JP4253951B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマディスプレイパネルの前面板電極形成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、典型的には一対の前面および背面絶縁基板を含み、その前面および背面板は互いに対向するように配置されて、一定の間隔で支持された前記絶縁基板とその絶縁基板の間に配置されたセル障壁とによってそれぞれ規定されたディスプレイ素子としての複数のセルを形成しており、前記絶縁基板の内表面上に誘電体層をはさんで位置する2つの電極はその間に交流電圧をかけることによりセル内で放電し、セル障壁の表面上に形成された蛍光体スクリーンを発光させ、透明な絶縁基板を透過した光によって画像を表示するものである。
【0003】
PDPにおいて、画像の解像度および輝度は、電極の幅、相互接続用導体のピッチ、および誘電体層透明度などに依存する。電極および相互接続用導体のパターンを形成する際に、スクリーン印刷やスパッタリング、または化学的エッチング法などでは精細なパターンを得ることが難しい。精細なパターンを得る方法として、感光性ペースト法がある。これは、感光性ペーストすなわち感光性を有する導体ペーストを基板上に前面塗布し、所定のマスクで露光後、現像し、得られたパターンを焼成することで高精細な導体パターンを得るものであり、感光性ペーストとしては導体粉末と感光性樹脂バインダーを含むものが使用される。
【0004】
また、ディスプレイの表示コントラストを向上させるために前面基板上に配置された電極からの外光の反射を減少させることが必須である。この外光の反射を減少させるには、反射率の高い金属性の電極の前面絶縁基板側に、光線透過率と反射率の低い黒色の電極を形成し、ディスプレイ前面プレートから見たときに電極を黒くすることが最も良好な方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、黒色電極も、金属電極と同様に感光性ペースト法により形成することが可能であるものの、これらを同時に焼成しようとすると、上層の金属電極に膨れや歪みが生じる場合があった。黒色電極と金属電極をそれぞれ別に焼成することでこの問題は防げるが、製造工程の短縮とコストの低下のためにはエネルギーと時間を多大に消費する焼成行程の回数を削減することは必須である。本発明は、そのような外光の反射を減少させるための黒色電極と金属電極よりなる電極複合体を製造する場合に、同時に焼成しても金属電極の膨れや歪みが発生しないプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明電極パターンを有するガラス基板上に、感光性樹脂成分、ガラスおよび黒色顔料を含む黒色ペーストを塗布し、その上に、該黒色ペーストに含まれる感光性樹脂成分の熱分解温度以下の熱分解温度を有する感光性樹脂成分と、金属粉末を含む導体ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光、現像して、金属ペーストパターンと黒色ペーストパターンを形成し、該金属ペーストパターンと該黒色ペーストパターンを同時に焼成することによって金属電極パターンと黒色電極パターンが積層された電極複合体を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用前面板の製造方法、または透明電極パターンを有するガラス基板上に、感光性樹脂成分、ガラスおよび黒色顔料を含む黒色ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光し、現像して黒色ペーストパターンを形成し、該黒色ペーストパターンの上に、該黒色ペーストに含まれる感光性樹脂成分の熱分解温度以下の熱分解温度を有する感光性樹脂成分と、金属粉末を含む導体ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光、現像して金属ペーストパターンを形成し、該金属ペーストパターンと該黒色ペーストパターンを同時に焼成することによって金属電極パターンと黒色電極パターンが積層された電極複合体を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用前面板の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0008】
図1に本発明によるプラズマディスプレイパネルの製造方法の一例を示す。ガラス基板2上に形成された透明電極パターン1の上に(a工程)、樹脂成分と、ガラスと黒色顔料を含む黒色ペースト3を塗布する(b工程)。その上に、黒色ペーストに含まれる樹脂成分の熱分解温度以下の熱分解温度を持つ感光性樹脂成分と、金属粉末を含む導体ペースト4を塗布し(c工程)、同じく所定のパターンのフォトマスク5を介して露光、現像し、金属ペーストパターン6と黒色ペーストパターン7を得る(d〜e工程)。これらを同時に焼成することにより、積層された金属電極パターン8と黒色電極パターン9が得られる(f工程)。
【0009】
図2に本発明によるプラズマディスプレイパネル装置の製造方法の別の一例を示す。ガラス基板2上に形成された透明電極パターン1の上に(a工程)、感光性樹脂成分と、ガラスと黒色顔料を含む黒色ペースト10を塗布する(b工程)。所定のパターンのフォトマスクを介して露光し(c工程)、現像することで黒色ペーストパターン7を得る(d工程)。その上に、黒色ペーストに含まれる感光性樹脂成分の熱分解温度以下の熱分解温度を持つ感光性樹脂成分と、金属粉末を含む導体ペースト4を塗布し(e工程)、同じく所定のパターンのフォトマスク5を介して露光(f工程)、現像し、金属ペーストパターン6と黒色電極パターン7を得る(g工程)。これらを同時に焼成することにより、積層された金属電極パターン8と黒色電極パターン9が得られる(h工程)。
【0010】
図1、図2に示したいずれの工程例でも、上層の導体ペーストの樹脂成分の方が熱分解温度が低いので、下層よりも先に樹脂が分解して揮発する。その後、下層の黒色ペーストの樹脂成分が熱分解を起こし、揮発を始めるが、このときには上層の樹脂成分は消失しているので、下層の樹脂分解ガスは遮られることなく上層の金属粉末の隙間を抜けて揮発することが出来る。
【0011】
もし、上層の樹脂成分の熱分解温度が、下層の樹脂成分の熱分解温度よりも高い場合は、上層の樹脂が存在するうちに、下層の樹脂が熱分解を始め、その分解ガスは上層の樹脂を透過できずに、膨れや歪みを発生させることになり、最終的に焼成後の金属電極に膨れや歪みが生じてしまうことになる。
【0012】
本発明において黒色ペースト、導体ペーストに使用する感光性ペーストの樹脂成分としては、光硬化型のアクリル系感光樹脂が好ましく用いられる。光硬化型のアクリル系感光性樹脂としては、アルカリ可溶性のアクリル系共重合体と、多官能アクリルモノマーと、光ラジカル発生剤と溶剤からなるものが広く用いられる。ポリマーがアルカリ可溶性を有することで現像液として環境に問題のある有機溶媒ではなくアルカリ水溶液を用いることが出来る。
【0013】
アクリル系共重合体とは、共重合成分に少なくともアクリル系モノマーを含む共重合体であり、アクリル系モノマーとは、具体的な例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレートなどのアクリル系モノマー、およびこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたものなどが挙げられる。アクリル系モノマー以外の共重合成分としては、炭素−炭素2重結合を有する全ての化合物が使用可能であるが、好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどのスチレン類、γ−メタクリロシキプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。望ましくはアクリル酸アルキルあるいはメタクリル酸アルキル、より好ましくは少なくともメタクリル酸メチルを含むことで、熱分解性の良好な重合体を得ることが出来る。アクリル系共重合体にアルカリ可溶性を付与するためには、モノマーとして不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えることにより達成される。不飽和酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニル、またはこれらの酸無水物等が挙げられる。これらを加えることによるポリマーの酸価は、現像性の観点から50〜140の範囲であることが好ましい。
【0014】
硬化速度を向上させるためには、ポリマーの少なくとも一部が、側鎖または分子末端に炭素−炭素2重結合を有することが好ましい。炭素−炭素2重結合を有する基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。このような官能基をポリマーに付加させるには、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基と炭素−炭素2重結合を有する化合物や、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させてつくる方法がある。
【0015】
グリシジル基と炭素−炭素2重結合を有する化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネートなどが挙げられる。イソシアナート基と炭素−炭素2重結合を有する化合物としては、アクリロイルイソシアネート、メタクロイルイソシアネート、アクリロイルエチルイソシアネート、メタクリロイルエチルイソシアネート等がある。
【0016】
多官能モノマーとしては、1分子中に炭素−炭素2重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、その具体的な例としては、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、または上記化合物のアクリル基を1部または全てメタクリル基に代えた化合物等が挙げられる。
【0017】
本発明においては、黒色ペーストとしては感光性を有さないものを用いることもできる。この場合、図1で製造方法の一例として示した工程により、黒色ペーストのパターニングは、上層の感光性金属ペーストのパターニングと同時に行うことになるが、感光性金属ペーストが上述のようにアルカリ水溶液による現像を行う場合には、感光性を有さない黒色ペーストのバインダー樹脂も、アルカリ可溶性であることが望ましい。アルカリ可溶性の樹脂としては、感光性樹脂として用いたアルカリ可溶性のアクリル共重合体を用いることが好ましい。
【0018】
本発明においては、導体ペーストの感光性樹脂成分の熱分解温度を、黒色ペーストの樹脂成分の熱分解温度より低くするために、感光性樹脂成分の熱分解温度を調整することが必要である。感光性樹脂成分の熱分解温度は、樹脂が光架橋性のアクリル系共重合体である場合には、架橋密度によって調整することができる。
【0019】
架橋密度は、アクリル系共重合体の側鎖に導入した炭素−炭素2重結合基の量と、多官能モノマーの量とで調整する。すなわち、アクリル系共重合体の側鎖に炭素炭素2重結合基を多く導入すれば架橋密度は上がり、また、樹脂全量中の多官能モノマーの比率を増加しても架橋密度は増大する。架橋密度を高くすると熱分解温度は上昇する。
【0020】
熱分解温度の測定方法としては、熱重量分析が好ましい。例えば、樹脂を室温から600℃まで、10℃/分で昇温していき、熱分解による重量減少を測定した結果において、重量減少率の時間微分値、すなわち単位時間あたりの重量減少率が最も大きい温度をとって熱分解のピークとし、熱分解温度と定義することができる。
【0021】
樹脂の重量の99%以上が分解した温度などをもって熱分解温度の定義とすることも出来るが、本発明においては分解ガスが多く発生する温度である熱重量減少率の時間微分のピークを使用する方が、金属電極の歪みや膨れを防ぐためには効果的であった。
【0022】
光重合開始剤としては、市販の光ラジカル開始剤が好適に使用できる。例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、あるいはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンに、2,4−ジエチルチオキサントンなどが例として挙げられるが、本発明に使用できる光重合開始剤系はこれらに限定されるものではない。
【0023】
本発明で用いられる金属粉末の形状は、単分散で凝集がなく、球状あるいは粒状であることが望ましい。この場合、球状とは球形率が80個数%以上が好ましい。球状率の測定は、粉末を光学顕微鏡で300倍の倍率にて撮影して計数し球状のものの比率を表した。球状であると露光時に光線の散乱が非常に少なくなり、膜の内部まで光線を透過させやすい。
【0024】
本発明におけるプラズマディスプレイパネルの電極複合体を構成する金属電極の比抵抗値は、25℃における測定において望ましくは5μΩ・cm以下であり、より望ましくは4μΩ・cm以下、さらに望ましくは3μΩ・cm以下である。金属電極の比抵抗値が5μΩ・cmより大きい場合には、プラズマディスプレイパネルの消費電力が大きくなるために好ましくない。
【0025】
本発明において導体ペーストに用いられる金属粉末としては、金、銀、銅、パラジウム、白金、などがあるが、特にこれらに限定されるものではない。これらのうちでも、比抵抗値の低い金属が好適であることから、金、銀、銅がより好ましい。さらに、金は非常に高価であること、銅は酸化しやすいので空気中では焼成できないことなどから最も好適であるのは銀である。
【0026】
金属粉末の平均粒子径は、1μm以上、6μm以下の範囲であることが望ましい。平均粒子径が1μm未満であると、樹脂に対して同体積の導体粉末を添加した場合に、粉末の表面積が大きくなり、また空隙が少なくなるために多くの光を遮り、ペースト内部への光線透過率を低下させる。6μmより大きい場合は、塗布した場合の表面粗さが大きくなり、さらにパターン精度や寸法精度が低下するため好ましくない。
【0027】
本発明におけるプラズマディスプレイパネルの電極複合体を構成する黒色電極の透過率は2%以下であることが望ましく、また、前面透明基板側から測定した透明基板と黒色電極の界面反射率は明度のL値にして20以下であることが望ましい。反射明度のL値が20より大きい場合には、前面透明基板側から見たときの外光反射が大きくなり、プラズマディスプレイパネルの表示コントラストを低下させるので好ましくない。また、反射明度が低い場合でも、透過率が2%より大きい場合には、黒色電極を透過した光線が黒色電極と金属電極の界面で反射し、金属電極の反射率は一般に非常に高いために、この場合も外光反射が大きくなり、プラズマディスプレイパネルの表示コントラストを低下させるため好ましくない。
【0028】
本発明における黒色ペーストに含まれるガラス粉末としては、焼成する温度で焼結できるように軟化点を選ぶ必要がある。具体的には、使用可能なガラスの軟化点は325℃以上700℃未満であり、好ましくは350℃以上650℃未満、より好ましくは375℃以上600℃未満である。325℃未満の軟化温度のガラスは、有機物の分解前に軟化して有機物を包み込み、その後有機物が分解することで黒色電極中に空隙や欠陥、膨れ等を生じやすい。一方、軟化点が700℃を超えると、ガラス基板上に電極を形成するという本発明の目的の場合には焼成温度は600℃程度までしか上げられないので、十分にガラス粉末同士が決着することなく焼成が不十分になってしまう。
【0029】
ガラス粉末の平均粒子径は、1μm以上、6μm以下の範囲であることが望ましい。平均粒子径が1μm未満であると、樹脂に対して同体積の粉末を添加した場合に、粉末の表面積が大きくなり、ペースト内部への光線透過率を低下させる。6μmより大きい場合は、塗布した場合の表面粗さが大きくなり、さらにパターン精度や寸法精度が低下するため好ましくない。
【0030】
本発明における黒色ペーストに含まれる黒色無機顔料としては、金属酸化物が用いられる。金属酸化物としては、鉄、マンガン、クロム、銅の酸化物や、あるいは導電性を有する黒色無機顔料として酸化ルテニウムを用いることが出来る。黒色無機粉末の添加量としては、ガラス粉末に対して0.1重量%〜20重量%が好ましく、より好ましくは1重量%〜10重量%である。0.1重量%未満であると、黒色度が十分ではなく、20重量%を越えるとガラスの焼結性を損なう。
【0031】
透明電極層と、金属電極層の間を絶縁してはならないため、黒色電極には電気伝導性が必要であるが、その比抵抗値は低い必要はない。電気伝導性を付与する方法としては、金属粉末を少量添加する方法があげられる。ここで使用する金属粉末としては、特に限定されるものではないが、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金などが使用できる。金属粉末の添加量としては、ガラス粉末に対して0.1重量%〜20重量%が好ましく、より好ましくは1重量%〜10重量%である。0.1重量%未満では、十分な導通が得られず、20重量%以上ではガラスの焼結性が損なわれる。黒色無機顔料として酸化ルテニウム等の導電性を有する金属酸化物を使用する場合は、これら金属粉末の添加は必要ない。
【0032】
黒色無機顔料のサイズとしては、微少な添加量で十分な黒色度を実現するため、光の散乱を減少させるのが好ましいので、可視光線の波長以下の粒子径であることが望ましい。具体的には、平均粒子径200nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以下である。
【0033】
感光性ペーストを塗布する方法としては、特に限定されないがスクリーン印刷が好ましい。スクリーン印刷は、非感光の厚膜導体ペーストでパターン形成する場合に用いられていることで知られており、また、数μmから数十μmの厚さの塗布膜を形成するのに適した方法である。
【0034】
膜厚が数μmの場合には、凹版印刷や凸版印刷、平版印刷や、それらのオフセット印刷など、スクリーン印刷以外の印刷方法も適用が可能である。また、バーコーターやロールコーター、カーテンコーター等の方法によって塗布を行うことも可能である。
【0035】
ペースト塗布後、70℃〜100℃で数分から1時間加熱して、塗布膜を乾燥させる。
【0036】
塗布された感光性ペーストに露光する場合には、所望するパターン形状のマスクを介して行う。既に形成された黒電極のパターンの上に、金属電極を形成する場合の露光は、パターンマスクを位置あわせして露光する必要がある。露光は高圧水銀灯などにより、露光量は例えばi線(365nm)における測定で10〜500mJ/cm2 である。
【0037】
露光後、現像液によって未露光部の感光性ペーストを除去し、水洗して所望の導体パターンを得る。これら現像と水洗は、浸漬、スプレー、パドルなどで行うことが出来るが、より高い解像度のパターンが得られるのでスプレー現像が好ましい。現像液のスプレー時間は20秒から200秒であり、水洗は同じくスプレーで10秒から60秒で行う。
【0038】
黒色電極と金属電極の露光、現像は、それぞれ別に行っても良いし、また、黒色ペーストと金属ペーストを重ねて塗布した後に、一度の露光現像で形成することもできる。
【0039】
電極パターン形成後、電気炉、ベルト炉等で一度で焼成を行う。焼成によって、有機成分を揮発させると共に無機粉末を焼結させることにより電極を形成できる。焼成の雰囲気は、大気中、または窒素雰囲気で行われる。導体粉末が金、銀など酸化されにくい金属の場合は大気中で、銅などの酸化しやすい金属である場合は、酸素を10〜100ppm含有する窒素雰囲気、水素雰囲気等で、400〜600℃の温度で1〜60分保持して焼成し、パターンを作成する。
【0040】
本発明の製造方法により形成する電極は、黒色電極の上に金属電極を積層しているので、黒色電極によって表示コントラストが高く、また金属電極によって電極の電気伝導性が良好な電極複合体が得られ、この電極複合体を一度の焼成で形成できるので低コストで少ない工程で性能の高いプラズマディスプレイパネル前面板を得ることが出来るものである。
【0041】
【実施例】
以下の実施例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何等の制限を受けるものではない。以下に述べる要領でペーストの調整を行った。
【0042】
A.無機粉末
無機粉末a:銀粉末
単分散粒状、平均粒子径2.0μm、比表面積1.2m2/g、タップ密度4.0g/cm3(大同特殊鋼)
無機粉末b:ガラスフリット
ガラス転移点461℃、ガラス軟化点510℃、平均粒子径0.9μm、90%粒子径1.7μm、トップサイズ3.3μm
無機粉末c:ガラスフリット
ガラス転移点477℃、ガラス軟化点519℃、平均粒子径2.5μm、90%粒子径3.9μm、トップサイズ6.5μm
無機粉末d:黒色顔料
主成分 酸化ルテニウム、平均粒子径30nm。
【0043】
B.ポリマー(感光性有機成分中)
ポリマーa:メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体
酸価90、重量平均分子量30000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でポリスチレン換算)
ポリマーb:グリシジルメタクリレート変性メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体
酸価100、重量平均分子量30000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でポリスチレン換算)。
【0044】
C.多官能モノマー
多官能モノマーa:プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
3官能モノマーTPA−330(日本化薬)
多官能モノマーb:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ヘキサアクリレート混合物
5/6官能モノマーDPHA(日本化薬)。
【0045】
D.光開始剤
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャリティケミカルズのイルガキュア369:以下IC369とする)
E.溶剤
γブチロラクトン(以下、γBL)
F.分散剤
“ノプコスパース092”(サンノプコ製)
G.レベリング剤
LC−951(楠本化成)(有効濃度は10重量%、残りは溶剤)
I.現像液
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド 0.1重量%水溶液。
【0046】
以下の作業は、全て黄色灯下で行った。
ペースト調整
(1)ポリマーと溶剤を混合し、60℃で3時間加熱して溶解させた。
(2)ポリマー溶液を室温に冷却し、その他の有機組成と、金属粉末を混合し、モーターと撹拌羽を用いて200rpmで30分室温で均一に混合した。
(3)得られたスラリーを、3本ロール(EXACT model 50)で混練し、ペーストを得た。
【0047】
パターン加工
(1)黒色ペーストをガラス基板(120mm角、厚み1.2mm)上に、スクリーンマスク(SUS#325メッシュ)を用いて全面印刷し、80℃で40分間乾燥した。乾燥後の厚みは4μmであった。
(2)その上に銀ペーストを、スクリーンマスク(SUS#325メッシュ)を用いて全面印刷し、80℃で40分間乾燥した。乾燥後の厚みは10μmであった。
(3)高圧水銀灯(15mW/cm2)を用いて、パターンマスクを介してペーストの露光を40秒間行った。パターンマスクは長さパターン幅50μm、ピッチ140μm、長さ100mmのストライプパターンのネガマスクを用いた。
(4)アルカリ現像液(0.1%TMAH水溶液)を用いて、露光後の基板を浸漬し、揺動させて現像し、その後水シャワーでリンスした。
(5)得られたパターンを、電気炉を用いて、大気中、2時間で室温から580℃まで昇温し、その後580℃で20分保持し、炉中で自然冷却した。
【0048】
熱分解温度の測定
(1)測定には島津熱重量分析装置TGA−50を使用した。
(2)各ペーストを15〜20mg、試料皿にセットし、室温から500℃まで10℃/分で昇温し、重量減少率を測定した。測定は大気雰囲気中で行った。
(3)測定後、横軸に温度、縦軸に単位時間あたりの重量減少速度(mg/min)をプロットし、重量減少速度がもっとも大きいピークを示す温度をもってそのペーストの熱重量温度と規定した。
【0049】
結果は全て表1、表2に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
上層である銀ペーストの熱分解温度が、下層である黒色ペーストの樹脂の熱分解温度よりも高い場合、焼成後の銀電極表面に顕著な凹凸や歪みが発生した。この歪みや凹凸は、中が中空の膨れであり、下層分解ガスが上層を透過できないために生じた。
【0053】
【発明の効果】
本発明は上述のような構成を有することにより、プラズマディスプレイパネルの前面板の電極を形成する場合において、表示コントラスト向上のための黒色電極と、高い電気伝導性のための金属電極を積層して、両者の電極を同時に焼成しても、金属電極に膨れや歪みを発生せず、平坦な電極を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラズマディスプレイパネル前面板電極の製造工程の一例。
【図2】本発明によるプラズマディスプレイパネル前面板電極の製造工程の別の一例。
【符号の説明】
1 透明電極
2 ガラス基板
3 黒色ペースト
4 金属粉末を含んだ感光性導体ペースト
5 フォトマスク
6 パターン化された導体ペースト
7 パターン化された黒色ペースト
8 金属電極パターン
9 黒色電極パターン
10 感光性黒色ペースト
Claims (2)
- 透明電極パターンを有するガラス基板上に、感光性樹脂成分、ガラスおよび黒色顔料を含む黒色ペーストを塗布し、その上に、該黒色ペーストに含まれる感光性樹脂成分の熱分解温度以下の熱分解温度を有する感光性樹脂成分と、金属粉末を含む導体ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光、現像して、金属ペーストパターンと黒色ペーストパターンを形成し、該金属ペーストパターンと該黒色ペーストパターンを同時に焼成することによって金属電極パターンと黒色電極パターンが積層された電極複合体を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用前面板の製造方法。
- 透明電極パターンを有するガラス基板上に、感光性樹脂成分、ガラスおよび黒色顔料を含む黒色ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光し、現像して黒色ペーストパターンを形成し、該黒色ペーストパターンの上に、該黒色ペーストに含まれる感光性樹脂成分の熱分解温度以下の熱分解温度を有する感光性樹脂成分と、金属粉末を含む導体ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光、現像して金属ペーストパターンを形成し、該金属ペーストパターンと該黒色ペーストパターンを同時に焼成することによって金属電極パターンと黒色電極パターンが積層された電極複合体を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用前面板の製造方法。
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