JP4255150B2 - ポリマ−水素化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー水素化方法に関する。更に詳しくは、白金族水素化触媒及び水素ガスを用いてポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換する際に、該触媒が(1)予めアルカリ金属、アルカリ土類金属、稀土類金属中から選ばれる少なくとも1種の金属塩基性成分を含む担体と白金族金属化合物溶液を接触させることによって該白金族金属成分を不溶固定化する工程を含んで調製されたものであり、(2)該白金族金属の担持量が該担体に対して0.1〜10重量%であり、(3)該白金族金属の表面積が40〜250m2 /g−金属であり、(4)該白金族金属が該担体の外表面から深さ方向に担体径の1/10以内の表層部に90%以上担持されていることを特徴とするポリマー水素化方法である。
【0002】
【従来の技術】
ポリマー中に存在する炭素−炭素不飽和結合を水素化することによって、耐熱性や耐候性、機械物性を向上させることができる。このため、白金族金属やニッケル金属を無機質担体に担持した水素化触媒を用い、攪拌槽反応器で水素ガスの存在下、飽和炭化水素溶媒中でポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を水素化して飽和結合に変換する試みは種々行われてきた。
例えば、米国特許(USP)第3,333,024号明細書では、ニッケル/珪藻土触媒を用いて、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーの水素化を行っており、芳香環とオレフィンが水素化されることが報告されている。しかし、この触媒では水素化反応時に分子鎖切断を生じるために得られるポリマーは物性の低下したものとなる。
【0003】
特開平2−265647号公報では、担体の孔容積の少なくとも95%が45nmより大きい孔直径を有し、且つ金属表面積と担体表面積の比が0.07〜0.75である触媒を用いて、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーのブタジエン部分の水素化を試みているが、白金族金属の担持は公知の含浸法によって調製されるために得られた触媒の金属表面積は17m2 /g−Pdや33m2 /g−Rhと小さく、このことは白金族金属粒子径が大きくて有効に使用される割合が小さいことを示しており、生産性が低いという問題があった。
【0004】
国際公開(WO)第96/34896号パンフレットによれば、ポリスチレンを水素化するために、比表面積が少なくとも10m2 /gであり、且つ孔容積の少なくとも98%以上が孔直径60nm以上の孔によって占められるシリカ担体にRh金属や白金金属を担持した触媒を用いて水素化を行っている。通常はポリマー濃度を2重量%以下、最大でも8.7重量%と低く、溶液粘度を下げて水素化速度を向上させるためにポリマー濃度を下げる方法が用いられている。しかし、この場合も含浸法によって白金族金属成分を担持しており、且つシリカ担体には白金族金属の吸着能が小さいために、金属表面積が小さいものしか得られず、依然、活性が低いということと白金族金属成分が溶出しやすいという課題を有している。
【0005】
特開平10−72377号公報によれば、担体の孔容積の10〜50%が50〜10000nmの孔直径を有するマクロ孔と、残りが2〜50nmのメソ孔及びミクロ孔で構成される押出成形された担体にパラジウムを担持して、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーのブタジエン部分の水素化を試みているが、マクロ孔の割合が少なくてポリマーの拡散が抑制されるために活性が低くなるということと、又この場合も触媒は含浸法によって調製されるために担体内部まで金属成分が担持されてしまい、白金族金属を有効に利用できないという課題があった。
【0006】
さらに、攪拌槽で水素化を行う場合、(1)ポリマー溶液が高粘度であるために水素化反応後の触媒とポリマー溶液との分離が困難で精製工程が煩雑なものになってしまうこと、(2)濾過処理で濾布等を抜けた触媒成分がポリマー中に混入してしまうこと、(3)触媒をリサイクルすると活性が低下してしまうという問題があり、これらの問題を回避するために水素化触媒を充填した固定床反応器を用いて水素化することが提案されるが、固定床用の成形体水素化触媒の活性が不十分だったために、実施された例はポリマー溶液濃度を著しく低くした場合や低分子量のポリマーを用いる場合の報告に限られていた。
【0007】
固定床反応器を用いるポリマー水素化例としては、例えば、米国特許(USP)第3,809,687号明細書によれば、細孔容積0.3cc/g以上、比表面積100m2 /g以上の担体に担持した白金族メタル担持触媒を用いて、ポリスチレンの芳香環の水素化を試みているが、分子量で1,000程度のポリマーでの水素化であって、高分子量体の水素化は達成できていない。担体がマクロ孔を有しないアルミナ担体を用いており、活性が低いためである。
英国特許(GB)第2,011,911A号明細書によれば、白金/シリカ触媒を用いて分子量20万の高分子量スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマーを固定床方式にて水素化する例が報告されているがポリマー濃度は1重量%と希薄濃度であって極めて生産性の低いものであった。
【0008】
米国特許(USP)第5,378,767号明細書によれば、比表面積が10m2 /g以下のα−アルミナ担体に担持した白金またはパラジウム触媒を用いた固定床でポリイソプレンの水素化を試みているが、分子量が1万以下の低分子量体に限られており、これ以上の分子量になると高温が必要となり分子鎖切断や架橋反応が併発するという問題が記されている。担体の比表面積が小さいために、担持した金属の表面積も小さくなって有効に使用される金属の割合が少ないためと考えられる。
米国特許(USP)第4,629,767号明細書によれば、比表面積が140〜160m2 /gであるシリカ担体に担持したニッケル−銅触媒を用いて、160℃、LHSV(液時空間速度)0.12(1/hr)、ポリマー濃度12.6重量%で、スチレン含有量61%、数平均分子量約5万のスチレン−ブタジエンジブロックコポリマーの水素化をテストしており、芳香環とオレフィンが水素化されることを報告しているが、ニッケル系触媒のために活性が低く、高分子量ポリマーの水素化には適用できないという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようにポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を水素化する際に、マクロ孔を有することが高分子量のポリマーの水素化には有効であるが、生産性が低く、高分子量体を生産性良く得る水素化方法は達成されていなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意探索を繰り返した結果、孔直径の大きな孔を有する担体を用いて、あらかじめアルカリ土類金属等の金属塩基性成分を担持固定化した担体と白金族金属化合物溶液を接触させることによって白金族金属成分を不溶固定化する工程を含んで触媒調製を行ったところ、驚くべきことに触媒の生産性が向上し、固定床方式においても満足すべき生産性を与えること、及び白金族金属成分の溶出も抑制されることを発見した。すなわち、本発明は、
[請求項1]
1.(1)予めアルカリ金属、アルカリ土類金属、稀土類金属中から選ばれる少なくとも1種の金属塩基性成分を含む担体と白金族金属化合物溶液を接触させることによって該白金族金属成分を不溶固定化する工程を含んで調製されたものであり、白金族金属の担持量が担体に対して0.1〜10重量%であり、該白金族金属の表面積が40〜250m2 /g−金属であり、該白金族金属が該担体の外表面から深さ方向に担体径の1/10以内の表層部に90%以上担持されており、該担体の水銀圧入法による孔直径が100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の50〜100%であり、該担体の窒素ガス吸着法による比表面積が50〜500m 2 /gであることを特徴とするポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒、
.該担体がバイモーダルの孔分布を有する担体である上記1.に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒、
.該白金族金属が少なくともパラジウムを含んでいることを特徴とする上記1.又は2.に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒、
.該白金族金属が少なくともパラジウム及び白金を含んでいることを特徴とする上記.に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒、
.該担体がアルミナ、アルミナシリカ、シリカ、チタニア、マグネシア、ジルコニア又はゼオライトから選ばれる少なくとも1種の粉体又はそれらの粉体を用いて成形される成形体であることを特徴とする上記1.〜.のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒、
.下記工程を含む工程で製造される、白金族金属の担持量が担体に対して0.1〜10重量%であり、該白金族金属の表面積が40〜250m 2 /g−金属であり、該白金族金属が該担体の外表面から深さ方向に担体径の1/10以内の表層部に90%以上担持されており、該担体の水銀圧入法による孔直径が100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の50〜100%である、ポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒の製造方法、
工程1;予めアルカリ金属、アルカリ土類金属及び稀土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属塩基性成分を担持固定化した担体を製造する工程、
ここで、該担体の水銀圧入法による孔直径が100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の50〜100%であり、該担体の窒素ガス吸着法による比表面積が50〜500m 2 /gである、
工程2;工程1で得られた担体と白金族金属化合物溶液を接触させることによって該白金族金属成分を担体上に不溶固定化させる工程、
.上記1.〜.のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒及び水素ガスを用いてポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法、
.該ポリマーが芳香族ビニルモノマー(成分A)、共役ジエンモノマー(成分B)、共重合性極性モノマー(成分C)とする時に、A+B=100重量部、A=0〜100重量部、C=0〜30重量部の条件を満たして重合又は共重合された重合体から選ばれる少なくとも1種である上記.に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法、
.該ポリマーがポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−ブタジエンマルチブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−イソプレンマルチブロック共重合体、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)ジブロック共重合体、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−(ブタジエン/イソプレン)マルチブロック共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、ポリノルボルネン、ポリノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン開環重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記.又は.に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法、
10.該ポリマーが芳香族ビニルモノマー(成分A)、共役ジエンモノマー(成分B)、共重合性極性モノマー(成分C)とする時に、A+B=100重量部、A=10〜90重量部、C=0〜30重量部の条件を満たして共重合された重合体から選ばれる少なくとも1種であり、且つ該ポリマー中のオレフィンの選択的水素化を行うために該ポリマー溶液が1〜10重量%の極性溶媒を含むことを特徴とする上記.〜.のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法、
11.該水素化用触媒を充填した固定床反応器に水素ガスと共に該ポリマー溶液を通液することによってポリマーの水素化を行う際に、該水素化条件が水素圧2〜25MPa、水素ガス流量/ポリマー溶液流量比10〜1000ノルマルリットル/リットル、液時空間速度(LHSV)0.01〜10(1/hr)であることを特徴とする上記.〜10.のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法、
12.該ポリマーの重量平均分子量が30000〜600000であり、該ポリマー溶液中のポリマー濃度が5〜30重量%であり、且つ該水素化温度が120〜280℃であることを特徴とする上記.〜11.のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法、
である。
【0011】
以下、本発明の内容を順を追って説明する。
本発明における炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーとは、ポリマー中に炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、芳香環の中から選ばれる不飽和結合を少なくとも1種含んでいるものであり、芳香族ビニルモノマーを含んで重合又は共重合した重合体、共役ジエンモノマーを含んで重合又は共重合した重合体、環状オレフィンモノマーを開環重合して得られるモノマーユニットを含む重合体又は共重合体等が挙げられる。これらの重合体の混合物であっても良い。なお、本発明におけるオレフィンの水素化とはポリマー中の炭素−炭素二重結合を水素化することを意味する。
【0012】
該ポリマーに含まれる芳香族ビニルモノマーを含んで重合又は共重合した重合体、及び共役ジエンモノマーを含んで重合又は共重合した重合体とは芳香族ビニルモノマー(成分A)、共役ジエンモノマー(成分B)、共重合性極性モノマー(成分C)とする時に、A+B=100重量部、A=0〜100重量部、C=0〜30重量部の条件を満たして重合又は共重合されたものであって、共重合性極性モノマーを含有していても良い。
該芳香族ビニルモノマー(成分A)は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン等のアルキル置換スチレン、o−、m−、p−メトキシスチレン、o−、m−、p−ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の中から1種または2種以上が選ばれ、特に好ましいものはスチレンである。
該共役ジエンモノマー(成分B)は、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の中から1種または2種以上が選ばれ、特に好ましいものはブタジエン、イソプレン及びこれらを組み合わせたものである。
【0013】
該共重合性極性モノマー(成分C)は、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルエーテル化合物、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物の中から選ばれる1種または2種以上である。
【0014】
また、該ポリマーに含まれる環状オレフィンモノマーを開環重合して得られるモノマーユニットを含む重合体又は共重合体とはノルボルネン系モノマーやシクロペンタジエン多環体系モノマー等を開環重合させて得られる重合体を含むものであり、そのモノマーとして用いられるものは、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の中から選ばれる1種または2種以上のものである。
【0015】
該ポリマーは公知のラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合、開環メタセシス重合によって合成される。必要に応じて、例えば、グラフトポリマーを合成する場合等に、これらを組み合わせて用いてもかまわない。
ラジカル重合では熱開始及び/又はラジカル開始剤を用いて塊状、乳化、懸濁重合様式のいずれかで上記のモノマーを重合又は共重合させる。代表的なポリマーにはポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
【0016】
アニオン重合では有機リチウム等の開始剤を用いて溶液重合様式で上記のモノマーを重合又は共重合させる。この方法ではポリマー成長末端の移動反応や停止反応が起こりにくくリビング重合を示すので、特に、ブロック共重合体を製造するのに適している。代表的なポリマーにはスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)等が挙げられる。
カチオン重合では求電子性化合物が開始剤として用いられ、電子供与性の置換基を有するビニル化合物や置換スチレン化合物が重合される。
配位重合では、例えば、スチレンでは高い立体規則性を有するポリスチレンが得られ、また、ブタジエンやイソプレンの場合ではシス、トランス、1,2−結合または3,4−結合の割合を制御できるという特徴を持つ。
開環重合はIV族からVIII族に属する遷移金属を含んで成る触媒によってノルボルネン等の環歪みを有するシクロオレフィンを重合体に変換できる。シクロオレフィンの二重結合部分の開裂、そして分子間での再結合が起こり、重合体を生成する。したがってポリマー中にオレフィンを有することになる。
【0017】
本発明におけるポリマーが共重合体である場合、その共重合形式はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもかまわない。
特にブロック共重合体の場合、一般にアニオン重合によって共重合されるが、そのブロックの形態は一般式、
(D−E)n、 D−(E−D)n、 E−(D−E)n、
(上式において、Dは芳香族ビニルモノマーを主体とするモノマーからなるブロックであり、Eは共役ジエンモノマーを主体とするモノマーからなるブロックである。DブロックとEブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。また、nは1以上、一般に1〜5の整数である。)あるいは一般式、
[(E−D)n]m−X、[(D−E)n]m−X、
[(E−D)n−E]m−X、[(D−E)n−D]m−X、
(上式において、D、E、nは前記と同じであり、Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、2〜6官能のエポキシ基含有化合物、ポリハロゲン化炭化水素、カルボン酸エステル、ジビニルベンゼン等のポリビニル化合物などのカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。mは2以上、一般に2〜10の整数である。)で表される。
【0018】
該ブロック中のビニル芳香族モノマーは均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。又該ブロックには、ビニル芳香族モノマーが均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。本発明で使用するブロック共重合体は、上記一般式で表されるブロック共重合体の任意の混合物でもよい。
アニオン重合でのブロック共重合体の製造方法としては例えば特公昭36−19286号公報,特公昭43−14979号公報,特公昭49−36957号公報などに記載された方法があげられる。
【0019】
本発明において水素化に使用されるポリマーの例としては、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−ブタジエンマルチブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−イソプレンマルチブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体、ソフトセグメントがブタジエンとイソプレンの共重合体であるスチレン−(ブタジエン/イソプレン)ジブロック共重合体、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−(ブタジエン/イソプレン)マルチブロック共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、ポリノルボルネン、ポリノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン開環重合体等から選ばれる1種又は2種以上のものが挙げられる。
【0020】
該ポリマーの重量平均分子量としては、30000〜600000であり、好ましくは40000〜450000であり、更に好ましくは50000〜350000である。30000未満の低分子量体では水素化して得られるポリマーの物性が不十分であり、600000を超える高分子量体では加工が困難になる。なお、ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めたものである。
【0021】
本発明におけるポリマーの水素化率は、ポリマーには芳香環のみを有する場合、オレフィンのみを有する場合及び芳香環とオレフィンを共に有する場合があるが、芳香環のみを有する場合は、芳香環の水素化率は50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは85%以上であり、オレフィンのみを有する場合及び芳香環とオレフィンを共に有する場合は、オレフィンの水素化率は50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上である。尚、芳香環とオレフィンを共に有する場合、目的とするポリマーの構造にしたがって芳香環は水素化されていても、水素化されていなくても良い。
芳香環の水素化を目的とする場合、芳香環の水素化率が50%未満ではガラス転移温度の向上が小さく、水素化されたポリマーの耐熱性や機械物性の向上が小さい。又、オレフィンの水素化を目的とする場合、オレフィンの水素化率が50%未満では耐熱性の向上が不十分である。
【0022】
本発明の水素化率の測定は、紫外吸収スペクトル又は 1H−NMRスペクトルによって行った。紫外吸収スペクトルでは、例えば、芳香族ビニルモノマーがスチレンである場合、水素化前後での該ポリマーのシクロヘキサン溶液の262nmでの吸光度の減少を測定することで芳香環の水素化率を求めた。 1H−NMRスペクトルでは、例えば、該ポリマーがスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマーである場合、水素化前後での該ポリマーを重クロロホルムに溶かし、テトラメチルシランをケミカルシフトδ0とし、δ0.4〜2.6、4.6〜5.8、6.2〜7.6のピークの積分値を測定することで求めた。
【0023】
本発明におけるポリマーが芳香族ビニルモノマー(成分A)、共役ジエンモノマー(成分B)、共重合性極性モノマー(成分C)とする時に、A+B=100重量部、A=10〜90重量部、C=0〜30重量部の条件を満たして共重合された重合体から選ばれる1種又は2種以上であり、芳香環の水素化を抑えてオレフィンを選択的に水素化することが望まれる場合の水素化率は、芳香環で50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、オレフィンで50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上である。芳香環の水素化率が50%を超すと芳香環が存在することによって得られていた特徴や性能が低下し、オレフィンの水素化率が50%未満では耐熱性に劣る。この選択性を発現させるための具体的な方法については以下の使用する溶媒に関する説明のところに記している。
【0024】
本発明におけるポリマーは溶媒に溶解させて水素化反応に供される。用いられる溶媒は、該ポリマーを溶解させる飽和炭化水素であれば何でも良く、具体的にはn−ペンタン、n−ヘキサン、イソペンタン、n−ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等が用いられる。又、これらの混合物でも良い。
また、該ポリマーの溶解性を上げる等の目的により、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類や少量のメタノール、エタノール等のアルコール類が添加してあっても良い。これ以外にポリマーを重合する際にポリマー構造を制御する等のために用いた少量の化合物が含まれていても良い。例えば、アニオン重合における共役ジエンモノマーから成るブロックのミクロ構造を制御するために、エーテル類、アミン類、チオエーテル類、ホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸のカリウム塩又はナトリウム塩、カリウム又はナトリウムのアルコキシドなどが用いられる。適当なエーテル類の例はジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルである。アミン類としては第三級アミンであり、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、その他環状第三級アミン等も使用できる。ホスフィン及びホスホルアミドとしては、トリフェニルホスフィン、ヘキサメチルホスホルアミド等がある。
【0025】
本発明におけるポリマーが芳香族ビニルモノマー(成分A)、共役ジエンモノマー(成分B)、共重合性極性モノマー(成分C)とする時に、A+B=100重量部、A=10〜90重量部、C=0〜30重量部の条件を満たして共重合された重合体から選ばれる1種又は2種以上であり、この共重合体の水素化率を芳香環で50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、オレフィンで50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上に芳香環の水素化を抑えてオレフィンを選択的に水素化することが望まれる場合は、該溶液に1〜10重量%の極性溶媒を混合することによって達成される。該極性溶媒としては、アルコール類、エーテル類、エステル類が好ましく、より好ましいものは炭素数7までのモノアルコールであり、特に好ましいものはn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールから選ばれる1種または2種以上の混合物である。
【0026】
本発明におけるポリマー溶液中のポリマー濃度は好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%である。5%未満の低濃度ではポリマーに対して使用する溶剤量が多いために生産性が低く、その溶剤の回収、再利用が煩雑になる。30重量%を超える濃度では溶液粘度が高いために水素ガスやポリマーの触媒への拡散が遅くなるために水素化が進行しにくくなる。
本発明における水素化触媒の白金族金属は、次の2つの場合に分けることができる。(1)ポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を選択性を問わずに水素化する場合と(2)共重合体の芳香環の水素化を抑えてオレフィンを選択的に水素化する場合であるが、(1)の場合ではパラジウム、ロジウム、白金の少なくとも1種を含むものであり、好ましいものはパラジウムを含んで成る。又、(2)の場合ではパラジウム、ロジウム、白金の少なくとも1種を含むものであり、特に好ましいものはパラジウム又はパラジウム−白金混合体を含んで成る。
【0027】
さらに水素化活性を上げたり、水素化選択性を出す必要がある場合、これらの金属に他の金属または非金属を添加しても良く、添加されるものとしては周期律表第Ia、b、IIa、b、IIIa、b、IVa、b、Va、VIa、VIIaの金属または非金属および第VIIIのFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種である。
本発明で使用する担体は、公知の方法によって調製されるアルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニア等から選ばれる1種または2種以上の粉体、又はそれらの粉体を用いて成形される成形体が好ましい。
【0028】
本発明で使用される好ましい担体は、水銀圧入法による孔直径100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の50〜100%である担体である。該担体に孔直径の大きな孔が必要な理由は、一般に、特開昭58−17103号公報や特開平2−265647号公報に記載されているように、ポリマーを水素化するには担体細孔径の大きいものが好適であるためである。孔直径の大きいアルミナやシリカ及びそれらを主成分とする成形体等が好適に用いられる。
【0029】
本発明に使用されるより好ましい担体は、水銀圧入法による孔直径100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の50〜100%であり、且つ窒素ガス吸着法によるBET比表面積が50〜500m2 /gであることを特徴とする担体である。マクロ孔を有し、且つ比較的大きな表面積を有する、すなわち、マクロ孔表面上にミクロ孔及び/又はメソ孔が存在する担体を用いて、以下に述べる本発明の担持法を行うことにより、担体上に予め担持したアルカリ金属、アルカリ土類金属、稀土類元素等の金属塩基性成分の微分散化が効率よくなされ、得られた触媒の活性が更に高くなる。尚、本発明におけるマクロ孔とは孔直径が50nm以上、メソ孔とは10nm以上50nm未満、ミクロ孔とは10nm未満の孔と定義する。
【0030】
本発明に使用される更に好ましい担体は、水銀圧入法による孔分布測定において得られる細孔分布曲線で孔直径100〜10000nmにピークが存在し、且つ孔直径100nm以下にもピークが存在するバイモーダルの孔分布を有する担体である。特に好ましいものは細孔分布曲線で孔直径100〜10000nmにピークが存在し、且つ孔直径10nm以下にピークが存在するバイモーダル担体である。尚、ゼオライト成形体の例のように水銀圧入法では孔直径2nm以下の孔分布測定ができない場合であっても実質上は公知情報として孔直径2nm以下にミクロ孔を有する担体の場合は、水銀圧入法による孔分布測定において得られる細孔分布曲線で孔直径100〜10000nmにピークが存在すれば、上記のバイモーダルの孔分布を有する担体に含まれる。
【0031】
本発明に用いる担体の形態において攪拌槽に用いる場合は粉体であれば特に限定されない。粒子径は1〜300ミクロン、好ましくは5〜100ミクロン、より好ましくは10〜80ミクロンの粉末状のものが良く、300ミクロンよりも大きいと攪拌での触媒の磨耗が起こりやすくなり、又、1ミクロンよりも小さいと触媒分離が煩雑になる。
又、固定床反応器に充填するのに適した担体の形状は球形や円筒形等の粒状であれば特に限定されないが、サイドカットを入れた押出し成形体やリング状のものが外表面積を向上させるために好んで用いられる場合もある。触媒のサイズは、形状を球とした場合は直径で0.5〜10mm、形状が円筒形の場合、直径が1/32〜3/8インチ、長さは0.2〜2cmが好ましい。粒径が小さすぎると触媒層にポリマー溶液を通液する際の圧力損失が大きくなりすぎ、逆に大きすぎると触媒のコア部分に対して金属を担持すべき表層部分の割合が小さくなるために触媒の総量が多くなりすぎる。
【0032】
本発明における該白金族金属の無機質担体への担持方法は、可溶性の白金族金属化合物と担体上に予め担持したアルカリ金属、アルカリ土類金属、稀土類元素等の金属塩基性成分との化学反応によって、白金族金属成分を不溶固定化する原理に基づく方法を利用するものである。すなわち、アルカリ金属、アルカリ土類金属、稀土類金属中から選ばれる少なくとも1種の金属塩基性成分を含浸した後に乾燥及び/又は焼成して得られる担体と白金族金属化合物溶液を混合する工程を含んで調製されるものである。
【0033】
該白金族金属化合物は、水に可溶性の塩であれば特に限定されない。好ましい化合物としてはパラジウムでは塩化パラジウム等のハロゲン化パラジウム類、テトラクロロパラジウム酸及びその塩類、ヘキサクロロパラジウム酸カリウム等のヘキサクロロパラジウム塩類、テトラブロモパラジウム酸ナトリウム等のテトラブロモパラジウム酸塩、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラニトロパラジウム塩、テトラアンミンパラジウム塩化物等のパラジウムアンミン錯体、ビスエチレンジアミンパラジウム塩化物等のパラジウムエチレンジアミン錯体、ロジウムでは塩化ロジウム等のハロゲン化ロジウム類、ヘキサクロロロジウム酸等のヘキサハロゲン化ロジウム酸類及びその塩類、ヘキサニトロロジウム酸ナトリウム等のヘキサニトロロジウム酸塩類、酢酸ロジウム、ヘキサアンミンロジウム塩化物等のロジウムアンミン錯体、ルテニウムでは塩化ルテニウム等のハロゲン化ルテニウム類、ヘキサクロロルテニウム酸及びその塩類、ペンタクロロアクアルテニウム酸カリウム等のペンタクロロアクアルテニウム塩類やペンタクロロニトロシルルテニウム塩類、酢酸ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウム塩化物等のルテニウムアンミン錯体、白金ではヘキサクロロ白金酸やその塩類、テトラクロロ白金酸やその塩類、ヘキサブロモ白金酸やその塩類、テトラブロモ白金酸やその塩類、テトラニトロ白金酸塩、テトラアンミン白金塩化物等のテトラアンミン白金錯体が挙げられる。より好ましくは、塩化パラジウム等のハロゲン化パラジウム類、テトラクロロパラジウム酸及びその塩類、ヘキサクロロパラジウム酸カリウム等のヘキサクロロパラジウム塩類、テトラブロモパラジウム酸ナトリウム等のテトラブロモパラジウム酸塩、塩化ロジウム等のハロゲン化ロジウム類、ヘキサクロロロジウム酸等のヘキサハロゲン化ロジウム酸類及びその塩類、塩化ルテニウム等のハロゲン化ルテニウム類、ヘキサクロロルテニウム酸及びその塩類、ヘキサクロロ白金酸やその塩類、テトラクロロ白金酸やその塩類、ヘキサブロモ白金酸やその塩類、テトラブロモ白金酸やその塩類であり、特に好ましくは、塩化パラジウム等のハロゲン化パラジウム類、塩化ロジウム等のハロゲン化ロジウム類、塩化ルテニウム等のハロゲン化ルテニウム類、ヘキサクロロ白金酸の塩類やテトラクロロ白金酸の塩類である。
【0034】
本発明における白金族金属のの担持量は0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.3〜5重量%である。0.1重量%未満では触媒量が多くなりすぎ、又10重量%を超えた担持では担体表面での金属粒子の凝集が起こって有効に使用できる割合が減少するためである。担持金属の担持量測定はX線光電子分光分析により行った。
本発明における金属塩基性成分を含む担体は、予めリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属、ランタン、セリウム、プラセオジウム等の稀土類元素の中から選ばれる単独もしくは複数の金属塩基性成分を担持したものである。担持する金属塩基性成分としては、例えば、硝酸塩や酢酸塩等の焼成等の操作によって酸化物となるものが好ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属、稀土類元素等の金属塩基性成分を担持した担体の乾燥温度は100℃以上、好ましくは110℃以上で1〜48時間で行われる。焼成温度は300〜800℃、好ましくは300〜700℃で1〜48時間の範囲で行う。
【0035】
本発明において担体に分散固定化するアルカリ金属、アルカリ土類金属、稀土類元素の塩基性成分の量は、担持する白金族金属の量によって最適量は異なるが、担持する白金族金属に対し、1〜100倍モル、好ましくは2〜50倍モルの範囲が選ばれる。
可溶性の白金族金属化合物と担体上に担持した金属塩基性成分との反応温度は70℃以上の温度で行うことが好ましい。白金族金属の担持量や担体に予め担持する金属塩基性成分の量により異なるが、温度が低くなりすぎると反応が遅くなり白金族金属の担持層の分布が広がる。本発明においてはより好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上で実施する。上限温度は加圧下で沸点以上で行っても良いが、加圧設備の煩雑さと水蒸気の圧力を考慮すると150℃以下にて行われる。
【0036】
本発明における予め金属塩基性成分を含む担体と白金族金属化合物溶液の接触方法は担体粒子間での担持白金量のばらつきをなくすために、できるだけ同時に接触させることが好ましい。このためには白金族金属化合物溶液に予め金属塩基性成分を含む担体を瞬時に投入する方法等がある。
本発明の担体に固定化担持された白金族金属化合物は還元操作によって白金族金属に還元される。白金族金属化合物を分散固定化した担体を水溶液等に分散させ、かき混ぜながら、ホルマリン蟻酸、ヒドラジン、メタノール、ソジウムボロハイドライドあるいは水素ガスを用いる還元処理によって白金族金属に還元をすることができる。又、白金族金属化合物を分散固定化した担体を反応器に充填しておいて、そこにホルマリン蟻酸、ヒドラジン、メタノール、ソジウムボロハイドライドを含む溶液あるいは高温下にて水素ガスを導入することによる還元処理によって白金族金属に還元することができる。ホルマリン蟻酸、ヒドラジン、メタノール、ソジウムボロハイドライドを用いた場合の還元温度は室温から200℃の温度で行うことができる。沸点以上の場合は液層を保つために必要な圧力をかけておく。好ましくは室温〜160℃、常圧〜数気圧の条件で行う。より好ましくは、金属粒径をより小さくするために、60〜160℃の条件で行う。
【0037】
本発明において用いる担持方法によって、一つは該白金族金属の表面積が40〜250m2 /g−金属である高い表面積を達成できる。この表面積が40m2 /g−金属未満であると生産性が不十分であり、250m2 /g−金属を超えると生産性が安定するのに時間がかかる。該金属表面積はガス化学吸着法により測定した。
もう一つは白金族金属の担持位置を担体の外表面から深さ方向に担体径の1/10以内の表層部に90%以上担持することが達成できる。この距離の測定は触媒を樹脂に包埋し研磨して得た試料を電子線マイクロアナリシス(EPMA)によって触媒粒子断面の深さ方向の線分析を行うことによって求めた。白金族金属担持位置を担体の外表面から深さ方向に担体径の1/10以内の表層部に、より好ましくは1/20以内の表層部に担持することにより白金族金属とポリマーの接触が容易となり、触媒活性が向上する。
該触媒を用いることによって攪拌槽方式にて生産性が向上し、白金族金属成分の溶出が抑制された本発明のポリマー水素化方法が得られる。さらに、該触媒は固定床方式にても満足できる生産性を与える。
【0038】
本発明における攪拌槽での水素化では、回分式反応器を用いて水素圧2〜25MPa、反応温度120〜280℃で行った。水素化反応後のポリマーと触媒分離は遠心、濾過等の公知の方法で分離される。
本発明における固定床反応器での水素化とは、縦型の反応塔内部に粒状触媒を充填しておいて、そこにポリマー溶液と水素ガスを流通し水素化を行うものである。ポリマー溶液と水素ガスの流れ方向は向流でも実施できるが、並流が好ましく、その方向は上昇流であっても下降流であっても良い。
【0039】
該固定床反応器での水素化条件は水素化温度120〜280℃、好ましくは140〜260℃、より好ましくは160〜240℃で、水素圧2〜25MPa、好ましくは3〜20MPa、より好ましくは4〜15MPaで、水素ガス流量/ポリマー溶液流量比10〜1000ノルマルリットル/リットル、好ましくは20〜800ノルマルリットル/リットル、より好ましくは20〜600ノルマルリットル/リットルで、液時空間速度(LHSV)0.01〜10(1/hr)、好ましくは0.05〜10(1/hr)、より好ましくは0.1〜10(1/hr)である。
【0040】
本発明における水素化温度とは、固定床反応器内で温度の分布を生じるため、反応器中(触媒充填層)の最高温度を意味する。この温度が120℃未満では水素化速度が低下し、得られるポリマーの物性が不十分である。一方、280℃を超えると分子鎖切断を併発して好ましくない。また、水素圧が2MPa未満では水素化速度が十分でなく、25MPaを超えると設備が高価なものになる。水素ガス流量/ポリマー溶液流量比が10ノルマルリットル/リットル未満では水素化率が低下し、1,000ノルマルリットル/リットルを超えると水素ガスの回収リサイクル設備が高価なものになる。液時空間速度(LHSV)が0.01(1/hr)未満では生産性が低下し、10(1/hr)を超えると水素化率が低下する。
該ポリマー溶液は前もって不活性ガスや水素ガスで置換しておいてから通液しても良い。
【0041】
本発明で使用される固定床反応器とは公知のものが使用できて特に限定されないが、水素化での発熱量が大きいので効率よく除熱するために多管式反応器を用いても良い。また、水素化率を目標値に到達させるために固定床の流出液をリサイクルして通液しても良い。
目標とする水素化率に達した水素化反応流出物は、公知の方法によって、水素ガス、溶媒、水素化ポリマーとに分離される。水素ガスと溶媒は再利用される。
本発明の水素化方法によって得られたポリマーは耐熱性、耐候性、機械物性に優れ、高性能プラスチックス、熱可塑性エラストマー、特殊エラストマー、弾性繊維、シート、フィルム、チューブ、ホース、ベルト、自動車部品、樹脂改質剤等に用いられる。さらに、光の吸収が抑制されており、特に固定床方式の場合は金属成分の混入も抑えられるので、光学材料、医療用材料、電気絶縁材料、電気・電子部品材料、又は電子部品処理用器材として用いられる。
【0042】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明する。
使用した担体の細孔分布は島津製作所(株)の水銀圧入法測定装置(ポアサイザー9220)によって測定した。担体の比表面積は、窒素ガス吸着によるBET表面積測定(カルロエルバ社ソープトマチック1800)によって行った。触媒中の白金族金属量はX線光電子分光分析(理学電機(株)RIX3000)を用いた。白金族金属の表面積は全自動触媒ガス吸着装置(大倉理研(株)製R−6015)を用いて測定した。白金族金属の分布は電子線マイクロプローブ(日立製作所(株)製X650)及びエネルギー分散型X線検出器(堀場製作所(株)製EMAX5770W)を用いて測定した。
【0043】
ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8120GPCシステム)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた。
ポリマーの水素化率は芳香環については紫外吸収スペクトル(島津製作所(株)製MPS−2000)または1 H−NMRスペクトル(日本電子(株)製JEOL−GX270)にて、オレフィン部分については1 H−NMRスペクトルにより測定した。
ポリマー中の白金族金属量については、ポリマーを硝酸中でソニックをかけて加熱分解した後、高周波誘導プラズマ質量分析装置(ファイソン社製VG−PQΩ)により測定を行い求めた。
【0044】
(実施例1)
(触媒調製)
ゼオライトZSM−5粒子とアルミナ粉末(20重量%含む)の混合物に水を添加して1/16インチサイズの径に押出成型した。乾燥は120℃にて20時間、焼成は600℃にて6時間行った。得られた担体の窒素ガス吸着によるBET比表面積は355m2 /g、孔容積は0.38cc/gを示し、水銀圧入法による孔容積は0.25cc/g、比表面積は15.4m2 /g、細孔分布曲線で孔直径380nmにピークトップを示した。また、孔直径100〜100000nmである孔の孔容積は0.21cc/gであり、孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の84%を占めた。この担体には孔直径約0.6nmの孔が存在するため、実質的にバイモーダル孔分布担体である。
【0045】
次に得られた担体に15重量%硝酸マグネシウム水溶液を含浸させた後、600℃の電気炉で5時間焼成を行い、酸化マグネシウムを吸着させた担体を調製した。
冷却管を取り付けた2リットルサイズの丸底フラスコに塩化パラジウム3.34g、塩化ナトリウム2.22gおよび蒸留水1000ミリリットルを入れ、95℃に加熱して溶解させた。この溶液に50℃で予備加熱しておいた担体400gを投入添加し、ゆるやかに振とうさせながら20分反応させた。傾倒して溶液を除いた後に蒸留水にて10回洗浄した。こうして得られたパラジウム化合物担持の担体を空気中で風乾した。
10%ヒドラジン水溶液1000ミリリットルにパラジウム化合物が担持された担体を添加した。ゆるやかに振とうさせながら20分還元反応を行った。傾倒して溶液を除いた後に蒸留水にて10回洗浄した。こうして得られたパラジウム触媒を加熱乾燥窒素気流下にて乾燥保管した。パラジウム金属の担持量は0.5重量%であり、金属表面積は146m2 /g−Pd金属(0.732m2 /g−触媒)であった。パラジウムは担体の外表面から80ミクロン以内に担持されていた。
【0046】
(ポリマー調製)
窒素置換した40リットルのオートクレーブに乾燥、精製したシクロヘキサン26リットル、テトラヒドロフラン73g、スチレン310gを仕込み、60℃に昇温した後、n−ブチルリチウム3.3gを含むシクロヘキサン溶液を攪拌下で添加、重合を開始させ、スチレン重合終了後、次いでブタジエンを2480g添加し、重合が完結した後、さらにスチレン310gを添加し、重合反応を完結させた。使用したリチウムに対して1.2等量のメタノールを添加して成長末端を停止した。このようにして重量平均分子量10.1万(分子量分布1.03)、スチレン含有量20重量%、ブタジエン部分の1,2−/1,4−結合比=0.40/0.60、濃度13.5重量%のスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー/シクロヘキサン溶液を得た。なお、分子量等の異なるポリマーはこの方法を少し変更して調製した。
【0047】
(固定床ポリマー水素化)
上記の触媒213gを内径22mmのステンレス製反応管(触媒層容積312cc)に充填して、最初にシクロヘキサン溶媒と水素ガスを下部より上部に向けて通液しながら、触媒層温度(内温)が180℃になるように昇温した。通液の予熱は触媒層下部に設けた予熱層部分を加熱することで行った。LHSV1.0にて8時間流し続けた。
その後、温度を下げてから通液をスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー(重量平均分子量10.1万、分子量分布1.03、スチレン含有量20重量%、1,2−/1,4−ブタジエン結合比0.40/0.60)/シクロヘキサン溶液(ポリマー濃度13.5重量%)に切り替え、80g(103ミリリットル)/hrで、15NL/hrの水素ガスと共に通液を開始した。この時のLHSVは0.33(1/hr)であった。触媒層の温度を見ながら予熱層を加熱し、最終的には触媒層温度を202℃に保った。水素圧は6.5MPaであった。連続100時間の水素化テストを行ったが、この間水素化率の低下は観測されず、オレフィン部分の水素化率は1,2−部分98%以上、1,4−部分97%以上を、又芳香環の水素化率は92〜95%を維持した。100時間後に得られたポリマーの重量平均分子量は10.0万、分子量分布は1.03であった。又、流出液を乾燥して得たポリマー中のパラジウム量は0.055ppmであった。
【0048】
(実施例2)
(触媒調製)
ゼオライト/アルミナ担体に変えて、バイモーダルアルミナ球状担体(住友化学工業(株)製、粒径8〜14メッシュ、BET比表面積81m2 /g、細孔容積0.53cc/g、水銀圧入法による孔分布測定では、細孔分布曲線で孔直径1800nmと6nmにピークトップが存在し、孔直径100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の63%を占めた。)を用い、パラジウム水溶液に投入すべき担体を80℃で予備加熱した以外は実施例1と同様にパラジウムを担持した。得られた触媒のパラジウム金属の担持量は0.5重量%であり、金属表面積は152.6m2 /g−Pd金属(0.763m2 /g−触媒)であった。パラジウムは担体の外表面から100ミクロン以内に担持されていた。
【0049】
(固定床ポリマー水素化)
上記の触媒190gを固定床反応器に充填した以外は実施例1と同様にテストした。連続300時間の水素化テストを行ったが、この間水素化率の低下は観測されず、オレフィン部分の水素化率は1,2−部分及び1,4−部分99%以上を、又芳香環の水素化率は98%以上を維持した。300時間後に得られたポリマーの重量平均分子量は10.0万、分子量分布は1.03であった。又、流出液を乾燥して得たポリマー中のパラジウム量は0.071ppmであった。
【0050】
(比較例1)
実施例1において担体としてα−アルミナ球(径約3mm、比表面積6.4m2 /g、ほぼ孔容積の100%が孔直径50nm以上の孔であった。)を用い、予め担体にマグネシウム化合物を担持することを行わなかったこと以外は同様に実施した。得られた触媒のパラジウム金属の担持量は0.5重量%であり、金属表面積は34.6m2 /g−Pd金属(0.17m2 /g−触媒)と小さく、パラジウムは担体内部まで担持されていた。
この触媒300gを反応器に充填して実施例1と同様に水素化を行った。ポリマー溶液通液後8時間でのオレフィン部分の水素化率は1,2−部分63.5%、1,4−部分57.6%、又芳香環の水素化率は52.4%と低かった。
【0051】
(実施例3)
(触媒調製)
ゼオライト/アルミナ担体を変えて、多孔質シリカ担体(粒径38〜75ミクロン、細孔容積1.24cc/g、平均細孔直径1220nm、比表面積4.07m2 /g)を用いた以外は実施例1と同様に行い、塩化パラジウムと塩化ナトリウム量を増やして5.0重量%パラジウム担持シリカ粒子触媒を得た。金属表面積は97.4m2 /g−Pd金属(4.87m2 /g−触媒)であり、表面から担体径の1/10以内に金属が担持されていた。
【0052】
(攪拌槽ポリマー水素化)
得られた粉末触媒を用いて攪拌槽で水素化を行った。1リットルオートクレーブに触媒4gとポリマー溶液400gを仕込み、水素圧6MPa、攪拌速度500rpm、温度140℃、反応時間3時間の条件でテストした。冷却後、内容物を取り出し、触媒を濾過分離し、溶媒を減圧留去した。オレフィン部分の水素化率は1,2−部分99.5%、1,4−部分99.1%および芳香環の水素化率は97.3%であり、得られたポリマー中のPd量は8.6ppmであった。
【0053】
(比較例2)
実施例3においてシリカ担体に予めマグネシウム塩を担持することをしないで、その他は同様に行った。得られた触媒の金属表面積は10.5m2 /g−Pd金属(0.53m2 /g−触媒)と小さく、内部まで金属が担持されていた。又、この触媒を用いて実施例3と同様に水素化を行ったところ、オレフィン部分の水素化率は1,2−部分79.5%、1,4−部分75.4%及び芳香環の水素化率は46.2%と低く、ポリマー中のPd量は33.2ppmと溶出していた。
【0054】
(実施例4)
11.5重量%スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー(重量平均分子量44.5万、分子量分布1.06、スチレン含有量34重量%、1,2−/1,4−ブタジエン結合比0.42/0.58)/シクロヘキサン溶液を用い、LHSV0.20(1/hr)、水素圧12MPa、温度230℃とした以外は実施例2と同様にテストした。20時間後でのオレフィン部分の水素化率は1,2−部分97.5%、1,4−部分96.6%及び芳香環の水素化率は92.7%であった。オリゴマーの生成はなかった。又、得られたポリマー中のパラジウム量は0.032ppmであった。
【0055】
(実施例5)
ポリスチレン(重量平均分子量26万、分子量分布2.6)をシクロヘキサンに溶解した10重量%ポリマー溶液を用い、水素圧を12MPa、温度を180℃とした以外は実施例2と同様にテストした。8時間後の芳香環の水素化率は94.3%であった。
(実施例6)
実施例2において塩化パラジウムと塩化ナトリウムをそれぞれ1.67g、1.11gに減らし、ヘキサクロロ白金酸6水和物2.66gを使用して触媒を調製し(白金族金属担持量はパラジウム0.25重量%、白金0.25重量%、白金族金属表面積は62.4m2 /g−金属、0.31m2 /g−触媒であり、白金族金属は担体の外表面から100ミクロン以内に担持されていた。)、又、シクロヘキサン/イソプロパノール=97/3重量%になるようにポリマー溶液にイソプロパノールを添加して調製し、水素圧4MPa、温度180℃とした以外は同様にテストした。8時間テスト後でのオレフィン部分の水素化率は1,2−部分99.2%、1,4−部分98.8%及び芳香環の水素化率は7.6%であり、選択的に水素化していた。
【0056】
(実施例7)
乳化重合法により合成したアクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリル含有量27%、重量平均分子量23.0万、分子量分布3.5)を95/5=シクロヘキサン/THFに10重量%に溶解させた溶液を用い、温度を160℃、LHSV0.54(1/hr)、水素圧4MPaとした以外は実施例2と同様に行った。8時間テスト後に得られたポリマーのブタジエン部分の水素化率は92.2%であった。
【0057】
(実施例8)
開環メタセシス重合法により合成したポリジメチルノルボルネン(重量平均分子量5.83万、分子量分布1.81)をシクロヘキサン/THF(95/5重量比の混合溶媒)に溶解させた溶液(濃度15重量%)を用いた以外は実施例2と同様に行った。8時間テスト後に得られたポリマーのオレフィン部分の水素化率は99.1%であった。
【0058】
(実施例9)
実施例2において、硝酸マグネシウムの代わりに硝酸ナトリウムを含浸、焼成して調整した担体を用いた以外は、同様にテストした。得られた触媒のパラジウム金属の担持量は0.5重量%であり、金属表面積は155.6m2 /g−Pd金属(0.778m2 /g−触媒)であった。パラジウムは担体の外表面から100ミクロン以内に担持されていた。固定床水素化で10時間後に得られたポリマーのオレフィン部分の水素化率は1,2−部分及び1,4−部分99%以上で、又芳香環の水素化率は98.3%であり、高活性を示した。ポリマーの重量平均分子量は10.0万、分子量分布は1.03であった。又流出液を乾燥して得たポリマー中のパラジウム量は0.065ppmであった。
【0059】
(実施例10)
実施例9において、硝酸ナトリウムの代わりに硝酸セリウムムを用いた以外は、同様にテストした。得られた触媒のパラジウム金属の担持量は0.5重量%であり、金属表面積は141.2m2 /g−Pd金属(0.706m2 /g−触媒)であった。パラジウムは担体の外表面から100ミクロン以内に担持されていた。固定床水素化にて得られたポリマーのオレフィン部分の水素化率は1,2−部分及び1,4−部分99%以上で、又芳香環の水素化率は95.9%であり、高活性を示した。ポリマーの重量平均分子量は10.0万、分子量分布は1.03であった。又流出液を乾燥して得たポリマー中のパラジウム量は0.083ppmであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、高分子量ポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を水素化する際に、孔直径の大きな孔を有する担体を用いて、あらかじめアルカリ土類金属等の金属塩基性成分を担持固定化した担体と白金族金属化合物溶液を接触させることによって白金族金属成分を不溶固定化した触媒を用いることにより、従来技術では達成できなかった高い生産性を可能にするポリマー水素化方法を提供することができる。

Claims (12)

  1. (1)予めアルカリ金属、アルカリ土類金属、稀土類金属中から選ばれる少なくとも1種の金属塩基性成分を含む担体と白金族金属化合物溶液を接触させることによって該白金族金属成分を不溶固定化する工程を含んで調製されたものであり、白金族金属の担持量が担体に対して0.1〜10重量%であり、該白金族金属の表面積が40〜250m2 /g−金属であり、該白金族金属が該担体の外表面から深さ方向に担体径の1/10以内の表層部に90%以上担持されており、該担体の水銀圧入法による孔直径が100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の50〜100%であり、該担体の窒素ガス吸着法による比表面積が50〜500m 2 /gであることを特徴とするポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒。
  2. 該担体がバイモーダルの孔分布を有する担体である請求項1に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒。
  3. 該白金族金属が少なくともパラジウムを含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒。
  4. 該白金族金属が少なくともパラジウム及び白金を含んでいることを特徴とする請求項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒。
  5. 該担体がアルミナ、アルミナシリカ、シリカ、チタニア、マグネシア、ジルコニア又はゼオライトから選ばれる少なくとも1種の粉体又はそれらの粉体を用いて成形される成形体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒。
  6. 下記工程を含む工程で製造される、白金族金属の担持量が担体に対して0.1〜10重量%であり、該白金族金属の表面積が40〜250m 2 /g−金属であり、該白金族金属が該担体の外表面から深さ方向に担体径の1/10以内の表層部に90%以上担持されており、該担体の水銀圧入法による孔直径が100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の50〜100%である、ポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒の製造方法。
    工程1;予めアルカリ金属、アルカリ土類金属及び稀土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属塩基性成分を担持固定化した担体を製造する工程、
    ここで、該担体の水銀圧入法による孔直径が100〜100000nmである孔の孔容積が孔直径5〜100000nmである孔の孔容積の50〜100%であり、該担体の窒素ガス吸着法による比表面積が50〜500m 2 /gである、
    工程2;工程1で得られた担体と白金族金属化合物溶液を接触させることによって該白金族金属成分を担体上に不溶固定化させる工程。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化用触媒及び水素ガスを用いてポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法。
  8. 該ポリマーが芳香族ビニルモノマー(成分A)、共役ジエンモノマー(成分B)、共重合性極性モノマー(成分C)とする時に、A+B=100重量部、A=0〜100重量部、C=0〜30重量部の条件を満たして重合又は共重合された重合体から選ばれる少なくとも1種である請求項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法。
  9. 該ポリマーがポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−ブタジエンマルチブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−イソプレンマルチブロック共重合体、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)ジブロック共重合体、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)−スチレントリブロック共重合体、ブロック数が4以上のスチレン−(ブタジエン/イソプレン)マルチブロック共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、ポリノルボルネン、ポリノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン開環重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項又はに記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法。
  10. 該ポリマーが芳香族ビニルモノマー(成分A)、共役ジエンモノマー(成分B)、共重合性極性モノマー(成分C)とする時に、A+B=100重量部、A=10〜90重量部、C=0〜30重量部の条件を満たして共重合された重合体から選ばれる少なくとも1種であり、且つ該ポリマー中のオレフィンの選択的水素化を行うために該ポリマー溶液が1〜10重量%の極性溶媒を含むことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法。
  11. 該水素化用触媒を充填した固定床反応器に水素ガスと共に該ポリマー溶液を通液することによってポリマーの水素化を行う際に、該水素化条件が水素圧2〜25MPa、水素ガス流量/ポリマー溶液流量比10〜1000ノルマルリットル/リットル、液時空間速度(LHSV)0.01〜10(1/hr)であることを特徴とする請求項10のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法。
  12. 該ポリマーの重量平均分子量が30000〜600000であり、該ポリマー溶液中のポリマー濃度が5〜30重量%であり、且つ該水素化温度が120〜280℃であることを特徴とする請求項11のいずれか1項に記載のポリマー中の炭素−炭素不飽和結合を炭素−炭素飽和結合に変換するポリマー水素化方法。
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