JP4254731B2 - 電子音楽装置及びプログラム - Google Patents

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Description


本発明は、電子音楽装置に関し、より詳しくは、タッチパネルを有する電子音楽装置に関する。

従来、電子楽器においては、パネル上に設置されるハードウェアスイッチを操作することで種々の機能の設定が行われていた。操作するスイッチは、パネル上に突出していたり、凹部を形成していたりしたため、視覚障害のあるユーザでもその位置を手で探ることができた。そのため、操作手順を知っている場合には何とか電子楽器の設定操作を行うことができた。
近年の電子楽器においては、機種間における部品を共通化させつつも、機器間の設定機能に柔軟性を持たせるため(インターネット等の通信ネットワークを介して新たな機能を追加することができる)、もしくはデザイン的にすっきりさせるため、パネル上のスペースを有効に活用するため等の理由から各種表示とスイッチをタッチパネル化してソフトウェア的に配置する機種が増えつつある。
上述したようなタッチパネルを採用した電子楽器においては、視覚障害者にとっては、位置の対応の認識が困難であり、電子楽器の設定を行うことが非常に困難となってしまう。
視覚障害者にもタッチパネルを使用可能とするために、タッチパネル表面に凹凸を有するフィルムを剥離自由に装着することが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、タッチパネル上に各スイッチの境界を認識させるための部材を設けたり、表面に異なる凹凸のパターンを複数箇所に設けたりすることが提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。さらに、タッチパネルの表示面周縁部に点字情報を形成したものも提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、タッチパネルに配置される各スイッチの情報を音声として出力するものが提案されている(特許文献6〜9参照)。
特開2000-181629号公報 特開平07-319623号公報 特開2004-54827号公報 特許3158513号公報 特開平09−81321号公報 特開平11-95654号公報 特開2001-255999号公報 特開2001−250134号公報 特開平07-21444号公報
上述した従来からの視覚障害者に対応するタッチパネルでは、例えば、における部品を共通化させつつも、機器間の設定機能に柔軟性を持たせるため(インターネット等の通信ネットワークを介して新たな機能を追加した場合等に対応すること難しい。特に、視覚障害者に対する配慮がなされていないタッチパネル用の画面データをダウンロードして使用する場合などは、従来の対策では不十分であった。
本発明の目的は、視覚障害者であっても操作可能なタッチパネルを有する電子音楽装置を提供することである。
本発明の一観点によれば、電子音楽装置は、種々の情報を表示するためのディスプレイと該ディスプレイの表示面に対する押下操作を検出して押下位置の座標情報を出力する座標情報出力部とを備えたタッチパネルと、前記タッチパネルに対する押下操作に応じて出力される前記座標情報に相当する座標情報データを含む演奏データを取得する演奏データ取得手段と、前記取得した演奏データから前記座標情報データを読み出し、該読み出した座標情報データから座標情報を抽出する座標情報抽出手段と、前記タッチパネルが出力した座標情報又は前記座標情報抽出手段が演奏データに含まれる座標情報データから抽出した座標情報対応するコマンドを特定するコマンド特定手段と、前記特定したコマンドを実行するコマンド実行手段とを有する。
本発明によれば、視覚障害者であっても操作可能なタッチパネルを有する電子音楽装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施例による電子音楽装置1のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
図2は、本発明の実施例による電子音楽装置1の外観の一例を表す平面図である。なお、この例では、電子音楽装置1は、キーボード等の電子楽器であるが、これ以外にも、例えば、音源装置、ミキサー、レコーダー等のPA機器であり、音楽に関連する処理を行う電子機器であってもよい。
電子音楽装置1のバス6には、RAM7、ROM8、CPU9、外部記憶装置15、検出回路11、表示回路13、MIDIインターフェイス16、音源回路18、効果回路19、通信インターフェイス(I/F)21が接続される。
RAM7は、バッファ領域、フラグ、レジスタ、各種パラメータ等を記憶するCPU9のワーキングエリアを有する。
ROM8には、各種パラメータ及び制御プログラム、又は本実施例を実現するためのプログラム等を記憶することができる。この場合、プログラム等を重ねて、外部記憶装置15に記憶する必要は無い。なお、ROM8として、通常のリードオンリーメモリの他に、書き換え可能なフラッシュメモリ等も含むこととする。
CPU9は、ROM8又は、外部記憶装置15に記憶されている制御プログラム等に従い、演算又は制御を行う。タイマ10は、CPU9に接続されており、基本クロック信号、割り込み処理タイミング等をCPU9に供給する。
ユーザは、検出回路11に接続されるパネル操作子12を用いて、各種入力及び設定をすることができる。パネル操作子12は、例えば、スイッチ、パッド、フェーダ、スライダ、文字入力用キーボード、マウス、ロータリーエンコーダ、ジョイスティック、ジョグシャトル等、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものである。
演奏操作子22は、検出回路11に接続され、ユーザの演奏動作に従い、演奏情報を供給する。演奏操作子22として、演奏用の鍵盤、パッド等を用いることができる。なお、演奏操作子22はこれらに限らず、ユーザが演奏情報を入力できるものであればどのようなものでもよい。
表示回路13は、ディスプレイ14に接続され、各種情報をディスプレイ14に表示することができる。ディスプレイ14は、電子音楽装置1の設定のための選択情報、楽譜や歌詞などの楽曲情報を表示することができる。なお、ディスプレイ14に表示されるタッチ操作子画像は後述するタッチ操作子23と対応する。
タッチ操作子23は、ディスプレイ14表面に設けられるタッチパネル操作面に対するユーザの押下操作を検出し、被操作位置の位置情報(例えば、xy座標)を出力する操作子である。本実施例では、このタッチ操作子23から出力される位置情報と電子音楽装置1が実行するコマンドが関連付けられている。なお、位置情報とコマンドの関連付けは、ディスプレイ14に表示される情報に合わせてその都度変化する。なお、本実施例では、タッチ操作子23及びディスプレイ14の表示をあわせてタッチパネルと呼ぶ。
外部記憶装置15は、外部記憶装置用のインターフェイスを含み、そのインターフェイスを介してバス6に接続される。外部記憶装置15は、例えばフレキシブルディスク又はフロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)、ハードディスクドライブ(HDD)、光磁気ディスク(MO)ドライブ、CD−ROM(コンパクトディスク−リードオンリィメモリ)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、半導体メモリ等である。
外部記憶装置15として、ハードディスクドライブ(HDD)が接続されている場合には、制御プログラム又は本実施例を実現するためのプログラム等は、外部記憶装置15内のハードディスク(HDD)に記憶させることもできる。ハードディスクからRAM7に制御プログラム等を読み出すことにより、ROM8に制御プログラム等を記憶させている場合と同様の動作をCPU9にさせることができる。このようにすると、制御プログラム等の追加やバージョンアップ等が容易に行える。
また、ハードディスクドライブに加えて、CD−ROMドライブが接続されている場合には、制御プログラム又は本実施例を実現するためのプログラム等をCD−ROMに記憶させることもできる。CD−ROMからハードディスクに制御プログラムや本実施例を実現するためのプログラム等をコピーすることができる。制御プログラム等の新規インストールやバージョンアップを容易に行うことができる。
なお、本実施例では、外部記憶装置15又はROM8には、タッチパネル用のタッチ操作子画像の表示データ及び当該表示データの表示座標に関連付けられるコマンドを記憶する画面データを電子音楽装置1の種々の機能に合わせて複数ページ分記憶している。さらに、外部記憶装置15又はROM8には、自動演奏データ及び関連データ(楽譜データ、運指情報等の楽曲データに関連するデータ)を複数記憶することができる。なお、画面データ内のコマンドは、表示データの表示座標ではなく、表示データそのものに関連付けるようにしてもよい。この場合、表示データの表示座標に変更があっても、表示データとコマンドの対応関係が保たれる。
MIDIインターフェイス(MIDI I/F)16は、MIDI機器17、その他の楽器、音響機器、コンピュータ等に接続できるものであり、少なくともMIDI信号を送受信できるものである。MIDIインターフェイス16は、専用のMIDIインターフェイスに限らず、RS−232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインターフェイスを用いて構成してもよい。この場合、MIDIメッセージ以外のデータをも同時に送受信するようにしてもよい。
MIDI機器17は、MIDIインターフェイス16に接続される音響機器及び楽器等である。MIDI機器17の形態は鍵盤楽器に限らず、弦楽器タイプ、管楽器タイプ、打楽器タイプ等の形態でもよい。また、音源装置、自動演奏装置等を1つの電子楽器本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別体の装置であり、MIDIや各種ネットワーク等の通信方法用いて各装置を接続するものであってもよい。
音源回路18は、外部記憶装置15、ROM8又はRAM7等に記録された音楽コンテンツ若しくは演奏操作子22又はMIDIインターフェイス16に接続されたMIDI機器17等から供給される演奏信号、MIDI信号等に応じて楽音信号を生成し、効果回路19を介して、サウンドシステム20に供給する。
効果回路19は、音源回路18から供給される楽音信号に対して、各種音楽的効果を付与する。サウンドシステム20は、D/A変換器及びスピーカ20s(図2)を含み、供給されるデジタル形式の楽音信号をアナログ形式に変換し、発音する。
通信インターフェイス21は、LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続可能であり、また、プロバイダ51を介してインターネット等の通信ネットワーク3に接続可能であり、該通信ネットワーク3を介して、サービス提供サーバ55等の各種サーバと相互に接続可能である。
なお、通信インターフェイス21及び通信ネットワーク3は、有線のものに限らず無線でもよい。また双方を備えていてもよい。また、通信インターフェイス21は、内蔵のものでも良いし、PCカード等の着脱可能なものでも良い。
サービス提供サーバ56は、通信ネットワーク3上に設けられるサーバであって、例えば、HTTPサーバのようなウェブサーバである。サービス提供サーバ56は、自動演奏データ及び関連データ、画面データ、機器設定データ等を多数記憶し、サービス提供サーバ56に通信ネットワーク3を介して接続する電子音楽装置1の要求に応じて配信する。
図3は、本実施例の自動演奏データPDの構成を表す概念図である。この自動演奏データPDは、図1の外部記憶装置15又はROM8に保存されるデータである。また、図1のサービス提供サーバ56からダウンロードすることが可能である。
自動演奏データPDは、データの内容についての情報や再生制限などを含む初期設定情報ISD、タッチ操作用の座標等を含む座標情報CID、発音指示情報を含む演奏情報PIDを含んで構成される。
演奏情報PIDは、例えば、MIDI規格に準拠した自動演奏用のデータであり、少なくとも、Key−onイベント、Key−offイベント及びそれらの時間情報(タイミングデータ)とが記録されている。また、例えば、ピッチベンドデータやエクスプレッションデータなどのイベントデータも併せて記録することができる。
図4は、図3の座標情報CIDを説明するための図である。図4(A)は、座標情報CIDのフォーマットを示し、図4(B)は、タッチパネル(ディスプレイ14及びタッチ操作子23)上の座標を示す平面図である。
座標情報CIDは、タッチパネルを操作するためのMIDI規格に準拠したデータである。座標情報CIDは、例えば、図4(A)に示すように、「F0、43、70、78、45、x座標、y座標、オン/オフ、F7」というフォーマットとする。
x座標及びy座標は、必ずしも図1のディスプレイ14のドット数と一致する必要はなく、例えば、ディスプレイ14の分解能が800×480ドットの場合に、x座標を0〜99、y座標を0〜79に設定したり、図4(B)に示すようにx座標を0〜15、y座標を0〜11に設定したりすることができる。このようにすることにより、将来分解能が変わった場合に対応することができる。
オン/オフは、x座標及びy座標で指定される位置に対応するタッチ操作子23のオン/オフを指定するためのパラメータであり、例えば、0=on、1=off、2=on/off切り替えとする。
図4(B)に示すように、スイッチSW2をオンする場合には、座標情報CIDは、「F0、43、70、78、45、05、01、0、F7」となる。また、スイッチSW2をオフする場合には、座標情報CIDは、「F0、43、70、78、45、05、01、1、F7」となり、スイッチSW2のオン/オフを切り替える場合には、座標情報CIDは、「F0、43、70、78、45、05、01、2、F7」となる。なお、x座標及びy座標は、操作するスイッチ(SW1〜SW16)に含まれる任意の一点の座標であればよい。
本実施例では、後述するように、座標情報CIDを含む自動演奏データPDを受信若しくは読み出した場合には、当該自動演奏データPDから座標情報CIDを取得し、当該座標情報CIDで指示される座標に対応するスイッチ(SW1〜SW16)がオン/オフされたのと同様の処理を行う。
なお、座標情報CIDは自動演奏データPD内に含まれるもの以外にも、座標情報CID単独で例えば、MIDIデータとして構成されるようにしてもよい。また、演奏情報PID内にイベントデータとして記録されるようにしてもよい。
また、本実施例では、タッチ操作子23が操作された場合には、操作された位置の座標(操作座標)を特定し、特定した操作座標と該操作による機能のオン/オフとを示す座標情報CIDを、上述の図4(A)に示すフォーマットで、例えば、図1のMIDIインターフェイス16を介してMIDIデータとして出力することができる。なお、座標情報CIDの出力は、必ずしも常に出力する必要はなく、例えば、ユーザの指示により出力の有無を切り替えるようしてもよい。
また、出力される座標情報CIDは、例えば、図1の外部記憶装置15等に記録することができる。ユーザが複数のタッチ操作を一連の設定として行った場合は、ユーザの操作順(設定順)に座標情報CIDをひとつのデータとして記録することができる。なお、記録されるデータのフォーマットは、例えば、MIDIデータである。さらに、座標情報CIDの記録は、ユーザがMIDIデータとして数値入力等を行い手動で行うこともできる。
具体的には、スイッチSW2をオンする場合には、座標情報CIDとして、「F0、43、70、78、45、05、01、0、F7」が出力され、オフする場合には、「F0、43、70、78、45、05、01、1、F7」、オン/オフを切り替える場合には、「F0、43、70、78、45、05、01、2、F7」が出力及び記録される。
従来のMIDIデータで変更するパラメータの種類と値とを指定する方式では、ウェブブラウザを利用したウェブページの閲覧や、製品出荷時に未定の画面には対応できなかったが、上述のように、タッチパネルの操作したい位置の座標と当該座標におけるオン/オフを座標情報CIDとして送受信することにより、ウェブブラウザを利用したウェブページの閲覧や、製品出荷時に未定の画面にも対応することができる。
また、例えば、視覚障害者のためのテキストマニュアル等でディスプレイ14に表示される項目(スイッチ)について座標情報を記載することにより、視覚障害者であっても座標情報CIDを電子音楽装置1に送信することにより、電子音楽装置1のタッチパネル機能を利用することができる。
上述したように、座標情報CIDにより、例えば、MIDIデータを利用して、タッチパネルの遠隔操作やシーケンスデータでの操作が可能となる。
図5は、本発明の実施例による視覚障害者用のマーカー24を説明するための平面図である。
視覚障害者用のマーカー24は、ディスプレイ14の周縁部の縦方向及び横方向の少なくとも2辺(本実施例では4辺)に等間隔で設置される複数の凸部である。マーカー24は、視覚に頼らず触覚等で認識できるものであればよく、突起に限らず溝等でもよい。本実施例では、横方向及び縦方向ひとつ置きにマーカー24の形状を異ならせて位置の把握を容易にしている。
マーカー24上部には、当該マーカー24が何番目であるかを示す表示が設けられる。この表示は、視覚障害者が認識可能な形態であることが好ましく、例えば、点字で表示される。
図6は、本発明の実施例によるディスプレイ14に表示されるスイッチSWの再配置を説明するための概念図である。
図6(A)は、スイッチSW1〜SW12の通常の配置の一例である。スイッチSW1〜SW8とスイッチSW9〜SW12とが異なる大きさであり、周縁部に設置されたマーカー24と対応していない。このようなスイッチ配置の場合、視覚障害者が操作したいスイッチを探すのが困難である。図に示す例以外にも、視覚障害者に配慮していない表示では、スイッチが小さかったり、スイッチの感覚が狭かったりするなど、視覚障害者が手探りでスイッチを探すのが困難な場合が多い。
そこで、本実施例では、まず図6(B)に示すように、タッチパネル(ディスプレイ14及びタッチ操作子23)の表示領域を周縁部に設置されたマーカー24に対応するように等分(本実施例では16等分)し、それぞれの領域をA1〜D4とする。その後、図6(C)に示すように、スイッチSW1〜SW12を分割した領域にそれぞれ割り当てる。スイッチSWの割り当ては、各領域にスイッチ用の画像を表示するとともに、割り当てる領域の座標の範囲と各スイッチに対応するコマンドを関連付けることで行われる。なお、このスイッチの再配置は、図8のステップSA15〜SA18で行われる処理である。
このように、スイッチの再配置を行うことで、スイッチSWの形状及び大きさが揃えられるとともに、スイッチSWが等間隔に並ぶようになる。また、スイッチSWのそれぞれが、マーカー24に対応するようになるので、視覚障害者がスイッチSWの位置を把握することが容易となる。
この再配置処理を行うことで、ウェブブラウザを利用したウェブページの閲覧や、製品出荷時に未定の画面を新たに追加した場合でも、視覚障害者が操作容易な画面とすることができる。また、電子音楽装置1専用の画面でなくとも、電子音楽装置1に設置されているマーカー24に対応するものに変換することができる。
図7は、本発明の実施例による補助シート25を表す平面図である。補助シート25は、図6(C)に示すようにスイッチSWのそれぞれが、マーカー24に対応するように再配置された場合に使用されるものである。補助シート25は、例えば、透明のシートに突起26がついたものであり、各突起26は、図6(B)に示す領域A1〜D4に設けられている。視覚障害者のユーザはこのシートの上をなぞり、突起26の部分を押すことによりタッチパネルを容易に操作することができる。
なお、補助シート25は、再配置されたスイッチSWに限らず、様々な配置に対応したものを用意することもできるが、再配置処理と組み合わせることにより、マーカー24に対応するものを1つ用意するだけであらゆる画面に対応することができるようになる。
図8は、本実施例によるメイン処理を表すフローチャートである。このメイン処理は、電子音楽装置1の電源投入とともに起動される。
ステップSA1で、メイン処理をスタートし、ステップSA2で初期化を行う。ここでは、例えば、各種フラグ、バッファ、レジスタ等を初期化する。
ステップSA3では、座標データ(例えば、図4の座標情報CID)を受信したか否かを判断する。座標データを受信した場合は、YESの矢印で示すステップSA4に進み、受信していない場合は、NOの矢印で示すステップSA5に進む。
ステップSA4では、タッチパネル(図1のタッチ操作子23)の操作を検出する。タッチパネルの操作を検出した場合は、YESの矢印で示すステップSA5に進み、操作を検出しない場合は、NOの矢印で示すステップSA7に進む。
ステップSA5では、ステップSA4で検出したタッチパネル操作の操作座標(タッチ操作子23が押下された位置のx座標及びy座標)を特定する。ステップSA6では、ステップSA5で特定された操作座標に関連付けられているコマンドを特定する。タッチパネル内の座標とコマンドの関連付けに関する情報は、現在表示されている画面の画面データに記録されているか、若しくは後述するステップSA12又はステップSA16でテーブルとして外部記憶装置15等に記録するものである。その後、ステップSA9に進む。
ステップSA7では、パネル操作子(図1のパネル操作子12)の操作を検出する。パネル操作子の操作を検出した場合は、YESの矢印で示すステップSA8に進み、操作を検出しない場合は、NOの矢印で示すステップSA25に進む。
ステップSA8では、ステップSA7で操作を検出したパネル操作子に割り当てられているコマンドを特定する。その後、ステップSA9に進む。
ステップSA9では、ステップSA6又はステップSA8で特定されたコマンドが、画面変更を伴うコマンドであるか否かを判断する。画面変更を伴うコマンドである場合は、YESの矢印で示すステップSA10に進み、画面変更を伴うコマンドでない場合は、NOの矢印で示すステップSA19に進む。
ここで、画面変更を伴うコマンドとは、例えば、表示画面のページの変更などの直接画面の変更を指示するコマンドだけではなく、当該コマンドの詳細パラメータを表示するために新たな画面に更新する必要があるコマンドを含む。例えば、音色の選択画面において、第1の画面で音色のグループを指定し、第2の画面で当該グループ内の特定音色を選択する場合などに、第1の画面での音色グループの選択は画面変更を伴うコマンドである。
ステップSA10では、新たな表示画面の画面データを取得(例えば、図1の通信ネットワーク3を介してサービス提供サーバ56からダウンロード)又は図1の外部記憶装置15等から読み出す。ここで画面データとは、ディスプレイ14に表示するためのタッチ操作子画像の画像データ及びタッチ操作子画像の表示座標に関連付けられたコマンドを含むデータである。
ステップSA11では、ステップSA6又はステップSA8で特定されたコマンドが再配置モードに移行するコマンド(若しくは現在の表示モードが再配置モード)であるか否かを判断する。再配置モードの場合は、YESの矢印で示すステップSA14に進み、再配置モードでない場合は、NOの矢印で示すステップSA12に進む。
ステップSA12では、ステップSA10で取得又は読み出した画面データに基づきディスプレイ14の所定位置(画面データで指定される位置)にタッチ操作子画像を表示する。ステップSA13では、ステップSA10で取得又は読み出した画面データに基づきステップSA12で表示したタッチ操作子画像の表示座標にコマンドを割り当てる。その後、ステップSA18に進む。
ステップSA14〜ステップSA17の処理は、図6を参照して説明したタッチスイッチの再配置処理である。
ステップSA14では、タッチ操作子に割り当てられているコマンド(ステップSA10で取得又は読み出した画面データに含まれるコマンド)を抽出する。ステップSA15では、タッチ表示面(ディスプレイ14の表示面及びタッチ操作子23)を所定数(例えば、図3に示すマーカー24に対応する数であり、横方向に4つ、縦方向に4つのマーカー24が設置されている場合は16)の領域に等分する。ステップSA16では、ステップSA14で抽出したコマンドをステップSA15で分割した領域に1つずつ割り当てる。なお、ステップSA14で抽出したコマンドがステップSA15で分割した領域の数より多い場合は、複数ページにわたって表示するようにする。ステップSA17では、ステップSA16でコマンドを割り当てた領域にタッチ操作子画像を表示する。その後、ステップSA18に進む。
ステップSA18では、タッチ操作子に割り当てられている各コマンドの項目名と領域(又は座標)値及びページ名(例えば、「音色選択画面」等)を音声として出力する。この音声出力は、例えば、図1の音源回路18、サウンドシステム20を介して、図2のスピーカ20sを用いて発音される。このように、各コマンドの項目名と領域(又は座標)値を音声出力することにより、視覚障害者であっても、タッチ操作子の位置と各コマンドの項目名を認識することができる。また、図3に示すマーカー24や図7に示す補助シート25と組み合わせることにより、視覚障害者であっても容易にタッチパネル操作が可能となる。
なお、ここでの音声出力による発音処理は、音声データを例えば、図1の通信インターフェイス21を介して外部に出力し、外部機器で発音を行うようにしてもよい。
また、ここで音声出力される音声は、例えば、画面データに記録されるコマンドの項目名のテキストデータ(ディスプレイ14に表示すべきコマンドの項目名に対応するテキストデータ)を周知の技術で音声処理したものである。
ステップSA19では、ステップSA6又はステップSA8で特定されたコマンドが、演奏データの選択コマンドであるか否かを判断する。演奏データ選択コマンドである場合は、YESの矢印で示すステップSA20に進み、選択された演奏データを外部記憶装置15から読み出すか、又は通信ネットワーク3を介してサービス提供サーバ56からダウンロードする。演奏データ選択コマンドでない場合は、NOの矢印で示すステップSA25に進む。
ステップSA21では、ステップSA6又はステップSA8で特定されたコマンドが、演奏データの再生指示に関するコマンドであるか否かを判断する。再生指示である場合は、YESの矢印で示すステップSA22に進み、演奏データを再生する指示である場合は再生フラグを「1」とし、再生を停止する指示である場合は再生フラグを「0」として、その後、ステップSA25に進む。再生指示でない場合は、NOの矢印で示すステップSA23に進む。
ステップSA21では、ステップSA6又はステップSA8で特定されたコマンドが、電子音楽装置1(メイン処理)の終了指示であるか否かを判断する。終了指示である場合は、YESの矢印で示すステップSA30に進み、このメイン処理を終了する。終了指示でない場合は、ステップSA24に進み、電子音楽装置1のその他の処理を実行する。その他の処理とは、例えば、再生指示以外の各種ファイル操作、音色の設定、機器の設定等である。その他の処理を実行後、ステップSA25に進む。
ステップSA25では、再生フラグが「1」であるか否かを判断する。再生フラグが「1」である場合は、YESの矢印で示すステップSA26に進む。再生フラグが「0」である場合は、NOの矢印で示すステップSA28に進む。
ステップSA26では、再生する自動演奏データが座標データ(図4の座標情報CID)を含むか又は現在のタイミングのイベントが座標データ(図4の座標情報CID)であるか否かを判断する。座標データを含む若しくは今回のイベントが座標データである場合は、YESの矢印で示すステップSA5に戻り、以降の処理を繰り返す。座標データを含まない若しくは今回のイベントが座標データでない場合は、NOの矢印で示すステップSA27に進む。なお、図3に示すように、演奏情報PIDとは別に座標情報CIDが記録されている場合は、このステップSA26での判断は2回目以降は今回のイベントが座標データであるか否かだけを判断すればよい。
ステップSA27では、その他のイベントに対応する処理を行う。例えば、今回のタイミングにおけるイベントがノートオンイベントである場合は、当該ノートイベント指示される楽音の発音処理を行う。その後、ステップSA28に進む。
ステップSA28では、図1の演奏操作子22の操作を検出する。演奏操作子の操作を検出したら、YESの矢印で示すステップSA29に進み、検出した操作に対応する処理を行う。その後ステップSA3に戻る。演奏操作を検出しない場合は、NOの矢印で示すステップSA3に戻り以降の処理を繰り返す。
以上、本発明の実施例によれば、タッチパネル周縁部にマーカーを設置し、マーカーに対応するようにタッチパネル上のスイッチを再配置することで、視覚障害者であっても通信ネットワーク等を介して新たな画面を取得して表示可能なタッチパネル操作式の電子音楽装置を用意に操作することが可能となる。さらに、補助シート25を用いれば、視覚障害者によるタッチパネル操作が一層容易になる。
また、本発明の実施例によれば、各コマンドの項目名と領域(又は座標)値を音声出力することにより、視覚障害者であっても、タッチ操作子の位置と各コマンドの項目名を認識することができる。
また、本発明の実施例によれば、タッチパネルの制御情報(座標情報CID)をMIDIデータ等の一般的に使用されるデータフォーマットをもちいて送受信することができるので、タッチパネルの遠隔操作やシーケンスデータによる制御が可能となる。
なお、実施例では、座標情報CIDを取得した場合は、常に当該座標情報CIDに従いコマンドの実行を行ったが、この機能をユーザが任意にオン/オフできるようにしてもよい。
また、実施例では、座標情報CIDは、指示される座標に割り当てられた機能をオン/オフするものとして説明したが、オン/オフの代わりに数値入力を行えるようにしてもよい。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
本発明の実施例による電子音楽装置1のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。 本発明の実施例による電子音楽装置1の外観の一例を表す平面図である。 本実施例の自動演奏データPDの構成を表す概念図である。 図3の座標情報CIDを説明するための図である。 本発明の実施例による視覚障害者用のマーカー24を説明するための平面図である。 本発明の実施例によるディスプレイ14に表示されるスイッチSWの再配置を説明するための概念図である。 本発明の実施例による補助シート25を表す平面図である。 本実施例によるメイン処理を表すフローチャートである。
符号の説明
1…電子音楽装置、3…通信ネットワーク、6…バス、7…RAM、8…ROM、9…CPU、10…タイマ、11…検出回路、12…設定操作子、13…表示回路、14…ディスプレイ、15…外部記憶装置、16…MIDI I/F、17…MIDI機器、18…音源回路、19…効果回路、20…サウンドシステム、21…通信I/F、22…演奏操作子、23…タッチ操作子、24…マーカー、25…補助シート、26…凸部、56…サービス提供サーバ

Claims (3)

  1. 種々の情報を表示するためのディスプレイと該ディスプレイの表示面に対する押下操作を検出して押下位置の座標情報を出力する座標情報出力部とを備えたタッチパネルと、
    前記タッチパネルに対する押下操作に応じて出力される前記座標情報に相当する座標情報データを含む演奏データを取得する演奏データ取得手段と、
    前記取得した演奏データから前記座標情報データを読み出し、該読み出した座標情報データから座標情報を抽出する座標情報抽出手段と、
    前記タッチパネルが出力した座標情報又は前記座標情報抽出手段が演奏データに含まれる座標情報データから抽出した座標情報対応するコマンドを特定するコマンド特定手段と、
    前記特定したコマンドを実行するコマンド実行手段と
    を有する電子音楽装置。
  2. さらに、前記座標情報出力部が出力した押下位置の座標情報に基づいて前記座標情報データを生成して出力する座標情報出力手段を有する請求項1記載の電子音楽装置。
  3. 種々の情報を表示するためのディスプレイと該ディスプレイの表示面に対する押下操作を検出して該押下位置の座標情報を出力する座標情報出力部とを備えたタッチパネルを有するコンピュータに、
    前記タッチパネルに対する押下操作に応じて出力される前記座標情報に相当する座標情報データを含む演奏データを取得する演奏データ取得手順と、
    前記取得した演奏データから前記座標情報データを読み出し、該読み出した座標情報データから座標情報を抽出する座標情報抽出手順と、
    前記タッチパネルが出力した座標情報又は前記座標情報抽出手順が演奏データに含まれる座標情報データから抽出した座標情報対応するコマンドを特定するコマンド特定手順と、
    前記特定したコマンドを実行するコマンド実行手順と
    を実行させるためのプログラム。
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