インナー2の右肩甲骨に対応する位置に縫い止められており(固定されており)、右脇腹を経由して、左前腰部に向けて延びている。上左前ベルト14の他端部(下端部)14bには、連結部材の一例としての上左前ジョイント14cが支持されている。
上左後ろベルト15の一端部(上端部)15aは、上左前ベルト14と同様に、上インナー2の右肩甲骨に対応する位置に縫い止められている(固定されている)。上左後ろベルト15は、背中に沿って左後ろ腰部に向けて延びている。上左後ろベルト15の他端部(下端部)15bには、連結部材の一例としての上左後ろジョイント15cが支持されている。
上左後ろベルト15の一端部(上端部)15aは、上左前ベルト14と同様に、上インナー2の右肩甲骨に対応する位置に縫い止められている(固定されている)。上左後ろベルト15は、背中に沿って左後ろ腰部に向けて延びている。上左後ろベルト15の他端部(下端部)15bには、連結部材の一例としての上左後ろジョイント15cが支持されている。
実施例1の上インナー2には、図1の破線で示すように、上ベルト11(12~15)の厚さ方向外側を覆うように、ガイドの一例であって第1のガイドの一例としての上ガイドカバー17が設けられている。実施例1の上ガイドカバー17は、上ベルト11の幅方向の外縁部で上インナー2に縫い止められており(固定されており)、内部に各ベルト12~15が長手方向に移動可能な空間が形成された袋状に形成されている。実施例1では、各ベルト12~15の下端部12b~15bおよび各ジョイント12c~15cの部分のみが外部に露出するように上ガイドカバー17が形成されている。
下インナー3には、第2の紐状体の一例としての下ベルト21が支持されている。実施例1の下ベルト21は、下右前ベルト22と、下右後ろベルト23と、下左前ベルト24と、下左後ろベルト25とを有する。各下ベルト22~25は、長尺の紐状、帯状に構成されている。
下右前ベルト22の一端部(下端部)22aは、下インナー3の右膝に対応する位置に縫い止められており(固定されており)、右前腰部に向けて上方に延びている。下右前ベルト22の他端部(上端部)22bには、連結部材の一例としての下右前ジョイント22cが支持されている。
下右前ベルト22の一端部(下端部)22aは、下インナー3の右膝に対応する位置に縫い止められており(固定されており)、右前腰部に向けて上方に延びている。下右前ベルト22の他端部(上端部)22bには、連結部材の一例としての下右前ジョイント22cが支持されている。
下右後ろベルト23の一端部(下端部)23aは、下インナー3の右膝裏に対応する位置に縫い止められており(固定されており)、右後腰部に向けて上方に延びている。下右後ろベルト23の他端部(上端部)23bには、連結部材の一例としての下右後ろジョイント23cが支持されている。
下左前ベルト24と下左後ろベルト25は、下右前ベルト22と下右後ろベルト23と左右対称に設けられている。
下左前ベルト24と下左後ろベルト25は、下右前ベルト22と下右後ろベルト23と左右対称に設けられている。
実施例1の下インナー3には、図1の破線で示すように、各下ベルト22~25の厚さ方向外側を覆うように、ガイドの一例であって第2のガイドの一例としての下ガイドカバー27が設けられている。実施例1の下ガイドカバー27は、各ベルト22~25のそれぞれに対応して配置されている。各下ガイドカバー27は、各ベルト22~25の幅方向の外縁部で下インナー3に縫い止められており(固定されており)、内部にベルト22~25が長手方向に移動可能な空間が形成された袋状に形成されている。実施例1では、各ベルト22~25の上端部22b~25bおよび各ジョイント22c~25cの部分のみが外部に露出するように下ガイドカバー27が形成されている。
実施例1では、上ベルト11は非伸縮性の材料で構成されているが、下ベルト21は伸縮性のベルト(一例として、エラストマー)で構成されている。
実施例1の各ガイドカバー17,27は、伸縮性の材料の一例としての天然ゴムで構成されている。したがって、利用者が上インナー2や下インナー3を着たり脱いだりする(着脱する)際や歩行する際に、ガイドカバー17,27が伸縮して、動きを妨げられることが低減されている。なお、伸縮性の材料として、天然ゴムに限定されず、合成ゴムや伸縮可能な編み方をされた布等、従来公知の任意の伸縮性の材料を使用することが可能である。なお、ガイドカバー17,27は伸縮性の材料で構成することが望ましいが、非伸縮性の材料を使用することも可能である。
実施例1の各ガイドカバー17,27は、伸縮性の材料の一例としての天然ゴムで構成されている。したがって、利用者が上インナー2や下インナー3を着たり脱いだりする(着脱する)際や歩行する際に、ガイドカバー17,27が伸縮して、動きを妨げられることが低減されている。なお、伸縮性の材料として、天然ゴムに限定されず、合成ゴムや伸縮可能な編み方をされた布等、従来公知の任意の伸縮性の材料を使用することが可能である。なお、ガイドカバー17,27は伸縮性の材料で構成することが望ましいが、非伸縮性の材料を使用することも可能である。
また、実施例1の各ガイドカバー17,27の内表面には、低摩擦材料の一例としてのフッ素樹脂が皮膜されている。したがって、ガイドカバー17,27と、各ベルト11,21との摩擦が低減される。よって、ベルト11,21とガイドカバー17,27との摩擦で、ベルト11,21の動きが妨げられたり、利用者の動きに違和感が発生することが抑制される。
さらに、実施例1の各ガイドカバー17,27の外表面には、低摩擦材料の一例としてのフッ素樹脂が皮膜されている。したがって、歩行支援具1を利用者が装着した状態で、上に服やズボン、上着等を着ても、服等との間の摩擦で動きが妨げられることが抑制される。
さらに、実施例1の各ガイドカバー17,27の外表面には、低摩擦材料の一例としてのフッ素樹脂が皮膜されている。したがって、歩行支援具1を利用者が装着した状態で、上に服やズボン、上着等を着ても、服等との間の摩擦で動きが妨げられることが抑制される。
なお、低摩擦材料として、フッ素樹脂に限定されず、表面が平滑な任意の材料、例えば、PET樹脂等の合成樹脂を使用することも可能であるが、ベルト11,21や衣服との摩擦で静電気を帯びにくい材料を採用することが望ましい。また、ガイドカバー17,27の表面に成膜する構成に限定されず、低摩擦材料のフィルムを貼り付けたり、縫い止めたりする構成とすることも可能である。なお、ガイドカバー17,27の表面を低摩擦材料で構成することが望ましいが、低摩擦材料で構成しない構成とすることも可能である。
図2は、実施例1の下側のジョイントの説明図である。
実施例1の上側のジョイント12c~15cと、下側のジョイント22c~25cとは連結可能に構成されている。一例として、実施例1では、上側のジョイント12c~15cが雌部材で構成され、下側のジョイント22c~25cが雄部材で構成されているが、雄部材と雌部材の組み合わせが逆とすることも可能である。
図2において、実施例1の下側のジョイント22c~25cには、長さ調整用の溝28が形成されており、溝28を通過するベルト22~25の長さを手動で調整可能に構成されている。
実施例1の上側のジョイント12c~15cと、下側のジョイント22c~25cとは連結可能に構成されている。一例として、実施例1では、上側のジョイント12c~15cが雌部材で構成され、下側のジョイント22c~25cが雄部材で構成されているが、雄部材と雌部材の組み合わせが逆とすることも可能である。
図2において、実施例1の下側のジョイント22c~25cには、長さ調整用の溝28が形成されており、溝28を通過するベルト22~25の長さを手動で調整可能に構成されている。
(実施例1の作用)
図3は歩行支援具を利用者が装着していない状態の説明図であり、図3Aは実施例1の場合の説明図、図3Bは従来の構成の場合の説明図である。
前記構成を備えた実施例1の歩行支援具1では、利用者が上インナー2と下インナー3とを着る前の状態では、図3Aに示すように、各ベルト11,21は、ガイドカバー17,27の内部に収容され、上インナー2と下インナー3の表面に沿った状態で保持されている。
図3Bに示すように、ガイドカバー17,27が設けられていない従来の構成では、利用者が下インナー01を着る前の状態では、ベルト02は、下端部02a(膝の位置)から重力で下方に垂れ下がった状態となっている。したがって、利用者は下インナー01を着た後、前後左右4本のベルト02を屈んで持ちあげて、それぞれ上側のジョイントに連結する必要があった。また、連結する際も、長い4本のベルト02の連結先を間違えやすい問題もあった。したがって、従来の構成では、ベルトの取り回しが大変であるという問題があった。
図3は歩行支援具を利用者が装着していない状態の説明図であり、図3Aは実施例1の場合の説明図、図3Bは従来の構成の場合の説明図である。
前記構成を備えた実施例1の歩行支援具1では、利用者が上インナー2と下インナー3とを着る前の状態では、図3Aに示すように、各ベルト11,21は、ガイドカバー17,27の内部に収容され、上インナー2と下インナー3の表面に沿った状態で保持されている。
図3Bに示すように、ガイドカバー17,27が設けられていない従来の構成では、利用者が下インナー01を着る前の状態では、ベルト02は、下端部02a(膝の位置)から重力で下方に垂れ下がった状態となっている。したがって、利用者は下インナー01を着た後、前後左右4本のベルト02を屈んで持ちあげて、それぞれ上側のジョイントに連結する必要があった。また、連結する際も、長い4本のベルト02の連結先を間違えやすい問題もあった。したがって、従来の構成では、ベルトの取り回しが大変であるという問題があった。
これに対して、ガイドカバー17,27が設けられた実施例1では、図3Aに示すように、利用者が各インナー2,3を着ていない状態でもジョイント12c~15c,22c~25cが垂れ下がらず、所定の位置に保持される。したがって、利用者が各インナー2,3を着た後に、ジョイント12c~15c,22c~25cを連結する際に、屈んだりする必要がなく、連結先も間違えることなく、連結作業が容易である。すなわち、ベルト11,21の取り回しが容易になっている。
なお、実施例1の歩行支援具では、ジョイント12c~15c,22c~25cが連結された状態では、歩行時の上半身の左回旋(左手側が前に出る動き)、すなわち、体幹の動きが、上側の右ベルト12,13と下側の右ベルト22,23で下半身の右膝に伝達され、股関節の屈曲、伸展が促され、歩行が支援される。同様に、歩行時の上半身の右回旋(右手側が前に出る動き)が、上側の左ベルト14,15と下側の左ベルト24,25で下半身の左膝に伝達され、歩行が支援される。
なお、実施例1の歩行支援具では、ジョイント12c~15c,22c~25cが連結された状態では、歩行時の上半身の左回旋(左手側が前に出る動き)、すなわち、体幹の動きが、上側の右ベルト12,13と下側の右ベルト22,23で下半身の右膝に伝達され、股関節の屈曲、伸展が促され、歩行が支援される。同様に、歩行時の上半身の右回旋(右手側が前に出る動き)が、上側の左ベルト14,15と下側の左ベルト24,25で下半身の左膝に伝達され、歩行が支援される。
(実施例1の変形例)
図4は実施例1の変形例の説明図である。
図1の構成では、ガイドカバー17,27は、ベルト11,21のほぼ全体を覆う構成を例示したが、これに限定されない。図4に示すように、少なくとも、ベルト11,21の他端部の近傍、すなわち、ジョイント12c~15c,22c~25cの近傍の部分にのみ、ガイドカバー17′,27′を設ける構成とすることも可能である。この構成とすることで、ガイドカバー17′,27′のサイズが小さくなり、歩行支援具1を軽量化することが期待できる。なお、衣服との摩擦については、図1に示す構成の方が摩擦低減効果は大きい。
図4は実施例1の変形例の説明図である。
図1の構成では、ガイドカバー17,27は、ベルト11,21のほぼ全体を覆う構成を例示したが、これに限定されない。図4に示すように、少なくとも、ベルト11,21の他端部の近傍、すなわち、ジョイント12c~15c,22c~25cの近傍の部分にのみ、ガイドカバー17′,27′を設ける構成とすることも可能である。この構成とすることで、ガイドカバー17′,27′のサイズが小さくなり、歩行支援具1を軽量化することが期待できる。なお、衣服との摩擦については、図1に示す構成の方が摩擦低減効果は大きい。
(実施例の歩行支援具1の原理および実験例)
(支援原理の詳細説明)
図5は歩行時の時の股関節屈伸モーメント、股関節屈伸角度、体幹回旋角度の説明図であり、図5Aは平地歩行時の1周期の股関節屈伸モーメントの一例の説明図、図5Bは平地歩行時の1周期の股関節屈伸角度の一例の説明図、図5Cは平地歩行時の1周期の体幹回旋角度の一例の説明図である。
図5Aの波形に類似したモーメントを歩行支援具1によって発生させるため、図5Bに示す股関節屈伸角度と図5Cに示す体幹回旋角度に着目した。図5Aの股関節屈伸モーメントは歩行周期0%付近で伸展モーメントが大きく発生し、歩行周期50%付近で屈曲モーメントが大きく発生するが、図5B、図5Cの股関節屈伸角度、体幹回旋角度も同じく歩行周期0%、50%付近で大きく屈伸、回旋しているのがわかる。実施例1の歩行支援具1は、この股関節屈伸と体幹回旋の運動を利用し、その動きに連動して股関節を支援している。具体的には、ベルト11として、弾性素材(エラストマー)を使用し、股関節屈伸と体幹回旋の運動によってエラストマーを伸長させる。その際に発生するエラストマーの弾性力を股関節まわりに作用させることで、股関節の運動を支援する。
(支援原理の詳細説明)
図5は歩行時の時の股関節屈伸モーメント、股関節屈伸角度、体幹回旋角度の説明図であり、図5Aは平地歩行時の1周期の股関節屈伸モーメントの一例の説明図、図5Bは平地歩行時の1周期の股関節屈伸角度の一例の説明図、図5Cは平地歩行時の1周期の体幹回旋角度の一例の説明図である。
図5Aの波形に類似したモーメントを歩行支援具1によって発生させるため、図5Bに示す股関節屈伸角度と図5Cに示す体幹回旋角度に着目した。図5Aの股関節屈伸モーメントは歩行周期0%付近で伸展モーメントが大きく発生し、歩行周期50%付近で屈曲モーメントが大きく発生するが、図5B、図5Cの股関節屈伸角度、体幹回旋角度も同じく歩行周期0%、50%付近で大きく屈伸、回旋しているのがわかる。実施例1の歩行支援具1は、この股関節屈伸と体幹回旋の運動を利用し、その動きに連動して股関節を支援している。具体的には、ベルト11として、弾性素材(エラストマー)を使用し、股関節屈伸と体幹回旋の運動によってエラストマーを伸長させる。その際に発生するエラストマーの弾性力を股関節まわりに作用させることで、股関節の運動を支援する。
実施例1の歩行支援具1では、下インナー3の後ろ側のベルト23,25が股関節伸展支援ベルトの機能を有する。また、下インナー3の前側のベルト22,24が股関節屈曲支援ベルトの機能を有する。さらに、上インナー2の左側のベルト14,15が体幹右回旋伝達ベルトの機能を有する。また、上インナー2の右側のベルト12,13が体幹左回旋伝達ベルトの機能を有する。
股関節伸展支援ベルト23,25は下端が膝関節付近に固定され、大腿部後方と上後腸骨棘上を通過して、上インナー2の後ろ側のベルト13,15と接続される。股関節伸展支援ベルト23,25と接続されたベルト13,15はそれぞれが交差する形で背中を通過し、肩甲骨付近に上端が固定される。股関節屈曲支援ベルト22,24は下端が膝関節付近に固定され、大腿部前方と上前腸骨棘上を通過して上インナー2の前側のベルト12,14と接続される。股関節屈曲支援ベルト22,24と接続されたベルト12,14はそれぞれが交差する形で上半身側面を通過し、肩甲骨付近に上端が固定される。下ベルト21(22~25)はエラストマーを使用した伸縮性のベルトとなっており、股関節屈曲と体幹回旋の運動によって伸長し、その伸長量に比例した弾性力を発生する。上ベルト11(12~15)は非伸縮性のベルトであり、体幹回旋の運動をダイレクトに下ベルト21に伝達する。
股関節伸展支援ベルト23,25は下端が膝関節付近に固定され、大腿部後方と上後腸骨棘上を通過して、上インナー2の後ろ側のベルト13,15と接続される。股関節伸展支援ベルト23,25と接続されたベルト13,15はそれぞれが交差する形で背中を通過し、肩甲骨付近に上端が固定される。股関節屈曲支援ベルト22,24は下端が膝関節付近に固定され、大腿部前方と上前腸骨棘上を通過して上インナー2の前側のベルト12,14と接続される。股関節屈曲支援ベルト22,24と接続されたベルト12,14はそれぞれが交差する形で上半身側面を通過し、肩甲骨付近に上端が固定される。下ベルト21(22~25)はエラストマーを使用した伸縮性のベルトとなっており、股関節屈曲と体幹回旋の運動によって伸長し、その伸長量に比例した弾性力を発生する。上ベルト11(12~15)は非伸縮性のベルトであり、体幹回旋の運動をダイレクトに下ベルト21に伝達する。
図6は歩行時の状態の説明図であり、図6Aは踵接地時での側方から見た状態の説明図、図6Bは図6Aにおいて上方から見た説明図、図6Cは図6Aにおいて後方から見た状態の説明図、図6Dはつま先離地時での側方から見た状態の説明図、図6Eは図6Dにおいて上方から見た説明図、図6Fは図6Dにおいて前方から見た状態の説明図である。
図6A~図6Cにおいて、歩行周期0%のとき(踵が接地する時)、体幹右回旋の運動が体幹右回旋伝達ベルト14,15を介して、股関節伸展支援ベルト23,25に伝達し、股関節伸展支援ベルト23,25が伸長する。さらに股関節屈曲によって股関節伸展支援ベルト23,25が伸長する。体幹右回旋と股関節屈曲によって伸長した股関節伸展支援ベルト23,25には弾性力が作用するため、股関節伸展方向にモーメントが作用し、股関節伸展の運動をサポート(支援、補助)する。
図6A~図6Cにおいて、歩行周期0%のとき(踵が接地する時)、体幹右回旋の運動が体幹右回旋伝達ベルト14,15を介して、股関節伸展支援ベルト23,25に伝達し、股関節伸展支援ベルト23,25が伸長する。さらに股関節屈曲によって股関節伸展支援ベルト23,25が伸長する。体幹右回旋と股関節屈曲によって伸長した股関節伸展支援ベルト23,25には弾性力が作用するため、股関節伸展方向にモーメントが作用し、股関節伸展の運動をサポート(支援、補助)する。
図6D~図6Fにおいて、股関節が伸展して歩行周期50%になると(つま先が地面から離れると)、体幹左回旋の運動が体幹左回旋伝達ベルト12,13を介して股関節屈曲支援ベルト22,24に伝達し、股関節屈曲支援ベルト22,24が伸長する。さらに股関節伸展によって股関節屈曲支援ベルト22,24が伸長する。体幹左回旋と股関節伸展によって伸長した股関節屈曲支援ベルト22,24には弾性力が作用するため、股関節屈曲方向にモーメントが作用し、股関節屈曲の運動をサポートする。
そして股関節が屈曲して最初の歩行周期0%の状態(図6A~図6C参照)に戻る。これら一連の支援が繰り返し作用することで、歩行時の股関節運動を支援することが可能となる。
そして股関節が屈曲して最初の歩行周期0%の状態(図6A~図6C参照)に戻る。これら一連の支援が繰り返し作用することで、歩行時の股関節運動を支援することが可能となる。
(構造設計の説明)
図7は歩行支援具のモデルの説明図である。
まず歩行支援効果αを式(1)で定義する。
ここで、Mhip:股関節モーメント、Msuit:歩行支援ウェアが発揮する支援モーメントである。支援モーメントMsuitは、式(2)で表される。
ここで、ke:ベルトのばね定数、xhip:股関節屈伸によるベルト変位、xtrunk:体幹運動によるベルト変位、L:股関節-ベルト間の距離である(図7参照)。式(1),(2)より、歩行支援効果αは式(3)で表される。
式(3)より、支援効果を得るためにはベルト変位xhip,xtrunkとばね定数keを向上させる必要がある。
図7は歩行支援具のモデルの説明図である。
まず歩行支援効果αを式(1)で定義する。
ここで、Mhip:股関節モーメント、Msuit:歩行支援ウェアが発揮する支援モーメントである。支援モーメントMsuitは、式(2)で表される。
ここで、ke:ベルトのばね定数、xhip:股関節屈伸によるベルト変位、xtrunk:体幹運動によるベルト変位、L:股関節-ベルト間の距離である(図7参照)。式(1),(2)より、歩行支援効果αは式(3)で表される。
式(3)より、支援効果を得るためにはベルト変位xhip,xtrunkとばね定数keを向上させる必要がある。
ベルト変位xhip,xtrunkは、股関節屈伸と体幹回旋の運動によって発生するため、それらの運動が効率良くベルトに伝達されるのが望ましい。ただしベルトは着用者の身体を沿うような配置になるため、その位置によっては身体を圧迫してしまう可能性がある。以上のことから、ベルト変位が大きくかつベルトからの圧迫が小さくなるベルトの配置を探索的に調べた。
方法は等身大マネキン(アヴィス社、HB0148)を用いて歩行姿勢を再現し、複数のベルト配置におけるベルト変位と圧力分布を測定し、ベルト変位と圧力の比(変位/圧力)が最大となる位置を探索した。一例として体幹左回旋伝達ベルト12,13の実験結果を図8に示す。
方法は等身大マネキン(アヴィス社、HB0148)を用いて歩行姿勢を再現し、複数のベルト配置におけるベルト変位と圧力分布を測定し、ベルト変位と圧力の比(変位/圧力)が最大となる位置を探索した。一例として体幹左回旋伝達ベルト12,13の実験結果を図8に示す。
図8は体幹左旋回伝達ベルトの実験結果の説明図であり、縦軸はベルト変位と圧力の比、横軸はベルト取り付け位置を示している。
なお、図8の横軸のベルト取り付け位置は、下肢から伸びてきたベルトを取り付ける位置を胸部中心からの距離で示している。また、図8において、ベルト圧力についてはベルト張力によって正規化を行っている。
図8の結果から、測定の結果500mm(肩甲骨付近)の位置で変位-圧力比が最大となり、この位置を最適ベルト位置として決定した。
なお、図8の横軸のベルト取り付け位置は、下肢から伸びてきたベルトを取り付ける位置を胸部中心からの距離で示している。また、図8において、ベルト圧力についてはベルト張力によって正規化を行っている。
図8の結果から、測定の結果500mm(肩甲骨付近)の位置で変位-圧力比が最大となり、この位置を最適ベルト位置として決定した。
ベルト11,21のばね定数keは、支援効果向上のために大きくするのが望ましい。しかし過度にばね定数を大きくすると、ベルトに変位を発生させるのに必要な力も大きくなるため、着用者の負担感、不快感につながる恐れがある。そのためベルトの弾性特性と装着時の官能特性の関係を調べた。健常成人男性5名(年齢23.6±2.2歳、身長1.76±0.04[m])を対象に、ばね定数1.4N/mmから0.4N/mmまでの6種類のベルトを着用した歩行を数分間行い、各印象を図9の表1に示す8評価項目に7段階で被験者に記入させるSD法を用いて評価した。実験結果を図9に示す。
図9はベルトのバネ定数の違いによる官能実験結果の説明図であり、図9Aは横軸にバネ定数、縦軸に官能スコアを取ったグラフ、図9Bは評価項目の一覧表である。
図9において、ばね定数の増加により不快感の評点に有意な変化が見られ、特に“Tight-Loose”の項目においてばね定数1.4N/mmと1.2N/mmが0.6N/mmと0.4N/mmに比べて有意に大きかったことから、ばね定数1.4N/mmと1.2N/mmは被験者に与える不快感が大きいと判断し、それ以下のばね定数の素材で最も支援効果が得られるばね定数1.0N/mmを最適素材に決定した。
図9において、ばね定数の増加により不快感の評点に有意な変化が見られ、特に“Tight-Loose”の項目においてばね定数1.4N/mmと1.2N/mmが0.6N/mmと0.4N/mmに比べて有意に大きかったことから、ばね定数1.4N/mmと1.2N/mmは被験者に与える不快感が大きいと判断し、それ以下のばね定数の素材で最も支援効果が得られるばね定数1.0N/mmを最適素材に決定した。
決定したベルト位置とベルト素材を踏まえて、実施例1の歩行支援具(歩行支援ウェア)1を製作した。歩行支援具1は上インナー2と下インナー3とを腰回りで接続する構造となっている。これにより通常の衣服を着る感覚で歩行支援ウェアを着用できるようになり、着易さの向上を図った。
(評価試験の実験方法)
歩行支援具1の機能評価を目的として歩行実験を行った。今回開発した歩行支援具1は歩行時の股関節モーメントを支援することで歩行支援効果を狙ったものであることから、歩行時の股関節モーメントを測定して歩行支援効果を評価することを目的としている。健常成人男性13名(年齢:25.5±5.1歳、身長:1.74±0.05m、体重:67.4±7.0kg)を対象とし、平地歩行と階段歩行を歩行支援ウェア着用と未着用でそれぞれ行った。計測装置にはモーションキャプチャカメラ16台(Natural Point社、OptiTrack Flex3)、装着式フォースプレート(テック技販社、M3D-FP-U95(80))、据置式フォースプレート(テック技販社、TF-4060-D)、筋電センサ4台(S&ME社、DL-142)、自作の張力計4台を用いた。筋電センサの貼付位置は腹斜筋と脊柱起立筋とした。またSD法による官能実験も行った。
歩行支援具1の機能評価を目的として歩行実験を行った。今回開発した歩行支援具1は歩行時の股関節モーメントを支援することで歩行支援効果を狙ったものであることから、歩行時の股関節モーメントを測定して歩行支援効果を評価することを目的としている。健常成人男性13名(年齢:25.5±5.1歳、身長:1.74±0.05m、体重:67.4±7.0kg)を対象とし、平地歩行と階段歩行を歩行支援ウェア着用と未着用でそれぞれ行った。計測装置にはモーションキャプチャカメラ16台(Natural Point社、OptiTrack Flex3)、装着式フォースプレート(テック技販社、M3D-FP-U95(80))、据置式フォースプレート(テック技販社、TF-4060-D)、筋電センサ4台(S&ME社、DL-142)、自作の張力計4台を用いた。筋電センサの貼付位置は腹斜筋と脊柱起立筋とした。またSD法による官能実験も行った。
(解析方法)
図10は歩行支援効果の計算方法のフローチャートである。
解析ソフトウェア(ノビテック社、Venus 3D)によって処理したモーションキャプチャデータとフォースプレートデータより、筋骨格モデルによる動作解析に基づき股関節モーメントを算出し、歩行支援具1の歩行支援効果の評価を行った。計算方法の概要を図10に示す。
図10において、まず予め人間の身体筋骨格系をモデリングした筋骨格モデルに計測したモーションキャプチャデータを入力し、各関節の角度、角速度、角加速度等の運動データを取得する。次にこれら取得した運動データと計測したフォースプレートデータを筋骨格モデルに入力して逆動力学計算を行うことで各関節にかかる関節反力と関節モーメントを算出する。
図10は歩行支援効果の計算方法のフローチャートである。
解析ソフトウェア(ノビテック社、Venus 3D)によって処理したモーションキャプチャデータとフォースプレートデータより、筋骨格モデルによる動作解析に基づき股関節モーメントを算出し、歩行支援具1の歩行支援効果の評価を行った。計算方法の概要を図10に示す。
図10において、まず予め人間の身体筋骨格系をモデリングした筋骨格モデルに計測したモーションキャプチャデータを入力し、各関節の角度、角速度、角加速度等の運動データを取得する。次にこれら取得した運動データと計測したフォースプレートデータを筋骨格モデルに入力して逆動力学計算を行うことで各関節にかかる関節反力と関節モーメントを算出する。
ここで算出される股関節モーメントをMnetとすると、Mnetは歩行時の運動データと床反力データによって算出されるため、歩行支援ウェア着用時と未着用時で両者を比較しても、歩行に変化がなければ値は変わらない。しかしその内訳を見ると、Mnetは式(4)のように人間が発揮する股関節モーメントMhipと歩行支援ウェアが発揮するモーメントMsuitを合わせたモーメントとなっている。
つまり歩行支援具1着用時においては、歩行支援具1が発揮するモーメントMsuitが作用する分、人間が発揮するモーメントMhipが減少する。このMhipの減少分を歩行支援ウェア未着用時と比較することで、歩行支援効果の評価を行う。
つまり歩行支援具1着用時においては、歩行支援具1が発揮するモーメントMsuitが作用する分、人間が発揮するモーメントMhipが減少する。このMhipの減少分を歩行支援ウェア未着用時と比較することで、歩行支援効果の評価を行う。
図11はMsuitの算出方法についての概要の説明図である。
図11において、Msuitはベルト張力と股関節位置より式(5)で表される。
ここで、Fは張力計で計測したベルト張力、R1は図11のマーカ1の位置ベクトル、R2は図11のマーカ2の位置ベクトル、Rhipは股関節の位置ベクトルであり、これらの位置はモーションキャプチャによって取得したデータを用いる。式(4)と式(5)より、歩行支援具1着用時における人間が発揮する股関節モーメントMhipは式(6)で表される。
式(6)で算出したMhipと歩行支援ウェア未着用時の股関節モーメントを比較し、歩行支援効果の評価を行う。
図11において、Msuitはベルト張力と股関節位置より式(5)で表される。
ここで、Fは張力計で計測したベルト張力、R1は図11のマーカ1の位置ベクトル、R2は図11のマーカ2の位置ベクトル、Rhipは股関節の位置ベクトルであり、これらの位置はモーションキャプチャによって取得したデータを用いる。式(4)と式(5)より、歩行支援具1着用時における人間が発揮する股関節モーメントMhipは式(6)で表される。
式(6)で算出したMhipと歩行支援ウェア未着用時の股関節モーメントを比較し、歩行支援効果の評価を行う。
(実験結果の説明)
(歩行周期、歩幅、歩行速度)
図12は歩行周期、歩幅、歩行速度の実験結果の説明図であり、図12Aは平地歩行時の歩行周期、歩幅、歩行速度の結果の一覧表、図12Bは階段歩行時の歩行周期、歩幅、歩行速度の結果の一覧表、図12Cは歩行周期、歩幅、歩行速度の正規化の計算方法の一覧表である。
なお、図12A、図12Bにおいて、図12Cに示す計算方法で、表の値はすべて試験者の身長と重力加速度を用いて正規化されている。
図12において、歩行支援具1着用時と未着用時の値をt検定(有意水準5%)によって比較したところ、全ての項目において有意な差は見られなかった。このことから、開発した歩行支援具1は歩行周期、歩幅、歩行速度などの巨視的な歩行の基本因子には影響を及ぼさないと考えられる。よってこれらの影響は無いものとして、股関節モーメントの評価を行う。
(歩行周期、歩幅、歩行速度)
図12は歩行周期、歩幅、歩行速度の実験結果の説明図であり、図12Aは平地歩行時の歩行周期、歩幅、歩行速度の結果の一覧表、図12Bは階段歩行時の歩行周期、歩幅、歩行速度の結果の一覧表、図12Cは歩行周期、歩幅、歩行速度の正規化の計算方法の一覧表である。
なお、図12A、図12Bにおいて、図12Cに示す計算方法で、表の値はすべて試験者の身長と重力加速度を用いて正規化されている。
図12において、歩行支援具1着用時と未着用時の値をt検定(有意水準5%)によって比較したところ、全ての項目において有意な差は見られなかった。このことから、開発した歩行支援具1は歩行周期、歩幅、歩行速度などの巨視的な歩行の基本因子には影響を及ぼさないと考えられる。よってこれらの影響は無いものとして、股関節モーメントの評価を行う。
(股関節モーメント)
図13は股関節モーメント測定結果の説明図であり、図13Aは平地歩行時、図13Bは階段上り動作時、図13Cは階段下り動作時の測定結果である。
図14は歩行支援具の着用/未着用での股関節モーメントの比較結果の説明図であり、図14Aは平地歩行時の結果、図14Bは階段上り動作時の結果である。
図13A、図14Aより、平地歩行時は歩行周期50-100%の区間において歩行支援具1の着用により約25%の減少が見られた。図13B、図13C、図14Bより、階段歩行時は上り動作時に約15%の有意な減少が見られた。
図13は股関節モーメント測定結果の説明図であり、図13Aは平地歩行時、図13Bは階段上り動作時、図13Cは階段下り動作時の測定結果である。
図14は歩行支援具の着用/未着用での股関節モーメントの比較結果の説明図であり、図14Aは平地歩行時の結果、図14Bは階段上り動作時の結果である。
図13A、図14Aより、平地歩行時は歩行周期50-100%の区間において歩行支援具1の着用により約25%の減少が見られた。図13B、図13C、図14Bより、階段歩行時は上り動作時に約15%の有意な減少が見られた。
(筋電図)
図15は歩行支援具の着用/未着用での平地歩行時の筋電図計測結果である。
なお、図15では1歩行周期中の%MVCの平均値を示している。
図15において、筋電図は、平地歩行時、階段歩行時共に歩行支援ウェア着用時と未着用時で有意な差は見られなかった。
図15は歩行支援具の着用/未着用での平地歩行時の筋電図計測結果である。
なお、図15では1歩行周期中の%MVCの平均値を示している。
図15において、筋電図は、平地歩行時、階段歩行時共に歩行支援ウェア着用時と未着用時で有意な差は見られなかった。
(官能実験)
図16は歩行支援具の着用/未着用での快適さの官能試験結果の説明図である。
なお、図16では、実線は歩行支援具1着用時の評点の平均値、破線は未着用時の評点の平均値を示している。
図16において、全体的に歩行支援ウェア着用時に不快感は増す傾向が見られ、“不快-快適”、“落ち着かない-落ち着く”、“きつい-ゆるい”、“重い-軽い”、“抵抗がある-抵抗がない”、“不自由な-自由な”の6項目で有意な差が見られた。
図16は歩行支援具の着用/未着用での快適さの官能試験結果の説明図である。
なお、図16では、実線は歩行支援具1着用時の評点の平均値、破線は未着用時の評点の平均値を示している。
図16において、全体的に歩行支援ウェア着用時に不快感は増す傾向が見られ、“不快-快適”、“落ち着かない-落ち着く”、“きつい-ゆるい”、“重い-軽い”、“抵抗がある-抵抗がない”、“不自由な-自由な”の6項目で有意な差が見られた。
(平地歩行支援効果)
股関節モーメント比較結果(図13A、図14A)より、歩行周期50-100%の区間において歩行支援ウェア着用により股関節モーメントに約25%の減少が見られた。歩行周期50-100%は両脚支持期から遊脚期にあたり、この区間においては歩行支援具1の着用により25%の支援効果が得られることがわかった。約25%という値に関しては、現存する歩行支援ウェアに比べて高い値であり、体幹運動を用いることで支援効果の高い歩行支援具1が得られた。
股関節モーメント比較結果(図13A、図14A)より、歩行周期50-100%の区間において歩行支援ウェア着用により股関節モーメントに約25%の減少が見られた。歩行周期50-100%は両脚支持期から遊脚期にあたり、この区間においては歩行支援具1の着用により25%の支援効果が得られることがわかった。約25%という値に関しては、現存する歩行支援ウェアに比べて高い値であり、体幹運動を用いることで支援効果の高い歩行支援具1が得られた。
図17は平地歩行時の歩行支援具による支援モーメントの説明図であり、横軸に歩行周期、縦軸に支援モーメントを取ったグラフである。
一方で歩行周期0-50%の区間で支援効果が得られなかったことについて、図13Aの平地歩行時股関節モーメントは歩行周期100%付近の踵接地直前の伸展モーメントに比べ、歩行周期0%の踵接地直後において大きな伸展モーメントが働いていることがわかる。
しかし、図17の歩行支援具1が発揮する支援モーメントは歩行周期0%の踵接地直後と歩行周期100%付近の踵接地直前でほぼ同様の値の伸展モーメントが発生するようになっている。つまりこの支援モーメントの値では歩行周期100%の踵接地直前の伸展モーメントは支援できるが、歩行周期0%の踵接地直後の伸展モーメントは十分に支援できず、支援効果が得られなかったものと考えられる。
一方で歩行周期0-50%の区間で支援効果が得られなかったことについて、図13Aの平地歩行時股関節モーメントは歩行周期100%付近の踵接地直前の伸展モーメントに比べ、歩行周期0%の踵接地直後において大きな伸展モーメントが働いていることがわかる。
しかし、図17の歩行支援具1が発揮する支援モーメントは歩行周期0%の踵接地直後と歩行周期100%付近の踵接地直前でほぼ同様の値の伸展モーメントが発生するようになっている。つまりこの支援モーメントの値では歩行周期100%の踵接地直前の伸展モーメントは支援できるが、歩行周期0%の踵接地直後の伸展モーメントは十分に支援できず、支援効果が得られなかったものと考えられる。
(階段歩行支援効果)
股関節モーメントの比較結果(図13B、図13C、図14B)から、上り動作時は歩行支援ウェア着用により約15%の有意な減少があることがわかった。このことから、上り動作時は歩行支援ウェア着用により支援効果が得られることがわかる。
股関節モーメントの比較結果(図13B、図13C、図14B)から、上り動作時は歩行支援ウェア着用により約15%の有意な減少があることがわかった。このことから、上り動作時は歩行支援ウェア着用により支援効果が得られることがわかる。
図18は階段歩行時の歩行支援具による支援効果の説明図であり、図18Aは支援モーメント、図18Bは体幹前傾角度、図18Cは股関節屈伸角度である。
なお、図18Bは正が前傾、負が後傾であり、図18Cは正が伸展、負が屈曲を示している。
図18において、上り動作時の支援モーメントは歩行周期0%の踵接地付近において伸展モーメントが発生している。これは階段上り動作時の体幹前傾と股関節屈曲が大きいため、それにより股関節伸展を支援するエラストマーベルトの張力が増加し、伸展側の支援モーメントが増加したものである。この伸展側の支援モーメントの作用が上り動作時の支援効果につながったものと考えられる。
なお、図18Bは正が前傾、負が後傾であり、図18Cは正が伸展、負が屈曲を示している。
図18において、上り動作時の支援モーメントは歩行周期0%の踵接地付近において伸展モーメントが発生している。これは階段上り動作時の体幹前傾と股関節屈曲が大きいため、それにより股関節伸展を支援するエラストマーベルトの張力が増加し、伸展側の支援モーメントが増加したものである。この伸展側の支援モーメントの作用が上り動作時の支援効果につながったものと考えられる。
(体幹部への負担と不快感について)
体幹部分の筋電図測定結果(図15参照)より、歩行支援具1着用によって筋電図に変化は見られなかった。このことから、歩行支援具1の着用によって体幹部分の著しい筋負担になることはないものと考えられる。また官能実験の結果より、歩行支援具1が着用者へ不快感を与えていることがわかった。この不快感の原因について筋電図測定結果も含めて考えると、体幹部分への負担ではなく、その他(エラストマーベルトによる体の圧迫など)が原因であることが推測される。製作した歩行支援具1はベルト位置最適化の際にベルト圧力が低下する位置にベルトを配置するように設計したが、これは各ベルト位置から相対的に圧力の小さい位置を選択したものである。したがって人体各部の許容される圧力値(圧迫を感じやすい部分や感じにくい部分など)の考慮をしていないため、これらを含めた設計が必要であると考えられる。また製作した歩行支援具1の上インナー2は主に背面にベルト11が固定されているため、背面側に上インナー2が引っ張られ、前面の首元を上インナー2が圧迫してしまう問題が見られた。以上の点を改善することで不快感が低減し、より実用性の高い歩行支援ウェアが期待できる。
体幹部分の筋電図測定結果(図15参照)より、歩行支援具1着用によって筋電図に変化は見られなかった。このことから、歩行支援具1の着用によって体幹部分の著しい筋負担になることはないものと考えられる。また官能実験の結果より、歩行支援具1が着用者へ不快感を与えていることがわかった。この不快感の原因について筋電図測定結果も含めて考えると、体幹部分への負担ではなく、その他(エラストマーベルトによる体の圧迫など)が原因であることが推測される。製作した歩行支援具1はベルト位置最適化の際にベルト圧力が低下する位置にベルトを配置するように設計したが、これは各ベルト位置から相対的に圧力の小さい位置を選択したものである。したがって人体各部の許容される圧力値(圧迫を感じやすい部分や感じにくい部分など)の考慮をしていないため、これらを含めた設計が必要であると考えられる。また製作した歩行支援具1の上インナー2は主に背面にベルト11が固定されているため、背面側に上インナー2が引っ張られ、前面の首元を上インナー2が圧迫してしまう問題が見られた。以上の点を改善することで不快感が低減し、より実用性の高い歩行支援ウェアが期待できる。
(高齢者着用時の支援効果予測)
今回開発した歩行支援具1は高齢者の歩行支援を目的としたものである。しかし本実験は若年者を被験者としたため、本実験で得られた支援効果が高齢者に対しても同様に得られるかは定かではない。そこで本実験で得られた13名のデータを使用し、高齢者に対しての支援効果予測を行った。具体的には高齢者は若年者に比べて比較的体格が小さく、歩行時の体幹運動も小さいことが考えられるため、本実験の被験者の体格と体幹回旋角度が支援効果に影響を及ぼすのかを調べた。方法は相関分析を用いる。図19に結果を示す。
今回開発した歩行支援具1は高齢者の歩行支援を目的としたものである。しかし本実験は若年者を被験者としたため、本実験で得られた支援効果が高齢者に対しても同様に得られるかは定かではない。そこで本実験で得られた13名のデータを使用し、高齢者に対しての支援効果予測を行った。具体的には高齢者は若年者に比べて比較的体格が小さく、歩行時の体幹運動も小さいことが考えられるため、本実験の被験者の体格と体幹回旋角度が支援効果に影響を及ぼすのかを調べた。方法は相関分析を用いる。図19に結果を示す。
図19は支援効果の予測結果の説明図であり、図19Aは横軸に体格を取り縦軸に支援効果を取った相関分析結果、図19Bは横軸に体格を取り縦軸に支援モーメントを取った相関分析結果、図19Cは横軸に体格を取り縦軸に股関節モーメントを取った相関分析結果である。
図20は支援効果の予測結果の説明図であり、図20Aは横軸に体幹回旋角度を取り縦軸に支援効果を取った相関分析結果、図20Bは横軸に体幹回旋角度を取り縦軸に支援モーメントを取った相関分析結果、図20Cは横軸に体幹回旋角度を取り縦軸に股関節モーメントを取った相関分析結果である。
なお、図19において、体格は、被験者の身長と体重の積とした。また、図20において、横軸は歩行時の最大の体幹回旋角度を取った。
図20は支援効果の予測結果の説明図であり、図20Aは横軸に体幹回旋角度を取り縦軸に支援効果を取った相関分析結果、図20Bは横軸に体幹回旋角度を取り縦軸に支援モーメントを取った相関分析結果、図20Cは横軸に体幹回旋角度を取り縦軸に股関節モーメントを取った相関分析結果である。
なお、図19において、体格は、被験者の身長と体重の積とした。また、図20において、横軸は歩行時の最大の体幹回旋角度を取った。
図19A、図20Aにおいて、支援効果については有意な相関は見られなかった。図19B、図19C、図20B、図20Cにおいて、歩行支援具1の支援モーメントと股関節モーメントについて、それぞれ体格と体幹回旋角度に対して相関分析を実施したところ、体格と支援モーメント、体幹回旋角度と支援モーメントの間に正の相関が見られた。これは体格が大きいほど支援モーメントを発揮するエラストマーベルトに発生する変位が大きくなるためであり、また体幹回旋角度が大きいほどエラストマーベルトの変位が大きくなるためである。一方で体格と股関節モーメント、体幹回旋角度と股関節モーメントの間にも正の相関が見られた。これは体格が大きいほど床反力が増大して股関節に発生するモーメントも大きくなるためであり、また体幹回旋角度が大きいほど歩行速度などが大きい傾向にあり、ダイナミックに歩行しているため、結果として股関節モーメントが大きくなったためと考えられる。
以上の結果より、高齢者着用時の支援効果を予測すると、体格が小さいあるいは体幹運動が小さい高齢者が着用した場合、歩行支援具1の支援モーメントは低下するが、支援対象の股関節モーメントの値も小さいため、その支援効果(割合)は変わらない。したがって、高齢者が着用した場合でも、本実験と同等の支援効果が得られるものと予測できる。
以上の結果より、高齢者着用時の支援効果を予測すると、体格が小さいあるいは体幹運動が小さい高齢者が着用した場合、歩行支援具1の支援モーメントは低下するが、支援対象の股関節モーメントの値も小さいため、その支援効果(割合)は変わらない。したがって、高齢者が着用した場合でも、本実験と同等の支援効果が得られるものと予測できる。
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、前記実施例において、上インナー2において上ベルト11を固定する位置を肩甲骨の付近とする構成を例示したが、これに限定されない。実験等に応じて支援効果が高まったり、不快感が減少する位置に変更することが可能である。また、実施例1では、上右前ベルト12の固定位置と上右後ろベルト13の固定位置が一致する構成を例示したが、これに限定されない。各ベルト12,13の固定位置が異なる位置とすることが可能である。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、前記実施例において、上インナー2において上ベルト11を固定する位置を肩甲骨の付近とする構成を例示したが、これに限定されない。実験等に応じて支援効果が高まったり、不快感が減少する位置に変更することが可能である。また、実施例1では、上右前ベルト12の固定位置と上右後ろベルト13の固定位置が一致する構成を例示したが、これに限定されない。各ベルト12,13の固定位置が異なる位置とすることが可能である。
前記実施例において、ガイドカバー17,27を上インナー2と下インナー3の両方に設けることが望ましいが、上インナー2と下インナー3のいずれか一方にのみ設ける構成とすることも可能である。
1…歩行支援具、
2…上部、
3…下部、
11…第1の紐状体、
12a~15a…第1の紐状体の一端、
12b~15b…第1の紐状体の他端、
17…第1のガイド、
17,27…ガイド、
21…第2の紐状体、
22a~25a…第2の紐状体の一端、
22b~25b…第2の紐状体の他端、
27…第2のガイド。
2…上部、
3…下部、
11…第1の紐状体、
12a~15a…第1の紐状体の一端、
12b~15b…第1の紐状体の他端、
17…第1のガイド、
17,27…ガイド、
21…第2の紐状体、
22a~25a…第2の紐状体の一端、
22b~25b…第2の紐状体の他端、
27…第2のガイド。
Claims (4)
- 人の上半身に装着可能な上部であって、一端が前記上部に固定され且つ他端が下方に延びる第1の紐状体、を有する前記上部と、
人の下半身に装着可能な下部であって、一端が前記下部に固定され且つ他端が上方に延びて他端が前記第1の紐状体の他端に着脱可能な第2の紐状体を有する前記下部と、
前記第1の紐状体および第2の紐状体の少なくとも一方の他端部に対応して配置され、紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ紐状体の厚さ方向を覆うガイドと、
を備えたことを特徴とする歩行支援具。 - 人の上半身に装着可能な上部であって、一端が前記上部に固定され且つ他端が下方に延びる第1の紐状体、を有する前記上部と、
人の下半身に装着可能な下部であって、一端が前記下部に固定され且つ他端が上方に延びて他端が前記第1の紐状体の他端に着脱可能な第2の紐状体を有する前記下部と、
前記第1の紐状体の少なくとも他端部に対応して配置され、前記第1の紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ前記第1の紐状体の厚さ方向を覆う第1のガイドと、前記第2の紐状体の少なくとも他端部に対応して配置され、前記第2の紐状体の長手方向および幅方向に沿って移動可能に支持し且つ前記第2の紐状体の厚さ方向を覆う第2のガイドと、を有するガイドと、
を備えたことを特徴とする歩行支援具。 - 内表面が低摩擦材料で構成された前記ガイド、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の歩行支援具。 - 前記紐状体の長手方向および幅方向に伸縮可能な材料で構成された前記ガイド、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の歩行支援具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021012809A JP2022116580A (ja) | 2021-01-29 | 2021-01-29 | 歩行支援具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021012809A JP2022116580A (ja) | 2021-01-29 | 2021-01-29 | 歩行支援具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022116580A true JP2022116580A (ja) | 2022-08-10 |
Family
ID=82749318
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021012809A Pending JP2022116580A (ja) | 2021-01-29 | 2021-01-29 | 歩行支援具 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022116580A (ja) |
-
2021
- 2021-01-29 JP JP2021012809A patent/JP2022116580A/ja active Pending
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20231017 |
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A977 | Report on retrieval |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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