JP2017164384A - 補助具 - Google Patents

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Abstract

【課題】装着者の少なくとも1部分の関節に加わる負荷を軽減できる補助具を提供する。【解決手段】補助具1は、弾性支持部材11A、11Bと、テンションベルト12A、12Bと、を備える。弾性支持部材11A、11Bは、人体の外表面の骨盤部A1と肋骨部A2との間に配置される。弾性支持部材11A、11Bは、弾性変形して、骨盤部A1と肋骨部A2とが互いに離れる方向へ作用する力を骨盤部A1と肋骨部A2とに加える。テンションベルト12A、12Bは、人体の背中側へ骨盤部A1と肋骨部A2とを引っ張る力を骨盤部A1と肋骨部A2とに加える。弾性支持部材11A、11Bおよびテンションベルト12A、12Bは、骨盤部A1と肋骨部A2とが互いに離れる方向へ作用する力と、骨盤部A1と肋骨部A2とを引っ張る力と、の合成力が腰椎を伸展かつ伸長させる方向へ作用するように配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、補助具に関する。
介護の現場では、介護者が体幹を深く前屈した前傾姿勢(例えば約40度以上)を持続しながら、非介護者の移乗介助や体位変換などの介護動作が行うことが多い。介護者が前傾姿勢をとったとき、介護者の上半身の自重や被介護者の重量により、介護者の腰部には屈曲モーメントが生じる。このとき、介護者の脊柱起立筋は脊柱を引き起こすように収縮し、介護者の腰椎には大きな圧縮力が生じる。この腰椎に生じる大きな圧縮力が腰痛の原因となる。介護者の介護動作では、腰部の大きな屈曲モーメントが生じるため、腰椎や脊柱起立筋への負荷が大きく、作業者が腰痛等の障害を被り易い。また、漁業や農業などにおける一次産業の現場においても、作業者は前屈姿勢を伴う作業を長時間行う場合が多いため、作業者が腰痛等の障害を被ることが多い。また、日常生活においても加齢、病気や怪我などのために腰痛を感じるものが多く存在する。
これに対して、従来、腰部への負荷を軽減するための装具として、いわゆる能動型の装具と、いわゆる受動型の装具とが提供されている。能動型の装具としては、モータやゴム人工筋等のアクチュエータと外骨格とを備えるロボットスーツやアクチュエータを直接人体に取り付けた内骨格型のアシスト装置等が提案されている。
また、受動型の装具の代表としては、コルセットがある。コルセットは、装着者の腰部を圧迫して腹圧を高めることにより、装着者の体幹を安定させて腰椎の動きを制限することが主目的であるが、装着者が前傾姿勢をとった場合、骨盤底の筋膜の反力で体幹を伸展する方向へのモーメントが生じて腰椎の圧縮力が低減される。
受動型の装具としては、他に、肩から背中を経由して太腿の後側に至るようベルトを配置し、前傾姿勢時にこのベルトに発生する張力を利用して腰部への負担を軽減する前屈作業補助用具が提案されている(特許文献1参照)。この前屈作業補助用具では、装着者が前傾姿勢をとると肩を腰部側に引っ張る張力がベルトに発生する。そして、このベルトに発生する張力により、脊柱起立筋を補助する。
また、受動型の装具の別例として、装着者の前側の胸部から太腿部分に亘って配置された弾性支持部材を備え、その弾性支持部材に生じる復元力を利用して装着者の腰部への負担を軽減する弾性支持部材付衣服が提案されている(特許文献2参照)。この弾性支持部材付衣服は、装着者が前傾姿勢をとったときに、弾性支持部材に生じる復元力で装着者の胸部を上方に持ち上げることにより、装着者の腰部に体幹の伸展方向へのモーメントを発生させるものである。
更に、受動型の装具として、装着者の背中側に配置された弾性を有する支柱が内蔵されたパッドを備え、その支柱に生じる復元力を利用して装着者の腰部への負担を軽減する支持装置が提案されている(特許文献3参照)。この支持装置は、装着者が前傾姿勢をとったときに、背中側に配置されたパッドに内蔵された支柱に生じる張力により脊柱起立筋への負荷を軽減するものである。これらの受動型の装具は、能動型の装具のような動力源が不要なので、能動型の装具に比べて簡便かつ低コストであり、衣服に近い形態を持たせることができるので普及が進んでいる。
特開2013−144858号公報 特開2007−247110号公報 特開2002−161414号公報
しかしながら、能動型の装具は形状が大きく、他の運動に対する阻害も大きいので簡単に使用することができない。受動型であるコルセットは、前述のように、装着者の腰椎の動きを制限するものであるため装着者の動作が拘束されてしまい、装着者の動作の柔軟性や俊敏性が阻害され、その結果、介護作業等における作業性が低下してしまう。また、コルセットは、前述のように、装着者が前傾姿勢をとったときに、腰部に体幹を伸展する方向へのモーメントを発生させるがその大きさは十分ではない。更に、コルセットは、常時腰部を圧迫するため装着者に不快感を与える虞がある。また、コルセットは、装着者が前傾姿勢をとったときのみならず常に体幹を支持しているため、装着者が長期間装着した場合、装着者が本来有する体幹を支持する筋力が低下してしまう虞がある。
特許文献1に記載された前屈作業補助用具の場合、装着者が前傾姿勢をとると、ベルトにより肩が腰部側へ引っ張られるため、装着者の肩が圧迫されてしまう。これに対して、特許文献2に記載の弾性支持部材付衣服の場合、装着者の肩が圧迫される虞が少ない。
ところが、装着者が、その身体の前方の空間で作業を行う場合、その身体の前側に配置された大きな弾性支持部材と作業を行う対象の物体とが接触する場合がある。この場合、装着者の作業性に支障をきたす虞がある。また、特許文献2に記載の弾性支持部材付衣服では、前述のように、弾性支持部材の下端が太腿部分に位置しており、装着者が前傾姿勢をとると、太腿部分を前方から押圧する力が作用する。この場合、弾性支持部材の下端が、太腿部分の外表面に沿ってスライドしてしまい弾性支持部材の下端位置が安定しない虞がある。これに対して、特許文献3に記載された支持装置の場合、装着者の前側には、胸部に取り付けられるパッドと太腿部分に取り付けられるベルトとが存在するだけなので、装着者の作業性に支障をきたす虞がない。また、弾性支持部材の下端は、ベルトを介して太腿部分の後側に配置されており、その位置が比較的安定している。
しかしながら、特許文献3に記載された支持装置では、装着者が前傾姿勢をとったときに、脊柱起立筋と略平行に配置されたパッド内の支柱で生じる張力により脊柱起立筋への負荷が軽減されるが、装着者の腰椎の圧縮力がほとんど低減できない。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、装着者の少なくとも1部分の関節に加わる負荷を軽減できる補助具を提供することを目的とする。
本発明に係る補助具は、
人体の外表面における、前記人体の少なくとも1部分の関節が屈曲したときに互いに近づく方向に移動する第1部位と第2部位の間に配置され、前記少なくとも1部分の関節が屈曲したときに弾性変形して、前記第1部位と前記第2部位とが互いに離れる方向へ作用する圧縮力を、前記第1部位および前記第2部位に加える少なくとも1つの弾性支持部材と、
前記少なくとも1部分の関節が屈曲したときに、前記人体の背中側へ前記第1部位および前記第2部位を引っ張る張力を、前記第1部位および前記第2部位に加える引っ張り部材と、を備え、
前記弾性支持部材および前記引っ張り部材は、前記圧縮力と前記張力との合成力が前記少なくとも1部分の関節を伸展かつ伸張させる方向へ作用するように配置されている。
本発明によれば、弾性支持部材および引っ張り部材は、人体の少なくとも1部分の関節が屈曲したときに、人体の外表面における第1部位および第2部位に加わる圧縮力と張力との合成力が少なくとも1部分の関節を伸張させる方向へ作用するように配置されている。これにより、少なくとも1部分の関節に加わる圧縮力が低減されるので、補助具の装着者の少なくとも1部分の関節への負荷を軽減できる。
本発明の実施の形態に係る補助具の概略図である。 実施の形態に係る補助具の装着位置を示す図である。 実施の形態に係る補助具の概略図である。 実施の形態に係る補助具の動作を示す模式図である。 実施の形態に係る補助具による腰椎への負荷軽減効果を評価した結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る補助具について図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る補助具は、その装着者が前傾姿勢をとったときに、その装着者の体幹の伸展方向へのモーメントおよび伸長方向への引っ張り力を生じさせることにより、装着者の脊柱起立筋に生じる脊柱起立筋張力と装着者の腰椎に加わる腰椎圧縮力とを低減するというものである。ここで、「体幹」とは、人の手足と頭を除いた胴体部分を意味する。図1に示すように、本実施の形態に係る補助具1は、2つの弾性支持部材11A、11Bと、2本のテンションベルト(引っ張り部材)12A、12Bと、下側保持部材13A、13Bと、上側保持部材14A、14Bと、第1連結部材15と、第2連結部材16と、を備える。この補助具1は、衣服2に固定されている。衣服2は、例えばTシャツのような柔軟で肌と一体感のあるニット素材から形成されている。
弾性支持部材11A、11Bは、図2に示すように、人体Pの外表面における、人体Pの腰椎Y1を構成する複数の関節が屈曲したときに互いに近づく方向に移動する骨盤部(第1部位)A1と肋骨部(第2部位)A2との間に配置されている。この配置場所は、前傾姿勢を取ったときに2つの場所が大きく圧縮して歪む場所である。ここで、骨盤部A1は、図2に示すように、人体Pの外表面の腹部側から骨盤K2に対向する部位である。また、肋骨部A2は、人体Pの外表面の腹部側から複数の肋骨R1のうち最下端に位置する肋骨R1に対向する部位である。弾性支持部材11A、11Bは、腰椎Y1を構成する複数の関節が屈曲したときに大きな圧縮歪みにより弾性変形して、骨盤部A1と肋骨部A2とが互いに離れる方向へ作用する力(屈曲したときの圧縮歪みに対抗する圧縮力)を、骨盤部A1および肋骨部A2に加える。人体Pの外表面における骨盤部A1と肋骨部A2との間の領域は、人体Pの腰椎Y1を構成する複数の関節が屈曲したときに人体Pの外表面に生じる圧縮歪みが最大となる最大圧縮歪部位を含む領域である。この最大圧縮歪部位には、図2における上下方向に沿った方向の圧縮歪みが生じる。そして、骨盤部A1と肋骨部A2とは、この領域の最大圧縮歪部位に生じる圧縮歪みの方向、即ち、図2における上下方向の両端部に相当する。
弾性支持部材11A、11Bは、圧縮歪みに対抗して力を発生する部材であり、例えば、樹脂、金属あるいは複合材料などのばね性を持つ弾性材料から形成された長尺の板ばね等で構成される。2つの弾性支持部材11Aは、図1に示すように、補助具1の装着者の前方から見て、体幹の中心軸J1を挟んだ左側において、長手方向が体幹の中心軸J1に沿ってほぼ平行に配置される。2つの弾性支持部材11Bは、補助具1の装着者の前方から見て、体幹の中心軸J1を挟んだ右側において、長手方向が体幹の中心軸J1に沿ってほぼ平行に配置される。そして、補助具1を装着した人が前傾姿勢をとると、弾性支持部材11A、11Bは、その長手方向における中央部が体幹側に凸となるように撓んで力を生じる。なお、弾性支持部材11A、11Bは、体幹側に凸となるように撓むものに限定されるものではなく、体幹側に凹となる用に撓んでもよいし、或いは体幹表面内で撓んでもよい。更には、弾性支持部材11A、11Bは、複数の凹凸が生じる形態で撓むものであってもよい。
下側保持部材13A、13Bは、骨盤部A1に配置され、上側保持部材14A、14Bは、肋骨部A2に配置されている。下側保持部材13A、13Bは、それぞれ弾性支持部材11A、11Bの下端部を保持する。上側保持部材14A、14Bは、それぞれ弾性支持部材11A、11Bの上端部を保持する。
テンションベルト12A、12Bは、腰椎Y1を構成する複数の関節が屈曲したときに、骨盤部A1および肋骨部A2の移動を規制する方向(人体Pの背中側)へ骨盤部A1および肋骨部A2を引っ張る力(屈曲したときの歪みに対抗する張力)を、骨盤部A1および肋骨部A2に加える。
テンションベルト12A、12Bは、ポリアミド、ナイロン(登録商標)などの繊維からなるベルト、ゴム製のベルトなどで形成されている。補助具1が人に装着された状態において、テンションベルト12Aは、図3(A)および(B)に示すように、下側保持部材13Bから外表面における後側腰部(第3部位)A3を経由して上側保持部材14Aに至るように配置されている。ここで、後側腰部A3は、人体Pの外表面の背中側から腰椎Y1に対向する部位である。テンションベルト12Bは、下側保持部材13Aから人体Pの外表面の後側腰部A3を経由して上側保持部材14Bに至るように配置されている。2つのテンションベルト12A、12Bは、それぞれ、人体Pの腰椎Y1を構成する複数の関節が屈曲したときに人体Pの外表面に生じる歪み(引っ張り歪)が前述の最大圧縮歪部位に生じる最大の圧縮歪みの大きさの20%以下、好ましくは10%以下となる部位を経由するように配置されている。
テンションベルト12A、12Bは、後側腰部A3において互いに交差している。テンションベルト12Aは、その長手方向の一端部が上側保持部材14Aに固定され、他端部が下側保持部材13Bに固定されている。テンションベルト12Bは、その長手方向の一端部が上側保持部材14Bに固定され、他端部が下側保持部材13Aに固定されている。また、テンションベルト12A、12Bは、衣服2の後側に設けられたベルトループ22と衣服2の側方に設けられたベルトループ21とに挿通される。また、テンションベルト12A、12Bには、アジャスタ121、122、123が設けられている。これにより、補助具1を装着した人は、補助具1による体幹の締め付け具合を調節することができる。
第1連結部材15は、上側保持部材14A、14B同士を連結している。第1連結部材15は、ポリアミド繊維等の合成繊維から逆V字状に形成され、その両端部を除く部分が衣服2に縫い付けられている。
第2連結部材16は、ナイロン、ポリアミド繊維等の繊維製のベルトから形成され、下側保持部材13A、13B同士を連結している。つまり、テンションベルト12A、12Bの長手方向における下側保持部材13A、13B側の端部同士は、下側保持部材13A、13Bおよび第2連結部材16を介して連結されている。また、テンションベルト12A、12Bの長手方向における上側保持部材14A、14B側の端部同士は、上側保持部材14A、14Bおよび第1連結部材15を介して連結されている。
次に、本実施の形態に係る補助具1の動作について説明する。人体Pが前傾姿勢をとった場合、図4(A)に示すように、腰椎Y1には、人体Pの上体に鉛直下向きの重力F11と、脊柱S1に繋がった脊柱起立筋H1の脊柱起立筋張力F12とが作用する。この場合、腰椎Y1には圧縮される方向へ腰椎圧縮力F13が生じる。なお、図4(A)および(B)では、上体の重心が頸椎K1近傍にあるものとして示している。
これに対して、補助具1では、図4(B)に示すように、弾性支持部材11A、11Bおよびテンションベルト12A、12Bが、人体Pが前傾姿勢をとったときの歪に対抗して発生する力F21、F22と力F31、F32との合成力(サポート力)F41、F42が腰椎Y1を構成する複数の関節を伸展かつ伸張させる方向へ作用するように配置されている。ここで、力F21、F22は圧縮力であり、弾性支持部材11A、11Bから下側保持部材13A、13B、上側保持部材14A、14Bに作用する力である。また、力F31、F32は張力であり、テンションベルト12A、12Bから下側保持部材13A、13B、上側保持部材14A、14Bに作用する力である。
補助具1を装着した人体Pが前傾姿勢をとった場合、弾性支持部材11A、11Bが撓むことにより、下側保持部材13A、13Bと上側保持部材14A、14Bとに、それらが互いに離れる方向への力F21、F31(圧縮力)が生じる。また、下側保持部材13A、13Bには、テンションベルト12A、12Bを介して体幹の後側へ引っ張られる方向への力F31(張力)が作用し、上側保持部材14A、14Bにも、テンションベルト12A、12Bを介して体幹の後側へ引っ張られる方向への力F32(張力)が作用する。その結果、下側保持部材13A、13Bには、体幹の下側を斜め下方へ押す合成力(前傾姿勢による関節負荷を軽減するサポート力)F41が加わり、上側保持部材14A、14Bには、体幹の上側を斜め上方へ押す合成力(前傾姿勢による関節負荷を軽減するサポート力)F42が加わる。この結果、脊柱起立筋H1の脊柱起立筋張力F12が低減されるとともに、腰椎Y1に生じる腰椎圧縮力F13も低減する。
次に、本実施の形態に係る補助具1による腰椎Y1への負荷軽減効果を評価した結果について説明する。この評価では、2人の被験者について、補助具1を装着していない場合と補助具1を装着した場合とで、前傾姿勢における脊柱起立筋張力F12と腰椎圧縮力F13とを比較した。
頸椎K1近傍に重心が位置する被験者の上体に加わる重力F11は、被験者の3Dモデルと体重とを用いてWinterの回帰式から算出した。Winterの回帰式は、文献 Winter,D.A.,The Biomechanics and Motor Control of Human Movement, Wiley-Interscience, Jone Wiley&Sons Inc.,pp.51-58,1990. に開示されている。そして、HATモデルを用いたYamazakiの方法で重力F11から、脊柱起立筋張力F12と腰椎圧縮力F13とを算出した。Yamazakiの方法は、文献 山崎信寿,山本真路,井上剛伸,移乗介助動作の計測と腰部負担の評価,バイオメカニズム学会,Vol. 16,(2002),pp. 195-205. に開示されている。
また、テンションベルト12A、12Bを介して下側保持部材13A、13Bと上側保持部材14A、14Bとに加わる力F31、F32を、テンションベルト12A、12Bに取り付けたテンション(張力)センサの測定値から算出した。また、弾性支持部材11A、11Bから下側保持部材13A、13Bと上側保持部材14A、14Bとに加わる力F21、F22を、弾性支持部材11A、11Bに取り付けたコンプレッション(圧縮力)センサの測定値から算出した。そして、力F21、F31の合成力F41と、力F22、F32の合成力F42とを算出した。
一方の被験者は、補助具1を装着して前傾姿勢をとったときの合成力F42の平均値が174Nであった。この被験者の場合、図5(A)に示すように、補助具1を装着せずに前傾姿勢をとった場合、脊柱起立筋張力F12が約1450N、腰椎圧縮力F13が約1720Nであった。そして、補助具1を装着して前傾姿勢をとった場合、脊柱起立筋張力F12が約820N、腰椎圧縮力F13が約1020Nであった。
他方の被験者は、補助具1を装着して前傾姿勢をとったときの合成力F42の平均値が73.9Nであった。この被験者の場合、図5(B)に示すように、補助具1を装着せずに前傾姿勢をとった場合、脊柱起立筋張力F12が約1220N、腰椎圧縮力F13が約1480Nであった。そして、補助具1を装着して前傾姿勢をとった場合、脊柱起立筋張力F12が約1100N、腰椎圧縮力F13が約1320Nであった。図5(A)および(B)に示すように、いずれの被験者においても、補助具1を装着することにより、脊柱起立筋張力F12と腰椎圧縮力F13とが低減するという結果が得られた。これらの結果から、被験者は、補助具1を装着することにより、前傾姿勢時における脊柱起立筋張力および腰椎圧縮力が低減され、腰椎Y1への負荷を低減できることが判る。
以上説明したように、本実施形態に係る補助具1では、弾性支持部材11A、11Bおよびテンションベルト12A、12Bが、人体Pの腰椎Y1を構成する複数の関節が屈曲したときに、人体Pの外表面における骨盤部A1および肋骨部A2に加わる力の合成力が少なくとも腰椎Y1を構成する複数の関節を伸展かつ伸張させる方向へ作用するように配置されている。これにより、腰椎Y1に加わる腰椎圧縮力が低減されるので、補助具1の装着者の腰椎Y1への負荷を軽減できる。
また、この補助具1では、弾性支持部材11A、11Bとテンションベルト12A、12Bとが、柔軟で肌と一体感のあるニット素材から形成された衣服2と一体化している。これにより、補助具1は、Tシャツのようなインナーウェアとして装着することができるので、装着者の外観を損ねることがない。更に、補助具1は、装着者が前傾姿勢をとったときにのみ人体Pの腰椎Y1を伸展かつ伸張させる方向へのモーメントを発生させ、装着者が直立しているときには、人体Pに対して支持力を発生させない。従って、装着者が補助具1を長期間装着した場合でも、装着者が本来有する体幹を支持する筋力の低下が抑制される。
また、本実施の形態に係る補助具1では、テンションベルト12Aは、下側保持部材13Bから人体Pの外表面の背中側の後側腰部A3を経由して上側保持部材14Aに至るように配置され、テンションベルト12Bは、下側保持部材13Aから人体Pの外表面の背中側の後側腰部A3を経由して上側保持部材14Bに至るように配置されている。これにより、下側保持部材13A、13Bおよび上側保持部材14A、14Bに対して、人体Pの腹部側から背中側へ向かう方向への力を加えることができるので、弾性支持部材11A、11Bと協働することにより体幹の伸展方向および伸張方向へのモーメントを発生させ易くなる。また、テンションベルト12A、12Bは、後側腰部A3において互いに交差しており、長手方向における下側保持部材13A、13B側の端部同士が連結されるとともに、長手方向における上側保持部材14A、14B側の端部同士が連結されている。即ち、テンションベルト12A、12Bが、いわゆるたすき掛け、かつ、8の字の一筆書きの形状になっている。これにより、装着者の腰部周りに回旋する動きや側屈する動きを妨げないという利点がある。
更に、本実施の形態に係る補助具1では、弾性支持部材11A、11Bが骨盤部A1と肋骨部A2との間に配置されている。また、2つのテンションベルト12A、12Bが、人体Pの腰椎Y1を構成する複数の関節が屈曲したときに人体Pの外表面に生じる歪み(引っ張り歪み)が最大圧縮歪部位に生じる圧縮歪みの大きさの20%以下、好ましくは10%以下となる部位を経由するように配置されている。これにより、装着者が前傾姿勢をとったときのテンションベルト12A、12Bが配置される部位の引っ張り歪みが過度に大きくならないので、テンションベルト12A、12Bによる体幹の締め付けが緩和されるとともに、体幹の伸展方向および伸張方向へのモーメントを大きくすることができる。また、装着者は、前傾姿勢をとる運動以外の他の運動が妨げられることもない。更に、体幹の締め付けが緩和されているので、例えばコルセットのような圧迫的な不快感を装着者に与えることがなく、装着者は、常時装着しても比較的快適に過ごすことができる。
また、本実施の形態に係る補助具1では、弾性支持部材11A、11Bが複数存在しそれらが互いにほぼ平行に配置される。これにより、弾性支持部材11A、11Bから下側保持部材13A、13Bおよび上側保持部材14A、14Bへ作用する力を増大させることができるので、体幹の伸展方向および伸張方向へのモーメントを大きくすることができる。また、弾性支持部材11A、11B、それぞれ単一の弾性体で形成することもできる。
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、弾性支持部材11A、11Bは、プラスチック製、可撓性を有する金属および複合体から形成されていてもよい。また、弾性支持部材11A、11Bは板ばね形状のみでなく、複数のばねの集合体などでもよい。また、テンションベルト12A、12B、第1連結部材15および第2連結部材16は、木綿等の天然繊維から形成されたベルト、ゴム製のベルトなどでもよい。
実施の形態では、人体Pの腰椎Y1を構成する複数の関節に生じる腰椎圧縮力を低減する補助具1の例について説明したが、これに限らず、例えば人体Pの肘や膝に装着され、人体Pの肘の関節または人体Pの膝の関節に生じる圧縮力を低減できる補助具であってもよい。
本構成によれば、人体Pの肘や膝に加わる負荷を低減することができる。そして、この補助具が人体Pの肘や膝に装着された状態において、補助具は、肘や膝を締め付けることがないので、装着者への負担が軽減されるという利点がある。
本発明に係る補助具は、介護の現場や漁場または農業のような一次産業の現場で前傾姿勢を維持しながら作業を行う作業者、腰部などの関節痛に悩む者の衣服等に装着される補助具として好適である。
1:補助具、2:衣服、11A,11B:弾性支持部材、12A,12B:テンションベルト、13A,13B:下側保持部材、14A,14B:上側保持部材、15:第1連結部材、16:第2連結部材、21,22:ベルトループ、121,122,123:アジャスタ、A1:骨盤部、A2:肋骨部、A3:後側腰部、K1:頸椎、K2:骨盤、S1:脊柱、P:人体、R1:肋骨、Y1:腰椎

Claims (6)

  1. 人体の外表面における、前記人体の少なくとも1部分の関節が屈曲したときに互いに近づく方向に移動する第1部位と第2部位の間に配置され、前記少なくとも1部分の関節が屈曲したときに弾性変形して、前記第1部位と前記第2部位とが互いに離れる方向へ作用する圧縮力を、前記第1部位および前記第2部位に加える少なくとも1つの弾性支持部材と、
    前記少なくとも1部分の関節が屈曲したときに、前記人体の背中側へ前記第1部位および前記第2部位を引っ張る張力を、前記第1部位および前記第2部位に加える引っ張り部材と、を備え、
    前記弾性支持部材および前記引っ張り部材は、前記圧縮力と前記張力との合成力が前記少なくとも1部分の関節を伸展かつ伸張させる方向へ作用するように配置されている、
    補助具。
  2. 前記弾性支持部材は、長尺の板ばねから構成され、長手方向における一端部が前記第1部位に配置された第1保持部材により保持され、長手方向における他端部が前記第2部位に配置された第2保持部材により保持され、
    前記引っ張り部材は、2つの長尺のテンションベルトから構成され、
    2つのテンションベルトは、それぞれ、前記第1保持部材から前記人体の外表面における前記第1部位および前記第2部位側とは反対側の第3部位を経由して前記第2保持部材に至るように配置され、前記第3部位において互いに交差しており、長手方向における前記第1保持部材側の端部同士が連結されるとともに、長手方向における前記第2保持部材側の端部同士が連結されている、
    請求項1に記載の補助具。
  3. 前記第1部位と前記第2部位とは、前記人体の少なくとも1部分の関節が屈曲したときに前記人体の外表面に生じる圧縮歪みが最大となる最大圧縮歪部位を含む領域の、前記最大圧縮歪部位に生じる圧縮歪みの方向における両端部それぞれであり、
    前記2つのテンションベルトは、それぞれ、前記人体の少なくとも1部分の関節が屈曲したときに前記人体の外表面に生じる歪みが前記最大圧縮歪部位に生じる圧縮歪みの大きさの20%以下となる部位を経由するように配置されている、
    請求項2に記載の補助具。
  4. 前記弾性支持部材は、複数存在し互いに平行に配置され、
    前記複数の弾性支持部材に対応する前記第1保持部材同士を連結する第1連結部材と、
    前記複数の弾性支持部材に対応する前記第2保持部材同士を連結する第2連結部材と、を更に備える、
    請求項2または3に記載の補助具。
  5. 前記人体の少なくとも1部分の関節は、前記人体の腰椎を構成する複数の関節、前記人体の肘の関節または前記人体の膝の関節である、
    請求項2から4のいずれか1項に記載の補助具。
  6. 前記人体の少なくとも1部分の関節は、前記人体の腰椎を構成する複数の関節であり、
    前記第1部位は、前記人体の外表面の腹部側から骨盤に対向する部位であり、
    前記第2部位は、前記人体の外表面の腹部側から複数の肋骨のうち最下端に位置する肋骨に対向する部位であり、
    前記第3部位は、前記人体の外表面の背中側から腰椎に対向する部位である、
    請求項5に記載の補助具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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