JP4254519B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
図1は本発明の一実施形態を示すエンジン(内燃機関)のシステム図である。
エンジン1の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ2から吸気ダクト3、スロットル弁4
及び吸気マニホールド5を経て空気が吸入される。吸入空気量Qaは、スロットル弁4の開度に応じて制御される。吸気マニホールド5の各ブランチ部には各気筒毎に燃料噴射弁6が設けられている。但し、燃料噴射弁6は燃焼室内に直接臨ませる配置としてもよい。
エンジン1の各燃焼室からの排気は、排気マニホールド8を介して排出される。また、排気マニホールド8からEGR通路9が導出され、これによりEGR弁10を介して排気の一部を吸気マニホールド5に還流している。
ECU12は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイクロコンピュータを備え、各種センサからの入力信号を受け、後述のごとく演算処理して、燃料噴射弁6や点火プラグ7等の作動を制御する。
図2は、燃料噴射量演算ルーチンのフローチャートであり、エンジン始動後(スタートスイッチON→OFF後)に時間同期又は回転同期で実行される。尚、始動時の燃料噴射量は別の方法で演算される。
S1では、エアフローメータにより検出される吸入空気量Qaと、クランク角センサにより検出されるエンジン回転数Neとを読み込む。尚、吸入空気量Qaについては、検出信号に基づいて平滑化処理を行うが、フローでは省略した。
Tp=K×Qa/Ne 但し、Kは定数
S3では、後述のごとく設定される目標空燃比補正係数(始動後空燃比リッチ化補正係
数)TFBYA、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを読み込み、次式により、最終的な燃料噴射量(噴射パルス幅)Tiを演算する。
なお、目標空燃比補正係数TFBYA及び空燃比フィードバック補正係数ALPHAは、その基準値を1とする。また、燃料噴射量(噴射パルス幅)Tiの演算には、この他、スロットル開度TVOの変化に基づく過渡補正や、バッテリ電圧に基づく無効噴射パルス幅の加算等がなされるが、ここでは省略する。
図3は、始動後の空燃比制御を示すフローチャートである。ここで、前記目標空燃比補正係数(始動後空燃比リッチ化補正係数)TFBYA及び前記空燃比フィードバック補正係数ALPHAが設定される。
KAS=f1(Tw)
ΔK=f2(Tw)
具体的には、始動時水温Twが低いほど始動後増量率の初期値KASを大きく設定し、また、始動時水温Twが低いほど時間をかけて減量するように単位減量率ΔKを小さく設定する。
TFBYA=1+KAS
ALPHA=1
ここでの設定値が始動後初回の燃料噴射量Tiの演算に用いられ、この目標空燃比補正係数TFBYAにより、空燃比がリッチ化される。
S16では、O2センサ活性時において空燃比がリーンであるので、目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分(KAS)をカット(ここでは0にする)すると共に、その増量分(KAS)を空燃比フィードバック補正係数ALPHAに上乗せし、通常の空燃比フィードバック制御(λ制御)に移行する。従って、このとき、目標空燃比補正係数TFBYA=1、空燃比フィードバック補正係数ALPHA(初期値)=1+KASとなっている。
S21では、O2センサの出力電圧に基づいてリーン/リッチを判定する。リーンであればS22へ進み、リッチであればS25に進む。
S22では、リッチ→リーンへの反転時(前回リッチ)であるか否かを判定する。リッチ→リーンへの反転時であればS23へ進み、リーン状態継続中であればS24に進む。
S24では、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを微小の積分分(積分定数)I増加させて、更新する(ALPHA=ALPHA+I)。
S25では、リーン→リッチへの反転時(前回リーン)であるか否かを判定する。リーン→リッチへの反転時であればS26へ進み、リッチ状態継続中であればS27に進む。
S27では、空燃比フィードバック補正係数ALPHAを微小の積分分I減少させて、更新する(ALPHA=ALPHA−I)。
図5は、本実施形態におけるタイムチャートである。O2センサ活性時の空燃比がリッチの場合を実線で、O2センサ活性時の空燃比がリーンの場合を破線で示している。
ここで、O2センサの活性を検出したときに(時刻t1)、実線で示すように、O2センサの出力電圧VO2がリッチ領域にあると(すなわち、空燃比がリッチのときは)、目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分(KAS)を0とし、空燃比フィードバック補正係数ALPHAの初期値を1として、直ちに空燃比フィードバック制御が開始される。
図6において、S31〜S37は、図3におけるS11〜S17と同じであるので説明を省略する。
S37において、目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分(KAS)をカット(ここでは0にする)した後、S38に進む。
目標空燃比補正係数TFBYAの設定により、始動直後に空燃比をリッチ化し、その後の時間経過と共に空燃比を徐々にストイキに収束させるように制御している。
一方、空燃比がリーンのときは、第1実施形態と同様に、運転性の悪化(燃焼の不安定)を回避すべく、空燃比フィードバック補正係数ALPHAに目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分(KAS)を上乗せした上で直ちに空燃比フィードバック制御が開始される。
図8は、始動後の空燃比制御の第3実施形態示すフローチャートであり、上記図3に代えて用いられる。
S45において、リーンであればS46へ進み、O2センサの出力電圧(すなわち、空燃比)に応じて、点火時期の遅角補正量ΔITret(=f3(VO2))を設定する。具体的には、O2センサの出力電圧が低いほど(空燃比がリーンであるほど)遅角補正量ΔITretを大きく設定する。
IT(1)=ITbase+ΔITret
なお、上記基本点火時期ITbaseは、エンジン回転数Ne及び基本燃料噴射量Tpに応じて割り付けられた基本点火時期マップを参照することにより算出する。また、基本点火時期ITbaseの算出には、この他、冷却水温度Twやスロットル開度TVOに基づく補正がなされるが、ここでは省略する。
一方、S45において、リッチであればS49に進み、O2センサの出力電圧(空燃比)に応じて、点火時期の進角補正量ΔITadv(=f4(VO2))を設定する。具体的には、O2センサの出力電圧が高いほど(空燃比がリッチであるほど)進角補正量ΔITadvを大きく設定する。
IT(2)=ITbase−ΔITadv
S51では、目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分(KAS)をカットし(ここでは0にする)、空燃比フィードバック補正係数ALPHAの初期値を1として、通常の空燃比フィードバック制御(λ制御)に移行する。
なお、この実施形態では、点火時期を進角又は遅角補正することにより空燃比フィードバック制御の開始直後のトルク段差を抑制するようにしているが、空燃比フィードバック制御の開始(オープン制御からフィードバック制御への切り換え)時におけるトルク変動を相殺できるものであれば他の制御であってもよく、例えば、点火時期の進角/遅角補正に代えて又は加えて、吸入空気量Qaの増量/減量補正を用いるようにしてもよい。
図9は、始動後の空燃比制御として上記第3実施形態を用いた場合におけるタイムチャートである。図5、図7と同様に、O2センサ活性時の空燃比がリッチの場合を実線、O2センサ活性時の空燃比がリーンの場合を破線で示している。
ここで、O2センサの活性を検出したときに(時刻t1)、実線で示すように、O2センサの出力電圧VO2がリッチ領域にあると(すなわち、空燃比がリッチのときは)、目標空燃比補正係数TFBYAによる増量分(KAS)を0とし、空燃比フィードバック補正係数ALPHAの初期値を1として、直ちに空燃比フィードバック制御が開始される。このとき、トルク(増大)補正制御(点火時期の進角補正又は/及び吸入空気量Qaの増量補正)も行われ、これにより、空燃比フィードバック制御の開始(増量分KASを0にしたこと)に伴うトルク減少分が相殺され、トルク段差の発生が抑制される。
Claims (7)
- 始動直後に空燃比をリッチ化し、時間経過と共に空燃比を徐々にストイキに収束させるように設定される目標空燃比補正係数と、空燃比フィードバック制御条件にて空燃比センサからの信号に基づいて空燃比をストイキに収束させるように設定される空燃比フィードバック補正係数とを用いて、燃料噴射量を演算・制御するエンジンの空燃比制御装置において、
前記空燃比センサの活性を検出した時点で、前記目標空燃比補正係数による増量分をカットすると共に、その増量分を前記空燃比フィードバック補正係数に上乗せする第1の制御と、
前記空燃比センサの活性を検出した時点で、前記目標空燃比補正係数による増量分をカットし、その増量分の前記空燃比フィードバック補正係数への上乗せを行わない第2の制御と、を選択可能に構成し、
前記空燃比センサの活性を検出した時点で、該空燃比センサの出力がリーン領域にあるときは前記第1の制御を、前記空燃比センサの出力がリッチ領域にあるときは前記第2の制御を選択することを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。 - 前記空燃比センサの活性を検出した時点で、該空燃比センサの出力がリーン領域にあるときは、前記目標空燃比補正係数による増量分をカットすると共に、その増量分を前記空燃比フィードバック補正係数に上乗せし、直ちに空燃比フィードバック制御を開始することを特徴とする請求項1記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記空燃比センサの活性を検出した時点で、該空燃比センサの出力がリッチ領域にあるときは、前記目標空燃比補正係数による増量分をカットし、直ちに空燃比フィードバック制御を開始することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記空燃比センサの活性を検出した時点で、該空燃比センサの出力がリッチ領域にあるときは、前記目標空燃比補正係数による増量分をカットした後、空燃比センサの出力が所定のフィードバック制御開始判定スライスレベルに達してから空燃比フィードバック制御を開始することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記空燃比センサの活性を検出した時点で、該空燃比センサの出力がリーン領域にあるときは、前記空燃比フィードバック制御を開始すると共に、点火時期の遅角補正又は吸入空気量の減量補正の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記空燃比センサの活性を検出した時点で、該空燃比センサの出力がリッチ領域にあるときは、前記空燃比フィードバック制御を開始すると共に、点火時期の進角補正又は吸入空気量の増量補正の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記点火時期の補正量又は前記吸入空気量の補正量は、活性を検出した時点における前記空燃比センサの出力に基づいて設定されるることを特徴とする請求項5又は請求項6記載のエンジンの空燃比制御装置。
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