JP4254130B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、吸気弁の作動角を連続的に変更可能な第1可変動弁機構と、吸気弁リフトの中心角位相を連続的に変更可能な第2可変動弁機構と、を併用して吸入空気量を制御する内燃機関の可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−141098号公報には、内燃機関の吸気弁リフトの中心角位相を変更可能な可変バルブタイミング装置において、機関低温時の冷間ヘジテーションの発生を防止するために、機関温度が低くなるほどバルブオーバーラップ量が小さくなるように中心角位相を補正する技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吸気弁の作動角を連続的に変更可能な第1可変動弁機構と、吸気弁リフトの中心角位相を連続的に変更可能な第2可変動弁機構と、を併用して吸入空気量を制御する可変動弁装置に対し、どのような温度補正を適用すべきであるかについては、これまで充分な検討がなされていなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸気弁の作動角を連続的に変更可能な第1可変動弁機構と、吸気弁リフトの中心角位相を連続的に変更可能な第2可変動弁機構と、を併用して吸入空気量を制御する内燃機関の可変動弁装置に対して、検出器で検出される機関温度に応じた適切な補正制御を提案する。
【0005】
先ず、アクセル開度(要求負荷)及び機関回転速度のような機関運転条件に基づいて目標吸入空気量を算出する(目標吸入空気量算出手段)。この目標吸入空気量と上記機関温度とに基づいて目標中心角位相を算出する(目標中心角位相算出手段)。より具体的には、目標吸入空気量と機関回転速度とに基づいて目標中心角位相基本値を算出し(基本値算出手段)、機関温度及び目標吸入空気量に基づいて中心角位相に対する補正値を算出し(補正値算出手段)、目標中心角位相基本値を補正値で補正することにより目標中心角位相を算出する(補正手段)。この目標中心角位相と上記目標吸入空気量とに基づいて吸気弁の目標作動角を算出する(目標作動角算出手段)。この目標作動角に応じて上記第1可変動弁機構を制御し、上記目標中心角位相に応じて上記第2可変動弁機構を制御する(制御手段)。上記目標中心角位相算出手段は、上記目標吸入空気量と機関回転速度とに基づいて目標中心角位相基本値を算出する基本値算出手段と、上記機関温度と上記目標吸入空気量とに基づいて中心角位相に対する補正値を算出する補正値算出手段と、上記目標中心角位相基本値を上記補正値で補正することにより上記目標中心角位相を算出する補正手段と、を有し、上記補正値算出手段は、上記目標吸入空気量が中程度よりも小さい範囲では目標吸入空気量が大きいほど遅角側への補正値を大きくし、上記目標吸入空気量が中程度よりも大きい範囲では目標吸入空気量が小さいほど遅角側への補正値を大きくする。
【0006】
【発明の効果】
機関温度に応じた燃焼改善要求に対しては吸気弁リフトの中心角位相を補正することで対応し、補正された中心角位相を考慮して所望の目標吸入空気量が得られるように吸気弁の作動角を決定することで、2つの可変動弁機構を制御する制御ロジックが簡潔になって、ECUの演算負荷が軽くなる他、制御に使用する制御マップの適合も簡単な実験によって行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る可変動弁装置を適用した内燃機関としての自動車用火花点火式ガソリンエンジンの吸気側の構成を示す概略構成図である。この可変動弁装置は、吸気弁のバルブリフト量及び作動角の双方を同時かつ連続的に変更可能な第1可変動弁機構としてのリフト・作動角可変機構1と、吸気弁リフトの中心角位相(典型的にはクランクシャフトに対する位相)を進角側もしくは遅角側へ連続的に変更可能な第2可変動弁機構としての位相可変機構21と、を備えている。
【0008】
リフト・作動角可変機構1は、本出願人が以前に提案し、特開平11−107725号公報等によって既に公知となっているので、ここでは概要のみを説明する。シリンダヘッド(図示せず)には、各気筒毎に一対の吸気弁11が摺動自在に設けられている。リフト・作動角可変機構1は、シリンダヘッド上部のカムブラケット(図示せず)に回転自在に支持された駆動軸2と、この駆動軸2に回転可能に取り付けられ、各吸気弁11の上端部に配置されたタペット10に当接して吸気弁11を開閉駆動する揺動カム9と、駆動軸2の回転に応じて揺動カム9が揺動するように、これら駆動軸2と揺動カム9とを連繋するリンク機構と、を有している。リンク機構は、駆動軸2に圧入等により固定又は一体形成された円形の偏心カム3と、駆動軸2の上方位置に同じカムブラケットによって回転自在に支持されるとともに駆動軸2と平行に気筒列方向へ延びる制御軸12と、この制御軸12に圧入等により固定又は一体形成された円形の制御カム18と、この制御カム18に揺動自在に支持されたロッカアーム6と、このロッカアーム6の一端と偏心カム3とを連繋するリング状の第1リンク4と、ロッカアーム6の他端と揺動カム9とを連繋するアーム状の第2リンク8と、を有している。
【0009】
駆動軸2は、タイミングチェーンないしはタイミングベルトを介して機関のクランクシャフトに連動して軸回りに回転する。偏心カム3は、円形の外周面を有し、この外周面の中心が駆動軸2の軸心から所定量だけオフセットしている。この外周面に、第1リンク4の環状部が回転可能に嵌合している。ロッカアーム6は、略中央部が制御カム18によって揺動可能に支持されており、その一端部に、連結ピン5を介して第1リンク4のアーム部が連係しているとともに、他端部に、連結ピン7を介して第2リンク8の上端部が連係している。制御カム18は、制御軸12の軸心から偏心している。従って、制御軸12の角度位置に応じて、ロッカアーム6の揺動中心となる制御カム18の中心位置が機関本体に対して変位する。
【0010】
揺動カム9は、駆動軸2の外周に回転自在に取り付けられている。この揺動カム9の径方向外方へ延びる先端部と、第2リンク8の下端部と、が連結ピン17により回転可能に連結されている。揺動カム9の外周面には、駆動軸2と同心状の円弧をなす基円面と、この基円面から所定の曲線を描いて延びるカム面と、が連続して形成されており、これらの基円面ならびにカム面が、揺動カム9の揺動位置に応じてタペット10の上面に対向・当接する。上記の基円面は、ベースサークル区間としてリフト量が0(ゼロ)となる区間である。揺動カム9が揺動してカム面がタペット10に接触すると、吸気弁が徐々にリフトしていくことになる。なお、ベースサークル区間とリフト区間との間には若干のランプ区間が設けられている。
【0011】
制御軸12は、一端部に設けられたリフト・作動角制御用アクチュエータ13によって、所定角度範囲内で任意の回転角度に回動・保持される。このリフト・作動角制御用アクチュエータ13は、この例ではウォームギア15を介して制御軸12を駆動するサーボモータを有し、このサーボモータが制御装置としてのエンジンコントロールユニット19からの指令信号によって駆動・制御される。制御軸12の回転角度は、アナログセンサからなる制御軸センサ14によって検出され、この検出した実際の制御状態に基づいてアクチュエータ13がクローズドループ制御される。
【0012】
このリフト・作動角可変機構1の作用を説明する。駆動軸2が回転すると、偏心カム3のカム作用によって第1リンク4がほぼ上下動し、これに伴ってロッカアーム6が制御カム18の周りを揺動する。このロッカアーム6の揺動は、第2リンク8を介して揺動カム9へ伝達され、この揺動カム9が揺動する。この揺動カム9のカム作用によって、タペット10が押圧され、吸気弁11がリフトする。
【0013】
リフト・作動角制御用アクチュエータ13により制御軸12の回転角度を変更すると、ロッカアーム6の揺動運動の中心位置となる制御カム18の中心位置が変化し、揺動カム9の初期揺動位置が変化して、吸気弁の作動角及びバルブリフト量が拡大又は縮小する。制御カム18の初期位置は連続的に変化させ得るので、これに伴って、吸気弁のバルブリフト量及び吸気作動角の双方を同時かつ連続的に変更することができる。各部のレイアウトによるが、例えば、リフト・作動角の大小変化に伴い、吸気弁11の開時期と閉時期とがほぼ対称に変化し、クランク角度に対する吸気弁リフトの中心角位相はほとんど変化しない。
【0014】
位相可変機構21は、駆動軸2の前端部に設けられたスプロケット(又はプーリ)22と、このスプロケット22と駆動軸2とを所定の角度範囲内において相対的に回転させる吸気位相制御用アクチュエータ23と、から構成されている。スプロケット22は、図示せぬタイミングチェーン(もしくはタイミングベルト)を介して、クランクシャフトに連動して回転する。吸気位相制御用アクチュエータ23は、例えば油圧式、電磁式などのベーン式又はスプライン式の回転型アクチュエータからなり、エンジンコントロールユニット19からの制御信号によって駆動・制御される。この吸気位相制御用アクチュエータ23の作用によって、スプロケット22と駆動軸2とが相対的に回転し、クランク角度に対する吸気弁リフトの中心角位相が連続的に進角・遅角側へ変更可能である。つまり、吸気リフト特性の曲線自体は変わらずに、その全体が進角もしくは遅角する。この位相可変機構21の実際の制御状態は、駆動軸2の回転位置に応答する駆動軸センサ16によって検出され、これに基づいて、アクチュエータ23がクローズドループ制御される。
【0015】
このような2つの可変動弁機構1,21を互いに独立して駆動・制御することにより、アイドルのような微少な吸入空気量を実現することが可能であり、スロットル弁に依存することなく、吸気リフト特性によってエンジンの吸入空気量を調整・制御することができる。なお、実用機関では、ブローバイガスの還流等のために吸気系に若干の負圧が存在していることが好ましいので、後述するように、吸気通路の上流側に、スロットル弁に代えて、負圧生成用の適宜な絞り機構が設けられる。
【0016】
図2は、代表的な運転条件における吸気リフト特性を示している。図示するように、アイドル等の極低負荷域においては、吸気弁のバルブリフト量及び吸気作動角(リフト作動角)を極小とし、中心角位相を最も遅角した最遅角位相に設定する。これによって、吸気弁の閉時期は下死点直前位置となる。このような極小のリフト作動角とすることによって、吸気流が吸気弁11の間隙においてチョークした状態となり、この極低負荷域で必要な微小流量が安定的に得られる。そして、閉時期が下死点近傍となることから、有効圧縮比は十分に高くなり、極小リフトによるガス流動の向上と相俟って、比較的良好な燃焼を確保できる。なお、この極小のリフト作動角では、中心角位相は吸気量にほとんど影響しない。
【0017】
一方、上記の極低負荷域よりも負荷の大きな低負荷アイドル域(補機負荷が加わっているアイドル状態を含む)においては、極低負荷域に比してリフト・作動角が大きくなり、かつ、中心角位相は、上記の最遅角位相に比して進角した所定の進角値に設定する。このときには、バルブタイミングをも考慮して吸気量制御が行われることになり、吸気弁閉時期を早めることで、吸気量が比較的少量に制御される。この結果、リフト・作動角はある程度大きなものとなり、吸気弁11によるポンピングロスが低減する。
【0018】
なお、アイドル等の極低負荷域における極小リフトでは、前述したように、吸気位相を変更しても吸気量は殆ど変化しないので、空調用コンプレッサ等の補機の負荷が加わった場合のように、極低負荷域のリフト特性から低負荷域のリフト特性へ切り換える場合には、吸気位相変更よりも優先して、リフト・作動角を拡大する必要がある。
【0019】
さらに負荷が増加し、燃焼が安定してくる中負荷域では、リフト・作動角をさらに拡大しつつ、リフト中心角の吸気位相を更に進角する。この吸気位相は、中負荷域のある点で、最も進角した状態となる。これにより、内部EGRが利用され、一層のポンピングロス低減が図れる。
【0020】
最大負荷時には、さらにリフト・作動角を拡大し、かつ最適なバルブタイミングとなるように位相可変機構21を制御する。なお、図示するように、機関回転数によっても最適なバルブ吸気リフト特性は異なるものとなる。
【0021】
図3は、上記の絞り機構を含む吸気系の概略図である。シリンダヘッド及びシリンダブロックから大略構成されるエンジン本体30には、4つの気筒31が直列に配置されている。エンジン本体30の吸気側の側方には、1つの吸気コレクタ32が配設されている。この吸気コレクタ32は、吸気ブランチ33によって各気筒31に接続されている。エンジン本体30の排気側の側壁には、4つの気筒31へ接続する排気マニホールド34が取り付けられている。
【0022】
吸気系の一部をなす吸気コレクタ32には、吸気状態を検知するセンサとして、吸気圧力を検知する圧力センサ35と、吸気温度を検知する温度センサ36と、が装着されている。吸気コレクタ32の上流側には、上記の絞り機構として、吸気コレクタ32の上流側通路を開閉する負圧制御弁37が設けられている。この負圧制御弁37は、スロットル弁のようにアクセル開度(要求負荷)に応じて吸入空気量を調整する目的ではなく、エンジンに必要な負圧、例えばフローハイガス吸入用の負圧や、燃料揮発成分吸入用の負圧などを発生させるものである。この負圧制御弁37を駆動するアクチュエータ38は、例えばDCモータであり、あるいはダイアフラム・アクチュエータである。ダイアフラム・アクチュエータを用いる場合、制御ソレノイドにより負圧制御弁37の開度を制御することとなる。
【0023】
エンジン回転センサ39は、エンジン回転数の他、クランク角度も検知可能である。空燃比センサ40は、例えば排気の空燃比を直接的に検知するA/Fセンサであり、あるいは公知の酸素センサである。これらセンサ類及び可変機構1,21のアクチュエータなどは、上述したエンジンコントロールユニット19に電気的に接続され、駆動信号・検出信号の入出力を行う。
【0024】
図4は本実施形態の要部をなす可変動弁装置の制御の流れを示すフローチャートである。この制御フローで示されるルーチンは、予めECU19のROMに格納され、CPUにより所定時間毎に実行される。
【0025】
S(ステップ)1では、エンジン回転センサ39等のセンサ類の出力からアクセル開度APO及びエンジン回転速度Neのようなエンジン運転条件を読み込む。
【0026】
S2では、S1で読み込まれたアクセル開度APOとエンジン回転速度Neとに基づいて、目標吸入空気量tQaを算出する(目標吸入空気量算出手段)。なお、本実施形態のエンジンは基本的に空燃比一定(理論空燃比)で運転されるエンジンであり、エンジンの出力(負荷)は吸入空気量によって定まる。
【0027】
S3では、目標吸入空気量tQaとエンジン回転速度Neとに基づいて吸気弁リフトの目標中心角位相基本値tθbaseを算出する(基本値算出手段)。具体的には、tQaとNeとに対応させてtθbaseを記憶させてある制御マップから値をルックアップする。この制御マップには、エンジンの常用状態である暖機完了後に適合した目標中心角位相の値が記憶されている。
【0028】
S4では、機関温度を検出する検出器としてのエンジン冷却水温度センサ24(図1参照)の出力から水温Twを読み込む。なお、機関温度を正確に反映する検出値であれば、油温センサにより検出される作動油の油温のような他の温度を使用してもよい。この場合、油温センサが上記検出器に相当する。
【0029】
S5では、水温Twと目標吸入空気量tQaとに基づいて吸気弁リフトの中心角位相補正値θhを算出する(補正値算出手段)。具体的には、図5に示す制御マップからTwとtQaとに対応するθhをルックアップする。図5の特性を説明すると、Twが暖機温度より低い範囲すなわち冷機時では、機関温度が低いほど遅角側への補正値θhが大きくなる。Twが暖機温度より高い範囲すなわち暖機後では、目標吸入空気量tQaにかかわらず補正値θhはゼロであり、補正を行わない。目標吸入空気量tQaが所定の中程度tQa−Mのときに、θhが最も大きく、tQaがtQa−Mよりも小さい所定の小程度tQa−S及びtQa−Mよりも大きい所定の大程度tQa−Lのときには、中程度tQa−Mのときに比してθhが小さい。tQa−LのときのθhはtQa−Sのときのθhよりも小さい。目標吸入空気量tQaが最大値tQa−Maxのときには、水温Twにかかわらず補正値θhをゼロとし、遅角側への補正を禁止する。
【0030】
S6では、目標中心角位相基本値tθbaseから中心角位相補正値θhを減じて目標中心角位相tθを算出する(目標中心角位相算出手段;補正手段)。なお、本実施形態では位相可変動弁機構が最遅角位置となっているときの中心角位相を基準位相とし、基準位相からの進角量で中心角位相を表している。よって、上記の補正値を減じることは目標中心角を遅角側へ補正することを意味する。
【0031】
S7では、目標吸入空気量tQaとエンジン回転速度Neと目標中心角位相tθとに基づいて吸気弁の目標リフト作動角tLEを算出する(目標作動角算出手段)。具体的には、tQaとNeとtθに対応させてtLEを記憶させてある制御マップから値をルックアップする。この制御マップは、エンジン回転速度と吸気弁リフトの中心角位相とリフト作動角とを様々に変化させてそのときの吸入空気量を測定する実験を行えば容易に作成することが可能である。
【0032】
S8では、目標リフト作動角tLEに応じた指令信号をリフト・作動角可変動弁機構のアクチェエータヘ送り、目標中心角位相tθに応じた指令信号を位相可変動弁機構のアクチェエータヘ送る。これらの指令信号に応じてリフト・作動角可変機構1及び位相可変機構21が互いに独立して駆動・制御される(制御手段)。
【0033】
以下、本実施形態による作用・効果について列記する。
【0034】
(1)機関温度に応じた燃焼改善要求に対しては吸気弁リフトの中心角位相を補正することで対応し、補正された中心角位相を考慮して目標吸入空気量が得られるようにリフト作動角を決定することで、2つの可変動弁機構1,21を制御する制御ロジックが簡潔になって、ECU19の演算負荷が軽くなる他、制御に使用する制御マップの適合も簡単な実験によって行うことができる。
【0035】
(2)機関温度が暖機温度よりも低い冷機時には、中心角位相を遅角側へ補正する構成としたため、例えば図2の中負荷域では、IVCが下死点へ近づくために有効圧縮比が増加するとともに、IVOが上死点へ近づくためにバルブオーバーラップが縮小し、燃焼改善を図ることができる。仮に冷機時にはリフト・作動角を増加側へ補正する構成とした場合、IVCが下死点へ近づいて有効圧縮比は増加するものの、IVOが上死点から遠ざかるためにバルブオーバーラップが増大し、有効に燃焼を改善することができない。
【0036】
(3)機関温度に応じて中心角位相を補正した後、目標吸入空気量が得られるようにリフト・作動角を補正することにより、要求に応じた吸入空気量を確実に得ることができる。
【0037】
(4)目標吸入空気量が中程度tQa−M(典型的には中負荷域)で、かつ、燃焼安定性の良い暖機後の条件では、図2に示すように、IVOを上死点よりも大きく進角させて、バルブオーバーラップを大きく確保しつつ、IVCを下死点よりも進角させて、有効圧縮比を低く抑制し、燃費の向上を図る。目標吸入空気量が中程度tQa−Mで、かつ、燃焼安定性の低い冷機時の条件では、図5に示すように、吸気位相の遅角側への補正量を、全ての目標吸入空気量の条件のうちで最も大きくする。これにより、IVOが上死点近傍へ向けて遅角し、バルブオーバーラップが充分に小さくなるか、あるいはマイナスオーバーラップとなるとともに、IVCが下死点近傍へ向けて遅角し、有効圧縮比が高くなるために、燃焼状態が良好に改善される。
【0038】
(5)アイドル・低負荷域のように、目標吸入空気量が中程度tQa−Mよりも小さい小程度tQa−Sのときには、中程度tQa−Mのときよりもリフト・作動角が小さく、燃焼安定性が低いため、暖機後であっても有効圧縮比を高めに設定している(図2参照)。従って、中程度tQa−Mのときに比して、冷機時の遅角側への補正値θhは小さく制限される。
【0039】
(6)高負荷域のように、目標吸入空気量が中程度tQa−Mよりも大きい大程度tQa−Lのときには、中程度tQa−Mのときに比して、リフト・作動角が大きく燃焼安定性が良いこと,機関温度状態による燃焼変化量が少ないこと,及び目標吸入空気量の増加側への余裕代が極めて小さいことなどの理由により、機関温度による遅角側への補正値θhを小さくする。
【0040】
また、図2に示すように、同じ高負荷域の状況でも、機関回転数が高くなるほどリフト・作動角が大きく設定される。リフト・作動角が相対的に大きい機関高回転時には、筒内ガス流動乱れが強く、機関温度状態による燃焼状態の変化が小さいため、機関温度による遅角側への補正値θhは比較的小さくて良い。一方、リフト・作動角が相対的に小さい機関低回転時には、機関高回転時に比して筒内ガス流動乱れが弱く燃焼安定性が低いため、燃焼安定性の高い暖機後の状態では、主として燃費向上を図るために、オーバーラップを大きく確保しつつIVCを早めて有効圧縮比の低い設定が可能であるが、燃焼安定性が低下する冷機時にはIVOを上死点近傍としてオーバーラップを小さくするかもしくはマイナスオーバラップとするとともに、IVCを下死点近傍として有効圧縮比を高くして、燃焼改善を図る必要がある。このようなことから、リフト・作動角が大きいときには、リフト・作動角が小さいときに比して、中心角位相の補正値θhは小さく設定される。
【0041】
(7)目標吸入空気量が最大tQa−Maxである全開域では、吸入空気量が最も多い最大充填効率のバルブリフト特性(リフト・作動角及び中心角位相)に設定されており、仮に中心角位相を遅角側へ補正すると所望の最大充填効率が得られなくなるために、中心角位相の補正制御を禁止、すなわち補正値θhをゼロとする。なお、全開域では元々燃焼安定性が良いので、上記のように補正制御を禁止しても冷機時の燃焼状態が不安定になることはない。
【0042】
(8)目標吸入空気量が極めて微少であるアイドル域での吸入空気量制御をも2つの可変動弁機構1,21を制御することにより行い、このように燃焼安定性の低いアイドル域でも、機関温度に応じた中心角位相の遅角側への補正を適用することにより、有効圧縮比を機関温度に応じて適切に設定することができ、燃焼の安定化とポンプ損失低減化とを高いレベルで両立できる。この場合、上述した暖機後のアイドル域における中心角位相(図2参照)から更に遅角側へ補正できるものとする。
【0043】
以上のように本発明を具体的な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形、変更を含むものである。上記実施形態では中心角位相補正値θhを算出する際に目標吸入空気量tQaを3段階(大、中、小)で考慮したが、より細かくtQaを考慮するようにしてもよい。例えば、図5の実線に2本の破線を加えてtQaを6段階(最大tQa−Max、大tQa−L、中大tQa−ML、中tQa−M、中小tQa−MS、小tQa−S)で考慮すれば、より精密な補正を行うことができる。この場合、目標吸入空気量が中程度tQa−Mより小さくなるほど、目標中心角位相基本値tθbaseが遅角側の値となって燃焼安定性が低下することから、遅角側への補正量θhを小さくしていく。また、目標吸入空気量が中程度tQa−Mよりも大きくなるほど、補正値θhを小さくしていく。
【0044】
上記の実施形態ではエンジン出力を優先して目標吸入空気量が最大tQa−Maxのときには遅角値をゼロとしているが、この最大tQa−Maxのときにも小さいながら中心角位相の遅角補正を行うようにすることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る内燃機関の可変動弁装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】代表的な運転条件での吸気リフト特性を示す特性図。
【図3】吸気系の構成を示す概略構成図。
【図4】本実施形態の制御の流れを示すフローチャート。
【図5】機関温度及び目標吸入空気量に基づいて中心角位相の補正値を設定するための制御マップ。
【符号の説明】
1…リフト・作動角可変機構
21…位相可変機構
24…冷却水温センサ(検出器)
Claims (4)
- 吸気弁の作動角を連続的に変更可能な第1可変動弁機構と、吸気弁リフトの中心角位相を連続的に変更可能な第2可変動弁機構とを備え、上記2つの可変動弁機構を制御することにより内燃機関の吸入空気量を制御するようにした内燃機関の可変動弁装置において、
機関温度を検出する検出器と、
機関運転条件に基づいて目標吸入空気量を算出する目標吸入空気量算出手段と、
上記目標吸入空気量と上記機関温度とに基づいて目標中心角位相を算出する目標中心角位相算出手段と、
上記目標中心角位相と上記目標吸入空気量とに基づいて目標作動角を算出する目標作動角算出手段と、
上記目標作動角に応じて上記第1可変動弁機構を制御し、上記目標中心角位相に応じて上記第2可変動弁機構を制御する制御手段と、を備え、
上記目標中心角位相算出手段は、
上記目標吸入空気量と機関回転速度とに基づいて目標中心角位相基本値を算出する基本値算出手段と、
上記機関温度と上記目標吸入空気量とに基づいて中心角位相に対する補正値を算出する補正値算出手段と、
上記目標中心角位相基本値を上記補正値で補正することにより上記目標中心角位相を算出する補正手段と、を有し、
上記補正値算出手段は、上記目標吸入空気量が中程度よりも小さい範囲では目標吸入空気量が大きいほど遅角側への補正値を大きくし、上記目標吸入空気量が中程度よりも大きい範囲では目標吸入空気量が小さいほど遅角側への補正値を大きくすることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。 - 上記補正値算出手段は、上記目標吸入空気量が最大であるときには上記機関温度にかかわらず上記補正値をゼロにすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記補正値算出手段は、機関温度が低いほど遅角側への補正値を大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記補正値算出手段は、機関温度が所定の暖機温度より高いときには補正値をゼロにすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
Priority Applications (1)
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